JP4274199B2 - 界磁子用コア - Google Patents

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Description

本発明は界磁子用コアに関し、特に界磁子用コアの形状に関する。
従来から、界磁子用コアの強度を高める技術が提案されている。例えば、下掲の特許文献1には、界磁磁石を挿入するスロットを2分割し、当該スロットについて界磁子用コアの外周側と内周側とを連結する連結部(特許文献1では「ブリッジ」と記載されている。)を設ける技術が開示されている。
しかし、特許文献1の分割されたスロットは矩形を呈するため、連結部の付け根には角が形成される。このため、連結部に発生する応力は当該角に集中し、連結部が、延いては界磁子用コアが変形するおそれがあった。
例えば下掲の特許文献2や特許文献3には、連結部の角に丸みを設けることで、応力の集中を緩和する技術が紹介されている。
その他、本発明に関連する技術が特許文献4,5に紹介されている。
実開平7−11859号公報 特開2002−281700号公報 特開2004−260888号公報 特開平9−294344号公報 特開2003−174747号公報
しかし、特許文献2や特許文献3では角に丸みを設けているだけであり、他の部分は平坦である。このため、丸みを設けた角近傍には依然として応力が集中しやすい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものあり、連結部での応力集中を緩和することが目的とされる。
この発明の請求項1にかかる界磁子用コアは、 所定の方向(91)に沿う回転軸を中心として回転可能な界磁用コアであって、前記所定の方向(91)の周りで周方向(92)に環状に配置され、前記周方向について隣接して対を成し、それぞれが前記周方向に一対の端(411,412,421,422)を有する界磁磁石貫通孔(41,42)と、同じ前記対を成す前記界磁磁石貫通孔の間に設けられ、それぞれが異なる前記界磁磁石貫通孔に属して前記周方向に隣接する前記端(412,422)を側面(111,112;111,112;171,172;181,182)として有する連結部(11;17;18)とを備え、前記連結部は、前記所定の方向から見て、前記回転軸を中心とする半径方向に沿って延在し、前記側面の少なくとも一方(111;111;171;181)は、前記所定の方向から見て、当該側面に対して前記連結部とは反対側にある位置(c111;c111;c171;c1811,c1812)を中心とする円に沿う湾曲部分(111a;121a〜161a;171a;181a,181c)を有し、前記湾曲部分の、前記界磁磁石貫通孔が前記連結部から延びる方向(941,942)に垂直な方向についての長さ(Lm;Ln;・・・;Ln1,Ln2)に対する前記円の半径(Rb)の比(Rb/Lm;Rb/Ln;・・・;Rb/Ln1,Rb/Ln2)は、1.0以上1.5以下であり、前記湾曲部分の前記所定の方向から見た接線(t(r))は、前記湾曲部分の両端の間のある一つの位置(r13;r13;r33;r73,r76)でのみ、前記連結部の延在方向(93)に沿う。
この発明の請求項2にかかる界磁子用コアは、請求項1記載の界磁子用コアであって、同じ前記対を成す前記界磁磁石貫通孔(41,42)はいずれも、前記所定の方向(91)から見て、前記対毎に定まるある一方向(94)に沿って延在する。
この発明の請求項3にかかる界磁子用コアは、請求項1または請求項2記載の界磁子用コアであって、前記位置(r13)は、前記両端(r11,r12)のそれぞれの位置の中点である。
この発明の請求項4にかかる界磁子用コアは、請求項1または請求項2記載の界磁子用コアであって、前記位置(r13)は、前記両端(r11,r12)のそれぞれの位置の中点から前記両端のいずれかへとずれている。
この発明の請求項にかかる界磁子用コアは、請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の界磁子用コアであって、前記湾曲部分(111a;171a)の前記両端(r11,r12;r31,r32)は、前記連結部(11,17)に対して外周側及び内周側にそれぞれ位置する前記界磁磁石貫通孔(41,42)の表面(21,31)へと繋がる。
この発明の請求項にかかる界磁子用コアは、請求項1乃至請求項のいずれか一つに記載の界磁子用コアであって、前記所定の方向(91)から見た前記側面(111;・・・;111;111;181)について、前記側面は、前記界磁磁石貫通孔(41,42)が前記連結部(11;・・・;11;11;18)から延びる前記方向(941,942)に垂直な方向(951,952)に沿う平面部分(121b;・・・;151b;161b;181b)を更に有し、前記湾曲部分(121a;・・・;161a;181a)の前記端の一方(r21;r23;r41;r51;r62;r71)は前記平面部分を介して、前記湾曲部分に対して当該端と同じ側にある前記表面(21;・・・;21;31;21)へと繋がる。
この発明の請求項にかかる界磁子用コアは、請求孔記載の界磁子用コアであって、前記湾曲部分(151a;161a)の前記端の前記一方(r51;r62)は、前記平面部分(151b;161b)に直接繋がる。
この発明の請求項にかかる界磁子用コアは、請求項記載の界磁子用コアであって、前記所定の方向(91)から見た前記平面部分(121b;・・・141b;181b)は、前記界磁磁石貫通孔(41,42)が前記連結部(11;・・・;11;18)から延びる前記方向(941,942)に沿って前記湾曲部分(121a;・・・;141a;181a)から突出する。
この発明の請求項にかかる界磁子用コアは、請求項7又は請求項8に記載の界磁子用コアであって、前記側面(181)は、前記所定の方向(91)から見て前記湾曲部分を対(181a,181c)で備え、前記平面部分(181b)は前記湾曲部分の間に設けられる。
この発明の請求項1乃至請求項3のいずれか一つにかかる界磁子用コアによれば、湾曲部分を設けることで、連結部で生じる応力は分散されやすい。よって、連結部での応力集中が緩和される。また、連結部に生じる応力が連結部の延在方向に沿って生じるので、連結部の変形が防止できる。
この発明の請求項4にかかる界磁子用コアによれば、中点からずらした方向とは反対側の湾曲部分の端における接線が、界磁磁石貫通孔が連結部から延びる方向と成す角度を大きくすることができる。よって、当該端での応力集中を緩和することができる。
この発明の請求項にかかる界磁子用コアによれば、側面の全体が湾曲するので、連結部において応力集中が生じにくい。
この発明の請求項乃至請求項のいずれか一つにかかる界磁子用コアによれば、湾曲部分で、連結部で生じる応力を分散することができる。しかも、側面に湾曲部分を設けることで、界磁磁石貫通孔の所定の方向から見た面積を狭めることなく平面部分を設けることができる。そして、界磁磁石貫通孔に磁石を挿入した場合には、当該磁石を平面部分で固定することができる。
この発明の請求項にかかる界磁子用コアによれば、第1及び第2の湾曲部分で、連結部で生じる応力を分散することができる。しかも、界磁磁石貫通孔に磁石を挿入した場合に、当該磁石を平面部分で固定することができる。そして、当該磁石の連結部側の端面が凸に湾曲している場合で合っても、当該端面に対応させて平面部分を設けることができる。

図1は、本発明にかかる界磁子用コア1を概念的に示す上面図である。界磁子用コア1は、界磁磁石貫通孔41,42と、連結部11(後述する第3及び第4の実施の形態ではそれぞれ連結部17,18)とを備える。
界磁磁石貫通孔41,42は、所定の方向91の周りで周方向92に環状に配置され、周方向92について隣接して対を成している。図1では、同じ対を成す界磁磁石貫通孔41,42はいずれも、所定の方向91から見て、対毎に定まるある一方向94に沿って延在する場合が示されている。ただし、所定の方向91から見て、同じ対を成す界磁磁石貫通孔41,42のいずれか一方が、他方に対して傾いていても良い。具体的には、界磁磁石貫通孔41が延在する方向941と、界磁磁石42が延在する方向942とが互いに交わっていても良い。なお、後述する実施の形態では、界磁磁石貫通孔41,42のいずれもが一方向94に沿う場合について説明する。
界磁磁石貫通孔41は周方向92に一対の端411,412を、界磁磁石貫通孔42は周方向92に一対の端421,422を、それぞれ有する。
連結部11は、同じ対を成す界磁磁石貫通孔41,42の間に設けられ、端412,422をそれぞれ側面111,112として有する。かかる内容は、それぞれが異なる界磁磁石貫通孔41,42に属して周方向92に隣接する端412,422が、連結部11の側面111,112をそれぞれ構成する、と把握することができる。
以下では、連結部11の側面111,112の形状について説明する。なお、図1では界磁子用コア1について、界磁磁石貫通孔41,42及び連結部11に対して外周側のコア部に符号2を、内周側のコア部に符号3を付している。
第1の実施の形態.
図2及び図3は、図1で示される連結部11の一つを拡大して示す。連結部11の側面111,112は、全体が凹に湾曲している。具体的には、所定の方向91から見て、側面111の両端の間のある一つの位置r13でのみ、側面111の接線t(r13)が、連結部11の延在方向93に沿う。なお、延在方向93は、界磁子用コア1の外周側から内周側へと向かう方向であって、本実施の形態では一方向94に対して垂直である。
側面112についても同様に、凹に湾曲しており、その両端r14,r15の間のある一つの位置r16でのみ、接線t(r16)が延在方向93に沿う。
上述した側面111,112の形状によれば、側面111,112の全体が湾曲するので、連結部11で生じる応力は分散され、以って連結部11で応力集中が生じない。
なお、側面111,112の全体を湾曲部分111a,112aと把握すれば、上述した側面111,112の形状は次のように把握することができる。つまり、所定の方向91から見た湾曲部分111aの両端がそれぞれ、界磁磁石貫通孔41のコア部2側の表面21及びコア部3側の表面31に繋がる。湾曲部分112aについても同様に把握できる。
応力の分散という観点からは、位置r13と位置r16とを含む直線A1が一方向94に沿うことが望ましい。
特に、所定の方向91から見た界磁磁石貫通孔41,42の一方向94に沿う中心線A0に、直線A1を一致させた場合が図2に示されている。つまり、位置r13が、側面111の両端r11,r12のそれぞれの位置の中点にある。また、位置r16は、側面112の両端r14,r15のそれぞれの位置の中点にある。
また、図3では、直線A1が中心線A0に対してコア部2側へとずれている場合が示されている。つまり、位置r13が、側面111の両端r11,r12のそれぞれの位置の中点に対してコア部2側、つまり位置r11側へとずれている。また、位置r16は、側面112の両端r14,r15のそれぞれの位置の中点に対してコア部2側、つまり位置r14側へとずれている。
かかる形状によれば、位置r13,r16を中点からずらした方向とは反対側(直線A1を中心線A0からずらした方向とは反対側と把握しても良い。)、つまり図3ではコア部3側の、側面111の端r12において、側面111の接線t(r12)と界磁磁石貫通孔41の表面31とが界磁磁石貫通孔41側で成す角度θ1が大きくなるので、端r12での応力集中が緩和される。同様に、側面112の端r15においても、側面112の線t(r15)と界磁磁石貫通孔42の表面31とが界磁磁石貫通孔42側で成す角度θ1が大きくなるので、端r15での応力集中が緩和される。
例えば、直線A1は、中心線A0に対してコア部3側にずれても良い。つまり、位置r13,r16は、上記中点に対してコア部3側にずれていても良い。
上述したいずれの形状についても、応力の分散という観点から、所定の方向91から見た側面111,112はそれぞれ、側面111,112に対して連結部11とは反対側で直線A1上にある位置c111,c112を中心とする円に沿うことがより望ましい。図2及び図3では、この場合が示されている。
図4は、図2で示される連結部11の形状において、接線t(r11)と表面21とが界磁磁石貫通孔41側で成す角度θbと、連結部11に生じる応力の最大値との関係をグラフで示す。なお、接線t(14)と表面21とが界磁磁石貫通孔42側で成す角度は、角度θbと同じである。
角度θbは、側面111,112が沿う円の半径Rbの、幅Lmに対する比Rb/Lmを用いて、式(1)で表される。なお、幅Lmは、界磁磁石貫通孔41,42の一方向94に垂直な方向95についての長さである。なお、一方向94を、界磁磁石貫通孔41,42のそれぞれが連結部11から延びる方向と把握すれることができ、以下において同じである。
Figure 0004274199
図4で示されるグラフは、次の条件でシミュレーションした結果である。つまり、界磁子用コア1の外径が88.6(mm)、回転数が120(/min)、位置r13と位置r16との距離Lbが0.6(mm)、幅Lmが2.8(mm)、半径Rbが1.4〜6.7(mm)、つまり角度θbが100〜180(°)である。しかも、図5に示されるように、界磁磁石貫通孔41,42のそれぞれの端411,421に、空隙431が設けられる。空隙431は、端411,421から界磁子用コア1の外周側へと延在している。なお、当該シミュレーションでは、端r11,r12,r14,r15のそれぞれに、半径が0.2(mm)の丸みを設けた。
図4で示されるグラフから、角度θbが106.1〜135.6(°)の範囲にあるとき、つまり比Rb/Lmが0.7〜1.8の範囲にあるときに、応力の最大値が120(MPa)以下になることがわかる。また、角度θbが109.5〜120(°)の範囲にあるとき、つまり比Rb/Lmが1.0〜1.5の範囲にあるときに、応力の最大値が115(MPa)以下になることがわかる。
図6は、図4で示されるグラフとは条件を変えて得た、シミュレーションの結果である。条件は次の通りである。界磁子用コア1の外径が123(mm)、回転数が120(/min)、距離Lbが0.7(mm)、幅Lmが5.2(mm)、半径Rbが2.6〜10.4(mm)、つまり角度θbが104〜180(°)である。しかも、図7に示されるように、界磁磁石貫通孔41,42のそれぞれの端411,421に、空隙432が設けられる。空隙432は、端411,421から界磁子用コア1と、界磁子用コア1の外周との間へと延びている。なお、当該シミュレーションでは、端r11,r12,r14,r15のそれぞれに、半径が0.2(mm)の丸みを設けた。
図6で示されるグラフから、角度θbが110〜180(°)の範囲にあるときに、応力の最大値が100(MPa)以下になることがわかる。
端411,412には、例えば図8〜10に示される形状を呈する空隙43を設けても良い。図8では、空隙43は、端411,421から界磁子用コア1の外周へと延在し、外周側に拡がっている。図9では、空隙43は、端411,421から、界磁磁石貫通孔41,42と外周との間に延びており、当該空隙43と外周との間が空隙43の先端に行くに従って狭くなる。図10では、空隙43は、端411,421から外周へと延在する部分43aと、当該部分と離間して界磁磁石貫通孔41,42と外周との間に設けられる部分43bとを有する。
第2の実施の形態.
図11〜15はそれぞれ、図2で示される連結部11について、その側面111,112が、一方向94に垂直な方向95に沿う平面な部分(以下、「平面部分」という。)121b,131b,141b,151b,161b,122b,132b,142b,152b,162bを有する場合を示す。このとき、側面111,112は、平面部分121b,131b,141b,151b,161b以外に湾曲部分121a,131a,141a,151a,161a,122a,132a,142a,152a,162aを有している。第1の実施の形態で説明したように、一方向94を、界磁磁石貫通孔41,42のそれぞれが連結部11から延びる方向と把握すれば、平面部分121b,131b,141b,151b,161b,122b,132b,142b,152b,162bは当該方向に垂直な方向に沿うと把握することができる。
図11では、側面111,112のコア部2側の端のそれぞれに、平面部分121b,122bが設けられている。平面部分121bは、一方向94に沿って湾曲部分121aから突出している。平面部分122bは、一方向94に沿って湾曲部分122aから突出している。
なお、平面部分121b,122bはそれぞれ、側面111,112のコア部3側の端に設けられても良い。
図12では、側面111のコア部2側の端に平面部分131bが、側面112のコア部3側の端に平面部分132bが、それぞれ設けられている。平面部分131bは、一方向94に沿って湾曲部分131aから突出している。平面部分132bは、一方向94に沿って湾曲部分132aから突出している。
図13では、側面111の両端に平面部分141bが、側面112の両端に平面部分142bが、それぞれ設けられている。平面部分141bは、一方向94に沿って湾曲部分141aから突出している。平面部分142bは、一方向94に沿って湾曲部分142aから突出している。
図14では、側面111の両端に平面部分151bが、側面112の両端に平面部分152bが、それぞれ設けられている。湾曲部分151aは、平面部分151bに直接繋がっている。湾曲部分152aは、平面部分152bに直接繋がっている。
図15では、側面111,112のコア部3側の端のそれぞれに、平面部分161b,162bが設けられている。湾曲部分161a,162aはそれぞれ、平面部分161b,162bに直接繋がっている。
なお、平面部分161b,162bはそれぞれ、側面111,112のコア部2側の端に設けられても良い。
これらの側面111の形状は、次のように把握することができる。つまり、所定の方向91から見た湾曲部分121a,131a,141a,151a,161aの端の少なくとも一方r21,r23,r41,r42,r51,r52,r62は、平面部分121b,131b,141b,151b,161bを介して、当該湾曲部分121a,131a,141a,151a,161aに対して当該端と同じ側にある界磁磁石貫通孔41の表面21,31へと繋がる。側面112についても同様に把握することができる。
上述した側面111,112の形状によれば、湾曲部分121a,131a,141a,151a,161a,122a,132a,142a,152a,162aで、連結部11で生じる応力を分散することができる。しかも、側面111,112に湾曲部分121a,131a,141a,151a,161a,122a,132a,142a,152a,162aを設けることで、界磁磁石貫通孔の所定の方向91から見た面積を狭めることなく平面部分121b,131b,141b,151b,161b,122b,132b,142b,152b,162bを設けることができる。そして、界磁磁石貫通孔41,42に磁石を挿入した場合には、当該磁石を平面部分で固定することができる。
第1の実施の形態では、比Rb/Lmを1.0〜1.5の範囲に設定することで、応力の最大値が低下するという結果をシミュレーションによって得た。幅Lmは、側面111の湾曲した部分の、垂直な方向95についての長さLnと見ることができる。よって、幅Lmに、湾曲部分121a,131a,141a,151a,161a,122a,132a,142a,152a,162aの垂直な方向についての長さLnを採用しても、同様の結果が得られることが推測できる。
図16は、図13に示される連結部11に生じる応力をシミュレーションによって得た結果を、等高線701〜703で示す。等高線701〜703はこの順に大きな応力を示す。
当該シミュレーションの条件は、界磁子用コア1の外径が90(mm)、回転数が120(/min)、位置r13と位置r16との距離Lbが0.6(mm)、幅Lmが2.8(mm)、長さLnが1.8(mm)、半径Rbが2.3(mm)、比Ln/Rbが0.78である。
図16から、一方向94に垂直な方向95について湾曲部分141a,142aの中央で応力が最大となることがわかる。かかる部分での応力は120(MPa)程度であった。
図17及び図18は、図16で示される結果と比較のため、図13で示されるのとは異なる形状を呈する連結部についてシミュレーションで得た結果である。図17では、連結部111について湾曲している部分を平坦にしたもの(かかる部分をここでは「平坦部分201」という。)についての結果を、応力の等高線711〜714で示す。等高線711〜714はこの順に大きな応力を示す。なお、当該連結部の平坦部分201の一方向94についての厚みは0.6(mm)であり、他の条件は図16についての条件と同じである。図18では、図17で示される連結部について平坦部分201の両端に半径0.5(mm)の丸みを設けたものについての結果を、等高線721〜724で示す。等高線721〜724はこの順に大きな応力を示す。他の条件は図16についての条件と同じである。
図17から、平坦部分201の両端に応力が集中していることがわかる。かかる部分での応力は139(MPa)程度であった。図18から、丸み部分と平坦部分201とが繋がる部分付近に応力が集中していることがわかる。かかる部分での応力は130(MPa)程度であった。
以上の結果から、側面111に湾曲部分141aを設けることで、その両端に平面部分141b,142bを設けた場合であっても、連結部111の応力集中が緩和されることがわかる。しかも、位置r13と位置r16との間の距離が小さくなるので、磁束の短絡が防止される。
図19(a)及び(b)はそれぞれ、図16及び図18に示される破線で囲まれた領域を拡大して示す。図19(a)から、平坦部分141bの湾曲部分141a側の角に発生する応力は小さいことがわかる。しかも、その応力が小さな領域(等高線701と側面111で囲まれる領域)の面積は、図19(b)に示される等高線721と側面とで囲まれる領域の面積よりも大きい。つまり、図18で示される平坦部分201を、湾曲部分141a,142aのように湾曲させることで(図16)、当該角に応力が集中しにくくなることがわかる。
第3の実施の形態.
図20は、所定の方向91から見て、図2で示される連結部11について、その延在方向93を、一方向94に垂直な方向95に対して傾けた場合を、連結部17として示している。なお、連結部17の側面には、符号171,172を付している。例えば、界磁磁石貫通孔41,42のそれぞれの延在方向941,942(図1)が交わる場合には、延在方向941と延在方向942とが界磁子用コア1の内周側で成す角度を二等分する方向に対して、連結部17は傾けられる。
具体的には、界磁子用コア1の回転軸を中心とした半径方向が、一方向94に垂直な方向95に対して傾く位置に、連結部17が設けられる場合において、連結部17の延在方向93が当該半径方向に沿う。
側面171について、所定の方向91から見て、側面171の両端r31,r32の間のある一つの位置r33でのみ、側面171の接線t(r33)が連結部17の延在方向93に沿う。また側面172についても同様に、側面172の両端r34,r35の間のある一つの位置r36でのみ、側面172に接線t(r36)が当該延在方向93に沿う。
かかる形状によれば、連結部17の変形が防止できる。なぜなら、界磁子用コア1を所定の方向91に沿う回転軸の周りで回転させた場合、界磁子用コア1には回転軸を中心とした半径方向に応力が生じるが、連結部17の延在方向93が応力の生じる方向に沿うので、延在方向93に垂直な方向への応力の成分が小さくなるからである。
応力の分散という観点からは、位置r33と位置r36とを含む直線A2と、連結部17の延在方向93とが直交することが望ましい。更には、所定の方向91から見た側面171,172はそれぞれ、側面171,172に対して連結部17とは反対側で直線A2上にある位置c171,c172を中心とする円に沿うことがより望ましい。
本実施の形態にかかる連結部17についても、第2の実施の形態と同様に、平面部分を設けることができる。
第4の実施の形態.
図21は、本実施の形態にかかる連結部18を概念的に示す。なお、連結部18の側面には、符号181,182を付している。本実施の形態では、連結部18の延在方向93は、一方向94に対して垂直である。
側面181は、湾曲部分181a,181c及び平面部分181bを有する。所定の方向91から見た湾曲部分181aは、凹に湾曲しており、湾曲部分181aの両端r71,r72の間のある一つの位置r73でのみ、接線t(r73)が延在方向93に沿う。
湾曲部分181cについても湾曲部分181aと同様に、凹に湾曲しており、その両端r74,r75の間のある一つの位置r76でのみ、接線t(r76)が延在方向93に沿う。
平面部分181bは、一方向94に垂直な方向95に沿って平坦であり、湾曲部分181aと湾曲部分181cとの間に設けられる。なお、第1の実施の形態で説明したように、一方向94を、界磁磁石貫通孔41,42のそれぞれが連結部18から延びる方向と把握すれば、平面部分181bは当該方向に垂直な方向に沿うと把握することができる。
平面部分181bは、一方向94に沿って、湾曲部分181a,181cに対して突出しても良いし、湾曲部分181a,181cの端r71,r75が平面部分181bに直接繋がっても良い。なお、前者の形状が、図21に示されている。


側面182は、湾曲部182a,182c及び平面部分182bを有する。所定の方向から見た湾曲部分182aは、凹に湾曲しおり、湾曲部分182aの両端r77,r78の間のある一つの位置r79でのみ、接線t(r79)が延在方向93に沿う。
湾曲部分182cについても同様に、凹に湾曲しており、その両端r80,r81の間にある一つの位置r82でのみ、接線t(r82)が延在方向93に沿う。
平面部分182bは、一方向94に垂直な方向95に沿って平坦であり、湾曲部分182aと湾曲部分182cとの間に設けられる。なお、平面部分182bも、平面部分181bと同様に把握することができる。
平面部分182bは、一方向94に沿って、湾曲部分182a,182cに対して突出しても良いし、湾曲部分182a,182cの端r77,r81が平面部分182bに直接繋がっても良い。なお、前者の形状が、図21に示されている。
上述した側面181の形状によれば、湾曲部分181a,181cで、連結部18に生じる応力を分散することができる。しかも、界磁磁石貫通孔41に磁石を挿入した場合に、当該磁石を平面部分181bで固定することができる。そして、磁石の連結部18側の端面が凸に湾曲している場合であっても、当該端面に対応させて平面部分181b,182bを設けることができる。側面182についても同様に、応力を分散でき、界磁磁石貫通孔42に挿入された磁石を固定することができる。
応力の分散という観点からは、位置r73と位置r79とを含む直線A31は、延在方向93と直交することが望ましい。また、同じ観点から、位置r76と位置r82とを含む直線A32も、延在方向93に直交することが望ましい。また、平面部分181b,182bがそれぞれ湾曲部分181a,182aから突出する長さは、幅Lmに対して1/3以下であることが望ましい。
更には、所定の方向91から見た湾曲部分181a,182aはそれぞれ、湾曲部分181a,182aに対して連結部18とは反対側で直線A31上にある位置c1811,c1821を中心とする円に沿うことがより望ましい。また、所定の方向91から見た湾曲部分181c,182cについてもそれぞれ、湾曲部分181c,182cに対して連結部18とは反対側で直線A32上にある位置c1812,c1822を中心とする円に沿うことがより望ましい。
位置c1811,c1821を中心とする円の半径と、位置c1812,c1822を中心とする円の半径がそれぞれ等しい(以下、「半径Rb」という。)場合には、第1の実施の形態で説明したシミュレーションの結果から、第3の実施の形態と同様の推測をすることができる。つまり、湾曲部分181a,182aの一方向94に垂直な方向95についての長さLn1対する半径Rbの比Rb/Ln1を1.0〜1.5の範囲に設定し、湾曲部分181c,182cの方向95についての長さLn2に対する半径Rbの比Rb/Ln2を1.0〜1.5の範囲に設定することで、応力の最大値が低下する。
図22は、図21で示される連結部18に生じる応力をシミュレーションによって得た結果を、等高線731〜735で示す。等高線731〜735はこの順に大きな応力を示す。
当該シミュレーションの条件は、界磁子用コア1の外径が88.6(mm)、回転数が120(/min)、位置r73と位置r79との距離Lb1が0.6(mm)、位置r76と位置r82との距離Lb2が0.6(mm)、幅Lmが2.8(mm)、長さLn1,Ln2がそれぞれ1.15(mm)、半径Rbが1.4(mm)、比Rb/Ln1,Rb/Ln2がそれぞれ1.22である。なお、湾曲部分181a,181c,182a,182cのそれぞれの両端に半径が0.2(mm)の丸みを設けた。
図22から、一方向94に垂直な方向95について湾曲部分181a,181c,182a,182cの中央で応力が最大となることがわかる。かかる部分での応力は123(MPa)程度であった。
図23は、図22で示される結果と比較のため、図21で示されるのとは異なる形状を呈する連結部についてのシミュレーションで得た結果を、等高線741〜746で示す。等高線741〜746はこの順に大きくなる。当該連結部は、連結部181a,181c,182a,182cをいずれも平坦にし(かかる部分を「平坦部分202」という。)、かつ平坦部分202の両端に半径が0.3(mm)の丸みを設けた形状を呈する。
図23から、平坦部分202のそれぞれの両端に応力が集中していることがわかる。かかる部分での応力は、140(MPa)程度である。
以上の結果から、側面181に湾曲部分181a,181c,182a,182cを設けることで、かかる部分が平坦な連結部(図23)に比べて、応力集中が緩和されることがわかる。
上述したいずれの実施の形態においても、界磁磁石貫通孔41,42のそれぞれの延在方向941,942が交わる場合には、界磁磁石貫通孔41側の側面111,181に関する記載については、「一方向94に垂直な方向95」を「延在方向941に垂直な方向951(図1)」に、界磁磁石貫通孔42側の側面112,182に関する記載については、「一方向94に垂直な方向95」を「延在方向942に垂直な方向952(図1)」に読み替えるものとする。
変形:
上述したいずれの実施の形態においても、周方向92に隣接して組を成す3つ以上の界磁磁石貫通孔についても適用できる。つまり、同じ組に属し、隣接する界磁磁石貫通孔の間に連結部11,17,18のいずれかが採用される。
例えば、電磁鋼板を所定の方向91に積層し、それぞれの電磁鋼板を互いにカシメることで界磁子用コア1を得ることができる。
図24及び図25は、カシメ9の位置を概念的に示す。図24では、連結部11,17,18の延在方向93についての両側に、カシメ9が設けられている。連結部11,17,18を磁束は短絡しにくいため、連結部11,17,18は磁気飽和されやすい。よって、連結部11,17,18の当該両側では磁束が変化しにくく、以ってカシメ9の設置に望ましい。
図25では、界磁磁石貫通孔41,42の一方向94についての中央付近で、コア部2,3のそれぞれにカシメ9が設けられている。これにより、連結部11,17,18近傍に比べて強度の弱い部分、つまり連結部11、17,18に対して空隙43側の部分の強度が高められる。
また、電磁鋼板を所定の方向91に積層し、これを所定の方向91についての両側から端板で挟み、全体をピンまたはボルトで固定することで界磁子用コア1を得ても良い。
図1には、ピンまたはボルトを設ける穴6の位置が概念的に示されている。図1では、界磁磁石貫通孔41,42に対して界磁子用コア1の内周側であって、異なる対に属して互いに隣接する界磁磁石貫通孔41,42の間に、穴6が設けられている。これにより、ピンまたはボルトにバランスウェイトが取り付けられた場合に、バランスウェイトにかかる遠心力がピンまたはボルトに伝わっても、界磁子用コア1が変形されにくい。
本発明にかかる界磁子用コア1を概念的に示す上面図である。 第1の実施の形態で説明される連結部11を概念的に示す図である。 第1の実施の形態で説明される連結部11を概念的に示す図である。 角度θbと、連結部11に生じる応力の最大値との関係を示す図である。 界磁磁石貫通孔41,42に設けられる空隙431を示す図である。 角度θbと、連結部11に生じる応力の最大値との関係を示す図である。 界磁磁石貫通孔41,42に設けられる空隙432を示す図である。 界磁磁石貫通孔41,42に設けられる空隙43を示す図である。 界磁磁石貫通孔41,42に設けられる空隙43を示す図である。 界磁磁石貫通孔41,42に設けられる空隙43を示す図である。 第2の実施の形態で説明される連結部11を概念的に示す図である。 第2の実施の形態で説明される連結部11を概念的に示す図である。 第2の実施の形態で説明される連結部11を概念的に示す図である。 第2の実施の形態で説明される連結部11を概念的に示す図である。 第2の実施の形態で説明される連結部11を概念的に示す図である。 図13に示される連結部11に生じる応力を等高線で示す図である。 連結部11と異なる形状を呈する連結部に生じる応力を示す図である。 連結部11と異なる形状を呈する連結部に生じる応力を示す図である。 図16及び図18の破線で囲まれた領域を拡大した図である。 第3の実施の形態で説明される連結部17を概念的に示す図である。 第4の実施の形態で説明される連結部17を概念的に示す図である。 連結部18に生じる応力を等高線で示す図である。 連結部18とは異なる形状を呈する連結部に生じる応力を示す図である。 カシメ9の位置を概念的に示す図である。 カシメ9の位置を概念的に示す図である。
符号の説明
11,17,18 連結部
21,31 表面
41,42 界磁磁石貫通孔
91 所定の方向
92 周方向
93 延在方向
94 一方向
111,112,171,172,181,182 側面
111a〜161a,171a,181a,181c 湾曲部分
121b〜161b,181b 平面部分
411,412,421,422 端
r13,r33,r73,r76,c111,c171,c1811,c1812 位置
r11,r12,r31,r32 側面の両端
r21,r23,r41,r51,r62,r71 湾曲部分の端
r(t) 接線
Lm 距離
Ln,Ln1,Ln2 長さ
Rb 半径

Claims (9)

  1. 所定の方向(91)に沿う回転軸を中心として回転可能な界磁用コアであって、
    前記所定の方向(91)の周りで周方向(92)に環状に配置され、前記周方向について隣接して対を成し、それぞれが前記周方向に一対の端(411,412,421,422)を有する界磁磁石貫通孔(41,42)と、
    同じ前記対を成す前記界磁磁石貫通孔の間に設けられ、それぞれが異なる前記界磁磁石貫通孔に属して前記周方向に隣接する前記端(412,422)を側面(111,112;111,112;171,172;181,182)として有する連結部(11;17;18)と
    を備え、
    前記連結部は、前記所定の方向から見て、前記回転軸を中心とする半径方向に沿って延在し、
    前記側面の少なくとも一方(111;111;171;181)は、前記所定の方向から見て、当該側面に対して前記連結部とは反対側にある位置(c111;c111;c171;c1811,c1812)を中心とする円に沿う湾曲部分(111a;121a〜161a;171a;181a,181c)を有し、
    前記湾曲部分の、前記界磁磁石貫通孔が前記連結部から延びる方向(941,942)に垂直な方向についての長さ(Lm;Ln;・・・;Ln1,Ln2)に対する前記円の半径(Rb)の比(Rb/Lm;Rb/Ln;・・・;Rb/Ln1,Rb/Ln2)は、1.0以上1.5以下であり、
    前記湾曲部分の前記所定の方向から見た接線(t(r))は、前記湾曲部分の両端の間のある一つの位置(r13;r13;r33;r73,r76)でのみ、前記連結部の延在方向(93)に沿う、界磁子用コア。
  2. 同じ前記対を成す前記界磁磁石貫通孔(41,42)はいずれも、前記所定の方向(91)から見て、前記対毎に定まるある一方向(94)に沿って延在する、請求項1記載の界磁子用コア。
  3. 前記位置(r13)は、前記両端(r11,r12)のそれぞれの位置の中点である、請求項1または請求項2記載の界磁子用コア。
  4. 前記位置(r13)は、前記両端(r11,r12)のそれぞれの位置の中点から前記両端のいずれかへとずれている、請求項1または請求項2記載の界磁子用コア。
  5. 前記湾曲部分(111a;171a)の前記両端(r11,r12;r31,r32)は、前記連結部(11,17)に対して外周側及び内周側にそれぞれ位置する前記界磁磁石貫通孔(41,42)の表面(21,31)へと繋がる、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の界磁子用コア。
  6. 前記所定の方向(91)から見た前記側面(111;・・・;111;111;181)について、
    前記側面は、前記界磁磁石貫通孔(41,42)が前記連結部(11;・・・;11;11;18)から延びる前記方向(941,942)に垂直な方向(951,952)に沿う平面部分(121b;・・・;151b;161b;181b)を更に有し、
    前記湾曲部分(121a;・・・;161a;181a)の前記端の一方(r21;r23;r41;r51;r62;r71)は前記平面部分を介して、前記湾曲部分に対して当該端と同じ側にある前記表面(21;・・・;21;31;21)へと繋がる、請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の界磁子用コア。
  7. 前記湾曲部分(151a;161a)の前記端の前記一方(r51;r62)は、前記平面部分(151b;161b)に直接繋がる、請求項6記載の界磁子用コア。
  8. 前記所定の方向(91)から見た前記平面部分(121b;・・・141b;181b)は、前記界磁磁石貫通孔(41,42)が前記連結部(11;・・・;11;18)から延びる前記方向(941,942)に沿って前記湾曲部分(121a;・・・;141a;181a)から突出する、請求項に記載の界磁子用コア。
  9. 前記側面(181)は、前記所定の方向(91)から見て前記湾曲部分を対(181a,181c)で備え、
    前記平面部分(181b)は前記湾曲部分の間に設けられる、請求項7又は請求項8に記載の界磁子用コア。
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