JP4275685B2 - トナーバインダー - Google Patents

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Description

本発明はトナーバインダーに関するものである。さらに詳しくは、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられるトナー用バインダーに関する。
近年、電子写真方式のカラー化が進み、高画質、高再現性の要求が高まっている。フルカラー電子写真用トナーにはイエロー、マゼンタ、シアンに着色されたトナーが使用される。必要に応じてブラックトナーも使用される。通常トナーは、トナーバインダー、着色剤(染料、顔料、磁性体等)、帯電制御剤などの所定材料を溶融混練し、冷却して固化させた後粉砕し、さらに微粉砕された粉砕物を分級して得られた微粒子粉体に、流動性を持たせるために添加剤(超微粒子状のコロイダルシリカなど)を加えて撹拌混合することによって得られる。また、重合法により重合単量体から重合トナーを製造する方法もあり、重合法としては懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法、シード重合法などが知られている。
電子写真プロセスでカラー画像を得るためには、このようなカラー現像剤において、重ね合わさったトナーがあらゆる色調を再現するために、よりいっそう透明性の高いトナー構成成分を使用することが求められている。
透明性に優れたトナー構成成分を使用して、色材本来の色を損なうことがないトナーを提供することをねらったものとして、無色の帯電制御剤を用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開平10−254178号公報
しかしながら、トナーを構成する主成分であるトナーバインダーの透明性が不十分であるため、得られる画像の光沢が十分満足できるものではなかった。トナーバインダー用樹脂を重合する際に、低温で重合することで樹脂の着色を低減できるものの、このような製造条件で得られたトナーバインダー用樹脂は分子量が小さく、これを用いたトナーの耐熱保存性は不十分であった。
本発明者らは、透明性および耐熱保存性に優れるトナーバインダーを開発すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、(I)活性水素化合物(a)に環状エステル(b)が開環重合されてなるポリエステル樹脂(A)からなり、(A)がポリエステル用重合触媒(c)であるテレフタル酸チタン存在下に重合させて得られた樹脂であり、(A)のヘイズ値が0.1〜40であることを特徴とするトナーバインダー;並びに、(II)活性水素化合物(a)に環状エステル(b)が開環重合されてなるポリエステル樹脂(A)からなり、(A)がポリエステル用重合触媒(c)であるテレフタル酸チタン存在下に重合させて得られた樹脂であり、(A)の光透過率が90〜100%であることを特徴とするトナーバインダー;である。
本発明のトナーバインダーは以下の効果を有する。
1.透明性に優れる。
2.耐熱保存性に優れる
3.電子写真、静電記録、静電印刷用トナーとして用いた場合、耐熱保存性が優れるとともに得られる画像の光沢が向上する。
本発明のトナーバインダーは、活性水素化合物(a)に環状エステル(b)を開環重合してなるポリエステル樹脂(A)からなる。(A)を用いると耐熱保存性が良好であり、透明な樹脂を得やすい。
活性水素化合物(a)としては、環状エステル(b)が開環重合するものであれば特に限定されないが、アルコール、カルボン酸、アミン、水酸基および/またはカルボキシル基を有するポリエステル樹脂、並びにチオール等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
アルコールとしては、組成設計の自由度の点から、2〜6価のポリオールが好ましい。2〜6価のポリオールとしては以下のものが挙げられる。
2価のアルコールとしては、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど);炭素数4〜100のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記する)〔エチレンオキサイド(以下EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下BOと略記する)など〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)のAO(EO、PO、BOなど)付加物(付加モル数2〜30);ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオールなど);植物油系ポリオール[2価のヒマシ油ポリオールなど]);およびポリブタジエンジオールなどが挙げられる。
2価のアルコールとしては、上記のヒドロキシル基以外の官能基を有しないジオール以外に、他の官能基を有するジオールを用いてもよく、例えば、カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基もしくはスルファミン酸基を有するジオール、およびこれらの中和塩等が挙げられる。
カルボキシル基を有するジオールとしては、ジアルキロールアルカン酸[炭素数6〜24のもの、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2 ,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸など]が挙げられる。
スルホン酸基もしくはスルファミン酸基を有するジオールとしては、スルファミン酸ジオール[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1〜6)またはそのAO付加物(AOとしてはEOまたはPOなど、AOの付加モル数1〜6):例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸およびN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物など];ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなどが挙げられる。
これらの中和塩基を有するジオールの中和塩基としては、例えば前記炭素数3〜30の3級アミン(トリエチルアミンなど)および/またはアルカリ金属(ナトリウム塩など)が挙げられる。
3〜6価のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜6価の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、およびポリグリセリン;糖類およびその誘導体、例えばグルコースおよびフルクトース)およびそのAO付加物;トリスフェノール類(トリスフェノールPAなど)のAO付加物(付加モル数2〜100);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物など];植物油系ポリオール[3〜6価のヒマシ油ポリオールなど])などが挙げられる。
カルボン酸としては、炭素数4〜18の2〜3価またはそれ以上の脂肪族ポリカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸など)、炭素数8〜18の2〜3価またはそれ以上の芳香族ポリカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸およびピロメリット酸など)などが挙げられる。
アミンとしては、アンモニア;脂肪族アミンとして、炭素数2〜20のアルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、イソプロパノールアミンおよびアミノエチルエタノールアミン)、炭素数1〜20のアルキルアミン(例えば、n−ブチルアミンおよびオクチルアミン)、炭素数2〜6のアルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン)、ポリアルキレンポリアミン(アルキレン基の炭素数が2〜6のジアルキレントリアミン〜ヘキサアルキレンヘプタミン、例えば、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミン)などが挙げられる。
また、炭素数6〜20の芳香族モノもしくはポリアミン(例えば、アニリン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリンおよびジフェニルエーテルジアミン);炭素数4〜20の脂環式アミン(イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミンおよびジシクロヘキシルメタンジアミン);炭素数4〜20の複素環式アミン(例えば、アミノエチルピペラジン)などが挙げられる。
チオールとしては、チオール基を2〜4個有し、炭素数2〜18のものが好ましく、エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−プロパンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、4−t−ブチル−1,2−ベンゼンジチオール、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)チオシアヌル酸、およびジ(2−メルカプトエチル)スルフィド、ジ(2−メルカプトエチル)エーテルなどが挙げられる。
水酸基および/またはカルボキシル基を持つポリエステル樹脂としては、前述の2〜6価のポリオールと、前述のポリカルボン酸(2〜3価またはそれ以上の脂肪族ポリカルボン酸および/または2〜3価またはそれ以上の芳香族ポリカルボン酸)またはその酸無水物もしくはその低級アルキルエステルとの重縮合物などが挙げられる。また、これらの低級アルキルエステルとしては、炭素数1〜4のものが好ましく、メチルエステル、エチルエステルおよびイソプロピルエステルなどが挙げられる。
(a)のうち好ましいものは、2〜6価のポリオール、並びに水酸基および/またはカルボキシル基を有するポリエステル樹脂であり、さらに好ましくは炭素数2〜36のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、炭素数4〜100のアルキレンエーテルグリコール、3〜6価の多価脂肪族アルコール、3〜6価の多価脂肪族アルコールのAO付加物、ノボラック樹脂のAO付加物、2〜6価のヒマシ油ポリオール、水酸基および/またはカルボキシル基を有するポリエステル樹脂、並びにこれらの併用である。これらのうちもっとも好ましいものは、2〜4価のヒマシ油ポリオール、水酸基価が1〜80(とくに5〜60)mgKOH/gおよび/または酸価が1〜40(とくに5〜25)mgKOH/gであるポリエステル樹脂である。水酸基価および酸価は、JIS K0070記載の方法で測定できる。
(a)に開環重合させる環状エステル(b)としては、開環重合によりポリエステルを生成するものであれば、特に限定されないが、原料入手が容易であることから、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、ラセミラクチド、グリコリド、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、およびε−カプロラクトンが好ましい。これらのうち、Tgが高く透明性の高い樹脂が得られることから、さらに好ましくは、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、ラセミラクチド、およびこれらの混合ラクチドであり、とくに好ましくは、溶媒への溶解性が向上することから、ラセミラクチドの比率が10〜30重量%のラセミラクチドと他のラクチドとの混合ラクチドである。
(A)の形態は、耐熱保存性を重視する場合、(a)がAO付加物、アルキレンエーテルグリコール等の重合体であって、(a)と(b)の重合体からなるブロック共重合体であることが好ましい。ブロック共重合体であれば、(a)からなるブロックと(b)の重合体からなるブロックの物性(SP値、HLBなど)の差を適宜調整することで、Tgの高いブロックを表面付近に配向させるこが可能となり、耐熱保存性が向上する。
一方のブロックを表面付近に配向させる方法は特に限定されないが、例えば、(A)を有機溶媒に溶解あるいは分散させて樹脂溶液を製造する工程、乳化剤および/または分散安定剤の存在下で、前記樹脂溶液と水性媒体を混合することにより前記樹脂溶液の粒子が前記水性媒体中に分散した水性分散液を製造する工程、前記粒子中の有機溶媒を除去することにより樹脂粒子を生成させる工程、前記樹脂粒子を前記水性媒体から分離し、乾燥する工程を行う方法が挙げられる(詳細は、例えば特開2005−49858号公報に記載)。
樹脂(A)の数平均分子量(Mn)、融点、Tg、SP値、水酸基価および酸価は、使用条件によって好ましい範囲に適宜調整すればよい。
例えば、Mn(ゲルパーミテーションクロマトグラフィーにて測定)は、通常1,000〜500万、好ましくは2,000〜50万である。(A)の融点(DSCにて測定、以下融点はDSCでの測定値)は、通常80〜130℃であり、好ましくは80〜120℃、さらに好ましくは、90〜110℃である。80℃以上が耐熱保存性の観点から好ましく、130℃以下が低温定着性の観点から好ましい。(A)のTgは通常30〜80℃であり、好ましくは45〜75℃、さらに好ましくは、50〜70℃である。Tgが30℃以上であるほうが耐熱保存性の観点から好ましく、80℃以下であるほうが低温定着性の観点から好ましい。(A)のSP値は、通常8〜16、好ましくは9〜14である。(A)の水酸基価は、通常70mgKOH/g以下、好ましくは5〜50mgKOH/g、さらに好ましくは10〜45mgKOH/gである。水酸基価が小さいほうが環境安定性および帯電量が向上する点で好ましい。(A)の酸価は、通常0〜40mgKOH/g、好ましくは1〜30mgKOH/g、さらに好ましくは10〜30mgKOH/g、特に好ましくは15〜25mgKOH/gである。酸価が小さいほうが環境安定性が向上するが、適度の酸価を有しているほうが帯電の立ち上がりが向上する点で好ましい。
本第一発明において、トナーバインダーを構成するポリエステル樹脂(A)のヘイズ値は、該樹脂をフィルム状(厚さ2mm)にしたものをヘイズメータを使用して測定できる(JIS K7136)。(A)のヘイズ値が小さいほど、透明性の高いトナーバインダーとなり、電子写真、静電記録、静電印刷用トナーとして用いた場合には、得られる画像の光沢が向上する。(A)のヘイズ値は0.1〜40であり、好ましくは0.3〜30、さらに好ましくは0.5〜20、もっとも好ましくは1〜15である。
本第二発明における(A)の光透過率は、該樹脂をフィルム状(厚さ2mm)にしたものをヘイズメータを使用して測定できる(JIS K7361−1)。(A)の光透過率が小さいほど、透明性の高いトナーバインダーとなり、電子写真、静電記録、静電印刷用トナーとして用いた場合には、得られる画像の光沢が向上する。(A)の光透過率は90〜100%であり、好ましくは92〜100%、さらに好ましくは94〜100%である。
(A)はヘイズ値と光透過率のどちらかが上記範囲を満たすものであるが、同時に上記範囲を満たすものが好ましい。
(A)の合成に使用するは重合触媒(c)は、活性水素化合物(a)に環状エステル(b)を主構成単位として重合することができるものであれば、特に限定されないが、透明性の高い樹脂が得られるという点で、元素の周期表の、4族、7族、8族、9族、12族および13族に属する原子群から選ばれる少なくとも1種の原子(m)が、一般式(1)で表される少なくとも2個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸配位子(n)と配位している金属触媒が好ましい。なお、(c)がテレフタル酸チタンである場合以外は、参考発明である。
(COOH)z

(Z)x−Ar−(COO−)y (1)
[一般式(1)中、ZはR−、RO−、RS−、ROCO−、RCOO−、RNHCO−もしくはRCONH−で表される1価の有機基(Rはその水素原子がハロゲン原子、シアノ基および/またはニトロ基で置換されていてもよい1価の炭化水素基)、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基を表す。Arは芳香環;yは1〜6の整数;zは0〜5の整数;xは0〜6の整数を表す。x+y+zは6以下である。]
本発明の原子(m)としては、4族原子(チタン、ジルコニウムおよびハフニウム等)、7族原子(マンガン等)、8族原子(鉄、ルテニウムおよびオスミウム等)、9族原子(コバルト、ロジウムおよびインジウム等)、12族原子(亜鉛およびカドミウム等)、および13族原子(ホウ素およびアルミニウム等)が含まれる。
これらのうち、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、ホウ素およびアルミニウムが好ましく、さらに好ましくはチタン、ジルコニウム、マンガンおよびコバルトである。特に好ましくはチタンおよびジルコニウム、最も好ましくはチタンである。なお、族は元素の周期表の族を意味する。
一般式(1)において、ZはR−、RO−、RS−、ROCO−、RCOO−、RNHCO−、RCONH−で表しで表される1価の有機基、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基をである。ここでRとは、その水素原子がハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基で置換されていてもよい1価の炭化水素基である。なお、これらはそれぞれ独立に置換されていてもよい。
Rで表される1価の炭化水素基は、炭素数1〜30の炭化水素基が使用でき、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基等が含まれる。また、一部の水素原子がハロゲン(フッ素、塩素、臭素等)、シアノ基、ニトロ基で置換されていてもよい。
脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、オクタデカニル、ビニル、プロペニル、オクテニル、オクタデセニル、モノフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、クロロオクチル、シアノエチルおよびニトロオクタデカニル等が挙げられる。
脂環式炭化水素としては、飽和脂環式炭化水素および不飽和脂環式炭化水素が使用できる。
飽和脂環式炭化水素としては、炭素数5〜20(好ましくは5〜15、さらに好ましくは5〜10)の飽和脂環式炭化水素等が用いられる。具体例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、メチルシクロヘプチル、ドデシルシクロへキシル、2,3,4−トリプロピルシクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、3,5−ジメチルシクロヘキシル、2,4,6−トリメチルシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、パーフルオロシクロヘキシル、シアノトリメチルシクロヘキシルおよびニトロシクロペンチル等が挙げられる。
不飽和脂環式炭化水素としては、炭素数5〜20(好ましくは5〜15、さらに好ましくは5〜10)の不飽和脂環式炭化水素等が用いらる。具体例としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、メチルシクロペンテニル、メチルシクロヘキセニル、メチルシクロヘプテニル、ドデシルシクロへキセニル、シクロオクテニル、2,3,4−トリメチルシクロヘキセニルおよびジニトロシクロペンチル等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、炭素数6〜20(好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜10)の芳香族炭化水素等が用いらる。具体例としては、フェニル、トリル、キシリル、クメニル、メシチル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、t−ブチルフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ウンデシルフェニル、ドデシルフェニル、フェニルフェニル、ベンジルフェニル、p−クミルフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、ペンタフルオロフェニル、ヘプチルフルオロナフチル、トリフルオロメチルフェニル、トリフルオロメチルナフチル、パーフルオロメチルフェニル、3−メチルテトラフルオロフェニル、p−トリフルオロメチルテトラフルオロフェニル、3,5−ジメチルトリフルオロフェニル、2,4,5−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ジ[t−ブチル]フェニル、2,3,5−トリメチルフェニル、インデニル、アズレニル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、アセナフチレニル、ビフェニレニル、シアノナフタセニル、ニトロピレニル、トリフェニレニルおよびパーフルオロ3,4,5−トリプロピルフェニル等が挙げられる。
RO−で表される有機基としては、炭素数1〜30のアルキルオキシ、アルケニルオキシ、シクロアルキルオキシ基、シクロアルケニルオキシ基およびアリールオキシ基等であり、その一部の水素原子がハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基で置換されていてもよい。
RS−で表される有機基としては、炭素数1〜30のアルキルチオ基、アルケニルチオ基、シクロアルキルチオ基、シクロアルケニルチオ基、アリールチオ基等であり、その一部の水素原子がハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基で置換されていてもよい。
ROCO−で表される有機基としては、炭素数1〜30の有機基等が使用でき、アルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、シクロアルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基等であり、その一部の水素原子がハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基で置換されていてもよい。
RCOO−で表される有機基としては、炭素数1〜30のアルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、シクロアルケニルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ等であり、その一部の水素原子がハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基で置換されていてもよい。
RNHCO−で表される有機基としては、炭素数1〜30のアルキルアミノカルボニル基、アルケニルアミノカルボニル基、シクロアルキルアミノカルボニル基、シクロアルケニルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基等であり、その一部の水素原子がハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基で置換されていてもよい。
RCONH−で表される有機基としては、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、シクロアルケニルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ等であり、その一部の水素原子がハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基で置換されていてもよい。
これらの有機基Zの例示のうち、ハロゲン、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、アルキルオキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルオキシカルボニル、アルールオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシが好ましい。さらに好ましくはハロゲン、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、アルキルオキシ、アリールオキシ、アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシであり、特に好ましくはハロゲン、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、アルキルオキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシである。さらに特に好ましくはハロゲン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルキルオキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニルオキシおよびアリールカルボニルオキシであり、最も好ましくはハロゲン、脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素である。
なお、Zとして、原子(m)に対して配位能力の高い置換基を有するものは触媒の活性を低下させやすいので望ましくない。
このような望ましくない置換基としては、スルフィノ基(−SO2H)、スルホ基(−SO3)、シアナト基(−OCN)、イソシアナート基(−NCO)、チオシアナト基(−SCN)、ヒドラジノ基(H2N−NH−)、ホスホノ基(−P(OH)3)、ホスフィノ基(−PR2)、アミノ基(−NR2)等が挙げられる。
ポリカルボン酸配位子(n)の一般式(1)において、Arで表される芳香環は炭素数3〜50の芳香族環を表し、単環式芳香族環(S)、多環式環集合芳香族環(T)、縮合多環式芳香族環(U)、単環式芳香族複素環(V)、多環式環集合芳香族複素環(W)および縮合多環式芳香族複素環(X)等が挙げられる。これらの芳香族環のうち、単環式芳香族環(S)、縮合多環式芳香族環(U)、単環式芳香族複素環(V)が好ましく、さらに好ましくは(S)および(U)、最も好ましくは(S)である。
一般式(1)において、2価のオキシカルボニル基(−COO−)の個数yは1〜6の整数であり、好ましくは2〜5の整数、さらに好ましくは2または3である。このオキシカルボニル基は芳香族環とは共有結合し、さらに原子(m)とは配位結合している。
1価のカルボキシル基(−COOH)の個数zは0〜5の整数であり、好ましくは0〜2である。このカルボキシル基は芳香族環とのみ共有結合し、原子(m)とは配位結合していない。y+zは2〜6の整数である。Zの個数xは0〜6の整数であり、好ましくは0〜4、さらに好ましくは0〜2である。また、x+y+zは6以下である。
一般式(1)で表されるポリカルボン酸配位子(n)は、y個の2価のオキシカルボニル基(−COO−)とz個の1価のカルボキシル基(−COOH)とx個の有機基Zが芳香族環と共有結合している。そして、このオキシカルボニル基(−COO−)がさらに同一または異なる金属原子(m)と配位結合して、重合触媒としての錯体を形成している。
このオキシカルボニル基とカルボキシル基は1個または2個以上のポリカルボン酸に由来している。
このポリカルボン酸としては、単環式芳香族ポリカルボン酸、多環式環集合芳香族ポリカルボン酸、縮合多環式芳香族ポリカルボン酸、単環式芳香族複素環ポリカルボン酸、多環式環集合芳香族複素環ポリカルボン酸および縮合多環式芳香族複素環ポリカルボン酸等が含まれる。
単環式芳香族ポリカルボン酸としては、単環式芳香族環(S)にカルボキシが少なくとも2個結合した構造を有する単環式芳香族ポリカルボン酸が使用できる。なお、()内の数字rはポリカルボン酸のカルボキシル基の数(p+q)を表す。
多環式環集合芳香族ポリカルボン酸としては、多環式環集合芳香族環(T)にカルボキシが少なくとも2個結合した多環式環集合芳香族ポリカルボン酸が使用でき、多環式環集合芳香族ジカルボン酸(r=2)、多環式環集合芳香族トリカルボン酸(r=3)および多環式環集合芳香族ポリ(テトラ−、ペンタ−またはヘキサ−)カルボン酸(r=4〜6)等が用いられる。
縮合多環式芳香族ポリカルボン酸としては、縮合多環式芳香族環(U)にカルボキシが少なくとも2個結合した縮合多環式芳香族ポリカルボン酸が使用でき、縮合多環式芳香族ジカルボン酸(r=2)、縮合多環式芳香族トリカルボン酸(r=3)および縮合多環式芳香族ポリ(テトラ−、ペンタ−またはヘキサ−)カルボン酸(r=4〜6)等が用いられる
単環式芳香族複素環ポリカルボン酸としては、単環式芳香族複素環(V)にカルボキシル基が少なくとも2個結合した単環式芳香族複素環ポリカルボン酸が使用でき、単環式芳香族複素環ジカルボン酸(r=2)、単環式芳香族複素環トリカルボン酸(r=3)および単環式芳香族複素環ポリ(テトラ−、ペンタ−またはヘキサ−)カルボン酸(r=4〜6)等が用いられる。
多環式環集合芳香族複素環ポリカルボン酸としては、多環式環集合芳香族複素環(W)にカルボキシが少なくとも2個結合した多環式環集合芳香族複素環ポリカルボン酸が使用でき、多環式環集合芳香族複素環ジカルボン酸(r=2)、多環式環集合芳香族複素環トリカルボン酸(r=3)および多環式環集合芳香族複素環ポリ(テトラ−、ペンタ−またはヘキサ−)カルボン酸(r=4〜6)等が用いられる。
縮合多環式芳香族複素環ポリカルボン酸としては、縮合多環式芳香族複素環(X)にカルボキシが少なくとも2個結合した縮合多環式芳香族複素環ポリカルボン酸が使用でき、縮合多環式芳香族複素環ジカルボン酸、縮合多環式芳香族複素環トリカルボン酸および縮合多環式芳香族複素環ポリ(テトラ−、ペンタ−)カルボン酸等が用いられる。
これらのポリカルボン酸のうち、単環式芳香族ポリカルボン酸、多環式環集合芳香族ポリカルボン酸および縮合多環式芳香族ポリカルボン酸が好ましく、さらに好ましくは単環式芳香族ジカルボン酸、単環式芳香族トリカルボン酸、多環式環集合芳香族ジカルボン酸、多環式集合芳香族トリカルボン酸、縮合多環式芳香族ジカルボン酸および縮合多環式芳香族トリカルボン酸である。特に好ましくは単環式芳香族ジカルボン酸、単環式芳香族トリカルボン酸、多環式環集合芳香族ジカルボン酸および多環式環集合芳香族トリカルボン酸であり、さらに特に好ましくは単環式芳香族ジカルボン酸および単環式芳香族トリカルボン酸である。最も好ましくは単環式芳香族ジカルボン酸であり、具体例としては、テレフタル酸が挙げられる。
重合触媒(c)の好ましい具体例としては、前記の好ましい原子(m)と上記の好ましい好ましいポリカルボン酸配位子(n)を組み合わせたものが挙げられ、さらに好ましくはテレフタル酸チタン、およびテレフタル酸ジルコニウムであり、とくに好ましくはテレフタル酸チタンである。
活性水素化合物(a)に環状エステル(b)を開環重合させてポリエステル樹脂(A)を得る方法としては、通常のエステル化反応と同様の方法で行うことができ、例えば、(a)と(b)、重合触媒(c)および必要により溶媒とからなる混合物を一度に攪拌機つきの反応容器内に入れ窒素雰囲気下反応温度で加熱攪拌を製造することができる。反応初期圧力は、加圧、常圧、微減圧のいずれでもよい。触媒は一度に反応に必要な全量を加えるか、数回に分けて反応途中に追加してもよい。
(a)のモル数と(b)のモル数の比率は生成するポリエステルを使用する目的によって適宜調整される。(a)の比率を大きくするほどポリエステルの分子量が低くなる。モル比(b)/(a)は、好ましくは1〜10000であり、さらに好ましくは5〜5000、とくに好ましくは10〜3000である。
重合触媒(c)の使用量は、反応させる(b)のモル数に基づく原子(m)の濃度として、0.0005〜0.05モル%が好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.04モル%、最も好ましくは0.005〜0.03モル%である。この濃度範囲であると重合時の着色が少なく、かすみのない透明なポリエステルが得られやすい。また、重合反応において2種以上の(c)を併用することができる。
重合反応を行う際に、必要により溶媒を使用することができる。溶媒としては、通常のエステル化およびエステル交換反応に使用されるものをそのまま用いることができる。例えば、ベンゼン、トルエン、ジメチルフォルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、キシレン、四塩化炭素およびクロロホルム等が挙げられる。溶媒を使用する場合、溶媒の使用量(重量%)は、反応させるカルボン酸成分の重量に基づいて、0〜80が好ましく、さらに好ましくは10〜60、特に好ましくは30〜50である。
重合反応の反応温度(℃)は、120〜300が好ましく、さらに好ましくは140〜280、特に好ましくは160〜250である。
本発明のトナーバインダーにおいて、(A)以外に他の樹脂を併用してもよい。他の樹脂としては、本発明以外のポリエステル樹脂〔(A)を構成単位に含まないポリエステル樹脂〕、スチレン系樹脂[スチレンとアルキル(メタ)アクリレートの共重合体、およびスチレンとジエン系モノマーとの共重合体等]、エポキシ樹脂(ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの付加縮合物の硬化物等)、ウレタン樹脂(ジオールとジイソシアネートの重付加物等)などが挙げられる。他の樹脂のMnは、好ましくは1000〜200万である。
これら他の樹脂の含有量(重量%)は、トナー バインダーの重量を基準として、好ましくは0〜80、更に好ましくは0〜50、特に好ましくは0〜30である。
本発明のトナーバインダーは、着色剤、および必要により離型剤、荷電制御剤などの種々の添加剤等を混合し、乾式トナーとして用いられる。
着色剤としては公知の染料、顔料および磁性粉を用いることができる。具体的には、カーボンブラック、スーダンブラックSM、ファーストイエロ−G、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、バラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、プリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB、オイルピンクOP、マグネタイト、鉄黒などが挙げられる。
トナー中の着色剤の含有量は、染料または顔料を使用する場合は、好ましくは2〜15重量%であり、磁性粉を使用する場合は、好ましくは20〜70重量%である。
離型剤としては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックス(カルナバワックス、モンタンワックス、ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。
トナー中の離型剤の含有量は、好ましくは0〜10重量%であり、さらに好ましくは1〜7重量%である。
荷電制御剤としては、公知のものすなわち、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩化合物、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸金属塩、スルホン酸基含有ポリマー、含フッソ系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマーなどが挙げられる。
トナー中の荷電制御剤の含有量は、好ましくは0〜5重量%である。
さらに、流動化剤を使用することもできる。流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末など公知のものを用いることができる。
トナーを作る方法は、通常用いられる方法でよく、(i)流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェット粉砕機等を用いて微粒化して、更に分級することにより体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20ミクロンの微粒とした後、流動化剤を混合してトナーを得る方法等を挙げることができる。また、(ii)流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶媒に溶解あるいは分散させて樹脂溶液を製造する工程、乳化剤および/または分散安定剤の存在下で、前記樹脂溶液と水性媒体を混合することにより前記樹脂溶液の粒子が前記水性媒体中に分散した水性分散液を製造する工程、前記粒子中の有機溶媒を除去することにより樹脂粒子を生成させる工程、前記樹脂粒子を前記水性媒体から分離し、乾燥する工程を順次行った後、流動化剤を混合してトナーを得る方法を挙げられる。Tgの高いブロックを表面に配向させることができることから、(ii)の方法でトナーを作る方が好ましい。(ii)の方法の詳細は、例えば特開2005−49858号公報に記載されている。
本発明のトナーバインダーを用いた乾式トナーは必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、および樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂など)により表面をコーティングしたフェライトなどのキャリアー粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。また、キャリア粒子のかわりに帯電ブレードなどの部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
次いで、公知の熱ロール定着方法などにより支持体(紙、ポリエステルフィルムなど)に定着して記録材料とされる。
以下、実施例および比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、「部」は「重量部」を意味する。
<実施例1>
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、ポリプロピレングリコール(三洋化成工業製ニューポールPP−2000)100部、L−ラクチド500部およびテレフタル酸チタン1部を投入し、窒素置換後、160℃で6時間重合し、[樹脂1]を得た。
ビーカー内に[樹脂1]100部および酢酸エチル40部を混合しておき、水500部およびドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩3部を添加した後、TKホモミキサー(特殊機化製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間混合し、[水性分散体1]を得た。[水性分散体1]100部、着色剤[銅フタロシアニン]4部、離型剤[ビスコール550P(軟化点150℃);三洋化成工業(株)製]4部、および水50部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間攪拌して、[水性分散体2]を得た。[水性分散体2]を50℃で3時間攪拌した後、遠心分離して、水100部を添加し固液分離する工程を3回繰り返し、粒径(D50)が約5μmの本発明のトナーバインダーからなるトナー(P1)を得た。
<実施例2>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール701部(18.8モル)、テレフタル酸ジメチルエステル716部(7.5モル)、アジピン酸180部(2.5モル)、および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、180℃で窒素気流下に、生成するメタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する1,2−プロピレングリコール、水を留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下に反応させ、軟化点が150℃になった時点で取り出した。回収された1,2−プロピレングリコールは316部(8.5モル)であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化し[ポリエステルa1]を得た。[ポリエステルa1]のMnは2000、水酸基価は43mgKOH/g、酸価は19mgKOH/gであった。
なお、( )内のモル数は、相対的なモル比を意味する。
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、[ポリエステルa1]100部、L−ラクチド500部およびテレフタル酸チタン1部を投入し、窒素置換後、160℃で6時間重合し、[樹脂2]を得た。
ビーカー内に[樹脂2]100部および酢酸エチル40部を混合しておき、水500部およびドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩3部を添加した後、TKホモミキサー(特殊機化製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間混合し、[水性分散体3]を得た。[水性分散体3]100部、着色剤[銅フタロシアニン]4部、離型剤[ビスコール550P(軟化点150℃);三洋化成工業(株)製]4部、および水50部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間攪拌して、[水性分散体4]を得た。[水性分散体4]を50℃で3時間攪拌した後、遠心分離して、水100部を添加し固液分離する工程を3回繰り返し、粒径(D50)が約5μmの本発明のトナーバインダーからなるトナー(P2)を得た。
<実施例3>
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、[ヒマシ油ポリオールHS 3P−255(豊国製油(株)製)]15部、L−ラクチド500部およびテレフタル酸チタン1部を投入し、窒素置換後、160℃で6時間重合し、[樹脂3]を得た。
ビーカー内に[樹脂3]100部および酢酸エチル40部を混合しておき、水500部およびドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩3部を添加した後、TKホモミキサー(特殊機化製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間混合し、[水性分散体5]を得た。[水性分散体5]100部、着色剤[銅フタロシアニン]4部、離型剤[ビスコール550P(軟化点150℃);三洋化成工業(株)製]4部、および水50部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間攪拌して、[水性分散体6]を得た。[水性分散体6]を50℃で3時間攪拌した後、遠心分離して、水100部を添加し固液分離する工程を3回繰り返し、粒径(D50)が約5μmの本発明のトナーバインダーからなるトナー(P3)を得た。
<実施例4>
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、実施例2記載の[ポリエステルa1]100部、L−ラクチド400部、ラセミラクチド100部およびテレフタル酸チタン1部を投入し、窒素置換後、160℃で6時間重合し、[樹脂4]を得た。
ビーカー内に[樹脂4]100部および酢酸エチル40部を混合しておき、水500部およびドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩3部を添加した後、TKホモミキサー(特殊機化製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間混合し、[水性分散体7]を得た。[水性分散体7]100部、着色剤[銅フタロシアニン]4部、離型剤[ビスコール550P(軟化点150℃);三洋化成工業(株)製]4部、および水50部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間攪拌して、[水性分散体8]を得た。[水性分散体8]を50℃で3時間攪拌した後、遠心分離して、水100部を添加し固液分離する工程を3回繰り返し、粒径(D50)が約5μmの本発明のトナーバインダーからなるトナー(P4)を得た。
<実施例5>
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、実施例2記載の[ポリエステルa1]100部、D−ラクチド400部、ラセミラクチド100部およびテレフタル酸チタン1部を投入し、窒素置換後、160℃で6時間重合し、[樹脂5]を得た。
ビーカー内に[樹脂5]100部および酢酸エチル40部を混合しておき、水500部およびドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩3部を添加した後、TKホモミキサー(特殊機化製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間混合し、[水性分散体9]を得た。[水性分散体9]100部、着色剤[銅フタロシアニン]4部、離型剤[ビスコール550P(軟化点150℃);三洋化成工業(株)製]4部、および水50部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間攪拌して、[水性分散体10]を得た。[水性分散体10]を50℃で3時間攪拌した後、遠心分離して、水100部を添加し固液分離する工程を3回繰り返し、粒径(D50)が約5μmの本発明のトナーバインダーからなるトナー(P5)を得た。
<実施例6>
温度計および攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、[ヒマシ油ポリオールHS 3P−255(豊国製油(株)製)]15部、L−ラクチド400部、ラセミラクチド100部およびテレフタル酸チタン1部を投入し、窒素置換後、160℃で6時間重合し、[樹脂6]を得た。
ビーカー内に[樹脂6]100部および酢酸エチル40部を混合しておき、水500部およびドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩3部を添加した後、TKホモミキサー(特殊機化製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間混合し、[水性分散体11]を得た。[水性分散体11]100部、着色剤[銅フタロシアニン]4部、離型剤[ビスコール550P(軟化点150℃);三洋化成工業(株)製]4部、および水50部を混合し、TKホモミキサー(特殊機化製)を使用し、回転数12000rpmで25℃で1分間攪拌して、[水性分散体12]を得た。[水性分散体12]を50℃で3時間攪拌した後、遠心分離して、水100部を添加し固液分離する工程を3回繰り返し、粒径(D50)が約5μmの本発明のトナーバインダーからなるトナー(P6)を得た。
<比較例1>
テレフタル酸チタンをオクチル酸スズに変更する以外、実施例1と同様にして比較のトナーバインダーからなるトナー(CP1)を得た。
<比較例2>
4つ口フラスコに、環流冷却器、蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計および撹拌装置を常法に従い設置し、無水フタル酸15部、テレフタル酸ジメチル170部、1,4−シクロヘキサンジメタノール66部、エチレングリコール22部、ネオペンチルグリコール49部およびチタンテトラブトキシド0.2部を仕込み、180℃で、生成する水およびメタノールを蒸留塔より留出させながらエステル化反応させた。蒸留塔より水およびメタノールが留出しなくなった時点でエステル化反応を終了した。さらに、系内を5mmHg以下に減圧し、200℃、攪拌回転数150rpmで、縮合反応で生じた遊離ジオールを系外へ留出させて[樹脂7]を得た。[樹脂1]を[樹脂7]に変更する以外、実施例1と同様にして比較のトナーバインダーからなるトナー(CP2)を得た。
上記により得られた上記により得られたトナー(P1)〜(P6)、および(CP1)〜(CP2)の物性確認および性能評価を行った。結果を表1に示す。
(1)ヘイズ値
トナーバインダーのみを用いて、厚さ2mmのフィルムを作成し、JIS K7136に準拠して、ヘイズメーター(「NDH2000」、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
(2)光透過率
トナーバインダーのみを用いて、厚さ2mmのフィルムを作成し、JIS K7361−1に準拠して、ヘイズメーター(「NDH2000」、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
(3)光沢評価
市販カラー複写機(CLC−1;キヤノン製)の定着装置からオイル供給装置を取り除き、定着ロール上のオイルを除去した改造機を用いて定着評価した。定着画像の60゜光沢が10%以上となる定着ロール温度をもって光沢発現温度とした。光沢の良好なトナーほど光沢発現温度が低い。
(4)耐熱保存性
トナーを50℃×8時間保管後、42メッシュのふるいにて2分間ふるい、金網上の残存率(重量%)をもって耐熱保存性とした。耐熱保存性の良好なトナーほど残存率は小さい。
本発明のトナーバインダーは、耐熱保存性および透明性に優れることから、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられるトナーに用いるトナーバインダーとして極めて有用である。

Claims (4)

  1. 活性水素化合物(a)に環状エステル(b)が開環重合されてなるポリエステル樹脂(A)からなり、(A)がポリエステル用重合触媒(c)であるテレフタル酸チタン存在下に重合させて得られた樹脂であり、(A)のヘイズ値が0.1〜40であることを特徴とするトナーバインダー。
  2. 活性水素化合物(a)に環状エステル(b)が開環重合されてなるポリエステル樹脂(A)からなり、(A)がポリエステル用重合触媒(c)であるテレフタル酸チタン存在下に重合させて得られた樹脂であり、(A)の光透過率が90〜100%であることを特徴とするトナーバインダー。
  3. 活性水素化合物(a)が、2〜6価のポリオール、並びに水酸基および/またはカルボキシル基を有するポリエステル樹脂から選ばれる1種以上である請求項1または2記載のトナーバインダー。
  4. 環状エステル(b)が、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、ラセミラクチド、グリコリド、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、およびε−カプロラクトンから選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれか記載のトナーバインダー。
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