JP4283054B2 - 車両用視認装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体の外装部材に取り付けることで車外の景色を車内へ光学的に伝達させる車両用視認装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12は従来の代表的な車両用視認装置の説明図である。
車高の高い車両100に、ドアミラー101を取り付け、さらに、前輪部近傍の視野102を視認するため下方確認用サブミラー103をフェンダ104に取り付けたことを示す。
運転者の視点105からの視線106は、このサブミラー103を介して助手席側の前輪部近傍の視野102を視認することができるというものである。
以下の説明で、運転者の視点105から出る矢印は全て視線の向きを示す。
【0003】
しかし、ドアミラー101に加えサブミラー103を別個に備えたので、運転者はドアミラー101からサブミラー103に視線を移動する必要がある。
また、サブミラー103はフェンダ104に取り付けたので、突出したサブミラー103は車両の外観を損ねるという問題がある。
【0004】
そこで、外観性を高めることのできる車両用視認装置が提案されてきた(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−301540号公報(図1)
【0006】
図13は特許文献1の図1の再掲図である。但し、運転者の視点105を追加した。すなわち、ドアミラー(図示せぬ)などのアウタミラーに、下方確認用サブミラー203を付設し、一体化することで外観性を高めることができるというものである。
【0007】
詳細には、フェンダ前部の視野を視認するため下方確認用サブミラー203において、左下側フェンダ前部の像を含む光を凹レンズ106で受け、この光を反射鏡107、及び反射鏡108を通じて運転者の視点105で視認するというものである。なお、109は外装面、111は透光スペースである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ドアミラー、フェンダミラー又はリヤミラーなどアウタミラーに、その主鏡を避けて付設するには、アウタミラーのサイズを大きくせざるを得ない。このサイズアップにより、アウタミラーの外観、ひいては車両の外観が低下する虞がある。
【0009】
また、入光面112と出光面113の間に透光スペース111がある場合には、透光スペース111に雨や埃が浸入せぬように、透光スペース111を密閉構造などにする必要があった。
【0010】
さらに、凹レンズ106、反射鏡107、反射鏡108などの複数の光学部品を必要とし、外装部材115にこれら複数の光学部品を個別に位置決めして組付ける必要があり、コストアップにつながるという課題があった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、簡便、コンパクトな構成で、部品点数が少なく、低コストで製造でき、外観上も優れた車両用視認装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、透明材料で構成した透明部材にそれぞれ別に形成された各面を少なくとも入光面、反射面、出光面とし、この様な透明部材を、車体の外装部材に取り付けることで車外の景色を車内へ光学的に伝達させ、この外装部材に取り付けた透明部材は、反射面に反射部材を密着させたことを特徴とする。
【0014】
また、入光面と出光面の間は、雨、埃、その他の汚れを避けるために密閉構造とする必要があったが、本発明では入光面と出光面の間は透明材料で充填し、反射面に反射部材を密着させたので、入光面と出光面の間に異物が浸入する心配は無くなった。
【0015】
加えて、透明材料に入光面、反射面、出光面を構成するので、車両用視認装置の構造がごく簡単になる。
また、従来のように、透明部材と反射部材を個別に位置決めして組付ける必要が無い。
さらにまた、透明材料に形成した入光面、出光面は、デザイン面の要請などから必ずしも平面であるとは限らないが、反射面の形状を整えることで、入光面及び出光面の形状の自由度を高め、アウターミラーの外観を損なうことのない車両用視認装置を得ることが可能となる。
従って、外観を向上しながら、簡便な構造で入光面と出光面の間に汚れが付着する虞の無い車両用視認装置とすることが可能となる。
【0016】
請求項2では、入光面は前記外装部材の外面に連続させるとともに、前記出光面は前記外装部材の外面に連続させたことを特徴とする。
【0017】
車両用視認装置の入光面は外装部材の外面に連続させ、出光面は外装部材の外面に連続させたので、車両用視認装置の外形を、たとえば外装部材の外面と面一にすることができ、車両用視認装置の外観を向上することができる。
【0018】
請求項3では、反射部材は、前記反射面上に蒸着により形成された金属膜であることを特徴とする。
【0019】
請求項4では、対象物の像を含んだ光が前記入光面に入射するときに起こる対象物の像のひずみと、前記反射面にて反射された光が前記出光面から出射するときに起こる対象物の像のひずみの双方のひずみを補償するように前記反射面の形状を整えたことを特徴とする。
【0020】
透明材料に形成した入光面及び出光面は、デザイン面の要請などから必ずしも平面であるとは限らない。入光面及び/又は出光面の曲率などによっては、光が屈折し対象物の像がひずむことがあるが、反射面の形状を整えることで、対象物のひずみを補償することができる。
この結果、外観を損なわずに、対象物の像のひずみを補償することができる。
【0021】
請求項5では、外装部材は、アウタミラーのカバーであることを特徴とする。
外装部材がアウタミラーのカバーであっても、この車両用視認装置はスペースをあまり必要としないため、アウタミラーの外観を損ねること無く透明部材をアウタミラーに付設することが可能である。
【0022】
請求項6では、反射面は、互いに異なる向きの複数の反射面で構成したことを特徴とする。
1つの透明部材で複数の反射面を形成したので、1つの透明部材で複数の領域を視認することができる。
この結果、1つの透明部材で必要な複数の視野を容易に視認することができるようになる。
【0023】
蒸着を利用して金属膜を透明部材の各反射面上に形成すれば、各反射部材ごとに組付け、位置調整する作業を無くすことができる。
従って、複数の領域を見ることができる車両用視認装置を低コストで生産することができる。
【0024】
請求項7では、車体に設けられている外装部材と、この外装部材に取り付けられ、入光面とこの入光面とは別に形成された出光面とを有している透明部材と、この透明部材の内部に設けられていて光を反射する反射部材とを備えており、透明部材の入光面には対象物の像を含んだ光が入射し、この入射した光は反射部材により反射されて出光面から出射するように構成したことを特徴とする。
【0025】
透明部材の内部に反射部材が設けられているので、反射部材と透明部材の間に雨、埃などが入って汚れる心配は無く、腐食などにより反射部材の表面は劣化する虞が無くなる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明を適用した車両の一例を示す斜視図であり、車両10の前部外装面は、ルーフ11と、ルーフ11の前端から前方下向きに下ろした左右の前ピラー部12と、左右の前ピラー部12の下端につなげたボンネット13と、ボンネット13の下方中央に配置したフロントグリル14と、フロントグリル14の左右に配置したヘッドライト15と、ヘッドライト15の左右の外側に配置したウインカー16と、ヘッドライト15の下部に取り付けたフロントバンパ17と、前記ボンネット13の下方左右に配置したフェンダ18と、フェンダ18の後方に配置したフロントドア21と、このフロントドア21の上部にブラケット22を介して立ち上げたドアミラー23とを主な構成要素とする。なお25は前輪である。
【0027】
本明細書において、「外装部材」は、アウタミラーのカバー、フロントフェンダ、ピラー、ボンネット、スポイラーなど、外部に露出し、車室内から見ることができる部材を含む。
同様に、「アウタミラー」は、ドアミラー、フェンダミラー、及びリヤミラー(ワゴン車やマイクロバスなどの車体後部に取り付けられていてリヤガラスを介して覗くことができるミラー。車体後部を見ることができる。)を含む。アウタミラーは主鏡とカバーを有しており、カバーは主鏡の反射面とは反対側の面を覆う部材である。
【0028】
図2は図1の2矢視図であり、ドアミラー23は主鏡26と外装部材27とからなる。そして、本発明の車両用視認装置24は、ドアミラー23の外装部材27の下側に延設した外装部材延設部28と、この外装部材延設部28の外装部材27の外面31と出光面32(第1・第2出光面36、44)とが面一になるように取り付けた透明部材33とを備えた。
【0029】
図3は図2の3−3線断面図であり、外装部材27の下側に延設した外装部材延設部28に、透明材料で構成した透明部材33を取り付けたことを示す。
【0030】
ここで、外装部材延設部28に取り付けた透明部材33は、略三角形の断面形状を呈すると共に、透明部材33の下面に形成した第1入光面35と、第1入光面35と直角に形成した第1出光面36と、これらの第1入光面35と第1出光面36の斜辺をなす第1反射面37とからなる。なお、第1反射面37に第1反射部材38を密着させた。
そして、第1入光面35は外装部材27の下部外面39と面一にするとともに、第1出光面36は外装部材27の外面31の一部をなす側部外面41に面一になるように配置した。
【0031】
なお、第1反射面37には蒸着により形成された金属膜を含む第1反射部材38が設けられている。透明部材33と第1反射部材38との密着性を確保することができ、透明部材33と第1反射部材38との一体化を図ることができる。
なお、第1反射面37と第1出光面36とのなす角度をθ1とした。
【0032】
本発明の車両用視認装置24は、スペースをあまり必要としないため、ドアミラー23の外観を損ねることは無く、主鏡、及び主鏡の付属機構を有するドアミラー23に容易に付設することが可能である。
【0033】
図4は図2の4−4線断面図であり、ドアミラー23の外装部材27を下側に延設した外装部材延設部28に、透明材料で構成した透明部材33を取り付けたことを示す。なお、43は第2入光面、44は第2出光面、45は第2反射面である。
【0034】
図3と異なる点は、第2反射面45と第2出光面44とがなす角度がθ2であり、θ1>θ2に設定したことである。すなわち、1つの透明部材33に2つの反射面37、45とを形成した。
さらに、1つの透明部材33を互いに異なる角度をもつ複数の反射面37・・・、45・・・(・・・は複数個を示す。以下同じ)で構成することも可能である。
【0035】
1つの透明部材33に互いに異なる向きの複数の反射面37、45を形成したので、1つの透明部材33で複数の領域を視認することができる。
この結果、複数の視野を容易に視認することができるようになる。
従って、複数の領域を見ることができる車両用視認装置24を低コストで生産することができる。
【0036】
図5は本発明に係る透明部材の斜視図であり、透明部材33は、2箇所の第1入光面35、第2入光面43(図3及び図4参照)と、第1入光面35、第2入光面43と直角に形成した第1出光面36、第2出光面44と、第1出光面36、第2出光面44と隣接し直角に形成した第1上面47、第2上面48と、第1上面47、第2上面48に隣接し傾けて形成した第1反射面37、第2反射面45とを主な構成要素としている。第1反射面37、第2反射面45に第1反射部材38、第2反射部材46が設けられている。
なお、49は左側面、51は面取側面である。
【0037】
第1反射面37は所定の曲率をもった球面とし、第1反射面37には、第1反射部材38が設けられている。
同様に、第2反射面45は所定の曲率をもった球面とし、第2反射面45には、蒸着により形成された金属膜を含む第2反射部材46が設けられている。
【0038】
第1反射面37、及び第2反射面45は、平面であっても自由曲面であっても良い。
本実施の形態では、第1及び第2反射部材38、46は、第1及び第2反射面37、45上に蒸着によりそれぞれ形成された金属膜を含んでいる。しかしながら、本発明はこれに限定されることはない。例えば、第1及び第2反射部材38、46は、第1及び第2反射面37、45上にそれぞれ貼り付けられた金属プレートを含んでいても良い。
【0039】
図6は図5の6矢視図であり、透明部材33は第1反射面37と、第2反射面45とを備え、第1反射面37は透明部材33の第1出光面36から第1上面47沿いに距離L1だけ後退して配置し、第2反射面45は第2出光面44から第2上面48沿いに距離L2だけ後退して配置し、前述のように第1出光面36に対し第1反射面37はθ1、及び第2出光面44に対し第2反射面45はθ2の角度をもたせて配置したことを示す。
【0040】
第1出光面36と外装部材27の外面31(図2参照)、及び第2出光面44と外装部材27の外面31は一致した面としたので、第1反射面37と第2反射面45は、各々アウタミラー外装部材27の外面31から奥行き方向にずらして設けることができる。
【0041】
この結果、アウタミラー外装部材27(図2参照)の幅寸法・高さ寸法を変えること無く、反射面を互いに奥行き方向にずらして配置するとともに、1つの透明部材33に必要な大きさの反射面を配置できるので、より広範囲の視野が得られる構成とすることができる。このとき反射面の数は2つに限定されず、必要な視野に合わせ3つ以上でもかまわないものとする。なお、52は右側面である。
【0042】
対象物の像を含んだ光が第1入光面35(図3参照)に入射するときに起こる対象物の像のひずみと、第1反射面37にて反射された光が第1出光面36から出射するときに起こる対象物の像のひずみの双方のひずみを補償するように第1反射面37の形状を整えた。
【0043】
同様に、第2入光面43(図4参照)に入射するときに起こる対象物の像のひずみと、第2反射面45にて反射された光が第2出光面44から出射するときに起こる対象物の像のひずみの双方のひずみを補償するように第2反射面45の形状を整えた。
【0044】
透明材料に形成した第1入光面35(図3参照)、第2入光面43(図4参照)、第1出光面36、及び第2出光面44は、デザイン面の要請などから必ずしも平面であるとは限らない。これらの入光面及び/又は出光面の曲率などによっては、光が屈折し対象物の像がひずむことがあるが、第1反射面37と第2反射面45との形状を整えることで、対象物のひずみを補償することができる。
【0045】
この結果、アウタミラーの外装部材の外面と入光面、及び出光面とを面一としながら、外観を損なわずに、対象物の像のひずみを補償する車両用視認装置とすることが可能となる。
本実施の形態の透明部材33は、入光面に直角に出光面を形成し、出光面に直角に上面を形成した部材であるが、入光面と出光面と上面との関係は必ずしも直角に限定するものでなく、必要に応じ任意に設定することができる。
【0046】
図7は図3の作用説明図であり、ドアミラー23の外装部材延設部28に配置し、第1出光面36と、この第1出光面36と角度θ1をなす第1反射面37と、第1入光面35とを有する透明部材33のなかを、第1の視線53が第1出光面36と、第1反射面37と、第1入光面35とを通り所定の視野を見ることができることを示す。なお、図7では断面のハッチングが省略されている。
【0047】
図8は図4の作用説明図であり、ドアミラー23の外装部材延設部28に配置し、第2出光面44と、この第2出光面44と角度θ2をなす第2反射面45と、第2入光面43とを有する透明部材33のなかを、第2の視線54が第2出光面44と、第2反射面45と、第2入光面43とを通り所定の視野を見ることができることを示す。なお、図8では断面のハッチングが省略されている。
【0048】
図8が図7と異なる点は、第2反射面45の角度θ2をθ1>θ2となるように設定したことである。これにより第1反射面37とは異なる所定の方向を見ることができる。
【0049】
図9は本発明に係る車両用視認装置の作用説明図であり、運転者の視点55がドアミラー23の外装面延設部28に設けた車両用視認装置24で、車両前方下側の前輪付近56(第1の視線53で見る)と、車両側方下側のフロントドア21下部付近57(第2の視線54で見る)との両方の視野を見ることができることを示す。
【0050】
本発明の車両用視認装置24をドアミラー23に適用したが、ドアミラー23の左側、右側を問わない。フェンダミラーなどのその他のミラーに適用しても良い。フロントフェンダ、フロントピラー、ボンネットなどに適用しても良い。
また、ワゴン車やマイクロバスなどの車両のリヤウインドウの上の縁に取り付けているリヤスポイラーに適用すれば車体後部を視認することができる。
【0051】
例えば、フロントピラー12に本視認装置24を適用する場合に、フロントピラー12の外装面に入光面を、車室側の面に出光面を設け、透明部材をフロントピラー12に内蔵する。入射面は死角を向き、出射面は運転席を向くように配置することで、運転者は必要な視野を得ることができる。
【0052】
図3に戻って、車両用視認装置24の第1入光面35は外装部材27の外面31の下部外面39に面一にし、第1出光面36は外装部材27の外面31の側部外面41に面一にしたので、車両用視認装置24の外観を損なうことは無い。
【0053】
第1入光面35と第1出光面36との間は、雨、埃、その他の汚れを避けるために密閉する必要があるが、本発明では第1入光面35と第1出光面36の間は透明材料で充填した形となるため、第1入光面35と第1出光面36との間に異物が侵入して汚れる心配は無い。
【0054】
加えて、透明材料に第1入光面35、第1反射面37、第1出光面36を構成するので、車両用視認装置24の構造がごく簡単になる。
従って、外観を向上しながら、簡便な構造で入光面と出光面の間に汚れが付着する虞の無い車両用視認装置とすることが可能となる。
【0055】
図3と同様に図4においても、車両用視認装置24の第2入光面43は外装部材27の下部外面39に面一にし、第2出光面44は外装部材27の側部外面41に面一にしたので、車両用視認装置24の外観を損なうことは無い。
第2入光面43と第2出光面44との間は、雨、埃、その他の汚れを避けるために密閉する必要があるが、透明材料のみで形成した簡便な構造としたので第2入光面43と第2出光面44との間が汚れる虞は無い。
【0056】
従って、外観を向上しながら、簡便な構造で入光面と出光面の間に異物が入らずに汚れの付かない車両用視認装置とすることが可能である。
透明部材33の表面に第1反射部材38、及び第2反射部材46を一体形成したので、部品点数を減らすことができ、従来のように、透明部材33と反射部材を個別に位置決めして組付ける必要が無くなり、外装部材27へ反射部材を一体化した透明部材33を取り付けるだけで良い。
【0057】
透明部材33は、透明な樹脂で成形することで形成する。また、透明部材33に位置決めピンを付設するなどして、外装部材27への組み付けをより簡便にすることができる。
この結果、外観が損なわれずに、低コストで車両用視認装置を生産することができる。
【0058】
本発明に係る別実施の形態を以下に説明する。
図10は図3の別実施の形態図であり、外装部材27側に第1反射部材38を設け、この第1反射部材38に透明部材33の第1反射面37を密着させたことを示す。
外装部材側27に第1反射部材38を設け、この第1反射部材38の表面に透明部材33を取り付けた。
【0059】
第1反射部材38の表面に透明部材33を密着させたので、第1反射部材38と透明部材33の間に雨、埃などが入って汚れる心配は無い。
また、第1反射部材38を透明部材33で密着することで第1反射部材38の劣化を防止することができる。第1反射部材38と透明部材33との間を密着した結果、第1反射部材38と透明部材33との間に汚れが起きる余地は無く、また透明部材33の第1入光面35と第1出光面36との間が汚れる虞は無くなる。
【0060】
特許文献1の車両用視認装置では、複数の光学部品を個別に位置決めして組付ける必要がある。これに対して本実施の形態では、外装部材27への組み付けは透明部材33を位置決めするだけで良い。
従って、組立工数を減らすことができ、低コストで車両用視認装置を生産することができる。
【0061】
図11は図5の別実施の形態図である。外装部材27は、外面31と外面31に開けられた入光窓及び出光窓とを有しており、車体に設けられている。透明部材33は、入光窓から露出していて外面31と連続している第1及び第2入光面35、43と、出光窓から露出していて外面31と連続している第1及び第2出光面36、44とを有している。第1及び第2反射部材38、46は、透明部材33の内部に設けられていて光を反射する。第1入光面35には対象物の像を含んだ光が入射する。この入射した光は第1反射部材38により反射されて第1出光面36から出射する。第2入光面43にも対象物の像を含んだ光が入射する。この入射した光は第2反射部材46により反射されて第2出光面44から出射する。
【0062】
透明部材33の内部に第1反射部材38と、第2反射部材46とを設けたので、第1反射部材38、及び第2反射部材46と透明部材33との間に雨、埃などが入って汚れる心配は無く、腐食などにより第1反射部材38、及び第2反射部材46の表面が劣化する虞が無くなる。
【0063】
尚、透明部材を形成する透明材料は樹脂などのプラスチックやガラスなどの透明な材料であればその種類は問わない。
また1つの透明部材に形成した出光面と複数の反射面のなす角度θ1、θ2、・・・、及び出光面から反射面までの距離L1、L2、・・・は任意に設定することができるものとする。
さらに、反射面の角度を変更した別の透明部材に交換することで、視認できる死角領域を変えることも可能である。
また、車体に対する透明部材の位置と角度は、視認できる死角領域を変更できるよう、変更可能であっても良い。
【0064】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1では、透明材料で構成した透明部材を車体の外装部材に取り付けた車両用視認装置において、外装部材に取り付けた透明部材は、反射面に反射部材を密着させた。
【0065】
本発明では入光面と出光面の間は透明材料で充填し、反射面に反射部材を密着させることで、入光面と出光面の間は透明材料で充填したことになるため、入光面と出光面の間に異物が浸入する心配は無くなった。
【0066】
加えて、透明材料に入光面、反射面、出光面を構成するので、車両用視認装置の構造がごく簡単になる。
従って、外観を向上しながら、簡便な構造で入光面と出光面の間に汚れが付着する虞の無い車両用視認装置とすることが可能となる。
【0067】
請求項4では、入光面に入射するとき、及び/又は出光面から出射するときに起こる対象物の像のひずみの双方を補償するように反射面の形状を整えた。
【0068】
入光面及び/又は出光面は、デザイン面の要請などから必ずしも平面であるとは限らないが、反射面の形状を整えることにより、車両用視認装置の外観を損なわずに対象物の像のひずみを補償することができる。
【0069】
請求項5では、外装部材は、アウタミラーのカバーであるが、このアウタミラーのカバーに車両用視認装置を容易に組み込むことができる。組み込みによってアウタミラーの外観を損ねることも無い。
従って、容易にアウタミラーと一体化して組み込むことができる。
【0070】
請求項6では、反射面は、互いに異なる向きの複数の反射面で構成した。
透明部材に複数の反射面を形成したので、1つの透明部材で複数の領域を見ることができる。
また、反射部材を1つの透明部材の反射面に形成したので、各反射部材ごとに、位置調整する作業は不要となる。
この結果、低コストで車両用視認装置を生産することができる。
【0071】
請求項7では、透明部材の内部に反射部材が設けられているので、反射部材と透明部材の間に雨、埃などが入って汚れる心配は無く、腐食などにより反射部材の表面が劣化する虞が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した車両の一例を示す斜視図
【図2】図1の2矢視図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】本発明に係る透明部材の斜視図
【図6】図5の6矢視図
【図7】図3の作用説明図
【図8】図4の作用説明図
【図9】本発明に係る車両用視認装置の作用説明図
【図10】図3の別実施の形態図
【図11】図5の別実施の形態図
【図12】従来の代表的な車両用視認装置の説明図
【図13】特許文献1の図1の再掲図
【符号の説明】
24…車両用視認装置、27…外装部材、28…外装部材延長部、31…外装部材の外面、32…出光面、33…透明部材、35…第1入光面、36…第1出光面、37…第1反射面、38…第1反射部材、43…第2入光面、44…第2出光面、45…第2反射面、46…第2反射部材。
Claims (7)
- 透明材料で構成した透明部材にそれぞれ別に形成された各面を少なくとも入光面、反射面、出光面とし、この様な透明部材を、車体の外装部材に取り付けることで車外の景色を車内へ光学的に伝達させ、この外装部材に取り付けた透明部材は、反射面に反射部材を密着させたことを特徴とする車両用視認装置。
- 前記入光面は前記外装部材の外面に連続させるとともに、前記出光面は前記外装部材の外面に連続させたことを特徴とする請求項1記載の車両用視認装置。
- 前記反射部材は、前記反射面上に蒸着により形成された金属膜であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用視認装置。
- 対象物の像を含んだ光が前記入光面に入射するときに起こる対象物の像のひずみと、前記反射面にて反射された光が前記出光面から出射するときに起こる対象物の像のひずみの双方のひずみを補償するように前記反射面の形状を整えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車両用視認装置。
- 前記外装部材は、アウタミラーのカバーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両用視認装置。
- 前記反射面は、互いに異なる向きの複数の反射面で構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車両用視認装置。
- 車体に設けられている外装部材と、この外装部材に取り付けられ、入光面とこの入光面とは別に形成された出光面とを有している透明部材と、この透明部材の内部に設けられていて光を反射する反射部材と、を備えており、
前記透明部材の入光面には対象物の像を含んだ光が入射し、この入射した光は前記反射部材により反射されて前記出光面から出射するように構成したことを特徴とする車両用視認装置。
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