JP4274627B2 - 汚泥の破砕方法およびこれを利用した嫌気性消化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排水処理施設などから発生する有機物を含有する汚泥(以下、単に汚泥という)の破砕方法およびこれを利用した汚泥の嫌気性消化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、排水処理施設から発生する汚泥は、脱水後、産業廃棄物として埋立などにより処分されていた。しかし、近年、埋立地の確保が困難となったため、汚泥の減量化が求められるようになってきた。
汚泥を減量化する方法としては、汚泥に含まれる有機物を嫌気性消化法などの生物学的処理によって処理する方法が多く用いられている。しかしながら、汚泥は主に微生物によって構成されており、これらは生物学的処理が困難な細胞壁によって囲まれているため、生物学的な分解に長期間を要するという問題点があった。
【0003】
こうした問題点を解消するために、生物学的処理を行なう前に、汚泥を破砕することにより、生分解性を向上させて生物処理における分解速度を高める方法が提案されており、汚泥を破砕する方法として、湿式媒体攪拌式ミル処理(特公平4−15040号公報参照)や超音波、ホモジナイザー、ミキサー、石臼式粉砕機(特許第2806495号公報参照)などによる機械的処理の他、オゾン処理、アルカリ処理、熱処理などが提案されている。
【0004】
また、汚泥の破砕コストを削減することなどを目的として、汚泥をまず嫌気性消化して減量化し、減量化された消化汚泥を、アルカリ処理、オゾンまたは過酸化水素処理して、再び嫌気性消化処理する方法(特開平9−85299号公報、特開平9−66298号公報参照)が提案されているが、これらの方法では、添加されたアルカリ剤、オゾンや過酸化水素が後の嫌気性消化に悪影響を与えるという問題点がある。また、熱処理して可溶化する方法(特開平1−224100号公報、特開平8−318299号公報参照)も提案されているが、可溶化処理の条件が高温のため、難生物分解物質や着色物質が生成するという問題点がある。
【0005】
汚泥を機械的に破砕する方法としては、湿式媒体撹拌式ミル、超音波、ホモジナイザー、ミキサー、石臼式粉砕機などがあるが、これらの方法のうち、石臼式粉砕機は、少なくとも一方が回転する一対の砥石で構成されるものであり、砥石の対向間隙を処理対象物が通過するときに発生する衝撃、遠心力、剪断力により処理対象物をすり砕く原理のものであるが、この石臼式粉砕機を用いて汚泥中の微生物を破砕するには、砥石の間隙をほとんど零にする必要があり、このため、処理に長時間を要する上、砥石の摩耗によって処理コストが上がるので、あまり実用的な方法ではなかった。
【0006】
また、湿式媒体攪拌式ミル処理は、破砕媒体(ビーズ)を充填したミル室に汚泥を連続的に導入し、ディスクやピンを備えた撹拌軸を高速回転させることによりビーズを撹拌し、撹拌されたビーズ間に生じる剪断摩擦力により汚泥を破砕し、破砕された汚泥とビーズをミル内のスリットやスクリーンによって分離し、破砕された汚泥のみを系外に排出する方法であり、汚泥を効果的に破砕することのできる方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、汚泥の種類によっては、排水処理施設などで十分に処理できなかった紙や人毛などの繊維質が大量に存在しており、これらはミル処理でも十分に破砕されずにビーズ分離部のスリットやスクリーンに詰まり、このためミルの安定した運転が実施できなくなるという問題点があった。
【0008】
本発明は、湿式媒体攪拌式ミル処理によって汚泥を安定して破砕する汚泥の破砕方法およびこの方法を利用した汚泥の嫌気性消化方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような課題を解決するため鋭意検討した結果、湿式媒体攪拌式ミル処理で問題となる汚泥中の繊維質を、石臼式粉砕機によって切断することができることを見出し本発明に到達した。
すなわち、第1の発明は、汚泥を石臼式粉砕機によって処理した後、湿式媒体攪拌式ミル処理をすることを特徴とする汚泥の破砕方法を要旨とするものである。
【0010】
また、第2の発明は、汚泥を嫌気性消化する第1工程と、この消化汚泥を石臼式粉砕機で処理した後に湿式媒体撹拌式ミルで処理することにより汚泥を破砕する第2工程と、破砕した汚泥を再度嫌気性消化する第3工程とからなることを特徴とする汚泥の嫌気性消化方法を要旨とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の処理対象となる汚泥としては、有機物を含有する汚泥であれば特に限定されるものではなく、下水、食品工場排水、化学工場排水などの排水を、活性汚泥処理施設などの生物学的排水処理施設で処理する際に発生する生汚泥や余剰汚泥、余剰汚泥を嫌気性消化した際に発生する嫌気性消化汚泥の他、それらの混合汚泥および濃縮汚泥などが挙げられる。これらの汚泥中には、量の多少はあるものの、湿式媒体撹拌式ミルで処理する際に問題となる繊維質が存在しており、これらの繊維質は、紙や人毛などの天然繊維、各種の合成繊維、半合成繊維などであると考えられる。
【0012】
本発明においては、予め汚泥を嫌気性消化などの減量化処理などを行なって減量化しておくと、後の汚泥破砕のコストを削減することができるので好ましい。汚泥を予め嫌気性消化しておく際の処理条件としては、特に限定されるものではなく、通常の嫌気性消化処理の条件が採用できる。例えば、処理温度としては、15〜60℃が好ましい。嫌気性消化槽の汚泥濃度としては、効率的な嫌気性消化処理のためにほぼ一定に維持し、汚泥濃度が高くなると嫌気性消化された汚泥を消化汚泥として引き抜けば良い。通常、このような嫌気性消化処理によって投入汚泥中の有機物は、40〜60%減少する。
【0013】
本発明においては、このような汚泥をそのまま用いても良いが、汚泥の濃度が低い場合には、濃縮装置を用いて汚泥を濃縮しておくことが好ましい。汚泥を濃縮して汚泥濃度を高くしてから石臼式粉砕機処理および湿式媒体撹拌式ミル処理を行なうことにより、直接汚泥を処理する場合と比べて処理量が減り、それに伴い運転に必要な電力などが減少して、石臼式粉砕機処理および湿式媒体撹拌式ミル処理を経済的に行なうことができる。濃縮装置としては、特に限定されるものではなく、通常の汚泥濃縮に用いられる、沈殿槽、膜分離装置、遠心濃縮機、浮上濃縮機などが挙げられる。濃縮後の汚泥濃度としては流動性を示す濃度であれば特に限定されるものではなく、通常2〜10重量%が好ましく、特に4〜7重量%が好ましい。
【0014】
本発明の汚泥の破砕方法においては、まず、汚泥を石臼式粉砕機で処理して、汚泥に含まれる繊維質を切断する。
砥石としては、炭化珪素、アルミナ、ダイヤモンド、酸化珪素などの従来から石臼式粉砕機に使用されている材質のものを使用すれば良く、粒度、外形、溝形状などの砥石形状も特に限定されるものではない。また、その回転数も特に限定されるものではない。また、砥石の間隙としては、0.01〜1.0mmが好ましく、特に0.02〜0.5mmが好ましい。砥石の間隙を0.01mmより小さくすると砥石間の摩擦が大きくなり、砥石の摩耗が激しくなるのに加えて、摩擦熱により汚泥成分が難生分解性の物質へと変質する恐れがある。また、間隙を0.01mmより小さくすると単位時間当たりの処理量が減少するため、コスト的にも望ましくない。一方、砥石の間隙を1.0mmより大きくすると微細な繊維質が破砕されないまま、後に続く湿式媒体撹拌式ミル処理工程に導入されるために好ましくない。
【0015】
石臼式粉砕機により処理された汚泥は、繊維質は切断されているが、汚泥を構成する微生物は数μm〜数十μmの大きさであり、石臼式粉砕機で破砕することは困難である。
そこで、本発明においては、このように石臼式粉砕機により処理された汚泥を湿式媒体攪拌式ミルにより処理する。
【0016】
本発明に用いる湿式媒体撹拌式ミルとしては、任意の湿式媒体撹拌式ミルが使用でき、ミル室の向きとしては、縦型、横型のいずれでも良い。また、破砕媒体を攪拌するための攪拌装置としては、ディスク型、ピン型、ピンディスク型などが挙げられる。
破砕媒体の材質としては、ガラス、ジルコニア、アルミナなどの従来から湿式媒体撹拌式ミルに使用されているもので良く、真比重が2.0〜7.0である材質のものを用いることが好ましい。破砕媒体の真比重が7.0より大きい場合には、ビーズを攪拌するためのコストが高くなるために好ましくない。また、真比重が2.0より小さい場合には、微生物が十分に破砕できない場合があるので好ましくない。また、ミル室に導入する汚泥濃度が高い場合には、5.0〜7.0程度の真比重の大きなものを用いることが好ましい。
【0017】
破砕媒体の粒径としては、0.05〜2.0mmφが好ましく、特に0.05〜1.0mmφが好ましい。破砕媒体の粒径が2.0mmφより大きいと、ビーズ間の空隙が大きくなるため汚泥を構成する数μm〜数十μmのバクテリアなどの微生物を破砕しにくくなるため好ましくない。また、0.05mmφより小さいと、ビーズ分離部で分離することが困難になるために好ましくない。
【0018】
破砕媒体の充填率としては、破砕効果および消費電力などから50〜100%が好ましく、特に70〜90%が好ましい。また、ディスク(ピン)先端周速としては、3〜30m/秒が好ましく、特に5〜20m/秒が好ましい。ディスク(ピン)先端周速が3m/秒より遅いとビーズの攪拌が不充分で、汚泥が充分に破砕されない恐れがあり、また30m/秒より速くしても消費電力が増大するだけで、破砕効果はさほど向上しない。滞留時間としては、処理する汚泥濃度や用いる破砕媒体などによって適宜決定することが好ましいが、通常20秒〜20分が好ましく、特に1〜10分が好ましい。滞留時間が20秒よりも短いと汚泥が十分に破砕されていない恐れがあり、また20分より長くしても消費電力が増大するだけで、破砕効果はさほど向上しない。
【0019】
また、処理中の汚泥温度としては、60℃以下が好ましく、特に、4〜40℃が好ましい。処理温度が60℃より高いと、汚泥成分が熱変性して難生分解性の物質となるために好ましくない。通常、ミル処理により破砕された汚泥の温度は、処理前より10〜30℃程度上昇するため、夏場のように温度が高い場合は冷却水を用いて冷却することが好ましい。冷却は湿式媒体攪拌ミルのミル室は、通常二重ジャケット構造になっているので、この間に冷却水を通すことにより容易に行なうことができる。
【0020】
このように破砕処理した汚泥は、生分解性が向上しているため、嫌気性消化、好気性消化などの生物学的汚泥処理施設や、活性汚泥などの生物学的排水処理施設へ供給して生物学的処理を行なえば、汚泥の減容化を効率的に行なうことができる。
破砕処理した汚泥を、さらに嫌気性消化を行なうときの嫌気性消化の処理条件としては、特に限定されるものではなく、先に述べたような、通常の嫌気性消化処理の条件が採用できる。このように破砕した汚泥を嫌気性消化処理することによって破砕した汚泥中の有機物は20〜90%減少する。
【0021】
次に、本発明の汚泥の嫌気性消化方法を図面を参照しながら説明する。
図1〜図4は本発明の汚泥の嫌気性消化方法の工程の概略を示す図である。
図1に示す第1の方法は、下水、食品工場排水、パルプ工場排水などの排水処理施設から排出される汚泥1を第1の嫌気性消化槽2に供給して嫌気性消化する。通常、投入汚泥中の有機物は、嫌気性消化によって40〜60%減少する。第1の嫌気性消化槽2においては、通常、効率的な嫌気性消化処理のために汚泥濃度をほぼ一定に維持し、嫌気性消化された汚泥は消化汚泥3として引き抜かれる。消化汚泥3は石臼式粉砕機4に送られ、続いて湿式媒体撹拌式ミル5に送られ破砕処理され、可溶化汚泥6となる。可溶化汚泥6はさらに第2の嫌気性消化槽7に送られ嫌気性消化することにより、投入汚泥中の有機物は20〜90%減少し、残さ汚泥8として排出される。また、減少した有機物から燃料として利用可能なメタンガスが発生する。
【0022】
図2に示す第2の方法は、第1の方法で述べた消化汚泥3を汚泥濃縮装置9に送り、消化汚泥3を濃縮した濃縮消化汚泥10を石臼式粉砕機4に移送するようになっており、分離水11は系外に排出するようになっている。他の構成は第1の方法と同じである。
次に、図3に示す第3の方法において、第1の方法との違いは可溶化汚泥6を第2の嫌気性消化槽7に送る代わりに、第1の嫌気性消化槽2に戻すもので、第2の嫌気性消化槽2の処理を第1の嫌気性消化槽2で行なうものである。他の構成は第1の方法と同じである。
【0023】
さらに、図4に示す第4の方法は、第3の方法で述べた消化汚泥3は全て汚泥濃縮装置9に送り、消化汚泥3を濃縮した濃縮消化汚泥10を石臼式粉砕機4に移送し、可溶化汚泥6を第1の嫌気性消化槽2に戻すもので、第3の方法と同様に第2の嫌気性消化槽2の処理を第1の嫌気性消化槽2で行なうものである。他の構成は第3の方法と同じである。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
なお、実施例において、CODCr量(二クロム酸カリウムによる酸素要求量)は、下水試験方法1997年版(日本下水道協会発行)第2章第22節3に記載の方法に従って測定した。この値は汚泥の破砕の程度を示す値であり、値が大きい程、破砕が進んでいることを示す。また、全有機物(VS)あたりの溶解性CODCr量(mgCODCr/gVS)は、対象汚泥の全有機物(VS)と、対象汚泥を3,000rpm×20分間の遠心分離した後の上清中に含まれるCODCr(溶解性CODCr)から算出した。
【0025】
メタンガス発生量(mL/gVS)は、第2の嫌気性消化槽内で発生した消化ガス量(mL/gVS)をシリンジを用いて測定し、また、消化ガス中のメタン含有率(%)を下水試験方法1997年版(日本下水道協会発行)第5章第2節1に記載の方法に従って測定し、以下の式に従って算出した。
【0026】
【式1】
メタンガス発生量(mL/gVS)=消化ガス量(mL/gVS)×メタン含有率(%)
SS分解率(%)は、対象汚泥の浮遊物質(SS)(mg/L)と、対象汚泥を嫌気性消化した後の汚泥のSS(mg/L)とを下水試験方法1997年版(日本下水道協会発行)第4章第9節に記載の方法に従って測定し、以下の式に従って算出した。
【0027】
【式2】
SS分解率(%)={1−(対象汚泥を嫌気性消化した後の汚泥のSS(mg/L))/対象汚泥のSS(mg/L)}×100
実施例1
下水処理施設で発生した嫌気性消化汚泥(汚泥濃度:4重量%、全有機物あたりの溶解性CODCr量:187mgCODCr/gVS)を、石臼式粉砕機(セレンディピターMKCA6−3型:増幸産業株式会社製)を用いて処理した。処理条件としては、炭化珪素製の直径150mmの砥石を使用し、砥石回転数1,800rpm、砥石間隙0.15mmの条件で行なった。処理後の汚泥の全有機物(VS)あたりの溶解性CODCr量(mgCODCr/gVS)は、235mgCODCr/gVSであった。
【0028】
次に、この石臼式粉砕機で処理した汚泥を、湿式媒体撹拌式ミル(スイス Bachofen社製:DYNO-MILL KDL 型)で連続処理した。処理条件としては、破砕媒体として0.6mmφのガラスビーズ(Silibeads 社製)を使用し、ビーズ充填率85%、ディスク先端周速6.8m/s、スリット間隙0.15mm、滞留時間2分、温度19±1℃で行なった。処理後の汚泥の全有機物(VS)あたりの溶解性CODCr量(mgCODCr/gVS)は、353mgCODCr/gVSであり、この値から、本発明の方法により汚泥の破砕が十分に進んでいることがわかる。また、処理中、特に問題は起こらなかった。
比較例1
実施例1と同じ汚泥を、実施例1と同じ条件で湿式媒体撹拌式ミル(スイス Bachofen社製:DYNO-MILL KDL 型)で処理した。その結果、運転開始後10分で湿式媒体撹拌式ミルの経路が閉塞し、それ以上、運転を続けることができなかった。
【0029】
このように消化汚泥を湿式媒体攪拌式ミルのみで処理しようとすると、ミルの経路が閉塞してしまって、連続的に運転することができない。
比較例2
実施例1と同じ汚泥を、砥石間隙0.02mmとする以外は実施例1と同様にして石臼式粉砕機で処理した(湿式媒体撹拌式ミル処理は行なっていない)。処理後の汚泥の全有機物(VS)あたりの溶解性CODCr量(mgCODCr/gVS)は、250mgCODCr/gVSであり、この値から、砥石間隙を小さくしても石臼式粉砕機による処理だけでは、汚泥の破砕が十分に進まないことがわかる。
実施例2
図1に示した処理工程に従って汚泥の嫌気性消化処理を行なった。
【0030】
下水処理施設において発生した生汚泥と余剰汚泥の混合汚泥1(固形物濃度45g/L)を、第1の嫌気性消化槽2(容積6200m3 )に1日当たり60m3 投入し、温度35℃で嫌気性消化した消化汚泥を採取した。この消化汚泥3(以下、破砕処理前消化汚泥という、固形物濃度:21g/L)を石臼式粉砕機4(セレンディピターMKCA6−3型:増幸産業株式会社製)で、炭化珪素製の直径150mmの砥石を使用し、砥石回転数1,800rpm、砥石間隙0.15mmの条件で処理を行なった。その処理した汚泥をさらに、湿式媒体撹拌式ミル5(スイス Bachofen社製:DYNO−MILL KDL型)で、0.6mmφのガラスビーズ(Silibeads社製)を使用して、ビーズ充填率85%、ディスク先端周速6.8m/s、スリット間隙0.15mm、滞留時間2分、温度21±1℃の条件で、長時間連続して処理を行ない、可溶化汚泥6を得た。
【0031】
得られた可溶化汚泥6の40mLを120mLの第2の嫌気性消化槽7(120mLの容器に破砕処理前消化汚泥を40mL投入したもの)に投入し、35℃で30日間嫌気性消化し、この間のメタンガス発生量およびSS分解率を測定した。その結果を表1に示す。
比較例3
実施例2の破砕処理前消化汚泥40mLを120mLの第2の嫌気性消化槽(120mLの容器に破砕処理前消化汚泥を40mL投入したもの)に投入し、35℃で30日間嫌気性消化し、この間のメタンガス発生量およびSS(浮遊物質)分解率を測定した。その結果を表1に示す。
比較例4
実施例2と同じ破砕処理前消化汚泥を、砥石間隔0.02mmとする以外は実施例2と同様にして石臼式粉砕機で処理した(湿式媒体撹拌式ミルは行なっていない)。次に、石臼処理汚泥の40mLを120mLの第2の嫌気性消化槽(120mLの容器に破砕処理前消化汚泥を40mL投入したもの)に投入し、35℃で30日間嫌気性消化し、この間のメタンガス発生量およびSS分解率を測定した。その結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
表1から、消化汚泥を石臼式粉砕機および湿式媒体撹拌式ミルで破砕してからさらに嫌気性消化した場合(実施例2)の、メタンガス発生量は62mL/g−VSであり、SS分解率は26%であったのに対して、消化汚泥を石臼式粉砕機および湿式媒体撹拌式ミルで破砕しなかった場合(比較例3および比較例4)のメタンガス発生量は37mL/gVSであり、SS分解率はそれぞれ10、13%であり、ともに、メタンガス発生量は少なく、汚泥の分解率も低いことがわかる。
【0033】
この結果から、本発明の汚泥の嫌気性消化方法によれば、安定して運転することができ、さらに、燃料として利用可能なメタンガスの発生量が多く、汚泥の減量化率も高いことがわかる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の汚泥の破砕方法によれば、従来、湿式媒体撹拌式ミルのみでは破砕処理ができなかった繊維質を含む汚泥を安定して破砕することができる。また、このように破砕処理した汚泥は、生分解性が向上しているため、嫌気性消化、好気性消化などの生物学的汚泥処理施設や、活性汚泥などの生物学的排水処理施設へ供給して生物学的処理を行なえば、汚泥の減量化を効率的に行なうことができる。また、本発明の汚泥の嫌気性消化方法においては、排水処理施設から発生した汚泥を嫌気性消化法により処理した後、嫌気性消化槽で新たに発生した汚泥を石臼式粉砕機と湿式媒体撹拌式ミルで破砕して可溶化するため、難分解性物質の発生をほとんど伴わず、さらに、後の嫌気性消化槽に消化に悪影響を与えるような物質が導入されるようなこともない。そのため、高い消化率を達成することができ、汚泥の安定でかつ大幅な減量化が実現する。その結果、汚泥の埋立地を延命することや、汚泥の焼却施設を大幅に小さい規模とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の汚泥の嫌気性消化方法の工程の第1の例を示す図である。
【図2】本発明の汚泥の嫌気性消化方法の工程の第2の例を示す図である。
【図3】本発明の汚泥の嫌気性消化方法の工程の第3の例を示す図である。
【図4】本発明の汚泥の嫌気性消化方法の工程の第4の例を示す図である。
【符号の説明】
1 汚泥
2 第1の嫌気性消化槽
3 消化汚泥
4 石臼式粉砕機
5 湿式媒体撹拌式ミル
6 可溶化汚泥
7 第2の嫌気性消化槽
8 残さ汚泥
9 汚泥濃縮装置
10 濃縮消化汚泥
11 分離水
Claims (2)
- 汚泥を石臼式粉砕機によって処理した後、湿式媒体攪拌式ミル処理をすることを特徴とする汚泥の破砕方法。
- 汚泥を嫌気性消化する第1工程と、この消化汚泥を石臼式粉砕機で処理した後に湿式媒体撹拌式ミルで処理することにより汚泥を破砕する第2工程と、破砕した汚泥を再度嫌気性消化する第3工程とからなることを特徴とする汚泥の嫌気性消化方法。
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