JP4276392B2 - 円偏光板およびそれを用いた液晶ディスプレイ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、円偏光板およびそれを用いた液晶ディスプレイ(以下、LCDとも記す。)に関する。
本発明において、位相差フィルムの厚さはd、位相差フィルムの遅相軸方向、進相軸方向、厚さ方向の各屈折率は夫々ne 、no 、nZ で表されるものとし、面内位相差とは、式:(ne −no )dで定義される量であり、NZ とは、式:(ne −nZ )/(ne −no )で定義される量であり、また、直交型とは、位相差フィルムの遅相軸が偏光子の吸収軸に対して直交位にある軸配置型を意味し、平行型とは、位相差フィルムの遅相軸が偏光子の吸収軸に対して平行位にある軸配置型を意味する。
【0002】
【従来の技術】
1/4 波長板は光の位相をπ/2ずらす位相子であり、直線偏光を円偏光に、または円偏光を直線偏光に変換することからこれまで多くの光学系に用いられてきている。一般に位相子には位相差の波長依存性が存在するため、1/4 波長板は、用いる光源(例:レーザー等)の波長に対して1/4 波長条件を満たすように設計されている。また光の入射角度に対しても位相差が変化することから、位相子に対して光が垂直に入射するように光学系が設計されている。
【0003】
近年、周囲の光を利用して表示を行う反射型液晶ディスプレイが携帯情報端末用ディスプレイとして注目され開発が進んできている。反射型液晶ディスプレイは基本的には図2(a)に示すように1枚の偏光子1、液晶2、反射板3から構成されている。なお4はカラーフィルタ、5はガラス基板である。反射型LCDにおいて黒表示を行うためには、偏光子を通過した直線偏光の偏光方向を、該直線偏光が反射板で反射し再び偏光子に入射する際に、90度回転させる必要がある。このためには液晶セル全体の位相差が往復でπ(片道でπ/2)必要であることから、図1(b)に示すように1/4 波長板6が一般に反射型LCDに用いられている。しかし、これまでに用いられてきた光学系と異なり、反射型LCDでは周囲のあらゆる方角からあらゆる波長の光が入射するため、入射角度依存性が無くかつ1/4 波長条件を満たす波長帯域幅の広い(広波長帯域)1/4 波長板の実現が必要となってきている。
【0004】
1/4 波長板の広波長帯域化の設計法としては、これまでに以下の三つの方法が提案されている。
▲1▼ 波長分散の異なる(材料の異なる)二種類の位相差フィルムを用い、その遅相軸が直交するように積層する方法
▲2▼ 1/4波長板に複数枚の1/2 波長板を積層する方法 (積層する遅相軸の方位は設計により異なる)
▲3▼ 広波長範囲で1/4 波長条件を満たすような材料を開発(A.Uchiyama, T.Yatabe :SID 01 DIGEST,p566-569)
しかし、広波長帯域化した1/4 波長板の広視野角化はこれまで実現されていなかった。そこで、本発明者らは広視野角・広波長帯域1/4 波長板の設計法について検討を行ない、その設計法(A法と仮称)を1997年AM-LCD学会において発表した(T.Ishinabe, T.Uchida, T.Miyashita, M.Suzuki :AM-LCD '97,p135-138)。このA法は二軸性の位相差フィルムを用いて広波長帯域化の設計を行うもので、上記▲1▼〜▲3▼の方法全てに適用することができる(前記学会では▲2▼の方法に適用した例について説明した。)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
反射型LCDをはじめとする多くの光学系では、1/4波長板に偏光子を積層したものが円偏光板として使用される。1/4波長板の入射角依存性及び波長依存性は、前記A法により改善することが可能であるが、従来の偏光子では入射角依存性が大きいため広視野角1/4 波長板に積層しても広視野角の円偏光板とすることはできないという問題があった。
【0006】
本発明は、この問題を解決し、入射角依存性のほとんどない円偏光板とそれを用いた液晶ディスプレイを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、二軸性位相差フィルムの単体又は複層体からなり入射角60度で(1/2±3/40)×πなる位相差をもつ1/4波長板の一面側に、下記C型又はP型の広視野角偏光板をその位相差フィルム層側で対面配置してなることを特徴とする円偏光板である。また、本発明は、液晶セルの片側又は両側に前記円偏光板をその1/4波長板側で対面配置してなることを特徴とする液晶ディスプレイである。
【0008】

C型:偏光子に面内位相差=250 〜300nm 、Nz =0.1 〜0.4 なる複屈折特性を有する二軸性の位相差フィルムを直交型に重ねてなる広視野角偏光板
P型:偏光子に面内位相差=250 〜300nm 、Nz =0.6 〜1.1 なる複屈折特性を有する二軸性の位相差フィルムを平行型に重ねてなる広視野角偏光板
【0009】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の基礎とした位相差フィルムと偏光子の広視野角化と広波長帯域(以下、広帯域とも記す。)化に関する研究結果について述べる。
(i) 位相差フィルムの広波長帯域化
位相差フィルムの広波長帯域化については前記▲2▼の方法で検討を行った。この▲2▼の方法は、使用する位相差フィルムの波長分散に大きく影響されずに制御が可能であることから、材料の選択性が良いという点で優れた方法である。
【0010】
図3に示すような位相差フィルム7と偏光子8から構成される光学系を考える。位相差フィルム7によって変換された光を最も効果的に吸収するように偏光子8の吸収軸13の方位(吸収軸方位)を定めると、偏光子8を通過した光の強度Lが最小になるように位相差フィルム7の枚数N、位相差δ、遅相軸13の方位(遅相軸方位)φを最適化することで、位相差フィルム7の波長依存性を小さくすることができる。設計の一例としてN=3とした場合における1/4 波長板の広帯域化について検討を行った。位相差フィルムの位相差は設計波長λ0 を用いてそれぞれ次式で表わされる。
【0011】
δ1 =λ0 /4、δ2 =λ0 /2、δ3 =λ0 /2 (1)
また設計波長λ0 の光の透過率を0にするために必要な偏光子の吸収軸の方位φp は、一枚目の位相差フィルムの遅相軸13に対する二枚目及び三枚目の位相差フィルムの遅相軸方位φ1 、φ2 を用いて次式で表わされる。
φp =φ2 ーφ1 −π/4 (2)
このことから偏光子を通過する光の強度Lを設計波長λ0 及び位相差フィルムの遅相軸方位φ1 、φ2 の関数で表わすことができる。従ってLが最小となるように設計波長及び位相差フィルムの遅相軸方位を最適化することで位相差フィルムの広波長帯域化が実現できる。以上の解析に基づいて試作した1/4 波長板の正面観察時における波長特性を図4に示す。鏡面反射板に前記試作した1/4 波長板(N=3)及び偏光子を積層し、反射光の波長依存性を測定した。比較として一枚の位相差フィルムから構成される1/4 波長板の特性を併示する。同図より一枚の位相差フィルムを用いた場合(N=1)と比べ前記試作した1/4 波長板(広帯域1/4 波長板;N=3)の帯域幅は極めて広いことがわかる。
(ii)位相差フィルムの広視野角化
位相差フィルムの視角依存性について解析を行うため、ポアンカレ球を用いた解析法を斜め観察の場合まで拡張した。媒質の複屈折が非常に小さい場合, 近似的に常光と異常光の波数ベクトルの違いを無視することができる(P.Yeh :Journal of the Optical Society of America, Vol.72, p.507(1982) )。このことから、常光と異常光の偏光ベクトルo* ,e* は次式で表わされる。
【0012】
* =(c* ×ko * )/|c* ×ko * | (3-1)
* =(ko * ×o* )/|ko * ×o* | (3-2)
ここでc* は二軸性位相差媒体において最大の屈折率を示す方位を表し、ko * は常光の波数ベクトルを表す。積層した媒体間における反射を無視すると、二軸性位相差媒体を表すミューラー行列はΓとΨの関数で表すことができる。ここでΓは斜め観察時における位相差を表し、次式で定義される。
【0013】
Γ=(kez−koz)d (4)
ez及びkozは常光と異常光の波数ベクトルのz軸成分であり、dは膜厚を表す。またΨは二軸性位相差フィルムの遅相軸方位を表し、o* (常光の偏光ベクトル)とs* (入射面に垂直なベクトル)のなす角度で定義される。
複数の位相差フィルムで構成される広帯域位相差フィルムを広視野角化するためには、構成する各位相差フィルムの位相差Γ及び遅相軸方位Ψが観察角度によって変化しないことが必要である。そこで位相差及び遅相軸方位の広視野角化条件について検討を行った。
【0014】
二軸性位相差フィルムの位相差は次式で表される。
Γ=(2πd/ λ)[ne √{1−(sin2φc / ne 2 +cos2φc / nz 2 )n2 sin2θi }ーno √{1−(sin2φc / nz 2 +cos2φc / no 2 )n2 sin2θi }] (5)
ここでne ,no ,nz は二軸性位相差フィルムの主屈折率を表し、φc はc* の方位角、θi は観察角度を表す。式(5) より位相差がθi に依存しない条件は次式で表される。
【0015】
z =√(ne o ) (6)
一方、二軸性位相差フィルムの遅相軸方位Ψは次式で表される。
Ψ=arccos[ (1/ηe −1/ηo )sin φc cos φc /√{(no 2 / ηz 2 )(1/(n2 sin2θi )−cos2φc / no 2 −sin2φc / ne 2 )+sin2φc / ηo 2 +cos2φc / ηe 2 }] (7)
なお、ηz =(nsin θi 2 +no 2 {1−(sin2φc / nz 2 +cos2φc / no 2 )n2 sin2θi }−nz 2
ηo =(nsin θi 2 +no 2 {1−(sin2φc / nz 2 +cos2φc / no 2 )n2 sin2θi }−no 2
ηe =(nsin θi 2 +no 2 {1−(sin2φc / nz 2 +cos2φc / no 2 )n2 sin2θi }−ne 2 である。
【0016】
正面観察時における遅相軸方位Ψ0を次式のように定義すると、
Ψ0=φc (8)
式(7)及び式(8)から遅相軸方位Ψを広視野角化するためには観察角度に対する遅相軸方位の変化量ΔΨ=ΨΨ0を常に0にすればよいことがわかる。ここで位相差の広視野角条件と遅相軸方位の広視野角条件とは一般に相異なることから、本研究では観察角度に対して位相差フィルムを通過した光の偏光状態の変化が最小となる屈折率の条件を位相差フィルムの広視野角条件として設計を行った。以上の結果に基づいて設計した二軸性位相差フィルムBXの位相差と遅相軸方位の視角依存性を図5(a),(b)に示す。また、比較として一軸性位相差フィルムUXの特性を併示する。同図より、前記設計した二軸性位相差フィルムBXの位相差及び遅相軸方位は観察角度の変化に対してほとんど変化していないことがわかる。
【0017】
広視野角化した3枚の二軸性位相差フィルムBXを用いて設計した広帯域1/4 波長板の視角特性を図6に示す。同図は、設計した広帯域1/4 波長板に円偏光の光を入射し、射出した光の偏光状態の観察角度に対する変化を計算した結果を示している。同図より、設計した広帯域1/4 波長板から射出される光の偏光状態の変化は極めて小さく、広視野角二軸性位相差フィルムを用いて波長特性の広帯域化を行うことにより、広視野角- 広帯域1/4 波長板を実現できることが示された。(iii) 偏光子の広視野角化と広波長帯域化
直交偏光子における光漏れの原理を図7に示す。直交偏光子は二枚の偏光子を互いの吸収軸が直交するように対面配置したもので、両者を区別する場合、光の入射側を偏光子(ポラライザ)、射出側を検光子(アナライザ)と呼ぶ。吸収軸方位をそれぞれ+45度、−45度にして積層した直交偏光子において0度方位からこれらを観察した場合、吸収軸の実効的な角度は観察角度θi の変化に伴い増加する。この結果、二枚の偏光子の吸収軸のなす角度が90度からずれ、光漏れが生じる。
【0018】
直交偏光子における光漏れを抑えるためには、図8に示すように、偏光子を通過した直後の光の偏光状態P1 を検光子に入射する直前で状態Eに変換すればよい。ここで状態Eは検光子の透過軸の方位A1 に直交した直線偏光を表す。J.ChenらはA-プレート及びC-プレートの組合わせ又は一枚の二軸性位相差フィルムを用いることで偏光状態P1 を状態Eに変換できることを報告している(J.Chen, K.-H.Kim, J.-J.Jyu, J.H.Souk, J.R.Kelly and P.J.Bos : SID98 Digest, p.315(1998) )。図9はA-プレート及びC-プレートを用いた広視野角偏光方式(従来偏光系)における視角依存性の補償原理を示す説明図である。しかし、従来偏光系ではA-プレート及びC-プレート又は二軸性位相差フィルムが持つ位相差の波長依存性により、図10に示すように、変換した光の偏光状態に波長依存性が生じる(図10中、R、G、Bは赤、緑、青)。このことは斜め観察時における直交偏光子の吸光度を低下させる原因となるため問題となっている。
【0019】
この問題を解決するため、本研究では二枚の二軸性位相差フィルムを用いた広視野角偏光方式(本研究偏光系)を案出した。本研究偏光系における視角依存性の補償原理を図11に示す。偏光子を通過した光P1 は一枚目の二軸性位相差フィルムBX1 により正面観察時と同じ偏光状態であるP0 に変換され、次に二枚目の二軸性位相差フィルムBX2 により状態Eに変換される。本研究偏光系による偏光状態の変化をポアンカレ球9のS1-S3 面に表したものを図12に示す。図12は波長依存性の補償原理を示している。すなわち、本研究偏光系では、(i) で述べた位相差フィルムの広帯域化の原理を用い、一枚目の二軸性位相差フィルムによって生じた偏光状態の波長依存性を二枚目の二軸性位相差フィルムによって補償することにより、広帯域化を実現している。
【0020】
本研究偏光系の構造の例を図13に示す。同図において一枚目, 二枚目の二軸性位相差フィルムBX1,BX2 の遅相軸13はフィルムの屈折率が最大になる方位に沿い、該方位は互いに平行でかつ偏光子8または検光子10の吸収軸12に対して平行または直交に配置されている。斜め観察において二軸性位相差フィルムの遅相軸は偏光子の吸収軸方位からずれることから、この結果生じる位相差を最適化することにより偏光状態を状態P0 及び状態Eに変換することができる。
【0021】
本研究偏光系における二軸性位相差フィルムの最適化条件は以下のC1,C2である(図14)。
C1:二枚の二軸性位相差フィルムの位相差Γは等しく、観察角度θiによらずπ又はπである。
C2:観察角度の変化による遅相軸方位Ψの変化量ΔΨfはそれぞれΔΨp/2とΔΨp/2である。ここに、ΔΨpは偏光子の吸収軸方位の変化量を表す。
【0022】
式(5),式(7) 等を用いて種々の観察角度毎に上記条件C1,C2 を満たすような二軸性位相差フィルムの複屈折特性を導出し、それらのうちから広い視角範囲で小さい透過率を示すものを抽出し、本発明用偏光板の要件が決定された。
例えば図13において一枚目の二軸性位相差フィルムBX1 の複屈折率特性を面内位相差=250 〜300nm 、Nz =0.6 〜1.1 とすると、偏光子8と二軸性位相差フィルムBX1 との二層体がP型の広視野角偏光板をなす。また例えば同図において二枚目の二軸性位相差フィルムBX2 の複屈折率特性を面内位相差=250 〜300nm 、Nz =0.1 〜0.4 とすると、検光子10と二軸性位相差フィルムBX2 との二層体がC型の広視野角偏光板をなす。本発明用偏光板は、その偏光子層の外面上にTACよりも位相差の小さい透明保護膜を配置したものでもよい。
【0023】
図15は、直交偏光子の斜め観察時の透過率の波長依存性の例を、通常型(#1)、従来広視野角型(#2)、本発明広視野角型(#3)について示すグラフである。直交偏光子の構成は、#1:偏光子+検光子、#2:偏光子+A-プレート+C-プレート/検光子、#3:本発明用偏光板のP型+同C型、とした。図示のように、本発明用偏光板を用いた直交偏光子では波長依存性及び光漏れが極めて小さい。また、図16は、通常型(#1)、本発明広視野角型(#3)の直交偏光子の視角依存性を示すグラフである。半径方向がθi 軸方向、円周方向がφ軸方向である。図示のように、本発明用偏光板を用いた直交偏光子では全方位に亘って光漏れが極めて小さい。
【0024】
本発明者らは、前記C型又はP型の広視野角偏光板すなわち前記本発明用偏光板と(ii)で述べた手法により設計した広視野角- 広帯域1/4 波長板とを組合わせることにより、広帯域- 広視野角の円偏光板が得られることを見出し、請求項1〜2に記載される本発明をなした。
本発明用1/4 波長板は二軸性位相差フィルムで構成される必要がある。1/4 波長板を一軸性位相差フィルムで構成したのでは円偏光板の視角特性が不十分なものとなる。二軸性位相差フィルムは単体, 複層体のいずれの構造に形成されてもよい。
【0025】
また、本発明用1/4波長板は、可視光範囲内の少なくとも一部の波長において、入射角(観察角度)60度での位相差が(1/2±3/40)×πとなるものとした。この位相差はπ/2であることが理想であるが、製作誤差の所為でこの理想は実現させ難い。そこで、本発明の円偏光板を反射型LCDに用いる場合について、あるレベル以上のコントラスト比を得るという観点から許容できる位相差の範囲を理論的に検討し、その結果(例えば図17に示す)に基づいて本発明用1/4波長板が具備すべき位相差を(1/2±3/40)×π、すなわち17π/40〜23π/40なる範囲に限定した。この範囲の位相差とすることにより、コントラスト比=約5(新聞紙相当)以上を確保できる。なお、前記位相差は、好ましくは(1/2±2/40)×π(∵コントラスト比=約10以上を確保可能)、さらに好ましくは(1/2±1/40)×π(∵コントラスト比=約100以上を確保可能)である。
【0026】
本発明の円偏光板は、例えば図1に示すような層構造を有する。図示のように、円偏光板16は広視野角偏光板15の位相差フィルム17(または18)層側に1/4波長板14を積層してなる。C型広視野角偏光板用の位相差フィルム17は二軸性で面内位相差250〜300nm、Nz0.1〜0.4なる複屈折特性を有する。またP型広視野角偏光板用の位相差フィルム18は二軸性で面内位相差=250〜300nm、Nz=0.6〜1.1なる複屈折特性を有する。また1/4波長板14は二軸性位相差フィルムの単体(複層体でもよい)からなり入射角60度での位相差(1/2±3/40)×πをもつ。
【0027】
なお、本発明の円偏光板は、その製造方法には格別の限定はなく、通常用いられる種々の製造方法のうちから本発明要件を満たすように取捨選択した適宜のものを用いて製造しうる。
次に、本発明の液晶ディスプレイは、液晶セルの片側又は両側に本発明の円偏光板をその1/4 波長板側で対面配置したもので、例えば図18に示すような層構造を有する。
【0028】
図18(a)は液晶セル19の片側に円偏光板16をその1/4 波長板14側で対面配置してなる反射型LCDの例を示している。反射型LCDでは、液晶セル19は液晶2を反射板3とガラス基板5とで挟んで形成される。液晶2とガラス基板5との間には必要に応じてカラーフィルタ4が介装される。なおさらに必要に応じてガラス基板5上に位相差フィルム(図示せず)を積層する場合もある。円偏光板16は、その1/4 波長板14層が液晶セル19のガラス基板5(又はその上の図示しない位相差フィルム)層上に位置するように配置される。
【0029】
また図18(b)は液晶セル20の両側に円偏光板16をその1/4 波長板14側で対面配置してなる透過型LCDの例を示している。透過型LCDでは、液晶セル20は液晶2を2枚のガラス基板5,5で挟んで形成される。液晶2と被視側ガラス基板5との間には必要に応じてカラーフィルタ4が介装される。なおさらに必要に応じてガラス基板5上に位相差フィルム(図示せず)を積層する場合もある。円偏光板16は、その1/4 波長板14層が液晶セル20のガラス基板5(又はその上の図示しない位相差フィルム)層上に位置するように配置される。また液晶セル19の反被視側に位置する円偏光板16の広視野角偏光板15側にはバックライト21が配置される。
【0030】
なお、本発明の液晶ディスプレイは、その製造方法には格別の限定はなく、通常用いられる種々の製造方法のうちから本発明要件を満たすように取捨選択した適宜のものを用いて製造しうる。
【0031】
【実施例】
(1)次のa〜c(比較例)及びd(実施例)の構成になる円偏光板を設計し、その1/4波長板側に鏡面反射板を配置したものについて反射率の入射角度依存性を計算で求めた。
a:一軸性位相差フィルム単体からなる1/4波長板(位相差π/2)+偏光子
b:一軸性位相差フィルム単体からなる1/4波長板(位相差π/2)+C型広視野角偏光板(面内位相差275nm、Nz0.25の二軸性位相差フィルム+偏光子)
c:二軸性位相差フィルム単体からなる1/4波長板(位相差π/2)+偏光子
d:二軸性位相差フィルム単体からなる1/4波長板(位相差π/2)+C型広視野角偏光板(面内位相差275nm、Nz0.25の二軸性位相差フィルム+偏光子)
その結果を図19にグラフで示す。半径方向がθi軸方向、円周方向がφ軸方向である。図示のように、比較例(a〜c)ではいずれも反射率1%超となる角度範囲が存在したのに対し、実施例(d)では全角度範囲に亘って反射率1%以下が達成された。
【0032】
(2)図20に示すような、液晶セル19の片面(被視側)に円偏光板16を配置した反射型LCDを設計した。液晶セル19はハイブリッドアラインメントセルとした。またそのガラス基板5上に適宜の二軸性位相差フィルムBXを配置した。同図の(a)は円偏光板16を「一軸性位相差フィルム単体からなる1/4波長板6(位相差π/2)+偏光子1」で構成した比較例である。また同図の(b)は円偏光板16を「二軸性位相差フィルムBXの三層体からなる1/4波長板14(位相差π/2)+P型の広視野角偏光板15(面内位相差275nm、Nz0.85の二軸性位相差フィルム18+偏光子1)」で構成した実施例である。
【0033】
これら比較例及び実施例の反射型LCDについてコントラスト比の視角依存性を計算で求めた。その結果を図21にグラフで示す。半径方向がθi 軸方向、円周方向がφ軸方向である。図示のように、実施例(b)では比較例(a)に比べ、高コントラスト比の視角範囲が大幅に拡大し、表示品位が飛躍的に向上することが示された。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、広波長帯域- 広視野角の円偏光板が実現し、これをLCDに適用してLCDの表示品位を飛躍的に向上させることができるという優れた効果を奏する。半径方向がθi 軸方向、円周方向がφ軸方向である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の円偏光板の層構造の例を示す模式図である。
【図2】反射型LCDの基本構成(a)および1/4 波長板を用いた構成(b)を示す模式図である。
【図3】広帯域位相差フィルムの最適化に用いる光学系の例を示す模式図である。
【図4】広帯域1/4 波長板の波長特性の例を示すグラフである。
【図5】広視野角化した二軸性位相差フィルムの特性の例を示すグラフである。
【図6】広帯域1/4 波長板の視角特性説明図である。
【図7】直交偏光子における光漏れの原理説明図である。
【図8】直交偏光子における光漏れを抑えるために必要な偏光状態の変化説明図である。
【図9】従来偏光系における視角依存性の補償原理説明図である。
【図10】従来偏光系の波長依存性を示す説明図である。
【図11】本研究偏光系における視角依存性の補償原理説明図である。
【図12】本研究偏光系における波長依存性の補償原理説明図である。
【図13】本研究偏光系の構造の例を示す模式図である。
【図14】本研究偏光系における二軸性位相差フィルムの最適化条件を示す説明図である。
【図15】直交偏光子の斜め観察時の透過率の波長依存性の例を、通常型(#1)、従来広視野角型(#2)、本発明広視野角型(#3)について示すグラフである。
【図16】通常型(#1)、本発明広視野角型(#3)の直交偏光子の視角依存性を示すグラフである。
【図17】 1/4 波長板の位相差とこれを用いた反射型LCDのコントラスト比との関係の例を示すグラフである。
【図18】本発明の液晶ディスプレイの層構造の例を示す模式図である。
【図19】円偏光板の比較例(a〜c)及び実施例(d)における反射率の入射角度依存性を示すグラフである。
【図20】LCDの比較例(a)及び実施例(b)の層構造を示す模式図である。
【図21】LCDの比較例(a)及び実施例(b)におけるコントラスト比の視角依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 偏光子
2 液晶
3 反射板(鏡面反射板)
4 カラーフィルタ
5 ガラス基板
6 1/4 波長板(一軸性位相差フィルムの単体)
7 位相差フィルム
8 偏光子
9 ポアンカレ球
10 検光子
11 入射光
12 吸収軸
13 遅相軸
14 1/4 波長板(二軸性位相差フィルムの単体又は複層体)
15 広視野角偏光板
16 円偏光板
17 位相差フィルム(C型広視野角偏光板用)
18 位相差フィルム(P型広視野角偏光板用)
19 液晶セル(反射型)
20 液晶セル(透過型)
21 バックライト
BX 二軸性位相差フィルム
UX 一軸性位相差フィルム

Claims (2)

  1. 二軸性位相差フィルムの単体又は複層体からなり入射角60度で(1/2±3/40)×πなる位相差をもつ1/4波長板の一面側に、下記C型又はP型の広視野角偏光板をその位相差フィルム層側で対面配置してなることを特徴とする円偏光板。

    C型:偏光子に面内位相差=250〜300nm、Nz=0.1〜0.4なる複屈折特性を有する二軸性の位相差フィルムを直交型に重ねてなる広視野角偏光板
    P型:偏光子に面内位相差=250〜300nm、Nz=0.6〜1.1なる複屈折特性を有する二軸性の位相差フィルムを平行型に重ねてなる広視野角偏光板
  2. 液晶セルの片側又は両側に請求項1記載の円偏光板をその1/4波長板側で対面配置してなることを特徴とする液晶ディスプレイ。
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