JP4278828B2 - フィルターエレメント - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種製薬装置、純水製造装置において、流体中の固形物、細菌などを除去して清澄な液を製造するために、あるいは、固液を分離するために使用されるフィルターのエレメントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図14〜図17はそれぞれ従来のフィルターエレメントの一例を示す図であり、図15は図14のA−A’断面を示す図、図16は図14のB−B’断面を示す図、図17はスリット形成方法の一例を示す図である。図14〜図17に示す例において、円柱形状の多孔質材料からなるモノリス状のフィルターエレメント101は、隔壁102により画成され軸方向の流体通路を形成する複数の貫通孔103を有している。本例では、貫通孔103は六角形断面を有している。一直線上に並んだ少なくとも1箇所の貫通孔列(本例では2列)の両端部はプラグ104にて閉塞され、閉塞孔列を形成している。そして、図15に示すように、閉塞孔列を形成するそれぞれの貫通孔103の隔壁102には、貫通孔方向に一定幅を有するスリット105が開孔している。
【0003】
上述した構成のエレメント101において、図16に示すエレメント101端部の開口部106より流入した流体は貫通孔103の隔壁102によりろ過され、ろ過された清澄液は隔壁102内を通過し、図15に示す様に、閉塞孔列に設けたスリット105から流出する。これにより流体のろ過や固液分離を行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したろ過操作に際し、エレメント101の外径側に位置するスリット105ほど透過した液が集合し、図15においてスリット105のQ部を通る流体の量はスリット105のP部を通る流体の量より大となるため、Q部を流れる流体の量に応じて、スリット105の開孔幅を大きくしたり、図14に示すように2列またはそれ以上の閉塞孔列を設ける必要があった。このような開孔幅の大きなスリット105を設ける必要性や多数の閉塞孔列を設ける必要性は、以下のような様々な問題を引き起こしていた。
【0005】
まず、エレメント101のスリット105は、エレメント101をセラミック製の多孔質材料とし、未焼成の状態でスリット105を形成した後に焼成すると、焼成時の収縮変形によりスリット105の中心部が閉塞し、ろ過した流体を好適に排出するスリット105の機能を果たせなくなると共に、エレメント101を洗浄し再生利用する場合には、このスリット105の洗浄が困難となる問題があった。
【0006】
これを防止するために、開設したスリット105中にエレメント101のセラミックス材料と焼結しない砂を挿入し、変形を防止することも採用されているが、砂自体も焼成時のエレメントの収縮により流体の様に形を変えるので、エレメントの焼成時の変形を完全に防止することはできなかった。更に、焼成後にこの砂を完全に排除することも困難であり、エレメント101の洗浄再生も困難となる問題があった。
【0007】
また、かかるフィルターエレメント101は後述する図10又は図12の様に金属製のケーシングに内挿固定するため、固定に際し、フィルターエレメント101には軸方向の圧縮力が作用する。また、フィルターエレメント101に焼成時の曲がりがある場合は、フィルターエレメント101に曲げモーメントが作用する。この時、フィルターエレメント101の中心部に大きな空洞があるとフィルターエレメント101そのものの剛性強度が低下し、内挿固定により破損する場合もあった。
【0008】
このスリット105の加工は、断面が矩形の工具を押し当てて隔壁102を破るか、工具を軸方向に振動させるかあるいは先端部を工具の軸直角方向に振動させるか、または、図17に示すように、まず円筒型の予備孔107をドリル等で開孔した後、表面にダイヤモンドを付着した砥石108をエレメント101の貫通孔方向に揺動させながらエレメント101の貫通孔方向に移動させるか、または、砥石108を回転させながら同様にエレメント101の貫通孔方向に移動させる方法が採用される。それぞれの条件および使用工具の詳細は、エレメント101の素材が未焼成状態か焼成状態かにより適宜決定されるが、加工時間を短くし砥石108の摩耗を低減するために、未焼成の状態かまたは形を保持するために当該材料の焼結温度以下で仮に焼成した状態で加工することが一般的に採用されてきた。
【0009】
しかし、矩形型の工具を押し当てる方法は、加工方法そのものが破砕加工であり、隔壁102にマイクロクラックを発生させ、発生したマイクロクラックが多孔質材料の細孔径より大となると、所定の分離精度のろ過が不可能となり分離効率が低下するばかりでなく、クラックを起点とするエレメント全体の破損が発生する問題があった。また、工具の先端を工具の軸方向に振動させる方法は磨砕加工であるので、押し破る方法ほどエレメント101に与える損傷は大きくないが、工具の損耗が発生し易くまた加工時間が長くなる問題もあった。さらに、ドリルにより予備孔107を開設した後、砥石108を回転させる方法は工具の回転により同時に削除する部分が多いので、削除した粉末の排出が有効にできず、砥石108の冷却が不十分となるがために工具の損耗が大きく、また、砥石108を揺動させる方法は砥石108の両端を強固に保持し両端を同期して動かすため、帯ノコ盤の様な機械に砥石108を固定する方法が採用されるが、一旦開設した予備孔107に砥石108を通したのち、機械に固定する必要があり、加工までの工程が複雑でありかつ加工時間も長くなる問題があった。
【0010】
本発明の目的は上述した課題を解消して、閉塞孔列の数を最小とでき、しかも加工及び洗浄を簡単かつ容易にすることができるフィルターエレメントを提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のフィルターエレメントは、隔壁により画成され軸方向の流体通路を形成する複数の貫通孔を有する多孔質材料からなるモノリス状のエレメントであって、隣接した貫通孔が直線上に連続した少なくとも1箇所の貫通孔列を選択し、選択した貫通孔列のそれぞれの貫通孔の両端部を閉塞した閉塞孔列とし、閉塞孔列における各閉塞孔を形成する隔壁に閉塞孔の長さ方向にスリットを設けた構造を有し、前記複数の貫通孔の内、端部が開孔した貫通孔に流体を導入し、流体を導入した複数の貫通孔の隔壁にて流体をろ過し、ろ過された流体を前記スリットより排出する構造のフィルターエレメントにおいて、前記スリットの閉塞孔の長さ方向の断面形状が、閉塞孔列の外側の閉塞孔から中心部の閉塞孔に向かって円弧状に小さくなることを特徴とするものである。
【0012】
本発明では、スリットの閉塞孔の長さ方向の断面形状が、閉塞孔列の外側の閉塞孔から中心部の閉塞孔に向かって円弧状に小さくすることで、閉塞孔列からのろ液を閉塞孔列のいずれの部位でもほぼ等速に集合でき、従ってスリットの幅を小さくすることや閉塞孔列の数を最小とすることができる。また、エレメントの中心部でのスリット加工に伴う削除体積が少ないので剛性強度を向上させることができ、また隔壁も適宜な寸法で残すことができるため、エレメントの強度を維持しながら中心部の焼成時の変形を最小とすることができる。さらに、円弧状のスリットの加工は、回転する円板状の砥石等を使用する事で簡単にでき、加工時間の短縮ができるとともに、砥石の損耗をも低減することができる。さらにまた、エレメントの再生、洗浄も容易となる。本発明ではスリットの形状を閉塞孔列の両端側より断面が円弧状のものとしたが、前記エレメントの剛性強度向上と焼成時の変形の最少化の点からはスリットの断面が三角形又は台形などでも本作用効果が得られるが、加工時間の点より円弧状が最も好ましい。
【0013】
本発明の好適な態様として、第一に2箇所の閉塞孔列を、エレメントの中心に対し対称となる位置に設ける。また、スリットの閉塞孔の長さ方向の円弧断面の形状を、閉塞孔列の外径部の両端より開孔する2つの部分からなり、2つの部分がエレメントのほぼ中心部において互いに交わり、スリットが連通する構成とし、この場合は、円弧の半径を、エレメントの端面における前記閉塞孔列の列方向の幅の50%を超えるようにする。この場合50〜65%が前記中心部の剛性強度を向上させる点で好ましく、65%を超えると前記作用効果は減ずる。さらに、第二の態様として、スリットの閉塞孔の長さ方向の円弧断面の形状を、閉塞孔列の外径部の両端より開孔する2つの部分からなり、2つの部分がエレメントのほぼ中心部において互いに交わらず、スリットが連通していない構成とし、この場合は、円弧の半径を、エレメントの端面における前記閉塞孔列の列方向の幅の50%未満とする。フィルターエレメントの剛性強度を高め、更に中心部の焼成時の変形を最小とするには、フィルターエレメントの中心に連続した隔壁が1つ残っていれば、充分前記効果が発揮できるので、第二の態様の円弧半径の最適寸法としては、前記隔壁1つを残した幾何学寸法により算出された寸法となる。本発明のフィルターエレメントは、好適には薬液の希釈・溶解に使用する水や飲料水を浄化する浄水器に使用される。また、多孔質材料がセラミックス材料であると好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1〜図4はそれぞれ本発明のフィルターエレメントの一例を示す図であり、図1はその端部を示す図、図2は図1のA−A’断面を示す図、図3は図1のB−B’断面を示す図、図4はスリット側から見た側面を示す図である。図1〜図4に示す例において、押し出し成形等により製造された円柱形状の多孔質材料からなるモノリス状のフィルターエレメント1は、隔壁2により画成され軸方向の流体通路を形成する複数の貫通孔3を有している。本例では、貫通孔3は六角形断面を有している。また、多孔質材料としては、耐食性と温度変化によるろ過部の細孔径の変化が少ない点から、アルミナ、コーディエライト、ムライト、炭化珪素等のセラミックス材料を使用することが好ましい。また、多孔質樹脂などももちろん適用できる。直線上に並んだ少なくとも1箇所の貫通孔列(本例では2箇所)の両端部はプラグ4にて閉塞され、閉塞孔列を形成している。そして、図2及び図4に示すように、閉塞孔列を形成するそれぞれの貫通孔3の隔壁2には、スリット5が開孔している。以上の構成は従来のフィルターエレメントと同じである。
【0015】
本発明のフィルターエレメント1の特徴は、スリット5の閉塞孔の長さ方向の断面形状を、閉塞孔列の外側の閉塞孔から中心部の閉塞孔に向かって円弧状に小さくすることである。すなわち、本例では、図2にスリット5の閉塞孔の長さ方向の断面を示すように、閉塞孔列の両端の外径部よりそれぞれ開口する2つの円弧状の部分5−1、5−2が断面となるように、スリット5を形成する。なお、本例では、上記2つの円弧状の部分5−1、5−2がエレメント1のほぼ中心部において互いに交わり、スリット5が連通している。スリット5がエレメント1の中心部で連通している構成は、後述するろ過機に組み込んだ状態を示す図10において、ろ過液の排出口がエレメント1を内蔵するケーシングの円筒状側面の1箇所にある場合、2つの円弧状の部分5−1、5−2の内、該排出口から遠い側の円弧状の部分からの排出液がエレメント1の中心の連通部を通り、ケーシング側面のろ過液排出口に近い側のスリット方向に流すことができ、ろ過液排出が円滑となり好ましい。フィルターエレメント1に流体を導入する方向としては、スリット5側よりろ過する液を導入し、貫通孔列より排出することももちろん可能である。しかし、スリット5の加工数は、加工コストの点より最少とするのが好ましく、この場合、フィルターエレメント1の流体透過量は閉塞孔列の内表面積で決定されるので、貫通孔列より液を導入し、スリット5より排出するろ過方向が好ましい。
【0016】
上述した構成のフィルターエレメント1では、スリット5の閉塞孔の長さ方向の断面形状を、閉塞孔列の外側の閉塞孔から中心部の閉塞孔に向かって円弧状に小さくすることで、図2に示すように、スリット5の断面のP、Q、Rの各部において流体の流速が同一となる。そのため、従来のようにスリットの開孔部で最大となる流体の流速に応じてスリットの開孔幅を決定する必要はなくなるため、スリット5の中心部の幅を最小とできる。また、従来例えば中心部のスリットの幅を小さくし、焼成時の変形低減と剛性強度の向上のため、やむなく4箇所に設ける必要の合った閉塞孔列の列数を、それ以下にすることができる。さらに、エレメント1の中心部になる程、閉塞孔列の隔壁2の残存部分が多くなり、焼成時の変形が少なくなる。なお、上述した例では、円弧状のスリット5は閉塞孔列の両側から加工してあるが、もちろん片側からの加工でも良い。しかしこの場合は、焼成時の変形が複雑となり、またスリット各部の流体の速度が一定にならないので、両側からスリットを加工した方が好ましい。
【0017】
ここで、閉塞孔列端部のプラグ4の材質については、エレメント1の材質と同材質であると熱膨張率を同一にでき、熱膨張率の違いによるクラックを防止できる点で好ましいが、貫通孔3の径または多角形の場合はその内接円の径が直径3mm以下の場合は、ガラス釉薬等を塗布し閉止しても良い。また、本例では、スリット5の円弧径Wはエレメント1の直径Dの50%以上であり、このD寸法はスリット5のP、Q、R部の流速および閉塞孔列部外径の軸方向残存寸法Lにても決定される。これはLが少ないと、後述する図10、図12の様なろ過器に内挿固定した場合、該フィルターエレメント1の端部シール機構が不十分となるためである。
【0018】
図5〜図7はそれぞれ本発明のフィルターエレメントの他の例を示す図であり、図5はその端部を示す図、図6は図5のA−A’断面を示す図、図7は図5のB−B’断面を示す図である。図5〜図7に示す例において、図1〜図4に示す部材と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図5〜図7に示す例において、図1〜図4に示す例と異なる点は、図6に示すように、スリット5を形成する2つの円弧状の部分5−1、5−2がエレメント1のほぼ中心部において互いに交わらず、スリット5が連通していない点である。本例では、エレメント1の中心部に隔壁2が残存しているので、焼成時の変形をより少なくすることができる。なお、スリット5の円弧径Wはエレメント1の直径Dの50%以下であり、上述した例と同様に、このD寸法はP、Q、R部の流速および閉塞孔列部外径の軸方向残存寸法L及び残存する前記隔壁2の厚みにより決定される。
【0019】
以上の例では、エレメント1の外形が円形の場合について説明したが、図8に示すように、外形が六角形などのエレメント1にも適用できる。また、いずれの例でも、貫通孔3については六角形の場合の例を示したが、円形、楕円形、矩形などいずれの形状の貫通孔3にも適用できる。なお、矩形、多角形の貫通孔3の場合は、貫通孔3の内角コーナーにR1.5以下の丸みを設けると、モノリス状のエレメント1自体の成形時のクラックとスリット加工時の壁部の損傷を最少とすることができ好ましい。さらに、上述した例では、説明の都合上、貫通孔3の数の少ないフィルターエレメント1を例にとって説明したが、実際はセルの数がもっと多いのが通常であり、その場合は、例えば2つの閉塞孔列を中心から一定の距離離れた対称の位置をなるよう配置することが好ましい。また、中心部に該閉塞孔列を設置しても良い。
【0020】
次に、上述したフィルターエレメント1におけるスリット加工について説明する。まず、所定の部分に好ましくはフィルターエレメント1と同材質のプラグ4を設けたフィルターエレメント1の成形体、仮焼体または焼成体のいずれかを準備する。そして、準備したフィルターエレメント1の閉塞孔列に対応する位置に対する加工は以下のようにして実施する。すなわち、円弧状のスリット5は円板状の砥石に軸が付属した工具により加工が用いられる。この時、砥石の角部にはスリット5の幅T(図7参照)に対応し、0.5〜2mmのRをつけることが、スリット5の内角部のクラック発生を防止出来る点で好ましい。軸部がエレメントと干渉する場合は、図9に示すようなチェーン状の工具11にエレメント1の削除に適用できる材料からなる刃12をつけたものが使用できる。この場合、チェーン状の工具11は環状に形成したもので同一方向に連続回転するか、またはU字型の工具を揺動させても良い。
【0021】
次に、上述したフィルターエレメント1の実際の使用態様について説明する。図10は図5〜図7に示すフィルターエレメント1をデッドエンドろ過器に使用した例を示す図である。図10に示すデッドエンドろ過器21において、エレメント1の両端部には、エレメント1の保持と端部の液シールをするゴム等の弾性材料からなるシール部材22を装着した後、ケーシング23の中に挿入し、端部フランジ24によりエレメント1、両端部のシール部材22と共に軸方向に圧縮し、液シールとエレメント1の固定をする。端部フランジ24をOリング等のシール部材25を介してケーシング23に固定することで、ケーシング23を密閉している。端部フランジ24には流体の導入口26を、ケーシング23にはろ過液の排出口27を、それぞれ設ける。導入口26から流入した流体はエレメント1にてろ過され、排出口27より排出される。ケーシング23の上部に設置したノズル28は、図10の様にエレメント1を上下方向に設置した場合、ろ液導入当初にケーシング23の上部に残存している空気等の気体の排除に使用される。また、フィルターエレメントのろ過性能が低下した場合は、排出口27より清浄な流体を導入し、逆洗することもできる。
【0022】
上述した構成のデッドエンドろ過器21は、図11に示す様なフローにて使用される。図11に示す例において、タンク31に貯留されたろ過すべき液体32は、ポンプ33の駆動によりバルブ34を介してデッドエンドろ過器21の導入口26に供給され、ろ過器21でろ過されたろ液は排出口27から外部へ供給される。このデッドエンドろ過は、一般にはろ過液中の分離物の比率が少ない場合に使用され、代表的な例が薬液の希釈・溶解に使用する水や飲料水を浄化する浄水器に使用されるものである。本発明によるフィルターエレメントを採用することで、最適寸法のスリット構造を適用でき、かつエレメント自体のコストも低減できるので、小型化された安価な浄水器を提供することが可能となる。
【0023】
図12は同じく本発明によるフィルターエレメントをクロスフローろ過器に使用した例を示す図である。図12に示す例において、図10と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図12に示すクロスフローろ過器41において、図10に示す例と異なる点は、ケーシング23の上部に戻り液排出口42を設けた点である。
【0024】
上述した構成のクロスフローろ過器41は、図13に示す様なフローにて使用される。図13に示す例において、タンク31に貯留されたろ過すべき液体32は、ポンプ33の駆動によりバルブ34を介してクロスフローろ過器41の導入口26に供給される。ろ過器41でろ過されたろ液はケーシング23の排出口27より外部に排出され、一方、ろ過されなかった液体およびエレメント1の貫通孔内壁面に付着した固形物は、ケーシング23上部の戻り液排出口42より再度タンク31に戻る。この場合、ろ液が排出口27より外部へ排出されるに従い、タンク31内部の流体32は徐々に濃度が高くなる。このクロスフローろ過方式は、ろ過に供するろ液の濃縮などの用途に使用される。この場合、戻り液排出口42より清浄な液体を導入し、フィルターエレメントを逆洗できる。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、スリットの閉塞孔の長さ方向の断面形状を、閉塞孔列の外側の閉塞孔から中心部の閉塞孔に向かって円弧状に小さくしているため、閉塞孔列からのろ液を閉塞孔列のいずれの部位でもほぼ等速に集合でき、従ってスリットの幅を小さくすることや閉塞孔列の数を最小とすることができる。また、エレメントの中心部ではスリットの開孔端部より多くの体積の隔壁が残るため、エレメントの剛性強度を向上できると共に中心部の焼成時の変形を最小とすることができる。さらに、円弧状のスリットの加工は、回転する円板状の砥石等を使用する事で簡単にでき、加工時間の短縮ができるとともに、砥石の損耗をも低減することができる。さらにまた、洗浄も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルターエレメントの一例の端部を示す正面図である。
【図2】図1のA−A’線に沿った断面図である。
【図3】図1のB−B’線に沿った断面図である。
【図4】本発明のフィルターエレメントをスリット側から見た側面図である。
【図5】本発明のフィルターエレメントの他の例の端部を示す正面図である。
【図6】図5のA−A’線に沿った断面図である。
【図7】図5のB−B’線に沿った断面図である。
【図8】外形が六角形のエレメントの端部を示す正面図である。
【図9】スリットを加工する複数刃のついた工具の一例を示す図である。
【図10】図5〜図7に示すエレメントを組み込んだデッドエンドろ過器の一例を示す断面図である。
【図11】デッドエンドろ過の流れを示すフロー図である。
【図12】図5〜図7に示すエレメントを組み込んだクロスフローろ過器の一例を示す断面図である。
【図13】クロスフローろ過の流れを示すフロー図である。
【図14】従来のフィルターエレメントの一例の端部を示す正面図である。
【図15】図14のA−A’線に沿った断面図である。
【図16】図14のB−B’線に沿った断面図である。
【図17】従来のフィルターエレメントをスリット側から見た側面図である。
【符号の説明】
1 フィルターエレメント、2 隔壁、3 貫通孔、4 プラグ、5 スリット、11 工具、12 刃、21 デッドエンドろ過器、22 シール部材、23ケーシング、24 端部フランジ、25 シール部材、26 導入口、27 排出口、28 ノズル、31 タンク、32 液体、33 ポンプ、34 バルブ、41 クロスフローろ過器、42 戻り液排出口
Claims (10)
- 隔壁により画成され軸方向の流体通路を形成する複数の貫通孔を有する多孔質材料からなるモノリス状のエレメントであって、隣接した貫通孔が直線上に連続した少なくとも1箇所の貫通孔列を選択し、選択した貫通孔列のそれぞれの貫通孔の両端部を閉塞した閉塞孔列とし、閉塞孔列における各閉塞孔を形成する隔壁に閉塞孔の長さ方向にスリットを設けた構造を有し、前記複数の貫通孔の内、端部が開孔した貫通孔に流体を導入し、流体を導入した複数の貫通孔の隔壁にて流体をろ過し、ろ過された流体を前記スリットより排出する構造のフィルターエレメントにおいて、前記スリットの閉塞孔の長さ方向の断面形状が、閉塞孔列の外側の閉塞孔から中心部の閉塞孔に向かって円弧状に小さくなることを特徴とするフィルターエレメント。
- 前記閉塞孔列が、エレメントの中心に対し対称となる位置に設けられた請求項1記載のフィルターエレメント。
- 前記スリットの閉塞孔の長さ方向の円弧断面の形状が、閉塞孔列の外径部の両端より開孔する2つの部分からなり、2つの部分がエレメントのほぼ中心部において互いに交わり、スリットが連通している請求項1または2記載のフィルターエレメント。
- 前記円弧の半径が、エレメントの端面における前記閉塞孔列の列方向の幅の50%を超える請求項3記載のフィルターエレメント。
- 前記スリットの閉塞孔の長さ方向の円弧断面の形状が、閉塞孔列の外径部の両端より開孔する2つの部分からなり、2つの部分がエレメントのほぼ中心部において互いに交わらずに連続した隔壁を残し、スリットが連通していない請求項1または2記載のフィルターエレメント。
- 前記円弧の半径が、エレメントの端面における前記閉塞孔列の列方向の幅の50%未満である請求項5記載のフィルターエレメント。
- 前記フィルターエレメントがデッドエンドろ過に使用される請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルターエレメント。
- 前記フィルターエレメントがクロスフローろ過に使用される請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルターエレメント。
- 前記フィルターエレメントが薬液の希釈・溶解に使用する水や飲料水を浄化する浄水器に使用されるものである請求項1〜8のいずれか1項に記載のフィルターエレメント。
- 前記多孔質材料がセラミックス材料である請求項1〜9のいずれか1項に記載のフィルターエレメント。
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