第一の本発明は、基板上に形成された複数の電極に微粒子の帯電極性と同極性の電圧を印加し、微粒子に働く斥力を利用して微粒子を散布することよりなる微粒子散布方法であって、上記微粒子が上記複数の電極からなる電極領域より押し出されないようにする手段を有する微粒子散布方法である。
上記基板としては、例えば、その表面に複数の電極を有する、ガラス製基板、樹脂製基板、金属製基板等が挙げられ、基板状、フィルム状等の形状は特に限定されない。ただし、金属製基板を用いる場合は、表面に形成された電極がショートしないように、金属製基板上に絶縁層を設ける必要がある。
上記電極としては特に限定されず、例えば、透明電極、透明電極を線状にしたもの(線状透明電極)等が挙げられる。上記複数の電極が形成された基板としては、パターン状の透明電極から構成される基板等が挙げられる。上記パターン状の透明電極から構成される基板としては、線状透明電極が平行に並べられて構成されたストライプ状電極を形成させた基板等が挙げられる。上記ストライプ状電極は、液晶表示装置において、いわゆる表示電極として用いられているものである。また、上記複数の電極からなる電極領域は、複数の電極からなる電極群を形成している領域であり、複数の電極が表示電極として用いられている場合は、表示電極領域のことである。液晶表示装置においては、上記表示電極を形成している領域のうち、表示を行うための領域を表示領域という。
また、上記微粒子散布方法が液晶表示装置の製造方法として用いられる場合、上記基板としては、例えば、ブラックマトリックス、カラーフィルタ、オーバーコート層、パターン状の透明電極及び配向膜を有するカラーフィルタ基板や、ブラックマトリックス、オーバーコート層、パターン状の透明電極及び配向膜を有する基板等が挙げられ、スペーサが散布される基板は、カラーフィルタを有する基板であっても、この基板に対向する基板であってもよい。
従って、上記微粒子散布方法をSTN型液晶表示装置の製造方法に適用する場合には、パターン状の透明電極を最低限有する基板であれば、コモン電極(走査電極)基板又はセグメント電極(表示電極)基板のいずれに対しても適用することが可能である。
上記微粒子としては特に限定されず、例えば、金属微粒子;合成樹脂微粒子;無機微粒子;合成樹脂に顔料が分散された遮光性微粒子;染料により着色された微粒子;加熱・光等により接着性を発揮する微粒子;金属微粒子、合成樹脂微粒子、無機微粒子等の表面が金属によりメッキされた微粒子等が挙げられ、液晶表示装置においてはスペーサとして用いられているものである。上記スペーサは、液晶表示装置において、セル厚調整をするためのものである。
また、上記微粒子の散布方法は、乾式散布方法、湿式散布方法のいずれであってもよい。上記湿式散布方法では、水、アルコール等の混合溶媒中に微粒子を分散させて散布するが、この場合であっても微粒子は帯電するため、第一の本発明の効果を損なうことはない。しかしながら、乾式散布の方が帯電量が安定するため、乾式散布が好ましい。
上記乾式散布方法において、上記微粒子の帯電方法としては、微粒子が配管との接触を繰り返すことにより帯電する方法、微粒子に電圧を印加することにより帯電する方法等が挙げられる。これらの中でも、圧縮空気、圧縮窒素のような媒体で微粒子を配管内に通すことにより、微粒子は安定的に帯電する。この場合、微粒子の帯電及び基板上への水分の付着防止の観点から、媒体である気体は水分の極力少ない乾燥状態が好ましい。
上記配管の材質としては、金属製であっても樹脂製であってもよく、微粒子の帯電極性、帯電量との関連から適宜選定される。
上記金属製配管としては特に限定されず、例えば、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン等の単一組成の配管;ステンレス等の合金からなる配管等が挙げられる。また、配管内壁に、金、クロム等の金属被膜をメッキ等により形成してなる配管等であってもよい。
上記樹脂製配管としては特に限定されず、例えば、テフロン、塩化ビニル、ナイロン等からなる配管等が挙げられるが、安定的な帯電を得るためには、これらの樹脂製配管を金属で被覆し、アースしておくことが必要である。これは、微粒子と配管との接触で電荷の出入りが行われるが、アースしていないと電荷が樹脂製配管に留まり、安定的な帯電を得ることができなくなってしまうからである。
また、微粒子の帯電量を調節するために、これら材質の異なる配管を直列に連結してもよい。
微粒子の散布時に、単に、帯電した微粒子と基板上の電圧が印加された複数の電極との極性を同極性とするときには、例えば、微粒子の帯電極性を正極性(+)とし、複数の電極に印加された電圧の極性も正極性(+)とした場合、基板上に散布される微粒子の全体数は、複数の電極に電圧を印加しない場合よりも少なくなり、安定したものとなる。
しかしながら、複数の電極の存在しない基板端部では、斥力が働かないことになるので、基板外周付近の微粒子が、基板外に飛ばされてしまうことになる。従って、複数の電極からなる領域外周部分には充分な数の微粒子が存在しないこととなり、これを液晶表示装置の製造方法に適用し、微粒子としてスペーサを用いた場合、液晶表示装置のセル厚が小さくなってしまい、表示ムラが発生するおそれがあった。
この場合、液晶表示装置を製造するときに、液晶表示装置に一定荷重を与える工程を経るが、そのときに基板の一部分でスペーサの数に不均一が生じると、スペーサ1個当たりに掛かる荷重が変わるため、スペーサの歪みが変化し、セル厚が変化して、液晶表示装置の表示が不均一となる。
これら上記複数の電極からなる領域外周付近の微粒子数の増減の原因は、液晶表示装置の製造方法に適用した場合について説明すれば、図1に示すように、スペーサの帯電極性と同極性の電圧をパターン状の透明電極に印加して、スペーサを透明電極間隙に配置させようとする場合、落下中のスペーサを表示領域内から表示領域外に反発させようとする力(斥力)が働き、特に、表示領域の外周付近においては、透明電極からなる領域の外側の基板上に斥力が存在しないために、表示領域外周部に配置されるべき微粒子が外側に逃げてしまうか、又は、表示領域の外側の領域が広い場合には、表示領域の外側の領域に集中的に微粒子が散布されることにある。
そこで、第一の本発明の微粒子散布方法は、基板上に形成された複数の電極に微粒子の帯電極性と同極性の電圧を印加し、微粒子に働く斥力を利用して微粒子を散布することよりなる微粒子散布方法であって、微粒子が上記複数の電極からなる電極領域より押し出されないようにする手段を有することを特徴とするものである。
特に、電極間隙への選択配置性を向上させるために、微粒子の帯電量及び/又は複数の電極へ印加する電圧値を大きくした場合も、微粒子が複数の電極からなる電極領域より押し出されないような作用が働くため、複数の電極からなる電極領域の端部にある電極間にも微粒子が散布配置される。
上記微粒子散布方法は、上記複数の電極からなる電極領域外にダミー電極を設け、該ダミー電極に微粒子と同極性の電圧を印加することにより、複数の電極からなる電極領域の外周部の電場を制御するのが好ましい。
従って、ダミー電極に微粒子と同極性の電圧を印加し、電圧を調節することにより電場を制御し、微粒子に斥力を働かせ複数の電極からなる電極領域外に押し出されようとする微粒子を押し戻すことが可能になり、複数の電極からなる電極領域の端部にある電極間にも微粒子が散布配置されるようになる。
また、上記ダミー電極に与える電圧の調整次第では、微粒子の配置密度を制御することも可能である。つまり、ダミー電極にも電圧を印加することにより、複数の電極からなる電極領域端部のマクロ的な電場の偏りを補正することが可能になる。
更に、ダミー電極に与える電圧を調節することにより、意識的に複数の電極からなる電極領域端部に配置する微粒子量を制御することが可能となり、第一の本発明を液晶表示装置に応用することにより、複数の電極からなる電極領域端部(シール部分の近傍)のセル厚調整が可能となる。
上記ダミー電極としては、複数の電極からなる電極領域(電極群)外に配置形成された導電性のものがその範囲に含まれ、例えば、以下に述べるものを挙げることができるが、これらに限定する必要もなく、適宜用いられるダミー電極を有効に利用することができる。
特開昭63−266427号公報には、表示電極形成部と同じ状態にして、基板間のギャップ不良による色ムラをなくして背景色と同色の表示部品質の向上を図ることを目的として設けられた表示用電圧を印加しないダミー電極が開示されている。
ダミー電極は、上基板にITO等の透明導電材料からなるストライプ状の表示電極、及び、上基板の外周部にシール部を形成して、表示電極とシール部との間に設けられ、ダミー電極によって、表示部とシール部との間は、表示部と同一状態となる。
また、ダミー電極は、表示電極と同時に形成すれば、同一材料を用い、同一膜厚とすることが可能であるが、表示用電圧(信号電圧)は印加されない。下基板は、上基板と同様に表示電極とシール部との間にダミー電極が形成されている。
特開平2−301724号公報には、液晶厚の均一な液晶パネルの製造を可能にすることを目的として設けられた透明電極(ダミー電極)が開示されている。
上基板と下基板とに設けられたダミー電極のうち、上基板に設けられたダミー電極は、非表示領域のうち左辺及び下辺では下基板のダミー電極と対向し、上辺では表示領域を形成する透明電極と対向する。また、非表示領域のうち右辺では、下基板のダミー電極と、上基板の透明電極とが対向する。
従って、非表示領域のすべての領域で透明電極が対向している。これにより、すべての領域が、ギャップ材の径で決定される液晶層の厚みをもつ均一な液晶パネルを得ることができる。
特開平3−260624号公報には、ラビング処理工程後、ダミー電極を切断することにより、ラビング処理中に静電気の発生するのを防止することを目的として、セグメント電極を囲む位置に、セグメント電極との間隔が1〜5μmの範囲で設けられたダミー電極が開示されている。
ダミー電極は、一対の基板上に透明電極層からなるセグメント電極とコモン電極とを設け、更に各電極層上に配向膜層を設けた基板間に液晶を狭持させたドットマトリクス型液晶装置において、静電気による配向膜層の破壊を防止して表示品質の高い液晶装置を得ようとするものである。
即ち、基板上のセグメント電極を囲む位置にダミー電極を設け、セグメント電極とダミー電極との間隔が1〜5μmの範囲となるようにすることにより、ラビング工程中、セグメント電極間の静電気の発生はなくなり、ラビング処理後、ダミー電極を切断することによって表示ムラのない液晶表示装置を得ることができる。
特開平6−51332号公報には、マトリクス型液晶装置において、画素部以外の外側部分である引き出し電極部分での色ムラをなくすことを目的として設けられたダミー電極が開示されている。
ダミー電極は、画素部の外側を、画素部での液晶層の厚みと同じ厚みとするために設けられる。
また、上記ダミー電極は、一般的に、STN型液晶表示装置の製造工程における静電気を原因とするスパークによる配向膜の損傷を防止するために、基板の表示領域の外側に形成されるものであってもよい。例えば、一枚の基板からストライプ状透明電極を有する表示用の基板を二枚作製する場合には、図2及び図3に示すように、表示領域の周囲に設けられる。図2は、ダミー電極に導通がある場合であり、図3は、ダミー電極に導通がない場合である。
上記微粒子散布方法は、上記複数の電極に印加する電圧が500〜8000Vであるのが好ましい。
印加する電圧が制御されることにより、上記微粒子と上記電極間に働く斥力は強くなり、上記電極間への選択配置性が向上し、かつ、上記複数の電極からなる電極領域外へ微粒子が押し出されず上記複数の電極からなる電極領域端部にも配置性良く上記微粒子が散布される。
第一の本発明の微粒子散布方法は、基板上であって、複数の電極からなる電極領域の少なくとも外周部の一部に、複数の電極とは異なる電極に微粒子と同極性の電圧を印加するのが好ましい。
ここで、複数の電極とは異なる電極であるダミー電極は、複数の電極が形成された基板上に形成され、微粒子散布装置への上記基板のセッティング位置によらず、常に、基板上の上記複数の電極がつくる電場の偏りが解消されるように作用する。また、基板上に複数の電極及びダミー電極を形成するので、基板の大きさや電極に印加する電圧の違いにより微粒子散布装置の設定を変更する必要がなくなり、工業的に有利である。
第一の本発明の微粒子散布方法においては、複数の電極とは異なる電極が、複数の電極に電圧を印加するための補助電極以外の外周部に設けられるのが好ましい。
例えば、複数の電極がストライプ状の電極の場合、ストライプ状の電極の一端又は両端には上記電極に電圧を印加するための補助電極(ベタ電極)が設けられており、上記補助電極(ベタ電極)により電場の偏りが補正される。従って、特に補助電極の形成されていない部位に、微粒子が複数の電極からなる電極領域より押し出されないようにする手段を設けることが好ましい。
第一の本発明の微粒子散布方法においては、複数の電極とは異なる電極の面積が、複数の電極のそれぞれの電極の面積よりも大きいのが好ましい。
即ち、電極の面積を大きくすることで微粒子に作用する斥力は大きくなり、ダミー電極の面積を複数の電極のそれぞれの面積より大きくすることで、微粒子を複数の電極からなる電極領域に押し戻す大きな作用が働き、より効果的に、複数の電極からなる電極領域端部にある電極間にも微粒子が散布配置される。
第一の本発明の微粒子散布方法においては、複数の電極及び複数の電極とは異なる電極に印加する電圧を同一電圧にするのが好ましい。
例えば、複数の電極とダミー電極とを形成時において電気的に短絡するようパターニングすれば、新たにダミー電極に電圧を印加するための電線等を設ける必要がなく、かつ、新たにダミー電極に電圧を印加する手段を別に用意する必要がないので工業的に有利である。
第一の本発明の微粒子散布方法においては、複数の電極とは異なる電極が、基板外周部に設けられたベタ電極であるのが好ましい。
即ち、段差を解消するために設けられた基板外周部のベタ電極(メッシユ状電極)に電圧を印加することにより、工程数を増やすことなく、従来の設計基準を用いて、第一の本発明の効果が実現可能となる。
なお、この場合において、複数の電極からなる電極領域外に電圧を印加する電極としては、ベタ電極、メッシュ状電極、ブロック状電極等いかなる電極を用いてもよい。
第一の本発明の具体的な実施形態について、図4〜8を用いて説明する。
図4は、第一の本発明の実施形態で用いるスペーサ散布装置を示す概略図である。密閉又はそれに近い状態のクリーンな容器10の上端部に、帯電させたスペーサ8を吹き付け散布するノズル11aが設けられている。ノズル11aには、スペーサ8と窒素ガスとを供給する供給器(図示せず)が配管17を介して接続されている。容器10の下方には、表示電極3が形成されているガラス等からなる絶縁性基板1が配置され、表示電極3に電圧を印加して電場を形成するための導線18が設けられている。尚、表示電極3に電圧を印加して電場を形成しなくても、スペーサ散布装置内に設けられたステージ(電極)15によって電場を形成するようにしてもよい。
通常、液晶表示装置の製造においては、スペーサ8の散布は、適量のスペーサ8を上述した帯電方法により帯電させ、この場合スペーサ8を負に帯電させて、圧縮空気、圧縮窒素等により飛散させ、基板上に散布することにより行われる。
図5及び図6は、第一の本発明に係わる電極パターンを示す概略図である。図5に示すように、絶縁性基板1上に、ストライプ状の表示電極3と、表示領域外に設けられ、電圧が印加されるダミー電極21とが形成されており、それぞれに電圧を印加する手段(図示しない)が設けられている。上記電圧を印加する手段としては、表示電極3に電圧を印加するための補助電極を形成してもよいし、又は、それぞれの電極にプローブピン等を用いて表示電極3に直接電圧を印加してもかまわない。
そして、図6に示すように、複数の電極からなる電極領域(表示電極領域)では、全体的(マクロ的)に負に帯電しているため、スペーサに対しては斥力(実線)が働き、スペーサは電場を形成していない表示電極領域外に移動する(逃げる)傾向がある。しかしながら、ダミー電極21にも負電圧を印加することにより、逃げやすい表示電極端部のスペーサを確実に表示電極間に配置させることができる。
図6中の実線は、スペーサにかかる斥力の大きさを模式的に示したもので、スペーサに働く斥力の大きさを「上に凸」の半円形状で示してある。図6は、帯電したスペーサが斥力の谷間に移動して配置される様子を示している。
図7及び図8は、電極基板上に形成されるマクロ的な電場によるスペーサの移動を説明するための概念図である。表示電極部では全体的(マクロ的)に負に帯電しているため、図8においては、スペーサに対して斥力が働き、スペーサは電場を形成していない表示電極部外へと押し出されようとする。ここで、図7に示すように、ダミー電極21に負電圧を印加することにより、スペーサを押し戻し、表示電極端部の所定の表示電極間にもスペーサを配置させ、表示電極端部と表示電極中央部のスペーサ密度を所定密度に保つことが可能となる。
上記実施形態では、表示電極が形成された基板上にダミー電極21を設けることにより、電場を制御する方法について述べたが、他に表示電極が形成された基板を固定するためのステージやスペーサ散布装置壁面等に電圧を印加して同様の効果を得る方法もある。しかしながら、絶縁性基板をセットする基台や微粒子散布装置の壁面に電場を制御するダミー電極を設置した場合、絶縁性基板上のセット位置を上記絶縁性基板以外に設けられたダミー電極から均等な位置に配置する必要があり、工業的に不向きである。
また、微粒子散布装置の壁面にダミー電極を設けた場合、絶縁性基板より液晶表示装置を2面切り出す2面取り基板では、上記2面が隣り合った辺ではその作用が働かない。
更に、絶縁性基板外にダミー電極を設ける場合は、表示電極領域との距離が増し、従来、電極に印加する電圧よりも遙に高い電圧をダミー電極に印加する必要があるため工業的ではない。
一方、第一の本発明によれば、ダミー電極に印加する電圧を調節することで、表示領域外周部へ配置されるスペーサ密度の制御も可能となり、スペーサ配置密度による基板セル厚の微調整も可能となる。
また、上記実施形態では、単純マトリクス型液晶表示装置を用いているが、第一の本発明は単純マトリクス型液晶表示装置に限定されるものではなく、強誘電性液晶表示装置又はTFT型液晶表示装置等の液晶表示装置でも当然利用できるものである。
第一の本発明の微粒子散布方法を応用して液晶表示装置を製造する場合においては、表示領域外の電極(ダミー電極)に、スペーサ(微粒子)に対して斥力が働く電圧を印加することにより、表示電極領域端部上のマクロ的な電位の傾き(斥力の大きさの勾配)により、表示電極領域外へと移動しようとするスペーサを押し戻すように電場が形成でき、表示電極領域端部の配置されにくい電極間にもスペーサは確率良く配置され、より高品位な液晶表示装置を提供することが可能になる。また、表示領域外周部へ配置されるスペーサ密度の制御も可能で、更により表示品位の高い液晶表示装置が提供できる。
第二の本発明は、少なくともパターン状の透明電極から構成され、表示領域を有する第一の基板及び第一の基板の上に対向配置される第二の基板のうち少なくとも一方の基板にスペーサを散布し、両基板の間隙に液晶を注入してなる液晶表示装置の製造方法であって、上記表示領域外に付設電極を設け、正極性又は負極性に帯電した上記スペーサを上記基板上に散布するに際し、上記透明電極毎に2値又はそれ以上の異なる電圧を印加し、かつ、上記付設電極にも電圧を印加して、透明電極及び付設電極上の上方に発生する電場を制御することにより、隣接する透明電極間のうち所定の透明電極間にのみスペーサを選択的に配置する液晶表示装置の製造方法である。
上記パターン状の透明電極、基板、スペーサ及びスペーサの帯電方法としては、第一の本発明において説明したのと同様である。
第二の本発明の液晶表示装置の製造方法をTFT型液晶表示装置の製造方法に適用する場合、コモン電極基板であるカラーフィルタ側基板のブラックマトリックス部分の直下に、エッチング等を行い上記透明電極の存在しない領域を形成し、第二の本発明の液晶表示装置の製造方法によりスペーサを基板に配置させればよい。通常のTFT型液晶表示装置はコモン電極基板がベタ電極であるが、透明電極をエッチングした電極であっても、各電極に同電圧を印加することにより、通常のTFT型液晶表示装置と同様に駆動させることができる。
第二の本発明は、表示領域外に付設電極を設け、スペーサを帯電させて散布して、透明電極毎に2値又はそれ以上の異なる電圧を印加するとともに、付設電極にも電圧を印加して、透明電極及び付設電極上の上方に発生する電場を制御することにより、帯電したスペーサに作用する斥力若しくは引力、又は、スペーサに作用する斥力及び引力を制御し、隣接する透明電極間のうち、所定の透明電極間に斥力の合成力の谷間、引力の合成力の山、又は、斥力と引力とで形成される合成力における引力の山を作り、この所定の透明電極間にのみスペーサを選択的に配置する。
また、電極に印加される電圧の種類は特に限定されず、例えば、直流電圧、パルス電圧等が好適に用いられる。
ここで、2値又はそれ以上の異なる電圧の透明電極への印加方法は、透明電極毎に印加された2値又はそれ以上の異なる電圧に基づいて形成された電場が、スペーサに対して、最も強く引力が作用する位置及び/又は最も弱く斥力が作用する位置と、透明電極の間の間隙の位置とを一致せしめた一定の印加パターンに基づいている。
上記最も強く引力が作用する位置とは、隣接する透明電極間のうち所定の透明電極間に作られた引力の合成力の山、又は、斥力と引力とで形成される合成力における引力の山のうち、最も強く引力が作用する位置を示し、上記最も弱く斥力が作用する位置とは、隣接する透明電極間のうち所定の透明電極間に作られた斥力の合成力の谷間、又は、斥力と引力とで形成される合成力における斥力の谷間のうち、最も弱く斥力が作用する位置を示す。
ここで、スペーサの散布時に、単に、スペーサの帯電極性と同極性の電圧をパターン状の透明電極に印加して、スペーサを透明電極間隙に配置させようとする場合、第一の本発明において詳述したのと同様に、透明電極の存在しない基板端部では、図1に示すように、落下中のスペーサを表示領域内から表示領域外に反発させようとする力(斥力)が働き、特に、表示領域の外周付近においては、表示領域の外側の基板上に斥力が存在しないために、表示領域外周部に配置されるべきスペーサが外側に逃げてしまうか、又は、表示領域の外側の領域が広い場合には、表示領域の外側の領域に集中的にスペーサが散布されてしまい、表示領域外周部分には充分な数のスペーサが存在しないこととなり、液晶表示装置のセル厚が小さくなって、表示ムラが発生するおそれがあり、液晶表示装置の表示が不均一となる。
一方、透明電極上に引力が作用する電場を利用する場合には、図10に示すように、基板の最外周では電場の広がりがあるために電極の存在しない部分にも電場が広がる現象が起こる。そのため、スペーサの帯電極性と逆極性の電圧を透明電極に印加した場合、引力が働き、散布により落下中のスペーサを表示領域外から内に引き込む力が働き、最外周部分において表示領域よりもスペーサの数が多くなる現象が生じる。
上記図1及び図10によって説明される二つの現象を防止するため、第二の本発明においては、表示領域外に設けた付設電極に電圧を印加しているため、表示領域外からスペーサに斥力又は引力を作用させることができ、スペーサが表示領域外に移動すること、又は、スペーサが表示領域外から移動してくることを抑制することができる。
このことにより、所定の透明電極間にのみスペーサを選択的に配置でき、表示領域の端部近傍においても表示領域の中央部と同様にスペーサの配置密度を制御することができるので、液晶表示装置において、表示領域内のスペーサの配置密度を均一にし、開口率を犠牲にすることなく、スペーサからの光漏れを防止してコントラストを向上させることができる。
更に、スペーサを選択的に配置する所定の透明電極間が、隣接する透明電極同士に同電圧を印加する透明電極間であることによって、透明電極毎に2値又はそれ以上の異なる電圧を印加することにより、帯電したスペーサに作用する斥力の合成力の谷間、引力の合成力の山、又は、斥力と引力とで形成される合成力における引力の山に移動したスペーサに対して、所定の隣接する2つの透明電極から作用するスペーサへの斥力又は引力が均等となる。
即ち、帯電したスペーサに斥力が作用する場合は、スペーサが所定の隣接する2つの透明電極から与えられる均等の斥力によって押される形で、引力が作用する場合は、スペーサが所定の隣接する2つの透明電極から与えられる均等の引力に引き付けられる形で、それぞれ確率よく所定の透明電極間にのみスペーサを選択的に配置することができる。
更に、スペーサを選択的に配置する所定の透明電極間は、スペーサを正極性に帯電させている場合には、透明電極に印加する2値又はそれ以上の異なる電圧のうち、最も低い電圧を印加する透明電極間であり、スペーサを負極性に帯電させている場合には、透明電極に印加する2値又はそれ以上の異なる電圧のうち、最も高い電圧を印加する透明電極間であることにより、所定の透明電極間に斥力の合成力の谷間、引力の合成力の山、又は、斥力と引力とで形成される合成力における引力の山を作ることができる。
つまり、正極性に帯電したスペーサは、所定の隣接する透明電極に印加する最も低い電圧が正極性の場合には、斥力が最も弱く作用し、所定の隣接する透明電極に印加する最も低い電圧が負極性の場合には、引力が最も強く作用するため、最も低い電圧を印加する透明電極間に移動する。
また、負極性に帯電したスペーサは、所定の隣接する透明電極に印加する最も高い電圧が正極性の場合には、引力が最も強く作用し、所定の隣接する透明電極に印加する最も高い電圧が負極性の場合には、斥力が最も弱く作用するため、最も高い電圧を印加する透明電極間に移動する。
従って、更に確率よく所定の透明電極間にのみスペーサを選択的に配置することができる。
更に、スペーサを正極性に帯電させている場合には、最も低い電圧は負極性であり、スペーサを負極性に帯電させている場合には、最も高い電圧は正極性であれば、所定の透明電極間を構成する電極とスペーサとの間に発生する引力の作用によって、所定の透明電極間に作られる引力の合成力の山、又は、斥力と引力とで形成される合成力における引力の山にスペーサが移動し、更にスペーサが所定の隣接する2つの透明電極から与えられる均等な引力の作用によって引き付けられる。
従って、更に確率よく所定の透明電極間にのみスペーサを選択的に配置することができる。
更に、透明電極に印加する最も低い電圧又は最も高い電圧以外の電圧がスペーサと同極性であれば、所定の透明電極間を構成する電極とスペーサとの間に発生する引力の作用と、その他の電極とスペーサとの間に発生する斥力の作用とによって、スペーサがその他の電極との間に発生する斥力によって押されるとともに、所定の隣接する透明電極との間に発生する引力によって引き付けられて、所定の透明電極間に作られる斥力と引力とで形成される合成力における引力の山に移動し、更にスペーサが所定の隣接する2つの透明電極から与えられる均等な引力の作用によって引き付けられる。
従って、更に確率よく所定の透明電極間にのみスペーサを選択的に配置することができる。
また、スペーサに帯電させる電圧の極性と透明電極に印加する2値又はそれ以上の異なる電圧の極性とが、同極性であることにより、その他の電極とスペーサとの間に発生する強い斥力と、所定の隣接する透明電極とスペーサとの間に発生する弱い斥力との作用によって、スペーサがその他の電極との間に発生する強い斥力によって押され、所定の透明電極間に作られる斥力の合成力の谷間に移動し、更にスペーサが斥力によって所定の透明電極間に押されるので、さらに確率よく所定の透明電極間にのみスペーサを選択的に配置することができる。
特に、この構成によれば、斥力によって押される形で所定の透明電極間にスペーサが配置されるため、スペーサを所定の透明電極間の中央部に集中的に配置することができる。
従って、所定の隣接する透明電極のエッジ部にスペーサが配置されてしまう確率を小さくすることができる。
また、表示領域全体としての電場によってスペーサに斥力が作用する場合には、付設電極に印加する電圧の極性をスペーサに斥力が作用する極性とし、表示領域全体としての電場によってスペーサに引力が作用する場合には、付設電極に印加する電圧の極性をスペーサに引力が作用する極性とすることにより、表示領域全体としてスペーサに斥力が作用していても、表示領域の端部近傍のスペーサに表示領域外から斥力を作用させて、スペーサが表示領域外に移動することを抑制することができ、表示領域全体としてスペーサに引力が作用していても、表示領域外のスペーサに表示領域外から引力を作用させて、スペーサが表示領域外から移動してくることを抑制することができる。
従って、表示領域の端部近傍でもスペーサの配置密度を均一にすることができる。
更に、付設電極に印加する電圧は、透明電極に印加する2値又はそれ以上の異なる電圧のうち、スペーサに最も大きい斥力又は引力が作用する電圧と同一電圧であることにより、スペーサが表示領域外に移動すること、又は、スペーサが表示領域外から移動してくることを抑制するための充分な斥力又は引力をスペーサに作用させることができる。
従って、表示領域の端部近傍でもスペーサの配置密度を均一にすることができる。
また、上記透明電極はストライプ状であり、付設電極は、透明電極の長辺に並設されることにより、表示領域を形成する4辺のうち、スペーサが表示領域外に移動すること、又は、スペーサが表示領域外から移動してくることが起こりやすいストライプ状の透明電極の長辺側において、効果的にスペーサの移動を抑制することができる。
従って、表示領域の端部近傍でもスペーサの配置密度を均一にすることができる。
また、上記付設電極が、透明電極と略同一の電極パターンで設けられることにより、付設電極と透明電極とを同時に同一材料で形成して、製造工程を簡略化することが可能となるだけでなく、表示領域外も表示領域内と同じ電場にすることが可能となり、表示領域内におけるスペーサの配置密度を均一にすることができる。
また、付設電極が、透明電極による段差を緩和するために設けられるダミー電極であることにより、従来の電極パターンを流用して第二の本発明を実現することができる。
従って、表示領域の端部近傍でもスペーサの配置密度を均一にすることができる。
更に、付設電極が、他の目的のために設けられる表示用電圧を印加しないダミー電極とすることにより、従来の電極パターンを流用して第二の本発明を実現することができる。
上記ダミー電極としては、第一の本発明において説明したものと同様のものが挙げられる。
具体的な第二の本発明の実施形態について、図11〜39を用いて説明する。
通常、液晶表示装置の製造においては、第一の本発明において説明したように、スペーサの散布は、適量のスペーサを、上述した帯電方法により帯電させ、圧縮空気、圧縮窒素等により飛散させて基板上に散布することにより行われる。 図11及び図12は、第二の本発明の実施形態に係わる電極パターンを示す概略図である。図11及び図12に示すように、絶縁性基板1上に、ストライプ状の表示電極3a及び3bと、表示電極3a及び3bのそれぞれに電圧を印加するための補助電極20a及び20bと、表示領域外に設けられる付設電極29とが形成されている。
補助電極20a及び20b並びに付設電極29には、補助電極20a及び20b並びに付設電極29に電圧を印加して電場を形成するための導線18、18a及び18bが接続されている。尚、導線18、18a及び18bを設けずに、プローブピン等を用いて補助電極20a及び20b並びに付設電極29に直接電圧を印加してもよいし、補助電極20a及び20bを設けずに、プローブピン等を用いて表示電極3a及び3bに直接電圧を印加してもかまわない。
表示電極3aは、隣接する2つの表示電極を一対とする。表示電極3bは、一対の表示電極3aと別の一対の表示電極3aとの間に存在している表示電極であり、図11では1つの表示電極3bが存在し、図12では2つの表示電極3bが存在している。
付設電極29は、従来の電極パターンにも形成されている表示電極による段差を緩和して、液晶層の層厚を均一に制御するためのダミー電極を流用してもかまわない。
また、付設電極29は、従来の電極パターンにも形成されている表示用電圧が印加されないダミー電極を流用してもかまわない。
図13は、第二の本発明の実施形態に係わる一対の絶縁性基板から2つの液晶表示装置を製造する場合における一方の絶縁性基板の電極パターンを示す概略図である。図13に示すように、付設電極29は、表示領域30の図13における上下方向の表示領域外にのみ配置している。これは、表示領域30の図13における左右方向の表示領域外には補助電極20a及び20bを形成しており、補助電極20a及び20bが付設電極29と同様の効果をもたらすためである。尚、補助電極20b及び付設電極29は導電部で接続されており、同一電圧が印加されるように形成されている。
そして、図11に示すような電極パターンにより、補助電極20a及び20b並びに付設電極29に電圧値が異なる電圧を印加することによって、図14〜16に示すように、表示電極3a及び3b並びに付設電極29に負電圧(−)を印加し、かつ、表示電極3aには表示電極3b及び付設電極29よりも相対的に高い電圧を印加する。更に、スペーサ8は負極性に帯電させて散布を行う。
このようにすれば、表示電極3a間にのみスペーサ8を配置することができ、表示領域30の端部近傍の表示電極3a間も含めて、表示電極3a間に配置するスペーサ8を表示領域30内で均一にすることができる。
即ち、図14及び図15において、散布されたスペーサ8は落下し、表示電極3a及び3bに近づくにつれて、表示電極3a及び3b並びに付設電極29上の上方に発生する電場による斥力がスペーサ8に作用し、スペーサ8は強い斥力を発生する表示電極3b及び付設電極29から離れ、弱い斥力を発生する表示電極3aの方に移動する。そして、表示電極3aの方に移動したスペーサ8は、隣接する2つの表示電極3aのそれぞれから均等の斥力で押され、表示電極3a間に落下するのである。
また、図16に示すように、表示領域30としては全体的に負極性に帯電しているため、斥力がスペーサ8に作用し、表示領域30の端部近傍のスペーサ8が表示領域30外に移動する傾向があるが、付設電極29に強い斥力を発生する電圧を印加しているため、表示領域30の端部近傍のスペーサ8が表示領域30外に移動することを抑制することができる。
尚、図14及び図15中に半円形状で示したものは、スペーサ8に作用する斥力を模式的に示したもので、スペーサ8に作用する斥力の強弱を半円形状の大きさで示している。また、破線はスペーサ8に作用する斥力の合成力を模式的に示している。
また、図16中に半楕円形状で示したものは、スペーサ8に作用する斥力を模式的に示したものである。
本実施形態によれば、スペーサ8が隣接する2つの表示電極3aのそれぞれから均等の斥力で押されて表示電極3a間に落下するため、表示電極3a間の中央部にスペーサ8を集中的に配置することができ、表示電極3aのエッジ部にスペーサ8が配置されてしまう確率を小さくすることができる。
図17は、第二の本発明の実施形態に係わる一対の絶縁性基板から2つの液晶表示装置を製造する場合における一方の絶縁性基板の電極パターンを示す概略図である。図17に示すように、付設電極29は、表示領域30の図17における上下方向の表示領域外にのみ配置している。これは、表示領域30の図17における左右方向の表示領域外には補助電極20a及び20bを形成しており、補助電極20a及び20bが付設電極29と同様の効果をもたらすためである。
そして、図11に示すような電極パターンによる補助電極20a及び20b並びに付設電極29に電圧値が異なる電圧を印加することにより、図18〜20に示すように、表示電極3a及び3b並びに付設電極29に正電圧(+)を印加し、かつ、表示電極3a及び付設電極29には表示電極3bよりも相対的に高い電圧を印加する。更に、スペーサ8は負極性に帯電させて散布を行う。
このようにすれば、表示電極3a間にのみスペーサ8を配置することができ、表示領域30の端部近傍の表示電極3a間も含めて、表示電極3a間に配置するスペーサ8を表示領域30内で均一にすることができる。
即ち、図18及び図19において、散布されたスペーサ8は落下し、表示電極3a及び3bに近づくにつれて、表示電極3a及び3b並びに付設電極29上の上方に発生する電場による引力がスペーサ8に作用し、スペーサ8は弱い引力を発生する表示電極3bから離れ、強い引力を発生する表示電極3a及び付設電極29の方に移動する。そして、表示電極3aの方に移動したスペーサ8は、隣接する2つの表示電極3aのそれぞれから均等の引力で引き付けられ、表示電極3a間に落下するのである。
また、図20に示すように、表示領域30としては全体的に正極性に帯電しているため、引力がスペーサ8に作用し、表示領域30の端部近傍のスペーサ8が表示領域30外から表示領域30内に移動する傾向があるが、付設電極29に強い引力を発生する電圧を印加しているため、スペーサ8が表示領域30外から表示領域30内に移動することを抑制し、表示電極3a間に配置するスペーサ8の密度を所定の密度に保つことができる。
尚、図18及び図19中に半円形状で示したものは、スペーサ8に作用する引力を模式的に示したもので、スペーサ8に作用する引力の強弱を半円形状の大きさで示している。また、破線はスペーサ8に作用する引力の合成力を模式的に示している。
また、図20中に半楕円形状で示したものは、スペーサ8に作用する引力を模式的に示したものである。
図17に示すような絶縁性基板の電極パターンにおいて、図12に示すような電極パターンにより、補助電極20a及び20b並びに付設電極29に電圧値が異なる電圧を印加することによって、図21〜23に示すように、表示電極3aに正電圧(+)を印加し、表示電極3b及び付設電極29に負電圧(−)を印加し、かつ、表示領域30全体として負極性に帯電するようにする。更に、スペーサ8は負極性に帯電させて散布を行う。
このようにすれば、表示電極3a間にのみスペーサ8を配置することができ、表示領域30の端部近傍の表示電極3a間も含めて、表示電極3a間に配置するスペーサ8を表示領域30内で均一にすることができる。
即ち、図21及び図22において、散布されたスペーサ8は落下し、表示電極3a及び3bに近づくにつれて、表示電極3a及び3b並びに付設電極29上の上方に発生する電場による斥力及び引力がスペーサ8に作用し、スペーサ8は斥力を発生する表示電極3b及び付設電極29から離れ、引力を発生する表示電極3aの方に移動する。そして、表示電極3aの方に移動したスペーサ8は、隣接する2つの表示電極3aのそれぞれから均等の引力で引き付けられ、表示電極3a間に落下するのである。
また、図23に示すように、表示領域30としては全体的に負極性に帯電しているため、斥力がスペーサ8に作用し、表示領域30の端部近傍のスペーサ8が表示領域30外に移動する傾向があるが、付設電極29に斥力を発生する電圧を印加しているため、表示領域30の端部近傍のスペーサ8が表示領域30外に移動することを抑制することができる。
尚、図21及び図22中に半円形状で示したものは、スペーサ8に作用する斥力及び引力を模式的に示したもので、スペーサ8に作用する斥力の強弱を上に凸の半円形状の大きさで、スペーサ8に作用する引力の強弱を下に凸の半円形状の大きさで示している。また、破線はスペーサ8に作用する斥力及び引力の合成力を模式的に示している。
図17に示すような絶縁性基板の電極パターンにおいて、図12に示すような電極パターンにより、補助電極20a及び20b並びに付設電極29に電圧値が異なる電圧を印加することによって、図24〜26に示すように、表示電極3a及び付設電極29に正電圧(+)を印加し、表示電極3bに負電圧(−)を印加し、かつ、表示領域30全体として正極性に帯電するようにする。更に、スペーサ8は負極性に帯電させて散布を行う。
このようにすれば、表示電極3a間にのみスペーサ8を配置することができ、表示領域30の端部近傍の表示電極3a間も含めて、表示電極3a間に配置するスペーサ8を表示領域30内で均一にすることができる。
即ち、図24及び図25において、散布されたスペーサ8は落下し、表示電極3a及び3bに近づくにつれて、表示電極3a及び3b並びに付設電極29上の上方に発生する電場による斥力及び引力がスペーサ8に作用し、スペーサ8は斥力を発生する表示電極3bから離れ、引力を発生する表示電極3a及び付設電極29の方に移動する。そして、表示電極3aの方に移動したスペーサ8は、隣接する2つの表示電極3aのそれぞれから均等の引力で引き付けられ、表示電極3a間に落下するのである。
また、図26に示すように、表示領域30としては全体的に正極性に帯電しているため、引力がスペーサ8に作用し、表示領域30の端部近傍のスペーサ8が表示領域30外から表示領域30内に移動する傾向があるが、付設電極29に引力を発生する電圧を印加しているため、スペーサ8が表示領域30外から表示領域30内に移動することを抑制し、表示電極3a間に配置するスペーサ8の密度を所定の密度に保つことができる。
図27は、第二の本発明の実施形態に係わる電極パターンを示す概略図である。図28は、第二の本発明の実施形態に係わる一対の絶縁性基板から2つの液晶表示装置を製造する場合における一方の絶縁性基板の電極パターンを示す概略図である。図27及び図28に示すように、付設電極29は、表示領域30外に表示領域30の周囲を囲むように配置している。
付設電極29には、付設電極29に電圧を印加して電場を形成するための導線18が接続されている。尚、導線18を設けずに、プローブピン等を用いて付設電極29に直接電圧を印加してもよい。
表示電極3aは、隣接する2つの表示電極を一対とする。表示電極3bは、一対の表示電極3aと別の一対の表示電極3aとの間に存在している表示電極であり、図27では1つの表示電極3bが存在している。
図28に示すような絶縁性基板の電極パターンにおいて、図27に示すような電極パターンにより、表示電極3a及び3b並びに付設電極29に電圧値が異なる電圧を印加することによって、図29〜31に示すように、表示電極3aに正電圧(+)を印加し、表示電極3b及び付設電極29に負電圧(−)を印加し、かつ、表示領域30全体として負極性に帯電するようにする。更に、スペーサ8は負極性に帯電させて散布を行う。
このようにすれば、表示電極3a間にのみスペーサ8を配置することができ、表示領域30の端部近傍の表示電極3a間も含めて、表示電極3a間に配置するスペーサ8を表示領域30内で均一にすることができる。
即ち、図29及び図30において、散布されたスペーサ8は落下し、表示電極3a及び3bに近づくにつれて、表示電極3a及び3b並びに付設電極29上の上方に発生する電場による斥力及び引力がスペーサ8に作用し、スペーサ8は斥力を発生する表示電極3b及び付設電極29から離れ、引力を発生する表示電極3aの方に移動する。そして、表示電極3aの方に移動したスペーサ8は、隣接する2つの表示電極3aのそれぞれから均等の引力で引き付けられ、表示電極3a間に落下するのである。
また、図31に示すように、表示領域30としては全体的に負極性に帯電しているのと同等であるため、斥力がスペーサ8に作用し、表示領域30の端部近傍のスペーサ8が表示領域30外に移動する傾向があるが、付設電極29に斥力を発生する電圧を印加しているため、表示領域30の端部近傍のスペーサ8が表示領域30外に移動することを抑制することができる。
図32は、第二の本発明の実施形態に係わる電極パターンを示す概略図である。図32に示すように、絶縁性基板1上に、ストライプ状の表示電極3a及び3bと、表示電極3a及び3bのそれぞれに電圧を印加するための補助電極20a及び20bとが形成されている。更に、表示電極3a及び3bを表示領域30外にも形成しておき、表示領域30外に形成した表示電極3aと同じものを付設電極29aとし、表示領域30外に形成した表示電極3bと同じものを付設電極29bとする。
補助電極20a及び20bには、補助電極20a及び20bに電圧を印加して電場を形成するための導線18a及び18bが接続されている。尚、18a及び18bを設けずに、プローブピン等を用いて補助電極20a及び20bに直接電圧を印加してもよいし、補助電極20a及び20bを設けずに、プローブピン等を用いて表示電極3a及び3b並びに付設電極29a及び29bに直接電圧を印加してもかまわない。
表示電極3aは、隣接する2つの表示電極を一対とする。表示電極3bは、一対の表示電極3aと別の一対の表示電極3aとの間に存在している表示電極であり、図32の場合では1つの表示電極3bが存在している。
付設電極29は、表示領域30の図32における上下方向の表示領域外にのみ配置している。これは、表示領域30の図32における左右方向の表示領域外には補助電極20a及び20bを形成しており、補助電極20a及び20bが付設電極29と同様の効果をもたらすためである。
図32に示すような電極パターンによる補助電極20a及び20bに電圧値が異なる電圧を印加することにより、図33〜35に示すように、表示電極3a及び3b並びに付設電極29a及び29bに負電圧(−)を印加し、かつ、表示電極3a及び付設電極29aには表示電極3b及び付設電極29bよりも相対的に高い電圧を印加する。更に、スペーサ8は負極性に帯電させて散布を行う。
このようにすれば、表示電極3a間にのみスペーサ8を配置することができ、表示領域30の端部近傍の表示電極3a間も含めて、表示電極3a間に配置するスペーサ8を表示領域30内で均一にすることができる。
即ち、図33及び図34において、散布されたスペーサ8は落下し、表示電極3a及び3bに近づくにつれて、表示電極3a及び3b並びに付設電極29上の上方に発生する電場による斥力がスペーサ8に作用し、スペーサ8は強い斥力を発生する表示電極3bから離れ、弱い斥力を発生する表示電極3aの方に移動する。そして、表示電極3aの方に移動したスペーサ8は、隣接する2つの表示電極3aのそれぞれから均等の斥力で押され、表示電極3a間に落下するのである。
また、図35に示すように、電極パターンとしては全体的に負極性に帯電しているため、斥力がスペーサ8に作用し、電極パターンの端部近傍のスペーサ8が電極パターン外に移動する傾向があるが、電極パターンの図35における上下方向の端部近傍に位置するのは付設電極29a及び29bであり、電極パターンの端部近傍にスペーサ8が配置されなくてもかまわない。つまり、表示領域30は電極パターンの中央部に位置しているため、表示領域30内には所定の密度でスペーサ8を配置することができる。
図17に示すような絶縁性基板の電極パターンにおいて、図11に示すような電極パターンによる補助電極20a及び20b並びに付設電極29に電圧値が異なる電圧を印加することにより、図36〜38に示すように、表示電極3a及び3b並びに付設電極29に正電圧(+)を印加し、かつ、表示電極3b及び付設電極29には表示電極3aよりも相対的に高い電圧を印加する。更に、スペーサ8は正極性に帯電させて散布を行う。
このようにすれば、表示電極3a間にのみスペーサ8を配置することができ、表示領域30の端部近傍の表示電極3a間も含めて、表示電極3a間に配置するスペーサ8を表示領域30内で均一にすることができる。
即ち、図36及び図37において、散布されたスペーサ8は落下し、表示電極3a及び3bに近づくにつれて、表示電極3a及び3b並びに付設電極29上の上方に発生する電場による斥力がスペーサ8に作用し、スペーサ8は強い斥力を発生する表示電極3b及び付設電極29から離れ、弱い斥力を発生する表示電極3aの方に移動する。そして、表示電極3aの方に移動したスペーサ8は、隣接する2つの表示電極3aのそれぞれから均等の斥力で押され、表示電極3a間に落下するのである。
また、図38に示すように、表示領域30としては全体的に正極性に帯電しているため、斥力がスペーサ8に作用し、表示領域30の端部近傍のスペーサ8が表示領域30外に移動する傾向があるが、付設電極29に強い斥力を発生する電圧を印加しているため、スペーサ8が表示領域30外に移動することを抑制することができる。
本実施形態によれば、スペーサ8が隣接する2つの表示電極3aのそれぞれから均等の斥力で押されて表示電極3a間に落下するため、表示電極3a間の中央部にスペーサ8を集中的に配置することができ、表示電極3aのエッジ部にスペーサ8が配置されてしまう確率を小さくすることができる。
以上のように、第二の本発明の実施形態について説明したが、第二の本発明はこれらの実施形態のみに限定されるのではなく、図39に示すスペーサ8を負極性に帯電させている場合の本発明における相対的な電圧の高低の関係にしたがって同様の効果を得ることができる。
図39は、スペーサ8を負極性に帯電させている場合を示し、表示電極に印加する相対的な電圧の高低と、その電圧がスペーサ8に及ぼす斥力又は引力の大きさの関係を説明する概念図である。
電圧の基準として、スペーサ8に及ぼす斥力又は引力が作用しないアース電圧を0Vとした場合、相対的な電圧の高低、及び、電圧の極性を+及び−で示している。
即ち、図39では、+300Vは+500Vよりも相対的に低い電圧となり、−300Vは−500Vよりも相対的に高い電圧となる。
一定の距離をおいた表示電極とスペーサ8との間には、表示電極に印加する電圧の極性によって、表示電極上の上方に発生する電場による斥力又は引力がスペーサ8に作用する。図39では、スペーサ8が負極性なので負極性(−)の電圧で斥力が発生し、正極性(+)の電圧で引力が発生する。そして、この斥力及び引力は、負極性(−)の電圧側に位置する程斥力が大きくなり、正極性(+)の電圧側に位置する程引力が大きくなるのである。
即ち、+300Vよりも+500Vの方が引力が大きくなり、−300Vよりも−500Vの方が斥力が大きくなるのである。
なお、スペーサ8が正極性に帯電している場合は、引力と斥力が逆転するだけであり、負極性(−)の電圧で引力が発生し、正極性(+)の電圧で斥力が発生する。そして、この斥力及び引力は、負極性(−)の電圧側に位置する程引力が大きくなり、正極性(+)の電圧側に位置する程斥力が大きくなるのである。
即ち、+300Vよりも+500Vの方が斥力が大きくなり、−300Vよりも−500Vの方が引力が大きくなるのである。
また、本発明における相対的な電圧の高低は、図39に示すように、スペーサ8に作用する力の大きさとは関係なく、負極性(−)の電圧側に位置する電圧を低いと定義し、正極性(+)の電圧側に位置する電圧を高いと定義している。
即ち、+300Vよりも+500Vの方が相対的に電圧が高いと定義し、−300Vよりも−500Vの方が相対的に電圧が低いと定義しているのである。
尚、この定義は、スペーサ8が正極性に帯電している場合も同様であり、+300Vよりも+500Vの方が相対的に電圧が高いと定義し、−300Vよりも−500Vの方が相対的に電圧が低いと定義している。
ここで、図40及び図41を用いて、付設電極29を設けない場合の不具合について説明する。
図40は、付設電極29を設けない場合に表示領域30として全体的に負極性に帯電しているときを示す概念図である。図40に示すように、表示領域30としては全体的に負極性に帯電しているため、スペーサ8を負極性に帯電させて散布を行えば、スペ一サ8に斥力が作用する。
表示領域30の中央部では、スペーサ8が周りから一様に斥力を受けるため、スペーサ8は局所的な電場の影響のみを受け、表示電極3a間に配置される。しかしながら、表示領域30の端部近傍では、表示領域30としての全体的な電場による斥力を受け、表示領域30の端部近傍のスペーサ8は電場を形成していない表示領域30外へ移動してしまい、表示領域30の端部近傍の表示電極3a間には所定量のスペーサ8を配置しにくくなるという不具合が生じる。
一方、図41は、付設電極29を設けない場合に表示領域30として全体的に正極性に帯電しているときを示す概念図である。図41に示すように、表示領域30としては全体的に正極性に帯電しているため、スペーサ8を負極性に帯電させて散布を行えば、引力がスペーサ8に作用する。
表示領域30の中央部では、スペーサ8が周りから一様に引力を受けるため、スペーサ8は局所的な電場の影響のみを受け、表示電極3a間に配置される。しかしながら、表示領域30の端部近傍では、表示領域30としての全体的な電場による引力を受け、スペーサ8は電場を形成していない表示領域30外から表示領域30内へ移動してしまい、表示領域30の端部近傍の表示電極3a間には所定量よりも多いスペーサ8が配置されるという不具合が生じる。
上記実施形態では、表示電極が形成された絶縁性基板上に付設電極29を設けることにより、電場を制御する方法について述べたが、他に表示電極が形成された絶縁性基板を固定するためのステージやスペーサ散布装置壁面等に付設電極29を設け、電圧を印加して同様の効果を得る方法もある。
また、第二の本発明によれば、付設電極29に印加する電圧を調節することで、表示領域30の端部近傍に配置されるスペーサ密度の制御も可能となり、スペーサ配置密度による液晶表示装置の液晶層の層厚の微調整も可能となる。
更に、上記実施形態では、単純マトリクス型液晶表示装置を用いているが、第二の本発明は単純マトリクス型液晶表示装置に限定されるものではなく、強誘電性液晶表示装置又はTFT型液晶表示装置等の液晶表示装置でも当然利用できるものである。
第三の本発明は、少なくともパターン状の透明電極及びダミー電極から構成される第一の基板及び第一の基板の上に対向配置される第二の基板のうち少なくとも一方の基板にスペーサを散布し、両基板の間隙に液晶を注入してなる液晶表示装置の製造方法であって、正極性又は負極性に帯電したスペーサを基板上に散布するに際し、透明電極毎に2値又はそれ以上の異なる電圧を印加し、かつ、ダミー電極にも電圧を印加して、スペーサを選択的に配置する所定の透明電極間は、隣接する透明電極間であり、透明電極の本数は、偶数であり、2値又はそれ以上の異なる電圧の透明電極への印加方法は、スペーサの帯電極性が正極性(+)である場合には、電極間隙の中央にスペーサが配置される隣接する透明電極に印加する2値又はそれ以上の異なる電圧は、最も低い電圧であり、スペーサの帯電極性が負極性(−)である場合には、電極間隙の中央にスペーサが配置される隣接する透明電極に印加する2値又はそれ以上の異なる電圧は、最も高い電圧である液晶表示装置の製造方法である。
上記透明電極、ダミー電極、基板、スペーサ及びスペーサの帯電方法としては、第一の本発明において説明したのと同様である。また、第二の本発明において説明したのと同様に、第三の本発明の液晶表示装置の製造方法をTFT型液晶表示装置の製造方法に適用することができる。
スペーサを選択的に配置する所定の透明電極間は、スペーサを正極性(+)に帯電させている場合には、透明電極に印加する2値又はそれ以上の異なる電圧のうち、最も低い電圧を印加する透明電極間であり、スペーサを負極性(−)に帯電させている場合には、透明電極に印加する2値又はそれ以上の異なる電圧のうち、最も高い電圧を印加する透明電極間である。
例えば、図14のように規則的に強い斥力、弱い斥力が並んだ場合、斥力の合成力の谷間又は山は、弱い斥力の透明電極領域、又は、強い斥力の透明電極の領域(図9のような領域)の中心に位置することになる。
従って、図14の場合、スペーサは弱い斥力の中心位置に配置されることになるので、そこに透明電極の線間が存在すればよい。これを達成するためには、弱い斥力を与える透明電極を偶数本としておけば、その領域の中心は透明電極の間隙と一致することになる。
また、例えば、図22のように規則的に斥力、引力が並んだ場合、斥力と引力との合成力の谷間又は山は、斥力の透明電極領域、又は、引力の透明電極の領域(図9のような領域)の中心に位置することになる。
従って、図22の場合、スペーサは引力の中心位置に配置されることになるので、そこに透明電極の線間が存在すればよい。これを達成するためには、引力を与える透明電極を偶数本としておけば、その領域の中心は透明電極の間隙と一致することになる。
しかし、図14の場合では弱い斥力を与える透明電極、図22の場合では引力を与える透明電極の本数が奇数本では、スペーサが配置される位置は、透明電極の中心の位置になってしまう。
透明電極への電圧印加は、スペーサの帯電極性が負極性(−)である場合には、最も高い電圧を与える透明電極に対しては各透明電極の両端のうちの一方に各透明電極を導通させる共通の導通線(A)を設けて、該導通線(A)により行い、上記電圧より低い電圧を与える透明電極に対しては各透明電極の両端のうちの他方に各透明電極を導通させる共通の導通線(B)を設けて、該導通線(B)により行い、スペーサの帯電極性が正極性(+)である場合には、最も低い電圧を与える透明電極に対しては各透明電極の両端のうちの一方に各透明電極を導通させる共通の導通線(A)を設けて、該導通線(A)により行い、上記電圧より高い電圧を与える透明電極に対しては各透明電極の両端のうちの他方に各透明電極を導通させる共通の導通線(B)を設けて、該導通線(B)により行うことができる。
例えば、図42に示すような2:1構造のくし形電極を用いて、導通線(A)に対して、スペーサの帯電極性が負極性(−)である場合には、最も高い電圧を印加し、導通線(B)に対して、上記電圧より低い電圧を印加することにより、スペーサを空隙aに配置することができる。スペーサが配置された後は、図中の点線に沿って導通線(A)及び導通線(B)を切断することにより、ストライプ状透明電極とされる。
上述の通り、第三の本発明においては、スペーサの散布に際して、パターン状の透明電極毎に2値又はそれ以上の異なる電圧を印加することにより、透明電極の存在しない電極間隙、すなわち、ブラックマトリックス部分にスペーサを配置することができる。
ここで、スペーサ散布時に、ダミー電極に電圧を印加せず、単に、透明電極に2値又はそれ以上の異なる電圧を印加するのみでは、第一及び第二の本発明において詳述したのと同様に、表示領域外周付近のスペーサ数が増減する現象が見られ、第一及び第二の本発明において説明したのと同様に、液晶表示装置を製造するときに、スペーサの歪みが変化し、セル厚が変化して、液晶表示装置の表示が不均一となる。
これらの現象を防止するため、第三の本発明においては、ダミー電極にも電圧を印加することにより、表示領域の内側部分と最外周部付近とにおけるスペーサの配置数のムラの発生を防止することができるため、それに起因するセル厚の不均一を解消することができる。従って、均一な表示特性を有する液晶表示装置を得ることができる。
上記ダミー電極としては、第一の本発明において説明したものと同様のものが挙げられる。
以下に、ダミー電極への電圧の印加について説明する。
ダミー電極に印加される電圧の電圧値は、透明電極に印加される2値又はそれ以上の異なる電圧のうち、最も高い電圧と最も低い電圧との範囲内であることが好ましい。すなわち、透明電極上に形成される相対的に高い電位(+(正))の領域と相対的に低い電位(−(負))の領域とからなる電場を、ダミー電極上にまで拡張することにより、図43に示すように、配置されるスペーサの数の減少又は増大をダミー電極の部分において発生させるのである。従って、表示領域においては、スペーサは均一に配置されることになる。
ダミー電極への電圧の印加は、ダミー電極を導通線(A)又は導通線(B)のいずれか一方に導通させることにより行うことが好ましい。
例えば、図44に示すように、導通線(B)とダミー電極とを導通させることにより、導通線(B)とダミー電極とに同電位を印加することが可能となる。なお、図44に示す場合においては、導通線(B)とダミー電極とが一体の電極として形成されているが、導通線(A)とダミー電極とが一体の電極として形成されていてもよく、更には、基板上に別個独立して設けられた導通線(A)又は(B)とダミー電極とを互いに配線することにより導通させてもよい。
また、ダミー電極への電圧の印加は、基板上に形成された全てのダミー電極のそれぞれを互いに導通させることにより行うこともできる。
例えば、図45に示すように、基板上に形成された全てのダミー電極を配線することにより導通させれば、全てのダミー電極に同電位を印加することが可能となる。
第四の本発明は、少なくともパターン状の透明電極及びダミー電極から構成される第一の基板及び第一の基板の上に対向配置される第二の基板のうち少なくとも一方の基板にスペーサを散布し、両基板の間隙に液晶を注入してなる液晶表示装置の製造方法であって、正極性又は負極性に帯電した上記スペーサを上記基板上に散布するに際し、アースされた導電性ステージに基板を密着させて設置し、導電性ステージとは電気的に絶縁された状態の導電体を設け、該導電体は、開口部が形成された導電枠であり、該導電枠は、基板の外周部分に、基板外周部の一部と重なる状態で、又は、重ならない状態で設置され、上記透明電極に電圧を印加し、かつ、導電枠にも電圧を印加する液晶表示装置の製造方法である。
上記パターン状の透明電極、基板、スペーサ及びスペーサの帯電方法としては、第一の本発明において説明したのと同様である。また、第二の本発明において説明したのと同様に、第四の本発明の液晶表示装置の製造方法をTFT型液晶表示装置の製造方法に適用することができる。
第四の本発明の液晶表示装置の製造方法においては、ブラックマトリックスが形成された基板を導電性ステージに密着させた状態で、スペーサの帯電極性と同極性の電圧をパターン状の透明電極に印加して、パターン状の透明電極上に斥力が働く電場を形成しても、電極間に配置させることができ、スペーサの配置には支障がない。
ここで、スペーサ散布時に、単に、透明電極に電圧を印加するのみでは、第一及び第二の本発明において詳述したのと同様に、表示領域外周付近のスペーサ数が増減する現象が見られ、液晶表示装置を製造するときに、スペーサの歪みが変化し、セル厚が変化して、液晶表示装置の表示が不均一となる。
また、基板の帯電防止等に用いられるダミー電極を利用して、このダミー電極にも透明電極と同極性の電圧を印加することによって、基板上の電場による斥力が基板全体として均一になるようにして、表示領域と表示領域の外側の領域とのスペーサの分布量を制御することも考えられるが、この方法では、ダミー電極を、表示領域の外側まで存在させ、スペーサの散布範囲より充分に広いものとする必要があり、スペース的に不利である。
これらの現象を防止するため、第四の本発明においては、正極性又は負極性に帯電したスペーサを基板上に散布するに際し、アースされた導電性ステージに基板を密着させて設置し、導電性ステージとは電気的に絶縁された状態の導電体を設け、該導電体は、開口部が形成された導電枠であり、該導電枠は、基板の外周部分に、基板外周部の一部と重なる状態で、又は、重ならない状態で設置され、透明電極に電圧を印加し、かつ、導電枠にも電圧を印加して、基板外にも基板内と略同一の電場を形成することにより、基板上に斥力の働く範囲が広まり、スペーサの増減は基板外の部分で吸収されてしまうため、表示領域は均一なスペーサ数となる。
アースされた導電性ステージは、体積抵抗値が1×1010Ωcm以下のものが好ましい。体積抵抗値が1×1010Ωcmを超えると、基板全体が透明電極の電位に近くなってしまい、スペーサの配置精度が劣る。
電気的に浮いた電極があるとその部分にスペーサが集中して散布されてしまうことから、基板上に形成された透明電極にスペーサの帯電極性と同極性の電圧を印加する方法は、全ての透明電極に電圧を印加して、電気的に浮いた電極がないようにするのが好ましい。
上記導電体の材質としては特に限定されず、例えば、アルミニウム、鉄、銅、ステンレス等の金属;樹脂に金属等をコーティングして導電性としたもの等が挙げられる。また、上記導電体としては、樹脂上にアルミニウム箔、銅箔等の金属薄膜、薄板等を積層して形成されるものであってもよい。
上記導電体の形状は、一枚のガラス基板から数枚の液晶パネルを作製する多面取りの場合、それぞれの表示領域に対応した開口部をもつ形状であってもよい。
上記導電性ステージと導電体との絶縁方法としては特に限定されず、例えば、樹脂等の絶縁体を挟んで絶縁してもよいし、空間を開けて空気により絶縁してもよい。
上記基板への電圧印加方法としては特に限定されず、例えば、図2に示すように、基板上の線状透明電極外にダミー電極を設け、該ダミー電極と線状透明電極とを導通させ、基板を設置する導電性ステージとは電気的に絶縁された状態の導電枠からダミー電極に電圧を印加する方法等が挙げられる。また、導電枠からダミー電極への電圧を印加する方法としては特に限定されず、例えば、導電枠から針状のものを形成することにより行う方法等が挙げられる。
上記基板上の透明電極及び導電枠に印加される電圧値は、数百V〜数KVが好ましい。印加電圧が小さすぎると、スペーサの落下経路を制御しにくくなり、印加電圧が大きすぎると、導電性ブラックマトリックス等を用いている場合、透明電極とブラックマトリックス間でショートしてしまう場合がある。
上記導電枠の形成は、導電体の平板で形成してもよいし、網状、棒状、線状等の導電体で形成してもよい。導電体の平板で形成する場合、板面に穴等を開けて、空気の流れをよくするような構造としてもよい。
具体的な第四の本発明の液晶表示装置の製造方法について、図46〜51を用いて説明する。
図46は、2面取りの場合における第四の本発明の一実施形態であるが、導電性ステージ上に、第一の基板と同じ厚みの樹脂等の絶縁物を挟むことにより導電枠を形成し、その導電枠を、基板の外周部と重なりをもった状態で設置する。このようにすることにより、導電枠は、基板の外周部分と重なる状態となり、すきまのない状態で導電枠を設置することができる。
図47に示した第四の本発明の一実施形態においては、導電性のステージ上に絶縁体を挟んで、基板の形状と同一の開口部を設けた導電枠を基板に設置する。
この状態で透明電極と同極性の電圧を導電枠に印加することにより、斥力電場の範囲が広まり、スペーサの増減は導電枠の部分で吸収されてしまうため、表示領域のスペーサ数は均一となる。
上記導電性ステージと導電枠との設置は、導電枠を単独にして上からかぶせるような機構としてもよいし、ちょうつがい等を用いて開閉ができるような機構としてもよい。
図48は、第四の本発明の液晶表示装置の製造方法におけるスペーサの散布状況を示すものであり、斥力を利用する場合である。
図47の場合等では、ストライプ状透明電極、ダミー電極、導電枠のすべてに電圧を印加することにより、斥力電場をより広くすることができるため、表示領域の均一性が高まる。この場合の電極構造を図2及び図3に示す。
ダミー電極と透明電極とを導通させた場合には、電圧の印加方法として、基板を設置する導電性ステージとは電気的に絶縁された状態の導電枠からダミー電極に電圧を印加することが可能となる。
導電枠からダミー電極への電圧印加方法としては、例えば、図49及び図50に示すように、導電枠の基板と対向する平板面、導電枠の平板上又は導電枠側面から針状のものを形成すること等により行うことができる。
また、導電枠と表示領域までの距離によっては、透明電極に印加する電圧とは異なる電圧を導電枠に印加しなければ均一性を確保できない場合がある。
例えば、図51に示すように、斥力を用いてスペーサを配置させる場合、表示領域と導電枠との距離が離れていると、その間にスペーサが逃げる場合がある。このような場合、導電枠には表示領域よりも強い斥力電圧を印加し、反発力を利用して表示領域の最外周部に逆に飛ばすことが必要となる。
第四の本発明においては、スペーサの帯電と透明電極に電圧を印加してスペーサを電極間隙に配置させる方法であって、基板外周部に導電性の枠(導電枠)を設置し、それに電圧を印加することによりスペーサの落下制御を行うので、スペーサを基板全体にわたり配置することができ、セルギャップが均一で、表示にムラのない高品質の表示性能が得られる。
上記導電枠は、スペーサの散布を終了した後に取り除き、その後、通常の方法に基づいて第二の基板を対向配置し、その間隙に液晶を注入することにより液晶表示装置を製造することができる。
第五の本発明は、少なくともパターン状の透明電極及び配向膜から構成され、表示領域を有する第一の基板及び第一の基板の上に対向配置される第二の基板のうち少なくとも一方の基板にスペーサを散布し、両基板の間隙に液晶を注入してなる液晶表示装置の製造方法であって、正極性又は負極性に帯電した上記スペーサを上記基板上に散布するに際し、アースされた導電性ステージに基板を密着させて設置し、基板上の透明電極にスペーサの帯電極性と同極性の電圧を印加し、導電性ステージとは電気的に絶縁された状態の導電体を表示領域外に設け、透明電極に印加した電圧の極性と同極性の電圧を導電体に印加して、基板外にも基板内と略同一の電場を形成する液晶表示装置の製造方法である。
上記透明電極、基板、スペーサ及びスペーサの帯電方法としては、第一の本発明において説明したのと同様である。また、第二の本発明において説明したのと同様に、第五の本発明の液晶表示装置の製造方法をTFT型液晶表示装置の製造方法に適用することができる。
例えば、帯電したスペーサを散布する際、少なくともパターン状の透明電極及び配向膜から構成され、表示領域を有する基板がアースされていないか、又は、図52に示すように、アースされていない導電性ステージに基板を密着させて設置し、基板上のパターン状の透明電極に、帯電したスペーサの帯電極性と同極性の電圧を印加しても、その電場は一様に近く(図52ではある電位の等電位面として図示)、スペーサの選択配置は行われない。
一方、図53に示すように、基板をアースされた導電性ステージに密着させて設置し、基板上のパターン状の透明電極に、帯電したスペーサの帯電極性と同極性の電圧を印加することで、透明電極間隙の電位が下がり、配置に適する電場が形成され(図53ではある電位の等電位面として図示)、斥力でスペーサを透明電極の間隙に配置することができる。
しかしながら、パターン状の透明電極に印加する電圧により電場が形成され、スペーサに対して斥力が働く場合、表示領域外周付近のスペーサ数が少なくなる現象が見られ、第一及び第二の本発明において説明したのと同様に、液晶表示装置を製造するときに、スペーサの歪みが変化し、セル厚が変化して、液晶表示装置の表示が不均一となる。
これら表示領域外周付近のスペーサ数の増減の原因は、図1、図52及び図53に示すように、スペーサの帯電極性と同極性の電圧をパターン状の透明電極に印加して、スペーサを透明電極間隙に配置させようとする場合、落下中のスペーサを表示領域内から表示領域外に反発させようとする力(斥力)が働き、特に、表示領域の外周付近においては、表示領域の外側の基板上に斥力が存在しないために、表示領域外周部に配置されるべきスペーサが外側に逃げてしまうか、又は、表示領域の外側の領域が広い場合には、表示領域の外側の領域に集中的にスペーサが散布されることにある。
これらの現象を防止するため、第五の本発明においては、図54に示すように、正極性又は負極性に帯電したスペーサを基板上に散布するに際し、アースされた導電性ステージに基板を密着させて設置し、基板上の透明電極にスペーサの帯電極性と同極性の電圧を印加し、導電性ステージとは電気的に絶縁された状態の導電体を表示領域外に設け、透明電極に印加した電圧の極性と同極性の電圧を導電体に印加して、基板外にも基板内と略同一の電場を形成することにより、基板上に斥力の働く範囲が広まり、スペーサの増減は基板外の部分で吸収されてしまうため、表示領域は均一なスペーサ数となる。
アースされた導電性ステージ、基板上に形成された透明電極にスペーサの帯電極性と同極性の電圧を印加する方法、導電体の材質、導電体の形状、導電性ステージと導電体との絶縁方法、基板への電圧印加方法、基板上の透明電極及び導電枠に印加される電圧値及び導電枠の形成方法としては、第四の本発明おいて説明したのと同様である。
上記導電枠に印加する電圧は、透明電極に印加する電圧と略同一か、又は、高いのが好ましい。透明電極よりも導電枠に印加する電圧が低いと、基板外周部のスペーサの減少が防止できない。
上記導電枠と透明電極とに異なる電圧を印加する場合は、それぞれ別の電圧供給装置からの端子を接続すればよい。
具体的な第五の本発明の液晶表示装置の製造方法について、図55〜60を用いて説明する。
図55は、第五の本発明の液晶表示装置の製造方法における基板と導電枠との関係を説明するための平面図及び断面概念図である。第五の本発明における導電体は、図55に示すように、最外形寸法が基板よりも大きいものであって、表示領域よりも大きく、かつ、基板寸法以下に開口部が形成された導電枠であり、導電枠が基板外周部と重なる状態で、又は、重ならない状態で設置され、透明電極に印加した電圧の極性と同極性の電圧を導電枠に印加するのが好ましい。
上記導電性ステージと導電枠とは、別々に形成してもよいが、図56に示すように、絶縁体の同一平板上に導電性ステージと導電枠部分とを区画して形成してもよい。
上記導電枠を形成する位置としては特に限定されず、例えば、基板面より上、基板面と同一、導電性ステージ面と同一、導電性ステージ面より下等が挙げられる。
図55中(1)に示すように、導電枠の開口部が上記基板の大きさより小さく、導電枠が基板上に位置する場合、図55中(2)に示すように、導電枠の開口部が基板の大きさと一致し、導電枠上面が基板面と一致している場合等では、導電枠が基板及び導電性ステージより大きければ特に問題はなく、導電性ステージと導電枠との絶縁性が確保されていればよい。
上記導電枠の開口部が基板の大きさより小さく、導電枠が基板上に位置する場合では、導電枠自身がマスクの役割をするので、基板端部の透明電極の存在しない領域にスペーサが集中して配置されることはない。
しかし、導電枠の開口部が基板の大きさと一致し、導電枠上面が基板面と一致している場合では、透明電極の存在しない基板端部領域上では斥力が働かないことになるので、基板端部領域にスペーサが局所的に集中して配置されることがある。また、導電枠が導電性ステージより小さいと、はみ出ている導電性ステージ部分にスペーサが局所的に集中して配置されることがある。
上記スペーサの局所的な集中は、スペーサが表示領域外周部から集中部に逃げていることになり、表示領域外周部のスペーサ数を減少させる原因となることから、結果的に液晶表示装置のセル厚の不均一を引き起こす可能性がある。
上記導電枠が基板上に位置する場合では、基板は導電性ステージと全面接触が可能である。また、導電性ステージの大きさとしては特に限定されず、例えば、基板より大きくても、小さくてもよい。
上記スペーサの配置は、基板が導電性ステージに密着されることにより、透明電極間の電位が下がり、配置に適する電場が形成される。従って、基板下(裏)側に導電枠を設置する場合には、基板下(裏)面に導電枠が接することになるので、その部分の基板の電位が上昇するため、スペーサの配置性が悪くなる場合がある。
上記導電性ステージは、基板寸法以下で、分断ラインの外側の領域には達する大きさであり、導電枠上面は、図55中(3)に示すように、導電性ステージ面と略同一面であるか、又は、図55中(4)に示すように、導電性ステージより低い位置で設置されるのが好ましい。
上記分断ラインは、第一の基板と第二の基板を貼り合わせた後、基板を切断する際に基準となるラインである。
上記分断ラインの外側の領域は、基板上の表示領域外にダミー電極を設ける場合には、図59に示すように、ダミー電極領域である。
図55中(3)に示すように、導電枠上面が、導電性ステージ面と略同一面で設置されることにより、基板が導電枠と接するか、又は、図55中(4)に示すように、導電性ステージより低い位置で設置されることにより、基板端部が浮いた状態となる。
上記導電枠がこれらの位置に設置されることにより、基板全体で均一にスペーサが配置され、透明電極が存在しない基板端部でも、下からの導電枠による電場の影響でスペーサの局所的な集中配置を防げることができる。
上記導電性ステージは、図57で示すように、基板寸法以下で、分断ラインの外側の領域には達する大きさであり、導電枠は、分断ラインの外側の領域から基板外に形成され、分断ラインの外側の領域内での導電性ステージと導電枠との占有面積が、[導電性ステージの占有面積]>[導電枠の占有面積]であるのが好ましい。
このとき、導電枠は、基板と接するように配置されてもよく、基板と接しないように配置されてもよい。
図59は、第五の本発明の液晶表示装置の製造方法におけるブラックマトリックスの額縁状態を説明するための平面及び断面概念図である。第一の基板及び第一の基板の上に対向配置される第二の基板のうち少なくとも一方の基板は、液晶表示装置用カラーフィルタ基板であり、図59で示すように、ブラックマトリックスが形成されている。上記ブラックマトリックスは表示領域内で格子状に画素を区画している。
また、上記ブラックマトリックスは、表示領域を額縁状に現している。その額縁状態はブラックマトリックスの存在しない領域により形成されているが、その外側のダミー電極部分にも、ベタ状のマスクとしてブラックマトリックスが残されている場合もある。その場合、ブラックマトリックスの位置と透明電極からなる領域は、ほぼ一致している。
上記ブラックマトリックスを形成する材料として、クロムが多く用いられている(このようなブラックマトリックスを導電性ブラックマトリックスともいう)。このような構成の液晶表示装置用カラーフィルタ基板においては、クロムからなるブラックマトリックスが形成されている領域よりも小さな導電性ステージを用いても、アースされた導電性ステージの効果はブラックマトリックス全体の領域に及び、ブラックマトリックスの電位が下がるため、ブラックマトリックスの領域が導電性ステージの効果を担うことができる。
従って、導電性ステージが基板よりも小さくても、ブラックマトリックスが存在する領域は、スペーサを配置するのに適する電場が形成される。
上記基板上において、ブラックマトリックスの額縁状態を形成するために、ブラックマトリックスのない領域をつくると、表示領域とその外側のダミー電極領域とにあるブラックマトリックスが分断されるため、表示領域内とダミー電極領域内とで導電性ステージのアースした効果が変化することになる。
従って、導電性ステージの大きさは、ブラックマトリックスの額縁部、ブラックマトリックスのない領域及びダミー電極領域をまたぐ必要がある。これにより、基板内全体のスペーサの配置状態が均一なものとなる。
図55中(3)で示すように、導電性ステージと略同一面で導電枠を形成する場合、基板を導電枠上にセットすると、基板が導電性ステージ上面と導電枠上面との両方の面に接することになる。
この場合、基板外周部下(裏)には、局所的にアース電位と導電枠からの電位を受けることになる。特に、この近辺は、表示領域にあるブラックマトリックスとダミー電極領域にあるブラックマトリックスとが分断されているため、分断されている外の領域は、表示領域とは異なる単独の影響を受ける。
従って、この場合は、この分断されているダミー電極領域がアース電位に近くなるようにしなければならない。そのためには、図57で示すように、ダミー電極領域内での導電性ステージと導電枠との占有面積が、[導電性ステージの占有面積]>[導電枠の占有面積]とする必要がある。
上記ダミー電極領域内での導電性ステージと導電枠との占有面積が、[導電性ステージの占有面積]<[導電枠の占有面積]となってしまうと、この領域の透明電極間隙の電位が上昇してしまうため、スペーサの配置が行われにくくなる。
上記導電性ステージは、図58で示すように、基板寸法以下で、分断ラインの外側の領域には達する大きさであり、導電枠は、分断ラインの外側の領域と重なりをもたない状態で透明電極の外側に形成されるのが好ましい。
つまり、導電枠がダミー電極領域に入り込まない位置に形成されるようにすればよい。この位置では、導電枠の電位が、ブラックマトリックスに影響を及ぼすことはなく、基板外周端部にスペーサが局所的に集中することもない。
一方、これまでの導電性ステージと導電枠との位置関係において、導電性ステージよりも導電枠が低い位置に存在する場合には、図55中(4)で示すように、分断ラインの外側の領域は導電枠と直接接することはない。
この場合、基板端部がアースされていないので、その部分は電位上昇が起こり、基板端部へのスペーサの局所的な集中も起こらない。
上記ブラックマトリックスの材料は、クロム以外に、樹脂に顔料等を分散した組成物により形成される場合がある。該組成物の場合には、導電性が低いため、クロムの場合のような導電性ステージと同様な効果を示さない場合がある。
このような場合で、基板の下に導電枠を設置する場合には、図60で示すように、導電性ステージの寸法を透明電極が存在する領域とほぼ一致させ、導電枠の端部位置を透明電極の存在しない領域で形成するのが好ましい。
これにより、透明電極からなる領域は、導電性ステージを存在させ、スペーサの配置に適する電場を形成する。一方、透明電極の存在しない領域は、導電枠に接するようにするか、又は、導電性ステージを存在させないようにすることで、基板端部の電位降下をさせないようにして、スペーサが局所的に集中して散布されるのを防ぐことができる。
以上のように、透明電極に電圧を印加して、帯電したスペーサを電極間隙に配置させることによる第五の本発明の液晶表示装置の製造方法を行う場合に、表示領域外の領域上に類似の電場を形成することにより、スペーサを基板全体にわたり配置することができるので、これにより得られる液晶表示装置は、セル厚が均一で、表示ムラのない高品質の表示性能を有するものとすることが可能となる。
第六の本発明は、少なくともパターン状の透明電極及び配向膜から構成され、1つ又は2つ以上の表示領域を有する第一の基板及び第一の基板の上に対向配置される第二の基板のうち少なくとも一方の基板にスペーサを散布し、両基板の間隙に液晶を注入してなる液晶表示装置の製造方法であって、正極性又は負極性に帯電したスペーサを基板上に散布するに際し、基板寸法より小さい寸法のアースされた導電性ステージに基板を密着させて設置して、基板外周端部が導電性ステージから浮いた状態とし、かつ、基板上の透明電極にスペーサの帯電極性と同極性の電圧を印加する液晶表示装置の製造方法である。
上記透明電極、基板、スペーサ及びスペーサの帯電方法としては特に限定されず、第一の本発明において説明したのと同様である。また、第二の本発明において説明したのと同様に、第五の本発明の液晶表示装置の製造方法をTFT型液晶表示装置の製造方法に適用することができる。
第六の本発明においては、スペーサ散布時に、単に、透明電極にスペーサの帯電極性と同極性の電圧を印加するのみでは、第五の本発明において詳述したのと同様に、表示領域外周付近のスペーサ数が増減する現象が見られ、第一及び第二の本発明において説明したのと同様に、液晶表示装置を製造するときに、スペーサの歪みが変化し、セル厚が変化して、液晶表示装置の表示が不均一となる。
また、図61に示すように、基板内は、透明電極にスペーサの帯電極性と同極性の電圧が印加されているため、表示領域上にはスペーサに対して斥力が働き、一方、導電性ステージはアース電位のため、帯電しているスペーサに対して引力が働くことから、基板外周部には、基板内からの斥力と導電性ステージからの引力とが働き、その両方の効果により、スペーサが基板内より逃げようとする。
これらの現象を防止するため、第六の本発明においては、図62に示すように、正極性又は負極性に帯電したスペーサを基板上に散布するに際し、基板寸法より小さい寸法のアースされた導電性ステージに基板を密着させて設置して、基板外周端部が導電性ステージから浮いた状態とし、基板上の透明電極にスペーサの帯電極性と同極性の電圧を印加することにより、基板端部は導電性ステージからのアースの効果が弱まり、むしろ、透明電極の電位に引きずられる傾向にあることから、導電性ステージが基板寸法より大きい場合に比較して、基板外周部に配置されるスペーサの数の減少を防止することができる。
アースされた導電性ステージ、基板上に形成された透明電極にスペーサの帯電極性と同極性の電圧を印加する方法、導電体の材質、導電体の形状、導電性ステージと導電体との絶縁方法、基板への電圧印加方法、基板上の透明電極及び導電枠に印加される電圧値及び導電枠の形成方法としては、第四の本発明において説明したのと同様である。
上記基板外周端部が導電性ステージから浮いた状態とは、図62に示すように、基板が導電性ステージからはみ出した状態のことである。
具体的な第六の本発明の液晶表示装置の製造方法について説明する。
上記スペーサが散布される基板は、第五の本発明と同様に、ブラックマトリックスが形成されたものであってもよく、該ブラックマトリックスが絶縁性のものでも、導電性のものでも上述したのと同様の効果を得ることができる。
また、上記ブラックマトリックスは、導電性のものであり、導電性ステージは、基板の各表示領域のブラックマトリックスの額縁外周部よりも小さい寸法の1つ又は2つ以上のものであるのが好ましい。この場合には、基板外周部に配置されるスペーサの数の減少をより防止することができる。
第五の本発明において詳述したような構成の液晶表示装置用カラーフィルタ基板では、導電性ブラックマトリックスが形成されている領域よりも小さな導電性ステージを用いても、アースされた導電性ステージの効果は導電性ブラックマトリックス全体の領域に及び、導電性ブラックマトリックスの電位が下がるため、導電性ブラックマトリックスの領域が導電性ステージの効果を担うことができる。
従って、導電性ステージが基板よりも小さくても、導電性ブラックマトリックスが存在する領域は、スペーサを配置するのに適する電場が形成される。
このとき、導電性ブラックマトリックスの額縁外の領域はアースされていないため、基板のガラス部の電位が透明電極に印加した電圧に引きずられ、その電位が透明電極の電位に近づく方向に上昇する。導電性ブラックマトリックスの額縁外の領域がアースされていない状態とは、例えば、導電性ブラックマトリックスがあっても分断ラインにより切れている場合、導電性ブラックマトリックスの額縁外に導電性ブラックマトリックスが存在しない場合等が挙げられる。
この状態で表示領域内と表示領域外の電位を比較すると、表示領域内は、透明電極に印加した高い電圧による高い電位と、透明電極間の低い電位とが存在することになる。
一方、上記表示領域外は、図63に示すように、ダミー電極を形成すると、ダミー電極及び基板のガラス部ともに高い電位となる。そのため基板全体で見ると、表示領域外に高い電位の領域が形成され、表示領域内に低い電位の領域が形成されることになる。
従って、表示領域外の高い電位の領域が斥力の壁となり、表示領域内のスペーサが表示領域外へ逃げるのを防止することになる。これにより、表示領域内のスペーサ数は均一となるため、セル厚も均一化され、液晶表示装置は均一な表示性能を有することになる。
スペーサが散布される基板が多数の表示領域の形成された多面取りである場合でも、ブラックマトリックスが導電性の場合には、各表示領域のブラックマトリックスの額縁外周部よりも内側になる大きさの複数の導電性ステージを設けることにより、全ての表示領域に対して、上述したのと同様の効果を得ることができる。
この場合、複数の表示領域に対応して、分割された複数の導電性ステージを設置してもよいし、一つの導電性ステージに溝を形成して、複数の導電性ステージを設置してもよい。
上記導電性ステージと基板との接触面積は、表示領域面積の30%以上であるのが好ましい。
上述したように導電性ブラックマトリックスが形成されている場合、その領域よりも小さな導電性ステージを設置するときでも、導電性ブラックマトリックスが導電性ステージの効果を担うため、表示領域は、スペーサの配置に適する電場が形成される。
しかしながら、導電性ステージと表示領域(ブラックマトリックスの領域)との接触面積が小さすぎると、アースの効果が薄れてしまう。従って、表示領域にスペーサの配置に適する電場を形成する為には、導電性ステージと基板との接触面積が、基板上の表示領域面積の30%以上であるのが好ましい。30%未満であると、アースの効果が薄れ、スペーサの配置に適する電場が崩れて、スペーサの表示領域外周部への配置を行いにくくなる。
第七の本発明は、帯電した微粒子を複数の電極を有する基板上に選択的に配置させる微粒子散布装置であって、帯電した微粒子を基板上に散布するためのノズルと、帯電した微粒子が散布される基板を設置して保持する位置が固定された導電性ステージと、基板を導電性ステージから着脱するための複数個の押上げピンと、導電性ステージに設置された基板上の複数の電極に、帯電した微粒子と同極性の電圧を印加するプローブと、導電性ステージとは電気的に絶縁された状態の導電体とからなり、該導電体は、導電性ステージに設置された基板の上面に配置され、帯電した微粒子と同極性の電圧が印加され、基板寸法以下に開口部が形成された導電枠である微粒子散布装置である。
上記透明電極、基板、微粒子及び微粒子の帯電方法としては、第一の本発明において説明したのと同様である。
アースされた導電性ステージ、基板上に形成された透明電極にスペーサの帯電極性と同極性の電圧を印加する方法、導電体の材質、導電体の形状、導電性ステージと導電体との絶縁方法、基板への電圧印加方法、基板上の透明電極及び導電枠に印加される電圧値及び導電枠の形成方法としては、第四の本発明おいて説明したのと同様である。
第七の本発明の微粒子散布装置は、液晶表示装置の製造方法に適用することができ、その場合、上記微粒子としては、第一の本発明において説明したスペーサが用いられる。
ここで、プローブと導電体とが連動して上下動することが好ましい。また、プローブと導電体とが一体となって上下動することが好ましい。更に、プローブ、導電体及び押上げピンは、単一の駆動源によって連動して駆動されることが好ましい。
そして、複数の電極及び導電体に同一電圧を同時に印加することが好ましい。
具体的な第七の本発明の微粒子散布装置について、液晶表示装置の製造方法に適用する場合について、図64〜68を用いて説明する。
図64は第七の本発明の微粒子散布装置の一例を示す概略断面図、図65は図64において基板の供給搬出時における説明図、図66は図64の要部の拡大説明図、図67は基板と導電枠との関係を示す平面説明図である。
図64に示すように、微粒子散布装置は、基板上に散布される微粒子であるスペーサを、空気流とともに供給する微粒子タンク11bと、この微粒子タンク11bによって供給されたスペーサを空気流によって搬送し、途中で管の内壁と接触することによってスペーサを帯電させる配管17と、基板上にスペーサを散布する容器10とからなっており、容器10の下部には、後述する導電枠、プローブ、押上げピン等を上下方向に駆動する駆動機構31を、側面には、スペーサが散布される基板を容器10内に供給し、スペーサが散布された基板を容器10内から取り出すロボット装置32を有している。
容器10には、上部に微粒子タンク11bから配管17を通って供給された帯電したスペーサを、揺動することによって所定の散布範囲33に均一に散布するノズル11aが配置されており、下部には液晶表示装置の基板1を設置して保持する導電性ステージ15が配置されている。この導電性ステージ15は、容器10に対して固定された位置に配置されており、その上面に設置して保持された基板1上にノズル11aから散布されたスペーサが落下して配置されるものである。
導電性ステージ15は、基板1を設置して保持するようになっており、この基板1の上方には、基板1の上面に重ねて設置される導電枠34が上下動可能に配置されている。この導電枠34は、薄い板状の導電体又は表面に導電体がコーティングされたものであって、ノズル11aによるスペーサの散布範囲33より充分に大きく、かつ、図67に示すように、液晶表示装置の表示部となる基板1の透明電極3からなる表示電極領域が露出するように、基板1の表示領域より大きく、更に、基板1よりも小さな開口部34aを有している。
なお、この開口部34aは、基盤1等によって形成される液晶表示装置の表示領域よりも大きく、表示電極3からなる表示電極領域よりも外部に形成される帯電防止等の作用をなすダミー電極領域よりも小さいのが好ましい。
また、導電枠34の上方には、導電枠34に連動して上下動可能で、先端を基板1の透明電極3(好ましくはダミー電極)に押圧して透明電極3に電圧を印加するプローブ35が設けられている。このプローブ35は、導電枠34とともに電圧印加装置12(図64参照)に接続されており、基板1の透明電極3及び導電枠34に所定の電圧を印加し、かつ、帯電したスペーサと同極性の電圧を印加するためのものである。
ここで、このプローブ35は、基板1上の透明電極3に安定して接触するように、図示しないばねによって下方向に付勢されていることが好ましい。ばねによって下方向に付勢されているときには、図66に示すように、導電枠34に固定してもよく、又は、導電枠34と基板1上の透明電極3とに同じ電圧を印加するときには、プローブ35として導電枠34の下面に設けられた基板1上の透明電極3との通電部(図示しない)を設けてもよい。
導電性ステージ15の上面に設置して保持される基板1を供給又は搬出するときには、図65に示すように、基板1を押し上げてロボット装置32のアーム32aを挿入可能にするための複数個の押上げピン36が、導電性ステージ15を貫通して設けられている。
これらの押上げピン36は、基板1を押し上げてロボット装置32のアーム32aを挿入可能にするとともに、ノズル11aによるスペーサの散布時に印加された電圧によって、静電的に吸着されて密着した基板1と導電性ステージ15とを基板外周部から空気を導入しながら剥離するもので、基板外周部から空気を導入しやすくするために、基板外周部の押上げピンをやや長くして中央部の押上げピンをやや短くすることが好ましい。
また、導電性ステージ15から基板1を容易に剥離させるために、導電性ステージ15に空気穴(図示しない)を設け、ここから導電性ステージ15と基板1との間に空気を供給することも可能である。この場合には、基板外周部の押上げピン36の長さを長くする必要はない。
また、このような空気穴を設けるときには、基板1を導電性ステージ15の上面に設置して保持する際に真空で引いて基板1と導電性ステージ15とを密着させ、押上げピン36で基板1を押し上げる際に空気を吹き込んで基板1を容易に剥離させることもできる。
押上げピン36及び導電枠34は、単一の駆動機構31に接続されている。第七の本発明の実施形態では、この駆動機構31は、導電性ステージ15の下方に配置された平板状のものであって、この平板状の駆動機構31を図示しない駆動源によって上下動することによって押上げピン36及び導電枠34が上下動する。
基板1を供給又は搬出する際には、図65に示すように、最初に導電枠34を上昇させて押上げピン36を上昇可能にし、次いで押上げピン36を上昇させて基板1を導電性ステージ15から剥離して持ち上げなければならない。
このため、第七の本発明の実施形態では、図66に示すように、駆動機構31の下降位置では基板1と押上げピン36との間に隙間Aを設け、駆動機構31の上昇に際して、最初は導電枠34のみが上昇し、導電枠34が隙間Aだけ上昇した後に押上げピン36が上昇して基板1を導電性ステージ15から剥離して持ち上げるように構成されている。
このようにして、駆動機構31の上昇位置で、隙間Aだけ基板1と導電枠34との間に隙間を設けることによって、ロボット装置32によって基板1を供給及び搬出する際に、基板1と押上げピン36とが接触しないようにアーム32aをわずかに上昇させる隙間が確保される。
図67に押上げピン36と導電枠34の押上軸34b及びロボット装置32のアーム32aの具体的な配置の例を示す。図67に示すように、押上げピン36は、導電性ステージ15から基板1を剥離する際に基板1が破損しないように多数設けることが好ましい。
また、導電枠34の押上軸34bは、基板1又は導電性ステージ15と干渉しないように、その周囲に配置することが望ましい。図67の左側に想像線で描かれているのは、ロボット装置32のアーム32aであり、押上げピン36や導電枠34の押上軸34bと干渉しないように複数個に枝分かれしたアーム32aに、基板1を吸着して保持する吸着カップ32bが設けられている。
図68は、導電枠34と基板1の透明電極3とに電圧を印加したときの等電位を示す線37を描いた説明図である。図68に示すように、導電枠34と透明電極3との位置では電位が高く、電極の隙間(電極間隙)すなわち透明電極間隙及び導電枠34と透明電極3との隙間で電位が低くなっている。
ノズル11aから散布されたスペーサは、導電枠34及び透明電極部3に印加された電圧の極性と同極性に帯電しているので、基板上の電場による斥力によって反発しながら落下し、電位が低くなっている位置に移動して電極の隙間すなわち透明電極間隙及び導電枠34と透明電極3との隙間に集中的に落下する。
そして、導電枠34の外側は、スペーサの散布範囲33から大きく外れているので、斥力による反発があっても導電枠34の外側にスペーサが落下することはなく、ノズル11aから散布されたスペーサは、透明電極間隙及び導電枠34と透明電極3との隙間にのみ落下する。
導電枠34と透明電極3とに印加される電圧は、透明電極間隙及び導電枠34と透明電極3との隙間にスペーサが適正な比率で落下するように選択すればよいが、同じ電圧とし、透明電極3の隙間の幅及び導電枠34と透明電極3との隙間の幅を、スペーサが適正な比率で落下するように選択することによって、基板1の透明電極3及び導電枠34に電圧を徐々に印加し、又は、除去する際に、同じ電圧を同時に印加し、又は、除去して電源装置12における電圧の制御を容易にすることができる。
以上のように、第七の本発明の実施形態について説明したが、第七の本発明はこれらの実施形態に限定されるのではなく、第七の本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってよいのはもちろんである。
第八の本発明は、第一の本発明の微粒子散布方法によって製造されてなる液晶表示装置である。
第九の本発明は、第二又は第三の本発明の液晶表示装置の製造方法によって製造されてなる液晶表示装置である。
第十の本発明は、第四、第五又は第六の本発明の液晶表示装置の製造方法により、第七の本発明の微粒子散布装置を用いて製造されてなる液晶表示装置である。
第八、第九及び第十の本発明の液晶表示装置は、セル厚が均一で、表示ムラのない高品質の表示性能を有するものである。