JP4280455B2 - 揺動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、椅子やベッドや玩具などの保持装置を揺動自在に支持する揺動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の揺動装置としては、保持装置の下面などに円弧板状の脚部材を配置し、脚部材と床などとを転接させて転動させることにより保持装置を一方向に揺動可能としたものや、保持装置の下面などに椀状(ほぼ球面状)の脚部材を配置し、脚部材と床などとを転接させ転動させることにより保持装置を多方向に揺動可能としたものや、保持装置を支点で揺動自在に支持し、保持部材の揺動端部にクッション用のバネを配置したものなどがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
円弧板状の脚部材を設けたものでは揺動方向が一方向に限られ、例えば揺動によるリラックス効果などを十分に発揮させることができなかった。碗状の脚部材を設けたものでは、多方向の揺動は可能であるが碗状であるがゆえに安定性に欠けるものであった。これらの円弧板又は碗状の脚部材を設けたものでは、脚部材が床などと転接する構造であるので、転接する際に指などを脚部材と床との隙間に挟み怪我をするおそれがあり、さらに転接する床を傷つけるおそれもあった。揺動端部にクッション用のバネを設けたものでは、ある方向に揺動した場合にタイムラグを持って復帰動作がされるなど、揺動動作が円滑に行われないということがある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、任意の方向(少なくとも前後方向及び左右方向)に安定かつ円滑に揺動でき、指などを床面との間に挟んでも怪我をすることがなく、床面を傷つけることが少ない揺動装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の揺動装置は、空気などの気体が封入された袋体と、当該袋体上に載置され人体を受け入れて保持する保持装置とを備え、前記保持装置には、前記袋体の接地面側に向けて繰出自在な脚部材を備えた拘束機構が設けられ、前記脚部材が前記接地面に接触した後には前記袋体に荷重が作用することが阻止されて当該袋体の変形が拘束されることを特徴とする。
これにより、保持装置に人体を受け入れさせる際に、拘束機構を構成する脚部材を作動させることにより、人体を受け入れさせる際の袋体の弾性変形の影響を極力少なくして人体を受け入れ易くすることができる。特に、運動能力やバランス能力のあまり高くない高齢者などが保持装置に人体を受け入れさせる際に、不用意にバランスを崩すといったことが抑制できる。
本発明の請求項2記載の揺動装置は、前記脚部材は前記保持装置の周縁部付近に繰り出し自在に設けられ、前記脚部材が前記接地面に接触した後には前記袋体に荷重が作用することが阻止されて袋体の変形が拘束されることを特徴とする。
これにより、保持装置に人体を受け入れさせる際に、拘束機構を構成する脚部材に繰出動作をさせることにより、脚部材が袋体の接地面に接触した後には、保持装置に作用する荷重が袋体に及ばないようにして人体を受け入れさせる際の袋体の弾性変形の影響を極力少なくし、人体を受入れ易くすることができる。特に、運動能力やバランス能力のあまり高くない高齢者などが保持装置に人体を受け入れさせる際に、不用意にバランスを崩すといったことを抑制できる。
本発明の請求項3記載の揺動装置は、前記袋体の内側又は外側に、前記保持装置が揺動した際に弾性変形させられ、その弾性復元力により前記保持装置の揺動を抑制するか若しくは元の方向に向かって復帰付勢させる復帰付勢機構が設けられていることを特徴とする。
これにより、袋体が弾性変形して大きく揺動した際に復帰付勢機構の弾性復元力により保持装置の揺動を抑制されるか若しくは元の方向に復帰させられるように付勢させられ、安定かつ円滑な揺動を得ることができる。保持装置が床などに衝撃的に衝突して床を傷つけることも防止される。
本発明の請求項記載の揺動装置は、前記保持装置が椅子であることを特徴とする。
これにより、例えば揺動装置をロッキングチェアーなどの揺動機構として使用することができる。
本発明の請求項記載の揺動装置は、前記保持装置がベッドであることを特徴とする。
これにより、例えば睡眠や仮眠に揺動装置を使用することができ、乳児や幼児の揺りかごなどにも使用でき、さらに駆動機構を用いれば予め設定された睡眠に適した揺動を自動的に人間に与えることもできる。
本発明の請求項記載の揺動装置は、前記保持装置が玩具であることを特徴とする。
これにより、人間が乗る玩具上で運動することにより玩具を揺動させることができ、さらに駆動機構を用いれば予め設定された又は場面に応じた揺動を玩具に乗った人間に与えることもできる。
【0006】
図1に、本発明の実施の一形態にかかる揺動装置1を示す。このものは、人体を保持する座椅子(本発明の保持装置の一部を構成する。)3を空気などの気体が封入された袋体2上に載置して支持したものである。袋体2としては、ゴムなどの柔軟材料からなるシートを四周縁で接着して袋状に形成したものなどが使用される。袋体2としては座椅子3の座面部に対応した平面形状を有するとともに厚さが約10cmの座布団状のものを採用することができる。袋体2には空気の吸排気弁を設け吸排気弁から空気などの気体を封入ないし排気することができることが好ましい。これにより袋体2内部の圧力や袋体2の高さなどを調整することにより着座者の体重などや好みに応じた適切な弾性(揺動性)を具備させることができる。
【0007】
なお、袋体2としては上述のように空気室を1つのみ有するものであっても、複数の室に仕切られたものであってもよい。これら複数の室は袋体の周縁部に沿って形成することが好ましい。中心部に空気室の無い、いわゆるドーナツ状のものであってもよい。さらに袋体を相互に分離された複数の袋体から構成し、各袋体を後述する台座4の少なくとも4角部に配置するようにしてもよい。相互に分離された各袋体の形状は、外面球形のものやサイコロ状のものなどの適宜の形状を採用することができる。台座4の周縁部に並べて配置する場合には、隣接する袋体同士が接しないように相互に離間して配置しても、相互に接触させて配置してもよい。また、前記各複数の空気室又は複数の袋体のそれぞれ又は一部に吸排気弁を設けて各空気室又は複数の袋体内の圧力を調整可能とすることが、使用者の環境や好みに対応させる上で好適である。
【0008】
袋体2の上面には袋体に外形寸法にほぼ対応した略方形上の台座4が接着などの手段により固着されている。台座4の前部両側には断面がほぼコ字状のガイド部5が台座4と一体に形成されている。なお、台座4は保持装置の一部を構成する。
【0009】
座椅子3は、座面部6に背部7が支軸8によりリクライニング可能に取り付けられ、座面部6の側面には前記ガイド部5の先端部が摺動自在に嵌り込む座面の奥行き方向に延びる凹溝6aが形成されている。背部7の側縁部には蝶ねじ11がねじ込まれるねじ穴が形成され、台座4の後端部には連結部9が形成され、ねじ穴と連結部9との間には、連結レバー12がねじ穴にねじ込まれた蝶ネジ11及び連結部9に挿入されたピン10を中心にして揺動自在に取り付けられている。蝶ねじ11を締め付けると揺動が固定され、蝶ねじ11を緩めると揺動が可能となる。ここで、連結レバー12、連結部9、ねじ穴は、本発明の連動機構を構成する。
【0010】
前記支軸8には、エアーシリンダー14のピストンロッドが連結されており、エアーシリンダー14に付設された作動レバーには作動アーム15が連結されている。作動アーム15を回動させると作動レバーが解除され、それまで背部7のリクライニング動作を拘束していたエアーシリンダー14による拘束が解除され背部7のリクライニング動作ができるようになる。
【0011】
蝶ねじ11を緩め、作動アーム15を回動させて作動レバーを解除させ、背部7をリクライニング動作させると、この背部7のリクライニング動作に連動して座面部6が前後に移動させられる。すなわち、背部7を水平に近づく方向に倒すと、連結レバー12が連結部9のピン10を中心として揺動すると共に、座面部6が前方に向かって移動させられる。この際、座面部6の側面に形成された凹溝6aが台座4に形成されたガイド部5に案内されて、離脱することなく円滑に前方に移動させられる。この連動動作により、通常の座姿勢の時もリクライニング動作させた時にも、座椅子3に腰掛けた人間の体重をも含めた重量の重心が袋体2の中心から大きくずれないように補正される。
【0012】
本揺動装置1によれば、袋体2を前後左右に弾性変形させることにより座椅子3に腰掛けた着座者は前後左右に揺動させられる。このような揺動は心身をリラックスさせる働きを有するとともに、身体への運動作用もある。また、前後方向のみならず左右方向又は斜め方向などの任意の方向に揺動できるので、リラックス効果や身体運動効果をさらに高めることができる。また、袋体2上の座椅子3では、座面部6に対して背部7がエアーシリンダー14などによって任意の角度にリクライニングさせることができ、座位から寝位までの着座者の好みに応じた体位を取ることができ、その所望の体位の状態で揺動を生じさせることができ上記各効果を最適に発揮させることができる。
【0013】
なお、座椅子3を台座4のガイド部5から取り外して、袋体2と分離し座椅子3を単体で使用することができる。これにより揺動を生じさせないことを望む場合には単独で使用できて好適である。揺動を生ずる座椅子と揺動が生じない座椅子との両方を用意しておく必要が無い点で利点がある。また、座椅子3を取り外した台座3上に座ったり立ったりした場合には少しのバランスの変化により台座3下の袋体2が前後左右に傾くので、バランスを保つように身体の調節を行うことにより、いわゆる平衡感覚維持育成ゲーム機としても使用することができる。
【0014】
図2〜図6に、本発明の実施の他の形態にかかる揺動装置21を示す。図2はその側面図、図3は正面図、図4は背面図、図5は平面図、図6はリクライニング状態を示す側面図である。この揺動装置21は、揺動装置1と同様に、人体を保持する座椅子(本発明の保持装置の一部を構成する。)23を空気などの気体が封入された袋体2上に載置して支持したものである。揺動装置1と同様な構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0015】
袋体2内であって平面視方形状の角部には、ゴムや合成樹脂などの弾性材料からなる球形ボール(復帰付勢機構)24が配置されている。球形ボール24は台座4の内側の領域に位置するように配置され、球形ボール24の最下部と袋体2の底部との間に隙間が形成されるように配置されている。
【0016】
袋体2が前後又は左右に撓んで傾いた場合に、高さの減少させられた側の球形ボール24が袋体2の底部に接触して、座椅子3に腰掛けた人間の体重をも含めた自重が球形ボール24にかかり球形ボール24が弾性変形する。この弾性反発力が台座4を介して座椅子3に作用し座椅子3を元の状態に復帰させる方向に荷重が作用する。なお、上述のように座椅子を取り外した台座上に乗って平衡感覚維持育成ゲーム機として使用する場合には球形ボール24の復帰機能は有効に作用し好適である。
【0017】
図2及び図4に示すように、背部7の背面には連結部25が左右に並べて突設されている。この連結部25には蝶ネジ11がねじ込まれるネジ孔が形成されている。背部7の背面に連結部25を設けるようにしたので、連結レバー12が背部7の背面側に位置し、リクライニングなどの操作を行う際に操作の邪魔にならない。
【0018】
図2などに示すように、座面部6及び背部7には、肘掛け27が取り付けられたリンクバー26が連結されている。これらリンクバー26により背部7をリクライニングさせた場合でも肘掛け27がほぼ水平状態を維持したまま移動する。
【0019】
図7に、本発明の実施の更に他の形態にかかる揺動装置31について示す。このものには、座椅子3などに腰掛ける際に袋体2の弾性変形の影響を受けないように座椅子を拘束する拘束機構30が設けられている。
【0020】
拘束機構30は、袋体32上に固定された台座34から袋体側に向かって連結部35,36が突設され、これら連結部35,36には保持脚となる脚部材37が連結されている。脚部材37は、袋体32の前後方向に延びる平板帯状の着地部材38と、着地部材38に設けられた連結部38aと、連結部38aに揺動自在に取り付けられた連結部材39,40とを備え、連結部材39の上端は前記連結部35,36に揺動自在に連結されている。拘束機構30を作動させるための操作レバー43が外方に突出して設けられ、この操作レバー43が連結部材40に一体的に固定されている。袋体32の左右方向に設けられた連結部材40間には横梁44が一体的に固定されている。横梁44の中間部には突出部材45が連結部材40とほぼ平行な位置関係で固定されており、突出部材45の先端は、台座34の裏面に突出形成された連結部47に復帰用のコイルバネ48を介して連結されている。
【0021】
拘束機構30の動作状態について説明する。通常は図7(b)に示す状態となっている。ここで、操作レバー43を、図7(a)に示すように、起こすと連結部材40は軸支部で回転して横梁44も一体となって回転する。横梁44から突出した突出部材45も一体的に回転して袋体32の底面に接するようになる。同時に連結部材40は連結部38aを介して着地部材38に揺動自在に連結されているので、着地部材38は連結部35,36に支持されて揺動し袋体32の底面に接する。この状態では台座34に掛かる荷重は連結部材38,40及び着地部材38、突出部材45によって支持され、袋体32に作用しなくなるので、台座34上の座椅子に腰掛けようと台座34や座椅子に荷重をかけても袋体32は撓むことなく安定した状態となる。したがって腰掛け動作が袋体32の弾性変形によって阻害されることがない。
【0022】
座椅子への腰掛けが終了して着座姿勢が安定したら操作レバー43を図7(b)に示す状態に戻すことにより、連結部材40や着地部材38を元のように上方に待避させる。これにより、袋体32の弾性変形は阻止されなくなり、座椅子や台座34に掛かる荷重や重心位置の変化に応じて、袋体32は本来的な弾性変形をし、揺動機能を発揮させることができる。
【0023】
図8は、本発明の実施の更に他の形態にかかる揺動装置51を示す。この揺動装置51は、揺動装置1と同様に、人体を保持する座椅子(本発明の保持装置の一部を構成する。)3を空気などの気体が封入された袋体2上に載置して支持したものである。揺動装置1と同様な構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0024】
袋体2内であって平面視方形状の角部付近には、金属などの弾性材料からなるコイルバネ(復帰付勢機構)54が配置されている。コイルバネ54は台座4の内側の領域に位置するように配置されている。袋体2の内部であっても外部に設けてもよい。さらに単一のバネ常数を有するもののみならずバネの変形量に応じてバネ常数が段階的又は漸進的に変化するようにしたものであってもよい。
【0025】
図9は、本発明の実施の更に他の形態にかかる揺動装置61を示す。このものは、保持装置を揺動させる駆動機構を台座60内に備え、この駆動機構は装置全体の重心位置をほぼ水平面内で移動させる重心移動機構62から構成される。この重心移動機構62は、座面部の左右方向に重心を移動させる左右方向重心移動機構63と、座面部の前後方向に重心を移動させる前後方向重心移動機構73とをそれぞれ独立に備える。
【0026】
左右方向重心移動機構63は、錘65を座面左右方向に沿って設けられたガイドレール66に沿って移動可能に設けるとともに、駆動モーター67の駆動軸に連結されたネジ棒68を錘65に貫通形成されたネジ孔に螺合させたものである。前後方向重心移動機構73は、錘75を座面前後方向に沿って設けられたガイドレール76に沿って移動可能に設けるとともに、駆動モーター77の駆動軸に連結されたネジ棒78を錘65に貫通形成されたネジ孔に螺合させたものである。左右方向重心移動機構63及び前後方向重心移動機構73によれば、駆動モーター67,77を回転駆動することにより錘65,75を所望量移動させることができ、これにより台座60以下の重量の重心位置をほぼ水平面内で変化させることができる。そして、台座60上に載せられた座椅子のような保持装置上に腰掛けている人間は重心移動機構による重心の移動に応じて揺動作用を受ける。
【0027】
図10は、本発明の実施の更に他の形態にかかる揺動装置81を示す。このものは、前記揺動装置61に示すものと同様な駆動機構を備えた揺動装置81をゲームマシンの一種であるカードライブ装置に適用したものである。すなわち、前記台座60等を備えた揺動装置にハンドル82やアクセルペダル83やブレーキペダル84などを設けたものである。
【0028】
揺動装置81の前方に表示される画面に応じてハンドル82やアクセルペダル83やブレーキペダル84を操作すると、その操作に応じて駆動モーター67,77が駆動されて錘65,75が前後左右に移動させられ、これにより座椅子に座ったゲーム者に前後左右の揺動加速度が作用する。この体感する揺動加速度により臨場感のあるゲーム操作を行うことができる。このように錘65,75を移動させるといった比較的簡単な構造であり、製造コストが安価であり、家庭に設置してゲームに興ずるといった用途に適する。
【0029】
揺動装置81の作用について具体的に説明すると、例えばハンドル82を右に回すと錘65が左側に移動させられる。これにより座椅子に座ったゲーム者には左側に傾く揺動作用が働く。これはあたかもハンドルを切った方向とは反対側に遠心力が働いたかのようにゲーム者は感じ、この揺動に逆らうように体位を変えたり踏ん張ったりすることにより臨場感のあるゲーム操作を行うことができる。また、アクセルペダル83を踏み込むと錘75が後ろ側に移動させられる。これにより座椅子に座ったゲーム者には後ろ側に傾く揺動作用が働く。これはあたかも後ろ方向に加速度が働いたかのようにゲーム者は感じる。ブレーキペダル84を踏み込むと錘75が前側に移動させられる。これにより座椅子に座ったゲーム者には前側に傾く揺動作用が働く。これはあたかも前向きに加速度が働いたかのようにゲーム者は感じる。これらの前後方向の揺動に逆らうように体位を変えたり踏ん張ったりすることにより同様に臨場感のあるゲーム操作を行うことができる。
【0030】
臨場感を最高に高めるために、ハンドル82の回転角速度やブレーキペダル84やアクセルペダル83の踏み込み速度や緩め速度などの諸要素を検出して錘65,75の移動を最適に制御することが好ましい。この制御はコンピュータにより行うことが適している
【0031】
駆動機構としては上記のような錘の移動によって重心位置を変更するものに限られず、各種の態様を採用することができる。例えば、袋体の前後左右に袋体の一部を上下方向から挟む一対の挟持板を複数組設け、各組の挟持板の間隔を狭め袋体を挟持して、袋体の少なくとも周縁部の高さを変更させる、袋体高さ変更機構から構成してもよい。このものでは、例えばハンドル82を右に切った場合には左側に設けた挟持板間の間隔を狭めることにより左側への揺動を生じさせ、アクセルペダル83を踏み込んだときには後ろ側に設けた挟持板間の間隔を狭めることにより後ろ側への揺動を生じさせ、ブレーキペダル84を踏み込んだときには前側に設けた挟持板間の間隔を狭めることにより前側への揺動を生じさせ、上記の実施の形態にかかる揺動装置と同様な臨場感のあるゲーム操作を行うことができる。
【0032】
ここで、挟持板間の間隔を狭めることにより揺動作用を発生させるものでは、ハンドル82の回転を機械的に左右に配置した挟持板まで伝達して挟持板間の間隔を狭め、同様にアクセルペダル83やブレーキペダル84の踏み込み量を機械的に前後に配置した挟持板まで伝達して挟持板の間隔を狭めたり広げたりしてもよい。このような機構を用いれば駆動モーター67,77やネジ棒68,78等を用いるよりも簡単な機構により駆動機構としての機能を発揮させることができる。
【0033】
図11に、本発明の実施の更に他の形態にかかる揺動装置91を示す。このものは、図10と同様な揺動装置をゲームマシンの一種であるエアーフライト装置に適用したものである。ハンドル82の代わりに操縦桿92が設けられ、操縦桿により左旋回右旋回や、上昇下降などの操作がされた場合に同様に座椅子を前後左右に揺動させて加速度感をゲーム者に与えようとするものである。
【0034】
前述の例では駆動機構を座椅子に座ったゲーム者などの意思又は操作などに応じて能動的に駆動して着座者に揺動を生じさせるようにしているが、着座者の意思又は操作とは無関係に所定の又は規定の揺動を生じさせて着座者に受動的に揺動を生じさせるようにしてもよい。
【0035】
例えば、保持装置として乳児や幼児を収容する揺りかごのようなものを採用し、乳児や幼児が眠りにつきやすい揺動運動をプログラムして駆動機構により生じさせるようにしてもよい。また、保持装置として幼児などが乗る木馬や自動車やオートバイなどのような玩具を採用し、幼児が興味を起こす揺動運動(例えば、走っている馬や車やオートバイに乗っている場合に体感するであろう揺動運動)をプログラムして駆動機構により生じさせるようにしたものでもよい。
【0036】
なお、上記各実施の形態にかかる揺動装置では、台座に座椅子などを前後方向にスライドできるように取り付けたものを示したが、座椅子などの着座面の裏面に着座面に対応した大きさの方形状の凹部ないし凸部を形成し、これら凹部ないし凸部に対応して台座に形成された凸部ないし凹部に嵌合させて座椅子を台座に取り付けるようにしてもよい。特にリクライニングさせないものでは好適である。
【0037】
上記実施の形態にかかる揺動装置では、脚部材37などからなる拘束機構30を設けたが、拘束機構としてはこれに限られない。例えば、台座下部に電動モーターなどによりほぼ鉛直方向に進退駆動可能な繰出脚を設け、当該繰出脚を突出させた状態では台座は繰出脚により支持されて荷重が袋体に及ばないようにする一方、繰出脚を退入させた状態では袋体に通常どおり荷重がかかるようにしたものであってもよい。
【0038】
上記各実施の形態にかかる揺動装置では、背部のリクライニングに連動して座面部が前後に自動的にスライドするものを示したが、これに限られない。例えば、台座にその前後方向に沿って複数の凸部と凹部とを繰り返した凹凸部を形成し、この凹凸部の各凸部と凹部に嵌り込む形状の凹部と凸部を備えた凹凸部を座面部裏面に前後方向に沿って形成し、台座の凹凸部と座面部裏面の凹凸部との嵌合位置を前後に調整するものでもよい。このものでは複雑な連動機構が不要であるという利点があるとともに、リクライニング動作に応じた重心の移動に対応して座椅子の位置を微妙に調整することができる。
【0039】
上記各実施の形態にかかる揺動装置では、保持装置として主として座椅子の場合を例にして説明したが、保持装置としては、例えばベッド、寝籠、幼児などが乗る木馬や自動車やオートバイなどのような玩具であってもよい。寝籠の場合には台座に固定的に寝籠を形成したものであっても、台座に寝籠取付枠を形成し寝籠取付枠に寝籠を着脱自在に取り付けるようにしてもよい。着脱自在にしたものでは寝籠を揺動させないものと兼用することができる。上記玩具の場合には、台座に玩具の取付部品を取り付け、取付部品に対応して玩具側に形成された取付部品を摺動自在ないし揺動自在ないし回動自在に勘合させるものが好適である。例えば台座側の取付部品が台座ほぼ中央から突出する筒状部材であり、玩具の取付部品が筒状部材に勘合する円柱部材ないし筒状部材からなるものを採用できる。なお、保持装置として台座のみから構成してもよく、上述した平衡感覚維持育成ゲーム機として利用することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の揺動装置によれば、以下のような効果を奏する。
(1)袋体が保持装置に受け入れられた人体の重量により、少なくとも前後方向及び左右方向に容易に弾性的に潰れ変形し、保持装置は任意の方向(少なくともその前後方向及び左右方向)に安定かつ円滑に揺動させられる。袋体は、前後方向及び左右方向にかなり潰れ変形しても保持装置のバランスが大きく崩れることが少なく、安定した揺動が得られる。指などを床面と袋体との間に挟んでも袋体の弾性変形により変形し怪我をすることがなく、しかも床面を傷つけることが少ない。
(2)保持装置に人体を受け入れさせる際に、拘束機構を構成する脚部材を作動させることにより、人体を受け入れさせる際の袋体の弾性変形の影響を極力少なくして人体を受け入れ易くすることができる。特に、運動能力やバランス能力のあまり高くない高齢者などが保持装置に人体を受け入れさせる際に、不用意にバランスを崩すといったことが抑制できる。
(3)保持装置に人体を受け入れさせる際に、拘束機構を構成する脚部材に繰出動作をさせることにより、脚部材が袋体の接地面に接触した後には、保持装置に作用する荷重が袋体に及ばないようにして人体を受け入れさせる際の袋体の弾性変形の影響を極力少なくし、人体を受入れ易くすることができる。特に、運動能力やバランス能力のあまり高くない高齢者などが保持装置に人体を受け入れさせる際に、不用意にバランスを崩すといったことを抑制できる。
(4)袋体が弾性変形して大きく揺動した際に復帰付勢機構の弾性復元力により保持装置の揺動を抑制されるか若しくは元の方向に復帰させられるように付勢させられ、安定かつ円滑な揺動を得ることができる。保持装置が床などに衝撃的に衝突して床を傷つけることも防止される。
)例えば揺動装置をロッキングチェアーなどの揺動機構として使用することができる。
)例えば睡眠や仮眠に揺動装置を使用することができ、乳児や幼児の揺りかごなどにも使用でき、さらに駆動機構を用いれば予め設定された睡眠に適した揺動を自動的に人間に与えることもできる。
)人間が乗る玩具上で運動することにより玩具を揺動させることができ、さらに駆動機構を用いれば予め設定された又は場面に応じた揺動を玩具に乗った人間に与えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態にかかる揺動装置を示す斜視図である。
【図2】 本発明の実施の他の形態にかかる揺動装置を示す側面図である。
【図3】 図2に示す揺動装置の正面図である。
【図4】 図2に示す揺動装置の背面図である。
【図5】 図2に示す揺動装置の平面図である。
【図6】 図2に示す揺動装置をリクライニングさせた状態における側面図である。
【図7】 本発明の実施の更に他の形態にかかる揺動装置を示す図である。
【図8】 本発明の実施の更に他の形態にかかる揺動装置を示す図である。
【図9】 本発明の実施の更に他の形態にかかる揺動装置を示す図である。
【図10】 本発明の実施の更に他の形態にかかる揺動装置を示す図である。
【図11】 本発明の実施の更に他の形態にかかる揺動装置を示す図である。
【符号の説明】
1,21,31,51,61,81,91 揺動装置
2,32 袋体
3,23 座椅子(保持装置)
4 台座
5 ガイド部
6 座面部
7 背部
12 連結レバー(連動機構)
24 球形ボール(復帰付勢機構)
30 拘束機構
62 重心移動機構

Claims (6)

  1. 空気などの気体が封入された袋体と、当該袋体上に載置され人体を受け入れて保持する保持装置とを備え、前記保持装置には、前記袋体の接地面側に向けて繰出自在な脚部材を備えた拘束機構が設けられ、前記脚部材が前記接地面に接触した後には前記袋体に荷重が作用することが阻止されて当該袋体の変形が拘束されることを特徴とする揺動装置。
  2. 前記脚部材は前記保持装置の周縁部付近に繰り出し自在に設けられ、前記脚部材が前記接地面に接触した後には前記袋体に荷重が作用することが阻止されて袋体の変形が拘束されることを特徴とする請求項1記載の揺動装置。
  3. 前記袋体の内側又は外側に、前記保持装置が揺動した際に弾性変形させられ、その弾性復元力により前記保持装置の揺動を抑制するか若しくは元の方向に向かって復帰付勢させる復帰付勢機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の揺動装置。
  4. 前記保持装置が椅子であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の揺動装置。
  5. 前記保持装置がベッドであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の揺動装置。
  6. 前記保持装置が玩具であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の揺動装置。
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