JP4278420B2 - 金属化合物薄膜の形成方法および基板 - Google Patents

金属化合物薄膜の形成方法および基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高屈折率の金属化合物薄膜の形成方法、およびそれを用いて作製した基板に関し、特に、透明性に優れ、緻密で高屈折率の金属化合物薄膜を大量に作製する方法、およびそれを用いて作製した基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
基板上に金属化合物薄膜を形成する方法として、▲1▼目的の金属化合物をターゲットとして適度なガス分圧下でスパッタリング、等により成膜する方法、金属をターゲットとしてスパッタリングや真空蒸着により金属薄膜を形成したあと酸化処理する方法などの気相成膜法、▲2▼金属酸化物コロイド分散液を塗布し乾燥する方法、金属アルコキシドなどを塗布し加水分解により金属酸化物薄膜を作成する方法(ゾル‐ゲル法)などの液相成膜法、▲3▼金属アルコキシドなどの溶液を加熱した基板に噴霧するスプレー熱分解法などが知られている。しかしながら、▲1▼の方法では大面積を有する基板に大量に作製するのが困難であり、▲2▼の方法では薄膜中に空隙が存在することにより金属酸化物の緻密な薄膜が形成されず、目的とする屈折率などの物性値が得られないなどの問題があり、さらに▲3▼の方法では耐熱温度の高い基板に限定され、得られた薄膜も着色しやすい問題点がある。
【0003】
ところで、高屈折率を有する化合物は、光ファイバー、レーザ、反射防止膜、書換え型光ディスクなど多くの用途に用いられている。多くの場合、透明であることが必要であり、TiO2やZnSなどが実用されている。これらの化合物を大面積の基板上に成膜する場合、微粒子分散物として塗布する方法(前述の▲2▼の方法、例えば特許文献1参照)が安価でしかも簡易であるので望ましい。しかしながら、この方法では粒子間に隙間があきすぎてしまい、その結果、膜としての屈折率が大幅に低下するという問題が生じた。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−27003号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、簡易かつ大量に、緻密性に優れた高屈折率の金属化合物薄膜を提供することを課題とする。また、本発明は、透明性に優れかつバルクの物性値に近い高屈折率の金属化合物薄膜を有する基板を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様は、基板上に、平均粒子サイズが1〜100nmである金属コロイド粒子を含有する分散液を塗布した後、酸化処理することにより金属酸化物を形成することを特徴とする金属化合物薄膜の形成方法である。
また、本発明の他の態様は、基板上に、平均粒子サイズが1〜100nmである金属コロイド粒子を含有する分散液を塗布した後、前記酸化処理後または酸化処理と同時に、硫化物アニオン溶液または硫化水素ガスと接触させることにより金属硫化物を形成することを特徴とする金属化合物薄膜の形成方法である。
本発明の他の態様として、金属コロイド粒子の合成から塗布、乾燥までの工程を不活性ガスの雰囲気下で行なう前記形成方法;前記金属コロイド粒子が、不活性ガスの雰囲気下、除酸素溶液中で、+1.0〜−1.0Vの酸化還元電位を有する金属イオンを還元剤で還元することによる液相法で合成されたものである前記形成方法;前記分散液が、該金属の含有量に対して質量比で0.01〜2倍の吸着性化合物または界面活性剤を含有する前記形成方法;前記金属がCuまたはFeであり、CuまたはFeの酸化物を少なくとも含む薄膜を形成する前記形成方法;酸素存在下で30〜300℃に加熱することにより、前記金属を酸化する前記形成方法;形成される金属化合物薄膜の屈折率が1.7以上である前記形成方法;前記いずれかの形成方法によって形成された金属化合物薄膜を有する基板;および前記薄膜の屈折率が1.7以上である前記基板;が提供される。
【0007】
本発明では、金属コロイドの状態で基板上に塗布した後、金属を金属酸化物や金属硫化物等の金属化合物に変化させるので、分子容が増大し、その分空隙率が低下し、緻密な薄膜が形成される。その結果、バルク状態の金属化合物とほぼ同等の高屈折率を有する金属化合物薄膜が得られる。また、本発明では、平均粒子サイズが1〜100nmであるナノ粒子の金属コロイド粒子を用いているので、表面積が大きく、極めて酸化されやすいので、容易に金属酸化物からなる薄膜を形成できる。また、本発明では、金属を酸化した後もしくは酸化と同時に、硫化物イオンを含有する溶液や硫化水素ガスと接触して金属硫化物に変化させているので、容易に金属硫化物を含む薄膜を形成することができる。
【0008】
なお、本発明において、「酸化還元電位」の用語は、金属がカチオン(プラスの原子価)に酸化される25℃における標準酸化還元電位のうちで最も小さい値をいうことにする。例えばCuの場合Cu++e=Cuの標準酸化還元電位は0.521V、Cu+++2e=Cuの標準酸化還元電位は0.337Vであるから、Cuの酸化還元電位は0.337Vである。なお、標準酸化還元電位は「化学便覧(日本化学会編)」、「分析化学便覧(日本分析化学会編)」などの文献に記載されている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、金属微粒子から金属化合物薄膜を得る方法に関する。本発明の金属化合物薄膜形成方法の一実施形態は、金属または複合金属のコロイド粒子の分散液を基板上に塗布した後、酸化処理することにより金属酸化物を形成し、金属酸化物からなる薄膜を形成する方法である。
また、他の実施形態は、前記酸化処理後もしくは酸化処理と同時に、硫化物アニオン溶液または硫化水素ガスと接触させることにより金属硫化物を形成し、金属硫化物からなる、または金属硫化物と金属酸化物との混合物からなる薄膜を形成する方法が挙げられる。
【0010】
本発明の方法によって、金属酸化物、金属硫化物、または金属酸化物と金属硫化物との混合物等から薄膜を形成することができる。前記金属化合物薄膜が高屈折率であると、種々の用途に供することができるので好ましい。バルク状態で高屈折率を有する金属酸化物または金属硫化物の具体例としては、TiO2(2.5〜2.9)、ZnO(2.0)、ZnS(2.3〜2.4)、Sb23(2.0〜2.3)、Sb23(3.2〜4.0)、SbO2(2.1)、CdO(2.5)、CdS(2.5)、HgS(2.8〜3.2)、Cr23(2.5)、ZrO2(2.1〜2.2)、SnO2(2.0)、Fe23(3.0)、Fe34(2.4)、ZnFe24(2.4)、MgFe24(2.4)、Cu2O(2.7)、CuO(2.6)、PbO(2.5〜2.7)、PbO2(2.2)、PbS(3.9)、NiO(2.2)、MnO(2.2)、Mn34(2.2〜2.5)、MnS(2.7)、MoS2(4.7)などが挙げられる。括弧内は、屈折率の概略の値である。本発明の方法に従って、これらの金属化合物から選択される単一化合物、複合化合物またはそれらの混合物からなる薄膜を形成すれば、それぞれのバルク状態の金属化合物が示す屈折率とほぼ同等の屈折率を有する薄膜を形成できる。
【0011】
本発明に用いる金属は、Ti、Zn、Sb、Cd、Hg、Cr、Zr、Sn、Fe、Mg、Cu、Pb、Ni、MnおよびMoから選ばれる1種または2種以上の金属であるのが好ましい。但し、これらに限定されるものではない。
【0012】
本発明では、平均粒子サイズが1〜100nmである金属コロイド粒子の分散液を用いる。金属ナノ粒子は、原料の金属固体をルツボに入れ、高周波誘導加熱方式、抵抗加熱方式、電子ビーム方式などにより加熱し金属蒸気を発生させて、He、Arなどのガス分子あるいは溶剤蒸気との衝突により急冷させて微粒子化するガス中蒸発法が挙げられる(例えば、特許第2561537号公報など)。得られた金属または複合金属のナノ粒子を適当な溶媒に分散させてコロイド分散液を調製することができる。また、上記金属から選ばれる1種以上の当該金属塩の溶液に、NaBH4、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン等の無機還元剤、アミン系もしくはジオール系化合物、ヒドロキシアセトン誘導体等の有機還元剤を作用させることにより当該金属コロイド粒子を得る溶液還元法などにより、前記コロイド分散液を調製することもできる。
【0013】
本発明では、不活性ガスの雰囲気下、除酸素溶液中で、+1.0〜−1.0Vの酸化還元電位を有する金属イオンを還元剤で還元することによる液相法で合成された金属コロイド粒子を用いるのが好ましい。酸化還元電位が+1.0〜−1.0Vである金属としては、Cu、Zn、Cd、Sn、Ni、Fe、Pb、Crなどが挙げられる。酸化電位が+1.0Vよりも大きいと酸化物になり難く、−1.0Vよりも小さいと金属コロイド粒子を合成し難い。これらの金属の中でも酸化電位が+0.6〜−0.6VであるCu、Cd、Sn、Fe、NiおよびPbが好ましい。特に環境などの取扱い性からCuおよびFeが最も好ましい。
【0014】
ナノオーダーの金属コロイドは大きい表面積を有するため、バルクの金属状態よりも著しく酸素酸化されやすいことがわかった。鋭意検討した結果、予め除酸素した溶媒を用いて不活性ガスの雰囲気下で反応溶液を調製し、不活性ガス中で還元反応を行うことにより酸化物の生成が著しく抑制されることがわかった。
本発明においては、前記コロイド粒子を、当該金属イオンを還元剤で還元することによる液相法(溶液還元法)で得ることにより、良好なコロイド分散液が調製できるので望ましい。コロイド分散液は不活性ガス中に保存されることが望ましい。
なお、この様にして調製したコロイド分散液をそのまま塗布液として用いてもよいし、濃縮、脱塩、精製、希釈等の種々の処理を施した後に塗布液として用いることもできる。これらの処理も不活性ガス中で行い、得られた塗布液も不活性ガスの雰囲気下で保管されることが望ましい。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどが挙げられる。
【0015】
本発明において、前記コロイド粒子の平均粒子サイズは、1〜100nmである。コロイド粒子の平均粒子サイズが1nm未満であると、粒子が不安定であり、コロイド分散液の保存、塗布、乾燥中に合一が起こりやすく、一方100nmを超えると粒子を酸化させるのに大きなエネルギーを要する。前記コロイド粒子の平均粒子サイズは、好ましくは2〜80nmであり、より好ましくは3〜50nmである。
なお、コロイド粒子の平均粒子サイズは透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定することができる。
【0016】
本発明に用いる前記コロイド分散液の分散溶媒としては、水;酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;2−ジエチルアミノエタノール、3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオールなどのアミノアルコール;シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、2,5−ヘキサンジオール、シクロヘキサノールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸、プロピオン酸、プロピオール酸などの有機酸などを挙げることができる。これらの溶媒は、コロイド粒子の分散性、酸化に対する安定性を考慮して、単独または二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
コロイド分散液中には、吸着性化合物(分散剤)または界面活性剤等の有機化合物を含有させるのが好ましい。前記吸着性化合物および界面活性剤は、コロイド粒子の表面に吸着等し、コロイド粒子を表面修飾することにより、コロイド分散液の安定性向上およびコロイド粒子の絶縁性確保に寄与する。コロイドは親水性であっても疎水性であってもよい。前記吸着性化合物としては、−SH、−CN、−NH2、−SO2OH、−SOOH、−OPO(OH)2、−COOHを含有する化合物などが有効であり、これらのうち−SH、−NH2または−COOH含有化合物が好ましい。親水性コロイドの場合には、親水性基{例えば、−SO3Mや−COOM(Mは水素原子、アルカリ金属原子またはアンモニウム分子等を表わす)}を有する吸着性化合物を使用するのが好ましい。また、アニオン性界面活性剤(例えば、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムやドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、ノニオン性界面活性剤(例えばポリアルキルグリコールのアルキルエステルやアルキルフェニルエーテル等)、フッ素系界面活性剤、親水性高分子(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等)をコロイド分散液中に含有させるのも好ましい。
なお、液相法でコロイド粒子を合成する場合、これらの吸着性化合物(分散剤)の存在下で還元剤を作用させると、安定なコロイド分散液が得られるので好ましい。
【0018】
前記吸着性化合物等の有機化合物は、金属または複合金属の量に対して質量比で0.01〜2倍であることが好ましい。0.05〜1倍がさらに好ましい。質量比で0.01倍未満であるとコロイド粒子間の分散性が不十分になる傾向があり、また、2倍を超えると塗布膜にした場合高屈折率が得られ難くなる傾向がある。また、有機化合物はコロイド粒子の表面を1〜10nm、好ましくは1〜5nmの厚さに被覆していることが好ましい。なお、前記有機化合物による被覆は一様である必要はなく、前記コロイド粒子の表面の一部が被覆されていればよい。
なお、コロイド粒子の表面が吸着性化合物または親水性高分子等の有機化合物によって表面修飾されていることは、FE−TEMなどの高分解能TEMで観察した際に、粒子間に一定の間隔があること、および化学分析により確認することができる。
【0019】
前記コロイド分散液中には、前記吸着性化合物等の有機化合物の他にも帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、高分子バインダー等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0020】
前述の方法で調製したコロイド分散液中の不要な塩は、遠心分離法、電気透析法、限外ろ過法などの脱塩法により除去した後、塗布液として用いるのが好ましい。塗布液として用いるためには、コロイド分散液の電気伝導度は1,000μS/cm以下であるのが好ましく、100μS/cm以下であるのがより好ましい。
【0021】
前記金属コロイド分散液を、基板上に塗布し、所望により乾燥して、塗布層(「金属微粒子層」という場合がある)を形成する。乾燥後に後述する酸化処理を施してもよいし、乾燥と同時に酸化処理を行ってもよい。塗布方法については特に制限はなく、スピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート、バーコートなど種々の方法を利用することができる。金属微粒子層の膜厚(乾燥時)については、特に制限はないが、5〜10000nmが好ましく、10〜5000nmがより好ましい。
金属の塗布量については特に制限はないが、10〜100000mg/m2が好ましく、20〜50000mg/m2がさらに好ましい。
【0022】
本発明に使用する基板の材料としては、石英ガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、パイレックスガラス、サファイア等のガラス;Al23、MgO、BeO、ZrO2、Y23、ThO2、CaO、GGG(ガドリウム・ガリウム・ガーネット)等の無機材料;ポリカーボネート;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;ポリアリレート;ポリサルフォン;ポリエーテルサルフォン;ポリイミド;フッ素樹脂;フェノキシ樹脂;ポリオレフィン系樹脂;ナイロン;スチレン系樹脂;ABS樹脂;金属;等を挙げることができ、所望によりそれらを併用してもよい。用途に応じてこれらの材料から適宜選択して、フィルム状等の可撓性基板、または剛性のある基板とすることができる。なお、前記基板の形状は円盤状、カード状、シート状などいずれの形状であってもよい。また、三次元的に積層されたものであってもよい。
【0023】
前記基板表面の平面性の改善、接着力の向上および金属微粒子層の変質防止などの目的で、基板の塗布面には下地層が設けられていてもよい。該下地層の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、Nーメチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;熱硬化性または光・電子線硬化樹脂;およびカップリング剤などの表面改質剤等が挙げられる。前記下地層の材料としては、基板と金属微粒子層との密着性に優れている材料が好ましく、具体的には、熱硬化性または光・電子線硬化樹脂、およびカップリング剤(例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、ゲルマニウム系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤など)などの表面改質剤;コロイダルシリカ等が好ましい。
【0024】
前記下地層は、上記材料を適当な溶媒に溶解または分散させて塗布液を調製し、該塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコート、バーコートなどの塗布法を利用して基板表面に塗布することにより形成することができる。前記下地層の層厚(乾燥時)は、一般に0.001〜20μmが好ましく、0.005〜10μmがより好ましい。
【0025】
基板上に塗布された前記金属コロイド粒子のコロイド分散液を、所望により乾燥した後もしくは乾燥と同時に酸化処理することにより、金属酸化物を形成し、金属酸化物からなる薄膜を形成することができる。
前記金属を酸化するための酸化処理としては、酸素の存在下で室温(好ましくは30℃)〜300℃に加熱する方法;レーザ照射する方法;UV光照射で発生したオゾンにより酸化する方法;マイクロ波プラズマ処理する方法;などが挙げられる。酸素の存在下で室温(好ましくは30℃)〜300℃に加熱する方法が簡易で好ましい。より具体的には、空気、酸素、またはオゾンを通しながら、オーブン中で前記温度で加熱することによって行うのが好ましい。
【0026】
また、前記酸化処理後もしくは酸化処理と同時に、硫化物アニオン溶液もしくは硫化水素ガスを作用させて、金属硫化物を形成し、金属硫化物からなる、または金属酸化物と金属硫化物との混合物からなる薄膜を形成することもできる。具体的には、酸化処理により金属酸化物に変換した後、硫化ナトリウムまたは硫化アンモニウムなどの硫化物アニオンを含有する水溶液などに浸漬させ、または硫化水素ガスと接触させることによって、金属硫化物からなる、もしくは金属酸化物と金属硫化物との混合物からなる薄膜を形成することができる。また、空気または酸素とともに硫化水素ガスを含有する混合ガス中で、室温〜300℃に加熱することにより、金属硫化物からなる、または金属酸化物と金属硫化物との混合物からなる薄膜を得ることができる。
【0027】
本発明の形成方法により、透明性が高く、高屈折率の金属化合物薄膜を形成することができる。形成された薄膜の透過率は、使用する波長の光に対して50%以上であるのが好ましく、70%以上であるのがより好ましい。また、形成された薄膜の屈折率は1.7以上が好ましく、1.8以上がより好ましく、1.9以上がさらに好ましい。但し、形成された薄膜の物性値は、用途に応じてその好ましい範囲も異なるので、この範囲に限定されるものではない。高屈折率の金属化合物薄膜を有する基板は、反射防止膜、書換え型光ディスク、光導波路、光ファイバー等の種々の用途に供することができる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の主旨から逸脱しない限り適宜変更することができる従って本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
【0029】
[実施例1]
(Cuコロイド分散液の調製)
酸素を除去した酢酸20mL、2−ジメチルアミノエタノール30mLおよびエタノール10mLに、酢酸銅 2.9gを加え80℃に加熱して撹拌、溶解した。この溶液を50℃に冷却後、酸素を除去したヒドラジン1水和物の5容量%エタノール溶液 20mLを添加し、1分間撹拌して茶黒色のコロイド液を得た。XRD解析より結晶子サイズ6.8nmのCuナノ粒子が生成していることがわかった。
【0030】
(Cu2O薄膜基板の作製)
無アルカリガラス基板(サイズ100mm角、厚さ0.6mm)をイソプロパノール中で超音波洗浄した後、乾燥させてUV−オゾン処理した。窒素雰囲気下で、この基板上に上記Cuコロイド分散液をスピンコートした後、乾燥して膜厚100nmのCu微粒子層を形成した。その後、空気雰囲気下、オーブン中で100℃30分間加熱した。XRD解析すると回折パターンはCuからCu2Oに変化していることがわかった。得られたCu2O薄膜の光吸収スペクトルを図1に示す。得られた薄膜は、可視光全域にわたって透過率が高いことがわかった。さらに、このCu2O薄膜の屈折率は2.1であった。
【0031】
[比較例]
(Cu2Oコロイド分散液の調製)
2−ジメチルアミノエタノール30mLおよびエタノール10mLに、酢酸銅2.9gを加え80℃に加熱して撹拌、溶解した。この溶液を70℃に冷却後、ジエチルヒドロキシルアミンの17容量%エタノール溶液 20mLを添加し、2分間撹拌して茶褐色のコロイド液を得た。XRD解析より結晶子サイズ6.0nmのCu2Oナノ粒子が生成していることがわかった。
【0032】
(Cu2O薄膜基板の作製)
実施例1と同様に前処理したガラス基板上に上記Cu2Oコロイド分散液をスピンコート後、乾燥して膜厚100nmのCu2O粒子層を形成した。その後、空気雰囲気下、オーブン中で100℃30分加熱した。XRD解析よりCu2Oのままであることがわかった。得られたCu2O薄膜も可視光全域にわたって透過率が高いことがわかったが、このCu2O薄膜の屈折率は1.8であった。
【0033】
[実施例2]
(Feコロイド分散液の調製)
酸素を除去した水60mL、メタノール 30mLに、ポリビニルピロリドン(平均分子量3000) 1gを溶解し、さらに蓚酸鉄アンモニウム3水和物 3.4gを溶解してA液を調製した。一方、酸素を除去した水20mLに、水素化ホウ素ナトリウム 1gを溶解してB液を調製した。アルゴンボックス中でA液を撹拌しながらこの中にB液を全量添加した。少し発泡したがそのまま30分間撹拌して、茶黒色の反応液を得た。この反応液を限外ろ過することにより約20mLになるまで濃縮した。その後、酸素を除去した水80mLを添加し、約20mLになるまで限外ろ過した。この操作をさらに一回繰り返したあと、酸素を除去したエチレングリコール 10mLを添加してコロイド分散液を得た。
【0034】
得られたコロイド分散液は、ICPおよびXRDの解析から1.5質量%のFe(結晶子サイズは約5nm)を含有していることがわかった。また、FE−TEMの解析から、各粒子は一定の間隔で分離しており、このコロイド分散液中に、ポリビニルピロリドンがFeに対し質量比0.3含有していることが化学分析によりわかった。
【0035】
(Fe23薄膜基板の作製)
実施例1と同様に前処理したガラス基板上に、上記Feコロイド分散液をスピンコートした後、乾燥して膜厚100nmのFe微粒子層を形成した。その後、空気雰囲気下、オーブン中で250℃30分間加熱した。XRD解析よりFeがFe23に変化していることがわかった。このFe23薄膜の屈折率は2.2であった。
【0036】
[実施例3]
(PbOおよびPbS薄膜基板の調製)
実施例2のFeコロイド分散液と同様に窒素雰囲気下でNaBH4還元法でPbコロイド分散物を調製した。このPbコロイドを実施例1と同様に前処理したガラス基板上にスピンコートした後、乾燥して膜厚100nmのPb微粒子層を形成した。その後、硫化水素ガスを1容量%含有する空気雰囲気下にPb微粒子層を有するガラス基板を5時間曝した。XRD解析よりPbOおよびPbSが混在して生成していることがわかった。このPb化合物薄膜の屈折率は2.1であった。
【0037】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、緻密性に優れた高屈折率の金属化合物薄膜を簡易に形成可能な方法、および金属化合物薄膜を有する基板を簡易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られたCu2O薄膜の光吸収スペクトル図である。

Claims (9)

  1. 基板上に、平均粒子サイズが1〜100nmである金属コロイド粒子を含有する分散液を塗布した後、酸化処理することにより金属酸化物を形成することを含み、前記酸化処理を、酸素存在下で室温〜300℃に加熱することにより行うことを特徴とする金属化合物薄膜の形成方法。
  2. 基板上に、平均粒子サイズが1〜100nmである金属コロイド粒子を含有する分散液を塗布した後、酸素存在下で室温〜300℃に加熱することによる酸化処理後または酸化処理と同時に、硫化物アニオン溶液または硫化水素ガスと接触させることにより金属硫化物を形成することを特徴とする金属化合物薄膜の形成方法。
  3. 金属コロイド粒子の合成から塗布までの工程を不活性ガスの雰囲気下で行なう請求項1または2に記載の金属化合物薄膜の形成方法。
  4. 前記金属コロイド粒子が、不活性ガスの雰囲気下、除酸素溶液中で、+1.0〜−1.0Vの酸化還元電位を有する金属イオンを還元剤で還元することによる液相法で合成されたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属化合物薄膜の形成方法。
  5. 前記分散液が、前記金属に対して質量比で0.01〜2倍の吸着性化合物または界面活性剤をさらに含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属化合物薄膜の形成方法。
  6. 前記金属がCuまたはFeであり、CuまたはFeの酸化物を少なくとも含有する薄膜を形成する請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属化合物薄膜の形成方法。
  7. 前記酸化処理を、酸素存在下で30〜300℃に加熱することにより行う請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属化合物薄膜の形成方法。
  8. 形成される金属化合物薄膜の屈折率が1.7以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属化合物薄膜の形成方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の形成方法によって作製された金属化合物薄膜を有する基板。
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