JP4284785B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも車両の減速時に、冷房用熱交換器の冷却性能を高くして車両の減速エネルギーを回収する車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開昭57−44511号公報において、車両の減速時に、冷房用熱交換器の目標温度TEOを減速前の目標温度TEOより低下させ、圧縮機の稼働率を増加させて実際の冷房用熱交換器の温度TEを低下させることにより車両の減速エネルギーを回収する車両用空調装置が記載されている。以下、このようなエネルギーの回収を減速回収と呼ぶ。
【0003】
この従来技術によれば、減速終了後の圧縮機の駆動動力を減少させることができるため、省燃費効果を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術では、減速回収する際の冷房用熱交換器の目標温度TEOは、車室内への送風状態に関係なく、冷房用熱交換器をフロストさせない一律の所定温度(例えば1℃)に設定しているので、エコノミ空調モード運転のように冷房用熱交換器の目標温度TEOが高い(例えば12℃)場合に減速回収すると、減速回収前後で蒸発器の目標温度TEOの下げ幅ΔTEOが急速に大きくなり、これにともなって冷房用熱交換器温度TEの変動幅ΔTEが急速に大きくなる。そして、エアミックスドア等による車室内へ吹き出す空気の吹出温度TAの制御は、冷房用熱交換器の温度変動幅ΔTEに対して遅れて追従してしまう。これにより、吹出温度TAの変動が大きくなり、乗員に不快感を与えるという問題が生じることが分かった。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、乗員に不快感を与えることなく減速エネルギーの回収による省燃費効果を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下に述べる着眼点により上記目的を達成するもので、車室内への吹出温度(TA)の変動が大きいほど乗員に不快感を与えるが、乗員が不快に感じない限界の変動の大きさを限界変動幅(A)と定義すると、本発明では、車室内への吹出空気の送風状態(例えば送風量)によって限界変動幅(A)が変化することに着目している。
【0007】
先ず、車室内への送風量と限界変動幅(A)との関係を具体的に説明すると、図10は、フェイスモードにおける車室内への送風量と車室内への吹出温度(TA)の変動幅(ΔTA)とを表す図であり、図10中の実線は、乗員が変動幅(ΔTA)に対して不快に感じるか否かの境界線である。そして、車室内への送風量が多くなるほど、限界変動幅(A)は小さくなり、実線の境界線から図10の右上方に離れるほど不快に感じ、左下方に離れるほど不快を感じないことが本発明者らの実験により明らかになった。
【0008】
そこで、この実験による知見に基づいて、請求項3に記載の発明では、冷房用熱交換器の冷却度合が目標冷却度合に近づくように圧縮機の運転を制御する圧縮機制御手段と、冷却度合に応答して吹出温度調節手段の温度調節度合を制御する吹出温度制御手段とを有し、車両減速判定手段が減速状態と判定した場合に、目標冷却度合算出手段は目標冷却度合を非減速状態の場合に比べて下げ、この目標冷却度合の下げ幅を、車室内への空気の風量を多くする状態であるほど小さくすることを特徴としている。
【0009】
ところで、図10に示すように、車室内への吹出温度(TA)の変動幅(ΔTA)が図10中の点線に示す乗員に不快感を与えない所定変動幅Bになるように、冷却性能の増大幅を一律の所定値に設定すると、減速回収頻度が低下して図10中の斜線に示す部分の省燃費効果を得ることができない。
【0010】
これに対し、上記発明によれば、非減速状態から減速状態に変化した場合における、車室内への吹出温度(TA)の変動幅(ΔTA)は、車室内への吹出空気の送風状態が乗員の冷風感の度合を大きくする状態であるほど小さくなるので、吹出温度変動幅(ΔTA)は限界変動幅(A)の変化に即して変化する。よって、図10における風量が少ない場合には、車室内への吹出温度変動幅(ΔTA)が大きくなるように冷却性能の増大幅を大きくできるので、乗員に不快感を与えることなく図10中の斜線に示す部分の省燃費効果を得ることができる。
【0011】
また、請求項1に記載の発明では、乗員の足元に向けて空気を吹き出すフットモードに比べて、乗員の上半身に向けて空気を吹き出すフェイスモードでは、目標冷却度合の下げ幅を小さくすることを特徴としている。
【0012】
ところで、乗員は、足元への空気の温度変動に対する温感よりも、顔部等の上半身への空気の温度変動に対する温感のほうが敏感であるため、フットモードよりもフェイスモードのほうが、限界変動幅(A)は小さくなる。
【0013】
よって、上記発明によれば、フェイスモードでは冷却性能の増大幅を小さくして乗員に不快感を与えることを防止でき、フットモードでは冷却性能の増大幅を大きくして省燃費効果を上げることができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明では、目標冷却度合の下げ幅を、吹出空気温度調節手段により調節される加熱量が少ないほど小さくすることを特徴としている。
【0015】
ところで、吹出空気温度調節手段による加熱量が少ないほど、冷却性能の変化が吹出温度変動幅(ΔTA)に与える影響が大きくなり、限界変動幅(A)が小さくなる。
【0016】
よって、上記発明によれば、吹出空気温度調節手段による加熱量が少ない場合には冷却性能の増大幅を小さくして乗員に不快感を与えることを防止でき、吹出空気温度調節手段による加熱量が多い場合には冷却性能の増大幅を大きくして省燃費効果を上げることができる。
【0018】
また、請求項4〜6に記載の発明のように、非減速状態から減速状態に変化した時に、目標冷却度合算出手段は前記目標冷却度合を非減速状態の場合に比べて下げた値とし、目標冷却度合を前記所定値だけ下げた値に維持する時間を、車室内への空気の風量を多くする状態であるほど、またはフェイスモードであるとき、あるいは空気温度調節手段により調節される加熱量が少ないほど短くすれば、請求項1〜3に記載の発明と同様に冷却性能を増大させることができる。
【0020】
また、請求項7に記載の発明では、非減速状態の場合には、吹出温度制御手段はN回の冷却度合の平均値に基づいて温度調節度合を制御し、減速状態の場合には、吹出温度制御手段はN回よりも少ないN−k回の冷却度合の平均値に基づいて温度調節度合を制御することを特徴としている。
【0021】
これにより、吹出温度制御手段の冷却度合に対する応答性は、非減速時に比べて減速時の方が高くなるので、減速時における、吹出温度制御手段による車室内への吹出温度TAの制御の追従遅れを小さくできる。よって、減速時の車室内への吹出温度変動幅を小さくすることができ、乗員への不快感を低減することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態の全体システム構成図であり、車両用空調装置の冷凍サイクルRには冷媒を吸入、圧縮、吐出する固定容量型の圧縮機1が備えられている。圧縮機1は動力断続用の電磁クラッチ2を有し、圧縮機1には電磁クラッチ2のプーリ2aおよびベルト3を介して車両エンジン4の動力が伝達される。電磁クラッチ2への通電は空調用電子制御装置(ECU)5により断続され、電磁クラッチ2の断続により圧縮機1の運転が断続される。
【0024】
圧縮機1から吐出された高温、高圧の過熱ガス冷媒は凝縮器6に流入し、ここで、図示しない冷却ファンより送風される外気と熱交換して冷媒は冷却されて凝縮する。この凝縮器6で凝縮した冷媒は次に受液器7に流入し、受液器7の内部で冷媒の気液が分離され、冷凍サイクルR内の余剰冷媒(液冷媒)が受液器7内に蓄えられる。
【0025】
この受液器7からの液冷媒は膨張弁(減圧手段)8により低圧に減圧され、低圧の気液2相状態となる。この膨張弁8からの低圧冷媒は蒸発器(冷房用熱交換器)9に流入する。この蒸発器9は車両用空調装置の空調ケース10内に設置され、蒸発器9に流入した低圧冷媒は空調ケース10内の空気から吸熱して蒸発する。
【0026】
膨張弁8は蒸発器9の出口冷媒の温度を感知する感温部(図示せず)を有する温度式膨張弁であり、蒸発器9の出口冷媒の過熱度を所定値に維持するように弁開度(冷媒流量)を調整するものである。蒸発器9の出口は圧縮機1の吸入側に結合され、上記したサイクル構成部品によって閉回路を構成している。
【0027】
空調ケース10は空調空気の通風路を構成するものであって、空調ケース10において、蒸発器9の上流側には送風機11が配置されている。そして、送風機11の吸入側(図1の上側)には図示しない内外気切替箱が配置され、この内外気切替箱から切替導入された車室内の空気(内気)または車室外の空気(外気)が送風機11により空調ケース10内に送風される。
【0028】
空調ケース10内で、蒸発器9の下流側には、車両エンジン4の温水(冷却水)を熱源として空気を加熱する温水式ヒータコア(暖房用熱交換器)12が設置されている。この温水式ヒータコア12の側方にはバイパス通路13が形成され、温水式ヒータコア12を通過する温風とバイパス通路13を通過する冷風との風量割合をエアミックスドア(吹出温度調節手段)14により調節するようになっている。このエアミックスドア14は、冷温風の風量割合の調節により車室内への吹出空気温度を調節する温度調節手段を構成する。
【0029】
さらに、空調ケース10の空気下流端には、車室内乗員の上半身に空気を吹き出すフェイス開口部15、車室内乗員の足元に空気を吹き出すフット開口部16、フロントガラス内面に空気を吹き出すデフロスタ開口部17が形成され、これらの開口部15〜17は図示しない吹出モードドアにより切替開閉される。なお、上記したエアミックスドア14および吹出モードドアはリンク機構等を介してサーボモータのような電気駆動手段により駆動される。
【0030】
また、空調ケース10内で、蒸発器9の空気吹出直後の部位にサーミスタからなる蒸発器吹出温度センサ(蒸発器冷却度合検出手段)18が設けられている。
【0031】
ところで、空調用ECU5には、上記したセンサ18の他に、空調制御のために、内気温、外気温、日射量、エンジン冷却水(温水)温度等を検出する周知のセンサ群20から検出信号が入力される。また、車室内計器盤近傍に設置される空調制御パネル21の操作スイッチ群からも操作信号が入力される。
【0032】
さらに、空調用ECU5は車両側のエンジン用ECU22に接続されており、これらECU5、22相互間にて信号を入出力できるようになっている。
【0033】
エンジン用ECU22は周知のごとく、車両エンジン4の加速度を検出するセンサ、車速変化を検出するセンサ、燃料噴射量、燃料カット量を検出するセンサ、ブレーキ(ランプ、ブレーキペダルスイッチ)信号等の車両環境状態を検出するセンサ群(図示せず)からの信号に基づいて車両エンジン4への燃料噴射量、点火時期等を総合的に制御するものである。
【0034】
また、エンジン用ECU22には車両減速検出手段が備えられ、この車両減速検出手段は、燃料噴射量が所定値以下か否かを検出し、所定値以下であることを検出した場合には、車両走行状態が減速状態あるいは坂道を降る状態であり、車両エネルギーが回収可能であると判定する。そして、エネルギー回収可能であると判定された場合には、エンジン用ECU22は減速信号を空調用ECU5に出力する。
【0035】
次に、本実施形態の作動を説明する。図2は空調用ECU5による空調制御の基本フローを示しており、ステップS200にてタイマ、制御フラグ等の初期化を行い、次に、ステップS300にて、センサ18からの蒸発器吹出温度(冷却度合)TE、センサ群20からの内気温TR、外気温TAM、日射量TS、エンジン冷却水温度TW等のセンサ信号、空調制御パネル21の操作スイッチ群の操作信号(設定温度Tset等)、およびエンジン用ECU22からの車両環境状態(減速信号、エンジンスロットル開度、エンジン回転数、車速等)の信号を読み込む。
【0036】
次に、ステップS400(目標冷却度合算出手段)にて空調自動制御のための各種制御値を演算する。図3(a)はステップS400による演算の概要を示し、この演算は公知のものと同じでよいので以下簡単に説明する。
【0037】
目標吹出温度TAOは車室内を乗員の設定した設定温度Tsetに維持するために必要な車室内への吹出温度であって、TAOはTset、TAM、TR、TSに基づいて演算する。
【0038】
次に、送風機11により送風される空気の目標送風量BLWを上記TAOに基づいて算出する。この目標送風量BLWの算出方法は周知であり、図4に示すように、上記TAOの高温側(最大暖房側)および低温側(最大冷房側)で目標風量を大きくし、上記TAOの中間温度域で目標風量BLWを小さくする。そして、送風機11のファン駆動モータ11aの回転数は、この目標風量BLWが得られるように空調用ECU5の出力により制御される。
【0039】
次に、上記TAOに応じて内外気モードを決定する。この内外気モードは周知であり、TAOが低温側から高温側へ上昇するにつれて、内気モード→内外気混入モード→外気モードと切替設定され、この内外気モードが得られるように内外気ドア(図示せず)の操作位置が空調用ECU5の出力により制御される。
【0040】
次に、上記TAOに応じて吹出モードを決定する。この吹出モードは図5に示すように、TAOが低温側から高温側へ上昇するにつれてフェイスモード→バイレベルモード→フットモードと切替設定され、この吹出モードが得られるように吹出モードドア(図示せず)の操作位置が空調用ECU5の出力により制御される。
【0041】
次に、エアミックスドア14の目標開度SWのうち、通常時の目標開度SW0を算出する。なお、通常時に対し、減速時の目標開度SW1については後述する。そして、これら目標開度SW0、SW1は、エアミックスドア14の最大冷房位置を0%とし、エアミックスドア14の最大暖房位置を100%とする百分率で表される。
【0042】
通常時目標開度SW0の算出には、予め記憶されている下記数式1により通常時目標開度SW0を逐次算出し、更新する。
【0043】
【数1】
SW0=〔(TAO−TE(10))/(TW−TE(10))〕×100
なお、TE(10)は、所定時間毎に連続して検出される10回の蒸発器吹出温度TEの平均値である。この10回の平均値を採用する制御は、通常時制御のように目標開度SW0が急速に大きく変化しない場合には、エアミックスドア14のオーバーシュートによって吹出温度TAが不安定になることを防止している。
【0044】
次に、蒸発器9の目標蒸発器吹出温度(目標冷却度合)TEOのうち、通常時の目標蒸発器吹出温度TEO0を算出する。なお、通常時に対し、減速時の目標蒸発器吹出温度TEO1については後述する。この通常時目標蒸発器吹出温度TEO0の算出は、次に述べる第1目標蒸発器吹出温度TEOAおよび第2目標蒸発器吹出温度TEOB基づいて行う。
【0045】
まず、第1目標蒸発器吹出温度TEOAは、図6のマップに基づいて、TAOが高くなる程、TEOAが高くなるように設定する。なお、TEOAは本例では12℃が上限となっている。
【0046】
次に、第2目標蒸発器吹出温度TEOBは、図7のマップに基づいて、外気温度TAMに対応して設定されるものであって、外気温度TAMの中間温度域(図7の例では18℃〜25℃)では冷房、除湿の必要性が低下するので、TEOBを高く(図7の例では12℃)して、圧縮機1の稼働率を低減することにより、車両エンジン4の省動力を図る。
【0047】
一方、外気温度TAMが25℃を越える夏期の高温時には冷房能力確保のため、第2目標蒸発器吹出温度TEOBは外気温度TAMの上昇に反比例して低下する。一方、外気温度TAMが18°Cより低くなる低温域では、窓ガラス曇り防止のための除湿能力確保のために、第2目標蒸発器吹出温度TEOBは外気温度TAMの低下とともに低下する。外気温度TAMが10°Cより低くなると、TEOBは0℃となる。そして、上記第1目標蒸発器吹出温度TEOAおよび、第2目標蒸発器吹出温度TEOBのうち、低い温度の方を通常時目標蒸発器吹出温度TEO0として算出、決定する。
【0048】
次に、ステップS500(車両減速判定手段)にて、エンジン用ECU22から減速信号が空調用ECU5に出力されているか否かを判定する。減速中と判定した場合にはステップS600へ進み、非減速中と判定した場合にはステップS900へ進む。
【0049】
次に、ステップS600およびステップS900(吹出温度制御手段)にて、減速時目標蒸発器吹出温度TEO1および減速時目標開度SW1を算出し、TEO0またはTEO1を目標蒸発器吹出温度TEOとして選択、決定し、SW0またはSW1をエアミックスドア14の目標開度SWを選択、決定する。この決定方法の詳細は後述する。なお、決定された目標開度SWが得られるようにエアミックスドア14の操作位置が空調用ECU5の出力により制御される。
【0050】
次に、ステップS700(冷却度合制御手段)にて圧縮機1の作動を断続制御する。図8(a)はステップS700の詳細フローを示しており、ステップS701にて、蒸発器吹出温度TEと目標蒸発器吹出温度TEOに1℃を加算した温度とを比較し、TE>TEO+1である場合にはステップS702へ進み、電磁クラッチ2に通電して圧縮機を作動させる。
【0051】
そして、TE>TEO+1以外の場合にはステップS703へ進み、蒸発器吹出温度TEと目標蒸発器吹出温度TEOとを比較し、TE<TEOである場合にはステップS704へ進み、電磁クラッチ2の通電を遮断して圧縮機1を停止させる。なお、TE<TEO以外の場合には現状の断続制御を変えることなくステップS800へ進む。
【0052】
これにより、蒸発器吹出温度TEは、目標蒸発器吹出温度TEOから目標蒸発器吹出温度TEOに1℃を加算した温度まで範囲に維持される。そして、通常制御時では、この蒸発器吹出温度TEを上記TAOと外気温TAMに応じて制御することにより、蒸発器9でのフロスト(着霜)防止と、冷房除湿能力の確保と、圧縮機稼働率の低下による車両エンジン省動力とを達成する。
【0053】
次に、ステップS800にて、各種制御信号を出力した後、ステップS300へと戻る。
【0054】
次に、減速時における目標蒸発器吹出温度TEO1および目標開度SW1を算出し、目標蒸発器吹出温度TEOおよび目標開度SWを決定するステップS600について説明する。図9(a)はステップS600の詳細フローであり、ステップS601にて減速時目標蒸発器吹出温度TEO1を決定する。この減速時目標蒸発器吹出温度TEO1は、通常時目標蒸発器吹出温度TEO0から後述の下げ幅ΔTEOを減算して決定される(TEO1=TEO0−ΔTEO)。そして、図9(a)のステップS601中のマップに示すように、下げ幅ΔTEOは、ステップS400で算出された目標風量BLWがLoからHiになる程、小さくなるように設定されている。なお、下げ幅ΔTEOは本例では10℃が上限となっている。また、このマップは吹出モードとは無関係に設定されている。
【0055】
次に、ステップS602にて、減速時目標蒸発器吹出温度TEO1を目標蒸発器吹出温度TEOとして選択し、決定する(TEO=TEO1)。
【0056】
次に、ステップS603にて、減速時目標開度SW1を算出する。減速時目標開度SW1の算出には、予め記憶されている下記数式2により減速時目標開度SW1を逐次算出し、更新する。そして、この減速時目標開度SW1を目標開度SWとして選択、決定する(SW=SW1)。
【0057】
【数2】
SW1=〔(TAO−TE(5))/(TW−TE(5)〕×100
なお、TE(5)は、所定時間毎に連続して検出される5回の蒸発器吹出温度TEの平均値である。すなわち、通常時目標開度SW0の算出では平均値の対象となるTEの検出回数を10回としていたが、減速時目標開度SW1の算出では平均値の対象となるTEの検出回数を5回に減らしている。これにより、目標開度SWは蒸発器吹出温度TEに応答して算出されるが、SW1はSW0に比べて蒸発器吹出温度TEに対する応答性が高くされている。
【0058】
次に、ステップS604にて、減速フラグを1(減速FLG=1)としてステップS700に進む。
【0059】
次に、減速信号がONされていない通常時における目標蒸発器吹出温度TEOおよびエアミックスドア14の目標開度SWを決定するステップS900について説明する。図9(b)はステップS900の詳細フローであり、ステップS901にて減速フラグが1であるか否かを判定する。減速FLG=1と判定した場合にはステップS902へ進み、減速FLG≠1と判定した場合にはステップS906へ進む。
【0060】
次に、ステップS903はカウントを開始させてステップS904へ進むステップであり、ステップS902にて、ステップS903におけるカウントが開始されていないと判定した場合にはステップS903へ進み、カウント中であると判定した場合にはステップS904へ進む。なお、ステップS902からステップS904へ進む回数はカウントインクリメントされている。
【0061】
次に、ステップS904にて、カウントインクリメントされた回数が所定回数Ca(例えば10回)以下である(カウント≦Ca)と判定した場合にはステップS905へ進み、カウント>Caであると判定した場合にはステップS906へ進む。
【0062】
次に、ステップS905にて、ステップS603と同様の方法により、減速時目標開度SW1を目標開度SWとして選択、決定する(SW=SW1)。
【0063】
次に、ステップS906にて、減速フラグを0(減速FLG=0)とする。また、ステップS903で開始したカウントを終了し、カウントインクリメントされた回数は初期化される。また、通常時目標開度SW0を目標開度SWとして選択、決定する(SW=SW0)。また、通常時目標蒸発器吹出温度TEO0を目標蒸発器吹出温度TEOとして選択、決定して(TEO=TEO0)、ステップS700に進む。
【0064】
以上の作動のうち、ステップS600の作動により、減速中である場合に、目標蒸発器吹出温度TEOは下げ幅ΔTEOだけ低下して減速回収する。よって、減速終了後の圧縮機1の稼働率を減少させることができ、省燃費効果を得ることができる。
【0065】
なお、下げ幅ΔTEOにより目標蒸発器吹出温度TEOが氷点下の温度になる場合には、周知の蓄冷モードと同様に、蒸発器9の凝縮水を凍結させて、蒸発器9の凝縮水蓄冷量を増大させて減速終了後の圧縮機1の稼働率減少を図る。
【0066】
しかし、上記作動を行うと、減速回収前後において、目標蒸発器吹出温度TEOが下げ幅ΔTEOだけ変動することにより、蒸発器吹出温度TEが蒸発器吹出温度変動幅(冷却度合変動幅)ΔTEだけ変動し、このΔTEに対するエアミックスドア14の制御の追従が遅れて車室内への吹出温度TAが変動してしまう。
【0067】
また、下げ幅ΔTEOを、図10中の点線に示す乗員に不快感を与えない一律の所定変動幅Bに設定すると、減速回収頻度が低下して図10中の斜線に示す部分の省燃費効果を得ることができない。
【0068】
そこで、ステップS600では、下げ幅ΔTEOは、目標風量BLWがLoからHiになる程小さくなるように設定されているので、ステップS700における圧縮機1の作動の断続制御により、最大限界幅Aが小さくなるほどΔTEが小さくなるように制御される。よって、吹出温度変動幅ΔTAは図10に示す限界変動幅Aの変化に即して変化し、風量が少ない場合には、車室内への吹出温度変動幅ΔTAが大きくなるように下げ幅ΔTEOを大きくできるので、乗員に不快感を与えることなく図10中の斜線に示す部分の省燃費効果を得ることができる。
【0069】
なお、本例ではΔTEOの上限を10℃に設定しており、この上限値は、吹出温度変動幅ΔTAが風量小の場合に最大限界幅Aを大きく越えないような値に設定されている。
【0070】
また、ステップS603の作動により、減速時目標開度SW1は通常時目標開度SW0に比べて蒸発器吹出温度TEに対する応答性を高くしている。よって、蒸発器吹出温度変動幅ΔTEに対するエアミックスドア14の制御の追従遅れを小さくできるので、ΔTEに対する車室内への吹出温度変動幅ΔTAを小さくすることができ、乗員への不快感を低減することができる。
【0071】
ところで、減速状態から非減速状態へと変化した直後に、目標蒸発器吹出温度TEOが減速時目標蒸発器吹出温度TEO1から通常時目標蒸発器吹出温度TEO0へ急変すると、乗員への吹出温度TAが不安定になる。
【0072】
そこで、ステップS900の作動により、減速状態から非減速状態へと変化して、減速時制御を行った直後に通常時制御を行う際に、目標開度SWは、応答性の高い減速時目標開度SW1から応答性の低い通常時目標開度SW0にすぐに変更されることなく、カウントインクリメントされた回数が所定回数Caより大きくなった時点ではじめて通常時目標開度SW0に変更される。すなわち、減速終了後のエアミックスドア14の制御応答性復帰には、遅延時間(所定回数Ca)が設定されている。
【0073】
これにより、減速状態から非減速状態へと変化した直後に目標蒸発器吹出温度TEOが急変することにより、吹出温度TAが不安定になることを抑制し、乗員へ不快感を与えないことを確実にすることができる。
【0074】
(第2実施形態)
第1実施形態では、図9(a)に示すように下げ幅ΔTEOは目標風量BLWのみから決定されているが、フェイス開口部15から乗員上半身に吹き出すフェイスモードでは、フット開口部16から乗員足元に吹き出すフットモードに比べて、乗員は吹出温度変動幅ΔTAに敏感になるので、冷風感の度合が大きくなり、限界変動幅Aが小さくなることに着目し、本実施形態では、同じ目標風量BLWであっても、吹出モードによって複数の下げ幅ΔTEOが設定されている。
【0075】
例えば、図11(a)は吹出モードと下げ幅ΔTEOとの関係を示しており、下げ幅ΔTEOは、フェイスモード、バイレベルモード、フットモードの順に、低い値になるように設定されている。
【0076】
これにより、フェイスモードでは下げ幅ΔTEOを小さくして乗員に不快感を与えることを防止でき、フットモードでは下げ幅ΔTEOを大きくして省燃費効果を上げることができる。
【0077】
なお、下げ幅ΔTEOは、目標風量BLWとは無関係に、吹出モードのみから決定してもよく、例えば吹出モードがフットモードの場合にΔTEO=10℃とし、吹出モードがフットモードからバイレベルモード、フェイスモードに変化するにつれて下げ幅ΔTEOを小さくしてもよい。
【0078】
さらにまた、エアミックスドア14の目標開度SWが小さく、蒸発器9による冷風と、ヒータコア12による温風との混合割合において、冷風の割合が大きい(ヒータコア12による加熱量が少ない)ほど、蒸発器吹出温度変動幅ΔTEが吹出温度変動幅ΔTAに与える影響が大きくなるので、乗員の冷風感の度合は大きくなり、限界変動幅Aが小さくなることに着目し、同じ目標風量BLWであっても、冷温風の混合割合によって複数の下げ幅ΔTEOが設定されている。
【0079】
例えば、図11(b)は目標開度SWによる冷温風の混合割合と下げ幅ΔTEOとの関係を示しており、下げ幅ΔTEOは、冷温風の混合割合における冷風の割合が大きいほど低い値に設定されている。
【0080】
これにより、エアミックスドア14による加熱量が少ない場合には下げ幅ΔTEOを小さくして乗員に不快感を与えることを防止でき、エアミックスドア14による加熱量が多い場合には下げ幅ΔTEOを大きくして省燃費効果を上げることができる。
【0081】
なお、下げ幅ΔTEOは、目標風量BLWとは無関係に、冷温風の混合割合のみから決定してもよく、例えば、目標開度SW=100%(最大暖房位置)の場合にΔTEO=10℃とし、目標開度SWが小さくなるにつれて下げ幅ΔTEOを小さくしてもよい。
【0082】
(第3実施形態)
第1実施形態では、減速終了後のエアミックスドア14の制御応答性復帰には、遅延時間が設定されていたが、前記応答性復帰は、エアミックスドア14の減速時目標開度SW1と通常時目標開度SW0との差の絶対値(|SW1−SW0|)が所定範囲C1に達した時点で復帰させてもよい。
【0083】
具体例により説明すると、図12(a)、(b)は、本実施形態におけるステップS600、S900を示しており、この他のステップは第1実施形態と同様の制御を行っている。
【0084】
ステップS600は、第1実施形態におけるステップS600からステップS604を削除したものである。
【0085】
次に、ステップS911にて、前述の絶対値|SW1−SW0|が所定範囲C1より大きいか否かを判定する。|SW1−SW0|>C1と判定した場合にはステップS912へ進み、|SW1−SW0|≦C1と判定した場合にはステップS913へ進む。
【0086】
次に、ステップS912にてステップS603と同様の制御を行い、ステップS913にて、通常時目標開度SW0を目標開度SWとして決定する(SW=SW0)。また、通常時目標蒸発器吹出温度TEO0を目標蒸発器吹出温度TEOとして決定(TEO=TEO0)してステップS700に進む。
【0087】
(第4実施形態)
第1実施形態では、ステップS600の減速時制御は、下げ幅ΔTEOによる減速時目標蒸発器吹出温度TEO1を目標蒸発器吹出温度TEOとする作動と、エアミックスドア14の減速時目標開度SW1を目標開度SWとする作動を行っていたが、減速時目標蒸発器吹出温度TEO1を目標蒸発器吹出温度TEOとする作動のみを行ってもよい。
【0088】
具体例により説明すると、図13(a)、(b)は、本実施形態におけるステップS600、S900を示しており、この他のステップは第1実施形態と同様の制御を行っている。
【0089】
ステップS600は、第1実施形態におけるステップS600からステップS603、S604を削除したものである。そして、ステップS921にて、通常時目標開度SW0を目標開度SWとして決定する(SW=SW0)とともに、通常時目標蒸発器吹出温度TEO0を目標蒸発器吹出温度TEOとして決定する(TEO=TEO0)。
【0090】
(第5実施形態)
第1実施形態では、ステップS601にて、下げ幅ΔTEOを目標風量BLWに応じて変化させることにより、蒸発器吹出温度変動幅ΔTEを限界変動幅Aの変化に即して変化させているが、通常時目標蒸発器吹出温度TEO0から所定の下げ幅ΔTEO(例えば10℃)だけ下げた値を減速時目標蒸発器吹出温度TEO1として決定し、このTEO1を目標蒸発器吹出温度TEOとすることを維持する時間tを目標風量BLWに応じて変化させることにより、蒸発器吹出温度変動幅ΔTEを限界変動幅Aの変化に即して変化させてもよい。
【0091】
図14(a)、(b)は、本実施形態におけるステップS600、S900を示しており、この他のステップは第1実施形態と同様の制御を行っている。
【0092】
ステップS631にて後述の所定回数Cdを決定する。図14(a)のステップS631中のマップに示すように、この所定回数Cdは、目標風量BLWがLoからHiになるほど大きくなるように設定されている。
【0093】
ステップS633はカウントを開始させてステップS634へ進むステップであり、ステップS632にて、ステップS633におけるカウントが開始されていないと判定した場合にはステップS633へ進み、カウント中であると判定した場合にはステップS634へ進む。なお、ステップS632からステップS634へ進む回数はカウントインクリメントされている。
【0094】
次に、ステップS634にて、カウントインクリメントされた回数が所定回数Cd以下である(カウント≦Cd)と判定した場合にはステップS635へ進み、カウント>Caであると判定した場合にはステップS636へ進む。
【0095】
次に、ステップS635にて、通常時目標蒸発器吹出温度TEO0から所定の下げ幅ΔTEO(例えば10℃)だけ減算した値を減速時目標蒸発器吹出温度TEO1として決定し、このTEO1を目標蒸発器吹出温度TEOとして決定する(TEO=TEO1)。
【0096】
次に、ステップS636にて、通常時目標蒸発器吹出温度TEO0を目標蒸発器吹出温度TEOとして決定する(TEO=TEO0)。
【0097】
次に、ステップS931にて、ステップS633で開始したカウントを終了し、カウントインクリメントされた回数は初期化される。また、通常時目標開度SW0を目標開度SWとして決定する(SW=SW0)。また、通常時目標蒸発器吹出温度TEO0を目標蒸発器吹出温度TEOとして決定して(TEO=TEO0)、ステップS700に進む。
【0098】
以上により、ステップS600の減速時制御に、減速時目標蒸発器吹出温度TEO1を目標蒸発器吹出温度TEOとする時間は、所定回数Cdにより決定される。そして、所定回数Cdは、目標風量BLWが大きいほど多い回数に設定されるので、蒸発器吹出温度変動幅ΔTEは、目標風量BLWがLoからHiになる程小さくなるように設定される。よって、ステップS700における圧縮機1の作動の断続制御により、最大限界幅Aが小さくなるほどΔTEが小さくなるように制御され、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0099】
(第6実施形態)
第1実施形態では、固定容量型の圧縮機1を用い、ステップS700にて、電磁クラッチ2による圧縮機1の断続制御を行っているが、斜板、スクロール、スルーベーン等の圧縮機を用いてもよいし、可変容量型の圧縮機1を用いて、圧縮機容量を変化させる制御を行ってもよい。
【0100】
なお、この外部可変容量型圧縮機は公知のものであり、例えば、斜板型圧縮機において吐出圧と吸入圧を利用して斜板室の圧力を制御する電磁式圧力制御装置を持つ容量可変装置を備え、斜板室の圧力を制御することにより斜板の傾斜角度を可変してピストンのストローク、すなわち圧縮機吐出容量を連続的に変化させることができる。
【0101】
具体例により説明すると、図8(b)は、本実施形態における、外部からの制御信号により吐出容量を可変する外部可変容量型圧縮機を用いた場合のステップS700を示しており、この他のステップは第1実施形態と同様の制御を行っている。
【0102】
ステップS711にて、蒸発器吹出温度TEと目標蒸発器吹出温度TEOとを比較し、TE>TEOである場合にはステップS712へ進み、電磁クラッチ2に通電して圧縮機を作動させる。
【0103】
そして、TE>TEO以外の場合にはステップS713へ進み、蒸発器吹出温度TEと目標蒸発器吹出温度TEOとを比較し、TE<TEOである場合にはステップS714へ進み、電磁クラッチ2の通電を遮断して圧縮機1を停止させる。なお、TE<TEO以外の場合、すなわち、TE=TEOの場合には現状の断続制御を変えることなくステップS800へ進む。
【0104】
(他の実施形態)
▲1▼第1実施形態では、通常時目標開度SW0はTE(10)を用い、減速時目標開度SW1はTE(5)を用いて、エアミックスドア14の蒸発器吹出温度TEに対する応答性を高くしているが、この応答性を高くする手段として、特開平5−85142号公報に記載の技術を採用してもよい、具体的には、TE(5)の代わりにTEOを代用してエアミックスドア14の応答性を高くしてもよい。
【0105】
▲2▼第1実施形態では、減速終了直後のステップS900の通常時制御において、目標蒸発器吹出温度TEOが、直ちに減速時目標蒸発器吹出温度TEO1から通常時目標蒸発器吹出温度TEO0に変わるように制御されているが、特開平6−122314号公報に記載の技術を採用して、目標蒸発器吹出温度TEOが、徐々に通常時目標蒸発器吹出温度TEO0になるように、補正幅ΔTEを徐々に小さくしてもよい。
【0106】
これにより、減速終了直後に目標蒸発器吹出温度TEOが急変する場合、エアミックスドア14の制御の追従遅れによる吹出温度TAの変動を抑制することができ、乗員へ不快感を与えないことを確実にすることができる。
【0107】
▲3▼第1実施形態では、減速中か否かに関わらず、目標送風量BLWを設定しているが、図4(a)のステップS604により減速フラグが1である場合には、目標送風量BLWを所定の低い風量(Lo)に強制的に変更してもよい。この場合、下げ幅ΔTEOは、減速直前の目標送風量BLWに応じて決定される。
【0108】
これにより、減速中および減速終了直後に、限界変動幅Aを大きくすることができ、乗員へ不快感を与えないことを確実にすることができる。
【0109】
▲4▼第1実施形態では、車両減速検出手段により、燃料噴射量が所定値以下か否かを検出しているが、車両エンジン4の回転数と車速が各々所定値以上、かつ、スロットル開度が所定値以下であるか否かを検出し、このように検出された場合に、エンジン用ECU22は減速信号を空調用ECU5に出力するようにしてもよい。
【0110】
▲5▼車両環境状態を表す信号は、エンジン用ECU22に入力されているが、空調用ECU5に入力されるようにして、空調用ECU5にて各種演算を行わせてもよい。例えば、車両減速検出手段をエンジン用ECU22に備えているが、空調用ECU5に備えてもよい。また、電磁クラッチ2のオン、オフ制御を空調用ECU5により行うようにしているが、電磁クラッチ2のオン、オフ制御をエンジン用ECU22により行うようにしてもよい。また、空調用ECU5およびエンジン用ECU22をそれぞれ独立に構成せずに、これら制御装置5、22を1つの装置に一体化してもよい。
【0111】
▲6▼空調装置の構成は図1に示すものに限定されることなく、種々変形可能であり、例えば、車室内への吹出空気温度を調節する温度調節手段として、冷温風の風量割合を調節するエアミックスドア14の代わりに、フィルムドアを用いてもよいし、温水式ヒータコア12の温水流量を調節する温水弁を用いたリヒート方式を用いてもよい。なお、リヒート方式の採用は、第4実施形態のように、エアミックスドア14の減速時目標開度SW1を目標開度SWとする作動を行わない場合に限る。
【0112】
また、冷凍サイクルRも、受液器7の代わりに、圧縮機吸入側にアキュムレータを配置するアキュムレータサイクルであってもよいし、凝縮器6の気液分離部下流に過冷却部を備えるサブクールサイクルでもよいことはもちろんである。
【0113】
また、従来より周知であり、内気と外気を同時に導入する内外気二層方式を用いてもよい。
【0114】
▲7▼第1実施形態では目標風量BLWに基づいて下げ幅ΔTEOを算出しているが、マニュアル操作における風量調整器(パネルのツマミ)の位置、または、送風機11の印加電圧から風量を検出し、この風量に基づいて下げ幅ΔTEOを算出してもよい。
【0115】
▲8▼蒸発器吹出温度TEは蒸発器冷却度合を代表する物理量であるが、蒸発器冷却度合は蒸発器フィン温度、蒸発器配管温度、冷媒蒸発圧力(低圧圧力)に基づいて判定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における車両用空調装置を示す全体システム構成図である。
【図2】第1実施形態における作動の概要を示すフローチャートである。
【図3】図2の要部の詳細を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態における送風機の目標風量BLWと目標吹出温度TAOとの関係を示す特性図である。
【図5】第1実施形態における吹出モードと目標吹出温度TAOとの関係を示す特性図である。
【図6】第1実施形態における第1目標蒸発器吹出温度と目標吹出温度TAOとの関係を示す特性図である。
【図7】第1実施形態における第2目標蒸発器吹出温度と目標吹出温度TAOとの関係を示す特性図である。
【図8】(a)は第1実施形態を示す、図2の要部の詳細フローチャートであり、(b)は第6実施形態を示す、図2の要部の詳細フローチャートである。
【図9】(a)、(b)はともに第1実施形態を示す、図2の要部の詳細フローチャートである。
【図10】 車室内への送風量と、車室内への吹出温度の変動幅との関係を示す特性図である。
【図11】(a)は第2実施形態における吹出モードと下げ幅ΔTEOとの関係を示す特性図であり、(b)は第2実施形態における冷温風の混合割合と下げ幅ΔTEOとの関係を示す特性図である。
【図12】(a)、(b)はともに第3実施形態を示す、図2の要部の詳細フローチャートである。
【図13】(a)、(b)はともに第4実施形態を示す、図2の要部の詳細フローチャートである。
【図14】(a)、(b)はともに第5実施形態を示す、図2の要部の詳細フローチャートである。
【符号の説明】
1…圧縮機、9…蒸発器、12…ヒータコア、14…エアミックスドア、
15…フェイス開口部、16…フット開口部、S500…車両減速判定手段、
S600、S900…吹出温度制御手段、TA…吹出温度、
ΔTA…吹出温度変動幅、TAO…目標吹出温度、TE…蒸発器吹出温度、
ΔTE…蒸発器温度変動幅、TEO…目標蒸発器吹出温度、ΔTEO…下げ幅。
Claims (7)
- 車室内の乗員に向けて吹き出される空気を冷却する冷房用熱交換器と、
前記冷房用熱交換器により冷却された空気を加熱する暖房用熱交換器と、
この暖房用熱交換器による加熱量を調節して、車室内に吹き出される空気の吹出温度を調節する吹出温度調節手段と、
車両エンジンにより駆動され、前記冷房用熱交換器を通過した冷媒を圧縮し吐出する圧縮機と、
前記冷房用熱交換器の冷却度合を検出する冷却度合検出手段と、
前記冷却度合の目標冷却度合を算出する目標冷却度合算出手段と、
前記冷却度合が前記目標冷却度合に近づくように前記圧縮機の運転を制御する圧縮機制御手段と、
前記冷却度合に応答して、前記吹出温度調節手段の温度調節度合を制御する吹出温度制御手段と、
前記車室内の乗員の上半身に向けて空気を吹き出すフェイス開口部と、
前記乗員の足元に向けて空気を吹き出すフット開口部と、
車両走行状態が減速状態であるか否かを判定する車両減速判定手段とを有し、
少なくとも前記車両減速判定手段が減速状態と判定した場合に、前記目標冷却度合算出手段は前記目標冷却度合を非減速状態の場合に比べて下げ、
前記フット開口部から空気を吹き出すフットモードに比べて、前記フェイス開口部から空気を吹き出すフェイスモードでは、前記目標冷却度合の下げ幅を小さくすることを特徴とする車両用空調装置。 - 車室内の乗員に向けて吹き出される空気を冷却する冷房用熱交換器と、
前記冷房用熱交換器により冷却された空気を加熱する暖房用熱交換器と、
この暖房用熱交換器による加熱量を調節して、車室内に吹き出される空気の吹出温度を調節する吹出温度調節手段と、
車両エンジンにより駆動され、前記冷房用熱交換器を通過した冷媒を圧縮し吐出する圧縮機と、
前記冷房用熱交換器の冷却度合を検出する冷却度合検出手段と、
前記冷却度合の目標冷却度合を算出する目標冷却度合算出手段と、
前記冷却度合が前記目標冷却度合に近づくように前記圧縮機の運転を制御する圧縮機制御手段と、
前記冷却度合に応答して、前記吹出温度調節手段の温度調節度合を制御する吹出温度制御手段と、
車両走行状態が減速状態であるか否かを判定する車両減速判定手段とを有し、
少なくとも前記車両減速判定手段が減速状態と判定した場合に、前記目標冷却度合算出手段は前記目標冷却度合を非減速状態の場合に比べて下げ、
この目標冷却度合の下げ幅を、前記吹出空気温度調節手段により調節される加熱量が少ないほど小さくすることを特徴とする車両用空調装置。 - 車室内の乗員に向けて吹き出される空気を冷却する冷房用熱交換器と、
前記冷房用熱交換器により冷却された空気を加熱する暖房用熱交換器と、
この暖房用熱交換器による加熱量を調節して、車室内に吹き出される空気の吹出温度を調節する吹出温度調節手段と、
車両エンジンにより駆動され、前記冷房用熱交換器を通過した冷媒を圧縮し吐出する圧縮機と、
前記冷房用熱交換器の冷却度合を検出する冷却度合検出手段と、
前記冷却度合の目標冷却度合を算出する目標冷却度合算出手段と、
前記冷却度合が前記目標冷却度合に近づくように前記圧縮機の運転を制御する圧縮機制御手段と、
前記冷却度合に応答して、前記吹出温度調節手段の温度調節度合を制御する吹出温度制御手段と、
車両走行状態が減速状態であるか否かを判定する車両減速判定手段とを有し、
少なくとも前記車両減速判定手段が減速状態と判定した場合に、前記目標冷却度合算出手段は前記目標冷却度合を非減速状態の場合に比べて下げ、
この目標冷却度合の下げ幅を、前記車室内への空気の風量を多くする状態であるほど小さくすることを特徴とする車両用空調装置。 - 車室内の乗員に向けて吹き出される空気を冷却する冷房用熱交換器と、
前記冷房用熱交換器により冷却された空気を加熱する暖房用熱交換器と、
この暖房用熱交換器による加熱量を調節して、車室内に吹き出される空気の吹出温度を調節する吹出温度調節手段と、
車両エンジンにより駆動され、前記冷房用熱交換器を通過した冷媒を圧縮し吐出する圧縮機と、
前記冷房用熱交換器の冷却度合を検出する冷却度合検出手段と、
前記冷却度合の目標冷却度合を算出する目標冷却度合算出手段と、
前記冷却度合が前記目標冷却度合に近づくように前記圧縮機の運転を制御する圧縮機制御手段と、
前記冷却度合に応答して、前記吹出温度調節手段の温度調節度合を制御する吹出温度制御手段と、
前記車室内の乗員の上半身に向けて空気を吹き出すフェイス開口部と、
前記乗員の足元に向けて空気を吹き出すフット開口部と、
車両走行状態が減速状態であるか否かを判定する車両減速判定手段とを有し、
少なくとも前記車両減速判定手段の判定が非減速状態から減速状態に変化した時に、前記目標冷却度合算出手段は前記目標冷却度合を非減速状態の場合より所定値だけ下げた値とし、
前記フット開口部から空気を吹き出すフットモードに比べて、前記フェイス開口部から空気を吹き出すフェイスモードでは、前記目標冷却度合を前記所定値だけ下げた値に維持する時間を短くすることを特徴とする車両用空調装置。 - 車室内の乗員に向けて吹き出される空気を冷却する冷房用熱交換器と、
前記冷房用熱交換器により冷却された空気を加熱する暖房用熱交換器と、
この暖房用熱交換器による加熱量を調節して、車室内に吹き出される空気の吹出温度を調節する吹出温度調節手段と、
車両エンジンにより駆動され、前記冷房用熱交換器を通過した冷媒を圧縮し吐出する圧縮機と、
前記冷房用熱交換器の冷却度合を検出する冷却度合検出手段と、
前記冷却度合の目標冷却度合を算出する目標冷却度合算出手段と、
前記冷却度合が前記目標冷却度合に近づくように前記圧縮機の運転を制御する圧縮機制御手段と、
前記冷却度合に応答して、前記吹出温度調節手段の温度調節度合を制御する吹出温度制御手段と、
車両走行状態が減速状態であるか否かを判定する車両減速判定手段とを有し、
少なくとも前記車両減速判定手段の判定が非減速状態から減速状態に変化した時に、前記目標冷却度合算出手段は前記目標冷却度合を非減速状態の場合より所定値だけ下げた値とし、
前記目標冷却度合を前記所定値だけ下げた値に維持する時間を、前記吹出空気温度調節手段により調節される加熱量が少ないほど短くすることを特徴とする車両用空調装置。 - 車室内の乗員に向けて吹き出される空気を冷却する冷房用熱交換器と、
前記冷房用熱交換器により冷却された空気を加熱する暖房用熱交換器と、
この暖房用熱交換器による加熱量を調節して、車室内に吹き出される空気の吹出温度を調節する吹出温度調節手段と、
車両エンジンにより駆動され、前記冷房用熱交換器を通過した冷媒を圧縮し吐出する圧縮機と、
前記冷房用熱交換器の冷却度合を検出する冷却度合検出手段と、
前記冷却度合の目標冷却度合を算出する目標冷却度合算出手段と、
前記冷却度合が前記目標冷却度合に近づくように前記圧縮機の運転を制御する圧縮機制御手段と、
前記冷却度合に応答して、前記吹出温度調節手段の温度調節度合を制御する吹出温度制御手段と、
車両走行状態が減速状態であるか否かを判定する車両減速判定手段とを有し、
少なくとも前記車両減速判定手段が減速状態と判定した場合に、前記目標冷却度合算出手段は前記目標冷却度合を非減速状態の場合に比べて下げ、
前記目標冷却度合を前記所定値だけ下げた値に維持する時間を、前記車室内への空気の風量を多くする状態であるほど短くすることを特徴とする車両用空調装置。 - 少なくとも前記車両減速判定手段が非減速状態と判定した場合には、前記吹出温度制御手段はN回の前記冷却度合の平均値に基づいて前記温度調節度合を制御し、
少なくとも前記車両減速判定手段が減速状態と判定した場合には、前記吹出温度制御手段はN回よりも少ないN−k回の前記冷却度合の平均値に基づいて前記温度調節度合を制御することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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