JP4281283B2 - 変速機用電動駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明に係る変速機用電動駆動装置は、自動車用変速機の変速比を自動的に、或は運転者の指示に従って切り替える為の駆動装置として利用する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の変速機として従来から、運転者がクラッチペダルと共にシフトレバーを操作する事によりギヤを切り換える手動変速機、或は運転状況に応じて変速比を自動的に切り換える自動変速機が、広く使用されている。又、このうちの自動変速機としては、トルクコンバータと遊星歯車機構とを組み合わせたもの、可変式のプーリと無端ベルトとを組み合わせたもの等が、従来から使用されている。更に、従来手動変速機として使用されていた変速ユニットの切り換えを自動的に行なえる様にすると共に、クラッチの断接を自動的に行なえる様にした自動車用変速機も、操作が容易で、しかも伝達効率が一般的な自動変速機に比べて高い事から、近年使用される様になっている。この様な自動車用変速機で変速ユニットを構成するギヤの切り換えを行なう為の構造として従来から、国際公開WO 01/31234 A1に記載されたものが知られている。この国際公開に係る変速機用電動駆動装置に就いて、図16〜22により説明する。
【0003】
先ず、図16〜19の第1例に就いて説明する。手動変速機と同様の変速ユニットを内蔵したミッションケース1の側面から、この変速ユニットの変速比を切り換える為の切換シャフト2の先端部3を突出させている。この先端部3の中間部には雄スプライン部4を形成しており、この雄スプライン部4に、その内周面に雌スプラインを形成したスプライン筒5をスプライン係合させている。そして、上記先端部3の更に端部で、上記スプライン筒5から突出した部分に、外周面に係合溝6を設けた係合駒7を結合している。
【0004】
上述の様なスプライン筒5と係合駒7とを組み付けた上記切換シャフト2は、軸方向(図16の表裏方向、図17の上下方向)に変位する事によりセレクト動作(一般的な手動式フロアシフト車でシフトレバーを車両の幅方向に変位させる事により行なう動作で、変速の為のギヤを選択する動作)を、回転させる事によりシフト動作(同じくシフトレバーを車両前後方向に変位させる事により行なう動作で、選択したギヤに対応するシンクロメッシュ機構を結合して当該ギヤを動力伝達可能にする動作)を、それぞれ行なわせる。例えば、図20に示す様に、前進5段(1速〜5速)、後退1段(R)の6種類の変速状態を実現する変速ユニットで考えた場合、セレクト動作では、何れの変速状態ともならない(シンクロメッシュ機構がフリー状態となっている)ニュートラル状態のまま、図20の左右方向両端位置と左右方向中央位置との3種類の位置を選択する。又、シフト動作では、このニュートラル状態での3種類の位置から、何れかの方向(図20の上方又は下方)に変位させ、何れかのシンクロメッシュ機構を接続状態として、何れかの変速状態とする。このうちのセレクト動作を行なわせるべく、上記切換シャフト2を軸方向に変位させる為に、上記ミッションケース1の外面と上記係合駒7との間に、セレクト用アクチュエータ8を設けている。
【0005】
このセレクト用アクチュエータ8は、図18に示す様に、セレクト用電動モータ9の出力軸により回転駆動される多条ウォームギヤ10と、ウォームホイール11とを噛合させている。そして、このウォームホイール11の回転中心である出力軸12に揺動腕13の基端部を結合固定して、この揺動腕13を、上記ウォームホイール11と共に回転する様に構成している。更に、この揺動腕13の先端部片側面(図16の左端部上面)に形成した係合凸部14を、上記係合駒7の係合溝6に係合させて、上記切換シャフト2を、軸方向に変位自在としている。
【0006】
一方、上記シフト動作を行なわせるべく、上記切換シャフト2を回転させる為に、上記ミッションケース1の外面と前記スプライン筒5の外周面に固設した駆動腕15の先端部との間に、シフト用アクチュエータ16を設けている。このシフト用アクチュエータ16は、図19に示す様に、略円筒状のシフト用ケース17の一端部(図19の左端部)に正転逆転自在なシフト用電動モータ18を、段付円筒状のモータハウジング19を介して支持固定している。
【0007】
又、このモータハウジング19の内側にボールねじ軸20の中間部基端寄り部分を、深溝型玉軸受等の転がり軸受21により、(軸方向の変位を阻止した状態で)回転のみ自在に支持している。そして、上記ボールねじ軸20の基端部で上記転がり軸受21よりも突出した部分と、上記シフト用電動モータ18の出力軸22とを、回転力の伝達自在に結合している。
【0008】
又、上記ボールねじ軸20の周囲にボールナット23を配置し、このボールねじ軸20の外周面に形成した雄ボールねじ溝24と、ボールナット23の内周面に形成した雌ボールねじ溝25との間に複数のボール26を配置して、ボールねじ装置27を構成している。上記ボールナット23は、後述の様に自身の回転を阻止されているので、上記ボールねじ軸20の回転に伴ってこのボールねじ軸20の軸方向に変位する。又、このボールナット23の片端面(図の右端面)に、円筒状の出力部材28の基端部を結合している。
【0009】
又、上記出力部材28の中間部外周面は、上記シフト用ケース17の前端部(図19の右端部)内周面に係止した滑り軸受29に摺接させている。又、この出力部材28の先端部は結合ブラケット30と結合ピン31(図16〜17)とを介して、前記駆動腕15の先端部に、揺動変位自在に結合している。又、上記出力部材28の中間部外周面にこの出力部材28の軸方向に形成したガイド溝32に、上記シフト用ケース17の先端部に固定したガイドピン33を係合させて、上記出力部材28及び上記ボールナット23の回転を防止している。
【0010】
更に、上記出力部材28と上記シフト用ケース17との間に、上記ボールナット23のストロークの中間位置で係合して、このボールナット23が軸方向に変位する事に対する抵抗を発生させるディテント機構34を設けている。このディテント機構34を構成する為、上記出力部材28の中間部外周面に摺鉢状の凹孔35を形成すると共に、上記シフト用ケース17に設けたシリンダ部36内にボール37を、このシフト用ケース17の直径方向の変位自在に保持している。そして、ばね38により上記ボール37を、上記出力部材28の外周面に向け、弾性的に押し付けている。
【0011】
上述の様に構成する従来の変速機用電動駆動装置は、次の様にして、前記ミッションケース1に内蔵した変速ユニットのギヤを切り換える。先ず、前記セレクト用アクチュエータ8を構成するセレクト用電動モータ9を所定方向に回転させて、前記揺動腕13を図17の上下方向に揺動変位させる。そして、この揺動腕13の先端部に設けた係合凸部14により前記切換シャフト2を、前記係合駒7を介して所定方向に軸方向変位させ、セレクト動作を行なう。
【0012】
この様にしてセレクト動作を行なった後、シフト動作を行なうべく、前記シフト用アクチュエータ16を伸縮させる事により、前記駆動腕15を介して上記切換シャフト2を所定方向に回転させる。この様にシフト動作を行なう際には、前記シフト用電動モータ18により前記ボールねじ軸20を所定方向に回転させる。そして、前記ボールねじ装置27により前記ボールナット23及び出力部材28を軸方向に変位させて、上記駆動腕15を押し引きする。
【0013】
次に、図21〜22は、前記国際公開に係る従来構造の第2例を示している。本例の場合には、ミッションケース1の開口部分に固定した円輪状の支持プレート39の内側に回転自在に支持した切換シャフト2の先端部(図22の上端部)で上記ミッションケース1から突出した部分に、駆動ブラケット40を固定している。そして、この駆動ブラケット40の外周面片側に形成した係合溝6aに、セレクト用アクチュエータ8(図16〜18参照)の揺動腕13の先端部に設けた係合凸部14を係合させている。又、上記駆動ブラケット40の外周面他側部分の軸方向両端部に形成した1対の駆動腕15a、15aの先端部同士の間にスライドピン41を、上記切換シャフト2と平行に支持している。そして、このスライドピン41を、シフト用アクチュエータ16(図16、18、20参照)の出力部材28aの先端部に形成した円孔42に、揺動並びに軸方向の変位自在に挿通している。
上述の様に構成する第2例の場合も、前述した第1例の場合と同様に、上記揺動腕13を揺動させる事により上記切換シャフト2を軸方向に変位させて、セレクト動作を行なえる。又、上記出力部材28aを軸方向に変位させる事によって、シフト動作を行なえる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述した、国際公開に係る従来構造の場合、セレクト用アクチュエータ8で、セレクト用電動モータ9の回転運動を揺動腕13の揺動運動に変換する為の機構として、多条ウォームギヤ10とウォームホイール11とから成るウォーム減速機構を使用している。この様なウォーム減速機構は、伝達効率が悪く、上記揺動腕13を高速で変位させる為には、上記セレクト用電動モータ9として、大型で消費電力が嵩むものを使用しなければならないと言った問題が生じる。セレクト動作に要する力は小さい為、上述の様に、減速機構の伝達効率が悪い事に起因して、大型で消費電力が嵩むセレクト用電動モータ9を使用する事は、変速機用電動駆動装置の設計の自由度確保の面からも、省エネルギ化の面からも好ましくない。
本発明は、この様な事情に鑑みて、小型で消費電力が少なくて済むセレクト用電動モータの使用を可能な変速機用電動駆動装置を実現すべく発明したものである。
【0015】
【課題を解決する為の手段】
本発明の変速機用電動駆動装置は、前述した従来から知られている変速機用電動駆動装置と同様に、セレクト用アクチュエータと、シフト用アクチュエータとを備える。
このうちのセレクト用アクチュエータは、複数のギヤのうちから所望のギヤを選択する為に切換シャフトを軸方向に変位させるセレクト動作を、セレクト用電動モータを駆動源として行なわせるものである。
又、上記シフト用アクチュエータは、選択したギヤを動力伝達可能な状態にする為に上記切換シャフトを回転させるシフト動作を、シフト用電動モータを駆動源として行なわせるものである。
【0016】
この様な本発明の変速機用電動駆動装置では、上記セレクト用アクチュエータは、上記セレクト用電動モータの出力軸により回転駆動されるピニオンギヤと、このピニオンギヤと噛合したセクタギヤと、このセクタギヤと共に揺動する揺動腕とを備えたものである。そして、この揺動腕の先端部を上記切換シャフトの一部に係合させる事により、この揺動腕の揺動に伴ってこの切換シャフトを軸方向に変位自在としている。
又、上記シフト用アクチュエータは、複数のボールを介して互いに螺合したボールねじ軸とボールナットとを備え、軸方向隙間が1〜250μmである正の隙間を持ったボールねじ装置であり、上記シフト用電動モータの出力軸により上記ボールねじ軸を回転駆動自在とし、軸方向の変位を自在とされた上記ボールナットに出力部材の基端部を結合したものである。そして、この出力部材の先端部を、上記切換シャフトを回転させる為の駆動腕の先端部に係合している。
更に、上記シフト用アクチュエータを納めるシフト用ケースの内側に、上記ボールねじ軸を回転自在に支持する為の転がり軸受を構成する外輪を、このシフト用ケースの内周面に形成した段部に、上記ボールナットの外径よりも小さな内径を有する外輪間座を介して突き当てた状態で、円筒状の抑えナットによりこの段部に向け抑え付けて、この外輪間座に、上記ボールナットの軸方向端面が上記ボールねじ軸に固定の部分に突き当たる事を防止するストッパとしての機能を持たせている。
【0017】
【作用】
上述の様に構成する本発明の変速機用電動駆動装置は、次の様にして、変速ユニットのギヤを切り換える。先ず、セレクト用アクチュエータを構成するセレクト用電動モータを所定方向に回転させて、ピニオンギヤを介してセクタギヤ並びにこのセクタギヤを固定した揺動腕を揺動変位させる。そして、この揺動腕の先端部により切換シャフトを、軸方向に関して所定の方向に変位させて、セレクト動作を行なう。このセレクト動作に要する力は小さく、又、上記ピニオンギヤとセクタギヤとによる伝達機構の効率は高い。この為、この伝達機構の減速比をあまり大きくせず(ピニオンギヤとセクタギヤとの半径比をあまり大きくせず)、上記揺動腕の変位速度を確保する場合でも、上記セレクト用電動モータとして特に大きな出力を有するものを使用しなくても、上記セレクト動作を迅速且つ確実に行なえる。
【0018】
この様にしてセレクト動作を行なった後、シフト動作を行なうべく、シフト用アクチュエータにより、駆動腕を介して上記切換シャフトを所定方向に回転させる。この様なシフト動作は、上記シフト用アクチュエータを構成するボールねじ軸を回転させ、ボールナットを軸方向に移動させる事で行なうが、この様にボールナットが軸方向に移動する力は十分に大きくできる。従って、セレクト動作に比べて大きな力を有するシフト動作も、確実に行なえる。
又、軸方向隙間が1〜250μmである正の隙間を持たせているので、消費エネルギの低減と耐久性を向上させる事ができる。
更に、上記ボールナットの軸方向端面が上記ボールねじ軸に固定の部分に突き当たる事を防止して、これらボールナットとボールねじ軸との間に配置したボールの食い込みに伴う作動不良の発生を防止する事ができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の変速機用電動駆動装置を組み込んだ、自動車用変速装置の1例を示している。エンジン43のクランクシャフト44の回転は、クラッチ装置45を介して変速ユニット46の入力軸47に伝達される。そして、この変速ユニット46の出力を、プロペラシャフト48を介して駆動輪49、49に伝達する様にしている。図1に示した構造の場合、上記クラッチ装置45は、一般の手動変速機と組み合わされる乾式単板クラッチであり、油圧式、或は電動式のクラッチ用アクチュエータ50により断接させる様にしている。
【0020】
そして、上記変速ユニット46の変速比の切り換えを、本発明の対象である変速機用電動駆動装置により行なう様にしている。この為に、上記変速ユニット46を収納したミッションケース1aの外面から突出した切換シャフト2aを、セレクト用アクチュエータ8aとシフト用アクチュエータ16aとにより駆動自在としている。このうちのセレクト用アクチュエータ8aは上記切換シャフト2aを、軸方向(図1の上下方向)に変位させる。これに対して上記シフト用アクチュエータ16aは上記切換シャフト2aを、捻り方向に回転させる。
【0021】
上記セレクト用アクチュエータ8aは、図2〜6に示す様に構成している。このセレクト用アクチュエータ8aは、セレクト用ケース51に、セレクト用電動モータ9aと、ピニオンギヤ52と、出力軸12aと、請求項3〜6に記載した位置センサである変位センサ53とを組み付けて成る。このピニオンギヤ52は伝達軸55の中間部外周面に、この伝達軸55と一体に形成されている。又、この伝達軸55は、上記セレクト用電動モータ9aの回転駆動軸54と同心に配置された状態で上記セレクト用ケース51内に、1対の玉軸受により回転自在に支持されている。そして、上記回転駆動軸54の先端部と上記伝達軸55の基端部とをセレーション係合(スプライン係合を含む)させて、この回転駆動軸54の回転をこの伝達軸55に伝達自在としている。この構成により、がたつきの少ない回転伝達部を低コストで得られる様にしている。尚、この場合のセレーション係合の雄・雌は、図示の場合と逆でも良い。
【0022】
又、上記セレクト用電動モータ9aは上記セレクト用ケース51を構成する本体57の片側面に、取付フランジ64を挿通したボルト65、65により結合固定している。この状態で上記セレクト用電動モータ9aの先端部が上記本体57の片側面に形成した凹孔66内にがたつきなく嵌合し、この先端部に係止したOリング67により、この嵌合部をシールする。この構成により、上記伝達軸55等を設置したセレクト用ケース51内への雨水等の異物進入を防止すると共に、このセレクト用ケース51内に封入したグリースの漏洩を防止している。
【0023】
又、上記出力軸12aは上記伝達軸55と平行に配置された状態で上記セレクト用ケース51内に、やはり1対の玉軸受により回転自在に支持している。更に、上記出力軸12aの中間部外周面にセクタギヤ(扇状歯車)56を、この出力軸12aと一体に設けており、このセクタギヤ56と上記ピニオンギヤ52とを噛合させて、上記出力軸12aを両方向に所定角度分回転駆動自在としている。この構成により、上記出力軸12aを所定角度分、セレクト動作に必要とされるトルクで駆動自在な構造を、コンパクトに実現している。尚、上記セレクト用ケース51内に、上記セクタギヤ56及びピニオンギヤ52を収納自在とする為に、このセレクト用ケース51を、上記本体57にカバー58を被着する事により構成している。又、このセレクト用ケース51内に封入するグリースは、上記各玉軸受及び上記両ギヤ52、56同士の噛合部で互いに同じ種類とする事により、各部の潤滑に使用するグリース同士の混入に伴う劣化を防止する。合わせて、グリースの管理及び充填作業の簡略化による低コスト化を図る。
【0024】
又、上記出力軸12aの先端面(図6の右端面)には凹部59を、この先端面の直径方向に形成している。又、この先端面中心部でこの凹部59に位置する部分にねじ孔60を形成し、この凹部59内に揺動腕13aの基端部を、がたつきなく嵌合させている。そして、この揺動腕13aの基端部に形成した通孔61を挿通した結合ねじ62を上記ねじ孔60に螺合し、更に緊締している。この状態で、上記揺動腕13aの基端部は上記出力軸12aの先端部に結合固定されて、この出力軸12aと共に回転自在となる。尚、上記揺動腕13aの先端部にはピンを嵌合固定して、前記切換シャフト2aに固定した係合駒7(図1参照)と係合自在な係合凸部14aとしている。尚、この係合凸部14aとなるべき上記ピンの先半部(図5〜6の右半部)には高周波熱処理を施して、上記係合凸部14aの外周面を焼き入れ硬化している。そして、切換シャフト2aの端部に固定した係合駒7の係合溝6b(図1参照)との係合に伴う、上記係合凸部14aの外周面の摩耗を抑えている。
【0025】
又、上記セレクト用ケース51に前記変位センサ53を、上記出力軸12aと同心に支持している。この為に、上記出力軸12aを装着する為に前記本体57の先端部に形成した取付孔63を、この本体57の両側面に開口させている。又、この変位センサ53の検出部68に突設した係合突起69を、上記出力軸12aの基端部に形成した係合凹部70に係合させている。そして、この出力軸12aの回転を上記検出部68に伝達自在としている。上記変位センサ53は、上記検出部68の回転角度に応じて抵抗値等の電気的特性を変える、ポテンショメータの如きもので、その測定値に基づき、上記出力軸12aの揺動角度を検出自在としている。
【0026】
尚、上記係合凸部14aとなるべき上記ピンを上記揺動腕13aの先端部に固定する構造に就いては、圧入、ねじ止め等の他、かしめにより行なう事もできる。かしめにより行なう場合でも、上記ピンのうちで高周波熱処理により焼き入れ硬化している部分は、上記係合凸部14aの先半部外周面のみである為、かしめ作業は容易に行なえる。かしめにより固定する場合には、上記ピンの基端部を上記揺動腕13aの先端部に形成した取付孔に挿入する。そして、このピンの軸方向中間部に形成した外向フランジ状の鍔部若しくはこの軸方向中間部に係止した止め輪の片面を、上記揺動腕13aの片面(図5〜6の右面)に突き当てる。そして、上記ピンの端部でこの揺動腕13aの他面(図5〜6の左面)から突出した部分を径方向外方にかしめ広げて、この部分と上記鍔部若しくは止め輪との間で、上記揺動腕13aの先端部を挟持する。上記ピンの基端部は焼き入れ硬化する事なく生のままとしているので、上記かしめ広げ作業は容易に行なえる。
【0027】
上述の様な構成を有するセレクト用アクチュエータ8aは、上記セレクト用ケース51の本体57の基端部に固設した取付フランジ71を挿通した図示しない取付ボルトにより、前記ミッションケース1a(図1参照)の外面に結合固定される。上記セレクト用ケース51に装着する各部材のうち、重量の嵩む前記セレクト用電動モータ9aは、上記本体57の基端寄り、即ち、上記取付フランジ71に近い部分に取り付けている。これに対して、軽量な上記変位センサ53は、上記本体57の先端寄り、即ち、上記取付フランジ71から遠い側に取り付けている。この構成により、運転時に上記ミッションケース1aから上記セレクト用ケース51に伝わった振動が成長する事を防止して、上記変位センサ53の検出値に誤差を生じたり、この変位センサ53が損傷する事を防止している。
【0028】
上述の様に構成するセレクト用アクチュエータ8aにより前記切換シャフト2aを軸方向に変位させる場合は、前記セレクト用電動モータ9aへの通電に基づいて、前記ピニオンギヤ52を所定方向に回転させる。この結果、このピニオンギヤ52と噛合したセクタギヤ56を固設した上記出力軸12aが回動し、上記揺動腕13aが揺動変位する。そして、この揺動腕13aの先端部に設けた係合凸部14aが、前記係合駒7を介して、上記切換シャフト2aを軸方向に変位させる。この変位量は、上記出力軸12aの回転角度として、上記変位センサ53により検出される。そこで、この変位センサ53の検出信号を、上記セレクト用電動モータ9aへの通電を制御する為の制御器に送れば、上記切換シャフト2aを所定位置にまで軸方向変位させる事ができる。
【0029】
尚、図示の例では、前記セレクト用ケース51の本体57に対する上記変位センサ53の取付位置の微調節を容易に行なえる様にしている。即ち、本例の場合には、上記変位センサ53を収納したホルダ72を上記セレクト用ケース51の本体57に取り付けるべく、このホルダ72に、図4に示す様に、フランジ部73、73を設けている。そして、これら両フランジ部73、73に形成した通孔74、74を挿通した取付ねじ75、75を上記本体57に形成したねじ孔に螺合し更に緊締している。本例の場合、上記各通孔74、74を、上記揺動腕13aの揺動中心である、上記出力軸12aの中心線上の点をその中心とする、円弧状の長孔としている。この構成により、本体57に対する上記変位センサ53の取付位置の微調節を容易に行なって、上記揺動腕13aの揺動位置を適正に検出できる様にしている。
【0030】
又、図示の例では、上記本体57に対する上記セレクト用電動モータ9a及び変位センサ53の取り付け方向を同じとして、これら両部材9a、53の組み付けを容易に行なえる様にしている。即ち、上記セレクト用電動モータ9a及び変位センサ53を何れも、上記本体57に対して図6の左方から組み付ける様にしている。従って、上記セレクト用電動モータ9a及び変位センサ53に付属のハーネスの取り回しが容易になる等、上記組み付け作業の容易化を図れる。
【0031】
尚、図示の例では、上記変位センサ53として接触式のものを使用しているが、この変位センサ53としては、近接センサ等の非接触式のセンサを使用する事もできる。非接触式のセンサを使用すれば、運転時に加わる振動により、前記係合突起69と係合凹部70との接触部が摩耗する等の問題が生じる事をなくせる。尚、この様な場合に使用する非接触式のセンサの検出機構としては、光学式、電磁式、ホールICを使用したもの等、従来から知られている各種機構を使用できる。この場合に、非接触式のセンサ(接触式の場合も同様)は、上記揺動腕13aの揺動の全範囲で位置検出できるものである必要はない。セレクト動作を行なう為に必要な位置、即ち、揺動の両端位置と中央位置との3個所位置を検出できるものであれば良い。
【0032】
更には、変位センサ53が接触式、非接触式に関係なく、この変位センサ53の検出信号をワイヤレス通信により、制御器側に送る様に構成する事もできる。検出信号をワイヤレス送信する事により、上記変位センサ53に付属のハーネスを省略できる。尚、この場合には、この変位センサ53として、電池を内蔵したものを使用する。或は、ハーネスが必須となる、上記セレクト用電動モータ9aの側から電力を供給する事もできる。このセレクト用電動モータ9aと上記変位センサ53とは隣接している為、このセレクト用電動モータ9aから変位センサ53に電力を供給する為のハーネスを設ける事は容易である。
【0033】
次に、前記シフト用アクチュエータ16aは、図7〜10に示す様に構成している。このシフト用アクチュエータ16aは、アルミニウム合金の如き軽金属等の非鉄金属製で略円筒状のシフト用ケース17aの一端部(図7、8、10の左端部)に、正転逆転自在なシフト用電動モータ18aを支持固定している。この為に本例の場合には、上記シフト用ケース17aの一端部に段付円筒状の外径側嵌合部76を設け、この外径側嵌合部76に、上記シフト用電動モータ18aの先端部(図7、8、10の右端部)に形成した内径側嵌合部77を内嵌している。この内径側嵌合部77の外周面に形成した係止溝にはOリング78を装着し、このOリング78をこの係止溝の底部と上記外径側嵌合部76の内周面との間で弾性的に圧縮している。この状態で、上記シフト用電動モータ18aの先端部外周面及び上記シフト用ケース17aの基端部外周面に形成した結合フランジ同士を突き合わせ、これら両結合フランジを結合ボルト79、79により結合している。
【0034】
尚、上記Oリング78を上記外径側嵌合部76に押し込みつつ、上記シフト用ケース17aと上記シフト用電動モータ18aとを組み合わせる場合、このシフト用ケース17a内の圧力が上昇する。この様な圧力上昇を抑えて、このシフト用ケース17aの先端部内周面と後述する出力部材28aの外周面との間に設けたシールリング93が捲れるのを防止する為に、上記シフト用ケース17aの一部に空気抜きの為の小孔を形成する事もできる。この様な小孔は、組立完了後に樹脂(接着剤)により塞いでおく。但し、上記シールリング93の組付けを最後に行なう場合、或は、圧力上昇が限られたものである場合には、この様な配慮は不要である。
【0035】
上記Oリング78は、上記シフト用ケース17a内への雨水等の異物進入を防止すると共に、このシフト用ケース17a内に封入したグリースの漏洩を防止する。尚、このグリースは、このシフト用ケース17a内に設けた各転がり接触部の潤滑の他、後述する出力部材28aの外周面と滑り軸受29の内周面との滑り接触部の潤滑を行なう。この様に各部を潤滑するグリースに関しても、シフト用アクチュエータ16a全体として同種のものを使用して、混入に伴う劣化を防止すると共に、グリースの管理及び充填作業の簡略化による低コスト化を図る。尚、上記シフト用電動モータ18aに関しては、前記セレクト用電動モータ9a(図3〜6)と同じ仕様(同一種類)のものを使用する事が、コスト低減を図る面から好ましい。即ち、上記両モータ18a、9aの仕様を同じとする事により、量産効果によるコスト低減の他、制御回路の一部共通化によるコスト低減、誤組み付け防止の為の配慮等が不要になる。又、上記両モータ18a、9aとして、直流42V等、従前の自動車用バッテリに比べて高い電源電圧で駆動されるものを使用する事が、これら両モータ18a、9aの小型化と変速操作の迅速化とを両立させる面から好ましい。
【0036】
又、上記シフト用ケース17aの内側中間部基端寄り部分にボールねじ軸20aの中間部基端寄り部分を、深溝型玉軸受等の転がり軸受21により、(軸方向の変位を阻止した状態で)回転のみ自在に支持している。そして、上記ボールねじ軸20aの基端部で上記転がり軸受21よりも突出した部分と、上記シフト用電動モータ18aの出力軸22とを、前述したセレクト用アクチュエータ8aの場合と同様にセレーション係合(スプライン係合を含む)させて、上記出力軸22の回転を上記ボールねじ軸20aに伝達自在としている。尚、この場合のセレーション係合の雄・雌に関しても、図示の場合と逆でも良い。更には、上記ボールねじ軸20aを、上記シフト用電動モータ18aの出力軸22と一体にしても良い。一体にする事で、これらボールねじ軸20aと出力軸22との結合作業を省略できる他、結合部でのがたつきを完全になくす事ができる。
【0037】
尚、上記転がり軸受21の外輪80と内輪81とのうちの外輪80は、上記シフト用ケース17aの内周面に形成した段部82に外輪間座83を介して突き当てた状態で、円筒状の抑えナット84によりこの段部82に向け抑え付け、上記シフト用ケース17aの内周面に固定している。尚、上記外輪間座83の内径は、この外輪間座83に請求項1に記載したストッパとしての役目を持たせる為、後述するボールナット23aの外径よりも小さくしている。一方、上記内輪81は、上記ボールねじ軸20aの中間部外周面に係止した止め輪85(或はこのボールねじ軸20aと一体の鍔部)とこのボールねじ軸20aの基端部外周面に形成した雄ねじ部に螺着した抑えナット86との間で挟持する事により、上記ボールねじ軸20aの外周面に固定している。又、上記外輪間座83に上記ストッパとしての役目を持たせる為に、上記止め輪85の両側面のうちで上記ボールナット23aに対向する面は、上記外輪間座83の両側面のうちでこのボールナット23aに対向する面よりも軸方向(図10の左方)に凹ませている。
【0038】
従って、このボールナット23aが図10の状態から左方に移動した場合には、図11に示す様に、このボールナット23aの端面が上記外輪間座83に突き当たり、上記止め輪85に突き当たる事はない。この様に構成する理由は、上記ボールナット23aの軸方向端面が上記ボールねじ軸20aに固定の部分に突き当たる事を防止して、これらボールナット23aとボールねじ軸20aとの間に配置したボールの食い込みに伴う作動不良の発生を防止する為である。
【0039】
又、上記ボールねじ軸20aの周囲に上記ボールナット23aを配置し、このボールねじ軸20aの外周面に形成した雄ボールねじ溝と、ボールナット23aの内周面に形成した雌ボールねじ溝との間に複数のボールを配置して、ボールねじ装置27aを構成している。尚、上記ボールねじ軸20aと上記ボールナット23aと上記各ボールとは、何れも軸受鋼等の鉄系金属とし、熱膨張量の差を小さくして、使用温度の変化に伴うがたつきの発生を防止している。又、少なくとも互いに転がり接触する部分には熱処理による硬化層を形成して、当該部分の転がり疲れ寿命を確保している。この場合に行なう熱処理としては、焼き入れ・焼き戻し、浸炭、浸炭窒化、高周波熱処理等のうちから、材料に応じた適切なものを選択する。尚、硬化層の表面硬度はHRc55以上、厚さは0.1〜1.5mm程度とする事が好ましい。尚、上記複数のボールに関しては、窒化珪素等のセラミック製のボールを使用する事もできる。セラミック製のボールを使用すれば、転がり接触部分で金属接触の発生を確実に防止し、仮に潤滑不良が生じた場合でも、焼き付き等のより重大な損傷に結び付きにくくできる。
【0040】
又、ボールねじ軸20aの外周面に雄ボールねじ溝を加工する方法、及び、ボールナット23aの内周面に雌ボールねじ溝を加工する方法は、切削加工等、従来から知られている各種方法を採用できるが、塑性加工により造れば、優れた耐久性を有する高品質のねじ溝を低コストで造れる。この場合に使用する塑性加工としては、雄ボールねじ溝に関しては転造加工が、雌ボールねじ溝に関しては冷間鍛造が、それぞれ適切である。
【0041】
何れにしても、上記ボールねじ装置27aには、軸方向隙間が1〜250μmの正の隙間を持たせて、消費エネルギの低減と耐久性を向上させる。即ち、上記ボールねじ装置27aに負の隙間を持たせた(予圧を付与した)場合には、前記シフト用電動モータ18aの消費エネルギが増大する。しかも、運転時に絶えずエンジンから加わる、200〜300Hz程度の振動によって、無負荷状態でボールが振動変位する事により、上記各ボールねじ溝にフレッチング摩耗が発生し易くなる。これに対して、上記軸方向隙間を1〜250μm程度の正の値にすれば、上記シフト用電動モータ18aの消費エネルギを低減できるだけでなく、上記フレッチング摩耗を抑えられる。尚、この軸方向隙間の値を300μm以上にすると、やはりフレッチング摩耗が発生し易くなる。
【0042】
前記ボールナット23aは、後述の様に自身の回転を阻止されているので、前記ボールねじ軸20aの回転に伴ってこのボールねじ軸20aの軸方向に変位する。又、このボールナット23aの片端面(図10の右端面)には円柱状の出力部材28aの基端部を結合している。この為に本例の場合には、この出力部材28aの基端部内周面に形成した大径部87を、上記ボールナット23aの先端面(図10の右端面)中央部に突設した円筒状の結合用突部88に、がたつきなく外嵌している。そして、上記出力部材28aの基端縁を、この結合用突部88の基端部外周面に形成した係止溝89に向けかしめ付ける事により、上記出力部材28aと上記ボールナット23aとを結合固定している。この構成により、これら出力部材28aとボールナット23aとの間で両方向のスラスト力をがたつきなく伝達可能な構造を、低コストで実現している。尚、上記出力部材28aの基半部(図10の左半部)は中空円筒状として、上記ボールねじ軸20aとの干渉を防止している。この構成により、上記ボールナット23aの軸方向長さが必要以上に長くなる事を防止しつつ、必要とするストロークを確保している。
【0043】
尚、上記出力部材28aは、使用時に外気に曝される為、防錆を考慮した材質とする事が好ましい。この為には、上記出力部材28a全体をステンレス鋼製としたり、この出力部材28aの外周面で少なくとも使用時に前記シフト用ケース17aから露出する部分に、メッキ層或は樹脂皮膜等の防蝕皮膜を形成する。この構成により、上記出力部材28aの外周面が腐蝕する事を防止し、腐蝕に基づいてこの出力部材28aの外周面と次述する滑り軸受29の内周面との間の摺動抵抗が増大する事を防止している。
【0044】
又、上記出力部材28aの中間部外周面は、上記シフト用ケース17aの前端部(図7、8、10の右端部)内周面に係止した滑り軸受29に摺接させている。この滑り軸受29の軸方向寸法は十分に確保して、上記出力部材28aに加わるモーメント荷重に対する剛性を確保している。又、この出力部材28aの先端部は二股に形成して、図12〜14に示す様に、前記切換シャフト2aの端部にスプライン係合させた駆動腕15bの中間部に結合している。即ち、この駆動腕15bの中間部に、上記切換シャフト2aの径方向に長い長孔90を形成すると共に、この中間部を上記出力部材28aの先端面に径方向に形成した凹部91に挿入している。そして、この凹部91を横切る状態で上記出力部材28aの先端部に固定したピン92を、上記長孔90に係合させている。本例の変速機用電動駆動装置はこの様に構成する事により、上記シフト用ケース17aを前記ミッションケース1aの外面に固定した状態で、上記切換シャフト2aを揺動変位自在としている。尚、前述した様に、シフト用ケース17aはアルミニウム合金等の非鉄系金属製で、上記ミッションケース1aと同系列の材料により造られている。この為、シフト用ケース17aの軽量化を図れると共に、このシフト用ケース17aとミッションケース1aとの熱膨張係数の差を小さくして、使用温度の変化に伴うがたつきの発生を防止している。
【0045】
又、本例の場合には、図8に示す様に、前記ボールナット23aの外周面に軸方向に形成したガイド溝32aに、上記シフト用ケース17aの先端部に固定したガイドピン33aを係合させて、上記出力部材28a及び上記ボールナット23aの回転を防止している。但し、この様なガイド溝32aとガイドピン33aとによる回り止め構造は、必ずしも設ける必要はない。即ち、本例の場合には、上述の様に、駆動腕15bと凹部91との係合に基づいて上記出力部材28a及びこの出力部材28aを固定した上記ボールナット23aの回転を防止している。従って、上記ガイド溝32aとガイドピン33aとによる回り止め構造は省略しても良い。又、ガイドピンによる回り止め構造を設ける場合でも、図8に示す様にねじ止めにより上記ガイドピン33aを上記シフト用ケース17aに固定する構造に限らず、図14に示す様に、単なる円柱状のガイドピン33bをシフト用ケース17aに嵌合固定する構造を採用する事もできる。
【0046】
上述の様に構成する本例の変速機用電動駆動装置は、次の様にして、前記ミッションケース1aに内蔵した変速ユニットのギヤを切り換える。先ず、前記セレクト用アクチュエータ8aを構成するセレクト用電動モータ9aを所定方向に回転させて、前記揺動腕13aを図1、2、6の上下方向に揺動変位させる。そして、この揺動腕13aの先端部に設けた係合凸部14aにより前記切換シャフト2aを、前記係合駒7を介して所定方向に軸方向変位させ、セレクト動作を行なう。この場合に上記切換シャフト2aの軸方向位置は、前記変位センサ53により検出する。
【0047】
この様にしてセレクト動作を行なった後、シフト動作を行なうべく、前記シフト用アクチュエータ16aを伸縮させる事により、前記駆動腕15bを介して上記切換シャフト2aを所定方向に回転させる。この様にシフト動作を行なう際には、前記シフト用電動モータ18aにより前記ボールねじ軸20aを所定方向に回転させる。そして、前記ボールねじ装置27aにより前記ボールナット23a及び出力部材28aを軸方向に変位させて、上記駆動腕15bを押し引きする。この際に上記シフト用アクチュエータ16aは、ニュートラル状態に対応する中立状態(長さ寸法が中間の状態)から全伸長状態又は全収縮状態に変位する。この様に、セレクト動作とシフト動作とを順次行なう変速作業は、セレクト方向(X方向)の変位とシフト方向(Y方向)の変位とを互いに関連付けつつ、制御器からの電気的制御により行なう。
【0048】
次に、図15は、本発明の実施の形態の別例を示している。本例の場合には、セレクト用アクチュエータ8aを納めるセレクト用ケース51aと、シフト用アクチュエータ16aを納めるシフト用ケース17bとを一体としている。そして、これら両ケース51a、17bで共通の取付フランジ71aをミッションケース1a(図1)の外面に結合する事によって、上記両アクチュエータ8a、16aをこの外面に固定自在としている。本例の場合には、この様な構成を採用する事により、上記両アクチュエータ8a、16aの取付スペースを低減可能にすると共に、取付作業の容易化を図っている。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成され作用するので、小型で消費電力が少なくて済むセレクト用電動モータを使用し、しかも優れた耐久性を有する変速機用電動駆動装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例の全体構成を示す略平面図。
【図2】セレクト用アクチュエータの正面図。
【図3】同じく平面図。
【図4】同じく背面図。
【図5】同じく左側面図。
【図6】図2のA−A断面図。
【図7】シフト用アクチュエータの平面図。
【図8】同じく正面図。
【図9】同じく右側面図。
【図10】図8のB−B断面図。
【図11】ボールナットを端部まで移動させた状態で示す、図10の中央部拡大図。
【図12】シフト用アクチュエータと駆動腕とを連結した状態を示す正面図。
【図13】図12のC−C断面図。
【図14】ボールナットの回り止め構造の別例を示す断面図。
【図15】セレクト用アクチュエータとシフト用アクチュエータとを一体化した構造の1例を示す平面図。
【図16】従来の変速機用電動駆動装置の第1例を示す平面図。
【図17】図16のD−D断面図。
【図18】同E−E断面図。
【図19】同F−F断面図。
【図20】変速機のシフトパターンの1例を示す略平面図。
【図21】従来の変速機用電動駆動装置の第2例を示す部分平面図。
【図22】図21のG−G断面図。
【符号の説明】
1、1a ミッションケース
2、2a 切換シャフト
3 端部
4 雄スプライン部
5 スプライン筒
6、6a、6b 係合溝
7 係合駒
8、8a セレクト用アクチュエータ
9、9a セレクト用電動モータ
10 多条ウォームギヤ
11 ウォームホイール
12、12a 出力軸
13、13a 揺動腕
14、14a 係合凸部
15、15a、15b 駆動腕
16、16a シフト用アクチュエータ
17、17a、17b シフト用ケース
18、18a シフト用電動モータ
19 モータハウジング
20、20a ボールねじ軸
21 転がり軸受
22 出力軸
23、23a ボールナット
24 雄ボールねじ溝
25 雌ボールねじ溝
26 ボール
27、27a ボールねじ装置
28、28a 出力部材
29 滑り軸受
30 結合ブラケット
31 結合ピン
32、32a ガイド溝
33、33a、33b ガイドピン
34 ディテント機構
35 凹孔
36 シリンダ部
37 ボール
38 ばね
39 支持プレート
40 駆動ブラケット
41 スライドピン
42 円孔
43 エンジン
44 クランクシャフト
45 クラッチ装置
46 変速ユニット
47 入力軸
48 プロペラシャフト
49 駆動輪
50 クラッチ用アクチェータ
51、51a セレクト用ケース
52 ピニオンギヤ
53 変位センサ
54 回転駆動軸
55 伝達軸
56 セクタギヤ
57 本体
58 カバー
59 凹部
60 ねじ孔
61 通孔
62 結合ねじ
63 取付孔
64 取付フランジ
65 ボルト
66 凹孔
67 0リング
68 検出部
69 係合突起
70 係合凹部
71、71a 取付フランジ
72 ホルダ
73 フランジ部
74 通孔
75 取付ねじ
76 外径側嵌合部
77 内径側嵌合部
78 0リング
79 結合ボルト
80 外輪
81 内輪
82 段部
83 外輪間座
84 抑えナット
85 止め輪
86 抑えナット
87 大径部
88 結合用突部
89 係止溝
90 長孔
91 凹部
92 ピン
93 シールリング
Claims (6)
- 複数のギヤのうちから所望のギヤを選択する為に切換シャフトを軸方向に変位させるセレクト動作を、セレクト用電動モータを駆動源として行なわせるセレクト用アクチュエータと、選択したギヤを動力伝達可能な状態にする為に上記切換シャフトを回転させるシフト動作を、シフト用電動モータを駆動源として行なわせるシフト用アクチュエータとを備えた変速機用電動駆動装置であって、上記セレクト用アクチュエータは、上記セレクト用電動モータの出力軸により回転駆動されるピニオンギヤと、このピニオンギヤと噛合したセクタギヤと、このセクタギヤと共に揺動する揺動腕とを備えたものであり、この揺動腕の先端部を上記切換シャフトの一部に係合させる事により、この揺動腕の揺動に伴ってこの切換シャフトを軸方向に変位自在としており、上記シフト用アクチュエータは、複数のボールを介して互いに螺合したボールねじ軸とボールナットとを備え、軸方向隙間が1〜250μmである正の隙間を持ったボールねじ装置であり、上記シフト用電動モータの出力軸により上記ボールねじ軸を回転駆動自在とし、軸方向の変位を自在とされた上記ボールナットに出力部材の基端部を結合したものであって、この出力部材の先端部を、上記切換シャフトを回転させる為の駆動腕の先端部に係合しており、上記シフト用アクチュエータを納めるシフト用ケースの内側に上記ボールねじ軸を回転自在に支持する為の転がり軸受を構成する外輪を、このシフト用ケースの内周面に形成した段部に、上記ボールナットの外径よりも小さな内径を有する外輪間座を介して突き当てた状態で、円筒状の抑えナットによりこの段部に向け抑え付け、この外輪間座に、上記ボールナットの軸方向端面が上記ボールねじ軸に固定の部分に突き当たる事を防止するストッパとしての機能を持たせた、変速機用電動駆動装置。
- セレクト用アクチュエータを納めるセレクト用ケースとシフト用アクチュエータを納めるシフト用ケースとが一体であり、これら両ケースで共通のフランジをミッションケースの外面に結合する事によって、上記両アクチュエータをこの外面に固定自在とした、請求項1に記載した変速機用電動駆動装置。
- セレクト用アクチュエータを構成する揺動腕の揺動位置を検知する為の位置センサが設けられており、このセレクト用アクチュエータを納めるセレクト用ケースに、このセレクト用ケースをミッションケースの外面に結合する為のフランジが設けられており、このセレクト用ケースに対してセレクト用電動モータを組み付ける位置を、同じく上記位置センサとを組み付ける位置よりも上記フランジに近い部分とした、請求項1〜2の何れかに記載した変速機用電動駆動装置。
- 位置センサを収納したホルダをセレクト用ケースに取り付けるべく、このホルダのフランジ部に形成した、取付ねじ挿通用の通孔を、揺動腕の揺動中心をその中心とする円弧状の長孔とした、請求項3に記載した変速機用電動駆動装置。
- セレクト用ケースに対して位置センサ及びセレクト用電動モータを、同じ側から着脱自在とした、請求項3〜4の何れかに記載した変速機用電動駆動装置。
- 位置センサが非接触式である、請求項3〜5の何れかに記載した変速機用電動駆動装置。
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