JP4278038B2 - スピネル複合板状ベーマイト及び紫外線防止性無機フィラー - Google Patents

スピネル複合板状ベーマイト及び紫外線防止性無機フィラー Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状ベーマイトに関し、詳細には紫外線吸収能を有するZn、Fe、Alからなる板状の三元素系スピネルが結晶表面に複合する板状ベーマイト及び該板状ベーマイトからなる紫外線防止性無機フィラーに関する。
【0002】
【従来の技術】
紫外線は、プラスチック成形品や塗装などを劣化させるなど物質に好ましくない作用を及ぼすばかりか、人体にとっても好ましくない作用を及ぼすことが知られている。そのため、従来より、プラスチック成形品などには有機系紫外線吸収剤や無機系紫外線吸収剤が充填されている。しかし、有機系紫外線吸収剤は、安全性などの点で問題があるため、無機系紫外線吸収剤が特に注目されている。無機系紫外線吸収剤として、酸化チタン、酸化亜鉛などがあるが、紫外線の吸収領域が狭いことや吸収効率が悪いなどそれぞれに一長一短があった。また、ZnAlあるいはZnFeで表されるスピネルが紫外線吸収能を有することが知られている。しかし、ZnAlは400nm付近の紫外線吸収能が低いという欠点があり、またZnFeは色調が黒ずんでいるため充填できる素材が限られるという欠点があった。
一方、このような欠点のないAB(A及びBは金属元素を、Oは酸素原子を示す)で表されるスピネル型又は逆スピネル型構造を有し、且つ、A、B以外に金属原子を1種以上を含有する複合金属酸化物が提案されている(引用文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−171540号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、板状のスピネル型又は逆スピネル型の複合金属酸化物は、安定性が高いため結晶が十分に成長しないことから、粒子径が微細で紫外線吸収剤としてプラスチックなどに充填することが難しいという問題があった。また、紫外線を吸収するだけでなく、紫外線を反射することもできれば紫外線の作用をより十分に防止することが可能となり望ましい。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、広波長領域での紫外線吸収能に優れる板状の三元素系スピネルをプラスチックなどの素材に容易に充填させることができ、紫外線の作用を紫外線の吸収と反射により十分に防止できるスピネル複合板状ベーマイトを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ね本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、Zn(Fe1−XAl(0<X<1)で表される板状の三元素系スピネルが結晶表面に複合するスピネル複合板状ベーマイトを要旨とする。
【0007】
上記発明において、三元素系スピネルが0.25<X<0.75でも良い。
【0008】
本発明は、上記のスピネル複合板状ベーマイトからなる紫外線防止性無機フィラーを要旨とする。
【0009】
本発明は、上記の紫外線防止性無機フィラーがプラスチック、ゴム、化粧品、顔料又は、塗料のいずれかに充填されてなる組成物を要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
三元素系スピネルが複合する板状ベーマイトは、板状であれば特に限定されない。従来、特開平6−263437号公報や特許第3283475号明細書に記載されるように様々な板状ベーマイトが提案されているが、板状であればどのように製造されたものでも良い。特開平6−263437号公報に記載の方法によれば、アルカリ金属化合物を含有した水酸化アルミニウム又はアルミナ水和物を水熱合成処理して板状ベーマイトが得られる。また、特許第3283475号明細書に記載の方法によれば、カルシウム、ストロンチウム及びカリウムから選ばれた少なくとも一種のアルカリ土類金属の化合物と水酸化アルミニウムとを水の存在下で加圧状態にして150〜300℃の温度で反応させ、その反応生成物を酸処理し、水洗した残留アルカリ土類金属化合物を除去し、アスペクト比が10〜35となる板状ベーマイトが得られる。
【0011】
本発明のスピネル複合板状ベーマイトは、板状ベーマイトの結晶表面(b面)にZn(Fe1−XAl(0<X<1)で表されるZn、Fe、Alからなる板状の三元素系スピネルが複合する。三元素系スピネルは、300〜400nm領域の紫外線吸収能が高いものの板状の結晶の粒子径が5〜20nmの範囲内にあり、非常に微細であるためプラスチックなどの素材に紫外線吸収剤として充填することが困難である。一方、板状ベーマイトは、結晶の粒径が通常1〜5μmの範囲内にあり、プラスチックなどの素材に充填して物性を改善することが可能である。本発明のスピネル複合板状ベーマイトは、素材への配向性に優れる板状ベーマイトの結晶表面に板状の三元素系スピネルを複合させ、プラスチックなどの素材への充填を容易にする。これによりスピネル複合板状ベーマイトは、板状の三元素系スピネルの有する紫外線吸収能と紫外線反射能及び屈折率の違いから板状ベーマイトが有する紫外線の反射能により素材に優れた紫外線防止効果を付与できる。また、Zn(Fe1−XAl(0<X<1)で表される三元素系スピネルは、0.25<X<0.75が好ましい。Xがこの範囲内にあると三元素系スピネルが良好な固溶体となるからであり、また、Xが1に近いと400nm付近での紫外線吸収能が低下し、Xが0に近いと色調が黒ずむことから充填できる素材が限られるからである。
【0012】
スピネル複合板状ベーマイトは、板状ベーマイトと亜鉛、鉄、アルミニウムの各水酸化物とからなる共沈体あるいは板状ベーマイトと亜鉛、鉄、アルミニウムの各塩とからなる共沈体を水熱処理することにより製造できる。また、上記の共沈体をそのまま大気中で加熱することにより製造できる。亜鉛、鉄、アルミニウムの水酸化物は、水酸化亜鉛、水酸化鉄(III)、水酸化アルミニウムなどを挙げることができる。また、亜鉛、鉄、アルミニウムの塩は、例えば酢酸亜鉛、硝酸鉄、硝酸アルミニウムのような、亜鉛、鉄、アルミニウムの塩化物、硫酸塩、硝酸塩、有機酸塩などを挙げることができる。また、水熱処理する場合の共沈体はpH7.0〜8.5に調整することが好ましい。
【0013】
水熱処理は、オートクレーブなどの耐圧容器を用いて行うことができる。水熱処理の温度は、180〜220℃が好ましい。また、水熱処理時間は、4〜24時間が好ましい。例えば、180℃で20時間、220℃で4時間の水熱処理で製造ができる。
【0014】
大気中で加熱して製造する場合の加熱温度は、380〜490℃が好ましい。また、加熱時間は0.5〜1時間が好ましい。この方法で製造されるスピネル複合板状ベーマイトは、板状ベーマイト結晶表面への板状の三元素系スピネルの複合性が劣り、また三元素系スピネル結晶の平板性が悪くなることから、上記の水熱処理による製造が好ましい。
【0015】
スピネル複合板状ベーマイトは、木質調の淡黄橙色を呈し、素材の色調に与える影響が少ないので、プラスチック、ゴム、化粧品(特に、色調の点からもファンデーションは好適)、顔料、塗料などの素材に紫外線防止性無機フィラーとして充填することができる。また、素材に充填することにより紫外線からの障害を防止できるばかりでなく、板状ベーマイトにより素材に平滑性の付与、光沢性の付与など諸物性を改善することもできる。
【0016】
板状ベーマイトに複合させる板状の三元素系スピネルは、板状ベーマイト1モルに対して0.025〜0.1モルの割合が好ましい。0.025モルより少ないと十分な紫外線防止効果を発揮できなくなり、0.1モルより多いと粒子径の微細な三元素系スピネルに起因してプラスチックなどの素材への充填性が悪くなり、また物性の低下を招くおそれがあるからである。
【0017】
素材に充填されるスピネル複合板状ベーマイトの充填量は、素材100重量部に対して1〜50重量部が好ましく、5〜30重量部がより好ましい。1重量部より少ないと素材に十分な紫外線作用抑制効果を付与できないからであり、50重量部より多いと素材への充填性が悪くなるからである。
【0018】
【実施例】
次いで、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0019】
〔参考例1〕(板状ベーマイトの製造)
平板状ベーマイトを特許第3283475号明細書に記載の方法により製造した。すなわち、水酸化バリウム8水和物337g、水酸化アルミニウム1000g及び水5000gを秤量し、それぞれ秤量したものをオートクレーブ内に入れて混合液とした。そして、オートクレーブ内を加圧状態にして混合液を撹拌せず静置し、混合液を昇温速度200℃/時間で200℃まで加熱した。その温度を12時間保持してオートクレーブ内の混合液を反応させた。反応後の混合液を自然冷却し、その混合液を濾過して反応生成物を得た。その反応生成物を酸処理した後、水洗し、水を含む反応生成物を105℃で乾燥して板状ベーマイトを得た。
【0020】
〔参考例2〕(三元素系スピネルの製造)
アンモニア水に1/2モル酢酸亜鉛(ナカライテスク社製)、1/2モル硝酸アルミニウム(関東化学社製特級)及び1/2モル硝酸鉄(関東化学社製特級)を加え、pH5、6、7、7.5、8、8.5、9の7種類に調整された各種共沈体を得た。これら共沈体の各々をオートクレーブを用いて200℃で24時間水熱処理を行った。水熱処理後の試料を酢酸水溶液(pH4)で3回洗浄し、その後105℃にて乾燥し、板状の三元素系スピネルを得た。
【0021】
各種pHに調整された共沈体から得られた三元素系スピネル(X=0.5)のX線回析図(以下、XRDという)を図1に示した。図2には、pH8に調整した共沈体から得られたXが0〜1.0の範囲内にある各種の三元素系スピネルのXRDを示した。また、図3には、X=0、X=0.5、X=0.85の三元素系スピネルのクベルカムンク関数を示した。表1は、各種pHに調整された共沈体から生成した反応生成物の化学分析(酸化物換算)を示した。表1中の最左欄の数値が三元素系スピネルの理想的な数値である。なお、XRDは理学電気社製RINT1500を用い、Siを内標準として測定した。その結果、図1及び表1から明らかなように、pH7〜8.5の範囲内にない共沈体から得られた反応生成物は、ベーマイトとヘマタイトの共存物、あるいは三元素系スピネルとヘマタイトの共存物であった。三元素系スピネルは、pH7〜8.5の範囲内の共沈体を水熱処理することで夾雑物を共存させることなく製造できた。図2より、0.25<X<0.75の三元素系スピネルが良好な固溶体となっているものと思われる。図3より、Xの数値が小さいほど300〜400nmの紫外線の吸収能が高いことが分かる。また、XRD回析ピークの半値幅は約2度であり、これに基づきD=0.89λ/βcosθの式から得られた三元素系スピネルの粒子径Dを見積もると約5nmと非常に微細であった。
【0022】
【表1】
Figure 0004278038
【0023】
〔参考例3〕(ZnAlが複合した板状ベーマイトの製造)
参考例1で製造した板状ベーマイト150mモルに350mlの蒸留水を加え懸濁水とした。7.5mモル酢酸亜鉛(ナカライテスク社製)水溶液、15mモル硝酸アルミニウム(関東化学社製特級)水溶液を混合した混合液を上記の懸濁液に加えた。激しく撹拌しながらこれにアンモニア水を加えてpH8に調整されたベーマイトを含んだ共沈体を得た。この共沈体をオートクレーブを用いて、200℃で24時間水熱処理した。水熱処理後の試料を酢酸水溶液(pH4)で3回洗浄し、その後105℃にて乾燥し、板状ベーマイトに7.5mモルのZnAlが複合した板状ベーマイトを得た。
【0024】
〔実施例1〕(スピネル複合板状ベーマイトの製造)
参考例1で製造した板状ベーマイト84mモルに200mlの蒸留水を加え懸濁水とした。1/2モル酢酸亜鉛(ナカライテスク社製)水溶液、1/2モル硝酸アルミニウム(関東化学社製特級)水溶液及び1/2モル硝酸鉄(関東化学社製特級)水溶液を混合した混合液から酢酸亜鉛、硝酸アルミニウム及び硝酸鉄の1.5mモル相当を分取して上記の懸濁液に加えた。激しく撹拌しながらこれにアンモニア水を加えてpH8に調整されたベーマイトを含んだ共沈体を得た。次いで、共沈体を濾過した後、容量を減らし、分離されない炉液をも含んだ湿物をインキュベータに入れ、所定量(乾燥状態3gに対し蒸留水20ml)の蒸留水を添加して200℃で24時間水熱処理を行った。水熱処理後の試料を酢酸水溶液(pH4)で3回洗浄し、その後105℃にて乾燥し、1.5mモルの三元素系スピネルが複合したスピネル複合板状ベーマイトを得た。同様の方法で前記懸濁液に酢酸亜鉛、硝酸アルミニウム及び硝酸鉄を3mモル、6mモル及び12mモル相当を分取して加え、各々3mモル、6mモル及び12mモルの三元素系スピネルが複合したスピネル複合板状ベーマイトを得た。なお、この製造方法によれば、板状の三元素系スピネルが原料の亜鉛化合物、アルミニウム化合物及び鉄化合物から約95%以上の収率で生成した。
【0025】
上記で得られた板状の各スピネル複合板状ベーマイトのXRDを図4に示し、走査型電子顕微鏡写真像(以下、SEMという)を図5に示した。なお、XRDにおいてスピネルの格子定数の測定は8番目迄の強度のX線回析ピークを使用し、Siを内標準として測定した。また、SEMは日本電子社製JXA8600Sを用いた。これらの結果から、板状ベーマイトは再度の水熱処理にも結晶形態の変化はなく、また、三元素系スピネルの生成反応にも影響することがないことが示された。また、微細な板状の三元素系スピネルは、板状ベーマイトのb面の結晶表面に沈着していることが判明した。なお、図4のチャートの内容は次の通りである。P−ベーマイト:参考例1で得られた板状ベーマイトである。P−1:実施例1で得られた1.5mモルの三元素系スピネルが複合したスピネル複合板状ベーマイトである。P−a:実施例1で得られた3mモルの三元素系スピネルが複合したスピネル複合板状ベーマイトである。P−2:実施例1で得られた6mモルの三元素系スピネルが複合したスピネル複合板状ベーマイトである。P−3:実施例1で得られた12mモルの三元素系スピネルが複合したスピネル複合板状ベーマイトである。P−ZnAl:ZnAlである(参考)。P−ZnFe:ZnFeである(参考)。また、図5のP−1)、P−2)、P−3)は各々図4のP−1、P−2、P−3に対応する。
【0026】
また、後記のスピネル複合板状ベーマイトの紫外線防止効果の検討に供するために、上記と同様の方法で1モルの板状ベーマイトに0.05モルの割合で三元素系スピネルが複合するスピネル複合板状ベーマイトと1モルの板状ベーマイトに0.1モルの割合で三元素系スピネルが複合するスピネル複合板状ベーマイトを各々製造した。
【0027】
〔実施例2〕(スピネル複合板状ベーマイトの紫外線防止効果の検討)
上記で得られたスピネル複合板状ベーマイトをポリプロピレン(PP)(ポリケム社製MA2)に250℃で混練し、更に250℃でダンベル形状(長さ:178mm、厚み:3.04mm、幅:12.58mm)の試験片を成形した。この試験片を紫外線曝露試験機(スガ試験機社製、ロングライフ耐光試験機)を用い、所定時間経過後の曲げ強さ試験及び引張強さ試験を行い紫外線防止効果を評価した。なお、曲げ強さ試験は、JIS K 7171、引張強さ試験はJIS K 7161に準拠して行った。また、放置0時間の曲げ弾性率と引張弾性ひずみを測定した。
【0028】
結果は、表2〜表4に示した。表2は、放置0時間の曲げ弾性率と引張弾性ひずみ、表3は曲げ強さ、表4は引張強さを示す。なお、実施例(1)、(2)、比較例(1)〜(3)は以下の通りである。
実施例(1):実施例1で製造された板状ベーマイト1モルに三元素系スピネルが0.05モルの割合で複合したスピネル複合板状ベーマイトをPP100重量部に対して10重量部混練したものである。
実施例(2):実施例1で製造された板状ベーマイト1モルに三元素系スピネルが0.1モルの割合で複合したスピネル複合板状ベーマイトをPP100重量部に対して10重量部混練したものである。
比較例(1):PPのみである。
比較例(2):参考例1で製造された板状ベーマイトをPP100重量部に対して10重量部混練したものである。
比較例(3):参考例3で製造された板状ベーマイト1モルにZnAlが0.05モルの割合で複合した板状ベーマイトをPP100重量部に対して10重量部混練したものである。
【0029】
【表2】
Figure 0004278038
【0030】
【表3】
Figure 0004278038
【0031】
【表4】
Figure 0004278038
【0032】
表2より、PPのみの比較例(1)に比べ、充填剤が混練されている実施例(1)、(2)、比較例(2)、(3)では曲げ弾性率と引張弾性ひずみが高められていた。この表2で、実施例(2)の曲げ弾性率及び引張弾性ひずみが実施例(1)より低いのは、板状ベーマイトに複合する三元素系スピネルの割合が多くなり、PPへの混練が悪くなっていることによると思われる。一方、表3から明らかなように、放置0時間では、比較例(1)を除き実施例と比較例でほとんど差違がなかったのが、紫外線の作用が大きな比較例では曲げ強さが経時的に減少しており、1507時間後ではいずれの比較例も放置0時間の曲げ強さの50%前後になっていたのに対し、いずれの実施例も80%前後を維持していた。また、表4から明らかなように引張強さについても比較例は紫外線の作用で経時的に大きく減少し、1507時間後の引張強さは、いずれの比較例も放置0時間の引張強さの50%前後になっていたのに対し、いずれの実施例も90%前後を維持していた。以上の結果より、本発明のスピネル複合板状ベーマイトは、PPに万遍なく配向でき、極めて優れた紫外線防止効果を付与できることが明らかとなった。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、上記のように構成されるため、以下の効果を奏する。
本発明のスピネル複合板状ベーマイトは、紫外線防止効果に優れ、プラスチックなどの素材への充填も容易なため、無機フィラーとしてプラスチックの他、ゴム、化粧品、顔料、塗料などの素材に充填し、これら素材の紫外線による障害を確実に防止できる。また、素材に充填することにより、素材の諸物性を改善することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例2の各種pHの共沈体から得られた反応生成物のX線回析パターンを示す。
【図2】参考例2のpH8に調整した共沈体から得られたXが0〜1.0の範囲内にある各種の三元素系スピネルのX線回析パターンを示す
【図3】X=0、X=0.5、X=0.85の三元素系スピネルのクベルカムンク関数を示した。
【図4】実施例で得られたスピネル複合板状ベーマイトのX線回析パターンを示す。
【図5】実施例で得られたスピネル複合板状ベーマイトの走査型電子顕微鏡写真像である。

Claims (4)

  1. Zn(Fe1−XAl(0<X<1)で表される板状の三元素系スピネルが結晶表面に複合するスピネル複合板状ベーマイト。
  2. 三元素系スピネルが0.25<X<0.75である請求項1に記載のスピネル複合板状ベーマイト。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のスピネル複合板状ベーマイトからなる紫外線防止性無機フィラー。
  4. 請求項3に記載の紫外線防止性無機フィラーがプラスチック、ゴム、化粧品、顔料又は、塗料のいずれかに充填されてなる組成物。
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