JP4291591B2 - 複合電子部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は複合電子部品に係り、特に積層セラミックコンデンサに抵抗体を付加した複合電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特表2001−511607号公報
【0003】
コンデンサ、インダクタ、サーミスタ、バリスタ等の積層セラミック電子部品は、体積が小さいこと、堅牢性および信頼性が高いことなどから、各種の電子機器に使用されており、電子機器の小型化に伴い、さらなる小型化、高性能化が求められている。
【0004】
このような積層セラミック電子部品のうち、例えば、積層セラミックコンデンサは、通常、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層体と、この積層体の対向する側面に設けられた一対の外部電極を備えるような構造である。このような積層セラミックコンデンサは、例えば、出力平滑化回路を構成する平滑用コンデンサとして用いられている。
【0005】
しかし、積層セラミックコンデンサは、等価直列抵抗(ESR)が非常に低く、回路内の信号がループし発振現象が生じ、その結果、ノイズを生じるという問題がある。すなわち、平滑用コンデンサとしてESRの低い積層セラミックコンデンサを使用した場合、2次側平滑回路が等価的にLとC成分のみで構成されてしまい、回路内に存在する位相成分が±90°および0°のみとなり、位相の余裕がなくなり容易に発振してしまう。
【0006】
このため、積層セラミックコンデンサに抵抗成分を付加してESRを高めた複合電子部品(CR複合素子)が種々提案されている。例えば、抵抗成分を積層セラミックコンデンサの内部に形成するタイプのCR複合素子として、特表2001−511607号公報(特許文献1)には、誘電体層を介して交互に積層された内部電極の先端部にそれぞれ抵抗体を形成させた構造の複合電子部品が開示されている(特許文献1)。このように素子内部に抵抗体を形成するタイプでは、シート面積を大きくすることができ、耐電圧性に有利である。また、メッキによる抵抗値の変動の恐れが極めて少ないという利点を有している。さらには、素子本体内部に抵抗体が存在するので、実装の際に抵抗の損傷が起こらないという利点もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の複合電子部品(特許文献1)では、内部電極の先端部と抵抗体との接合箇所に重なり部分が生じてしまい、大きな静電容量を得るためには有利な形態とは言えない。
【0008】
このような実状の基に、本発明は創案されたものであって、その目的は、素子内部に抵抗体を有する複合電子部品であって、従来開示のタイプのものに比べて、大きな静電容量を得ることができる複合電子部品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明は、素子本体と、素子本体の対向する両端面に形成された一対の第1外部電極および第2外部電極と、素子本体の側面に対向するように形成され一対の第1側部電極および第2側部電極とを備える複合電子部品であって、前記素子本体は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層されたキャパシタ構成部分と、分離した第1の実質的な抵抗体と第2の実質的な抵抗体が配置された抵抗体構成部分とを備え、前記内部電極層は、誘電体層を介して交互に積層された第1内部電極層と第2内部電極層からなり、前記第1内部電極層は、第1側部電極側に露出する突出部を有し、当該突出部は、第1側部電極に接続されており、前記第2内部電極層は、第2側部電極側に露出する突出部を有し、当該突出部は、第2側部電極に接続されており、前記第1の実質的な抵抗体は、第1外部電極側に露出する接続部および第1側部電極側に露出する突出部を有し、前記接続部は、第1外部電極に接続されるとともに、前記突出部は第1側部電極に接続されており、前記第2の実質的な抵抗体は、第2外部電極側に露出する接続部および第2側部電極側に露出する突出部を有し、前記接続部は第2外部電極に接続されるとともに、前記突出部は第2側部電極に接続されてなるように構成される。
【0010】
また、上記発明の好ましい態様として、前記第1の実質的な抵抗体と第2の実質的な抵抗体は、実質的に同一平面上に存在してなるように構成される。
【0011】
また、上記発明の好ましい態様として、前記第1の実質的な抵抗体と第2の実質的な抵抗体は、それぞれ、抵抗体部分と導電体部分とに分かれ、導電体部分は前記突出部を構成し、抵抗体部分と導電体部分との接合面積部分は、突出部における接合面積部分よりも大きくなるように形成される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
〔第1の実施の形態の説明〕
本発明の第1の実施の形態について、図1〜図5を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は本発明の複合電子部品1の一実施形態を示す斜視図であり、図2は図1に示される素子本体20(積層体20)の要部を分解して現した概略斜視図である。図3は図1の第1側部電極を除去した場合における、A方向からみた側面図であり、図4は図1の第2側部電極を除去した場合における、B方向からみた側面図である。図5は、第1の実質的な抵抗体(層)と第2の実質的な抵抗体(層)の他の好適な組み合わせ構成を示す斜視図である。
【0017】
図1に示されるように、本発明の複合電子部品1は、図面上で略直方体形状に示されている素子本体20と、素子本体20の対向する両端面に形成された一対の第1外部電極11および第2外部電極15と、素子本体20の側面に対向するように形成された一対の第1側部電極31および第2側部電極35とを備えている。第1側部電極31および第2側部電極35は図3や図4に示されるようにいわゆるグリーンシートが積層され積層端部が位置する側に形成される。素子本体20の大きさは、例えば、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0mm)×(0.3〜2.5mm)程度とすることができる。
【0018】
素子本体20は、図2に示されるように誘電体層7と内部電極層21、25とが交互に積層されたキャパシタ構成部分(C)と、分離した第1の実質的な抵抗体(層)51と第2の実質的な抵抗体(層)55が配置された抵抗体構成部分(R)とを備えている。積層される抵抗体と内部電極層とは図面上区別が困難であるため、本願の図面では便宜上、抵抗体を示す部分には砂目(ドット)を入れて分かりやすくしている。
【0019】
本発明における内部電極層21、25は、誘電体層7を介して交互に積層された第1内部電極層21と第2内部電極層25から構成されている。図2において、誘電体層7と第1内部電極層21を有するシート体71と、誘電体層7と第2内部電極層25を有するシート体75は、互いに順次繰り返し多層に積層されている。本実施例において、誘電体層7と分離した第1の実質的な抵抗体(層)51および第2の実質的な抵抗体(層)55が配置されたシート体50は、生産の便宜等を考慮して、内部電極層21、25のさらに上部に形成されているが、積層体の中でシート体50が配設される位置は特に限定されるものではない。
【0020】
また、第1の実質的な抵抗体51および第2の実質的な抵抗体55は、一般に製造の簡易性や経済性を考慮に入れれば、積層体の中で実質的に同一平面上に存在してなるように構成することが望ましいが、それぞれ異なる平面上に存在させることもできる。
【0021】
積層される第1内部電極層21は、図2および図3に示されるように第1側部電極31側に露出する突出部21aをそれぞれ有し、これらの突出部21aは第1側部電極31に接続されている。図2に示されるごとく第1内部電極層21は、誘電体層7との関係で、誘電体層7の外周枠から露出している部分は突出部21aのみ(より正確には突出部の端部のみ)である。
【0022】
この一方で、積層される第2内部電極層25は、図2および図4に示されるように第2側部電極35側に露出する突出部25aをそれぞれ有し、これらの突出部25aは第2側部電極35に接続されている。図2に示されるごとく第2内部電極層25は、誘電体層7との関係で、誘電体層7の外周枠から露出している部分は突出部25aのみ(より正確には突出部の端部のみ)である。
【0023】
第1の実質的な抵抗体51は、図2および図3に示されるように略L字形状をなし、第1外部電極11側に露出する接続部51aを有し、この接続部51aは、第1外部電極11に接続されている。さらに、この第1の実質的な抵抗体51は、図示のごとく第1側部電極31側に露出する突出部51bを有しており、この突出部51bは、第1側部電極31に接続されている。
【0024】
この一方で、第2の実質的な抵抗体55は、図2および図4に示されるように略L字形状をなし、第2外部電極側に露出する接続部55aを有し、この接続部55aは、第2外部電極15に接続されている。さらに、この第2の実質的な抵抗体55は、第2側部電極35側に露出する突出部55bを有しており、この突出部55bは、第2側部電極35に接続されている。
【0025】
このような第1の実質的な抵抗体51および第2の実質的な抵抗体55は、上述したように、積層体の中で実質的に同一平面上に存在してなるように構成することが望ましいが、それぞれ異なる平面上に存在させることもできる。図2に示される第1の実質的な抵抗体51および第2の実質的な抵抗体55は、同一材料の抵抗体組成物から構成されている。
【0026】
また、本発明においては、図2に示される第1の実質的な抵抗体51および第2の実質的な抵抗体55が配置されたシート体50を、図5に示されるシート体50´に置換することもできる。すなわち、図5において、前記第1の実質的な抵抗体51´は、抵抗体部分52と導電体部分53とに分かれており、導電体部分53は突出部53bを有し、抵抗体部分52と導電体部分53との接合面積部分(長さLで接合されている部分)は、突出部53bにおける接合面積部分よりも大きくなるように形成されている。
【0027】
同様に、前記第1の実質的な抵抗体55´は、抵抗体部分57と導電体部分58とに分かれており、導電体部分58は突出部58bを有し、抵抗体部分57と導電体部分58との接合面積部分(長さLで接合されている部分)は、突出部58bにおける接合面積部分よりも大きくなるように形成されている。長さLで接合されている部分の接合面積を大きくとることにより耐電圧性を向上させることができる。抵抗体部分52、57は、図2に示される抵抗体組成と同様にすれば良く、導電体部分53、58は抵抗体部分52、57より抵抗の小さな材料、例えば内部電極層と同等の材料で形成すればよい。このような複合部材の組み合わせをも含める意味で、本発明では、「実質的な抵抗体」と称している。
【0028】
〔第2の実施の形態の説明〕
本発明の第2の実施の形態について、図6〜図10を参照しつつ説明する。
【0029】
図6は本発明の複合電子部品2の一実施形態を示す斜視図であり、図7は図6に示される素子本体120(チップ状積層体120)の要部を分解して現した概略斜視図である。図8は図6の側部電極31を除去した場合における、A方向からみた側面図であり、図9および図10は、それぞれ実質的な抵抗体の他の好適な組み合わせ構成を示す斜視図である。
【0030】
図6に示されるように、本発明の複合電子部品2は、図面上で略直方体形状に示されている素子本体120と、素子本体120の対向する両端面に形成された一対の第1外部電極11および第2外部電極15と、素子本体120の側面に形成された側部電極31とを備えている。側部電極31は図8に示されるようにいわゆるグリーンシートが積層され積層端部が位置する側に形成される。素子本体120の大きさは、例えば、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0mm)×(0.3〜2.5mm)程度とすることができる。
【0031】
このような複合電子部品2は、前述した複合電子部品1(図1〜図5)と比べて、側部に設ける電極の数を少なくすることができるのでコスト低減というメリットがある。
【0032】
素子本体120は、図7に示されるように誘電体層7と内部電極層121、125とが交互に積層されたキャパシタ構成部分(C)と、実質的な抵抗体151が形成された抵抗体構成部分(R)とを備えている。本発明における内部電極層121、125は、誘電体層7を介して交互に積層された第1内部電極層121と第2内部電極層125から構成されている。図7において、誘電体層7と第1内部電極層121を有するシート体171と、誘電体層7と第2内部電極層125を有するシート体175は、互いに順次繰り返し多層に積層されている。本実施例において、誘電体層7と実質的な抵抗体151が形成されたシート体150は、生産性等を考慮して、内部電極層121、125のさらに上部に形成されているが、積層体の中でシート体150が配設される位置は特に限定されるものではない。
【0033】
積層される第1内部電極層121は、図7および図8に示されるように側部電極31側に露出する突出部121aをそれぞれ有し、これらの突出部121aは第1側部電極31に接続されている。図7に示されるごとく第1内部電極層121は、誘電体層7との関係で、誘電体層7の外周枠から露出している部分は突出部121aのみである。
【0034】
この一方で、積層される第2内部電極層125は、図7および図8に示されるように第2外部電極15側に露出する接続部125aを有し、これらの接続部125aは第2外部電極15に接続されている。図7に示されるごとく第2内部電極層125は、誘電体層7との関係で、誘電体層7の外周枠から露出している部分は接続部125aのみである。
【0035】
実質的な抵抗体151は、図7および図8に示されるように、第1外部電極11側に露出する接続部151aを有し、この接続部151aは、第1外部電極11に接続されている。図7に示されるごとく実質的な抵抗体151は、誘電体層7との関係で、誘電体層7の外周枠から露出している部分は接続部151aのみである。
【0036】
図7に示される実質的な抵抗体151は、同一材料の抵抗体組成物から構成されている。
【0037】
また、本発明においては、図7に示される実質的な抵抗体151が配置されたシート体150を、図9に示されるシート体150´や、図10に示されるシート体150”に置換することもできる。すなわち、図9において、実質的な抵抗体151´は、抵抗体部分152と、これを挟持するように配置された導電体部分153、154とを有しており、導電体部分153は第1外部電極と接続するための接続部153aを有し、導電体部分154は側部電極31と接続するための突出部154aを有している。そして、抵抗体部分152と導電体部分153、154との接合面積部分(長さLで接合されている部分)は、突出部154aにおける接合面積部分よりも大きくなるように形成されている。
【0038】
また、図10において、実質的な抵抗体151”は、抵抗体部分156と、導電体部分157を有しており、抵抗体部分156は第1外部電極と接続するための突出部156aを有し、導電体部分157は側部電極31と接続するための突出部157aを有している。そして、抵抗体部分156と導電体部分157との接合面積部分(長さLで接合されている部分)は、突出部157aにおける接合面積部分よりも大きくなるように形成されている。このように長さLで接合されている部分の接合面積を大きくとることにより耐電圧性を向上させることができる。図9および図10に示される抵抗体部分152、156は、図2に示される抵抗体組成と同様にすれば良く、導電体部分153、154、157は抵抗体部分52、57より抵抗の小さな材料、例えば内部電極層と同等の材料で形成すればよい。このような複合部材の組み合わせをも含める意味で、本発明では、「実質的な抵抗体」と称している。
【0039】
次に、上述してきた本発明の複合電子部品1、2を構成する部材について説明する。
【0040】
〔外部電極11,15〕
本発明の複合電子部品を構成する外部電極11,15は、導電材としてPd、Ag、Au、Cu、Pt、Rh、Ru、Ir等の金属の少なくとも1種、あるいは、これらの合金を使用することができる。外部電極の厚みは特に制限されず、例えば、1〜100μm、特に5〜50μm程度とすることができる。
【0041】
また、外部電極には、導電材の焼結性を向上させること、積層体との接着性を確保することを目的として、ガラスが含有されてもよい。
【0042】
〔第1側部電極31および第2側部電極35〕
実質的に上記外部電極11,15に準じて構成すればよい。
【0043】
〔内部電極層21,25,121,125〕
本発明の複合電子部品を構成する内部電極層に使用される導電材は、特に制限されないが、誘電体層の構成材料に耐還元性を有するものを使用することで、安価な卑金属を用いることができる。導電材として使用する卑金属は、例えば、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn、Cr、Co、Al等の1種以上とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。
【0044】
また、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含有されてもよい。内部電極層の厚みは、複合電子部品の用途等に応じて適宜設定することができ、例えば、0.5〜5μm、特に0.5〜2.5μm程度とすることができる。
【0045】
〔抵抗体51,55,52,57,152,156〕
本発明の複合電子部品を構成する抵抗体は、導電性酸化物と絶縁性酸化物とを含有する材料で形成される。導電性酸化物は、特に制限されるものではなく、例えば、酸化ルテニウム、酸化ルテニウム化合物、黒鉛の少なくとも1種を含有することが好ましい。酸化ルテニウムとしては、例えば、RuO2、Bi2Ru27、SrRuO3、CaRuO3、Pb2Ru26、BaRuO3等が挙げられる。また、黒鉛としては、グラファイト・カーボンを使用することができる。
【0046】
また、絶縁性酸化物は、特に制限されるものではないが、抵抗値の制御および導電材との焼結性、接続部材との接着性を確保するために、ガラスを選択することが好ましい。ガラスの組成は、特に制限する必要はなく、抵抗値の制御の容易性や、必要とする特性を考慮して適宜設定することができる。
【0047】
また、抵抗値の調整、あるいは、その他の抵抗体に要求される電気特性等を制御するために、抵抗体に金属酸化物を添加することができる。さらに、0.1Ω以下の抵抗を必要とするような場合には、金属と絶縁性酸化物で抵抗体を構成してもよい。
【0048】
抵抗体における抵抗値の制御は、導電性酸化物と絶縁性酸化物の混合比の調整で行うことができ、また、抵抗体の厚みによっても抵抗値を制御することができる。
【0049】
〔誘電体層7〕
本発明の複合電子部品を構成する誘電体層に使用する誘電体材料としては、特に制限はなく、種々の誘電体材料を使用することができる。例えば、酸化チタン系、チタン酸系複合酸化物、あるいは、これらの混合物等を使用することができる。酸化チタンとしては、必要に応じてNiO、CuO、Mn34、Al23、MgO、SiO2等を総量で0.001〜30重量%程度の範囲で含有するTiO2等が挙げられる。
【0050】
また、チタン酸系複合酸化物としては、チタン酸バリウム(BaTiO3)等が挙げられる。Ba/Tiの原子比は、0.95〜1.20の範囲が好ましく、チタン酸バリウムには、MgO、CaO、Mn34、Y23、V25、ZnO、ZrO2、Nb25、Cr23、Fe23、P25、SrO、Na2O、K2O等が総量で0.001〜30重量%程度の範囲で含有されてもよい。また、焼成温度、線膨張率の調整等のため、(BaCa)SiO3ガラス等のガラスが含有されていてもよい。
【0051】
誘電体層の1層当たりの厚みは特に制限されないが、例えば、0.5〜20μm程度に設定することができる。また、誘電体層の積層数は、通常、2〜300程度とすることができる。
【0052】
〔接続部材〕
素子の接合の際には、接合の確実性を担保するために適宜、接合部材を用いてもよい。
【0053】
本発明で用いられ得る接続部材は、導電材としてPd、Ag、Au、Cu、Pt、Rh、Ru、Ir等の金属の少なくとも1種、あるいは、これらの合金を使用することができる。また、接続部材には、導電材の焼結性を向上させること、積層体や抵抗体との接着性を確保することを目的として、ガラスが含有されてもよい。接続部材の厚みは特に制限されず、例えば、0.5〜30μm、特に5〜20μm程度とすることができる。
【0054】
次に、本発明の複合電子部品の製造方法について簡単に説明しておく。
本発明の複合電子部品は、例えば、まず、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法により抵抗体を含むグリーンチップ体を作製して積層体とする。次に、この積層体の対向する端面に外部電極用ペーストを印刷あるいは転写する。さらに、積層体の側面に露出している抵抗体や内部電極層の突出部を接続するように側部電極用ペーストを印刷あるいは転写する。しかる後、焼成することにより複合電子部品を製造することができる。
【0055】
以下、具体的なペーストの組成例について説明しておく。
<誘電体層用ペースト>
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練分散したものを使用することができる。
【0056】
誘電体原料の組成は、製造する複合電子部品の用途を考慮して適宜選択することができる。例えば、チタン酸系複合酸化物としてチタン酸バリウムを使用する場合、水熱合成法等により合成したBaTiO3に、副成分原料を混合する方法を用いることができる。また、BaCO3とTiO2と副成分との混合物を仮焼成して固相反応させる乾式合成法を用いてもよく、水熱合成法を用いてもよい。また、共沈法、ゾル・ゲル法、アルカリ加水分解法、沈殿混合法等により得た沈殿物と副成分原料との混合物を仮焼成して合成してもよい。尚、副成分原料には、酸化物や、焼成により酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等の少なくとも1種を用いることができる。
【0057】
誘電体原料の平均粒径は、目的とする誘電体層の平均結晶粒径に応じて決定することができ、通常、平均粒径0.1〜5μm程度の粉末を使用する。また、誘電体層用ペースト中の誘電体原料の含有量は、通常、30〜80重量%程度とする。
【0058】
誘電体層用ペーストに使用する有機ビヒクルは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。バインダとしては、例えば、エチルセルロース、ポリビニルブチラールとメタクリル酸エステルとの共重合体、アクリル酸エステル系共重合体等の公知の樹脂バインダを使用することができる。また、バインダを溶解するための有機溶剤として、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の有機溶剤を使用することができる。このようなバインダや有機溶剤の誘電体層用ペースト中の含有量は特に制限はなく、通常、バインダは1〜5重量%程度、有機溶剤は10〜50重量%程度とすることができる。
【0059】
<内部電極層用ペースト>
内部電極層用ペーストは、上述の各種導電性金属や合金、あるいは、焼成後に上述のような導電材となる各種酸化物、有機金属化合物等と、上記のような有機ビヒクルとを混練分散して調製する。
【0060】
<外部電極用、側部電極用ペースト>
外部電極用、側部電極用ペーストは、導電材としてPd、Ag、Au、Cu、Pt、Rh、Ru、Ir等の金属の少なくとも1種、あるいは、これらの合金を使用し、上記の内部電極層用ペーストと同様にして調製する。
【0061】
上述の各種ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択された添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ましい。
【0062】
<抵抗体用ペースト>
抵抗体用ペーストは、上述の各種導電性酸化物および絶縁性酸化物と、上記のような有機ビヒクルとを混練分散して調製する。
【0063】
[抵抗体層を含むグリーンチップ体の作製]
印刷法を用いる場合、誘電体層用ペースト、抵抗体用ペーストおよび内部電極層用ペーストを、ポリエチレンテレフタレート等の支持体上に積層印刷する。このとき、第1および第2の内部電極層は、図2や図7に示されるように誘電体層用ペーストの外枠に対して所定の形態が得られるように印刷する。抵抗体(層)もまた、図2や図7に示されるように誘電体層用ペーストの外枠に対して所定の形態が得られるように印刷する。このように積層印刷した後、所定形状に切断してチップ化し、支持体から剥離してグリーンチップ体とする。
【0064】
また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に抵抗体用ペーストおよび内部電極層用ペーストを用いて上記と同様に印刷したものを積層し、所定形状に切断して、グリーンチップ体とする。
【0065】
[脱バインダ処理工程]
上記のようにして作製されたグリーンチップ体は、焼成前に脱バインダ処理が施されることが好ましい。この脱バインダ処理の条件は、使用した材料等を考慮して適宜設定することができ、例えば、内部電極層の導電材にNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、特に下記の条件で行うことが好ましい。
【0066】
脱バインダ処理条件
昇温速度 :5〜300℃/時間、特に10〜100℃/時間
保持温度 :200〜400℃、特に250〜300℃
温度保持時間:0.5〜24時間、特に5〜20時間
雰囲気 :空気中
【0067】
[焼成工程]
グリーンチップ体の焼成は、抵抗体用ペーストの抵抗体原料、誘電体用ペースト中の誘電体原料、内部電極層用ペースト中の電極材料の種類等を考慮して適宜設定することができ、例えば、内部電極層の導電材にNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、焼成雰囲気はN2を主成分とし、H2含有量が1〜10容量%、10〜35℃における水蒸気圧によって得られるH2Oガスを混合したものが好ましい。そして、酸素分圧は、10-3〜10-8Paとすることが好ましい。酸素分圧が上記範囲未満であると、内部電極層の導電材が異常焼結を起こし、途切れてしまうことがある。また、酸素分圧が上記範囲を超えると、内部電極層が酸化することがある。
【0068】
焼成時の温度は、1100〜1400℃、特に1200〜1300℃とすることが好ましい。保持温度が1100℃未満であると緻密化が不十分であり、1400℃を超えると内部電極層が途切れ易くなる。また、焼成時の温度保持時間は、0.5〜8時間、特に1〜3時間が好ましい。
【0069】
[アニール工程]
還元雰囲気で焼成した場合、積層体にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための処理であり、これにより絶縁抵抗の加速寿命を著しく長くすることができる。
【0070】
アニール雰囲気の酸素分圧は、10-3Pa以上、特に10-3〜10-1Paとすることが好ましい。酸素分圧が上記範囲未満であると、誘電体層の再酸化が困難であり、また、酸素分圧が上記範囲を超えると、内部電極層が酸化することがある。
【0071】
アニールの保持温度は、1100℃以下、特に500〜1000℃とすることが好ましい。保持温度が500℃未満であると誘電体層の再酸化が不十分となり、絶縁抵抗の加速寿命が短くなり、1100℃を超えると内部電極層が酸化し、静電容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応し、加速寿命も短くなる。尚、アニール工程は昇温および降温だけから構成してもよい。この場合、温度保持時間をとる必要はなく、保持温度は最高温度と同義である。また、温度保持時間は、0〜20時間、特に2〜10時間が好ましい。雰囲気ガスにはN2と加湿したH2ガスを用いることが好ましい。
【0072】
尚、上述の脱バインダ処理、焼成、および、アニールの各工程において、N2、H2や混合ガス等を加湿するには、例えば、ウエッター等を使用することができる。この場合の水温は、5〜75℃程度が好ましい。
【0073】
脱バインダ処理、焼成、および、アニールの各工程は、連続して行っても、独立して行ってもよい。これらの工程を連続して行う場合、脱バインダ処理後、冷却せずに雰囲気を変更し、続いて焼成の保持温度まで昇温して焼成を行い、次いで、冷却し、アニール工程での保持温度に達したときに雰囲気を変更してアニールを行うことが好ましい。
【0074】
また、これらの工程を独立して行う場合、脱バインダ処理工程は、所定の保持温度まで昇温し、所定時間保持した後、室温にまで降温する。その際、脱バインダ雰囲気は、連続して行う場合と同様なものとする。さらに、アニール工程は、所定の保持温度にまで昇温し、所定時間保持した後、室温にまで降温する。その際のアニール雰囲気は、連続して行う場合と同様とする。また、脱バインダ工程と、焼成工程とを連続して行い、アニール工程だけを独立して行うようにしてもよく、あるいは、脱バインダ工程だけを独立して行い、焼成工程とアニール工程を連続して行ってもよい。
【0075】
[外部電極、側部電極形成]
上記のように作製したチップ体(積層体)の対向する端面に外部電極用ペーストを印刷あるいは転写する。また、積層体の側面に露出している所定の突出部を接続するように側部電極用ペーストを印刷あるいは転写する。その後、焼成して、外部電極、および側部電極を形成する。
【0076】
外部電極用ペースト、側部電極ペーストの焼成条件は、例えば、N2とH2の混合ガス等の還元性雰囲気中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。
【0077】
このように製造される本発明の複合電子部品は、必要に応じてリード線が設けられ、ハンダ付け等によりプリント基板上等に実装され使用される。
【0078】
【実施例】
次に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0079】
(1)第1の実施の形態に相当する(図1〜図4)複合電子部品1の作製
[誘電体層用ペーストの調製]
誘電体層の主原料として、BaCO3(平均粒径2.0μm)およびTiO2(平均粒径2.0μm)を用意した。Ba/Tiの原子比は1.00とした。この主原料100重量部に対して、BaTiO3を5重量部、MnCO3を1重量部、MgCO3を1重量部、Y23を2重量部、(BaCa)SiO3を3重量部加え、水中ボールミルで湿式混合し、乾燥した。
【0080】
得られた混合粉を1250℃で2時間仮焼した。この仮焼粉を水中ボールミルで粉砕し、乾燥した。得られた仮焼粉100重量部に、有機バインダとしてアクリル樹脂5重量部と、有機溶剤として酢酸エチル80重量部を加えてボールミルで混合し、誘電体層用ペーストとした。
【0081】
[内部電極層用ペーストの調製]
エチルセルロース樹脂8重量部をテルピネオール92重量部に溶解したもの4重量部に、平均粒径0.4μmのNi粒子100重量部を加え、3本ロールにて混練して、内部電極層用ペーストを調製した。
【0082】
[外部電極および側部電極用ペーストの調製]
導電材として、30重量%のAg粉末(平均粒径5.0μm)と70重量%のPd粉末(平均粒径1.0μm)との混合粉を準備し、この混合紛100重量部に対して、アクリル樹脂2重量部、テルピネオール18重量部と、平均粒径2.0μmの亜鉛系ガラスフリット5重量部を加え、3本ロールにて混練して、外部電極層用ペーストを調製した。
【0083】
[抵抗体用ペーストの調製]
導電材として、44.4重量部のRuO2粉末(平均粒径0.2μm)とガラス材料として52.0重量部のCa系ガラスフリット(平均粒径2.0μm)、添加物としてCuO(平均粒径2.0μm)を3.6重量部からなる混合粉を準備し、この混合粉100重量部に対して、エチルセルロース5.4重量部とテルピネオール67.4重量部を加え、3本ロールにて混練して、抵抗体用ペーストを調製した。
【0084】
[積層体の形成]
支持体として厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、この支持体上にドクターブレード法により上記の誘電体層用ペーストを塗布し60℃で乾燥して、厚み5μmの誘電体グリーンシートを成形した。
【0085】
次に、この誘電体グリーンシート上にスクリーン印刷により図2の符号21に示されるごとく所定の形態で上記の内部抵抗層用ペーストを印刷し80℃で乾燥して、厚み1μmの第1内部電極ペースト層を形成した。次いで、同様の要領で図2の符号25に示されるごとく所定の形態で第2内部電極ペースト層を形成した。
【0086】
また、この誘電体グリーンシート上にスクリーン印刷により図2の符号51および符号55に示されるごとく所定の形態で上記の抵抗体用ペーストを印刷し
80℃で乾燥して、厚み5μmの抵抗体ペースト層を形成した。
【0087】
次に、第1内部電極層となるペースト層が形成された誘電体グリーンシート(図2の符号71)と、第2内部電極層となるペースト層が形成された誘電体グリーンシート(図2の符号75)を交互に100枚積層し、さらにこの積層体の上に、抵抗体ペースト層が形成された誘電体グリーンシート(図2の符号50)を積み、さらにこの上に、最上層の誘電体グリーンシート7を積層し、熱圧着(120℃、1ton/cm2、加圧時間10分)した。その後、焼成後の積層体寸法が縦2.0mm×横1.2mm×厚み1.2mmとなるように切断してグリーンチップ体とし、このグリーンチップ体に下記の条件で脱バインダ処理を施した。
【0088】
(脱バインダ処理条件)
昇温速度 :30℃/時間
保持温度 :260℃
温度保持時間:8時間
雰囲気 :空気中
【0089】
次に、上記のグリーンチップ体を下記の条件で焼成、アニールして、素子本体となる積層体を得た。
【0090】
(焼成条件)
保持温度 :1300℃
温度保持時間:3時間
雰囲気 :加湿したN2+H2(H2:3容積%)
【0091】
(アニール条件)
保持温度 :1000℃
温度保持時間:2時間
雰囲気 :加湿したH2ガスを含む酸素分圧10-2Paの雰囲気
【0092】
[複合電子部品の作製]
上記の焼成により得られた積層体の長手方向の端面(外部電極11,15が形成される面)をサンドブラスト法により研磨した後、この2つの端面に上記の外部電極層用ペーストを塗布し、乾燥した。また、積層体の対向する2つの側部(抵抗体の突出部および第1および第2の内部電極層の突出部が露出している積層体の両側面)をサンドブラスト法により研磨した後、この両側面の所定の位置に所定の接合が得られるように上記の側部電極用ペーストをそれぞれ塗布し、乾燥した。
【0093】
次いで、下記条件で脱バインダ処理を施し、その後、焼成して1対の外部電極、および1対の側部電極を形成し、第1の実施の形態に相当する(図1〜図4)本発明の複合電子部品1を作製した。
【0094】
(脱バインダ処理条件)
昇温速度 :30℃/時間
保持温度 :300℃
温度保持時間:5時間
雰囲気 :空気中
【0095】
(焼成条件)
保持温度 :950℃
温度保持時間:10分間
雰囲気 :N2+H2雰囲気
【0096】
(2)第2の実施の形態に相当する(図6〜図8)複合電子部品2の作製
上記複合電子部品1の作製と同様な要領で、誘電体層用ペーストの調製、内部電極層用ペーストの調製、外部電極および側部電極用ペーストの調製、ならびに抵抗体用ペーストの調製を行なった。
【0097】
[積層体の形成]
支持体として厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、この支持体上にドクターブレード法により上記の誘電体層用ペーストを塗布し60℃で乾燥して、厚み5μmの誘電体グリーンシートを成形した。
【0098】
次に、この誘電体グリーンシート上にスクリーン印刷により図7の符号121に示されるごとく所定の形態で上記の内部電極層用ペーストを印刷し80℃で乾燥して、厚み1μmの第1内部電極ペースト層を形成した。次いで、同様の要領で図7の符号125に示されるごとく所定の形態で第2内部電極ペースト層を形成した。
【0099】
また、この誘電体グリーンシート上にスクリーン印刷により図7の符号151に示されるごとく所定の形態で上記の抵抗体用ペーストを印刷し80℃で乾燥して、厚み5μmの抵抗体ペースト層を形成した。
【0100】
次に、第2内部電極層となるペースト層が形成された誘電体グリーンシート(図7の符号175)と第1内部電極層となるペースト層が形成された誘電体グリーンシート(図7の符号171)を交互に100枚積層し、さらにこの積層体の上に、抵抗体ペースト層が形成された誘電体グリーンシート(図7の符号150)を積み、さらにこの上に、最上層の誘電体グリーンシート7を積層し、熱圧着(120℃、1ton/cm2、加圧時間10分)した。その後、焼成後の積層体寸法が縦2.0mm×横1.2mm×厚み1.2mmとなるように切断してグリーンチップ体とし、このグリーンチップ体に下記の条件で脱バインダ処理を施した。
【0101】
(脱バインダ処理条件)
昇温速度 :30℃/時間
保持温度 :260℃
温度保持時間:8時間
雰囲気 :空気中
【0102】
次に、上記のグリーンチップ体を下記の条件で焼成、アニールして、素子本体となる積層体を得た。
【0103】
(焼成条件)
保持温度 :1300℃
温度保持時間:3時間
雰囲気 :加湿したN2+H2(H2:3容積%)
【0104】
(アニール条件)
保持温度 :1000℃
温度保持時間:2時間
雰囲気 :加湿したH2ガスを含む酸素分圧10-2Paの雰囲気
【0105】
[複合電子部品の作製]
上記の焼成により得られた積層体の長手方向の端面(外部電極11,15が形成される面)をサンドブラスト法により研磨した後、この2つの端面に上記の外部電極層用ペーストを塗布し、乾燥した。また、積層体の側部(抵抗体の突出部および第1内部電極層の突出部が露出している側面)をサンドブラスト法により研磨した後、この側面の所定の位置に所定の接合が得られるように上記の側部電極用ペーストをそれぞれ塗布し、乾燥した。
【0106】
次いで、下記条件で脱バインダ処理を施し、その後、焼成して1対の外部電極、および1つの側部電極を形成し、第2の実施の形態に相当する(図6〜図8)本発明の複合電子部品2を作製した。
【0107】
(脱バインダ処理条件)
昇温速度 :30℃/時間
保持温度 :300℃
温度保持時間:5時間
雰囲気 :空気中
【0108】
(焼成条件)
保持温度 :950℃
温度保持時間:10分間
雰囲気 :N2+H2雰囲気
【0109】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の複合電子部品は、素子本体内部に抵抗体を形成しているので耐電圧性に優れ、抵抗値の変動が少ないという利点、さらには実装の際に抵抗の損傷が起こらないという利点を有することはもとより、素子内部の抵抗体(層)と、内部電極層とがオーバーラップしない構造となっているので、従来開示のタイプのものに比べて、大きな静電容量を得ることができるという極めて優れた効果が発現する。使用する抵抗体を種々選択することにより、容易に抵抗値の調節も行える。
ちなみに、同じサイズの複合電子部品同士の比較において、上記実施例で作製した本発明の複合電子部品1および2における静電容量は、先行技術の特許文献1で開示された従来の複合電子部品の静電容量に比べて約200%向上することが確認されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の複合電子部品1の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は図1に示される素子本体20(積層体20)の要部を分解して現した概略斜視図である。
【図3】図3は図1の第1側部電極を除去した場合における、A方向からみた側面図である。
【図4】図4は図1の第2側部電極を除去した場合における、B方向からみた側面図である。
【図5】図5は、第1の実質的な抵抗体と第2の実質的な抵抗体の他の好適な組み合わせ構成を示す斜視図である。
【図6】図6は本発明の複合電子部品2の一実施形態を示す斜視図である。
【図7】図7は図6に示される素子本体120(チップ状積層体120)の要部を分解して現した概略斜視図である。
【図8】図8は図6の側部電極31を除去した場合における、A方向からみた側面図である。
【図9】図9は、実質的な抵抗体の他の好適な組み合わせ構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、実質的な抵抗体の他の好適な組み合わせ構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,2…複合電子部品
7…誘電体層
11,15…外部電極
20…素子本体
21,121…第1内部電極層
25,125…第2内部電極層
31,35…側部電極
51,55,51´,55´,151´,151”…抵抗体

Claims (3)

  1. 素子本体と、素子本体の対向する両端面に形成された一対の第1外部電極および第2外部電極と、素子本体の側面に対向するように形成され一対の第1側部電極および第2側部電極とを備える複合電子部品であって、
    前記素子本体は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層されたキャパシタ構成部分と、分離した第1の実質的な抵抗体と第2の実質的な抵抗体が配置された抵抗体構成部分とを備え、
    前記内部電極層は、誘電体層を介して交互に積層された第1内部電極層と第2内部電極層からなり、
    前記第1内部電極層は、第1側部電極側に露出する突出部を有し、当該突出部は、第1側部電極に接続されており、
    前記第2内部電極層は、第2側部電極側に露出する突出部を有し、当該突出部は、第2側部電極に接続されており、
    前記第1の実質的な抵抗体は、第1外部電極側に露出する接続部および第1側部電極側に露出する突出部を有し、前記接続部は、第1外部電極に接続されるとともに、前記突出部は第1側部電極に接続されており、
    前記第2の実質的な抵抗体は、第2外部電極側に露出する接続部および第2側部電極側に露出する突出部を有し、前記接続部は第2外部電極に接続されるとともに、前記突出部は第2側部電極に接続されてなることを特徴とする複合電子部品。
  2. 前記第1の実質的な抵抗体と第2の実質的な抵抗体は、実質的に同一平面上に存在してなる請求項1に記載の複合電子部品。
  3. 前記第1の実質的な抵抗体と第2の実質的な抵抗体は、それぞれ、抵抗体部分と導電体部分とに分かれ、導電体部分は前記突出部を構成し、抵抗体部分と導電体部分との接合面積部分は、突出部における接合面積部分よりも大きくなるように形成されてなる請求項1または請求項2に記載の複合電子部品。
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