JP4277385B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

冷蔵庫 Download PDF

Info

Publication number
JP4277385B2
JP4277385B2 JP28133399A JP28133399A JP4277385B2 JP 4277385 B2 JP4277385 B2 JP 4277385B2 JP 28133399 A JP28133399 A JP 28133399A JP 28133399 A JP28133399 A JP 28133399A JP 4277385 B2 JP4277385 B2 JP 4277385B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ozone
refrigerator
voltage
anode
cathode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP28133399A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001108356A (ja
Inventor
正敏 稲谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP28133399A priority Critical patent/JP4277385B2/ja
Publication of JP2001108356A publication Critical patent/JP2001108356A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4277385B2 publication Critical patent/JP4277385B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Cold Air Circulating Systems And Constructional Details In Refrigerators (AREA)
  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)
  • Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵庫内の環境条件で庫内水分を電気分解して生成するオゾンにより防菌・防カビ・脱臭と食品の長期保蔵を目的とする電解式オゾン発生装置付冷蔵庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品の低温収納庫や食品を運ぶ冷蔵車の庫内は、防菌・防黴・脱臭ニーズが強くあり各種方法での対策がなされてきている。特に家庭用の冷蔵庫では多種の食品を同じ冷気循環風の収納庫内に置くことが多く、臭いの強い食品臭や腐敗臭が冷蔵庫内に残ったり、他の食材へ臭いが移り、食生活空間の不快感が問題視されている。
【0003】
一方、野菜等の生鮮食品の鮮度を長期維持するには乾燥を防止することが重要であり、冷蔵庫内は適度な高い湿度が要求され、野菜,果物,肉やハムを保存する冷蔵庫内の高湿度化が進みつつある。
【0004】
家庭用冷蔵庫内の高湿度化は低温条件ではあるものの、頻繁なドア開閉での温度上昇もあり、冷蔵庫内で細菌やカビを増殖させる問題がある。特に、冷却器表面に一端着霜、又は結露した水分を融解し気化させ、再度冷蔵庫内の加湿に用いる高湿化システムを塔載する冷蔵庫の場合には、着霜又は結露した水分の中に臭い成分も吸着している為、臭気成分が冷蔵庫内に蔓延することとなり、冷蔵庫内の食品臭気の問題が大きくなる。さらに蔓延する食品の臭気成分である有機物が腐敗する為、腐敗臭気も生じ冷蔵庫内の不快感が増加することになる。
【0005】
よって、食品の鮮度保持を目的に冷蔵庫内を高湿度に維持するには、効果的な防菌・防カビ・脱臭対策が不可欠となる。
【0006】
冷蔵庫内の脱臭方法としては活性炭等での吸着法や、吸着と酸化分解を同時に行う酸化触媒法や、紫外線と光触媒を使用する方法等があるが、各方法とも効果と長期寿命と価格等の問題があり、比較的バランスのとれたオゾンによる脱臭と殺菌方法が採用される。
【0007】
その事例としては、実開昭62−4342号公報に記載される様に、空気循環ファンと、沿面放電式のオゾン発生部と、オゾン反応槽と、未反応のオゾンを分解するオゾン分解フィルターとを備えた脱臭装置がある。これはセラミック表面に設けられた2つの電極間に数キロボルトの電圧をかけることによりセラミック表面に沿って起こる放電の酸化力で空気中の酸素をオゾン化するものである。この放電により生成するオゾンと循環ファンで運び込まれる悪臭成分を含む空気とを反応槽で反応させ脱臭するものである。
【0008】
オゾンは非常に高い酸化力を持ち、悪臭成分、及び、細菌やカビを酸化することにより、細菌やカビの不活化と、臭い成分の分解を行う。そして、オゾン自身は分解後、酸素に変わる為、比較的安全な殺菌法として利用されるが、1ppm以上のオゾンを直接吸い込むと気管支等へ刺激を与え、人体への影響もあり、残留オゾン濃度の管理は安全上重要である。
【0009】
よって、余分な未反応オゾンについては冷蔵庫の食品収納庫内に不確定濃度のオゾンを撒き散らすことのない様に、十分なオゾン分解能力を持つオゾン分解フィルターで処理するものである。
【0010】
しかし、実開昭62−4342号公報に記載される方法では、オゾンは冷蔵庫の収納庫内に残存することが無い為に、循環空気中の臭気や浮遊細菌・カビは脱臭され殺菌されるが、庫内壁面や食品の表面への殺菌効果はほとんどない。
【0011】
冷蔵庫内の壁面の殺菌を行うには、特開平10−47827号公報に記載される様に、戻り風ダクト内にオゾン発生器を設置し、オゾン発生器の運転中、圧縮機を停止し、送風機を運転し冷蔵室の吐出口を開放することにより、冷蔵庫内にオゾンを直接介在させることにより効果的に収納庫内の脱臭と殺菌を行う方法がある。この公報では脱臭器用オゾン発生器はタイマーにより、通常冷蔵庫の使用頻度の低い深夜に一定時間信号を出し、オゾン発生器制御装置により運転させる方法となっている。
【0012】
すなわち、冷蔵庫内のオゾン濃度が高い状態で冷蔵庫の扉が開放されると一時的にではあるが人体に影響する高濃度のオゾンを吸入する危険性があるため、使用頻度の低い夜中にオゾンを多く発生させる制御を取り入れたものである。
【0013】
しかし、家庭用冷蔵庫の場合、夜間に冷蔵庫の扉を開放禁止とすることは非常に困難で、人体への安全性に課題が残る。
【0014】
また、実開昭62−4342号公報,特開平10−47827号公報に使用されている放電式のオゾン発生装置は一般に、空気中の酸素を放電エネルギーで酸化し、オゾンを生成するものであり、空気中に含まれる窒素も酸化する為に、一酸化窒素や二酸化窒素のような窒素酸化物が、また、電極材のヒュームが不純物として混入する。さらに、湿度が高くなると電極間が短絡状態となり、放電が停止、又は放電を開始せず、オゾンの発生が不安定となる。さらに、温度変化,湿度変化,経時変化により大きくオゾン生成量が変化する為、濃度制御が非常に困難な問題があった。また、窒素酸化物の生成は、分解フィルター上にて窒素酸化物による硝酸根が生じ、水分と反応すると分解フィルター面が酸で侵食され極端に劣化する問題があった。
【0015】
尚、湿度の影響を極力少なくする為に、セラミック電極面にヒータを介在させ乾燥策を用いた場合には、放電開始と同時に必要以上のオゾンが生成し、分解フィルターに余力がないと、高濃度のオゾンガスが庫内に流れ出し、庫内濃度が1ppmの危険濃度以上に、また、0.06ppmの環境基準値以上になる恐れがある。よって通常、分解フィルターは必要以上に大きくし、脱臭器外には一切漏れることのない様に設計している。そのため、酸化反応は脱臭器内でのみで生じ、放電式のオゾン発生装置では冷蔵庫内の常在オゾンによる冷蔵庫内の壁面や食品表面の防菌・防カビ処理は困難となる。
【0016】
また、窒素酸化物を生成しないためには酸素付加膜を通したガスで処理する方法があるが酸素付加膜を透過するための圧損が大きく、装置自体が大きくなり高価となる問題がある。
【0017】
オゾンを発生させる方法としては、特公平2−44908号公報で記載されるように、イオン交換膜である固体電解質膜をはさみ、陽極室と陰極室とを構成し、陰極室では空気電極を、陽極室ではオゾン発生極を設け、陰極室に空気を送風し、陽極室に水を送りこみ、陽極室の水を電気分解すると陽極で生成する酸素の副生成物としてオゾンを得るものがある。この水の電気分解で生成するオゾンを水電解式オゾンと言い、中性で純粋なオゾンであるため、湿度の高い庫内の防菌・防カビ・脱臭用のオゾンとして有効である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公平2−44908号公報のようにイオン交換膜である固体電解質膜をはさみ、陽極室と陰極室とを構成し、陰極室には空気を、陽極室には水を送りこむには両室の分離が必要であり、特に陽極室における水漏れ防止仕様が複雑となるばかりか、供給する水はイオン交換水を必要とする。すなわち、水に金属イオンが存在すると電解時に固体電解質膜にイオンが進入し、電導性を阻害することになる。また、陽極室へ水を送りこむ水ポンプや、陰極室に空気を送るファン、又はエアーポンプが必要となりさらに構造が複雑となる。
【0019】
そこで本発明は、上記する陽極室内に水を送り込む必要が無く、冷蔵庫内を安全な低濃度のオゾンで制御し、安全に殺菌と防カビと脱臭を行う事の出来る電解式オゾン発生装置付冷蔵庫を提供することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記する目的を達成する為に、開閉可能な扉を有する断熱箱体と前記断熱箱体の収納庫内を冷却する冷却手段と収納庫内の脱臭と殺菌を行うオゾン発生手段とで構成され、前記オゾン発生手段は直流電圧制御手段と電解セルと前記水電解セルへの水分補給手段とからなり、前記電解セルはオゾン選択性触媒面を持つ陽極とガス拡散電極層からなる陰極と前記陽極のオゾン選択性触媒面と陰極のガス拡散層とをゼロギャップで仕切る固体電解質膜とで構成され、前記水補給手段は前記陽極と陰極とを同じ冷蔵庫内気中に開放し陽極と陰極とを通過してくる前記冷蔵庫内気中水分を前記固体電解質膜に吸着介在させるもので、前記電解セルの陽極と陰極に前記直流電圧制御手段により直流電圧を印加し前記固体電解質膜に吸着介在する水分を電気分解してオゾンを発生するものである。
【0021】
又、収納庫内の空気を冷気循環ファンで吸気ダクトから冷却器を通り排気ダクトから再度収納庫内に戻す冷気循環風を冷却手段とし、水電解セルの取り付け部を前記吸気ダクト内に配置させ吸気ダクト内を流れる循環風中の一部の水分を固体電解質膜に吸着介在させる水分補給手段としたものである。
【0022】
また、冷却手段の稼動により生成する結露水又は霜を融解したデフロスト水の滞留部を有し、電解セルの取り付け部を前記滞留部近傍に配置し、取り付け部の気中水分を前記固体電解質膜に吸着介在させる水分補給手段としたものである。
【0023】
また、冷却手段の稼動により生成する結露水又は霜を融解したデフロスト水の滞留部とその滞留部の加熱手段とを有し、水電解セルの取り付け部を前記滞留部近傍に配置し、前記滞留部の加熱手段により前記取り付け部の気中水分の濃度制御を行い、前記取り付け部の気中水分を前記固体電解質膜に吸着介在させる水分補給手段としたものである。
【0024】
また、電解セルに印加する直流電圧を酸素過電圧近傍の保持電圧と酸素過電圧以上で必要オゾン量が得られる作用電圧との2段階の印加電圧生成する直流電圧制御手段でオゾン発生量を制御するものである。
【0025】
また、所定の電解セルに印加する直流電圧を、前記電解セルが固有する最大オゾン発生量となる作用電圧で制御する直流電圧制御手段を持つものである。
【0026】
また、電解セルを流れる電流値の検出手段を有し、所定の電流値以下では電解セルに必要オゾン量が得られる作用電圧が印加され、所定の電流値以上では酸素過電圧近傍の保持電圧に印加電圧を低下させる直流電圧制御手段を有するものである。
【0027】
また、断熱箱体の扉の開閉検知手段を有し、前記扉開放時は電解セルに印加する直流電圧を前記電解セルの酸素過電圧近傍の保持電圧に低下させる直流電圧制御手段を有するものである。
【0028】
また、冷蔵庫の稼動電源投入後、所定時間において電解セルへの印加電圧を停止または酸素過電圧近傍の保持電圧とする制御を有する直流電圧制御手段をもつものである。
【0029】
また、電解セルを流れる電流値検出手段により得られた電流値を収納庫内の湿度との相関値を求め、電解セルの電流値を収納庫内の湿度として表示する手段を有するものである。
【0030】
また、電解セルは固体電解質膜の外形寸法に対し、一回り小さいガス拡散電極層の陰極とオゾン選択性触媒面を持つ陽極とを機械的圧着により固定したものである。
【0031】
また、収納庫内が常に0.01以上で0.05ppm以下の常在オゾン濃度になるように電解セルの印加電圧を制御できる直流電圧制御手段を持つものである。
【0032】
また、電解セルの近傍にオゾン発生装置のオゾン発生能力以下のオゾン分解能力を有するオゾン分解手段を設置したものである。
【0033】
また、収納庫内にオゾン濃度検出手段を設置し、所定濃度以下では電解セルに作用電圧を印加し、所定濃度以上では保持電圧となるよう切替スイッチを有し、2段階の印加電圧でオゾン発生量を制御する直流電圧制御手段をもつものである。
【0034】
また、電解セルに印加する直流電圧制御手段の直流電源と並列に、酸素過電圧以下で固体電解質膜内の電荷の逆流を防止できる電圧となる電池をつないだものである。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明は各請求項に記載した構成とすることにより実施できるのであるが、その実施の形態を理解し易いように以下に構成とその構成による作用を併記する。
【0036】
本発明の請求項1に記載の発明は、開閉可能な扉を有する断熱箱体と、前記断熱箱体内に形成された収納庫と冷却風路とを有する冷蔵庫であって、冷蔵庫内を冷却する冷却手段と冷蔵庫内の脱臭と殺菌を行うオゾン発生手段とで構成され、前記オゾン発生手段は直流電圧制御手段と電解セルと水分補給手段とからなり、前記電解セルはオゾン選択性触媒面を持つ陽極とガス拡散電極層を持つ陰極と前記陽極のオゾン選択性触媒面と陰極のガス拡散層とを仕切りオゾン選択性触媒面とガス拡散層とに密着する固体電解質膜とで構成され、前記水補給手段は前記陽極と陰極とを同じ冷蔵庫内気中に開放し陽極と陰極とを通過してくる前記冷蔵庫内気中水分を前記固体電解質膜に吸着介在させるもので、前記電解セルの陽極と陰極に前記直流電圧制御手段により直流電圧を印加し前記固体電解質膜に吸着介在する水分を電気分解してオゾンを発生するもので、水を電気分解してできるオゾンを使用することにより純粋のオゾンでの殺菌と脱臭であり、不純物による食品への影響が無く、気相中の水分を電気分解によりオゾンを生成するのでイオン交換水を必要とせず、陰極にガス拡散電極を使用することにより電極面で水素イオンが水分に変化するので、陰極生成物と陽極生成物とを混合してもまったく問題とならず、隔離構造とする必要も無く両電極面とも同じ空間に配置しても何ら差し支えないもので、シンプルな構成となり、コスト的にも安価に製造できる。また、冷蔵庫内であり、比較的安定した冷蔵された収納庫内の温度と湿度により電解セルで生じるオゾン発生量が安定し、印加電圧の値だけで収納庫内のオゾン濃度を設定可能となる。
また、電解セルに印加する直流電圧を酸素過電圧近傍の保持電圧と酸素過電圧以上で必要オゾン量が得られる作用電圧とを出力する直流電圧制御手段でオゾン発生を制御することで、オゾン発生の間欠運転が可能となり、印加電圧をゼロにすることにより生じる逆電位の影響によるオゾン選択性触媒の寿命低下を抑制することができると共に、酸素過電圧レベルで維持することにより、ほとんど電流が流れないので消費電力を少なくすることができる。
また、電解セルを流れる電流値の検出手段を有し、所定の電流値以下では電解セルに必要オゾン量が得られる作用電圧が印加され、所定の電流値以上では酸素過電圧近傍の保持電圧以下に印加電圧を低下させる直流電圧制御手段を有することで、収納庫内の温度が上昇したり、電解セルが結露したりしてオゾン発生量が多くなりかけると、電流値が同じに大きくなる為にオゾン発生量を抑制することができる。
【0037】
本発明の、請求項2に記載の発明は、収納庫内の空気を冷気循環ファンで吸気ダクトから冷却器を通り排気ダクトから再度収納庫内に戻す冷気循環風を冷却手段とし、水分解セルの取り付け部を前記吸気ダクト内に配置させ吸気ダクト内を流れる循環風中の一部の水分を固体電解質膜に吸着介在させる水分補給手段とすることで、収納庫内を通りぬけ、食品からの気化した水分や扉の開閉で進入した水分で比較的温度が高く絶対湿度が高くなった安定した条件の収納庫内の循環冷気が得られるのでオゾン発生量が安定する。また、比較的高めの濃度のオゾンを含む循環風がまず冷却器表面を流れることにより、冷却器表面の吸着した臭気成分を結露水とオゾンとが反応してできるヒドロキシラジカルにより効果的に最も臭気発生源となりやすい冷却器の脱臭を行うことができる。
【0038】
本発明の請求項3に記載の発明は、冷却手段の稼動により生成する結露水又は霜を融解したデフロスト水の滞留部を有し、電解セルの取り付け部を前記滞留部近傍に配置し、取り付け部の気中水分を前記固体電解質膜に吸着介在させる水分補給手段とすることで、冷却手段の稼動による収納庫内の湿度低下を補い、より収納庫内のオゾン濃度制御の安定化を可能にする。
【0039】
本発明の請求項4に記載の発明は、冷却手段の稼動により生成する結露水又は霜を融解したデフロスト水の滞留部とその滞留部の加熱手段とを有し、水電解セルの取り付け部を前記滞留部近傍に配置し、前記滞留部の加熱手段により前記取り付け部の気中水分の濃度制御を行い、前記取り付け部の気中水分を前記固体電解質膜に吸着介在させる水分補給手段とすることで、収納庫内の気中に含まれる水分量からは得られない量の水分補給が可能となり、必要なオゾン発生量を容易に確保することができる。
【0040】
本発明の請求項5に記載の発明は、所定の電解セルに印加する直流電圧を、前記電解セルが固有する最大オゾン発生量となる作用電圧で制御する直流電圧制御手段を持つことにより、多少の電圧の変動があっても冷蔵庫内のオゾン濃度を一定に制御でき、制御回路が暴走し異常電圧が印加されてもオゾン濃度が所定値以上になることで、人体への悪影響の無いオゾン濃度を常に維持できる。
【0043】
本発明の請求項に記載の発明は、断熱箱体の扉の開閉検知手段を有し、前記扉開放時は電解セルに印加する直流電圧を前記電解セルの酸素過電圧近傍の保持電圧に低下させる直流電圧制御手段を有するもので、開放により外気水分が進入し、電解セルが結露することでオゾン発生量が大きくなることを防止できる。
【0044】
本発明の請求項に記載の発明は、冷蔵庫の稼動電源投入後、所定時間において電解セルへの印加電圧を停止または酸素過電圧近傍の保持電圧とする制御を有する直流電圧制御手段を持つもので、収納庫内が目的とする温度に安定化していない期間はオゾン発生量を抑えることで異常なオゾンの発生を抑制し、また、食品が収納されていない時期でのオゾンの発生を避けることによりオゾンの無駄な発生を避けることができる。
【0045】
本発明の請求項に記載の発明は、電解セルを流れる電流値検出手段により得られた電流値と収納庫内の湿度との相関値を求め、電解セルの検出電流値を収納庫内の湿度に換算し収納庫内の状態を表示する手段を有することで、収納庫内の高湿状態が分かり、冷蔵庫の使用者に安心感を与えることができる。
【0046】
本発明の請求項に記載の発明は、固体電解質膜の外形寸法に対し、一回り小さいガス拡散電極層の陰極とオゾン選択性触媒面を持つ陽極とを機械的圧着により固定したことで、陽極と陰極との短絡を防止すると共に、寸法の違う固体電解質膜とガス拡散電極とをあらかじめ接合する必要が無く、各材料を電解セルの組み立て前に寸法切りして固定するだけで良く、工数が非常に容易となり低価格の電解セルを得ることができる。
【0047】
本発明の請求項10に記載の発明は、収納庫内が常に0.01以上で0.05ppm以下の常在オゾン濃度になるように電解セルの印加電圧を制御できる直流電圧制御手段を有することで、防菌・防黴・脱臭効果を有し、且つ、いやな臭いも感じないで人体への影響もない冷蔵庫を得ることができる。
【0048】
本発明の請求項11に記載の発明は、電解セルの近傍にオゾン発生装置のオゾン発生能力以下のオゾン分解能力を有するオゾン分解手段を設置したことで、オゾン分解触媒の臭気成分の吸着とその表面でのオゾンとの分解反応を促進させることにより脱臭効果を向上させると共に、分解できないオゾンは収納庫内壁面と食品表面の防菌防黴が可能となるものである。
【0049】
本発明の請求項12に記載の発明は、収納庫内にオゾン濃度検出手段を設置し、所定濃度以下では電解セルに作用電圧を印加し、所定濃度以上では保持電圧となるよう切替スイッチを有し、2段階の印加電圧でオゾン発生量を制御する直流電圧制御手段を有することで、より精度良く収納庫内のオゾン制御が可能である。
【0050】
本発明の請求項13に記載の発明は、電解セルに印加する直流電圧制御手段の直流電源と並列に、酸素過電圧以下で固体電解質膜内の電荷の逆流を防止できる電圧となる電池をつないだもので、長期間印加電圧が停止しても電池により逆電流が流れないのでオゾン選択性触媒の劣化を防止できると共に、酸素過電圧以下の電圧でありほとんど連流が流れないので、消費電力量が少なく電池の長寿命化が図れる。
【0051】
以下本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0052】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の概略を示す縦断面図である。
【0053】
冷蔵庫6は、開閉可能な扉7を有する断熱箱体5であり、食品等を収納する収納庫8と冷却風路9とで構成する冷蔵庫内10を形成するものである。
【0054】
その収納庫内8は冷却器1と冷気循環ファン2との冷却手段3で図1の→で示す冷気の流れをつくり冷やされる。すなわち、冷蔵庫内10の冷却風路9は吸気ダクト12と冷気循環ファン2と冷却器1で冷却される冷却室11と排気ダクト13と複数個の吹き出し口14と収納庫内8と吸いこみ口15とから構成され、冷気は冷気循環ファン2により上記冷却風路9を順次循環することにより収納庫内8が冷却される。
【0055】
冷却器1は複数の放熱フィン16にヘアピン状に連なった形態をもつ一本の伝熱管17を勘合することで一体に形成したものである。この伝熱管17の出口の一方はサクションパイプ18として冷蔵庫6の庫外にある機械室19の圧縮機20に連結され、もう一方の吸入パイプ21は、機械室19の圧縮機20から凝縮器22と膨張弁23の順につながる冷媒パイプと結ばれ、冷却システムが構成される。すなわち、冷却システムに冷媒が封入され、圧縮機20が稼動すると封入された冷媒はガス状態で圧縮され高温高圧ガスとなり凝縮器22内に移動する。凝縮器22では外気により高温高圧ガスが冷却され液化し膨張弁23内に液状態で流れ、冷却器1で一気に膨張し気化する。冷媒が気化する時に蒸発熱を周囲から奪い、冷却器1が冷却され冷却室11も冷やされる。気化した冷媒ガスはサクションパイプ18を通り圧縮機20の低圧側に吸い込まれ、再び圧縮機20で圧縮される冷凍サイクルを繰り返す。
【0056】
24は収納庫内8の温度検知手段であり、収納庫内8の温度を検出すると共に設定温度において出力信号を出し、圧縮機20の稼動と停止を操作するものである。すなわち、設定温度を3℃にしておくと、収納庫内8温度が3℃以上では圧縮機20が稼動し、上記で説明した冷媒の冷凍サイクルが開始され、冷却器1の表面温度は−10℃に冷却される。また、冷気循環ファン2で冷却器1により冷やされた冷却室11の空気を吹き出し口14から収納庫内8に吹き出すことにより収納庫内8が冷やされる。ここで、−10℃に冷却された冷却器1の表面には循環冷気に含まれる冷蔵庫6外から進入する湿気や、食品から発生する水分が露点温度以下の冷却器1表面に結露し、さらに冷却器1表面で冷やされ霜や氷の層に成長する。
【0057】
収納庫内8が設定温度の3℃にまで冷やされると温度検知手段24の出力信号により圧縮機20が停止し、冷却器1は冷却されなくなる。しかし、冷気循環ファン2を連続に運転しておくことにより、冷却器1表面についた霜や氷の層が循環風により暖められて融解し、その融解熱を収納庫内8の温度の安定化に利用するとともに、融解した水分により収納庫内8の湿度を高くすることができる。
【0058】
通常、冷却器の表面が−10℃に冷却されていると、その−10℃での絶対湿度が影響し、−5℃に冷却された吹き出し口14の相対湿度は60%となり、さらに、5℃の収納庫内8の湿度は30%となる。
【0059】
しかし、冷気循環ファン2を連続で運転すると冷却器1表面の霜や氷層が融解気化してできる水分が循環風に混入し、収納庫内8の湿度を高めることになり、実施の形態1での冷蔵庫6の収納庫内8温度と湿度を実測した測定結果では、温度は1.5℃から4.5℃で、湿度は35%から85%の範囲でサイクル運転を繰り返した。
【0060】
尚、扉7の開閉を行ったり食品を収納すると過剰な水分が冷蔵庫内10に進入することになる為、冷却器1表面の霜や氷は成長する。氷の成長が冷却器1の表面で進むと断熱層となり、冷却器1の熱交換効率を著しく妨げる。そこで、所定時間毎に霜や氷の層を融かすデフロストサイクルが必要で、冷却器1の下面にはデフロストヒータ25が勘合により一体成形してある。
【0061】
また、26は冷却器1表面に結露した水、またはデフロストサイクルにより融解したデフロスト水が流れ落ちるドレンパンであり、ドレンパン26で貯めた結露水やデフロスト水はドレンパイプ27を通り室外に運び出され蒸発皿28にて自然蒸発される。
【0062】
尚、29はデフロスト水を一時的に滞留させておく為の冷蔵庫6内背面の吸気ダクト12に設けられた滞留部で、常にデフロスト水の一部が貯水されている。
【0063】
オゾン発生手段4は電解セル30と直流電圧制御手段31と水分補給手段32とからなるもので、電解セル30は吸気ダクト12内のデフロスト水滞留部29の水面上部に設置され、オゾン発生手段4で生成するオゾンガスは冷気循環風に混ざって冷却室11の冷却器1表面を流れ収納庫内8に吐出され、再度吸気ダクトに戻る風路を形成し循環する。
【0064】
図2は本発明の実施の形態1におけるオゾン発生手段4を示すブロック図である。
【0065】
電解セル30は多孔質体の陽極33と、陰極34と、その陽極33と陰極34とをゼロギャップで仕切る固体電解質膜35とからなり、冷却器1の風上に位置する吸気ダクト12内のデフロスト水の滞留部29の上部に設置されている。
【0066】
陰極34は水素イオンと酸素ガスと電子とを効率良く水に変換する触媒を有するガス拡散電極36で構成されており、集電体37を介して陰極固定板38より、直流電源39から得られる負の電位を付加される。
【0067】
また、陽極33はオゾン選択性触媒層40を固体電解質膜35との界面に有したもので、陽極固定板41と給電体42を通じ、直流電源39より正の電位を付加される。
【0068】
また、陰極34と陽極33とは固体電解質膜35で仕切られると共に、両側から電極固定板38,41により締め付け、ゼロギャップ構成、すなわち、固体電解質膜35が陽極33と陰極34とに密着してなるものである。
【0069】
集電体37はステンレスの繊維を固めた多孔質材で、給電体39はチタンの繊維を燒結により固めた空隙率60%の多孔質材に白金の表面処理を施したものを用いた。
【0070】
固体電解質膜35は水素イオンの伝達機能があるスルフォン酸基を持つ高分子膜であり、その他のイオンを伝導したり、透過したりすることは比較的少ない。本実施例で使用した水素イオン伝達型膜の固体電解質膜35は、デュポン社からナフィオン膜との商品名で販売されているN117の固体高分子膜である。
【0071】
陽極33は多孔質状の耐食性金属チタンの基体表面にオゾン選択性触媒層40としてβ型の二酸化鉛を電着により形成した。
【0072】
陰極34は通気性を有する多孔性のメッシュ状のものとして、表面に白金超微粒子を担持したカーボン粉末とフッ素樹脂粉末の混合物を適度な撥水生を持たせたカーボン繊維状に塗布し、固体電解質膜と同種で水素イオンを伝達するテフロン薄膜を重ねて圧縮成形して密着させたガス拡散電極36である。集電体37はステンレス多孔質体で、電子を均一に陰極34に伝達する役割を持つ。
【0073】
陽極固定板41と陰極固定板38には複数の空気穴43が形成され、電解セル30取り付け部の空気の取り込みと、電解で生成するガスの放散が円滑に行われる。
【0074】
すなわち、水分補給手段32としては水分を含む冷気循環風の気相中に電解セル30を取り付け、さらに、デフロスト水の気化雰囲気となる滞留部29の上部に電解セル30を設け、かつ、滞留部29には滞留水の加熱を行うヒータ45を装備することで水分補給手段32を強化した。すなわち、陽極33面と陰極34面との両側から、電解セル30の取り付け気相中の水分が固体電解質膜35に円滑に行き来するよう、水分の補給源を確保し、空気穴43をあけ、両電極33,34材に多孔質性の材料を使用することにより構成されたものである。
【0075】
尚、実施の形態1の電解セル30を構成する集電体37,陰極34,陽極33,給電体42の各部材の寸法は10mm角とし、固体電解質膜は陰極と陽極との短絡を防止する為に一回り大きい寸法の14mm角に切断した。各部材は切断後両極固定板38,41の締め付けにより機械的に圧着することでゼロギャップ状態となるものである。なお、ガス拡散電極36のテフロン薄膜面を固体電解質膜35に面するようにセットした。
【0076】
また、直流電源制御手段31は直流電源39と任意のタイミングで印加電圧を制御する制御基盤44とからなる。
【0077】
ここで、本発明の実施の形態1に用いた陽極33のオゾン選択性触媒層40を形成する表面処理工程について説明する。
【0078】
まず、前処理として多孔質状の耐食性金属チタン材の基体を5%の界面活性剤の溶液で超音波洗浄により脱脂し、イオン交換水ですすいだ後、5%の蓚酸溶液の沸騰水に5分間浸漬し表面の酸化層を取り除き、さらに下地処理直前に1規定の硝酸を電解研磨液とし、4A/dm2の条件で陰極側にて電解還元処理をした。
【0079】
上記の前処理後、塩化白金酸を各々0.1モルの濃度に調整した塩酸混合溶液に浸漬し、40℃で15分間の予備乾燥後、520℃で焼き付けた。この焼き付け下地処理を3回繰り返し、約1μmの導電性酸化金属の下地層を設けた。
【0080】
次に下地処理面を4A/dm2で30秒間の電解還元処理を行った後、オゾン発生選択性触媒として二酸化鉛の電気めっき処理を行った。
【0081】
二酸化鉛のめっきは、まず3.5規定の水酸化ナトリウムの飽和酸化鉛溶液をめっき浴とし1.1A/dm2で陽極側にて20分間処理し、数ミクロンのα型の二酸化鉛を形成した。この時の浴温は40℃とした。
【0082】
次に30重量%の硝酸鉛の1規定の硝酸浴で、4A/dm2の条件で40分間、陽極にてオゾン発生選択性触媒であるβ型の二酸化鉛の触媒層を形成した。この時の浴温度は70℃とした。
【0083】
以下、上記で説明した実施の形態1の冷蔵庫6に取り付けたオゾン発生手段4の作用と電解セル30中の化学反応について説明する。
【0084】
まず、冷蔵庫6を商用電源につなぎ稼動すると、上記にて説明した冷却手段3により冷却器1の表面の温度が低下し、冷却室9内が冷却される。冷却された空気は冷気循環ファン2により冷却室11から排気ダクト13と収納庫内8と吸気ダクト12を強制循環することで収納庫内8が冷却される。
【0085】
収納庫内8は温度検知手段24による圧縮機20の運転と停止を繰り返すことで1.5〜4.5℃に温度調節される。冷凍サイクルの運転時には冷却器1表面温度が−10℃と低く、冷却器1の表面で庫外から進入する湿気や食品から発生する水分を結露させ除湿する為に収納庫内8温度は2.5℃で湿度は30%に低下する。また、冷凍サイクル停止時は、循環ファンのみが運転され、冷却器1に付着した霜や氷が循環風によって溶け、その気化する水分により収納庫内8は4.5℃で85%の高湿度を得ることができる。
【0086】
冷却により収納庫内8に収納される野菜や肉類等の食品は比較的腐敗は抑制されるものの、食品についた菌やドア開閉による空中のカビ胞子,落下菌,出し入れ時の手垢菌の付着等で食品や収納庫内8側壁は汚染され、さらに、高湿化が進むと低温と言えども菌やカビを増殖させる。また、冷却器1の表面に一度結露した水を再び加湿に使用すると、結露水に吸着した臭気成分を収納庫内8に発散させることになる為に冷却器1表面の脱臭処理が必要となる。
【0087】
水電解式オゾン発生機構には水分が不可欠となる。冷凍サイクル運転時の収納庫内8の湿度は乾燥しているものの水分量はゼロではなく絶対湿度として約0.001kg/kg以上の水分は含まれている。さらに、冷凍サイクル停止時には0.004kg/kgの絶対湿度となる水分が含まれ、電解セル30を収納庫内8に取り付けるだけでも固体電解質膜35は両電極33,34を通過してきた水分を吸着する。さらに、収納庫内8を通りぬけた循環風が終結する吸気ダクト12内の湿度は冷凍サイクル運転時と停止時での湿度差は少なくなり、さらに、デフロスト水を滞留させた滞留部29の上面は比較的安定した高湿度条件を得ることができる。
【0088】
すなわち、電解セル35を取り付けた場所の湿度条件により固体電解質膜35と陽極33との界面の水分量が変化するが、気相中の水分でも充分電解電流が電解セルに流れ、水の電気分解が行われる。以下、その電解セル30内の水の電気分解反応について説明する。
【0089】
陽極33と固体電解質膜35との界面に水分が介在すると、固体電解質膜35材質のスルフォン酸基の水素イオンが活性化し、陰極34と陽極33との電荷移動が活発化し、導通が良くなる。よって、直流電源39により陽極33に正の電位を、陰極34に負の電位を印加すると陽極33と固体電解質膜35の界面で介在する水分の電気分解反応が開始される。
【0090】
陽極33の表面材質はβ型の二酸化鉛であり、腐食電位が高く反応酸素を含むのでオゾン発生選択性触媒として働く。電極材の溶解は殆ど無く、陽極33の表面においては水分子を酸化し、化1から化4の反応が起こる。反応式の平衡電位より化1と化4が主体となり、陽極33の表面から酸素ガスとオゾンガスが発生する。
【0091】
ここで、白金等のめっき表面であれば、酸素過電圧が低く化1の反応のみでオゾンの生成は少ないが、酸素過電圧が高く、反応酸素を含むβ型の二酸化鉛では、反応酸素が化1の反応式に触媒作用として介在するため化4の反応が積極的に生じることとなり、オゾンの生成が効率良く行われ、生成ガス中のオゾン濃度は高くなる。
【0092】
実施の形態1では陽極33の面積を1cm2、収納庫内8の温度が5℃、湿度を85%の条件では、2Vの直流電圧を印加すると約0.02Aの電流が流れることにより、約0.4mg/hrのオゾン発生量を得た。
【0093】
【化1】
Figure 0004277385
【0094】
【化2】
Figure 0004277385
【0095】
【化3】
Figure 0004277385
【0096】
【化4】
Figure 0004277385
【0097】
電解される水分は収納庫内8の気相中の水分であり、純粋な水であり水素イオンの対イオンは無いため、水分が電気分解され生成する水素イオンは水素イオン伝達型膜である固体電解質膜30を通じて陰極34に移動する。そのため、陽極33では水素イオン濃度の増加は見られず中性を維持することになる。
【0098】
陰極34の固体電解質膜35と接する面の背面から陰極固定板38の空気穴43を通じて吸気ダクト12内を流れる冷気が送り込まれ、陰極34をガス拡散電極36とすることにより、その空気中の酸素と、直流電源39から陰極34に流れてくる電子と、陽極33で生成されて固体電解質膜35を通過してくる水素イオンとの3つの成分が化5の反応を起こすことにより水分子を生成する。生成した水分子は固体電解質膜35に吸着するか、蒸気となって吸気ダクト12に排出される。
【0099】
【化5】
Figure 0004277385
【0100】
また、ガス拡散電極36として陰極34を固体電解質膜35に密着して取り付けることにより、吸気ダクト12内の空気に含まれる酸素と、直流電源のマイナス極より陰極34を経由し運ばれた電子と、固体電解質膜35を通過してくる水素イオンとをカーボン粉末に担持した白金超微粒子の触媒作用でもって円滑に反応させることが可能となるもので、陰極34のガス拡散電極35と固体電解質膜35とを隔離すると水素イオンの移動が不導体のガス層に邪魔されて円滑に行かず、また陰極34に通気性が無いと吸気ダクト12内の空気に接する面から固体電解質膜35への酸素の移動を陰極34自身が遮断するため円滑な3つの成分の反応ができなくなる。
【0101】
以上のように陰極34として多孔質状のガス拡散電極36のような通気性を有する多孔性のメッシュ状のものを用い、固体電解質膜35に密着して取り付けることにより、空気穴43から送り込まれる酸素と、陽極28から固体電解質膜35を通過してくる水素イオンと陰極34を経由して運ばれる電子により水分を生成することは、陰極34の表面からの水素ガスの発生を無くすことができ、水素ガスによる火災や爆発の危険を除去することができる。
【0102】
また陽極33と陰極34には電解液,浄水,イオン交換水,蒸留水,純水等を必要としないので電解水の処理や濃度調整の管理が必要でなく、非常に電解セル30の構造が簡素化でき、部材の費用も削減できる。
【0103】
陽極33では主に化1と化4の反応で生じる酸素とオゾンが生成する。その酸素とオゾンの混合ガスは陽極固定板41の複数の空気穴43から放出し、吸気ダクト12を通じ、冷却室11から収納庫内8に冷気と共に排出される。なお、収納庫内8の酸素濃度は、陰極34のガス拡散電極36で酸素が水分に変化する量と、水分子が陽極33で分解し発生するオゾンと酸素との和が等量であり、収納庫内8の酸素濃度の上昇や低下は無視できるものである。
【0104】
図3は陽極33面積を1cm2とした電解セル35で、各印加電圧値におけるオゾン発生量を測定した結果を示した特性である。
【0105】
図3において、陽極33面から酸素やオゾンを発生する最低の電圧は1.6Vであり、その電圧以上で約2.2Vまでは印加電圧値とオゾン発生量は正比例の関係を持つが、2.2Vをピークにオゾン発生量が少なくなる。この原因はオーム熱により固体電解質膜が加熱され徐々に吸着する水分が少なくなり電流が流れにくくなる為である。
【0106】
放電式のオゾン発生機構に比べ水電解式のオゾン発生機構の優れている点は印加電圧により精度良くオゾン発生量が制御できる点にある。すなわち、食品を収納する収納庫内8に適切なオゾン濃度に制御するには、電解セルへの印加電圧を任意に調整することによりオゾン発生量を精度良くコントロールすることができる。
【0107】
一般的に、オゾンは高濃度において、人体への毒性を持ち、目,鼻,喉の粘膜を刺激し、気管支や肺に障害を与える。現在日本では連続8時間の作業環境としては0.1ppm以下の基準値が決められている。また、高濃度においては冷却室11,吸気ダクト12,収納庫内8の構成部材や、収納した食品を酸化劣化させる恐れもある。よって、収納庫内8の場合にもオゾンが高濃度にならないように管理し制御することは非常に重要である。
【0108】
そこで、印加電圧を設定し所定のオゾン濃度を出すことができる電解式オゾン機構は有利であるが、印加電圧の少しの変化でオゾン濃度が変化する可能性を残す。図4は電極面積を変化させた時の各印加電圧におけるオゾンの発生量を測定した結果をプロットした特性図である。この結果より所定の容積を持つ収納庫内のオゾン濃度を設定するとき、陽極33の面積を変化させることで必要オゾン濃度を得ることができる。すなわち、オゾン発生量ピーク値の電圧を利用すれば多少の印加電圧の変化があってもオゾン濃度への影響は少なくてすむ。
【0109】
そこで、本実施の形態1では300Lの容積をもつ収納庫内のオゾン濃度が最大値として0.05ppmになるように、10mm角の陽極33面積の電解セル30吸引ダクト12の滞留部上面に取り付け、2.2Vの印加電圧を直流電源39より加えた。その結果、温度が4.5℃で湿度が85%の条件において約0.05ppmの濃度が得られた。但し、冷凍サイクル運転が開始すると、1.5℃で30%の湿度となる為に、オゾン濃度は0.03ppmに減少するが、比較的安定したオゾン濃度を得ることができた。
【0110】
収納庫内8の湿度変化に対してオゾン濃度の変動が少ないのは、電解セル30の取り付け位置をデフロスト水滞留部29上部に配置し、ヒータ45によりデフロスト水を常に10℃に加温しておくことにより、電解セル30取り付け付近の湿度を一定にすることができた為である。
【0111】
尚、200Lの収納庫内8を持つ冷蔵庫6では9mm角の電極面積を持つ電解セル30を使用し、印加電圧を2.2Vに設定することで最大値0.05ppmのオゾン濃度を得ることができる。
【0112】
本実施の形態1のように0.05ppm以下で濃度を保つことができれば、構成部材や食品に何ら影響を与えず、また、ほとんどオゾンの臭いも感じず、人体への影響も全く問題とならない。また、冷却器1表面と収納庫内8壁面、又は食品に付着した水と介在し、酸化力の強いヒドロキシラジカルが生成し、低濃度でありながら落下菌等の増殖抑制効果を持ち、酸化力に強い芽胞菌や胞子を有するカビ類も成長時の弱い形態時において殺菌や不活化をさせることができる。
【0113】
図5は大腸菌を数枚のTSA培地のシャーレに塗布し、0.05ppmの雰囲気の冷蔵庫内に静置し、各時間毎に取り出し37℃で1日培養後、コロニー数を数え、コロニー数の時間変化をプロットした特性図である。24時間でほとんどの大腸菌か不活化したことを示す。
【0114】
尚、本実施の形態1ではデフロスト水の滞留部29を設け、さらに滞留部29には加熱用ヒータ45を使用したが、収納庫内8の湿度が不安定であり、オゾン発生量を安定化させるために用いたが、低温で乾燥条件の収納庫内8条件であっても、陽極33面積を大きくすることで必要量のオゾンを得ることは可能であり、また、収納庫内8湿度の安定した壁面冷却による冷蔵庫6であれば収納庫内8に電解セル30を取り付けても支障は無い。又、収納庫内8湿度にあわせてオゾン濃度が変動しても上限値が0.03ppm以上を維持すれば、間欠運転であっても殺菌効果は維持される。なお、上限はオゾン臭気をあまり感じない閾値以下で人体への影響が無い、0.06ppm以下に制御するのが最適である。
【0115】
また、本実施の形態1では、陽極33のオゾン選択性触媒層40としてβ型の二酸化鉛を使用したが、オゾン発生効率が落ちるものの、酸化すず,酸化マンガン,フェライト,等の金属酸化物があり、また導電性ダイヤモンドもオゾン選択性触媒として利用できる。
【0116】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2における冷蔵庫の縦断面図で、図7は電解セルと電解セルに印加する直流電圧の制御を行う直流電源制御手段との関連を示すブロック図である。
【0117】
以下、図6と図7により電解式オゾン発生手段4と各種検知手段による冷蔵庫6の制御方法を主体に説明するが、実施の形態1と同じ構成部分については同一符号を付与し、陽極33の表面処理工程等の詳細な説明は省略する。
【0118】
46は必要なオゾン濃度が得られる作用電圧と、電極面を保護するために必要な最小の保持電圧との2段階で電圧が切替可能な直流電源47の切替を所定のタイミングで行う制御基盤48とからなる直流電源制御手段である。
【0119】
49は電解セル30と直列に1オームの抵抗50を連結し、抵抗の電圧を常時確認することにより電解セル30を流れる電流値を検知する相関電流電位計51により電解電流値検出手段である。
【0120】
52は冷蔵庫6の扉7の開閉を検知するマイクロスイッチからなる扉開閉検知手段で、54は収納庫内8の湿度を電解セル30に流れる電流値を相関電流電位計51から換算し、収納庫内8の湿度状態を庫外に表示した表示手段である。
【0121】
また、冷蔵庫6の電源プラグ55をコンセントに挿入する電源投入を検知する通電検知手段56を有し、遅延タイマーを作動させ電解セル30への電圧の印加は遅延タイマー終了後に行われる様にした。
【0122】
57は電解セル30の循環風路の風下に取り付けたオゾン分解触媒であり、電解セル30から放出するオゾンの一部を分解するもので、0.03ppmの低濃度の余剰オゾンは循環風路を流れるようにしたものである。
【0123】
58は収納庫内8のオゾン濃度を常に検知するオゾンセンサーによるオゾン濃度検知手段である。
【0124】
59は直流電源と並列に連結し電解セルに約1Vの電圧を付加する乾電池であり、逆流を防止する為にダイオード60が組み込まれている。
【0125】
以下、上記で説明した実施の形態2の作用について図8のフローチャートを参考に、冷蔵庫通常運転動作と直流電源電圧切り替え時の動作について説明する。
【0126】
まず、電解プラグ55をコンセントに挿入し冷蔵庫6の運転を開始する。冷蔵庫本体の圧縮機20と冷気循環ファン2が運転を開始し、実施の形態1で説明した冷凍サイクルが稼動し、収納庫内8に冷却される。冷蔵庫内10の温度検知手段24により圧縮機20が稼動と停止を繰り返し、収納庫内8の温度を一定に保つ。
【0127】
また、電源投入を検知する通電検知手段56により制御基盤48内にある遅延タイマーが働き、電解セル30への印加を数時間遅延させる。電源投入間無しの冷蔵庫は充分冷却されておらず、そのまま電解をはじめると一気に大電流が流れる可能性があり、大量のオゾンを生成し危険である。また、収納庫内に収納品が入っていない状態でオゾンを発生させると、オゾンの臭気が強く感じ不快感を与える為に、電源投入時には遅延タイマーでオゾンの発生は遅らすことにした。本実施の形態2では遅延時間は24時間とした。
【0128】
タイマーで設定した遅延時間を過ぎると電解セル30に保持電圧を印加した。保持電圧とは水の電気分解を開始する電圧であり、酸素過電圧付近とした。オゾン発生量と印加電圧との関係は図3と図4に示したが、酸素過電圧は電極の面積や雰囲気温度や湿度においても一定で、約1.6Vとなり、保持電圧は1.6Vの電圧とした。これは水の分解での酸素が発生する為の必要電圧で、それ以下の電圧では酸素もオゾンも発生せず、電流もほとんど流れない。
【0129】
次に、扉7を開放すると収納庫内8の温度が上昇し、外気の湿度が進入することで、実施の形態1で説明したように、同じ電圧でも固体電解質膜35の給水した水分が多くなるので電流が多く流れオゾンが多く生成される危険性がある。
【0130】
そこで扉7を開放時には保持電圧となるように扉開放検知手段52が働くと直流電源制御手段46に信号をだし、直流電源47を保持電圧になるように切り替えた。
【0131】
また、収納庫内8のオゾン濃度がより精度良くコントロールする為にオゾンセンサーによる濃度検知を行い、収納庫内8のオゾン濃度が0.03ppm以上になるとオゾン濃度検出手段58より信号を直流電源制御手段46に出し保持電圧になるように設定した。また、オゾン濃度が0.03ppm以下になると、再度、オゾン濃度検出手段58より信号を直流電源制御手段46に出し作用電圧に戻した。実施の形態2での作用電圧は2.2Vにした。
【0132】
また、電解セル30に流れる電解電流値を知る為に、既知の抵抗を電解セルと直列につなぎ抵抗の電圧を検知することで、電解電流値を検知し、異常電流が流れると信号を直流電源制御手段46に出し保持電圧になるように制御した。これは安全対策の一つであり、扉7が半開き状態で放置され、庫内の温度と湿度が上がりオゾン濃度が異常に高くなるのを防止するものである。
【0133】
オゾン発生効率が最も高いオゾン選択性触媒として二酸化鉛が主に使用されるが、このオゾン選択性触媒層40の欠点は印加電圧を停止すると電極表面に水素イオンが逆流し電極の活性を低下させ、さらには鉛イオンと化してしまう点である。鉛イオンが生成すると、再度電解時には鉛イオンが固体電解質膜35に進入し、固体電解質膜35に導電性を持たせ、本来の機能である水素イオンを伝達する効率を著しく妨害する。
【0134】
この逆流電流の悪影響を避ける為には常に1.6V以上の電圧を印加しておくことが必要である。常に1.6V以上の電圧を印加することにより逆電流は防止でき、電極寿命は非常に優れた性能を発揮する。しかし、一旦電源が停止すると短時間において劣化の傾向を示すため、印加電圧の停止はできるだけ避ける必要がある。冷蔵庫の場合、電源の停止は非常にまれではあるが、停電や長期不在時には停止させることも少なからずあり、その対策が必要となる。実施の形態2ではその対策のために酸素過電圧以下の電圧で0.7V以上の電池電圧を電解セル30に印加することで対応した。この電圧値であればほとんど電流が流れず、市販のアルカリ乾電池一本でも数年間の電極面の保護が可能である。但し、0.7から1.5V範囲での印加電圧では、鉛イオンまでの生成を抑制させることはできるものの、オゾン選択性触媒として優秀なβ型の二酸化鉛をα型の二酸化鉛に変質防止することはできず一次的にオゾン発生量は低下する。但し、電源を投入してから時間を置けば、再びβ型の結晶構造に戻るので実用上の問題は無い。
【0135】
よって、直流電源47と並列に電池を介在させておくことにより、固体電解質膜35への鉛イオンの進入を防止でき、長期間の停止も可能となる。1Vの電圧を印加しておくことで流れる電流値は0.1mA以下であり、市販のアルカリ乾電池一本で数年の対応ができる。
【0136】
また、実施の形態2では電解セル30に流れる電流値を湿度との相関値として捉え、庫内が高湿状態であるか無いかを緑と黄色と赤のランプを扉7に取り付け表示手段54を設けた。図9に5℃における相対湿度と電解セルへ2.2Vの印加電圧を加えた時の電解電流値との関係をプロットした特性図を示す。すなわち、2.2Vの一定電圧を印可しておくと、5℃での電流値はその時の収納庫内の湿度に相関をもつ。本実施の形態2では60%以上の湿度のときには緑のランプで、60%以下では黄色から赤に変化することで冷蔵庫の収納庫内8の湿度が一目でわかるようにした。
【0137】
また、オゾン発生手段4の電解セル30表面から生成するオゾンは、その取り付け部付近を流れる循環風に混合され冷却器1の方向に流れる、風下にはオゾン分解触媒57が形成されており、生成された一部のオゾンはオゾン分解触媒57により分解され、オゾン分解触媒57に吸着している臭気成分を効率よく分解し脱臭の効果を向上させることができる。
【0138】
なお、実施の形態2においては、2段階の電圧を切りかえることのできる直流電源47と、通電検知手段56と、電流値検出手段49と、オゾン濃度検出手段58と、扉開閉検知手段52とを同じ冷蔵庫6に搭載したものを示したが、各検知手段は個々に応用できるもので一括に使用する必要は無い。
【0139】
【発明の効果】
以上のように本発明は、開閉可能な扉を有する断熱箱体と、前記断熱箱体内に形成された収納庫と冷却風路とを有する冷蔵庫であって、冷蔵庫内を冷却する冷却手段と冷蔵庫内の脱臭と殺菌を行うオゾン発生手段とで構成され、前記オゾン発生手段は直流電圧制御手段と電解セルと水分補給手段とからなり、前記電極セルはオゾン選択性触媒面を持つ陽極とガス拡散電極層を持つ陰極と前記陽極のオゾン選択性触媒面と陰極のガス拡散層とをゼロギャップで仕切りオゾン選択性触媒面とガス拡散層とに密着する固体電解質膜とで構成され、前記水補給手段は前記陽極と陰極とを同じ冷蔵庫内気中に開放し陽極と陰極とを通過してくる前記冷蔵庫内気中水分を前記固体電解質膜に吸着介在させるもので、前記電解セルの陽極と陰極に前記直流電圧制御手段により直流電圧を印加し前記固体電解質膜に吸着介在する水分を電気分解してオゾンを発生するもので、水を電気分解してできるオゾンを使用することにより純粋のオゾンでの殺菌と脱臭であり、不純物による食品への影響が無く、気相中の水分を電気分解によりオゾンを生成するのでイオン交換水を必要とせず、陰極にガス拡散電極を使用することにより電極面で水素イオンが水分に変化するので、陰極生成物と陽極生成物とを混合してもまったく問題とならず、隔離構造とする必要も無く両電極面とも同じ空間に配置しても何ら差し支えないもので、シンプルな構成となり、コスト的にも安価に製造できる。また、冷蔵庫内であり、比較的安定した冷蔵された収納庫内の温度と湿度により電解セルで生じるオゾン発生量が安定し、印加電圧の値だけで収納庫内のオゾン濃度を設定可能となる。
【0140】
また、収納庫内の空気を冷気循環ファンで吸気ダクトから冷却器を通り排気ダクトから再度収納庫内に戻す冷気循環風を冷却手段とし、水電解セルの取り付け部を前記吸気ダクト内に配置させ吸気ダクト内を流れる循環風中の一部の水分を固体電解質膜に吸着介在させる水分補給手段とすることで、収納庫内を通りぬけ、食品からの気化した水分や扉の開閉で進入した水分で比較的温度が高く絶対湿度が高くなった安定した条件の収納庫内の循環冷気が得られるのでオゾン発生量が安定する。また、比較的高めの濃度のオゾンを含む循環風がまず冷却器表面を流れることにより、冷却器表面の吸着した臭気成分を結露水とオゾンとが反応してできるヒドロキシラジカルにより効果的に最も臭気発生源となりやすい冷却器の脱臭を行うことができる。
【0141】
また、冷却手段の稼動により生成する結露水又は霜を融解したデフロスト水の滞留部を有し、電解セルの取り付け部を前記滞留部近傍に配置し、取り付け部の気中水分を前記固体電解質膜に吸着介在させる水分補給手段とすることで、冷却手段の稼動による収納庫内の湿度低下を補い、より収納庫内のオゾン濃度制御の安定化を可能にする。
【0142】
また、冷却手段の稼動により生成する結露水又は霜を融解したデフロスト水の滞留部とその滞留部の加熱手段とを有し、水電解セルの取り付け部を前記滞留部近傍に配置し、前記滞留部の加熱手段により前記取り付け部の気中水分の濃度制御を行い、前記取り付け部の気中水分を前記固体電解質膜に吸着介在させる水分補給手段とすることで、収納庫内の気中に含まれる水分量からは得られない量の水分補給が可能となり、必要なオゾン発生量を容易に確保することができる。
【0143】
また、所定の電解セルに印加する直流電圧を、前記電解セルが固有する最大オゾン発生量となる作用電圧で制御する直流電圧制御手段を持つことにより、多少の電圧の変動があっても冷蔵庫内のオゾン濃度を一定に制御でき、制御回路が暴走し異常電圧が印加されてもオゾン濃度が所定値以上になることで、人体への悪影響の無いオゾン濃度を常に維持できる。
【0144】
また、電解セルに印加する直流電圧を酸素過電圧近傍の保持電圧と酸素過電圧以上で必要オゾン量が得られる作用電圧との2段階の印加電圧を出力する直流電圧制御手段でオゾン発生を制御することで、オゾン発生の間欠運転が可能となり、印加電圧をゼロにすることにより生じる逆電位の影響によるオゾン選択性触媒の寿命低下を抑制することができると共に、酸素過電圧レベルで維持することにより、ほとんど電流が流れないので消費電力を少なくすることができる。
【0145】
また、電解セルを流れる電流値の検出手段を有し、所定の電流値以下では電解セルに必要オゾン量が得られる作用電圧が印加され、所定の電流値以上では酸素過電圧近傍の保持電圧に印加電圧を低下させる直流電圧制御手段を有することで、収納庫内の温度が上昇したり、電解セルが結露したりしてオゾン発生量が多くなりかけると、電流値が同じに大きくなる為にオゾン発生量を抑制することができる。
【0146】
また、断熱箱体の扉の開閉検知手段を有し、前記扉開放時は電解セルに印加する直流電圧を前記電解セルの酸素過電圧近傍の保持電圧に低下させる直流電圧制御手段を有するもので、開放により外気水分が進入し、電解セルが結露することでオゾン発生量が大きくなることを防止できる。
【0147】
また、冷蔵庫の稼動電源投入後、所定時間において電解セルへの印加電圧を停止または酸素過電圧近傍の保持電圧とする制御を有する直流電圧制御手段を持つもので、収納庫内が目的とする温度に安定化していない期間はオゾン発生量を抑えることで異常なオゾンの発生を抑制し、また、食品が収納されていない時期でのオゾンの発生を避けることによりオゾンの無駄な発生を避けることができる。
【0148】
また、電解セルを流れる電流値検出手段により得られた電流値と収納庫内の湿度との相関値を求め、電解セルの検出電流値を収納庫内の湿度に換算し収納庫内の状態を表示する手段を有することで、収納庫内の高湿状態が分かり、冷蔵庫の使用者に安心感を与えることができる。
【0149】
また、固体電解質膜の外形寸法に対し、一回り小さいガス拡散電極層の陰極とオゾン選択性触媒面を持つ陽極とを機械的圧着により固定したことで、陽極と陰極との短絡を防止すると共に、寸法の違う固体電解質膜とガス拡散電極とをあらかじめ接合する必要が無く、各材料を電解セルの組み立て前に寸法切りして固定するだけで良く、工数が非常に容易となり低価格の電解セルを得ることができる。
【0150】
また、収納庫内が常に0.01以上で0.05ppm以下の常在オゾン濃度になるように電解セルの印加電圧を制御できる直流電圧制御手段を有することで、防菌・防黴・脱臭効果を有し、且つ、いやな臭いも感じないで人体への影響もない冷蔵庫を得ることができる。
【0151】
また、電解セルの近傍にオゾン発生装置のオゾン発生能力以下のオゾン分解能力を有するオゾン分解手段を設置したことで、オゾン分解触媒の臭気成分の吸着とその表面でのオゾンとの分解反応を促進させることにより脱臭効果を向上させると共に、分解できないオゾンは収納庫内壁面と食品表面の防菌防黴が可能となるものである。
【0152】
また、収納庫内にオゾン濃度検出手段を設置し、所定濃度以下では電解セルに作用電圧を印加し、所定濃度以上では保持電圧となるように切替スイッチを有し、2段階の印加電圧でオゾン発生量を制御する直流電圧制御手段を有することで、より精度良く収納庫内のオゾン制御が可能である。
【0153】
また、電解セルに印加する直流電圧制御手段の直流電源と並列に、酸素過電圧以下で固体電解質膜内の電荷の逆流を防止できる電圧となる電池をつないだもので、長期間印加電圧が停止しても電池により逆電流が流れないのでオゾン選択性触媒の劣化を防止できると共に、酸素過電流以下の電圧でありほとんど電流が流れないので、消費電力量が少なく電池の長寿命化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の概略を示す縦断面図
【図2】本発明の実施の形態1における電解セルと電解セルに印加する直流電圧の制御を行う直流電源制御手段との関連を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1における陽極面積を1cm2とした電解セルで、各印加電圧値におけるオゾン発生量を測定した結果を示す特性図
【図4】本発明の実施の形態1における陽極面積を変化させ電解セルで、各印加電圧値におけるオゾン発生量を測定した結果を示す特性図
【図5】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の収納庫内における殺菌効力を示す特性図
【図6】本発明の実施の形態2における冷蔵庫の概略を示す縦断面図
【図7】本発明の実施の形態2におけるオゾン発生手段のブロック図
【図8】本発明の実施の形態2における基本動作を示すフローチャート
【図9】本発明の実施の形態2における収納庫内相対湿度と電解電流値との相関を示す特性図
【符号の説明】
1 冷却器
2 ファン
3 冷却手段
4 オゾン発生手段
6 冷蔵庫
7 扉
8 収納庫内
10 冷蔵庫内
11 冷却室
12 吸気ダクト
13 排気ダクト
29 滞留部
30 電解セル
31,46 直流電圧制御手段
32 水分補給手段
33 陽極
34 陰極
35 固体電解質膜
36 ガス拡散電極
39,47 直流電源
40 オゾン選択性触媒層
44,48 制御基盤
45 加熱手段
49 電流値検出手段
51 開閉検知手段
54 表示手段
57 オゾン分解触媒
58 オゾン濃度検出手段
59 電池

Claims (13)

  1. 開閉可能な扉を有する断熱箱体と、前記断熱箱体内に形成された収納庫と冷却風路とを有する冷蔵庫であって、前記冷蔵庫内を冷却する冷却手段と、前記冷蔵庫内の脱臭と殺菌を行うオゾン発生手段とで構成され、前記オゾン発生手段は直流電圧制御手段と電解セルと水分補給手段とからなり、前記電解セルはオゾン選択性触媒面を持つ陽極とガス拡散電極層を持つ陰極と前記陽極のオゾン選択性触媒面と陰極のガス拡散層とを仕切り前記オゾン選択性触媒面とガス拡散層とに密着する固体電解質膜とで構成され、前記水補給手段は前記陽極と陰極とを同じ冷蔵庫内気中に開放し陽極と陰極とを通過してくる前記冷蔵庫内気中水分を前記固体電解質膜に吸着介在させるもので、前記電解セルの陽極と陰極に前記直流電圧制御手段により直流電圧を印加し前記固体電解質膜に吸着介在する水分を電気分解してオゾンを発生し、前記電解セルに印加する直流電圧を酸素過電圧近傍の保持電圧と酸素過電圧以上で必要オゾン発生量が得られる作用電圧とを生成する前記直流電圧制御手段でオゾン発生量を制御するとともに、前記電解セルを流れる電流値の検出手段を有し、所定の電流値以上では酸素過電圧近傍の保持電圧以下に印加電圧を低下させる直流電圧制御手段を有する冷蔵庫。
  2. 収納庫内の空気を冷気循環ファンで吸気ダクトから冷却器を通り排気ダクトから再度収納庫内に戻す冷気循環風を冷却手段とし、電解セルを前記吸気ダクト内に配置させ吸気ダクト内を流れる循環風気中の水分を固体電解質膜に吸着介在させる水分補給手段としたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
  3. 冷却手段の稼動により生成する結露水又は霜を融解したデフロスト水の滞留部を有し、電解セルを前記滞留部近傍に配置し、滞留部近傍の気中水分を前記固体電解質膜に吸着介在させる水分補給手段としたことを特徴とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。
  4. 冷却手段の稼動により生成する結露水又は霜を融解したデフロスト水の滞留部とその滞留部の加熱手段とを有し、電解セルを前記滞留部近傍に配置し、前記加熱手段により滞留部を加熱し、前記滞留部近傍の気中水分を固体電解質膜に吸着介在させる水分補給手段としたことを特徴とする請求項1から3のいずれか項に記載の冷蔵庫。
  5. 電解セルに印加する直流電圧を、前記電解セルが固有するオゾン発生量ピーク値電圧の近傍で制御する直流電圧制御手段を特徴とする請求項1から4のいずれか項に記載の冷蔵庫。
  6. 電解セルを流れる電流値検出手段により得られた電流値と冷蔵庫内の湿度との相関値を求め、電解セルの電流値から冷蔵庫内の湿度に計数化し表示する表示手段を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  7. 断熱箱体の扉の開閉検知手段を有し、前記扉開放時は電解セルに印加する直流電圧を前記電解セルの酸素過電圧近傍の保持電圧に低下させる直流電圧制御手段を有する請求項1から6のいずれか項に記載の冷蔵庫。
  8. 冷蔵庫の稼動電源投入後、所定時間において電解セルへの印加電圧を酸素過電圧近傍の保持電圧とする制御を有する直流電圧制御手段を特徴とする請求項1から7のいずれか項に記載の冷蔵庫。
  9. ガス拡散電極層を持つ陰極と、同一寸法のオゾン選択性触媒面を持つ陽極と、前記陰極と陽極の外形寸法に対し一回り大きい外形寸法とした固体電解質膜とを機械的圧着により固定した電解セルを特徴とする請求項1から8のいずれか項に記載の冷蔵庫。
  10. 冷蔵庫内の上限オゾン濃度が0.03ppm以上で0.06ppm以下になるように電解セルの印加電圧を制御できる直流電圧制御手段を特徴とする請求項1から9のいずれか項に記載の冷蔵庫。
  11. 電解セルの循環風風下にオゾン分解触媒を設置したことを特徴とする請求項1から10のいずれか項に記載の冷蔵庫。
  12. 冷蔵庫内にオゾン濃度検出手段を設置し、所定オゾン濃度以下では電解セルに必要以上のオゾン濃度が得られる作用電圧を印加し、所定濃度以上では酸素過電圧近傍の保持電圧となる切替手段を有し、2段階の印加電圧でオゾン発生量を制御する直流電圧制御手段を特徴とする請求項1から11のいずれか項に記載の冷蔵庫。
  13. 電解セルに印加する直流電圧制御手段の直流電源と並列に、酸素過電圧以下で固体電解質膜内の電荷の逆流を防止できる電圧となる電池をつないだことを特徴とする請求項1から12のいずれか項に記載の冷蔵庫。
JP28133399A 1999-10-01 1999-10-01 冷蔵庫 Expired - Fee Related JP4277385B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28133399A JP4277385B2 (ja) 1999-10-01 1999-10-01 冷蔵庫

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28133399A JP4277385B2 (ja) 1999-10-01 1999-10-01 冷蔵庫

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001108356A JP2001108356A (ja) 2001-04-20
JP4277385B2 true JP4277385B2 (ja) 2009-06-10

Family

ID=17637655

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28133399A Expired - Fee Related JP4277385B2 (ja) 1999-10-01 1999-10-01 冷蔵庫

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4277385B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101636917B1 (ko) * 2015-07-06 2016-07-11 김형진 저온 저장고의 살균 장치

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103512297B (zh) 2012-06-29 2017-04-26 东芝生活电器株式会社 冰箱以及减氧装置
JP6071292B2 (ja) * 2012-07-17 2017-02-01 東芝ライフスタイル株式会社 冷蔵庫
JP2014173744A (ja) * 2013-03-06 2014-09-22 Panasonic Corp 冷蔵庫
CN103423945A (zh) * 2013-09-05 2013-12-04 合肥美的电冰箱有限公司 冰箱
CN106390696A (zh) * 2016-11-30 2017-02-15 福州品行科技发展有限公司 一种冰箱吸潮除臭装置及采用该装置的冰箱
JP7349866B2 (ja) * 2019-09-30 2023-09-25 シャープ株式会社 冷蔵庫
CN113915831B (zh) * 2021-06-28 2023-07-07 海信冰箱有限公司 一种冰箱和冰箱净化控制方法
CN117847911A (zh) * 2022-09-30 2024-04-09 青岛海尔电冰箱有限公司 冷藏冷冻装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101636917B1 (ko) * 2015-07-06 2016-07-11 김형진 저온 저장고의 살균 장치

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001108356A (ja) 2001-04-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2525523C (en) Ion generator and air conditioning apparatus
US8152973B2 (en) Cleaning device for heat exchanger
JP4277385B2 (ja) 冷蔵庫
KR20080012142A (ko) 공기 조화 장치
JP6254759B2 (ja) 消臭除菌装置
JP2000220949A (ja) 冷蔵庫
JP2009085576A (ja) 空気調和機
US20180339080A1 (en) Cooling apparatus for killing fungi on dew condensation part by means of hydrogen generated by electrolyzing water condensed at dew condensation part of cooling apparatus
JP2006266539A (ja) 冷蔵庫
JP2006234204A (ja) 空気調和装置
JP3477950B2 (ja) 冷凍・空調装置
JP2002349913A (ja) 加湿器
JP4401695B2 (ja) 加湿装置
EP2072940A1 (en) Cleaning device for heat exchanger
CN210663515U (zh) 一种带有新风系统装置的冰箱
JP2008020134A (ja) 空気調和装置
JP2008232552A (ja) 空気調和装置の室外ユニット
JP4538887B2 (ja) 電解式オゾン発生装置
JP2002080984A (ja) 電解式オゾン発生装置
JP2000265290A (ja) 水電解装置
JP2009014250A (ja) 空気調和装置、空気除菌装置、空気調和装置の制御方法および制御プログラム
JPH07204653A (ja) 噴霧用殺菌水及び噴霧用殺菌水を用いた殺菌方法
CN113915911B (zh) 一种冰箱和冰箱加湿方法
JPH09187164A (ja) 貯蔵庫
JPH07301482A (ja) 冷凍・空調装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061002

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20061114

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20080425

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080619

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080701

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080829

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090217

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090302

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120319

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120319

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees