JP4282912B2 - 縦型熱処理装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縦型熱処理装置に関し、特に、処理ガス導入部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、半導体ウエハ等の被処理体における製造プロセスは、半導体ウエハ等に対して、酸化処理、拡散処理、減圧CVD処理である成膜処理等の処理を施すために、各種の熱処理工程を経ることになる。
これらの熱処理工程には、多数枚の半導体ウエハに対して処理が可能なバッチ式の縦型熱処理装置が多く用いられており、更に、この処理装置の縦長の処理容器(反応管)の周囲には、処理ガスをプロセス温度に加熱する加熱炉が設けられている。
【0003】
また、処理容器の下端開口部には、ステンレス製で、短筒形状に形成されたマニホールドが設けられており、更に、マニホールドの下方開口部は、キャップ部で昇降機構により昇降させながら開閉可能に設けられ、このキャップ部上には、ウエハを多段に収容したウエハボートが設けられ、キャップ部の昇降によってウエハボートをロードまたはアンロードするように構成されている。
【0004】
上記のマニホールドには、処理ガスを導入する導入ポートや排気ポート或は、水冷部などが一体に設けられている。この水冷部を設置しているのは、マニホールドの上端に設けたフランジ部と処理容器の下端部との間に設けたOリング等のシール部材やマニホールドの下端に設けたフランジ部とキャップ部との接合部との間に設けたOリング等のシール部材がプロセス温度の熱によって劣化するのをあえて冷却させて防止するためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来より用いられているこのマニホールドは、短円筒状で縦長の処理容器の下端部に付設されているので、装置自体がより縦長に構成されてしまうため、コンパクト性に欠けるばかりでなく、次に示すような課題点を有している。
【0006】
即ち、マニホールドに水冷部とガス導入ポートが一体に設けられているので、この水冷の影響によって導入ポートが所定の温度に到達しない場合があり、導入される処理ガスに悪影響を与えるおそれがある。また、水冷部によってマニホールド内面が処理温度より低温となるため、マニホールドの内面に処理ガス成分が接触して凝結することにより、反応副生成物や析出物がマニホールドの内面に付着して、パーティクルの発生の要因となり、熱処理工程に悪影響を及ぼすおそれがある等の課題を有していた。
【0007】
本発明は、従来の課題点に鑑みて開発したものであり、その目的とするところは、装置全体のコンパクト化を図り、また、ガス導入部の過冷却を防止すると共に、ガス導入部を所望の温度に制御するようにしたガス導入部の構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、処理容器内に処理ガスを導入して被処理体を熱処理するための縦型熱処理装置であって、処理容器に設けた処理ガス導入口に、水冷フランジとは独立させて別のガス導入体を配設し、ガス導入体は、筒形状の処理容器外周囲の一部に配設され、全体として扁平形状で、処理容器の軸心方向から見て三日月型を呈する形態であり、このガス導入体に形成したガス導入路から前記処理ガス導入口へ処理ガスを供給するようにした縦型熱処理装置である。
このように、水冷フランジから独立したガス導入体により過冷却を防止でき、従来のいわゆるマニホールドを必要としないため、コンパクトな装置であり、しかも、筒形状の処理容器の外周の一部に配設され、コンパクト化が図れる。
【0010】
請求項に係る発明は、ガス導入体には、複数個のガス導入路を肉厚部分に放射方向に形成し、このガス導入路同志間の肉厚部分にカートリッジタイプのヒータを内蔵したものである。
従って、過冷却を防止できると共に、所望の温度にガス導入部を制御できる。
【0011】
請求項に係る発明は、前記ガス導入体を処理容器の下端側壁の近傍位置に設けた水冷フランジの上部に、断熱部材を介して離間させて固定した縦型熱処理装置である。
従って、ガス導入体は、水冷フランジに確実に固着されるが、断熱構造により水冷フランジの影響を受けることなく、所望の温度に維持できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明における縦型熱処理装置の実施形態を図面に従って詳述する。
図1は、縦型熱処理装置を示した断面説明図であり、図2は、図1のガス導入部の構造を示した拡大断面図であり、図3はガス導入部の固定構造を示した部分断面図である。
なお、図8は、ガス導入部の概念構造図であり、図9及び図10は、キャップ部のシール部構造を示した概念構造図である。
【0013】
図1において、1は酸化処理、拡散処理或は減圧CVD処理等に用いられる円筒形状の石英製の処理容器(反応管)であり、この処理容器1の下端に開口2を設け、更に、処理容器1の下端に形成した環状突出部1aにガス導入口3を形成し、このガス導入口3に、L字形の石英製インジェクタ4を装入している。
【0014】
また、開口2は、石英製またはステンレス製のキャップ部6で開閉自在に被蓋し、処理容器1の外周囲には、加熱炉7を設けている。本例における処理容器1は、単管構造であるが、外管と内管を有する二重管構造であっても良い。
また、キャップ部6の下面には、ヒータ6aを設け、このキャップ部6の中央部分には、回転導入機構部8を軸装しており、この回転導入機構部8は、多数枚の半導体ウエハWを多段に収納保持したウエハボート9を支受けする支柱10を金属製保持筒材11に挿入して固定し、この金属製保持筒材11の下部よりシール機構を介して突出させた回動軸12を昇降機構13に設けた回転駆動機構14により回転させている。この昇降機構13によりウエハボート10をキャップ部6と共に処理容器1内へロードまたはアンロードするように構成されている。
【0015】
次に、図2〜図7において、ガス導入部分の構造を具体的に説明する。
図4において、ガス導入体15は、筒形状の処理容器1の下端側壁に設けた環状の突出部1aの外周囲に設けられ、このガス導入体15は、熱伝導性が良好なアルミニウム製で形成され、更に、図4及び図5に示すように、平面から見て、三日月型を呈して、環状突出部1aの一部に位置している。また、ガス導入体15は、図6に示すように正面から見て、扁平状の肉厚で形成されている。
【0016】
また、ガス導入体15には、複数個(本例では6個)のガス導入路16を肉厚部分に放射方向に形成されており、このガス導入路16同志間の肉厚部分にカートリッジタイプのヒータ17を装入するための装入部17a(本例では6個)が形成されている。
このヒータ17には、熱電対等の温度検出手段が設けられており、この検出温度をコントローラで制御しながら、ヒータ17を所定の温度に維持制御するようにしている。
【0017】
また、このガス導入体15の肉厚方向には、ベースプレート18に取付けた冷水路19aを有する下部の水冷フランジ19に後述する断熱構造で固着するための固定ボルト挿入用の挿入穴21を設け、更に、後述するガス導入路16の外端面に取付ける保持部22を固着するためのめねじ部23を設けている。
【0018】
次に、図2〜図4に示すように、ガス導入体15を水冷フランジ19に独立して固着するための構造と、ガス導入体15のガス導入路16に筒状リテーナ24を取付けるための構造について説明する。
ガス導入体15の処理容器1側の下部に、突設部25を形成し、この突設部25より貫通させた固定ボルト20を挿入する挿入穴21を形成する。この挿入穴21より固定ボルト20を挿入して突設部25の下部に位置している水冷フランジ19のめねじ部27に螺合する。この場合、水冷フランジ19のめねじ部27の上方には、断熱用装着溝28を形成し、固定ボルト20は、この装着溝28の中央部分を貫通している。
【0019】
更に、この装着溝28には、固定ボルト20の軸方向に沿って固定ボルト20を包囲するように、内外周に断熱空間29,30を有してステンレス製の断熱スリーブ31が装着されている。この断熱スリーブ31は、水冷フランジ19の上面よりやや突出させて突出部31aを有している。この状態において、固定ボルト20を図3に示すように締め付けると、断熱スリーブ31の突出部31aの上端がガス導入体15の突設部25の下面に当接して、ガス導入体15と水冷フランジ19とは、独立して離間部32を有し、断熱空間29,30及び離間部32更には、断熱スリーブ31によって断熱作用が発揮されて、ガス導入体15は、水冷の影響を受けることがない。
【0020】
次に、ガス導入体15に設けたガス導入路16の構造について説明すると、ガス導入路16には、ステンレス製の筒状リテーナ24が挿入され、このリテーナ24は、先端内周に、インジェクタ4の突出部分を挿入するための段部33が形成され、後端近傍には、突条部24aが形成され、リテーナ後端を、処理ガス供給系統に接続するように設けられている。また、リテーナ24の先端面と、処理容器1のガス導入口3の外端面とは、Oリング等のシール部材34を装着して端面シールをしている。
【0021】
このガス導入体15の肉厚外端面は、保持部22を取付けるためにフラット面35に形成し、このフラット面35に保持部22を位置させてボルト36でめねじ部23に螺着し、更に、ナット37で、突条部24aを介して螺着することにより、リテーナ24をガス導入体15のガス導入路16に固着している。
更に、ガス導入体15の上面には、冷水路38aを有する水冷フランジ38を処理容器1の突出部1aの上面にシール材39を介して配置され、この水冷フランジ38は、ガス導入体15とは、独立して、離間部40を有して配設され、水冷フランジ38の水冷の影響を受けないように配慮している。
【0022】
また、図2において、ベースプレート18と水冷フランジ19との間には、Oリング等のシール部材41が設けられており、また、水冷フランジ19とキャップ部6との間並びに水冷フランジ19と処理容器1の突出部1aとの間にも、それぞれOリング等のシール部材42,43が設けられている。
また、処理容器1の突出部1aの上下面と水冷フランジ19,38との間にも、ふっ素樹脂等で形成したシール材39,45が介在されている。
更に、処理容器1の開口2の側壁近傍位置には、ヒータ46が設けられている。
【0023】
次に、図8〜図10は、ガス導入部分やシール構造部分の概念図であり、図9は石英製のキャップ部6の例であり、図10は、ステンレス製キャップ部6の例である。図8において、47は、配管ヒータであり、図9において、48,49は、温度調整機構であり、50は、シール排気溝である。このシ−ル排気溝50は、Oリングのアウトガスや透過ガスの排除用であり、水冷フランジ19の側面に設けたシール排気ポート51より排気される。また、図10において、ステンレス製のキャップ部6の下面にヒータ6aを設け、冷水路6bと温度調整機構6c並びに断熱溝6eを設けている。
【0024】
次に、上記実施形態の作用を説明する。
先ず、半導体ウエハWを収納保持したウエハボート9を昇降機構13を介して処理容器1の開口2からロードさせて開口2をキャップ部6で密閉することによって図1の状態にする。この状態において、加熱炉7により処理容器1内を所定の処理温度にすると共に、インジェクタ4より処理ガスを導入しながら、図示しないガス排気口より排気させる。上記のウエハボート9は、回転駆動機構14を介して回転されながら、ウエハボート9内の半導体ウエハWが、例えば、成膜処理、酸化処理或は拡散処理がなされる。
【0025】
次いで、処理ガス供給系統よりガス導入体15に配設されたリテーナ24のガス導入管部位より適宜の処理ガスが供給され、本例では、6個のガス導入路16よりそれぞれに連通したインジェクタ4より処理容器1内に導入されて熱処理される。
【0026】
この場合、ガス導入体15は、水冷フランジ19や水冷フランジ38より離間された状態で断熱された構造により配設されているので、水冷フランジ19,38の冷却熱が伝熱されることなく、処理ガスを導入するためのガス導入体15が過冷却されることはない。
【0027】
特に、水冷フランジ19は、断熱空間29,30並びに離間部32を有し、更には、断熱スリーブ31のみで接触載置されているので、水冷フランジ19の冷熱がガス導入体15に伝達されることがなく、ガス導入体15は、カートリッジタイプのヒータ17によって所定の温度に保持されると共に、ガス導入体15は、伝熱性の良好なアルミニウムで形成されているので、このヒータ17の加温熱が有効に伝熱されて、所定温度に制御される。
【0028】
また、ガス導入体15は、筒形状の処理容器の外周囲の一部に合理的に配設され、しかも、扁平形状で、三日月型状に形成されたガス導入体15は、筒形状処理容器1の円弧面の一部を囲むように配置されるので、水冷フランジ19,38とは、独立して別個に設けられるばかりでなく、縦長になることなく、極めてコンパクトに配置される。
【0029】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、請求項1に係る発明によると、従来のマニホールドを全く必要とせずに、水冷フランジからの過冷却による影響を受けることなく、処理ガス導入部分を所望の温度に制御することが可能となる。
【0030】
しかも、筒形状の処理容器の下端外周囲の一部に合理的なスペースを有してガス導入体が配置されるため、装置のコンパクト化に著しく寄与できる。
【0031】
請求項に係る発明は、ガス導入体より処理ガスを水冷フランジの冷熱に影響されることなく、処理容器内へ導入され、しかも、ガス導入体に配設されたヒータによって所望の温度に制御され、かつ維持される。
【0032】
請求項に係る発明は、ガス導入体は水冷フランジとは、独立して別に構成され、しかも、断熱構造を有して固定されるため、ガス導入体は、常に、所定の温度に制御維持されることが可能となる等の有用な効果を奏する。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における縦型熱処理装置の一例を示した断面説明図である。
【図2】図1におけるガス導入構造の拡大断面図である。
【図3】ガス導入体と水冷フランジとの固定構造を示した部分断面図である。
【図4】図2におけるガス導入構造の平面図である。
【図5】本発明におけるガス導入体の平面図である。
【図6】図5の正面図である。
【図7】図5のA−A線断面図である。
【図8】ガス導入部分を示した概念構造図である。
【図9】石英製のキャップ部におけるシール部構造の一部を示した概念構造図である。
【図10】図9に示したものであって、キャップ部をステンレス製とした概念構造図である。
【符号の説明】
1 処理容器
3 ガス導入口
4 インジェクタ
6 キャップ部
15 ガス導入体
16 ガス導入路
17 ヒータ
19 水冷フランジ
31 断熱スリーブ
32 離間部

Claims (3)

  1. 処理容器内に処理ガスを導入して被処理体を熱処理するための縦型熱処理装置であって、処理容器に設けた処理ガス導入口に、水冷フランジとは独立させて別のガス導入体を配設し、前記ガス導入体は、筒形状の処理容器外周囲の一部に配設され、全体として扁平形状で、前記処理容器の軸心方向から見て三日月型を呈する形態であり、このガス導入体に形成したガス導入路から前記処理ガス導入口へ処理ガスを供給するようにしたことを特徴とする縦型熱処理装置。
  2. 前記ガス導入体には、複数個のガス導入路を肉厚部分に放射方向に形成し、このガス導入路同志間の肉厚部分にカートリッジタイプのヒータを内蔵した請求項に記載の縦型熱処理装置。
  3. 前記ガス導入体を、処理容器の下端側壁の近傍位置に設けた水冷フランジの上部に、断熱部材を介して離間させて固定した請求項1又は2に記載の縦型熱処理装置。
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