JP4290840B2 - タイル模様を有する化粧板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイル模様を有する化粧板に関し、特に、台所、風呂場の壁材等の建築用内外装材として好適に使用することができる難燃性若しくは不燃性のタイル模様を有する化粧板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の建築用内外装材として、水酸化アルミニウム等の無機骨材を含有する無機質基板の表面側に、表面にタイル模様を印刷した熱硬化性樹脂含有化粧紙を積層するようにしたタイル模様を有する化粧板が実用化されている。
【0003】
ところで、このタイル模様を有する化粧板は、その製造時、水酸化アルミニウム等の無機骨材を含有する無機質基板の表面側に、表面にタイル模様を印刷した熱硬化性樹脂含有化粧紙を積層するとともに、熱硬化性樹脂含有化粧紙の上面を凸状の金型で押圧することにより凹状に窪ませることにより目地部を形成するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようにして、従来のタイル模様を有する化粧板は、凹状の目地部を形成することにより、化粧板に本物のタイルと同様の凹凸感を持たせ、意匠性を向上することができる反面、凸状の金型で押圧することにより凹状に窪ませる箇所と熱硬化性樹脂含有化粧紙に印刷した目地模様との位置合わせに手数と、熟練を要し、両者の位置がずれることによる不良品が発生しやすく、これにより製品の歩留まりが低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来のタイル模様を有する化粧板の有する問題点に鑑み、化粧板に視覚的な凹凸感を持たせることにより、優れた意匠性を有しながら、製造が容易で不良品が発生せず、製品の歩留まりを向上して、製造コストを低廉にできるタイル模様を有する化粧板を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のタイル模様を有する化粧板は、水酸化アルミニウム等の無機骨材を含有する無機質基板の表面側に、表面にタイル模様を印刷した熱硬化性樹脂含有化粧紙を積層してなるタイル模様を有する化粧板において、前記タイル模様を、目地相当部に近接するタイル相当部の周縁部分の明度が、タイル相当部のその他の部分の明度より低くなるようにし、かつ、目地相当部が交差する部分の明度が、タイル相当部及び目地相当部のその他の部分の明度より低くなるようにしたことを特徴とする。
【0007】
このタイル模様を有する化粧板は、目地相当部に近接するタイル相当部の周縁部分の明度を、タイル相当部のその他の部分の明度より低くなるように印刷することにより、表面が平坦な化粧板でありながら、化粧板の目地相当部に近接するタイル相当部に本物のタイルと同様の視覚的な凹凸感を持たせることができる。
【0008】
特に、目地相当部が交差する部分の明度が、タイル相当部及び目地相当部のその他の部分の明度より低くなるようにすることより、このタイル模様を有する化粧板を並設する際に、施工誤差や化粧板の寸法誤差等により、化粧板の接続部において、目地相当部の交差する部分に若干のずれが生じた場合においても、ずれが目立たないことから、意匠性を損なうことがない。また、これにより、若干のずれは、これを修正する必要がないため、施工性を向上することができる。
【0009】
この場合において、目地相当部に近接するタイル相当部の周縁部分の明度が、目地相当部に近づくにしたがって低くなるようにすることができる。
【0010】
これにより、目地相当部に近接するタイル相当部の周縁部分が、目地相当部に向かって徐々に凹んでいく傾斜面に形成されているような視覚的印象を与えることができ、これにより、本物のタイルにより近似した視覚的な凹凸感を持たせることができる。
【0011】
また、目地相当部が交差する部分を除く目地相当部を白色にすることができる。
ここで、「白色」には、「白色」に近似する薄い色を含むものとする。
【0012】
これにより、コントラストを付けて目地相当部を視覚的に明確化することができ、本物のタイルにより近似した視覚的な凹凸感を持たせることができる。
【0013】
また、無機質基板には、熱硬化性樹脂を含浸した無機繊維基材層と、水酸化アルミニウム粉末を含有する熱硬化性樹脂層とが積層されたものや、水酸化アルミニウム粉末を含有する熱硬化性樹脂を含浸した無機繊維基材と、熱硬化性樹脂層とが積層されたものを用いることができる。
【0014】
これにより、接合界面での剥離が生じ難く、可撓性、曲げ強度等に良好な性状を呈するタイル模様を有する化粧板を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のタイル模様を有する化粧板の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
本発明のタイル模様を有する化粧板は、図1に示すように、水酸化アルミニウム等の無機骨材を含有する無機質基板2の表面側に、表面にタイル模様を印刷した熱硬化性樹脂含有化粧紙1を積層してなるタイル模様を有する化粧板に関するものであり、タイル模様を、目地相当部12に近接するタイル相当部11の周縁部分11bの明度が、タイル相当部11のその他の部分11aの明度より低くなるように印刷し、これにより、表面が平坦な化粧板でありながら、化粧板の目地相当部12に近接するタイル相当部11に本物のタイルと同様の視覚的な凹凸感を持たせたものである。
【0017】
なお、図1において、タイル相当部11の周縁部分11bとその他の部分11aとを点線で区別したが、これは説明を容易にするためのもので、必ずしも、直線に限定されるものでなく、徐々に明度に差をつけて区別しにくいものなど、種々の形態を有する。
【0018】
そして、このように、化粧板の目地相当部12に近接するタイル相当部11に視覚的な凹凸感を持たせることにより、意匠性に優れたものとなるとともに、化粧板の製造時に金型と目地相当部12との位置合わせ等が不要となる等、製造が容易なため、不良品が発生せず、製品の歩留まりを向上することができることと相俟って、化粧板の製造コストを低廉にできるものとなる。
【0019】
ところで、熱硬化性樹脂含有化粧紙1の表面に印刷するタイル模様としては、各種の実施形態が考えられるが、その具体的な実施例を、図2〜図4に示す。
【0020】
図2に示す第1実施例は、タイル模様を、目地相当部12に近接するタイル相当部11の周縁部分11bの明度が、タイル相当部11のその他の部分11aの明度より低くなるように、かつ、タイル相当部11の周縁部分11bと目地相当部12を実質的に区分せずに印刷したものである。
【0021】
この場合、図2(b−1)に示すように、目地相当部12に近接するタイル相当部11の周縁部分11bの明度を均一に印刷するほか、図2(b−2)に示すように、目地相当部12に近接するタイル相当部11の周縁部分11bの明度が、目地相当部12に近づくにしたがって低くなるように印刷することができる。
なお、図2(b−1)及び図2(b−2)の明度を示すグラフは、後述のほかの図についても同様であるが、あくまで明度の変化の概略を示すものにすぎず、明度の変化度合いも、直線状のものに限定されるものではない。
【0022】
このようなタイル模様であると、前者(図2(b−1))のような印刷では、タイル相当部11の周縁部分11bと目地相当部12とが共に同じ深さに凹んだ視覚的印象を与えることができる。
また、後者(図2(b−2))のような印刷では、目地相当部12に近接するタイル相当部11の周縁部分11bが、目地相当部12に向かって徐々に凹んでいく傾斜面に形成されているような視覚的印象を与えることができ、これにより、目地相当部12が徐々に傾斜して凹んだ印象を与え、本物のタイルにより近似した視覚的な凹凸感を持たせることができるものとなる。
【0023】
この場合、明度を低く印刷する目地相当部12に近接するタイル相当部11の周縁部分11bの幅L1及び目地相当部12の幅L2は、タイル相当部11の1辺の長さ等に応じて、適宜設定することができるが、例えば、タイル相当部11の1辺の長さが100mmのもので、タイル相当部11の周縁部分11bの幅L1を5〜20mm程度、目地相当部12の幅L2を2〜5mm程度に、それぞれ設定することが望ましい。
【0024】
次に、図3に示す第2実施例は、タイル模様を、目地相当部12に近接するタイル相当部11の周縁部分11bの明度が、タイル相当部11のその他の部分11aの明度より低くなるように、かつ、目地相当部12を白色に印刷したものである。
ここで、「白色」には、「白色」に近似する薄い色を含むものとする(以下、同じ。)。
【0025】
このように、目地相当部12を白色に印刷することによって、目地相当部12がタイル相当部11より凹んだ視覚的印象を与えるとともに、コントラストを付けて目地相当部12を視覚的に明確化することができ、本物のタイルにより近似した視覚的な凹凸感を持たせることができるものとなる。
【0026】
そして、本実施例の場合にも、第1実施例と同様、図3(b−1)に示すように、目地相当部12に近接するタイル相当部11の周縁部分11bの明度を均一に印刷するほか、図3(b−2)に示すように、目地相当部12に近接するタイル相当部11の周縁部分11bの明度が、目地相当部12に近づくにしたがって低くなるように印刷することができる。
【0027】
次に、図4に示す第3実施例は、タイル模様を、目地相当部12に近接するタイル相当部11の周縁部分11bの明度がタイル相当部11のその他の部分11aの明度より低くなるようにするとともに、目地相当部12が交差する部分13の明度が、タイル相当部11の周縁部分11b及び目地相当部12のその他の部分の明度より低くなるようにして、目地相当部12が交差する部分13の明度が最も低くなるようになし、かつ、前記目地相当部12のその他の部分を目地相当部12が交差する部分13に近づく程細くした長楕円形状に白色に印刷し、目地相当部12が交差する部分13に白色の目地相当部がない不連続白色目地相当部にしたものである。
なお、本実施例においては、目地相当部12を白色に印刷するようにしているが、これに限定されず、第2実施例のように、タイル相当部11の周縁部分11bと目地相当部12を実質的に区分せずに印刷することもできる。
【0028】
このようなタイル模様を用いることにより、目地相当部12が凹んだ視覚的印象を与えるとともに、白色に印刷された目地相当部12が明確に視覚される。また、目地相当部12が交差する部分13の明度が最も低くなるように印刷することにより、この部分13が最も凹んだ視覚的印象を与え、このことにより、目地相当部12が凹んだ印象をさらに強くしている。
そして、このタイル模様を有する化粧板を並設する際に、施工誤差や化粧板の寸法誤差等により、化粧板の接続部において、目地相当部12の交差する部分13に若干のずれが生じた場合においても、目地相当部12が交差する部分13の明度が低く、かつ白色の目地相当部12が連続しないから、上記ずれが目立たず、ずれによって意匠性を損なうことがない。
また、これにより、若干のずれは、これを修正する必要がないため、施工性を向上することができるものとなる。
【0029】
なお、本実施例のタイル模様を有する化粧板の実物の概略平面図を図5に示す。
【0030】
ところで、化粧板を構成する熱硬化性樹脂含有化粧紙1には、特に限定されるものではないが、合成繊維、パルプ、ガラス繊維等からなる紙又は不織布にメラミン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸し又は抄紙時等に混合して含有させたものや樹脂シート(本明細書において、「不織布」や「樹脂シート」も、「紙」と総称する。)に、タイル模様の印刷を施したものを用いることができる。
なお、化粧板の裏面に、同様の熱硬化性樹脂含有化粧紙1を積層して両面に化粧紙1,1を有する化粧板とすることもできる。
【0031】
また、化粧板を構成する水酸化アルミニウム等の無機骨材を含有する無機質基板2には、特に限定されるものではないが、従来、難燃性若しくは不燃性の化粧板に汎用されている、水酸化アルミニウム等の無機骨材を熱硬化性樹脂結合剤で板状に成形したもの(例えば、特公昭54−3704号公報参照)のほか、本件出願人が先に提案した、図6に示す、熱硬化性樹脂を含浸した無機繊維基材層2aと水酸化アルミニウム粉末を含有する熱硬化性樹脂層2bを積層した成形用シート20をさらに複数枚積層して板状に成形したものを用いることができる。
【0032】
この無機質基板2は、より具体的には、図6に示すように、熱硬化性樹脂を含浸した無機繊維基材層2aの両面に水酸化アルミニウム粉末を含有する熱硬化性樹脂層2b,2bを有する成形用シート20を作製し、この成形用シート20を複数枚重ねるとともに、その上に熱硬化性樹脂含有化粧紙1を重ねて熱圧着する方法により製造されるものであって、熱圧着により熱硬化性樹脂が硬化し、上下に重なる成形用シート20の熱硬化性樹脂層2b,2bが互いに入り込み、無機繊維基材層2aに含浸された熱硬化性樹脂が隣接する無機繊維基材層2aに含浸された熱硬化性樹脂と強固に接合されて一体化され、熱硬化性樹脂含有化粧紙1も熱硬化性樹脂が入り込んだ密接状態で硬化して、最上段の成形用シート20の熱硬化性樹脂層2bに強固に接合されて一体化されるものとなる。
【0033】
これにより、このタイル模様を有する化粧板は、熱硬化性樹脂含有化粧紙1と成形用シート20及び成形用シート20,20の接合界面での剥離が生じ難いものとなり、可撓性、曲げ強度等においても、良好な性状を示すものとなる。
【0034】
この場合において、無機繊維基材層2aに含浸する熱硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂層2bを形成する熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、フェノール樹脂等の耐熱性に優れた樹脂が適している。
【0035】
また、無機繊維基材層2aとしては、ガラス繊維の不織布、織布、マット、紙等が適しており、その中でも、秤量30〜200g/mのガラス繊維の不織布が好適に使用される。
【0036】
また、熱硬化性樹脂層2bに含有させる水酸化アルミニウム粉末は、10〜100μm以下の平均粒径を有するものが適している。
【0037】
成形用シート20を重ねて一体に接合した無機質基板2は、燃え難いものであるが、化粧板に十分な難燃性若しくは不燃性と実用強度を付与するためには、熱硬化性樹脂と水酸化アルミニウム粉末の割合を重量比で1:3〜1:20の範囲に調整した成形用シート20を重ねて一体に接合することが望ましい。
【0038】
このタイル模様を有する化粧板を製造する場合は、まず、成形用シート20を作製する。
この成形用シート20は、無機繊維基材層2aに熱硬化性樹脂を塗布等の手段で含浸させ、その両面に水酸化アルミニウム粉末を配合した熱硬化性樹脂を塗布、乾燥して熱硬化性樹脂層2bを形成することにより、簡単に作製することができる。
【0039】
この場合、無機繊維基材層2aへの熱硬化性樹脂の含浸量や、熱硬化性樹脂に対する水酸化アルミニウム粉末の配合量、水酸化アルミニウム粉末を配合した熱硬化性樹脂の塗布量等を調整することによって、無機繊維基材層2aの割合が重量比で熱硬化性樹脂1に対して1〜4であり、かつ、熱硬化性樹脂と水酸化アルミニウム粉末の割合が重量比で1:3〜1:20である成形用シート20を作製することが望ましい。
このようにして作製される成形用シート20の厚さは、無機繊維基材層2aとして秤量50g/mのガラス繊維不織布を使用した場合、およそ0.4〜0.5mm程度である。
【0040】
次に、この成形用シート20を複数枚重ね、その上に熱硬化性樹脂含有化粧紙1を重ねてプレス成形機にセットし、熱圧着する。
このように熱圧着すると、成形用シート20が抑圧されたまま熱硬化性樹脂が熱硬化し、上下に重なる成形用シート20の熱硬化性樹脂層2b,2bの樹脂同士が入り込み密接状態て強固に接合されて一体化すると共に、熱硬化性樹脂含有化粧紙も硬化して最上段の成形用シート20の熱硬化性樹脂層2bに強固に接合されるため、接合界面でも無機繊維基材層2a,2a間でも剥離し難い化粧板を製造することができる。
【0041】
加熱温度や圧力は、熱硬化性樹脂の種類や成形用シート20の枚数等を考慮して適宜設定することができるが、一応の目安となる加熱温度は120〜160℃であり、圧力は5.9×10〜1.18×10Pa(60〜120kgf/cm)である。
【0042】
また、重ねる成形用シート20の枚数も特に制限されないが、例えば、6〜8枚程度重ねて全体の厚さが3mm前後の化粧板を製造すれば、建築用内外装材としての十分な実用強度を付与することができる。
【0043】
ところで、上述の化粧板は、水酸化アルミニウム粉末を含有する熱硬化性樹脂層2bを無機繊維基材層2aの両面に有する成形用シート20を重ねて熱圧着したものであるが、この成形用シート20に代えて、熱硬化性樹脂を含浸した無機繊維基材層の片面に水酸化アルミニウム粉末を含有する熱硬化性樹脂層を有する成形用シートを作製し、この成形用シートを複数枚重ねた上に熱硬化性樹脂含有化粧紙を重ねて熱圧着してもよい。
このようにすると、熱圧着によって熱硬化性樹脂が硬化し、上下に重なる成形用シートの熱硬化性樹脂層と無機繊維基材層に含浸された熱硬化性樹脂とが入り込み密接状態で強固に接合一体化するとともに、熱硬化性樹脂含有化粧紙も熱硬化性樹脂が硬化して密接状態で最上段の成形用シートの熱硬化性樹脂層に強固に接合するため、上述の化粧板と同様、接合界面や積層界面で剥離が生じ難い多層構造の化粧板を得ることができる。
【0044】
また、無機質基板2には、このほか、図7に示すように、水酸化アルミニウム粉末を含有する熱硬化性樹脂を含浸した無機繊維基材層2a’の両面に熱硬化性樹脂層2b’,2b’を有する成形用シート20’を作製し、この成形用シート20’を複数枚重ねるとともに、その上に熱硬化性樹脂含有化粧紙1を重ねて熱圧着する方法により製造されたものを用いることができ、この無機質基板2は、熱圧着により熱硬化性樹脂が硬化し、上下に重なる成形用シート20’の熱硬化性樹脂層2b’,2b’が互いに入り込み、無機繊維基材層2a’に含浸された熱硬化性樹脂が隣接する無機繊維基材層2a’に含浸された熱硬化性樹脂と強固に接合されて一体化され、熱硬化性樹脂含有化粧紙1も熱硬化性樹脂が入り込んだ密接状態で硬化して、最上段の成形用シート20’の熱硬化性樹脂層2b’に強固に接合されて一体化されるものとなる。
【0045】
これにより、このタイル模様を有する化粧板は、熱硬化性樹脂含有化粧紙1と成形用シート20’及び成形用シート20’,20’の接合界面での剥離が生じ難いものとなり、可撓性、曲げ強度等においても、良好な性状を示すものとなる。
【0046】
この場合において、成形用シート20’は、平均粒径が1〜10μmの水酸化アルミニウム粉末を配合した熱硬化性樹脂を塗布等の手段で無機繊維基材層2a’の繊維間空隙に含浸させ、その両面に熱硬化性樹脂を塗布、乾燥して熱硬化性樹脂層2b’を形成することにより、簡単に作製することができる。
水酸化アルミニウム粉末の平均粒径が10μmより大きくなると、無機繊維基材層20に含浸し難くなり、1μmより小さいと分散が良好に行われずに均一に含浸できないので、1〜10μmのものを用いるのが好ましい。
【0047】
なお、無機繊維基材層2a’を構成する無機繊維基材、熱硬化性樹脂等は、上述の成形用シート20と同じものを使用し、また、成形用シート20’における無機繊維基材の割合、熱硬化性樹脂と水酸化アルミニウム粉末の割合、成形用シートや化粧板の厚さ等も上述の化粧板と同様である。
【0048】
以上、本発明のタイル模様を有する化粧板について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0049】
【発明の効果】
本発明のタイル模様を有する化粧板によれば、目地相当部に近接するタイル相当部の周縁部分の明度を、タイル相当部のその他の部分の明度より低くなるように印刷することにより、表面が平坦な化粧板でありながら、化粧板の目地相当部に近接するタイル相当部に本物のタイルと同様の視覚的な凹凸感を持たせることができ、これにより、意匠性に優れた化粧板となるとともに、位置合わせ等が不要で製造が容易なため、不良品も発生せず、製品の歩留まりを向上することができることと相俟って、化粧板の製造コストを低廉にできる。
【0050】
特に、目地相当部が交差する部分の明度が、タイル相当部及び目地相当部のその他の部分の明度より低くなるようにすることにより、このタイル模様を有する化粧板を並設する際に、施工誤差や化粧板の寸法誤差等により、化粧板の接続部において、目地相当部の交差する部分に若干のずれが生じた場合においても、ずれが目立たないことから、意匠性を損なうことがない。そして、これにより、若干のずれは、これを修正する必要がないため、施工性を向上することができる。
【0051】
また、目地相当部に近接するタイル相当部の周縁部分の明度が、目地相当部に近づくにしたがって低くなるようにすることにより、目地相当部に近接するタイル相当部の周縁部分が、目地相当部に向かって徐々に凹んでいく傾斜面に形成されているような視覚的印象を与えることができ、これにより、本物のタイルにより近似した視覚的な凹凸感を持たせることができる。
【0052】
また、目地相当部を白色にすることにより、コントラストを付けて目地相当部を視覚的に明確化することができ、本物のタイルにより近似した視覚的な凹凸感を持たせることができる。
【0053】
また、無機質基板には、熱硬化性樹脂を含浸した無機繊維基材層と、水酸化アルミニウム粉末を含有する熱硬化性樹脂層とが積層されたものや、水酸化アルミニウム粉末を含有する熱硬化性樹脂を含浸した無機繊維基材と、熱硬化性樹脂層とが積層されたものを用いることができ、これにより、接合界面での剥離が生じ難く、可撓性、曲げ強度等に良好な性状を呈するタイル模様を有する化粧板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のタイル模様を有する化粧板の概略図を示し、(a)は平面図、(b)側面図である。
【図2】 本発明のタイル模様を有する化粧板の第1実施例を示し、(a)は概略平面図、(b−1)は(a)のA−A線(B−B線)における熱硬化性樹脂含有化粧紙の印刷の明度の一例を示す説明図、(b−1)は(a)のA−A線(B−B線)における熱硬化性樹脂含有化粧紙の印刷の明度の変形例を示す説明図である。
【図3】 本発明のタイル模様を有する化粧板の第2実施例を示し、(a)は概略平面図、(b−1)は(a)のA−A線(B−B線)における熱硬化性樹脂含有化粧紙の印刷の明度の一例を示す説明図、(b−2)は(a)のA−A線(B−B線)における熱硬化性樹脂含有化粧紙の印刷の明度の変形例を示す説明図である。
【図4】 本発明のタイル模様を有する化粧板の第3実施例を示し、(a)は概略平面図、(b−1)は(a)のA−A線(B−B線)における熱硬化性樹脂含有化粧紙の印刷の明度の一例を示す説明図、(b−2)は(a)のC−C線(D−D線)における熱硬化性樹脂含有化粧紙の印刷の明度の一例を示す説明図である。
【図5】 本発明のタイル模様を有する化粧板の第3実施例の平面図である。
【図6】 本発明のタイル模様を有する化粧板の断面構造を示し、(a)は断面図、(b)は成形前の状態を示す説明図である。
【図7】 本発明のタイル模様を有する化粧板の断面構造を示し、(a)は断面図、(b)は成形前の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 熱硬化性樹脂含有化粧紙
11 タイル相当部
12 目地相当部
13 目地相当部が交差する部分
2 無機質基板
20,20’ 成形用シート
2a,2a’ 無機繊維基材層
2b,2b’ 熱硬化性樹脂層

Claims (5)

  1. 水酸化アルミニウム等の無機骨材を含有する無機質基板の表面側に、表面にタイル模様を印刷した熱硬化性樹脂含有化粧紙を積層してなるタイル模様を有する化粧板において、前記タイル模様を、目地相当部に近接するタイル相当部の周縁部分の明度が、タイル相当部のその他の部分の明度より低くなるようにし、かつ、目地相当部が交差する部分の明度が、タイル相当部及び目地相当部のその他の部分の明度より低くなるようにしたことを特徴とするタイル模様を有する化粧板。
  2. 目地相当部に近接するタイル相当部の周縁部分の明度が、目地相当部に近づくにしたがって低くなるようにしたことを特徴とする請求項1記載のタイル模様を有する化粧板。
  3. 目地相当部が交差する部分を除く目地相当部を白色にしたことを特徴とする請求項1又は2記載のタイル模様を有する化粧板。
  4. 無機質基板が、熱硬化性樹脂を含浸した無機繊維基材層と、水酸化アルミニウム粉末を含有する熱硬化性樹脂層とが積層されてなることを特徴とする請求項1、2又は3記載のタイル模様を有する化粧板。
  5. 無機質基板が、水酸化アルミニウム粉末を含有する熱硬化性樹脂を含浸した無機繊維基材と、熱硬化性樹脂層とが積層されてなることを特徴とする請求項1、2又は3記載のタイル模様を有する化粧板。
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