JP4277199B2 - 損傷を最小にする総合的なひざの関節形成術方法と器具 - Google Patents

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Description

本発明は、損傷を最小にする総合的なひざの関節形成術方法と器具に関する。
従来、ひざの外科手術を行う際には、柔らかな組織を切断したり、もしくは損傷させたり、破壊させることを最小にすることが求められている。しかしながら、総合的なひざの関節形成術(total knee arthroplasty: TKA)を行う場合には、脛骨の基部側の端部側と、大腿骨の端部側でかなりの切除を行っている。このため、このような脛骨や大腿骨を切除する手術を行う場合には、筋肉や腱、靭帯等を含む柔らかな組織をかなり切断することを必要としていた。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、上記柔らかな組織を切断したり、もしくは損傷させたり、破壊させることをより一層最小にさせるように、総合的なひざの関節形成術を行えるようにした器具及び方法を提供することで、患者の回復時間を一層早めるようにすることを目的とする。
従って、本発明は、筋肉や腱、靭帯等のような柔らかな組織を切断したり、損傷させる量を最小にするように、総合的なひざの関節形成術を行えるようにした新規な器具を提供することを目的とするものである。
さらに、本発明は、このような器具を用いて、総合的なひざの関節形成術を行えるようにした新規な方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、切除された端部を有する大腿骨に用いる、大腿部の前方−後方の寸法測定用のガイド部であって、
(a)前記切除された端部付近の後方または前方の前記大腿骨の部位を置くことができるように表面を有するベース部を備え、
(b)前記ベース部から上方に延びるように支持部材を備え、この際、前記支持部材は前記ベース部から離れる方向で上方に延びるように細長いスロットを有し、
(c)前記スロット内に移動可能なように取付けられるスライド移動自在の部材を備え、
(d)前記ベースの表面に向ったり、離れるように、前記スライド移動自在の部材とともに移動可能なようにスタイラスを備え、この際、前記スタイラスは前記ベースの表面と実質的に平行となるように大腿部との係合面を有することを特徴とする寸法測定用のガイド部を提供する。
また、本発明は、複数の互いに関連した部品からなる器具を構成するが、これら部品には、切除用の鋸歯(刃)の移動経路を制御するためのガイド面とスロットと、ガイド面を適切に位置決めさせる調整手段と、さらに、例えば、切除作業を行う際に、この付近の切除用の鋸歯の移動経路から靭帯のような柔らかな組織の特別な部位を遠ざけるように移動させたり、または切除作業中に特定の箇所を越えて切除用の鋸歯が移動するのを防ぐ、保護用の部品を含むことができる。本発明における重要な特徴は、従来技術で以前に行われていた切除作業と比較して、脛骨の基部側の端部と大腿骨の端部の双方とも内方または側方のいずれかで行うことができる点にある。
内反側のひざの場合には、脛骨の接続線に対して膝蓋骨の上方ポールから曲線の内方に切断を行う。関節切開は、皮膚の切断と合わせて行われる。横方向の切断は、内側広筋(vastus medial)から約2cm下方で行われて、露出を容易にする。手術のアプローチによっては、経験からこの広がりをより少なくするようにしてもよい。一方、外反側のひざの場合には、脛骨の接続線に対して端部側に延びるように膝蓋骨の側方上に垂直に切断を行ってもよい。関節切開は垂直方向に行われ、前方から後方に、脛骨の平坦な接続線から腸脛靭帯(iliotibial band)を剥がすようにする。好ましくは、全てのひざに対して内方のアプローチを行うが、側方の切断を行う場合もある。
以下、本発明に係る好適な実施形態について、添付した図を参照して説明する。
図1〜3を参照すると、符合10を用いて、脛骨の切除用のガイド部(tibial resection guide)を示しており、図の破線で示した脛骨Tの基部側の端部に使用されたときの図を示している。尚、参照上、図示した脛骨Tの領域において、符合T-1は側方の皮質、符合T-2は前方の皮質、符合T-3は内側の皮質、符合T-4は前方内側の皮質を示している。また、図1の破線に示された部位において、符合L-1は内側の側枝の靭帯、符合L-2は側方の側枝の靭帯、符合L-3は膝蓋骨Pに取付けられた膝蓋骨の腱を示している。図2では、膝蓋骨の腱L-3に沿って、大腿骨Fと膝蓋骨Pを破線で示している。
脛骨切除用のガイド部10は、脛骨Tを切除するために、適切に位置決めされるとき、脛骨Tの基部側の端部領域に位置決めできるように、平らな基部側の表面11(図2から眺めると、上面)を有しており、またここから離間して平らな底面12を有している。また、脛骨切除用のガイド部材10は、基部側の表面11と底面12の間に脛骨Tとの係合用の壁部120を有している。この係合壁部120は、係合を行えるようにするために曲線状に設けられており、内側の皮質T-3と前方内側の皮質T-4の領域内で脛骨Tの表面の周囲を幾分覆うように設けられており、また脛骨Tの前方側の中心部位に向かって延びている。図1に示すように、この係合壁部には、第一平面区間120A、第二平面区間120B及び第一平面区間120Aと第二平面区間120Bの間に湾曲区間120Cを有している。さらに、脛骨切除用のガイド部10は、この壁部120から離間して、反対側にも壁部121を有している。
係合壁部120の第一平面区間120Aと、反対側の壁部121の間には端部側に壁部13を延在させており、この端部側は内側の皮質T-3の近くに配置されるように意図されている。脛骨切除用のガイド部10は、端部側の壁部13と第一平面区間120Aの間のつなぎ目の領域に互いに対してテーパ付けられるように表面を定めて、内側の側枝の靭帯L-1の下方に取付けられるようにしており、この部位の配置を容易にして、さらに切除作業中に鋸歯(刃)によって損傷を被ることを防ぐようにしている。脛骨切除用のガイド部材10の反対側では、係合壁部の第二平面区間120Bを第一テーパ壁部14とのつなぎ目のラインまで延ばしているが、この第一テーパ壁部14は、脛骨切除用のガイド部材10が係合される脛骨Tから外側に離れるように張出している。また、反対側の壁部121の端部から脛骨Tに向って第二テーパ壁部15を延ばしており、縁部16にて第一テーパ壁部と接続させている。脛骨切除用のガイド部10のこれら第一及び第二テーパ壁部14、15と縁部16の領域は、膝蓋骨の腱L-3に面するように配置されており、さらに切除作業中に膝蓋骨の腱L-3が損傷を被ることを防ぐようにしている。さらに、反対側の壁部121と脛骨との係合壁部120の間には切除作業用の鋸歯を挿通させるためのスロット126を設けている。尚、図1と3から理解できるように、鋸歯Sは、側方から内方に切除するように配置されていてもよい。
また、脛骨切除用のガイド部10には係合壁部120と反対側の壁部121との間に複数のスロット127、128を貫通させている。さらに、底面12からは、スロット126に対して垂直方向で軸131方向に沿って、ガイド/サポート部材20を延在させている。
脛骨Tの切除作業を準備するために、ガイド/サポート部材20をこの軸131方向が脛骨Tの構造上の軸方向(mechanical axis)と平行となるように配置させながら、脛骨Tの基部側の端部の近くの所望の場所にスロット126を位置決めさせるように脛骨切除用のガイド部10を配置させて、脛骨Tの構造上の軸方向に対して垂直方向にスロット126が切除作業用の鋸歯Sを案内できるようにする。この配置は、スロット126をガイドとして利用する場合に、内反や外反との整合に問題がないようにし、脛骨の平坦部の切除や切断の後方の勾配の度合いを正確に定められるようにするように、切除作業を保証する上で重要である。尚、従来技術において公知な手段によって、ガイド/サポート部材20の末端側をくるぶし付近の領域に取付けて、脛骨Tの構造上の軸方向と平行となるような配置を保つようにしてもよい。さらに、従来技術において公知なように、外科医によって選択された孔127、128内にピンを装着させて、脛骨Tに対して取付けて、脛骨切除用のガイド部10を定位置に保持させてもよい。
脛骨切除用のガイド部10を適切に配置されるように移動させる際、外科医は脛骨切除用のガイド部10を注意深く取り扱って、内側の側枝の靭帯L-1を脛骨切除用のガイド部10の端部側の壁部13と係合壁部の第一平面区間120Aとの間のつなぎ目の領域に配置させて、また膝蓋骨の腱L-3を縁部16付近の脛骨切除用のガイド部10の部位に配置させるようにする。このように内側の側枝の靭帯L-1と膝蓋骨の腱L-3を配置させることで、スロット126内に取付けた鋸歯Sにより、内側の側枝の靭帯L-1や膝蓋骨の腱L-3を切除させることなく、脛骨Tから基部側の端部を切除できるようにする。
上述した脛骨切除用のガイド部材に関する説明は、左側のひざの内方や右側のひざの側方で手術のガイドを行うことを前提として記述されている。但し、自明ではあるが、本発明の範囲内において、例えば左側のひざの側方や右側のひざの内方で手術を行うように、上述した脛骨切除用のガイド部材を同様に用いることは可能であることを理解されたい。
次に、図4〜26を参照すると、大腿骨の端部を切除するのに用いる切除作業用のガイド部材について示している。
大腿骨の端部を切除するためには、脛骨Tと面する切除された端部の表面が患者の大腿骨の構造上の軸方向に対して垂直になるように関節丘を切除することが重要になる。従来技術における総合的なひざの関節形成術の一般的な手法では、骨髄内の管(intramedullary canal)内に、大腿骨の解剖学上の軸(anatomical axis)に沿って、わずかに前方から開始して関節丘内のノッチ部まで、数インチ(1インチ=2.54cm)程、孔をドリル加工している。関節丘の間の大腿骨の中央の溝部から大腿部の転子の中央まで延びる、この解剖学上の軸は、上記溝部を通る大腿部の頭部の中央からくるぶしの中央まで延びる、構造上の軸に対して、通常、5〜6度程度、わずかに傾斜している。このドリル加工に続いて、骨髄内の管内に沿って、ここから外側に出るように、孔内に調整(アラインメント)用のロッド部材を配置させる。さらに、この調整用のロッド部材とともに調整(アラインメント)用のガイド部材を用いて、切除される関節丘の前方から後方まで、所定の経路に沿って切除用の器具を配向させるようにする。
本願発明と同一の発明者によって発明された、2001年10月9日に出願された米国特許第973,584号公報の開示例には、大腿部のひざを切除するためのガイド部(a femoral knee saw guide)について開示しているが、このガイド部は外側の脊髄手段(extramedullary means)を利用して、大腿骨の末端部を切除するために、鋸歯や他の切除用の器具を適切な経路に沿って案内できるようにしており、側方から内方まで、または内方から側方まで切除させるようにしている。また、図4〜26に示す実施形態における端部側の大腿部のガイド部のアセンブリは、側方から内方の方向、または内方から側方の方向で切除作業を行うことを可能にしながらも、アセンブリの一部として骨髄内のアームアセンブリを用いることで、適切な調整が取れるようにしている。さらに、調整(アジャストメント)手段を備えて、切除深さを変化させる場合にも対応できるようにしている。
図4〜26を参照すると、骨髄内のひざの端部側の大腿部を切除するためのガイドアセンブリ(intramedullary knee distal femoral cutting guide assembly)100を示しているが、このアセンブリは、切除用のガイド部149と、この部材に対して溶着されるプレート154と、さらに骨髄内のアームアセンブリ(intramedullary arm assenbly)60を含んでいる。
切除用のガイド部149は、正面側16又は背面側から平行に眺めたとき、略台形(又は不等辺四辺形)の形状を有している。また、この部位は第一端部17から第二端部18まで長手方向に延びている。この第一端部17と隣接して、かつこの部位と垂直方向に第二端部18に向って延びるように第一平面壁部19を設けている。また、第二端部18から第一端部17に向かって延びるように、第二端部18に対して垂直方向で、上記第一平面壁部19と同一平面上に第二平面壁部20を設けている。また、第一平面壁部19から外側に延びるように第一の拡大された肩部19Aを設けている。また、第二平面壁部20から外側に延びるように第二の拡大された肩部20Aを設けている。これら第一の拡大された肩部19Aと第二の拡大された肩部20Aの間は、細長い溝部21によって区別されている。さらに、この細長い溝部21内に設けられて、この外側に延びるように骨髄内のアームアセンブリ60を取付けているが、この機能については以下において詳述する。
また、第一と第二の平面壁部19、20から離間して、これらと平行に側方の壁部区間22を設けている。この側方の壁部区間22と第一端部17の間には第一のテーパ付けられた壁部23を延在させており、この部位は側方の壁部区間22によって定められる平面に対して約50°の角度で交差するように設けられている。また、側方の壁部区間22から第二端部18に向って第二のテーパ付けられた壁部24を延在させており、この部位は側方の壁部区間22によって定められる平面に対して約32°の角度で交差するように設けられている。
また、切除用のガイド部149を貫通するように細長いスロット26を設けているが、この部位は(i)第一と第二の平面壁部19、20と(ii)側方の壁部区間22の間で、実質的に中央で、平行となるように配置されている。スロット26は切除用のガイド部149をこの正面16側から背面側まで完全に貫通しており、また第一端部17と第二端部18の間の距離の約80%にわたって延びて、スロット26の一方の端部を第二端部18からわずかにだけ離間させるとともに、他方の端部を第一端部17からより大きく離間させている。また、正面16側から背面側まで切除用のガイド部149を完全に貫通するように複数の3つの孔27を設けており、これら部位は正面16に対して実質的に垂直な軸に沿って延びるとともに、側方の壁部区間22とスロット26の間の領域に設けられている。これら孔27の内部にはピンを取付けることができ、外科医が外科手術を行う際、切除用のガイド部149を大腿骨の側方又は内方に対して固定できるようにする。
上述したように、患者の大腿骨の解剖学上の軸方向は、構造上の軸方向に対してわずかに傾斜している。このような角度は通常、5〜6°の範囲内程度ではあるが、甚だしい場合には2〜8°程度の範囲内で変化する場合があり、さらに、潜在的にはこれ以上に変化するおそれがある。このため、本発明に係る端部側の大腿部の切除用のガイド部のアセンブリ100は、切除用のガイド部149と、アームアセンブリ60と、関連する部材を備えて、外科医が側方から内方まで、又は内方から側方まで切除作業を行いながら、構造上の軸に対して垂直方向に切除が行えるように補助させている。また、この開示例では、切除深さを調整する手段を備えている。従って、外科医は、本発明を利用することで、任意の患者に対して、患者の解剖学上の軸方向と構造上の軸方向と所望の切除深さとの間から、適切な角度を決定することが可能になる。
図示した実施形態では、アームアセンブリ60は、大腿骨の解剖学上の軸方向に沿って関節丘内のノッチを通る骨髄の管内に予めドリル加工された孔の中に配置できるような大きさの調整部材144を備えている。また、好ましくは、この調整部材144と一体形成されるように、調整部材144の長手方向軸に対して角度付けられたスタイラスアーム135を備えており、この末端側はスタイラス137によって保持されているが、この部位にはスタイラスアーム135に対して実質的に平行に貫通するように細長いスロット139が設けられている。このスタイラス137の大きさは、切除用のガイド部149の溝部21内にスライド移動自在に位置決めされるように定められている。また、スタイラス137は滑らかな平面140を有しており、調整部材144とスライド自在なように係合させるとともに、この正面側からフランジ138を延ばして、外科医によって手で掴まえられるようにしている、
また、固定用のハンドル部146はここから延びるようにステム部147を備えている。このステム部147にはねじ状の端部(図示せず)を備えており、溝部21の底部側で切除用のガイド部149内に形成されたねじ状の孔部(図示せず)と係合できるようにしている。また、ステム部147には拡大された肩部145を備えており、ステム部147のねじ状の端部を切除用のガイド部に対してきつく締付けるように係合させるとき、スタイラス137の外面上でスロット139の反対側の側部に係合されるようにしている。固定用のハンドル部146とねじ状のステム部147をきつく締付けるのに先立って、調整部材144を大腿骨の予め用意された骨髄内の管内に配置させるとき、切除される大腿骨の内方又は側方と係合するのに必要なように切除用のガイド部149を移動させてもよい。切除用のガイド部149をこのように移動させるで、スタイラス137に関して溝部21を移動できる。
上述したように、患者の大腿骨の構造上の軸方向に対して、実質的に垂直方向で切除することが望ましい。このため、予め用意された骨髄内の管内の調整部材144の配置を大腿骨の解剖学上の軸方向に沿って位置させる。構造学上の軸方向に対して垂直方向にスロット26を通って延ばした鋸歯Sを用いて切除が行えるように切除用のガイド部149を配置するためには、外科医は、切除される大腿骨用に調整部材144とスタイラスアーム135の間の角度が適切となるように骨髄内のアームアセンブリ60を選択する。例えば、骨髄内のアームアセンブリ60の調整部材144とスタイラスアーム135の間の角度は、患者の解剖学上の軸方向が構造上の軸方向に対して4°傾斜している場合には94°とし、患者の解剖学上の軸方向が構造上の軸方向に対して6°傾斜している場合には96°とし、患者の解剖学上の軸方向が構造上の軸方向に対して8°傾斜している場合には98°とし、さらに、患者の解剖学上の軸方向が構造上の軸方向に対して他の角度で傾斜している場合には、同様の要領で大なり小なり変化させるようにする。尚、これら角度は医療上のアプローチが変化するに伴って変化する。また、側方からアプローチを行う場合には、逆転させて行うものとする。側方の角度を減少させる場合には、側方からアプローチを行う上で異なる調整用のアームを必要とする。例えば、患者の解剖学上の軸方向が構造上の軸方向に対して以下のような角度を取る場合には、調整部材144とスタイラス135の間の角度は、側方からアプローチを行うために次のようにする。
患者の角度 調整部材/スタイラス間の角度
4° 86°
6° 84°
8° 82°
実際上、外科医は特定の患者に合わせて調整部材144とスタイラスアーム135の間の角度変位を適当とさせた骨髄内のアームアセンブリ60を利用する。骨髄内の管部内に孔をドリル加工して、この中に調整部材144を配置してスタイラスアーム135が患者の関節丘の端部と係合させることに続いて、切除される患者の大腿骨の側方又は内方の側と切除用のガイド部149が係合するまで、スタイラス137のスロット139を通るようにステム部147を移動させながら、切除用のガイド部149を調整部材144に向って移動させるように調整させてもよい。切除用の鋸歯Sを案内するスロット26を用いて、切除用の鋸歯Sによって切除される関節丘の量は、鋸歯Sの切断面から関節丘の端部と係合されたスタイラスアーム135の表面までの距離と等しいように定められる。
切除用のガイド部149を患者の大腿骨に対して係合させる際、肩部145をスタイラス137に対してきつく係合させるように固定用のハンドル146とねじ状のステム部147を回転させる。また、望ましくは、切除作業に先立って、孔27を通るように配置されたピンを用いて、適切な整合をとらせながら、切除用のガイド部149を大腿骨に対して固定させる。
図6を参照すると、スロット143によって区別された一対のアーム142を有するウエッジ部141が示されている。このウエッジ部141は、例えば2mmの厚さや、または外科医によって適切であると定められた所望の大きさの厚さを有していてもよい。尚、外科医がより大腿骨の端部を切除することが必要であると判断した場合には、外科医は、単にスタイラス137の背面140と切除用のガイド部149の溝部21の間でさらに切除される骨の所望の量に等しい厚さを有するウエッジ部141を配置させればよい。このことは、ほぼ大腿骨の端部側からウエッジ部の厚さと同じ距離だけ切除用のスロット26を移動させる効果を奏する。
次に、図7〜11を参照すると、本発明のさらなる実施形態に係る端部側の大腿部の切除用のガイドアセンブリ(distal femoral cutting guide assembly)300について示しているが、このアセンブリは、上述したような図6に示した実施形態に係るウエッジ部141のようなウエッジ部を用いる必要がないように、大腿骨の端部側の切除深さを調整できるようにしている。この修正された端部側の大腿部の切除用のガイド部のアセンブリ300は、図4に示した実施形態の切除用のガイドブロック149と同様の切除用のガイドブロック323を有しており、この部材は正面316、第一端部317、第二端部318、切除用のスロット348、第一及び第二の平面壁部区間319、320を有している。また、この切除用のガイドブロック323は第一平面壁部区間319から外側に延びる第一の拡大されたフランジ330と、第二平面壁区間部320から外側に延びる第二の拡大されたフランジ331を有している。これら第一及び第二の拡大されたフランジ330、331は背面壁部と協働して溝部321を形成しており、この中に本発明のさらなる実施形態に係る骨髄内のアームアセンブリ(intramedullary arm assembly)360を取付けられるようにしている。また、第二の平面壁部区間320では、切除用のガイドブロックに対してベースメンバ350を溶着しているが、この部材は、切除用のスロット348内を通って案内される鋸歯Sによって形成される切除深さを正確にできるように、数値を備えたスケールを形成したライナー351の一連を備えている。
また、軸A方向に沿って第二端部318から内方に延びるように長手方向に延びる通路352(図9〜11参照)を設けているが、この中には円筒形状又はより好ましくは長方形状の断面を有し、かつ拡大されたヘッド部355を有するステム354を備えるプランジャー353を位置される。このプランジャーのステム354は拡大されたヘッド部355と反対側の端部に空洞部356を設けており、この中に付勢用の弾性部材(スプリング)335を備えて、図9、10に示す位置に向ってプランジャー353を外側に付勢させている。また、このプランジャーのステム354には、空洞部356の底部に近い領域内にステムの長手方向軸に向って内方に延びるように溝357が設けられている。
また、骨髄内のアームアセンブリ360には骨髄内の調整部材(intramedullary alignment member)344を備えており、この部材はドリル加工によって形成された大腿骨の骨髄内の管内に取付けられるように設けられている。好ましくは、骨髄内のアームアセンブリ360と一体の部材として形成されるスタイラスアーム336は、骨髄内の調整部材344の端部から94°〜98°の範囲内の角度で延びているが、この角度は患者によって多かれ少なかれ変動されてもよい。図7の破線から理解できるように、スタイラスアーム336には、この端部338から骨髄内の調整部材344とのつなぎ目に向って内側に延びるように、長手方向に延びるスロット337が備えられている。
このスタイラスアーム336は、ハウジング362内にスライド自在なように取付けられる。このハウジング362は溝部321内で内側又は外側に向ってスライド移動可能なように取付けられており、第一の拡大されたフランジ部330の底面と係合できるように上方の縁部363と、第二の拡大されたフランジ部331の上面と係合できるように底面364を有している。また、このハウジング362には溝状に形成された凹状部365が設けられており、この中にはスロット337の領域内でスタイラスアーム336の一部が取付けられるようにしている。このスタイラスアーム336を溝状に形成された凹状部365内に固定するために、ハウジング362のねじ状の空洞部内に係合されるように、拡大されたヘッド部367とアレンレンチ型の空洞部368を有するねじ状のナット366(図8参照)を用いている。但し、このねじ状のナット366は、スタイラスアーム336に対して緩く締付けられているに過ぎず、これは、スタイラスアーム336をハウジング362の溝状に形成された凹状部365内でスライド移動可能とするためである。また、ハウジング362とねじ状に係合されるように回転自在のハンドルアセンブリを設けているが、このアセンブリはグリップ用のハンドル348とステム部347を有し、ステム部347の外面側には外側に向ってねじ状部347Aを形成して、ハウジング362のねじ部と係合できるようにしている。このステム部347は軸AA方向に沿って延びており、また上記ねじ状部347Aを超えた先に縮径領域372を有するとともに、より拡径されたヘッド部373で終端しているが、この部位は切除用のガイドブロック323内の空洞部374内に配置される。ステム部347の長手方向に延びる軸AAは通路352の軸Aとはわずかにオフセットされており、この通路352内にはプランジャーステム354が取付けられて、長手方向に延びる通路352内まで一部延びるねじ状のステム347の縮径部372の領域まで延ばされている。プランジャーステム354の溝部357が軸A方向に向って内側に延びる深さは、図11に示すように、付勢用のスプリング335の付勢力に逆らってプランジャー353を完全に押込まれる位置まで押付けるとき、この溝部の最大深さの領域がねじ状のステム部347の縮径部372と整ぶようにする。このような溝部357の大きさと深さは溝部374内に保持される拡径されたヘッド部373の大きさと関連しており、切除作業用のガイドブロック323から組付けを外すときや、組付け時にプランジャー354を超えて内側に移動するときに、拡径ヘッド部373を有するねじ状のステム部347を取外しできるようにする。大腿骨の端部を切除するために使用位置まで組付けられると、図10に示すように、プランジャー355は延ばされた位置で保持される。このような延ばされた位置では、縮径部372近くの拡径ヘッド部373の表面の一部は、図10に示すように(破線379参照)プランジャー355と係合して、切除用のガイドブロック323に対する固定位置にステム部347を保持させるようにする。この結果、ハウジング362内のねじ状の通路内でのねじ状のステム部347の回転によって、切除用のガイドブロック323とこの切除用のガイドスロット348をハウジング362とこの内部に保持されるスタイラスアーム336に対して内側又は外側に移動させる。このような相対移動の結果、切除される大腿骨の端部の深さを調整することが可能になる。
上記ステム部347には目盛を定められたマーク369を備えているが、この部位は、ベースメンバ350のライン351を用いて観察されてもよく、切除用のスロット348から大腿骨の端部と係合されたスタイラスアーム336の表面までの距離に等しい切除深さを確かめられるようにされてもよい。
大腿骨のドリル加工された骨髄の管部内に骨髄内のガイド部344を配置した後、切除用のガイドブロック323を大腿骨の側方又は内方の側と係合させるようにスライドさせる必要がある。このことを行うため、スタイラスアーム336の端部とこの近接部位を取付けるハウジング362に、スタイラスアーム336を覆うようにねじ状の開口部381を備える。そして、ねじ状のステム部383を備える調整用のノブ382をねじ状の開口部381内に螺合させて、スタイラスアーム336をハウジング362に対する固定位置できつく取付けるようにする。また、ノブ382とねじ状のステム部383を緩めると、切除用のガイドブロック323が大腿骨の内方又は側方の側に到達できるようにスタイラスアーム336と骨髄内のガイド部344に対して速やかに移動できるようにする。
切除用のガイドブロック323の溝部321内にハウジング362を配置すると、ハウジング362内のねじ状のステム部347を回転することで、スタイラスアームの外側に面する表面336Aとハウジング362の背面370は溝部321の背面と係合された内方の位置からこのような背面(図9参照)から離間した外側の位置まで移動可能になる。また、図9から理解できるように、ステム部347はハウジング362に対して固定された位置にあるため、スタイラスアーム336だけが溝部321内で長手方向にスライド移動可能になる。
図12〜14を参照すると、符合500を用いて、大腿部の前方−後方の側部に取付けられる寸法測定用のガイド部(femoral anterior-posterior side loading sizer guide)について概略的に示している。この寸法測定用のガイド部500は二つの機能を有しており、つまり(1)大腿部の寸法を測定して、人工装具(prosthesis)の適当な大きさを得れるようにし、かつ適当な切除用のブロックを選択できるようにし、また(2)取付けられる人工装具の外側の回転(ローテーション)を設定して、適当な膝蓋を探せるようにする。この設定には、以下において、図15〜22を参照して後述されるように、前方−後方での大腿部の切除用のガイド部に対してガイドピンを取付けるステップが含まれる。また、この寸法測定用のガイド部500は左右方向夫々に特別に形成されており、右側の内方−左側の側方のひざを切除させるものと、これとは別に、左側の内方−右側の側方のひざを切除させるものがある。
この寸法測定用のガイド部500にはベース部301が設けられるが、この部位の中央部は、一方の端部側に第一脚部188を備え、またこれとは反対側の端部側に第二脚部190を備えて、これらの中央に略U字形状の構造を形成している。このベース部301の第二脚部190領域の端部側からは上方に向って延びるように支持部材(サポート部材)302が設けられているが、好ましくは、この部材はベース部301と一体に形成されて、またベース部301に対してほぼ直角の角度で交わる。この上方に延びる支持部材302には、この大部分にわたって延びるように、細長いスロット186が設けられている。このスロット186内にはスライド移動自在なようにガイド部材303が取付けられるが、この部材の一方の端部側にはプランジャーロッド185を取付けて、上方に延びる支持部材302の上方端部側に設けた開口部304を通って外側に延ばしている。また、プランジャーロッド185は開口部304内でスライド移動自在で、当接されて係合するように取付けられている。また、実施上、必要があれば、これらプランジャー185と開口部304は回転型の調整手段によって螺合されて、ガイド部材303を上下にスライド移動自在となるようにしてもよい。この場合、プランジャーロッド185はガイド部303に対して回転可能となる。プランジャーロッド185の上方端部側には拡径されたナット182が取付けられているが、スロット186内でプランジャーロッド185とスライド移動自在のガイド部材303を上下に移動できるように、手で摘めるようにしている。
スライド移動自在のガイド部材303は、スロット186内でスライド移動できるように設けられているが、双方の部材は密着しており、スロット186の壁部によってスライド移動自在のガイド部材303が回転移動を行うことを防ぐようにしている。このスライド移動自在のガイド部材303には、ベース301と平行な軸方向に沿って、ガイド調整用の孔184が貫通するように備えられている。また、このスロット186付近の上方に延びる支持部材302には、目盛を有するスケール183が備えられている。さらに、スライド移動自在のガイド部材303には、ガイド調整用の孔184から径方向に外側に延びるようにマーク305が付けられており、又は他の任意の手段からマーク305が形成されており、スケール183上の特定のマークと並ぶことで、外科医が大腿骨Fの端部の前方−後方の寸法を得られるようにしている。
また、平らなようにヘッドを形成しているナット182のすぐ下方で、プランジャーロッド185に対して、細長いスロット181を備えた前方の大腿部用のスタイラス195を取付けている。この前方の大腿部用のスタイラス195はプランジャーロッド185の上方端部にて肩部上に取付けられており、平らなようにヘッドを形成しているナット182をきつく締めることにより、肩部上できつく係合されていてもよい。また、平らなようにヘッドを形成しているナット182を緩めると、大腿骨Fの所望の前方の領域と係合させるように、前方の大腿部用のスタイラス195を内側又は外側に向って移動したり、回転させるように調整することを可能にしてもよい。
また、上方に延びる支持部材302上には、スケール183からスロット186を挟んで反対側に端部側の関節丘用のアーム(distal condylar arm)187がきつく固定されている。この端部側の関節丘用のアーム187はベース301に対してほぼ平行に延びており、かつ図12の破線に示すように、大腿骨Fの端部の切除された表面と係合できるように平らな係合面306を備えている。
また、ベース上には、ここから上方向に向って、一対の上方に延びるペグ189、199が設けられている。また、実施上、特定のひざの切除用に外側の回転を適切なように定める必要がある場合には、ベース301と係合されるように、ウエッジ部196を用いてもよい。このウエッジ部196は、第一端部191から第二端部194まで延びており、かつ第一開口部192と第二開口部198を備えて、夫々、上記ペグ199、189上に当接して係合させるようにしている。このウエッジ部196は、比較的厚さの薄い第一端部191付近から、より厚さの厚い第二端部194に向ってテーパ付けられている。また、実施上、外科医は、様々な種類のウエッジ部から最適なウエッジ部196を選択できるようにするが、これら様々なウエッジ部は、第一端部191から第二端部194まで約1°〜8°の範囲内で、上面と下面との間で様々な角度でテーパ付けられている一連からなるものとする。このウエッジ部196を用いる目的は、外科手術上、大腿骨の解剖学上の構造に基いて、適当な角度調整が取れるようにすることにある。
実施上、前方−後方の側部に取付けられる寸法測定用のガイド部500は、屈曲された後方の大腿部の関節丘に対して脚部188、190を当接させるように位置決めされる。ウエッジ部196を使用することが求められる場合には、後方の大腿部の関節丘に対して、ウエッジ部196の対応する部位を脚部188、190を重ねながら係合させる。次に、寸法測定用のガイド部500を端部側の関節丘用のアーム187とともに、切除された端部側の大腿骨Fに対して位置決めする。この後、前方の大腿部用のスタイラス195を取付けたプランジャー185を下方移動させて、前方の大腿骨Fと当接させるようにする。このように位置決めすることで、外科医は、大腿骨Fの前方から後方までの寸法を定められるように、スケール183上のマーク305の整合性を確認できるようにする。この位置決めに続いて、ガイド調整用の孔184内にガイドピン200を挿着させて、大腿骨内にドリルさせる。このガイド調整用の孔184をガイドとして利用したドリル加工によって、ガイドピン200は、例えば、3°、5°又は7°のように、適切な角度で回転された位置で配向される。大腿骨Fから寸法測定用のガイド部500を取り除くと、ガイドピン200はこの位置で取り残される。そして、図15〜22を参照して後述するように、前方/後方の大腿部の切除用のガイド部を並ばせることを補助させるように、ガイドピン200を位置させる。
図15と16を参照すると、符合217を用いて側部の大腿骨の切除用ガイド部(side femur resection guide)を示しているが、この部材は側部にチャンファーブロック220を有しており、図12に示すようにヘッド部を持たないガイドピン200を取付けた右側のひざの内方側か、左側のひざの側方側のいずれかと係合できるように平らなひざ用の係合面221(図16参照)を設けている。外面224は、この係合面221と平行なように設けられている。さらに、細長いスロット201を設けており、この中を通ってガイドピン200が外面224から係合面221を通って側部のチャンファーブロック220を貫通して延びるようにしている。
また、側部のチャンファーブロック220に備える端部225は、大腿骨Fの用意された端部と並び、かつ基部側の端部226と反対側に並べられる。
また、上記端部225に対して取付けられて、平面221からほぼ直角の角度で側部のチャンファーブロック220から延びるように、端部側のチャンファーブロック222を設けているが、このブロックは第一チャンファー面212と、第二チャンファー面213とを頂部219にて互いに直角となるように備えている。この端部側のチャンファーブロック222は側部のチャンファーブロック220の平面221から外側に延びており、かつ、第一と第二のチャンファー面212、213と、平らで、端部225と大腿骨Fの用意された端部と係合する第三の表面218とから構成されるように、三角形状の断面を有している。端部側のチャンファーブロック222はスロット211を備えており、このスロット211を通って端部225内に装着されるように延びるピン210を用いることで、側部のチャンファーブロック220に対して固定されている。このピン210の締付けに先立って、端部側のチャンファーブロック222を、内方から側方、又は側方から内方に調整してもよい。また、第一チャンファー面212とほぼ平行な経路に沿って、第二チャンファー面213から第三表面218まで端部側のチャンファーブロック222を貫通するように、中央にガイドスロット209を設けており、取付けられる人工装具上の保持用のノッチと合わせて、大腿骨Fの切除された端部内のノッチの部分を切除できるようにしている。スロット211を設けることにより、端部側のチャンファーブロック222を側方から内方まで移動可能としたため、ノッチの一部を正確に切除できるように中央のガイドスロット209を適切に配置することが可能になる。また、端部側のチャンファーブロック222には一対の開口部214と215を設けており、この中にピンやねじを装着させることで、端部側のチャンファーブロック222を大腿骨の切除された端部に対して固定できるようにしている。このため、これら開口部214と215にはねじ状部(雌ねじ)が設けられている。
さらに、側部のチャンファーブロック220は後方の切除用のスロット204を設けており、大腿骨の端部の後方の近くで切除用の鋸歯を配向させて、案内できるようにしており、さらに、前方の切除用のスロット205を設けて、大腿骨Fの端部の前方の近くで切除用の鋸歯の移動を案内できるようにしている。切除用のスロット204、205をガイドとして利用した鋸歯による切除は、内方から側方、又は側方から内方で行われる。角度付けられたガイドスロット206は、この一表面を端部側のチャンファーブロック222のチャンファー212の一部と同一平面上に設けており、側部のチャンファーブロック220の側部225から切除用のガイドスロット205まで延びている。さらに、他のテーパ付けられた切除用のガイドスロット207は、この一表面をチャンファー213の一部と同一平面上に設けており、端部側の縁部222から切除用のガイドスロット204まで延びている。また、側部のチャンファーブロック220には開口部202が設けられており、内方又は側方の大腿骨Fに対してねじを取付けられるようにしている。
切除用のスロット204、205とガイドスロット206、207の角度の配向は、これら切除用のスロット204、205とガイドスロット206、207を用いて切除された表面と係合するように設けられる大腿部の人工装具の対応する表面の角度配向と合うように定められている。端部側のチャンファーブロック222の第三表面218と当接する大腿骨Fの端部に用意される平らな表面が垂直であると仮定すると(図15参照)、垂直方向と様々なスロットの間の角度は、例えば、次のように定めることができる。尚、以下に示すものは例示上、示されたものに過ぎず、本発明を何ら限定するものではないことを理解されたい。
切除用スロット204−垂直方向から90°〜95°
切除用スロット205−垂直方向から93°〜96°
ガイドスロット206−垂直方向から45°
(垂直方向から135°の角度を含む)
次に、図17、18及び19を参照するが、図17のうち実線で示した箇所は、図15、16を参照して説明した前方/後方の大腿部の切除用ガイド部217に関する。また、図17のうち破線で示した箇所は、符合237を用いて概略的に示しているように、前方/後方の大腿部の切除用ブロックに関し、この詳細は、図18、19に示されている。側部の大腿骨の切除用ガイド部217とこの側部のチャンファーブロック220と端部のチャンファーブロック222を用いた切除作業を完了させた後、大腿骨Fの部分的に切除された端部にて前方と後方の部位を切除する作業が残される。このことは、端部のチャンファーブロック222と係合するように構成された前方/後方の大腿部の切除用ブロック237を用いて行われてもよい。
この前方−後方の大腿部の切除用ブロック237には、同一平面上に置かれるように第一と第二の壁部233と234が設けられるが、これら壁部は、平面状の壁部234から内側に向って角度付けられる傾斜した壁部231と、平面状の壁部233から内側に向って角度付けられる傾斜した壁部232によって定められた、角度付けられた溝部によって区別されている。これら角度付けられた壁部231と232は互いに直角に交差しており、同一平面上の表面233と234が前方−後方の大腿部の切除用ガイド部217の端部225と係合するとき、チャンファー面212と213と係合できるように大きさが定められている。また、前方/後方の大腿部の切除用ブロック237には開口部238と239が備えられているが、これらは端部のチャンファーブロック222のねじ状の開口部214と215と夫々並ぶように設けられている。この前方/後方の大腿部の切除用ブロック237は、端部のチャンファーブロック222に対して、例えばボルトを開口部238と239を通って、対応するねじ状の開口部214と215と螺合させるように固定されていてもよい。さらに、前方/後方の大腿部の切除用ブロック237には、前方の切除用のガイド面235と後方の切除用のガイド面236を備えて、前方/後方の大腿部の切除用ブロック237が端部のチャンファーブロック222に対して固定されるとき、切除用の鋸歯の移動を案内できるようにする。
次に、図20、21及び22を参照すると、大腿部用のノッチブロック250を示しており、この部材は、前方/後方の大腿部の切除用ブロック237とともに大腿骨の前方と後方の部位を切除させた後、前方/後方の大腿部の切除用ガイドブロック217とともに利用できるように構成されている。この大腿部用のノッチブロック250は端部側のチャンファーブロック222の上に取付けられ、また第一と第二の平らな壁部265と266を備えて、側部のチャンファーブロック220の端部225と係合できるようにされている。これら表面265と266によって定められる平面には、内側に向って延びるように角度付けられた溝部が設けられるが、この溝部は壁部266から内側に向って傾斜して延びる第一テーパ面257と、壁部265から内側に向って傾斜して延びるテーパ面258によって定められている。これら表面257と258は、頂部259にて互いに直角に交差している。また、これら傾斜面257と258は、夫々端部のチャンファーブロック222の傾斜面213と212と係合する。この大腿部用のノッチブロック250は、大腿骨Fに向って正面269の両端側から前方の表面256と後方の表面260を延ばすように備えている。また、大腿部用のノッチブロック250は、正面269から内側に向って延びるように開口部253と254を備えて、開口部214と215と並ばせており、このため、例えばねじを開口部253と255内を通るように延ばして、ねじ状の溝部214と215と螺合させるように、端部のチャンファーブロック222に対して固定できるようにしている。
また、大腿部用のノッチブロック250は、この前面256から内側に向って延びるように、一対の互いに離間した切除用のガイドスロット251と252を備えている。これらガイドスロット251と252の大きさと配置は、各ガイドスロット251と252を通るように案内された切除用の鋸歯が、切除用のスロット209を通るように案内された切除用の鋸歯によって前もって設けられた切除部と合うようにしており、このため、端部側の大腿骨の関節丘の領域内にノッチを形成できるように設けられている。この結果、大腿部の人工装具の後方のスタビライザーを位置決めするためのノッチを形成することができる。
次に、図23〜26を参照すると、図12〜14に示した実施形態に用いたウエッジ部196のようなウエッジ部を用いなくとも、図12〜14に示した実施形態に用いたガイドピン200のようなガイドピンの位置決めを案内できるように開口部を適切に並ばせることを可能にする、さらなる前方/後方の側部に取付けられる寸法測定用のガイド部(anterior/posterior side loading sizer guide)400を示している。
図23〜25に示した前方/後方の側部に取付けられる寸法測定用のガイド部400はベース部402を備えており、この中央部の第一端部401には第一脚部406が、また反対側の第二端部403には第二脚部404が設けられており、これら脚部は中央部とともに略U字形状の構造を形成するようにしている。ベース部402の端部からは、上記第一端部401の領域から上方に延びるように支持部材408が設けられており、好ましくは、この支持部材408はベース部402と一体に形成されており、かつベース部402に対してほぼ直角に交差するように設けられている。これらベース部402と上方に延びる支持部材408は共通の正面409を有している。また、上方に延びる支持部材408はこの大部分にわたってのびるように細長い第一スロット410を備えており、かつこのスロット410の開口部が第一端部401から第二端部403に面するようにしている。また、上方に延びる支持部材408には第一スロット410に対して90°の角度となるように、細長い第二スロット412を設けており、正面409から後方に延ばして、第一スロット410によって定められる開口部とつながるようにしている。上記第一スロット410内にはスライド自在なようにガイド部415が取付けられており、この部材は、寸法測定用のガイド部400の正面409の方向とほぼ平行な方向にガイド用の調整孔415を貫通するように備えている。正面409からスライド移動自在のガイド部414に対するアクセスは、第二スロット412を介して行うことができる。
上記スライド自在のガイド部414は、上方に延びる支持部材408の上方端部の開口部418を通って延びるプランジャーロッド(シャフト)416の端部上に取付けられている。このプランジャーロッド416は開口部418内で当接するように取付けられており、この内部でスライド移動可能なように設けられている。プランジャーロッド416の上方端部には拡径されたナット417が取付けられているが、手で掴まれて、第一スロット410内で、プランジャーロッド416とスライド自在のガイド部414を上下方向に移動できるようにしている。上記スライド自在のガイド部414は第一スロット410内ではスライド移動可能であるが、このスロットと密着されるように取付けられているため、第一スロット410の壁部によって、スライド移動自在のガイド部414がプランジャーロッド416の軸方向を中心として回転移動することを防ぐようにされている。しかしながら、第一スロット410の両端側を定めている壁部は正面409と平行であって、かつ互いに平行なように設けられているため、ガイド部414がこの壁部に対する垂直の軸方向に関して第一スロット410内で回転移動できるようにしている。ガイド部414とプランジャーロッド416の接続はピボットピン419を用いて行われているが、このピンは上述のようなプランジャー416に関する回転を可能にしている。また、正面409と平行な軸方向に沿ってスライド移動自在のガイド部414を通るようにガイド調整孔415を設けている。また、上方に延びる支持部材408上には、第一スロット410を間に挟んで正面409から反対側に目盛を備えたスケール483を取付けている。さらに、スライド移動自在のガイド部414には、ガイド調整用の孔415から径方向に外側に延びるようにマーク421が付けられており、又は他の任意の手段からマーク421が形成されており、スケール483上の特定のマークと並ぶことで、外科医が大腿骨Fの端部の前方−後方の寸法を得られるようにしている。
また、平らなようにヘッドを形成しているナット417のすぐ下方で、プランジャーロッド416に対して、細長いスロット481を備えた前方の大腿部用のスタイラス495を取付けている。この平らなようにヘッドを形成しているナット417を緩めると、前方の大腿部用のスタイラス495は、内側又は外側に向いたり、回転するように調整されて、大腿骨Fの所望の領域と係合することが可能になる。
さらに、上方に延びる支持部材408の正面409側に端部側の関節丘用のアーム420を取付けるが、この部材は、ベース部402と、大腿骨Fの後方の表面上に配置される第一と第二の脚部404、406に関して回転移動可能なようにピボット状に設けられている。この端部側の関節丘用のアーム420の開口部425を通る第一ねじ(ねじ状の部材)424と、アーチ状のスロット427を通り、回転操作用のハンドル部428を延ばすように備える第二ねじ(ねじ状の部材)426によって、端部側の関節丘用のアーム420をガイド部材414に対して固定している。このハンドル428を緩めると、大腿骨Fの後方側に取付けられるベース部402の第一と第二の脚部404、406の表面に対して、端部側の関節丘用のアーム420を所望の回転角度まで旋回することが可能になる。この角度変位は、図23の符合Bによって示されているが、この角度は、大腿骨Fの後方の表面に取付けられる脚部404、406の表面と平行なように定められる直線450と、端部側の関節丘用のアーム420の上面431の角度を示す直線452の間の角度である。
図12〜14の実施形態に示したように、関節丘用のアーム420は、大腿骨Fの端部の切除された表面と係合できるように平らな係合面422を備えている。この平らな係合面422は正面409と平行であり、かつガイド調整孔415の軸方向と平行である。また、平らな上面431はガイド調整孔419の軸方向と平行である。また、一対の開口部440が関節丘用のアーム420を貫通するように備えられている。そして、ガイド調整孔415を用いて、図12の実施形態に示したガイドピン200のようなガイドピンを大腿骨F内にドリル加工する前に、大腿骨Fの端部に対して、関節丘用のアーム420と寸法測定用のガイド部400の残りをきつく係合させるように、上記開口部440内にピンやねじ等を装着させる。このようなピンやねじ等を内部に装着させて、大腿骨の端部に固定させる孔は、このような開口部440を通って延びるストップを備えたドリルによって形成することができる。そして、ガイド調整孔415をドリル加工して、ガイドピン200を装着させた後、寸法測定用のガイド部400を取外して、側部の大腿骨の切除用ガイド部217(図15、16参照)をガイドピン200上に配置して、端部側のチャンファーブロック222の開口部214と215を通すように延ばしたねじによって、大腿骨Fの端部に対して固定させてもよい。
前方/後方の側部の取付け時の寸法測定用のガイド部400を位置決めする際、脚部404と406を屈曲された後方の大腿部の関節丘と当接させ、かつ端部の関節丘用のアーム420の係合面422を大腿骨Fの端部の切除面に対して係合させるようにする。また、回転自在のハンドル428を緩めることで、外科医は、患者に合わせて、適切な回転角度位置となるように端部の関節丘用のアーム420を移動できるようにするが、この角度は、例えば、3°、5°、7°等である。このような端部の関節丘用のアーム420を角度付ける移動は、ガイド部に対して角度付ける移動を伴うため、図12に示した実施形態のガイドピン200と同様のガイドピンを取付けるのに適切なように、ガイド調整孔415の軸方向を定めることができる。このような位置決めを行うと、孔の軸方向は直線452と平行となる。
以上、説明した、本発明の実施形態に係る器具を用いることにより、脛骨の基部側の端部や大腿骨の端部を切除する際に、柔らかな組織に対して損傷を加えるおそれを最小にするとともに、さらに、本発明の器具の独自の構造上の特徴により、内方又は側方に移動させることで、多くの切除作業を行うことが可能になる。尚、柔らかな組織に対して損傷を加えるおそれを最小にすることだできるという重要な要因は、本発明に係る器具では、内方又は側方のいずれかで切除作業を行うことができるという特徴に基いている。
以上、添付した図を参照して本発明について説明したが、当該分野における通常の知識を有する者であれば、本発明に対して様々な変更等を加えることができると思料する。従って、本発明の範囲は、本明細書に添付した特許請求の範囲の記載事項によってのみ制限されることを理解されたい。
脛骨の基部側の端部を内方から切除するのに用いる脛骨切除用のガイド部を示す平面図である。 切除される脛骨の基部側の端部に配置された、図1に示した脛骨切除用のガイド部の正面図である。 図2の3−3線に沿って示す断面図である。 大腿骨切除用のガイド部の位置決めを制御するために骨髄内のガイド部を備えた大腿骨切除用のガイドアセンブリを示す斜視図である。 図4に示したアセンブリの骨髄内のガイド部を示す斜視図である。 図4に示した器具を用いて切除深さを調整する際に、必要に応じて用いられる、ウエッジ部を示す平面図である。 図4と同様だが、さらなる実施形態に係る大腿骨切除用のガイド部を示す図である。 図7の8−8線に沿って示す断面図である。 図7の9−9線に沿って示す断面図である。 図9の10−10線に沿って示す断面図である。 図10と同様だが、プランジャーを完全に押込めたときの図である。 大腿部の前方/後方の側部に取付けられる寸法測定用のガイド部を示す斜視図である。 図12の「参照番号12A」に示した箇所の寸法測定用のガイド部の拡大図である。 図12に示したようなタイプの大腿部の前方/後方の側部に取付けられる寸法測定用のガイド部に用いることができるスタイラスの斜視図である。 図13に示した寸法測定用のガイド部に用いることができる後方のウエッジ部を示す斜視図である。 前方/後方のチャンファーの大腿骨切除用のガイド部を示す側面図である。 図15に示した前方/後方のチャンファーの大腿骨切除用のガイド部を示す正面図である。 図15と同様だが、前方/後方の大腿骨切除用のガイド部と合わせて用いられる前方/後方の大腿骨切除用のブロックを破線で示す図である。 前方/後方の切除用のガイド部と合わせて図17に示した前方/後方の大腿骨切除用のブロックを示す正面図である。 前方/後方の大腿骨切除用のブロックを単体で示す側面図である。 大腿部用のノッチブロックと合わせて前方/後方のチャンファーの大腿骨のガイド部を示す側面図である。 図20に示したノッチブロックの端部側を示す図である。 図20に示したノッチブロックの前側を示す図である。 さらなる実施形態に係る大腿部の前方/後方の側部に取付けられる寸法測定用のガイド部を示す斜視図である。 図23の「参照番号23A」に示した箇所の寸法測定用のガイド部の拡大図である。 図23の24−24線に沿って示す断面図である。 図23の25−25線に沿って示す断面図である。 図23の26−26線に沿って示す断面図である。
符号の説明
10 脛骨切除用のガイド部
100 大腿部の切除用のガイドアセンブリ
149 切除用のガイド部
217 側部の大腿骨の切除用ガイド部
250 大腿部用のノッチブロック
300 大腿部の切除用のガイドアセンブリ
400 寸法測定用のガイド部
500 寸法測定用のガイド部

Claims (11)

  1. 切除された端部を有する大腿骨に用いる、大腿部の前方−後方の寸法測定用のガイド部であって、
    (a)前記切除された端部付近の後方または前方の前記大腿骨の部位を置くことができるように表面を有するベース部を備え、
    (b)前記ベース部から上方に延びるように支持部材を備え、この際、前記支持部材は前記ベース部から離れる方向で上方に延びるように細長いスロットを有し、
    (c)前記スロット内に移動可能なように取付けられるスライド移動自在の部材を備え、
    (d)前記ベースの表面に向ったり、離れるように、前記スライド移動自在の部材とともに移動可能なようにスタイラスを備え、この際、前記スタイラスは前記ベースの表面と実質的に平行となるように大腿部との係合面を有することを特徴とする寸法測定用のガイド部。
  2. さらに、前記スライド移動自在の部材を貫通して延びるように開口部を備えて、前記ベースの表面と平行な軸方向に沿って前記開口部を延ばしたことを特徴とする請求項に記載の寸法測定用のガイド部。
  3. さらに、前記支持部材から延びるように端部側のアームを備え、この際、前記端部側のアームに前記大腿骨の端部と当接できるように係合面を備えることを特徴とする請求項に記載の寸法測定用のガイド部。
  4. 前記スライド移動自在の部材は、前記ベースの表面と平行で、かつ前記端部側のアームの係合面と平行な軸方向に沿って延びるように開口部を備えることを特徴とする請求項に記載の寸法測定用のガイド部。
  5. さらに、前記ベースの表面と係合可能なようにウエッジ部を備え、この際、前記ウエッジ部は前記支持部材の近くの厚さを薄くし、かつ前記支持部材から離れた箇所の厚さをより厚くするようにテーパ付けられており、さらに前記ウエッジ部は前記後方または前方の大腿骨の一部を置けるように表面を有することを特徴とする請求項に記載の寸法測定用のガイド部。
  6. 前記ウエッジ部のテーパ付けられた角度は1°〜8°の範囲内にあることを特徴とする請求項に記載の寸法測定用のガイド部。
  7. 前記スライド移動自在の部材は、前記端部側のアームの係合面と平行な軸方向に沿って延びるように開口部を有し、さらに、前記軸方向と前記ベース部の前記表面の間の角度を変化させる手段を有することを特徴とする請求項に記載の寸法測定用のガイド部。
  8. 前記スライド移動自在の部材は前記スロット内で回転可能であって、前記軸方向と前記ベース部の表面の間の角度を変化させる手段は前記端部側のアームを前記スライド移動自在の部材に対して接続する手段を備えて、これらとともに回転できるようにしたことを特徴とする請求項に記載の寸法測定用のガイド部。
  9. 前記支持部材は前記端部側のアームと面するように第二のスロットを備え、さらに、前記第二のスロットを通るように延びて、前記端部側のアームを前記スライド移動自在の部材に対して接続させて、これらとともに回転できるようにする接続部を備えたことを特徴とする請求項に記載の寸法測定用のガイド部。
  10. 請求項に記載された寸法測定用のガイド部と、前記開口部を通るように延びるガイドピンとを組み合わせたことを特徴とする組合せ。
  11. 請求項に記載された寸法測定用のガイド部と、前記開口部を通るように延びるガイドピンとを組み合わせたことを特徴とする組合せ。
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