JP4284058B2 - Polyester monofilament and industrial fabric - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は耐加水分解性に優れ、さらには耐乾熱性にも優れたポリエステルモノフィラメントおよび該ポリエステルモノフィラメントを使用した、抄紙ドライヤーキャンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト織物などの工業用織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルモノフィラメントは、優れた物性を有しているため、抄紙ドライヤーキャンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト等の各種工業用織物の構成素材として広く使用されてきた。
【0003】
しかしながら、ポリエステルモノフィラメントを高温・多湿など加水分解されやすい条件下で使用される用途、例えば抄紙ドライヤーキャンバスの構成素材として使用した場合には、使用中にポリエステルモノフィラメントが加水分解劣化による強度低下を起こすため、長期間の使用に耐えることが困難であった。
【0004】
このために、ポリエステルモノフィラメントの欠点である耐加水分解性を改善するため種々の提案が従来からなされてきた。
【0005】
例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポリ−4−メチルペンテン1,ポリスチレンなどのポリオレフィンを特定量添加したポリエステルモノフィラメント(特許文献1参照)が知られているが、この技術で得られるモノフィラメント、例えばポリエチレンを添加したポリエチレンテレフタレート製モノフィラメントは耐加水分解性向上効果が小さいため実用的でない。
【0006】
また、カルボジイミド化合物を添加することによりポリエステルの耐加水分解性を向上せしめる方法が知られている。例えば、モノまたはビスカルボジイミド化合物を添加し、短時間で混練紡糸することにより、未反応カルボジイミドを含有しないフィラメントを形成させる方法(特許文献2参照)、分子内に3個以上のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物を添加する方法(特許文献3参照)、カルボキシル末端基がカルボジイミドとの反応でキャップされ、遊離のモノおよび/またはビスカルボジイミド化合物30〜200ppmと遊離のポリカルボジイミドまたはなお反応性を有するポリカルボジイミド基を含む反応生成物を少なくとも0.02重量%含有するポリエステル繊維およびフィラメントとする方法(特許文献4参照)が提案されている。
【0007】
さらに、特定量のリンを含むポリエステルに特定のカルボジイミド化合物を添加する工業用ポリエステルモノフィラメントの製造方法(特許文献5参照)、末端カルボキシル基濃度が10当量/ポリエステル106g以下であって、カルボジイミド化合物を未反応の状態で0.005〜1.5重量%含有し、かつ弗素系重合体を0.01〜30重量%含有したポリエステルモノフィラメント(特許文献6参照)、未反応のモノカルボジイミド化合物(A)を230ppm〜1.5重量%含有し、未反応のポリカルボジイミド化合物および/またはポリエステルのカルボキシル末端基と一部反応し、かつ未反応のカルボジイミド基を有するポリカルボジイミド化合物(B)を0.05〜1.5重量%含有するポリエステルモノフィラメント(特許文献7参照)、ポリマ成分が、末端カルボキシル基濃度が10当量/106g以下のポリエステル(A)99.8〜60重量%と、フッ素原子を含有しない熱可塑性ポリマ(B)0.2〜40重量%からなり、該ポリマ成分が未反応の状態のカルボジイミド化合物(C)を0.005〜1.5重量%含有するポリエステルモノフィラメント(特許文献8参照)、シンジオタクチック構造などのポリスチレンと未反応の状態のモノカルボジイミド化合物およびポリカルボジイミド化合物とを特定量含有するポリエステル組成物からなるモノフィラメント(特許文献9参照)、およびエチレン・アクリル酸エステル共重合体とカルボジイミド化合物を特定量添加したポリエステルモノフィラメント(特許文献10参照)などによっても種々の改善がなされてきた。
【0008】
しかしながら、上記した方法により耐加水分解性を改善したポリエステルモノフィラメントであっても、耐乾熱性の必要な用途、例えば抄紙ドライヤーの乾燥温度の高い工程におけるドライヤーキャンバスの構成素材として使用しようとした場合や、紙の生産性を高める目的で乾燥温度を従来よりも高温化したドライパートに使用されるドライヤーキャンバスおよび湿紙の接触しない一層高温に曝される耳部の構成素材として使用しようとした場合には、耐加水分解性が十分でなく、高価なPPSモノフィラメントの使用を余儀なくされていた。
【0009】
【特許文献1】
特開昭51−136923号公報(第1〜5頁)
【特許文献2】
特開昭50−95517号公報(第1〜4頁)
【特許文献3】
特公昭38−15220号公報(第1〜6頁)
【特許文献4】
特開平4−289221号公報(第1〜7頁)
【特許文献5】
特開昭57−205518号公報(第1〜9頁)
【特許文献6】
再公表 国際公開番号 WO 92/07126号公報(第1〜11頁)
【特許文献7】
特開平7−216647号公報(第1〜7頁)
【特許文献8】
特開平7−258524号公報(第1〜43頁)
【特許文献9】
特開平10−168661号公報(第1〜11頁)
【特許文献10】
特開平14−20931号公報(第1〜7頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点を解決するために検討した結果なされたものであり、従来のものより一層優れた耐加水分解性を有し、更には耐乾熱性にも優れた各種工業用織物の構成素材として有用なポリエステルモノフィラメントおよび該ポリエステルモノフィラメントを使用した抄紙用ドライヤーキャンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト織物などの工業用織物の提供を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のポリエステルモノフィラメントは、ポリエステルに対し、ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ0.3〜10重量%、モノカルボジイミド化合物0.01〜1.5重量%、下記の条件を満たすポリカルボジイミド化合物0〜3.0重量%、およびフェノール系抗酸化剤0〜2重量%を含有せしめた組成物からなるポリエステルモノフィラメントであって、前記ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマが、ポリスチレンがグラフトされたポリエチレン、ポリスチレンがグラフトされたポリプロピレン、およびポリスチレンがグラフトされたエチレン・エチルアクリレート共重合体から選ばれた少なくとも1種であり、カルボキシル末端基濃度が10当量/ポリエステルモノフィラメント106g以下であることを特徴とする。
【0012】
〔ただし、ポリカルボジイミド化合物は、該ポリカルボジイミド化合物中の未反応のカルボジイミド基(D1)と、ポリエステルのカルボキシル末端基および/またはヒドロキシル末端基とが一部反応しているカルボジイミド基(D2)との合計((D1)+(D2))で1分子中に5〜100個のカルボジイミド基を含有する。〕
なお、本発明のポリエステルモノフィラメントにおいては、
前記モノカルボジイミド化合物が、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドであること、
前記ポリカルボジイミド化合物が、カルボジイミド基に対して、フェニル基のオルトの位置がイソプロピル基で置換された芳香族ポリカルボジイミド化合物であること、および
前記フェノール系酸化防止剤が、テトラキス-〔メチレン-3-(3'-5'-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンであること、
がいずれも好ましい条件であり、これらの条件の少なくとも一つの条件を満たすことによって一層優れた効果の取得を期待することができる。
【0013】
また、本発明の工業用織物は、上記のポリエステルモノフィラメントを緯糸または経糸の少なくとも一部に使用してなることを特徴とし、抄紙ドライヤーキャンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト用織物から選ばれた少なくとも1種の用途に適用した場合に最良の効果を発現する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明のポリエステルモノフィラメントを構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分と、グリコール成分とからなるポリエステルである。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。また、グリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。これらのジカルボン酸成分とグリコール成分とを適宜組み合わせて使用することができる。また、上記のジカルボン酸成分の一部を、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸およびスルホン酸金属塩置換イソフタル酸などで置き換えてもよく、また、上記のグリコール成分の一部をジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオールおよびポリアルキレングリコールなどで置き換えてもよい。さらに、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、トリメシン酸および硼酸などの鎖分岐剤を少量併用することもできる。なお、本発明で使用するポリエステルは、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルも含むものである。
【0016】
これらの内でも、ジカルボン酸成分の90モル%以上がテレフタル酸からなり、グリコール成分の90モル%がエチレングリコールからなる、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)が好適である。
【0017】
本発明の効果を効率よく発現させるために、ポリエステル中にリン化合物を、リン原子として50ppm 以下で、かつ下記の一般式の範囲内の量含有させることができる。
【0018】
5×10-3≦P≦M+8×10-3
(式中のPはポリエステルを構成する二塩基酸に対するリン原子のモル%であり、Mはポリエステル樹脂中の金属で、周期律表II族、VII 族、VIII族でかつ第3,4周期の内より選択された1種もしくは2種以上の金属原子のポリエステルを構成する二塩基酸に対するモル%である。また、M=0であってもよい)。
【0019】
ポリエステルには、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、ジルコニウム酸、カーボンブラックなどの各種無機粒子や架橋高分子粒子、各種金属粒子などの粒子類のほか、従来公知の金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐光剤、包接化合物、帯電防止剤、各種着色剤、ワックス類、シリコーンオイル、各種界面活性剤および各種強化繊維類などが添加されていてもよい。
【0020】
ポリエステルの極限粘度は、通常は0.6以上であればよいが、0.7以上であることが、強度に優れるため好ましい。ここで極限粘度はオルソクロロフェノール溶液中25℃で測定した粘度より求めた極限粘度であり、〔η〕で表わされる。
【0021】
本発明のポリエステルモノフィラメントは、カルボキシル末端基濃度が10当量/ポリエステルモノフィラメント106g以下であることから、使用するポリエステルのカルボキシル末端基濃度は可能な範囲で低いものが好適であり、20当量/ポリエステル106g以下であるのが好ましく、15当量/ポリエステル106g以下であることがさらに好ましい。
【0022】
ここで、ポリエステルの末端カルボキシル基濃度の測定は、PohlによりANALYTICAL CHEMISTRY 第26巻、1614頁に記載された方法で測定したものである。
【0023】
本発明のポリエステルモノフィラメントは、ポリエステル以外の成分として、ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ0.3〜10重量%を含有するものである。
【0024】
前記ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマとは、ポリエチレン、ポリプロピレン、オリメチルペンテン、ポリブテンまたはエチレン・エチルアクリレート共重合体などのポリオレフィン類に対し、ポリスチレンがグラフトされたポリマであり、中でもポリスチレンがグラフトされたポリエチレン、ポリスチレンがグラフトされたポリプロピレン、およびポリスチレンがグラフトされたエチレン・エチルアクリレート共重合体から選ばれた少なくとも1種が特に好ましい。これらのポリマは、各々“モディパー”(登録商標、日本油脂株式会社製品)A1100(ポリスチレンがグラフトされたポリエチレン),A3100(ポリスチレンがグラフトされたポリプロピレン)、およびA5100(ポリスチレンがグラフトされたエチレン・エチルアクリレート共重合体)が市販品として知られており、これらを購入して使用することができる。
【0025】
ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマのポリエステルモノフィラメント中における含有量が0.3重量部より少ないと、ポリエステルモノフィラメントの耐加水分解性が不足し、10重量%より多いと、ポリエステルモノフィラメントの強度が不足するため好ましくない。
【0026】
ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマは、ポリエステルモノフィラメント中において微細なフィブリル状に分散し、別に添加されるモノカルボジイミド化合物をその微細な分散体の内部に取り込むことにより、モノカルボジイミドがポリエステルのヒドロキシル末端基と副反応して失活消費されることを抑制する作用を有するものであり、ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマがポリエステルモノフィラメント中に存在することにより、ポリエステルモノフィラメント中におけるモノカルボジイミド化合物の含有量を増加せしめる作用を有する。
【0027】
本発明のポリエステルモノフィラメントは、さらにモノカルボジイミド化合物(以下、MCD化合物という)0.01〜1.5重量%を含有する。
【0028】
本発明のポリエステルモノフィラメントが含有するMCD化合物とは、ポリエステルモノフィラメント中において、分子中に1個のカルボジイミド基(−N=C=N−)を含有する化合物である。
【0029】
MCD化合物としては、1分子中に1個のカルボジイミド基を有する化合物であればいかなるものでもよく、例えば、N,N´−ジ−o−トリイルカルボジイミド、N,N´−ジフェニルカルボジイミド、N,N´−ジオクチルデシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N´−シクロヘキシルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert. −ブチルフェニルカルボジイミド、N−トリイル−N´−フェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ニトロフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−アミノフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−p−ヒドロキシフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−シクロヘキシルカルボジイミド、およびN,N´−ジ−p−トリイルカルボジイミドなどが挙げられる。これらのMCD化合物の中から1種または2種以上の化合物を任意に選択しポリエステルモノフィラメントに含有させればよいが、ポリエステルに添加後の安定性から、芳香族骨格を有する化合物が有利な傾向にあり、中でもN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジ−tert. −ブチルフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジメチルフェニルカルボジイミド、およびN,N´−ジ−o−トリイルカルボジイミドなどの使用が好ましく、特にN,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(以下、TICという)の使用が好適である。TICとしては、市販品である Rhein-Chemie社製の“STABAXOL”(登録商標)Iまたは Raschig AG社製の“Stabilizer”(登録商標)7000などを購入して使用することができる。また、MCD化合物は、ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマに予め高濃度に含有させたマスターバッチとして用いることができる。
【0030】
本発明のポリエステルモノフィラメントが含有するMCD化合物は、ポリエステルの加水分解を促進する触媒作用を有するポリエステル自身のカルボキシル末端基(以下、COOH末端基という)を反応封鎖・不活性化する作用を有する。
【0031】
ポリエステルのCOOH末端基は、原料由来、重縮合起因、溶融成型時の熱や加水分解、および湿熱雰囲気中で使用中の加水分解によって発生する。
【0032】
このようなポリエステルの加水分解を抑制するためには、溶融成形前のポリエステルにMCD化合物を含有させてCOOH末端基を不活性化すると共に、成形品中にもMCD化合物を含有させて湿熱雰囲気中で使用中の加水分解によって発生するCOOH末端基を不活性化する必要がある。したがって、ポリエステルモノフィラメントの耐用期間を延長する上では、モノフィラメント中にいかに多量のMCD化合物を含有させるかが重要になる。
【0033】
ここで本発明にいうポリエステルモノフィラメント中のMCD化合物の含有量は次の方法で測定したものである。
(1)100mlメスフラスコに試料約200mgを秤取する。
(2)ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム(容量比1/1)2mlを加えて試料を溶解させる。
(3)試料が溶解したら、クロロホルム8mlを加える。
(4)アセトニトリル/クロロホルム(容量比9/1)を徐々に加えポリマを析出させながら100mlとする。
(5)試料溶液を目開き0.45μmのディスクフィルターで濾過し、HPLCで定量分析する。HPLC分析条件は次の通り。
【0034】
カラム:Inertsil ODS−2 4.6mm×250mm
移動相:アセトニトリル/水(容量比94/6)
流 量:1.5ml/min.
試料量:20μl
検出器:UV(280nm)
本発明のポリエステルモノフィラメントは、さらに下記の条件を満たすポリカルボジイミド化合物を0〜3.0重量部含有する。
【0035】
〔ポリカルボジイミド化合物は、該ポリカルボジイミド化合物中の未反応のカルボジイミド基(D1)と、ポリエステルのCOOH末端基および/またはヒドロキシル末端基とが一部反応しているカルボジイミド基(D2)との合計((D1)+(D2))で1分子中に5〜100個のカルボジイミド基を含有する。〕本発明のポリエステルモノフィラメントが含有するところの、ポリカルボジイミド化合物(以下、PCD化合物と略記する)としては、例えば、カルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6-位および/または2,4,6-位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とする芳香族PCD化合物、1,3,5-トリス(1-メチルエチル)-2,4-ジイソシアナトベンゼンから合成される芳香族PCD化合物、1,3,5-トリス(1-メチルエチル)-2,4-ジイソシアナトベンゼンと2,6-ジイソプロピルベンゼンジイソシアネートとの混合体から合成される芳香族PCD化合物、 1,3,5-トリス(1-メチルエチル)-2,4-ジイソシアナトベンゼンと 1,3,5-トリス(イソプロピル)-2,4-ジイソシアナトベンゼンとの混合体から合成される芳香族PCD化合物、およびポリ[1,1'-ジシクロヘキシルメタン(4,4'-ジイソシアネート)]から合成される脂環式PCD化合物を好ましく挙げることができる。ただし、これに何ら制限されるものではない。
【0036】
これらのPCD化合物の中では、カルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6-位および/または2,4,6-位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とする芳香族PCD化合物が特に好ましい。
【0037】
前記カルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6-位および/または2,4,6-位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とする芳香族PCD化合物は市販品として、例えば平均分子量約3,000 の“STABAXOL”(登録商標)P(Rhein Chemie社製品)、平均分子量約10,000の“STABAXOL”(登録商標)P100(Rhein Chemie社製品)および平均分子量約20,000の“STABILIZER”(登録商標)9000(Raschig社製品)が知られており、これらを入手して使用することができる。また、前記ポリ[1,1'-ジシクロヘキシルメタン(4,4'-ジイソシアネート)]から合成される脂環式PCD化合物は市販品として、例えば“CARBODILITE”(登録商標)HMV-8CA(日清紡績株式会社製品)が知られており、これを入手して使用することができる。
【0038】
これらのPCD化合物は予めポリエステルに練り込んだマスターバッチとしても市販されており、例えば前記した平均分子量約10,000の“STABAXOL”(登録商標)P100を15重量%含有するPETマスターバッチである“STABAXOL”(登録商標)KE-7646(Rhein Chemie社製品)および前記した平均分子量約20,000の“STABILIZER”(登録商標)9000を15重量%含有するPETマスターバッチである“STABILIZER”9500(登録商標)(Raschig社製品)等が知られている。また、PCD化合物とMCD化合物とはお互いに溶解混合して使用することができる。
【0039】
ポリエステルモノフィラメント中におけるPCD化合物の含有量は、目的とする耐加水分解性レベルによって0〜3.0重量%の範囲で調整できる。PCD化合物の存在によって、ポリエステルモノフィラメントの耐加水分解劣化を一層抑制することができる。ただし、PCD化合物の含有量が3.0重量%を越えるとポリエステルの溶融粘度が上昇しすぎたり、吐出や成形が困難になため好ましくない。
【0040】
本発明のポリエステルモノフィラメントは、さらにフェノール系酸化防止剤を0〜2重量%、更に好ましくは0.05〜1重量%含有する。
【0041】
本発明におけるフェノール系酸化防止剤としては、例えば2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス〔1,1'-ジメチル-2-〔β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-〔メチレン-3-(3'-5'-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ビス〔3,3'-ビス-(4'-ヒドロキシ-3'-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、および1,3,5-トリス(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)トリオンなどを挙げることができる。ただし、これに何ら制限されるものではない。
【0042】
これらのフェノール系酸化防止剤の中では、テトラキス-〔メチレン-3-(3'-5'-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンが特に好ましい。テトラキス-〔メチレン-3-(3'-5'-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンは市販品として、例えば“Irganox”(登録商標)1010(チバ・スペシャリテイ・ケミカルズ社製品)が知られており、これを入手して使用することができる。
【0043】
フェノール系酸化防止剤を含有することにより、本発明のポリエステルモノフィラメントは、さら十分な耐乾熱性を有するものとなる。フェノール系酸化防止剤の含有量が2重量%を越えると耐加水分解性が低下するため好ましくない。
【0044】
本発明のポリエステルモノフィラメントのCOOH末端基濃度は、10当量(以下、eqという)/ポリエステルモノフィラメント106g(以下、MF106gという)以下であり、更に好ましくは5eq/MF106g以下である。
【0045】
ここで、本発明のポリエステルモノフィラメントのCOOH末端基濃度の測定は、PohlによりANALYTICAL CHEMISTRY 第26巻、1614頁に記載された方法で測定したものである。
【0046】
本発明のポリエステルモノフィラメントの製造は、ポリエステルに対し、ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ0.3〜10重量%、MCD化合物0.01〜1.5重量%、PCD化合物0〜1.5重量%およびフェノール系酸化防止剤0〜2重量%を溶融混練した組成物を、溶融紡糸することにより行うことができる。
【0047】
本発明のポリエステルモノフィラメントの具体的な製造例としては、例えば、1軸もしくは2軸エクストルダに必要量のポリエステルペレットとポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマペレットおよび必要に応じて所定量のPCD化合物を高濃度に含有したポリエステルマスタバッチとフェノール系酸化防止剤とを計量供給し、エクストルダの入り口または、エクストルダのバレルの途中から液体状のMCD化合物を計量添加して溶融混練した後、エクストルダ先端に設けた計量ギアポンプを介して紡糸口金より押し出し、冷却・延伸・熱セットを行うなどの方法(以下、製造方法1という)、または、1軸もしくは2軸エクストルダに必要量のポリエステルペレット、ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマペレット、必要に応じて粉末状PCD化合物およびフェノール系酸化防止剤とを計量供給し、エクストルダの入り口または、エクストルダのバレルの途中から液体状のMCD化合物を計量添加して溶融混練した後、エクストルダ先端に設けた計量ギアポンプを介して紡糸口金より押し出し、冷却・延伸・熱セットを行うなどの方法などを挙げることができる。これらの方法のうちでは、前記製造方法1が工業的に有利である。
【0048】
これらの製造方法において、ポリエステル、ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ、MCD化合物、PCD化合物およびフェノール系酸化防止剤とを溶融混練する時の温度は、ポリエステルの融点以上、295℃以下に調節することが有利であり、275℃〜290℃の範囲に調節するのがさらに有利である。また、溶融してから紡出するまでの滞留時間は7分以下が有利であり、5分以下がさらに有利である。溶融混練温度と溶融してから紡出するまでの滞留時間とを上記の範囲に調節することにより、耐乾熱性と耐加水分解性に優れた本発明のポリエステルモノフィラメントを好ましく製造することができる。
【0049】
本発明のポリエステルモノフィラメントは、1本の単糸からなる連続糸である。 該ポリエステルモノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面の形状(以下、断面形状もしくは断面という)は、円、扁平、正方形、半月状、三角形、5角以上の多角形、多葉状、ドッグボーン状および繭型などいかなる断面形状を有するものでもよい。本発明のポリエステルモノフィラメントを工業用織物の構成素材として用いる場合には、該モノフィラメントの断面形状が円もしくは扁平の形状であることが好ましい。特に、ポリエステルモノフィラメントを抄紙用ドライヤーキャンバスの経糸として用いる場合には、防汚性を有効に発現させ、キャンバスの平坦性に優れるという観点から、該モノフィラメントの断面形状が扁平なものが好ましく用いられる。本発明における扁平とは、楕円、正方形もしくは長方形のことであるが、数学的に定義される正確な楕円、正方形もしくは長方形以外に、概ね楕円、正方形もしくは長方形に類似した形状、例えば正方形および長方形の角を丸くした形状を含むものである。また、楕円の場合は、該楕円の中心で直角に交わる長軸の長さ(LD)と短軸の長さ(SD)とが次式を満足する関係にあり、正方形もしくは長方形の場合は、長方形の長辺の長さ(LD)と短辺の長さ(SD)とが次式を満足する関係にあることが好ましい。
【0050】
1.0≦LD/SD≦10
該モノフィラメント断面の重心を通る線分の長さは、用途によって適宜選択できるが、0.05〜2.5mmの範囲が好ましい。また、糸の必要強度は用途により異なるが、概ね3.0g/デニール以上であることが好ましい。
【0051】
かくして得られる本発明のポリエステルモノフィラメントは、従来のものより耐加水分解性に優れ、かつ十分な耐乾熱性を有するものであり、高温高湿雰囲気下で使用される工業用織物の構成素材として好適である。
【0052】
工業用織物とは、本発明のポリエステルモノフィラメントを織物の緯糸および/または経糸の少なくとも一部に使用した抄紙ドライヤーキャンバス、抄紙ワイヤー(紙漉き用の網)、サーマルボンド法不織布熱接着工程用ネットコンベア、熱処理炉内搬送用ベルト織物もしくは各種フィルターのことであり、本発明のポリエステルモノフィラメントを工業用織物の少なくとも一部の構成素材として用いた工業用織物は、高温・高湿に曝された場合の耐久性が優れた有用なものである。
【0053】
ここで抄紙ワイヤーとは、平織、二重織および三重織など様々な織物として、紙の漉き上げ工程で使用される織物のことであり、網あるいは丸網などとして用いられるものである。また、抄紙ドライヤーキャンバスとは、平織り、二重織および三重織など様々な織物(相前後する緯糸と緯糸とがスパイラル状の経糸用モノフィラメントによって織継がれたスパイラル状織物を含む)として、抄紙機のドライヤー内で紙を乾燥させるために使用される織物のことである。さらに、不織布の熱接着工程用ベルト織物とは、不織布を構成する低融点のポリエチレンのような熱接着性繊維を融着させるために不織布を炉中に通過させるための織物であり、平織り、二重織、などの織物である。また、熱処理炉内搬送用ベルトとは、各種半製品の乾燥、熱硬化、殺菌、加熱調理などのために高温ゾーン内において半製品を搬送する織物のことである。さらにまた、各種フィルターとは、高温の液体、気体、粉体などをろ過する織物のことである。
【0054】
本発明のポリエステルモノフィラメントは、これらの工業用織物の中でも、特に高度な耐加水分解性と高度な耐乾熱性とが要求される抄紙ドライヤーキャンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト織物への適用が好適である。
【0055】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0056】
なお、以下の実施例における特性値は各実施例の中で特に記さない限り、次に示す方法によって測定したものである。
1.モノフィラメントの引張試験
JIS L1013−1992に準拠して行なった。
【0057】
(1)サンプルつかみ間隔 25cm
(2)引張速度 30cm/min.
(3)試験温度 20℃
2.モノフィラメントの耐加水分解性
モノフィラメントを100リットルのオートクレーブに入れ、121℃飽和水蒸気中で14日間、16日間、18日間処理した後、該処理後の モノフィラメントの強力を上記のモノフィラメントの引張試験により求め、処理前のモノフィラメントの強力と比較した強力保持率を耐加水分解性の尺度とした(以下、蒸熱処理後の強力保持率という)。蒸熱処理後の加水分解後の強力保持率が高いほど耐加水分解性が優れることを表す。
3.モノフィラメントの耐乾熱性試験
モノフィラメントを熱風循環式耐熱性試験機に入れ、180℃加熱空気中で15日間、18日間、20日間処理した後、該処理後のモノフィラメントの強力を上記のモノフィラメントの引張試験により求め、処理前のモノフィラメントの強力と比較した強力保持率を耐乾熱性の尺度とした(以下、乾熱処理後の強力保持率という)。乾熱処理後の強力保持率が高いほど耐乾熱性が優れるこ
とを表す。
〔実施例1〜12,比較実施例1〕
原料として、公知の溶融重縮合と固相重縮合とによって製造した極限粘度0.94、末端カルボキシル基濃度15当量/106gのポリエチレンテレフタレート乾燥チップ(以下、 PETチップという)、ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマである“モディパー”(登録商標)A1100(ポリスチレングラフトポリエチレン(以下、PE−g−PSという))(日本油脂(株)製品)、“モディパー”A3100(ポリスチレンがグラフトされたポリプロピレン(以下、PP−g−PSという))および“モディパー”A5100(ポリスチレンがグラフトされたエチレン・エチルアクリレート共重合体(以下、MMA−g−PSという))、MCD化合物としてTIC(“STABAXOL”(登録商標)I(Rhein Chemie社製品))、カルボジイミド基に結合するベンゼン環の2,6-位および/または2,4,6-位にイソプロピル基が置換した構造を繰り返し単位とする芳香族PCD化合物を15重量%含有するPETマスターバッチ(以下、PCD−MBという)である“STABAXOL”(登録商標)KE7646(Rhein Chemie社製品)およびフェノール系酸化防止剤の一種であるテトラキス-〔メチレン-3-(3'-5'-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(“Irganox”(登録商標)1010(チバ・スペシャリテイ・ケミカルズ社製品))(以下、IR1010という)を用意した。
【0058】
前記のPETチップ、ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ類、KE7646およびIR1010を、表1に示した量比で計量しながら、1軸エクストルダーのホッパーおよびホッパー下部のポリマ配管を経由して1軸エクストルダーに連続供給した。同時にホッパー下部のポリマ配管中の上記チップに液体TICを表1に示した量比で計量しながら連続供給した。1軸エクストルダー内で約282℃で3分間溶融混練した溶融ポリマをギアポンプを経て紡糸パック内の濾過層を通して円形断面糸用紡糸口金より紡出した。紡出モノフィラメントを70℃の湯浴で冷却後、常法にしたがい合計5.0倍に延伸および熱セットを行ない、直径0.45mmの断面形状が円形のポリエステルモノフィラメントを得た。得られたポリエステルモノフィラメントの組成、および特性を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
実施例1〜12および比較実施例1の結果からは、ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ類とMCD化合物とを含有する本発明のポリエステルモノフィラメントは耐加水分解性に優れたものであることがわかる。また、ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ類とMCD化合物に加えて、PCD化合物を含有する本発明のポリエステルモノフィラメントは、耐加水分解性が一層良好なことがわかる。さらに、ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ類とMCD化合物に加えてフェノール系抗酸化剤を含有する本発明のポリエステルモノフィラメントは、耐加水分解性と耐乾熱性に優れたものであることがわかる。さらにまた、ポリスチレンがグラフトされたポリオレフィン系ポリマ類、MCD化合物、PCD化合物およびフェノール系抗酸化剤を含有する本発明のポリエステルモノフィラメントは、優れた耐加水分解性と十分な耐乾熱性を兼ね備えているものであることがわかる。
〔実施例13〜24、比較実施例2〕
抄紙ドライヤーカンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト織物のモデルとして、実施例1〜12および比較実施例1で得たモノフィラメントを緯糸および経糸に使用した平織物を作成した。
【0061】
得られた平織物を、抄紙機のドライヤーでの使用時耐久性の促進試験条件である、121℃の飽和水蒸気中18日間処理を施した後、該平織物から経糸を取り出して強力保持率を測定した。結果を表2に示す。
【0062】
また、同様に作成した平織物を、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト織物の耐久性の促進試験条件である、180℃にコントロールした熱風循環式耐熱性試験機内で20日間処理した後、該平織物から経糸を取り出して強力保持率を測定した。結果を表2に併示する。
【0063】
【表2】
【0064】
実施例13〜24および比較実施例2の結果からは、本発明のモノフィラメントを使用した抄紙ドライヤーカンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト織物のモデルである平織物は、優れた耐加水分解性と十分な耐乾熱性を兼ね備えたものであることがわかる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポリエステルモノフィラメントは、従来のものより優れた耐加水分解性と十分な耐乾熱性を有している。また、本発明のポリエステルモノフィラメントを使用した抄紙ドライヤーカンバス、不織布の熱接着工程用ベルト織物および熱処理炉内搬送ベルト織物は、優れた耐加水分解性と耐乾熱性を兼ね備えたものであり、産業上の利用価値の高いものである。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
INDUSTRIAL APPLICABILITY The present invention is a polyester monofilament excellent in hydrolysis resistance, and further in dry heat resistance, and a paper making dryer canvas, a belt woven fabric for a thermal bonding process of a nonwoven fabric, and a conveyor belt woven fabric in a heat treatment furnace using the polyester monofilament. It relates to textiles for use.
[0002]
[Prior art]
Since polyester monofilament has excellent physical properties, it has been widely used as a constituent material of various industrial fabrics such as a paper-making dryer canvas, a nonwoven fabric belt fabric for thermal bonding process, and a conveyor belt in a heat treatment furnace.
[0003]
However, when polyester monofilaments are used under conditions where they are easily hydrolyzed, such as at high temperatures and high humidity, for example, when used as a constituent material for paper-making dryer canvas, the polyester monofilaments will deteriorate in strength due to hydrolysis degradation during use. It was difficult to withstand long-term use.
[0004]
For this reason, various proposals have heretofore been made in order to improve the hydrolysis resistance, which is a drawback of the polyester monofilament.
[0005]
For example, a polyester monofilament (see Patent Document 1) to which a specific amount of polyolefin such as polyethylene, polypropylene, polybutene, poly-4-methylpentene 1, and polystyrene is added is known. The added monofilament made of polyethylene terephthalate is not practical because the effect of improving hydrolysis resistance is small.
[0006]
Moreover, the method of improving the hydrolysis resistance of polyester by adding a carbodiimide compound is known. For example, a method of forming a filament not containing unreacted carbodiimide by adding a mono or biscarbodiimide compound and kneading and spinning in a short time (see Patent Document 2), a poly having 3 or more carbodiimide groups in the molecule A method of adding a carbodiimide compound (see Patent Document 3), a carboxyl end group is capped by reaction with carbodiimide, and a free polycarbodiimide or still reactive polycarbodiimide with 30 to 200 ppm of free mono- and / or bis-carbodiimide compound There has been proposed a method for producing polyester fibers and filaments containing at least 0.02% by weight of a reaction product containing a group (see Patent Document 4).
[0007]
Furthermore, a method for producing an industrial polyester monofilament in which a specific carbodiimide compound is added to a polyester containing a specific amount of phosphorus (see Patent Document 5), the terminal carboxyl group concentration is 10 equivalents / polyester 106a polyester monofilament containing 0.005 to 1.5% by weight of a carbodiimide compound in an unreacted state and 0.01 to 30% by weight of a fluorine-based polymer (see Patent Document 6), Polycarbodiimide containing 230 ppm to 1.5% by weight of the unreacted monocarbodiimide compound (A), partially reacting with the carboxyl end groups of the unreacted polycarbodiimide compound and / or polyester, and having unreacted carbodiimide groups Polyester monofilament containing 0.05 to 1.5% by weight of compound (B) (see Patent Document 7), polymer component has a terminal carboxyl group concentration of 10 equivalents / 106g or less polyester (A) 99.8 to 60% by weight and a fluorine polymer-free thermoplastic polymer (B) 0.2 to 40% by weight, in which the polymer component is in an unreacted carbodiimide compound (C ) Containing 0.005 to 1.5% by weight of a polyester monofilament (see Patent Document 8), a polyester composition containing a specific amount of polystyrene and unreacted monocarbodiimide compound and polycarbodiimide compound such as a syndiotactic structure Various improvements have also been made with monofilaments made of products (see Patent Document 9) and polyester monofilaments (see Patent Document 10) to which a specific amount of an ethylene / acrylate copolymer and a carbodiimide compound are added.
[0008]
However, even when the polyester monofilament has improved hydrolysis resistance by the above-described method, when it is intended to be used as a constituent material of a dryer canvas in a process requiring high heat resistance, for example, in a process where the drying temperature of a papermaking dryer is high, When trying to use it as a constituent material for dryer canvas used for dry parts whose drying temperature is higher than before for the purpose of improving paper productivity and ear parts exposed to higher temperature without contact with wet paper However, the hydrolysis resistance is insufficient and the use of expensive PPS monofilaments has been forced.
[0009]
[Patent Document 1]
JP 51-136923 A (pages 1 to 5)
[Patent Document 2]
JP 50-95517 A (pages 1 to 4)
[Patent Document 3]
Japanese Examined Patent Publication No. 38-15220 (pages 1-6)
[Patent Document 4]
JP-A-4-289221 (pages 1-7)
[Patent Document 5]
JP-A-57-205518 (pages 1 to 9)
[Patent Document 6]
Republication International Publication No. WO 92/07126 (pages 1-11)
[Patent Document 7]
JP-A-7-216647 (pages 1-7)
[Patent Document 8]
JP-A-7-258524 (pages 1 to 43)
[Patent Document 9]
JP-A-10-168661 (pages 1 to 11)
[Patent Document 10]
Japanese Patent Laid-Open No. 14-20931 (pages 1-7)
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention was made as a result of investigations to solve the above-described problems in the prior art, and has various hydrolytic resistances superior to those of the conventional ones, and further various dry industrial resistances. Polyester monofilament useful as a constituent material for textiles, and paper fabric dryer canvas using the polyester monofilament, belt fabric for thermal bonding process of nonwoven fabric, and industrial fabric such as conveyor belt fabric in heat treatment furnace is there.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the polyester monofilament of the present invention is a polyolefin polymer 0.3 to 10% by weight of polystyrene grafted to a polyester, 0.01 to 1.5% by weight of a monocarbodiimide compound, A polyester monofilament composed of a composition containing 0 to 3.0% by weight of a polycarbodiimide compound satisfying the following condition and 0 to 2% by weight of a phenolic antioxidant,The polyolefin polymer grafted with polystyrene is at least one selected from polyethylene grafted with polystyrene, polypropylene grafted with polystyrene, and ethylene / ethyl acrylate copolymer grafted with polystyrene,Carboxyl end group concentration is 10 equivalents / polyester monofilament 106g or less.
[0012]
[However, the polycarbodiimide compound includes an unreacted carbodiimide group (D1) in the polycarbodiimide compound and a carbodiimide group (D2) in which the carboxyl terminal group and / or the hydroxyl terminal group of the polyester are partially reacted. The total ((D1) + (D2)) contains 5 to 100 carbodiimide groups in one molecule. ]
In the polyester monofilament of the present invention,,
in frontThe monocarbodiimide compound is N, N′-di-2,6-diisopropylphenylcarbodiimide,
The polycarbodiimide compound is an aromatic polycarbodiimide compound in which the ortho position of the phenyl group is substituted with an isopropyl group with respect to the carbodiimide group; and
The phenolic antioxidant is tetrakis- [methylene-3- (3′-5′-di-t-butyl-4-hydroxyphenyl) propionate] methane;
Is a preferable condition, and it can be expected to obtain a more excellent effect by satisfying at least one of these conditions.
[0013]
The industrial fabric of the present invention is characterized in that the polyester monofilament described above is used as at least a part of a weft or warp, and is a papermaking dryer canvas, a belt fabric for a thermal bonding process of a nonwoven fabric, and a conveyor belt in a heat treatment furnace. When it is applied to at least one kind of use selected from woven fabrics, the best effect is exhibited.
[0014]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The present invention is described in detail below.
[0015]
The polyester constituting the polyester monofilament of the present invention is a polyester comprising a dicarboxylic acid component and a glycol component. Examples of the dicarboxylic acid component include terephthalic acid, 2,6-naphthalenedicarboxylic acid, isophthalic acid, and 1,4-cyclohexanedicarboxylic acid. Examples of the glycol component include ethylene glycol, propylene glycol, tetramethylene glycol, and 1,4-cyclohexanedimethanol. These dicarboxylic acid components and glycol components can be used in appropriate combination. In addition, a part of the dicarboxylic acid component may be replaced with adipic acid, sebacic acid, dimer acid, sulfonic acid metal salt-substituted isophthalic acid, or the like, and a part of the glycol component may be diethylene glycol or neopentyl glycol. 1,4-cyclohexanediol and polyalkylene glycol may be substituted. Furthermore, a small amount of chain branching agents such as pentaerythritol, trimethylolpropane, trimellitic acid, trimesic acid and boric acid can be used in combination. The polyester used in the present invention includes aliphatic polyesters such as polylactic acid.
[0016]
Among these, polyethylene terephthalate (hereinafter referred to as PET), in which 90 mol% or more of the dicarboxylic acid component is composed of terephthalic acid and 90 mol% of the glycol component is composed of ethylene glycol, is preferable.
[0017]
In order to efficiently express the effects of the present invention, the phosphorus compound can be contained in the polyester in an amount of 50 ppm or less as a phosphorus atom and within the range of the following general formula.
[0018]
5 × 10-3≦ P ≦ M + 8 × 10-3
(In the formula, P is the mol% of the phosphorus atom with respect to the dibasic acid constituting the polyester, M is a metal in the polyester resin, and includes groups II, VII and VIII of the periodic table and those of the third and fourth periods. It is the mol% of the dibasic acid constituting the polyester of one or more metal atoms selected from the above, and M may be 0).
[0019]
Polyester includes titanium oxide, silicon oxide, calcium carbonate, silicon nitride, clay, talc, kaolin, zirconium acid, carbon black and other inorganic particles, cross-linked polymer particles, various metal particles and other conventional particles. Known sequestering agents, ion exchangers, anti-coloring agents, light-proofing agents, inclusion compounds, antistatic agents, various coloring agents, waxes, silicone oils, various surfactants and various reinforcing fibers are added. May be.
[0020]
The intrinsic viscosity of the polyester is usually 0.6 or more, but 0.7 or more is preferable because of excellent strength. Here, the intrinsic viscosity is an intrinsic viscosity obtained from a viscosity measured at 25 ° C. in an orthochlorophenol solution, and is represented by [η].
[0021]
The polyester monofilament of the present invention has a carboxyl end group concentration of 10 equivalents / polyester monofilament 106Since the carboxyl end group concentration of the polyester used is as low as possible, 20 equivalents / polyester 10 is preferable.6g or less, preferably 15 equivalents / polyester 106More preferably, it is g or less.
[0022]
Here, the measurement of the terminal carboxyl group concentration of the polyester was measured by the method described by Pohl in ANALYTICAL CHEMISTRY Vol. 26, page 1614.
[0023]
The polyester monofilament of the present invention contains 0.3 to 10% by weight of a polyolefin polymer grafted with polystyrene as a component other than polyester.
[0024]
The polyolefin-based polymer grafted with polystyrene is a polymer in which polystyrene is grafted on polyolefins such as polyethylene, polypropylene, olimethylpentene, polybutene or ethylene / ethyl acrylate copolymer, among which polystyrene is grafted. Particularly preferable is at least one selected from polyethylene, polystyrene grafted with polystyrene, and ethylene / ethyl acrylate copolymer grafted with polystyrene. These polymers are “Modiper” (registered trademark, manufactured by NOF Corporation) A1100 (polystyrene grafted with polystyrene), A3100 (polypropylene grafted with polystyrene), and A5100 (ethylene polystyrene grafted with polystyrene). Acrylate copolymers) are known as commercial products, and these can be purchased and used.
[0025]
When the content of the polyolefin polymer grafted with polystyrene in the polyester monofilament is less than 0.3 parts by weight, the hydrolysis resistance of the polyester monofilament is insufficient, and when the content is more than 10% by weight, the strength of the polyester monofilament is insufficient. Therefore, it is not preferable.
[0026]
Polyolefin polymer grafted with polystyrene is dispersed in a fine fibril form in a polyester monofilament, and a monocarbodiimide compound added separately is incorporated into the fine dispersion, whereby the monocarbodiimide is converted into hydroxyl end groups of the polyester. It has the action of suppressing the deactivation and consumption by side reaction with the polyester monofilament, and the content of the monocarbodiimide compound in the polyester monofilament is reduced by the presence of the polyolefin polymer grafted with polystyrene in the polyester monofilament. Has the effect of increasing.
[0027]
The polyester monofilament of the present invention further contains 0.01 to 1.5% by weight of a monocarbodiimide compound (hereinafter referred to as MCD compound).
[0028]
The MCD compound contained in the polyester monofilament of the present invention is a compound containing one carbodiimide group (—N═C═N—) in the molecule in the polyester monofilament.
[0029]
The MCD compound may be any compound having one carbodiimide group in one molecule. For example, N, N′-di-o-triylcarbodiimide, N, N′-diphenylcarbodiimide, N, N′-dioctyldecylcarbodiimide, N, N′-di-2,6-dimethylphenylcarbodiimide, N-triyl-N′-cyclohexylcarbodiimide, N, N′-di-2,6-diisopropylphenylcarbodiimide, N, N '-Di-2,6-di-tert.-butylphenylcarbodiimide, N-triyl-N'-phenylcarbodiimide, N, N'-di-p-nitrophenylcarbodiimide, N, N'-di-p-amino Phenylcarbodiimide, N, N'-di-p-hydroxyphenylcarbodiimide, N, N'-di-cyclohexylca Bojiimido, and N, such as N'- di -p- triyl carbodiimide. One or more compounds may be arbitrarily selected from these MCD compounds and included in the polyester monofilament. However, the compound having an aromatic skeleton tends to be advantageous from the viewpoint of stability after addition to the polyester. Among them, N, N'-di-2,6-diisopropylphenylcarbodiimide, N, N'-di-2,6-di-tert.-butylphenylcarbodiimide, N, N'-di-2,6-dimethyl The use of phenylcarbodiimide, N, N′-di-o-triylcarbodiimide and the like is preferable, and the use of N, N′-di-2,6-diisopropylphenylcarbodiimide (hereinafter referred to as TIC) is particularly preferable. As the TIC, commercially available products such as “STABAXOL” (registered trademark) I manufactured by Rhein-Chemie or “Stabilizer” (registered trademark) 7000 manufactured by Raschig AG can be used. Further, the MCD compound can be used as a masterbatch that is previously contained in a polyolefin polymer grafted with polystyrene at a high concentration.
[0030]
The MCD compound contained in the polyester monofilament of the present invention has a function of reaction-blocking / inactivating a carboxyl end group (hereinafter referred to as COOH end group) of the polyester itself having a catalytic action for promoting hydrolysis of the polyester.
[0031]
The COOH end group of the polyester is generated by raw material origin, polycondensation, heat and hydrolysis during melt molding, and hydrolysis during use in a moist heat atmosphere.
[0032]
In order to suppress such hydrolysis of the polyester, the polyester before melt molding is allowed to contain an MCD compound to inactivate the COOH end groups, and the molded product is also contained in a moist heat atmosphere. It is necessary to inactivate the COOH end groups generated by hydrolysis during use. Therefore, in order to extend the service life of the polyester monofilament, it is important how much MCD compound is contained in the monofilament.
[0033]
Here, the content of the MCD compound in the polyester monofilament referred to in the present invention is measured by the following method.
(1) Weigh about 200 mg of sample into a 100 ml volumetric flask.
(2) Add 2 ml of hexafluoroisopropanol / chloroform (volume ratio 1/1) to dissolve the sample.
(3) When the sample is dissolved, add 8 ml of chloroform.
(4) Acetonitrile / chloroform (volume ratio 9/1) is gradually added to make 100 ml while polymer is precipitated.
(5) The sample solution is filtered through a disk filter having an aperture of 0.45 μm and quantitatively analyzed by HPLC. The HPLC analysis conditions are as follows.
[0034]
Column: Inertsil ODS-2 4.6 mm × 250 mm
Mobile phase: acetonitrile / water (volume ratio 94/6)
Flow rate: 1.5 ml / min.
Sample volume: 20 μl
Detector: UV (280 nm)
The polyester monofilament of the present invention further contains 0 to 3.0 parts by weight of a polycarbodiimide compound that satisfies the following conditions.
[0035]
[The polycarbodiimide compound is a sum of unreacted carbodiimide groups (D1) in the polycarbodiimide compounds and carbodiimide groups (D2) in which the COOH end groups and / or hydroxyl end groups of the polyester are partially reacted ( (D1) + (D2)) contains 5 to 100 carbodiimide groups in one molecule. As the polycarbodiimide compound (hereinafter abbreviated as PCD compound) contained in the polyester monofilament of the present invention, for example, the 2,6-position and / or 2,4,6 of the benzene ring bonded to the carbodiimide group An aromatic PCD compound having a repeating unit substituted with an isopropyl group at the -position, an aromatic PCD compound synthesized from 1,3,5-tris (1-methylethyl) -2,4-diisocyanatobenzene, Aromatic PCD compound synthesized from a mixture of 1,3,5-tris (1-methylethyl) -2,4-diisocyanatobenzene and 2,6-diisopropylbenzene diisocyanate, 1,3,5-tris Aromatic PCD compounds synthesized from a mixture of (1-methylethyl) -2,4-diisocyanatobenzene and 1,3,5-tris (isopropyl) -2,4-diisocyanatobenzene, and poly [1,1'-dicyclo Kishirumetan (4,4'-diisocyanate) can be preferably exemplified an alicyclic PCD compound synthesized from. However, there is no limitation to this.
[0036]
Among these PCD compounds, aromatic PCD compounds having a structure in which an isopropyl group is substituted at the 2,6-position and / or 2,4,6-position of a benzene ring bonded to a carbodiimide group are particularly preferable. .
[0037]
An aromatic PCD compound having a repeating unit having a structure in which an isopropyl group is substituted at the 2,6-position and / or 2,4,6-position of the benzene ring bonded to the carbodiimide group is commercially available, for example, an average molecular weight of about 3,000. "STABAXOL" (registered trademark) P (product of Rhein Chemie), "STABAXOL" (registered trademark) P100 (product of Rhein Chemie) having an average molecular weight of about 10,000 and "STABILIZER" (registered trademark) 9000 having an average molecular weight of about 20,000 ( Raschig products) are known and can be obtained and used. An alicyclic PCD compound synthesized from the above poly [1,1′-dicyclohexylmethane (4,4′-diisocyanate)] is commercially available, for example, “CARBODILITE” (registered trademark) HMV-8CA (Nisshinbo Co., Ltd.) Company products) are known and can be obtained and used.
[0038]
These PCD compounds are also commercially available as masterbatches previously kneaded into polyester. For example, “STABAXOL” is a PET masterbatch containing 15% by weight of “STABAXOL” (registered trademark) P100 having an average molecular weight of about 10,000. "STABILIZER" 9500 (registered trademark) (Raschig) which is a PET masterbatch containing 15% by weight of "STABILIZER" (registered trademark) 9000 (registered trademark) KE-7646 (product of Rhein Chemie) and the aforementioned average molecular weight of about 20,000 Company products) are known. Further, the PCD compound and the MCD compound can be used by being dissolved and mixed with each other.
[0039]
The content of the PCD compound in the polyester monofilament can be adjusted in the range of 0 to 3.0% by weight depending on the target hydrolysis resistance level. The presence of the PCD compound can further suppress hydrolysis degradation of the polyester monofilament. However, if the content of the PCD compound exceeds 3.0% by weight, it is not preferable because the melt viscosity of the polyester is excessively increased and it becomes difficult to discharge and mold the polyester.
[0040]
The polyester monofilament of the present invention further contains 0 to 2% by weight, more preferably 0.05 to 1% by weight of a phenolic antioxidant.
[0041]
Examples of the phenolic antioxidant in the present invention include 2,6-di-t-butyl-p-cresol, butylhydroxyanisole, 2,6-di-t-butyl-4-ethylphenol, stearyl-β- ( 3,5-di-t-butyl-4-hydroxyphenyl) propionate, 2,2'-methylenebis (4-methyl-6-t-butylphenol), 2,2'-methylenebis (4-ethyl-6-t- Butylphenol), 4,4'-thiobis (3-methyl-6-t-butylphenol), 4,4'-butylidenebis (3-methyl-6-t-butylphenol), 3,9-bis [1,1'- Dimethyl-2- [β- (3-t-butyl-4-hydroxy-5-methylphenyl) propionyloxy] ethyl] 2,4,8,10-tetraoxaspiro [5,5] undecane, 1,1, 3-tris (2-methyl-4-hydroxy-5-t-butylphenyl) butane, 1,3,5-trimethyl-2,4,6-tris (3,5-di-t-butyl-4-hydroxy (Benzyl) benzene, tetrakis- [methylene-3- (3'-5 ' -Di-t-butyl-4-hydroxyphenyl) propionate] methane, bis [3,3′-bis- (4′-hydroxy-3′-t-butylphenyl) butyric acid] glycol ester, and 1,3 , 5-tris (3 ′, 5′-di-t-butyl-4′-hydroxybenzyl) -S-triazine-2,4,6- (1H, 3H, 5H) trione and the like. However, there is no limitation to this.
[0042]
Of these phenolic antioxidants, tetrakis- [methylene-3- (3′-5′-di-t-butyl-4-hydroxyphenyl) propionate] methane is particularly preferred. Tetrakis- [methylene-3- (3′-5′-di-t-butyl-4-hydroxyphenyl) propionate] methane is a commercially available product such as “Irganox” (registered trademark) 1010 (Ciba Specialty Chemicals). Product) is known and can be obtained and used.
[0043]
By containing a phenolic antioxidant, the polyester monofilament of the present invention has a further sufficient resistance to dry heat. If the content of the phenolic antioxidant exceeds 2% by weight, the hydrolysis resistance is lowered, which is not preferable.
[0044]
The polyester monofilament of the present invention has a COOH end group concentration of 10 equivalents (hereinafter referred to as eq) / polyester monofilament 106g (hereinafter referred to as MF10)6g)), and more preferably 5 eq / MF106g or less.
[0045]
Here, the COOH end group concentration of the polyester monofilament of the present invention was measured by the method described by Pohl on ANALYTICAL CHEMISTRY Vol. 26, page 1614.
[0046]
The production of the polyester monofilament of the present invention is as follows. Polyolefin polymer grafted with polystyrene 0.3 to 10% by weight, MCD compound 0.01 to 1.5% by weight, PCD compound 0 to 1.5% by weight with respect to polyester. And the composition which melt-kneaded 0-2 weight% of phenolic antioxidants can be performed by melt-spinning.
[0047]
Specific examples of production of the polyester monofilament of the present invention include, for example, a polyolefin polymer pellet obtained by grafting a necessary amount of polyester pellets and polystyrene on a uniaxial or biaxial extruder and a predetermined amount of PCD compound as required. The polyester masterbatch contained in the concentration and the phenolic antioxidant were weighed and supplied, and the liquid MCD compound was weighed and melt-kneaded from the entrance of the extruder or the middle of the barrel of the extruder, and then provided at the end of the extruder. A method of extruding from a spinneret through a measuring gear pump, cooling, stretching, heat setting, etc. (hereinafter referred to as production method 1), or a necessary amount of polyester pellets and polystyrene are grafted on a uniaxial or biaxial extruder. Polyolefin polymer A powdered PCD compound and a phenolic antioxidant as needed, metered liquid MCD compound from the entrance of the extruder or from the middle of the extruder barrel, melt kneaded, and then the tip of the extruder Examples of the method include extruding from a spinneret through a measuring gear pump provided in the above and performing cooling, stretching, and heat setting. Among these methods, the production method 1 is industrially advantageous.
[0048]
In these production methods, the temperature at which the polyester, polystyrene-grafted polyolefin polymer, MCD compound, PCD compound, and phenolic antioxidant are melt-kneaded is adjusted to be not less than the melting point of the polyester and not more than 295 ° C. Is more advantageous, and it is further advantageous to adjust the temperature in the range of 275 ° C to 290 ° C. Further, the residence time from melting to spinning is advantageously 7 minutes or less, more preferably 5 minutes or less. By adjusting the melt-kneading temperature and the residence time from melting to spinning in the above range, the polyester monofilament of the present invention excellent in dry heat resistance and hydrolysis resistance can be preferably produced.
[0049]
The polyester monofilament of the present invention is a continuous yarn composed of one single yarn. The polyester monofilament has a cross-sectional shape perpendicular to the fiber axis direction (hereinafter referred to as a cross-sectional shape or a cross-section) that is a circle, a flat shape, a square shape, a half moon shape, a triangular shape, a polygon shape having five or more corners, a multi-leaf shape, a dogbone shape, and a collar. It may have any cross-sectional shape such as a mold. When the polyester monofilament of the present invention is used as a constituent material for industrial fabrics, the monofilament preferably has a circular or flat cross-sectional shape. In particular, when a polyester monofilament is used as the warp yarn of a papermaking dryer canvas, a monofilament having a flat cross-sectional shape is preferably used from the viewpoint of effectively exhibiting antifouling properties and excellent canvas flatness. The flat in the present invention means an ellipse, a square or a rectangle. In addition to an exact ellipse, a square or a rectangle defined mathematically, a shape substantially similar to an ellipse, a square or a rectangle, for example, a square and a rectangle. Includes shapes with rounded corners. In the case of an ellipse, the length of the major axis (LD) and the length of the minor axis (SD) intersecting at right angles at the center of the ellipse satisfy the following formula. It is preferable that the long side length (LD) and the short side length (SD) of the rectangle satisfy the following expression.
[0050]
1.0 ≦ LD / SD ≦ 10
The length of the line segment passing through the center of gravity of the monofilament cross section can be appropriately selected depending on the application, but is preferably in the range of 0.05 to 2.5 mm. Further, the required strength of the yarn varies depending on the use, but is preferably about 3.0 g / denier or more.
[0051]
The polyester monofilament of the present invention thus obtained is superior in hydrolysis resistance than conventional ones and has sufficient dry heat resistance, and is suitable as a constituent material for industrial fabrics used in a high temperature and high humidity atmosphere. is there.
[0052]
The industrial fabric is a paper dryer canvas using the polyester monofilament of the present invention for at least part of the weft and / or warp of the fabric, a paper making wire (paper making net), a net conveyor for thermal bonding method non-woven fabric thermal bonding process, It is a belt fabric for transportation in a heat treatment furnace or various filters, and the industrial fabric using the polyester monofilament of the present invention as a constituent material of at least a part of the industrial fabric is durable when exposed to high temperature and high humidity. It is useful with excellent properties.
[0053]
Here, the papermaking wire refers to a fabric used in a paper winding process as various fabrics such as plain weave, double weave, and triple weave, and is used as a net or a round net. Paper dryer drier canvas is a paper machine as various fabrics such as plain weave, double weave and triple weave (including spiral weaves in which weft and weft yarns are spliced by spiral monofilaments) It is a fabric used for drying paper in a dryer. Furthermore, the belt woven fabric for the thermal bonding process of the nonwoven fabric is a woven fabric for allowing the nonwoven fabric to pass through the furnace in order to fuse the thermal adhesive fibers such as low melting point polyethylene constituting the nonwoven fabric. Heavy woven fabrics. In addition, the conveyor belt for heat treatment furnace refers to a fabric that conveys a semi-finished product in a high-temperature zone for drying, thermosetting, sterilizing, heating cooking, and the like of various semi-finished products. Furthermore, various filters are fabrics that filter high-temperature liquids, gases, powders, and the like.
[0054]
Among these industrial fabrics, the polyester monofilament of the present invention is a paper-making dryer canvas, a belt fabric for thermal bonding process of nonwoven fabric, and a conveyor belt in a heat treatment furnace, which are particularly required to have high hydrolysis resistance and high dry heat resistance. Application to textiles is preferred.
[0055]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in detail with reference to examples.
[0056]
The characteristic values in the following examples are measured by the following methods unless otherwise specified in each example.
1. Monofilament tensile test
This was performed in accordance with JIS L1013-1992.
[0057]
(1) Sample grip interval 25cm
(2) Tensile speed 30 cm / min.
(3) Test temperature 20 ° C
2. Hydrolysis resistance of monofilament
The monofilament is placed in a 100 liter autoclave and treated for 14 days, 16 days, and 18 days in 121 ° C. saturated steam, and then the strength of the monofilament after the treatment is determined by the above-described monofilament tensile test. Was used as a measure of hydrolysis resistance (hereinafter referred to as strength retention after steaming). The higher the strength retention after hydrolysis after steaming, the better the hydrolysis resistance.
3. Dry heat resistance test of monofilament
The monofilament was put into a hot air circulation type heat resistance tester and treated for 15 days, 18 days, and 20 days in 180 ° C. heated air, and then the strength of the monofilament after the treatment was determined by the above-described monofilament tensile test. The strength retention compared with the strength of the monofilament was used as a measure of dry heat resistance (hereinafter referred to as the strength retention after dry heat treatment). The higher the strength retention after dry heat treatment, the better the dry heat resistance.
Represents.
[Examples 1 to 12, Comparative Example 1]
As raw materials, intrinsic viscosity 0.94 produced by known melt polycondensation and solid phase polycondensation, terminal carboxyl group concentration 15 equivalent / 106g polyethylene terephthalate dry chip (hereinafter referred to as PET chip), “Modiper” (registered trademark) A1100 (polystyrene graft polyethylene (hereinafter referred to as PE-g-PS)) which is a polyolefin polymer grafted with polystyrene (Nippon Yushi) Co., Ltd.), "Modiper" A3100 (polystyrene grafted polypropylene (hereinafter referred to as PP-g-PS)) and "Modiper" A5100 (polystyrene grafted ethylene-ethyl acrylate copolymer (hereinafter referred to as MMA). -G-PS)), TIC ("STABAXOL" (registered trademark) I (Rhein Chemie))) as the MCD compound, 2,6-position and / or 2,4,6 of the benzene ring bonded to the carbodiimide group The structure in which the isopropyl group is substituted at the -position is the repeating unit "STABAXOL" (registered trademark) KE7646 (product of Rhein Chemie) which is a PET masterbatch (hereinafter referred to as PCD-MB) containing 15% by weight of an aromatic PCD compound and tetrakis- which is a kind of phenolic antioxidant [Methylene-3- (3′-5′-di-t-butyl-4-hydroxyphenyl) propionate] methane (“Irganox” (registered trademark) 1010 (product of Ciba Specialty Chemicals)) (hereinafter referred to as IR1010) Prepared).
[0058]
While measuring the above PET chip, polyolefin polymer grafted with polystyrene, KE7646 and IR1010 at the quantitative ratios shown in Table 1, the uniaxial via the hopper of the uniaxial extruder and the polymer piping at the bottom of the hopper. Continuous supply to the extruder. At the same time, the liquid TIC was continuously supplied to the chip in the polymer pipe below the hopper while being metered at the quantitative ratio shown in Table 1. A molten polymer melt-kneaded for 3 minutes at about 282 ° C. in a single-screw extruder was spun from a spinneret for circular cross-section yarns through a filter layer in a spin pack via a gear pump. The spun monofilament was cooled in a hot water bath at 70 ° C. and then stretched and heat-set in a total of 5.0 times according to a conventional method to obtain a polyester monofilament having a diameter of 0.45 mm and a circular cross section. Table 1 shows the composition and characteristics of the obtained polyester monofilament.
[0059]
[Table 1]
[0060]
From the results of Examples 1 to 12 and Comparative Example 1, it can be seen that the polyester monofilaments of the present invention containing polystyrene-grafted polyolefin polymers and MCD compounds are excellent in hydrolysis resistance. . Further, it can be seen that the polyester monofilament of the present invention containing a PCD compound in addition to the polyolefin polymer grafted with polystyrene and the MCD compound has better hydrolysis resistance. Furthermore, it can be seen that the polyester monofilament of the present invention containing a phenolic antioxidant in addition to the polyolefin polymer grafted with polystyrene and the MCD compound is excellent in hydrolysis resistance and dry heat resistance. Furthermore, the polyester monofilament of the present invention containing polystyrene-grafted polyolefin polymers, MCD compounds, PCD compounds and phenolic antioxidants has excellent hydrolysis resistance and sufficient dry heat resistance. It can be seen that it is.
[Examples 13 to 24, Comparative Example 2]
A plain woven fabric using the monofilaments obtained in Examples 1 to 12 and Comparative Example 1 as weft and warp yarn was prepared as a model of a papermaking dryer canvas, a belt woven fabric for thermal bonding of a nonwoven fabric, and a belt woven fabric in a heat treatment furnace.
[0061]
The obtained plain woven fabric was treated for 18 days in saturated steam at 121 ° C., which is an accelerated test condition of durability in use with a paper machine dryer, and then the warp was taken out from the plain woven fabric to obtain a strong retention rate. It was measured. The results are shown in Table 2.
[0062]
In addition, the plain fabric prepared in the same manner is used for 20 days in a hot air circulation type heat resistance tester controlled at 180 ° C., which is a test condition for accelerating the durability of the nonwoven fabric belt fabric for thermal bonding process and the heat transfer furnace transport belt fabric. After the treatment, the warp yarn was taken out from the plain woven fabric and the strength retention was measured. The results are also shown in Table 2.
[0063]
[Table 2]
[0064]
From the results of Examples 13 to 24 and Comparative Example 2, the paper fabric dryer canvas using the monofilament of the present invention, the belt fabric for the thermal bonding process of the nonwoven fabric, and the plain fabric which is a model of the transport belt fabric in the heat treatment furnace are excellent. It can be seen that it has both hydrolysis resistance and sufficient dry heat resistance.
[0065]
【The invention's effect】
As described above, the polyester monofilament of the present invention has hydrolysis resistance and sufficient dry heat resistance superior to those of conventional ones. In addition, the paper making dryer canvas using the polyester monofilament of the present invention, the belt fabric for the thermal bonding process of the nonwoven fabric and the transport belt fabric in the heat treatment furnace have both excellent hydrolysis resistance and dry heat resistance, It has high utility value.
Claims (6)
〔ただし、ポリカルボジイミド化合物は、該ポリカルボジイミド化合物中の未反応のカルボジイミド基(D1)と、ポリエステルのカルボキシル末端基および/またはヒドロキシル末端基とが一部反応しているカルボジイミド基(D2)との合計((D1)+(D2))で1分子中に5〜100個のカルボジイミド基を含有する。〕0.3 to 10% by weight of a polyolefin-based polymer grafted with polystyrene, 0.01 to 1.5% by weight of a monocarbodiimide compound, 0 to 3.0% by weight of a polycarbodiimide compound satisfying the following conditions, and A polyester monofilament composed of a composition containing 0 to 2% by weight of a phenolic antioxidant, wherein the polyolefin polymer grafted with polystyrene is polyethylene grafted with polystyrene, polypropylene grafted with polystyrene, and is at least one polystyrene is selected from grafted ethylene-ethyl acrylate copolymer, a polyester Monofu, wherein the carboxyl terminal group concentration is not more than 10 eq / polyester monofilament 10 6 g Lament.
[However, the polycarbodiimide compound includes an unreacted carbodiimide group (D1) in the polycarbodiimide compound and a carbodiimide group (D2) in which the carboxyl terminal group and / or the hydroxyl terminal group of the polyester are partially reacted. The total ((D1) + (D2)) contains 5 to 100 carbodiimide groups in one molecule. ]
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