JP4274039B2 - 高純度ガリウムの製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、ボーキサイトからアルミナを製造するバイヤー工程で生成したバイヤー液(アルミン酸ナトリウム水溶液)からガリウムを回収して高純度のガリウムを製造するための方法に係り、より詳しくは、多孔質樹脂からなる吸着基材にガリウムのキレート化剤として置換キノリノールを担持させて得られた吸着材を用いて、バイヤー液から高純度のガリウムを製造することができる高純度ガリウムの製造方法に関する。
バイヤー工程においては、ボーキサイトから水酸化ナトリウム溶液を用いてアルミナ分を抽出することが行われているが、このボーキサイトの水酸化ナトリウム抽出溶液(バイヤー液)中にはアルミナ分と共にボーキサイトに含まれる微量のガリウムも抽出され、バイヤー液中には微量のガリウムも含まれている。
そして、ガリウムは、半導体化合物やシンチレータ等の原料として有用であることから、これまでにも、バイヤー液からガリウムを回収することが行われており、その方法についても例えばアマルガム化法等の幾つかの方法が提案されているが、ガリウムとキレートを形成するキレート化剤の置換キノリノールを多孔質樹脂からなる吸着基材に担持させて吸着材を製造し、この吸着材にバイヤー液を接触させてバイヤー液中のガリウムを吸着材に吸着させ、これによってバイヤー液中からガリウムを回収する方法が最も優れていると考えられている。
また、このようなガリウムの製造方法においては、いずれにしても最終的には、精製して高ガリウム濃度の強アルカリ水溶液であるアルカリ電解液とし、このアルカリ電解液を直流により電解精錬して金属ガリウムを製造することが行われている。
しかしながら、ガリウムのアルカリ電解液を電解精錬して金属ガリウムを得る際に、アルカリ電解液中に鉄が微量でも含まれていると、電解中に析出した金属ガリウムの表面に鉄化合物が取り込まれ、その周囲で水素ガスが発生して金属ガリウムの一部が酸化物になり、得られた金属ガリウムがスポンジ状となって回収率(ガリウム回収率)が低下するという問題が生じる。例えば、アルカリ電解液中に20mg/L以上の鉄が存在すると、析出した金属ガリウムの3割以上がスポンジ状ガリウムとなり、廃棄あるいは精製工程の最初の工程に戻さなければならなくなる。
そこで、従来においても、電解精錬前のアルカリ電解液中の鉄濃度を低減するための幾つかの方法が提案されている。
例えば、アルカリ電解液を中性にして溶解度の低い金属水酸化物を生成させ、生成した金属水酸化物を必要により硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウム等の凝集剤を用いて凝集沈殿させて分離除去する中和凝集法がある。
しかしながら、この中和凝集法では、アルカリ電解液を中性にして金属水酸化物を生成させるで、同時にガリウムも水酸化ガリウムとして沈殿し、ガリウム回収率が低下する。
また、別の方法として、アルカリ電解液に第一鉄塩を添加し、pH値9〜10の弱アルカリ性に保ちながら酸化し、アルカリ電解液中の鉄イオンと他の金属イオンとを反応させてフェライト等の沈降性の良好な亜鉄酸塩を形成せしめて分離除去するフェライト法がある。
このフェライト法においても、pH値9〜10で亜鉄酸塩を形成せしめているので、ガリウムも同時に沈殿し、ガリウム回収率が低下する。
更に、例えば、日本鉱業会誌, Vol.93, No.1070, 323-325 ('77-4)には、亜鉛精錬で得られた亜鉛浸出残渣から金属ガリウムと金属インジウムとを回収する技術が記載されており、亜鉛浸出残渣の第2石膏を水でリバイブし、硫酸を添加して含まれている金属分を浸出し、得られた浸出溶液中の不純物金属イオンを硫化水素で除去すると共に第2鉄イオンを還元し、次いで第三級脂肪酸溶媒液を加えてアンモニアガスを吹き込み、この際にpH値を2.5〜3.5に調整して溶媒液中にガリウムとインジウムのみを抽出し、更に塩酸を加えて水溶液側にガリウムとインジウムを抽出し、得られた抽出塩酸水溶液にエーテルを加えてガリウムのみを抽出し、このエーテル液に水を加えてガリウムを逆抽出し、高濃度の水酸化ナトリウム溶液を加えて鉄分を析出させて分離する方法がある。
この方法では、有機溶剤である第三級脂肪酸溶媒液やエーテルを使用して液々分離を行う必要があり、工程が複雑化する。
更にまた、特公昭58-517号公報には、ガリウムの製造方法において、電解に供する前のバイヤー液(アルミン酸アルカリ溶液)中のガリウムに対する鉄の濃度比(Fe/Ga比率)を0.01未満に保持することにより、電流効率やガリウム回収率が著しく改善され、得られる金属ガリウムの純度も向上することが記載されており、また、鉄分を除去する方法として、バイヤー液中に鉄粉、粒子状ボーキサイト、粒状赤泥等を添加して鉄分を吸着せしめ、濾過して分離除去する方法や、バイヤー液中に水酸化アルミニウムを種子として添加したり、炭酸ガス等の酸性物質を添加してアルミナの一部を析出させ、同時に鉄分を共析させる方法等が記載されている。
しかしながら、この方法においては、濃度比(Fe/Ga比率)を規定しているものの、ガリウム濃度が増加すればそれだけ鉄濃度も増加し、鉄濃度と比例関係にあるスポンジ状ガリウムの生成を低減せしめることができず、得られた金属ガリウムの表面がスポンジ状になり、加熱しても溶融状の金属に戻らないために塊状ガリウムとしては得られず、実用上のガリウム回収率は電流効率(JIS H0400)より低くなり、また、電解精錬に供されるアルカリ電解液のアルミナ濃度が80g/L程度まで高くなり、それだけ溶液抵抗が増して電解液の発熱量が増加し、また、電流効率が低下する。
特公昭58-517号公報 日本鉱業会誌, Vol.93, No.1070, 323-325 ('77-4)
そこで、本発明者らは、キレート化剤として置換キノリノールを用いた吸着材にバイヤー液を接触させてバイヤー液中のガリウムを吸着材に吸着させ、次いで吸着材に溶離液を接触させて得られたガリウム抽出液から高ガリウム濃度の強アルカリ水溶液であるアルカリ電解液を調製し、このアルカリ電解液を電解精錬して金属ガリウムを製造するガリウムの製造方法において、複雑な装置や操作を必要とすることなく、電流効率やガリウム回収率に優れており、しかも、スポンジ状ガリウムの生成を可及的に抑制することができる方法について鋭意検討した結果、ガリウム抽出液からアルカリ電解液を調製するに際し、ガリウム抽出液をアルミニウム濃度0.1g/L以上、好ましくは0.1g/L以上2.0g/L以下及びpH値10〜13に調整し、析出した水酸化鉄を分離除去するアルカリ精製処理を行うことにより、目的を達成できることを見い出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、キレート化剤として置換キノリノールを用いた吸着材にバイヤー液を接触させてバイヤー液中のガリウムを吸着材に吸着させ、次いで吸着材に溶離液を接触させて得られたガリウム抽出液から高ガリウム濃度の強アルカリ水溶液であるアルカリ電解液を調製し、このアルカリ電解液を電解精錬して金属ガリウムを製造するに際し、複雑な装置や操作を必要とすることなく、電流効率やガリウム回収率に優れており、しかも、スポンジ状ガリウムの生成を可及的に抑制することができるガリウムの製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、吸着基材にキレート化剤として置換キノリノールを担持させたガリウムの吸着材にバイヤー工程で生成したバイヤー液を接触させ、バイヤー液中のガリウムを吸着材に吸着させ、次いで吸着材に溶離液を接触させて吸着材に吸着したガリウムを溶出させてガリウム抽出液を回収し、このガリウム抽出液から高ガリウム濃度のアルカリ電解液を調製し、このアルカリ電解液を電解精錬して金属ガリウムを製造するガリウムの製造方法において、吸着材に溶離液を接触させてガリウム抽出液を回収する前に、この吸着材に酸濃度0.04〜1.8重量%の水溶液からなる弱酸性洗浄液を接触させて吸着材を洗浄する吸着材洗浄処理を行って、回収されるガリウム抽出液のアルミニウム濃度を0.1g/L以上に調整し、次いで回収されたガリウム抽出液からアルカリ電解液を調製するに際し、ガリウム抽出液のpH値を10〜13に調整し、析出した水酸化鉄を分離除去するアルカリ精製処理を行うことを特徴とする高純度ガリウムの製造方法である。
本発明において、バイヤー液を接触させるガリウムの吸着材は、多孔質樹脂からなる吸着基材にキレート化剤として水不溶性の置換キノリノールを担持させて調製されたものであれば、特に制限は無く、例えばアクリル酸、メタクリル酸エステル、フタル酸ジアリル、エチレングリコールジアクリレートやジメタクリレート等のエステル、その他のビニル化合物を用いて得られたモノビニル化合物とポリビニル化合物との共重合体、ポリビニル化合物どうしの共重合体、ポリビニル化合物の単独重合体等により調製された多孔質樹脂(吸着基材)に、7-位に飽和又は不飽和の炭化水素基が置換した7-置換-8-キノリノール等の水不溶性の置換キノリノールを担持させて得られる吸着材を例示することができる。
本発明においては、好ましくは、バイヤー液を接触させてガリウムを吸着した吸着材からガリウムを溶離させる前にこの吸着材を弱酸性の洗浄液で洗浄する吸着材洗浄処理を行うのがよい。この目的で用いる弱酸性洗浄液は、吸着材にガリウムと共に吸着された鉄やアルミニウム等の不純物金属を可及的に溶離させ、かつ、吸着材に吸着されたガリウムを可及的に溶離することのないものであるのがよく、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸や、酢酸、シュウ酸等の有機酸等の酸濃度が0.04重量%以上1.8重量%以下、好ましくは0.2重量%以上1.3重量%以下の弱酸性水溶液が用いられ、好ましくは酸濃度が0.2重量%以上1.3重量%以下の鉱酸の弱酸性水溶液が用いられる。この弱酸性洗浄液の酸濃度が0.04重量%より低いと不純物の鉄やアルミニウムの溶離量が少なくなり、反対に、1.8重量%を超えるとガリウムが溶離する。
この弱酸性の洗浄液による吸着材洗浄処理は、好ましくは吸着材により固定層を形成せしめ、この固定層に対して洗浄液を重力方向に(例えば、上から下に)、あるいは、重力方向に逆らって(例えば、下から上に)通液することにより、容易に行うことができ、この際の通液量は、バイヤー液と接触させた後の吸着材の重量に対して、通常1倍以上10倍以下、好ましくは2倍以上6倍以下の液量を1時間当り5倍以上20倍以下、好ましくは7倍以上13倍以下の流量で通液する。液量が1倍より少ないと不純物のアルミニウムを充分に洗浄できず、反対に、10倍を超えると塩酸が無駄になり、また、流量が5倍より少ないと洗浄は充分でも操業時間が長くなり、反対に、10倍を超えると洗浄が不十分になる。
また、本発明においては、溶離液を用いて吸着材に吸着されたガリウムを吸着材から溶離させてガリウム抽出液を回収するが、この際に用いる溶離液については、吸着材に吸着されたガリウムを効率良く溶離してガリウム抽出液となるものであればよく、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸や、酢酸、シュウ酸等の有機酸等の酸濃度が1.8重量%以上18重量%以下、好ましくは3.7重量%以上11重量%以下の強酸性水溶液が用いられ、好ましくは酸濃度が3.7重量%以上11重量%以下の鉱酸の強酸性水溶液が用いられる。この溶離液の酸濃度が1.8重量%より低いとガリウムの溶離が不完全になり、反対に、18重量%を超えると置換キノリノールの溶出が多くなる。
この溶離液によるガリウムの溶離操作は、上記吸着材洗浄処理を行う場合にはこの吸着材洗浄処理に引き続いて連続的に行うのがよく、好ましくは吸着材洗浄処理と同様に、吸着材により形成された固定層に対して溶離液を重力方向に(例えば、上から下に)、あるいは、重力方向に逆らって(例えば、下から上に)通液することにより行われる。そして、この際の通液量は、バイヤー液と接触させた後の吸着材の重量に対して、0.5倍以上5倍以下、好ましくは0.8倍以上2.0倍以下の液量で1時間当り0.1倍以上1倍以下、好ましくは0.2倍以上0.5倍以下の流量で通液する。液量が0.5倍より少ないとガリウムの回収量が少なくなり、反対に、5倍を超えるとガリウムの略全量を回収できるものの塩酸が無駄になり、また、流量が0.1倍より少ないとガリウムの略全量を回収できるものの操業時間が長くなって非生産的であり、反対に、1倍を超えると溶離速度と液速度との関係からガリウムの回収量が低下する。
このようにしてガリウムを吸着した吸着材に溶離液を通液して回収されたガリウム抽出液については、そのアルミニウム濃度を0.1g/L以上、好ましくは0.1g/L以上2.0g/L以下に調整し、また、これにアルカリ水溶液を加えてpH値を10以上13以下、好ましくは11以上12.5以下に調整し、これによって水酸化アルミニウムと水酸化鉄の非晶質混合物を析出させ、シックナー、クラリファイアー、デカンター、遠心分離機等の泥漿分離装置や、ドラムフィルター、回転真空フィルター、加圧フィルター、回転型膜分離装置等の固体分離装置等を用いて固液分離するアルカリ精製処理を行い、精製ガリウム溶解液として回収する。この際に、アルミニウム濃度が0.1g/Lより低いと水酸化鉄を主成分とする沈殿物の沈降速度が遅くなり、反対に、2.0g/Lを超えても沈降速度はあまり速くならない。また、アルカリ水溶液によるpH調整は、pH値10より低いと水酸化ガリウムの析出が増加してガリウム回収率が低下し、反対に、pH値13を超えると水酸化鉄がコロイド状になって沈降しなくなる。ガリウム抽出液のアルミニウム濃度が0.1g/Lより低いときは、弱酸性洗浄液の通液条件を液量が少なく流量が多くなる方向で調整し、更に必要により塩化アルミニウムを添加してもよい。
次に、上で得られた精製ガリウム溶解液から電解精錬に適したアルカリ電解液を調製するに際しては、精製ガリウム溶解液に塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸や酢酸、シュウ酸等の有機酸等の酸性水溶液、好ましくは鉱酸の酸性水溶液を添加して中和し、水酸化ガリウムと極微量の水酸化アルミニウムとを析出させて懸濁中和水溶液とし、この懸濁中和水溶液をそのままそのガリウム濃度が10g/L以上100g/L以下、好ましくは30g/L以上50g/L以下となるように濃縮し、得られた濃縮溶液に高濃度の濃水酸化ナトリウム水溶液を加えて全体を溶解し、必要により未溶解残渣を濾過して除去してアルカリ電解液としてもよく、また、上記の懸濁中和水溶液を濾過し、得られた極微量の水酸化アルミニウムを含む高濃度水酸化ガリウムスラリー液を高濃度の濃水酸化ナトリウム水溶液に加えて溶解し、必要により未溶解残渣を濾過して除去してアルカリ電解液としてもよい。ここで、ガリウム濃度が10g/Lより低いと電流効率が低くなり、反対に、100g/Lより高くなると高粘度になって取扱が困難になる。
以上のようにして調製されたガリウムのアルカリ電解液は、通常、その鉄濃度が3mg/L以下、好ましくは2mg/L以下であってガリウム濃度との濃度比(Ga/Fe濃度比)が5,000以上、好ましくは10,000以上となる。このアルカリ電解液中の鉄濃度が3mg/Lを超えたり、ガリウムと鉄とのGa/Fe濃度比が5,000より低くなるとスポンジ状ガリウムの発生率が高くなる。調製されたアルカリ電解液の鉄濃度が高くて上記の条件を満たさなかった場合には、必要により最初の段階のガリウム回収液に混合する。
本発明によれば、キレート化剤として置換キノリノールを用いた吸着材にバイヤー液を接触させてバイヤー液中のガリウムを吸着材に吸着させ、次いで吸着材に溶離液を接触させて得られたガリウム抽出液から高ガリウム濃度の強アルカリ水溶液であるアルカリ電解液を調製し、このアルカリ電解液を電解精錬して金属ガリウムを製造するガリウムの製造方法において、複雑な装置や操作を必要とすることなく、電流効率やガリウム回収率に優れており、しかも、スポンジ状ガリウムの生成を可及的に抑制することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の公的な実施の形態を具体的に説明する。
〔実施例1〜4及び比較例1〕
合成吸着材(三菱化成社製HP20)からなる吸着基材にキレート化剤として7-(4-エチル-1-メチルオクチル)-8-ヒドロキシキノリンを吸着させてなる吸着材10Lを、内面がゴムライニングされた内径0.13mφ×高さ0.75mの大きさの鋼製容器内に充填し、バイヤー工程で得られた50℃のバイヤー液100Lを2時間かけて通液し、バイヤー液中のガリウムを吸着材に吸着させた。
次に、50Lのイオン交換水を通液して吸着材を水洗した後、1wt%-塩酸水溶液からなる表1に示す量の洗浄液を30分かけて通液し、ガリウムと共に吸着されたアルミニウムや鉄を溶出する吸着材の洗浄操作を行った。
この洗浄操作の後、引き続き5wt%-塩酸水溶液からなる溶離液10Lを240分かけて通液し、吸着材に吸着されたガリウムの抽出を行い、ガリウム抽出液を得た。得られたガリウム抽出液の組成をICP発光分光分析法により調べた。結果を表1に示す。
上で得られたガリウム抽出液に48wt%-水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH値を12.0に調整した後、シックナーに導入して水酸化鉄を主体とする沈殿物を除去し(アルカリ精製処理)、シックナーの上澄み液として精製ガリウム溶解液を得た。この精製ガリウム溶解液の組成をICP発光分光分析法により調べた。結果を表1に示す。
このようにして得られた精製ガリウム溶解液に35wt%-塩酸水溶液を添加して中和し、pH値を7.0に調整して水酸化ガリウムと極微量の水酸化アルミニウムとが析出した懸濁中和水溶液とし、この懸濁中和水溶液を回転型膜分離装置を用いてガリウム濃度が30倍になるまで濃縮し、次いで48wt%-水酸化ナトリウム水溶液を添加して全体を溶解せしめ、4mol/Lの強アルカリ性水溶液からなるアルカリ電解液を調製した。未溶解残渣が発生した場合にはデカンテーションにより分別した。
得られたアルカリ電解液の組成をICP発光分光分析法により調べた。結果を表1に示す。
このようにして得られた各実施例1〜4及び比較例1のアルカリ電解液を用い、0.1A/cm2の直流定電流法で電解精錬を行い、液状金属ガリウムの表面に浮いたスポンジ状ガリウムを開口2mmのプラスチック製網で掬い取り、その重量を測定することにより、得られた金属ガリウムにおけるスポンジ状ガリウムの発生率を調べた。結果を表1に示す。
Figure 0004274039
上記表1に示す結果から明らかなように、ガリウム抽出液中のアルミニウム濃度を0.1g/L以上に調整することにより、シックナーでの鉄の除去率を向上させることができ、結果としてスポンジ状ガリウムの発生率を顕著に低減できることが判明した。また、ガリウム抽出液中のアルミニウム濃度が2.0g/L以上になっても、シックナーでの鉄の除去率の向上はあまり期待できず、アルミニウム濃度の増加と共に増加する鉄を含んだ水酸化アルミニウムの廃棄量を低減するという観点から、ガリウム抽出液中のアルミニウム濃度を0.1〜2.0g/Lに制御するのが好ましいことが判明した。
〔実施例5〜10及び比較例2〕
実施例4と同様にして得られたガリウム抽出液に48wt%-水酸化ナトリウム溶液を添加し、表2に示す7種類のpH値でアルカリ精製処理を行い、シックナーの上澄み液として精製ガリウム溶解液を得た。この精製ガリウム溶解液の組成をICP発光分光分析法により調べた。結果を表2に示す。
得られた精製ガリウム溶解液を用い、上記実施例4と同様にして実施例5〜10及び比較例2のアルカリ電解液を調製した。未溶解残渣が発生した場合にはデカンテーションにより分別した。
得られたアルカリ電解液の組成をICP発光分光分析法により調べた。結果を表2に示す。
このようにして得られた各実施例5〜10及び比較例2のアルカリ電解液を用い、上記実施例4と同様にして電解精錬を行い、上記と同様にして得られた金属ガリウムにおけるスポンジ状ガリウムの発生率を調べた。結果を表2に示す。
Figure 0004274039
上記表2に示す結果から明らかなように、アルカリ精製処理の際にpH値を10〜13の範囲に調整することにより、ガリウム回収率を損なうことなくシックナーでの鉄の除去率を高めることができることが判明した。また、アルカリ電解液中のガリウム濃度と鉄濃度の比(Ga/Fe濃度比)が5,000以上、好ましくは10,000以上であれば、スポンジ状ガリウムの発生率を所望の程度にまで低減できることが判明した。なお、実施例5及び6の場合には水酸化ガリウムが沈殿して実施例7〜10と比べて若干ガリウム回収率が低下し、また、比較例2の場合にはスポンジ状ガリウムの発生により実施例7〜10と比べてガリウム回収率が低下する。
本発明の高純度ガリウムの製造方法は、キレート化剤として置換キノリノールを用いた吸着材にバイヤー液を接触させてバイヤー液中のガリウムを吸着材に吸着させ、次いで吸着材に溶離液を接触させて得られたガリウム抽出液から高ガリウム濃度の強アルカリ水溶液であるアルカリ電解液を調製し、このアルカリ電解液を電解精錬して金属ガリウムを製造する際に、複雑な装置や操作を必要とすることがなく、電流効率やガリウム回収率にも優れており、しかも、スポンジ状ガリウムの生成も可及的に抑制することができるので、工業的に極めて有用なものである。

Claims (5)

  1. 吸着基材にキレート化剤として置換キノリノールを担持させたガリウムの吸着材にバイヤー工程で生成したバイヤー液を接触させ、バイヤー液中のガリウムを吸着材に吸着させ、次いで吸着材に溶離液を接触させて吸着材に吸着したガリウムを溶出させてガリウム抽出液を回収し、このガリウム抽出液から高ガリウム濃度のアルカリ電解液を調製し、このアルカリ電解液を電解精錬して金属ガリウムを製造するガリウムの製造方法において、
    吸着材に溶離液を接触させてガリウム抽出液を回収する前に、この吸着材に酸濃度0.04〜1.8重量%の水溶液からなる弱酸性洗浄液を接触させて吸着材を洗浄する吸着材洗浄処理を行って、回収されるガリウム抽出液のアルミニウム濃度を0.1g/L以上に調整し、次いで回収されたガリウム抽出液からアルカリ電解液を調製するに際し、ガリウム抽出液のpH値を10〜13に調整し、析出した水酸化鉄を分離除去するアルカリ精製処理を行うことを特徴とする高純度ガリウムの製造方法。
  2. 上記ガリウム抽出液のアルミニウム濃度を0.1〜2.0g/Lに調整する請求項1に記載の高純度ガリウムの製造方法。
  3. 溶離液は、その酸濃度が1.8〜18重量%の鉱酸の強酸性水溶液である請求項1又は2に記載の高純度ガリウムの製造方法。
  4. ガリウム抽出液からアルカリ電解液を調製するに際し、ガリウム抽出液を中和して水酸化ガリウムを析出させ、濃縮して得られた高濃度水酸化ガリウムスラリー液を水酸化ナトリウム溶液に溶解してアルカリ電解液を得る請求項1〜のいずれかに記載の高純度ガリウムの製造方法。
  5. アルカリ電解液の鉄濃度が3mg/L以下であってガリウム濃度との濃度比(Ga/Fe濃度比)が5,000以上である請求項1〜のいずれかに記載の高純度ガリウムの製造方法。
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