JP4288679B2 - 超促成発芽システム及び超促成栽培システム - Google Patents
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Description
しかしながら、一般に温室では温度調節に注ぎ込まれたエネルギの大部分が周囲の空間に散逸しているので多大のエネルギを浪費しており、一方ビニールハウスでは、温度調節が必ずしも十分ではない。
ヒートパイプを敷設すれば、植物の近傍の気温及び土温を局所的に調節でき、多大のエネルギを散逸浪費しないからである。
ヒートパイプとしては、従来は一本の管の一端から熱媒体(熱水又は冷水)を強制的に循環させ、管壁の周囲の空気又は土壌の温度を熱伝導により調節する単管式が主流であったが、管の長手方向に沿って温度勾配が発生し、気温/土温を均一に調節するのが困難であった。
複管式は単管式と比べて、管の長手方向に沿って均一に、しかも管の近傍だけを効率的に温度調節することができる。
例えば、特許文献1には、ハウス栽培において、複管式ヒートパイプを苗床容器の培養土中に埋設し、予め高温熱媒体を循環させて培養土の熱殺菌消毒を行った後、栽培期間に土温の調節を行う技術が開示されている。
特に長日性品種又は四季成り性品種の、年間を通じた促成多重栽培の場合には、夜冷・冷加温・送風などに伴う搬出入・設置に膨大な作業性の悪い作業を要し、しかも設定温度、設定時間の許容誤差が厳しいので、温度管理を作業性よく経済的に行うことは困難である。
前記第1、第2のヒートパイプは各々、実質的に水平に置かれた同軸の内管と外管を備え、前記外管と内管の間の空間は真空にされた後、作動液が密封されてなり、前記内管の一端から他端に向かい熱媒体(一定の温度の水)が強制的に送られると赤外線を外管の外面から放射又は吸収し、前記第1のヒートパイプは、前記苗の株元の温度を調節し、前記第2のヒートパイプはさらに、管壁に複数個の開口を有する第3の管に同軸に収容され、前記外管と前記第3の管との間の空間に一端から他端に向かい空気が強制的に送られると、前記赤外線により調温された空気が前記第3の管の管壁の開口から放射されて前記苗の周囲の気温を調節する、ことを特徴とする。
植苗の後で、前記第2のヒートパイプを被覆する第3の管の開口部から放射される調温された空気をイチゴの苗に当てて、夜冷に相当する手順を実行し、
次に育苗中に、前記第1のヒートパイプから放射される遠赤外線が前記イチゴの苗のクラウン部位を冷加温して花芽の分化を促進するように、イチゴの苗が培養土に植えられており、
かつ、次に結実中に、前記第2のヒートパイプを被覆する第3の管の開口部から放射される調温された空気がイチゴの果実に当たって前記果実の糖度を上昇すると共に前記果実の、表皮及び果肉の軟化を抑制する、ことを特徴とする。
なお支持台ごとに支持台を覆う第1の保温シートは、その端部が折り畳み可能であるので、支持台を移動して通路を形成する際には、通路を覆って隣接する支持台上まで展設された部分を折り畳むだけでよい。
なお支持台ごとに支持台を覆う第1の保温シートは、その端部が折り畳み可能であるので、支持台を移動して通路を形成する際には、通路を覆って隣接する支持台上まで展設された部分を折り畳むだけでよい。
図1は、第1〜第5の実施例に係る超促成栽培システムの説明図であり、図2、3は第6〜第7の実施例に係る超促成発芽システムの説明図である。
苗床容器1、11の各々には第1のヒートパイプ5、51が設置されている。
第1のヒートパイプ5、51は2列の苗3、3の中間にあって、本実施例では説明のため、各々培養土の上方に近接した位置に、及び培養土に接した位置に設置されている場合を示しているが、通常は同じ位置に設置される。
苗床容器1、11の中間には第2のヒートパイプ6が設置されている。
なお、苗床容器1、11の底部中央には排水管4が設けられていて、排水管の管壁には適宜細孔が設けられ、培養土中の過剰水分が排出される。
支持台9は車輪18、18を介して固定台19に載置されているので固定台に対して移動可能であり、作業者が固定台19と、隣接する固定台191の間に立って、支持台9を図で横から押すことにより、図で上方に達する作業用の通路を容易に開けることができる。その際、図で左側の、作業中でない通路は閉鎖される。
隣接する支持台91上の第1の保温シート81の端部81bは、本実施例では自然に垂下させてあるが、保温シート8の端部8bに重ねて支持台9上に展設しておいてもよい。
又は、保温シート81の端部81bと同様に自然垂下させておいてもよい。
その結果、内部の温度調節に際してエネルギの損失が少ない。
このようにして、殺菌剤などを散布したり、培養土を取り替えることなく、培養土を苗床容器に収容した状態で、培養土を簡便に消毒することができる。
図1において、植苗の後で、第2のヒートパイプ6を被覆する第3の管6cの開口部から放射される調温された空気をイチゴの苗に当てて、夜冷に相当する手順を実行し、
次に育苗中に、第1のヒートパイプ5から放射される遠赤外線が、イチゴの苗3のクラウン部位3aを冷加温するように、即ち、クラウン部位3aの温度を所定の温度に調節するように、イチゴの苗が培養土に植えられていて花芽の分化を促進し、
かつ、次に結実中に、第2のヒートパイプ6を被覆する第3の管の開口部から放射される調温された空気がイチゴの果実に当たって前記果実の糖度を上昇すると共に前記果実の、表皮及び果肉の軟化を抑制する。
なお図1において苗3は、1本の葉茎と1本の根茎だけで模式的に示してあるが、イチゴの苗3は、詳細には、培養土2に接する1個の「クラウン部位」3aと、クラウン部位から上方に延びる複数本の花芽、葉茎、ランナーと、クラウン部位から下方に培養土中に延びる複数本の根茎から構成されている。
ヒートパイプ61、61が奥側の壁面に、ミストを撒布する配管63、63が図で左右の壁面と天井に、そしてLED光源65が天井に、各々設置されている。
ヒートパイプ及びミストを撒布する配管を、さらに、図で手前側の壁面、左右の壁面、奥側の壁面、及び天井の全て又は一部に設置してもよい。
なおLED光源65は、暗室内作業又は監視のためにのみ点灯されてもよい。
ヒートパイプを、図で手前側の壁面、左右の壁面、奥側の壁面、及び天井の全て又は一部にさらに設置すると、暗室内の温度調節が一層精密にできる。
パレット53を暗室の外で先に多段式の発芽棚51に載置した後、発芽棚を暗室内に搬入、配置してもよく、これにより、暗室内での手作業を削減できる。
ミストを撒布する配管を、図で手前側の壁面、左右の壁面、奥側の壁面、及び天井の全て又は一部にさらに設置すると、暗室内の湿度調節が一層精密にできる。
この成績は、通常の暗室発芽率が48〜72時間後でも70%前後であるのに比べて効率的であり、超促成発芽システムを実現したものと言える。
上記実施例1〜4(図1)と比べると、苗床容器1、11の代わりに発芽棚51を載置したものであるので、構成、作用の詳細な説明を省略するが、
上記実施例1〜4の場合と同様の、正確な環境管理と高効率の作業性が得られることは明らかである。
これにより、一層きめ細かな環境管理が可能になる。
本実施例乃至上記実施例1〜5を通じて、これらのヒートパイプ乃至ミストを撒布する配管は、発芽棚乃至苗床容器の搬入出の邪魔にならないように搬入出の順序・方向を考慮してレイアウトされ、さらには搬入出に際して、位置を若干シフトしてもよい。
2 培養土
3 栽培植物(イチゴ)の苗
3a クラウン部位
4 排水管
5、51 第1のヒートパイプ
5a、51a 内管
5b、51b 外管
6 第2のヒートパイプ
6a 内管
6b 外管
6c 第3の管
8、81 第1の保温シート
8b、81b 第1の保温シートの端部
8c 第1の保温シートの端部(折り畳んだ場合)
9、91 支持台
17 錘
18 車輪
19、191 固定台
89 第2の保温シート
51 発芽棚
53 パレット
61 ヒートパイプ
63 ミストを撒布する配管
65 LED光源
69 出入口
Claims (9)
- 各々、苗が複数本の列に分けて植えられている培養土を収容した複数個の苗床容器と、前記苗床容器を搭載する支持台と、前記複数本の苗の列の中間部に、培養土の上方に近接して又は培養土に接して設置された第1のヒートパイプと、前記支持台上に設置された第2のヒートパイプとを含み、
前記第1、第2のヒートパイプは各々、実質的に水平に置かれた同軸の内管と外管を備え、前記外管と内管の間の空間は真空にされた後、作動液が密封されてなり、前記内管の一端から他端に向かい熱媒体(一定の温度の水)が強制的に送られると赤外線を外管の外面から放射又は吸収し、前記第1のヒートパイプは、前記苗の株元の温度を調節し、前記第2のヒートパイプはさらに、管壁に複数個の開口を有する第3の管に同軸に収容され、前記外管と前記第3の管との間の空間に一端から他端に向かい空気が強制的に送られると、前記赤外線により調温された空気が前記第3の管の管壁の開口から放射されて前記苗の周囲の気温を調節する、ことを特徴とする超促成栽培システム。 - 2個の前記苗床容器が1個の前記支持台上に搭載され、前記支持台がさらに固定台上に移動可能に搭載され、各々複数の前記固定台からなる複数の列が通路に相当する空間を空けて配置され、前記支持台を一方に押して移動させると、通路が形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の超促成栽培システム。
- 前記支持台に接して前記苗床容器と前記支持台の間に介挿され、前記支持台の高さで隣接する支持台上に展設して、作業者用の通路を形成する前記支持台間の空間を覆うことができる、端部が折り畳み可能な第1の保温用シートと、複数個の前記苗床容器の全体の上方に離隔して配置された第2の保温シートとが設置され、前記第1、第2の保温シートが前記固定台の複数の列の全体の端部において重畳され内部を密閉している、ことを特徴とする請求項2に記載の超促成栽培システム。
- 前記複数個の苗が植えられる直前に、前記第1のヒートパイプの内管に一定の高温の水を送り、放射される遠赤外線による加熱により培養土を高温殺菌する、ことを特徴とする請求項1に記載の超促成栽培システム。
- 前記複数個の苗がイチゴの苗であり、前記苗の株元が、イチゴの苗のクラウン部位であり、
植苗の後で、前記第2のヒートパイプを被覆する第3の管の開口部から放射される調温された空気をイチゴの苗に当てて、夜冷に相当する手順を実行し、
次に育苗中に、前記第1のヒートパイプから放射される遠赤外線が前記イチゴの苗のクラウン部位を冷加温して花芽の分化を促進するように、イチゴの苗が培養土に植えられており、
かつ、次に結実中に、前記第2のヒートパイプを被覆する第3の管の開口部から放射される調温された空気がイチゴの果実に当たって前記果実の糖度を上昇すると共に前記果実の、表皮及び果肉の軟化を抑制する、ことを特徴とする請求項1に記載の超促成栽培システム。 - 天井、壁面、床により囲まれた暗室において、ヒートパイプを壁面に、マイナス帯電水からなるミストを撒布する配管を壁面と天井に、LED光源を天井に、各々設置し、
前記ヒートパイプは実質的に水平に置かれた同軸の内管と外管を備え、前記外管と内管の間の空間は真空にされた後、作動液が密封されてなり、前記内管の一端から他端に向かい熱媒体(一定の温度の水)が強制的に送られると赤外線を外管の外面から放射又は吸収し、
予め、種子をマイナス帯電水に浸した後、前記種子をパレットに蒔き、前記パレットをマイナス帯電水を浸潤させた通気性シーツで覆った後、
前記パレットを前記暗室内に搬入し、前記暗室内に配置された、多段式の発芽棚に載置し、
前記ヒートパイプと、前記マイナス帯電水からなるミストを撒布する配管とを稼働させて暗室内の温度と湿度を調節する、
ことを特徴とする超促成発芽システム。 - 2個の前記発芽棚が1個の支持台上に搭載され、前記支持台がさらに前記暗室内に設置された固定台上に移動可能に搭載され、各々複数の前記固定台からなる複数の列が通路に相当する空間を空けて配置され、前記支持台を一方に押して移動させると、通路が形成される、ことを特徴とする請求項6に記載の超促成発芽システム。
- 前記支持台に接して前記発芽棚と前記支持台の間に介挿され、前記支持台の高さで隣接する支持台上に展設して、作業者用の通路を形成する前記支持台間の空間を覆うことができる、端部が折り畳み可能な保温用シートが設置され、前記固定台の複数の列の全体の端部において前記壁面に重畳され内部を密閉している、ことを特徴とする請求項7に記載の超促成発芽システム。
- 前記複数個の苗が植えられる直前に、前記第1のヒートパイプの内管に一定の高温の水を送り、放射される遠赤外線による加熱によりパレットを高温殺菌する、ことを特徴とする請求項6に記載の超促成発芽システム。
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