JP4273719B2 - ヘキサヒドロ無水フタル酸類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘキサヒドロ無水フタル酸類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘキサヒドロ無水フタル酸類は、ブタジエン類と無水マレイン酸から容易に製造できるテトラヒドロ無水フタル酸類を触媒存在下、水素化することにより得ることができる。かかる水素化には、1)耐圧回分装置に粉末触媒と原料を入れ、攪拌懸濁して、水素加圧下で加熱反応させる懸濁回分方式、及び2)成型触媒を充填した耐圧反応器に、所定の温度及び水素圧力下、原料を水素と共に供給しつつ、生成物を反応器から水素と共に抜き出す固定床連続反応方式が知られている。工業的には、懸濁回分方式と比較して、生産性が高く、高純度な生成物が得られる固定床連続反応方式が有利である。
【0003】
ヘキサヒドロ無水フタル酸類の固定床連続反応方式による製造方法としては、以下の代表的な方法が挙げられる。
1)銅、コバルト或いはニッケルのモリブテン酸塩を珪酸に担持させた成型担持触媒を用い、反応温度20〜170℃、反応圧力8MPaの条件でテトラヒドロ無水フタル酸のジオキサン溶液を水素化する方法(米国特許第3169975号)、
【0004】
2)パラジウム、ルテニウム又はニッケルを一部がリチウムアルミナスピネル構造をしたアルミナに担持させた成型触媒を用いて、テトラヒドロ無水フタル酸のヘキサヒドロ無水フタル酸溶液の連続水素化を105℃、10MPaで実施する方法(ドイツ特許2823164号)、
【0005】
2)セルローズをバインダーとしたシリカ担体にニッケルを含浸させた成型触媒を用いて160℃、7.5MPaの高温高圧にてテトラヒドロ無水フタル酸を連続水素化する方法(ドイツ特許3534944号)等である。
【0006】
上記固定床反応方式によるヘキサヒドロ無水フタル酸類の製造方法は、いずれもが1MPa以上の高圧反応であるため、該高圧反応装置は常圧反応装置と比較して非常に高価であり経済的にも不利である。 しかも、当該水素化反応では、ヘキサヒドロ無水フタル酸類の無水環が更に水素化されたヘキサヒドロフタリド類が副生し、収率低下の原因となっている。
【0007】
これらの方法には、副生成物であるヘキサヒドロフタリド類の抑制する方法については全く記載されておらず、またこれを示唆する記載もない。
【0008】
更に、ハンガリー特許63623号においては、塩素化合物で処理された特殊なニッケル/シリカアルミナ担持成型触媒を用い、反応温度60℃、反応圧力2.5MPaの条件でテトラヒドロ無水フタル酸のテトラヒドロフラン溶液を固定床連続水素化し、95%の収率でヘキサヒドロ無水フタル酸が得られる方法が提案されている。
【0009】
この方法は、1)塩素化合物で処理した特殊なニッケル担持触媒で入手が困難な触媒を用いること、2)そのニッケル担持量が41.1%と高担持であること、及び3)温度が高くなるとヘキサヒドロフタリドの副生が顕著となる、等の欠点がある。更に、反応温度が60℃と極めて低いことから、反応熱の除去を考慮した場合、冷媒との温度差が小さいため冷却効率が悪く実用的な方法とは言えない。
【0010】
上記記載のいずれの方法も、選択性が低く、しかも工業的に不利な高価な高圧反応設備が必要であり、更に、ヘキサヒドロフタリド類が多く副生するため、このものを含有したヘキサヒドロフタル酸類を半導体封止材料、絶縁材料等として使用した場合、耐候性、電気特性などの品質に悪影響を及ぼすという問題点を有し、未だ十分な解決に至っていないのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高圧を必要としない固定床水素化反応でテトラヒドロ無水フタル酸類を水素化反応して、ヘキサヒドロフタリド類の副生が大幅に抑制されたヘキサヒドロ無水フタル酸類の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、固定床水素化反応において特定の反応条件と特定のNi担持成型触媒を採用することにより、ヘキサヒドロフタリド類の副生が大幅に抑制されたヘキサヒドロ無水フタル酸類を得ることを見いだし、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、以下の発明を提供するものである。
項1 一般式(1)
【化3】
[式中、R1とR2は、同一又は異なって、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。]で表されるテトラヒドロ無水フタル酸類を固定床水素化反応により、
一般式(2)
【化4】
[式中、R1とR2は、一般式(1)と同義である。]
で表わされるヘキサヒドロ無水フタル酸類を製造するに際し、固定床水素化触媒としてニッケル原子の担持量が0.1〜10%であるニッケル担持成型触媒を用い、反応温度が70℃〜145℃、且つ反応圧力が0.5MPa〜1.0MPaの範囲で水素化を行うことを特徴とするヘキサヒドロ無水フタル酸類の製造方法。
【0014】
項2 ヘキサヒドロ無水フタル酸類中のヘキサヒドロフタリド類の含有量が0.5重量%以下である上記項1に記載のヘキサヒドロ無水フタル酸類の製造方法。
【0015】
項3 ニッケル担持成型触媒が含浸法で調製されたニッケル担持成型触媒である上記項1又は2に記載のヘキサヒドロ無水フタル酸類の製造方法。
【0016】
項4 ニッケル担持成型触媒の担体が珪藻土、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゼオライト及び活性炭から選ばれた担体の少なくとも1種である上記項1〜3のいずれかに記載のヘキサヒドロ無水フタル酸類の製造方法。
【0017】
項5 上記項2に記載の製造法により得られるヘキサヒドロフタリド類の含有量が0.5重量%以下であるヘキサヒドロ無水フタル酸類。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳述する。
本発明に係る一般式(1)で表されるテトラヒドロ無水フタル酸類は、一般的には、ブタジエン類と無水マレイン酸とのDiels-Alder反応を用いて容易に製造できる(例えば、Org.Synthesis Coll.Vol4,p890(1963))。
【0019】
R1及びR2としては、具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基等の直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜4のアルキル基が例示される。
【0020】
テトラヒドロフタル酸類としては、具体的には、テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−テトラヒドロ無水フタル酸、4−エチル−テトラヒドロフタル酸、4−n−プロピル−テトラヒドロフタル酸、4−n−ブチル−テトラヒドロフタル酸、4−i−ブチル−テトラヒドロフタル酸、3−メチル−テトラヒドロ無水フタル酸、3−エチル−テトラヒドロフタル酸、3−n−プロピル−テトラヒドロフタル酸、3−n−ブチル−テトラヒドロフタル酸などが例示できる。
【0021】
本発明に係るニッケル担持成形触媒のニッケル担持量は、担体重量に対し、0.1〜10%、好ましくは0.1〜5%、さらに好ましくは0.1〜3%の範囲である。担持量が10%を越えると、反応の選択性が著しく低下し、副生物のヘキサヒドロフタリド類が増加する傾向が見られ、0.1%未満では、触媒活性が低くく実用的な反応速度が得られない。
【0022】
使用される担体としては、珪藻土、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、活性炭等が例示され、中でも特にシリカが好ましい。これら担体は、1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。更に、触媒強度の保持のためにセルローズ、水ガラス、シリカゲル、クロム酸等の各種バインダーを添加して成型処理したものを担体として使用することも可能である。
【0023】
本発明で使用するニッケル担持成型触媒は、本発明の効果が損なわれない限りその調製方法に特に制限されることはなく、一般的に次の2種類の方法により調製することができる(例えば、触媒学会編,「触媒設計」,触媒講座5,p39〜P45,講談社サイエンティフィク(1985))。
【0024】
具体的には、含浸法としては、蟻酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル等のニッケル成分水溶液に成型した担体を浸し、攪拌しながら加熱し、水を蒸発させ、ニッケルを担体上に乾固担持させた後、焼成及び還元活性化して調製する方法が挙げられる。
【0025】
また、沈殿法としては、蟻酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル等のニッケル成分水溶液に粉末状の担体を浸した後、攪拌しながら沈殿剤(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等)を添加し、担体上に不溶性のニッケル類の沈殿を生成せしめ、水洗、乾燥、粉砕、成型、焼成後、還元を経て調製する方法が挙げられる。
【0026】
特にヘキサヒドロフタリド類の副生が少ない含浸法で調製したものが好ましい。
【0027】
上記ニッケル担持成型触媒の形状は、工業的に入手が容易な円柱状の打錠品や押出し品が通常推奨される。そのサイズは、使用する反応器の内径により有効なサイズが適宜決定されるが、前者の打錠品は直径1〜6mm、高さ2〜6mmのもの、後者の押出し品は直径1〜6mm、長さ2〜10mm程度のものが好ましい。
【0028】
これらニッケル担持成型触媒は、そのままで用いることもできるが、使用する前に水素ガスで予備還元処理して活性化処理をした後に、反応に供することが好ましい。
【0029】
反応圧力は0.5〜1.0MPa、好ましくは0.6〜0.95MPaの範囲である。1.0MPaを越える場合は、設備上の問題だけでなく、ヘキサヒドロフタリド類の副生が起きはじめ、ヘキサヒドロ無水フタル酸類の収率低下や反応制御が難しくなる傾向が生じ易く、一方、0.5MPa未満の場合は、反応速度が遅く実用的な速度が得られ難い。
【0030】
反応温度は70〜145℃、好ましくは80〜140℃の範囲である。70℃未満では反応速度が遅く、しかも反応熱の除去効率が悪くなる傾向が見られ、一方、145℃を越えるとヘキサヒドロフタリド類の副生が多くなり、収率低下や反応制御が難しくなる傾向が見られる。
【0031】
テトラヒドロ無水フタル酸類の水素化は、無溶媒で実施することもできるが、反応熱除去の容易性及び原料の融点降下を目的として溶媒を使用したほうが好ましい。
【0032】
溶媒としては、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されないが、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶媒や反応生成物のヘキサヒドロ無水フタル酸類等の反応に不活性で悪影響を及ぼさないものが好ましい。特に、上記溶媒を用いた場合と比較して溶媒を分離する必要がないことから、反応生成物のヘキサヒドロ無水フタル酸類が好ましい。
【0033】
この場合の当該テトラヒドロ無水フタル酸類の濃度は10重量%以上が好ましく、更に好ましくは40重量%以上である。10重量%未満の低濃度では生産性が低くなり実用的ではない。
【0034】
本発明に係る固定床水素化反応の形態としては、特に制限されないが、前記ニッケル成型触媒を充填した固定床反応装置の上部から水素ガスと原料を供給し、生成物と過剰の水素を反応器下部から抜き出す流下法が好ましい。
【0035】
原料及び水素を下部から供給する上昇法や、原料を上部、水素を下部から供給するカウンタ−カレント方式は、触媒の流動による摩擦のため、触媒強度に悪影響を与え、また、ニッケル担持成型触媒からニッケル金属が剥離除去され、活性が短期間に低下し易くなるため、触媒を頻繁に交換する必要が生じる。
【0036】
原料のテトラヒドロ無水フタル酸類の送液速度としては、基質基準のFTHPA/V(反応器に充填された触媒容積(L)に対する1時間あたりのテトラヒドロ無水フタル酸類(以下「THPA」と略記する。)の供給速度(L/h))が0.1〜5/hの範囲が推奨され、特に0.2〜3/hが好ましい。0.1/h未満では生産性が劣り実用的でなく、5/hを越える量を供給した場合は、反応生成物は未反応のテトラヒドロ無水フタル酸類を多く含み、収率や純度が大幅に低下する傾向が見られ好ましくない。
【0037】
一方、水素の供給速度は、空筒基準線速度で1〜30cm/秒が好ましい。1cm/秒未満の線速度では触媒表面上で有効な気液接触が得られず、反応速度が低下する傾向が見られる。逆に30cm/秒を越える線速度は、線速度の上昇に見合うだけの活性向上若しくは反応速度アップが認められず、不経済的となり好ましくない。
【0038】
本発明のヘキサヒドロフタリド類とは、ヘキサヒドロフタル酸類がさらに水素化された下記の一般式(3)又は一般式(4)で表されるγ−ラクトン構造を有する化合物類を指す。
【化5】
[式中、R1とR2は、一般式(1)と同義である。]
【0039】
かかるヘキサヒドロフタリド類が0.5重量%を越えると、最終製品(例えば、エポキシ樹脂硬化物)の耐候性、電気特性等が低下する傾向が見られる。
【0040】
本発明により得られたヘキサヒドロ無水フタル酸類は、特に、耐候性、電気特性等に優れた性能を有していることから半導体封止材料、電気絶縁材料、耐候性コ−ティング材料、衛生陶器などの強化複合材料などに使用されるエポキシ樹脂の硬化剤成分やポリエステル樹脂二塩基酸成分として用いることができる。かかるエポキシ樹脂硬化物の用途としては、具体的に、LED、半導体レーザー等の発光素子、光導電素子、フォトダイオード、太陽電池、フォトトランジスタ、フォトサイリスク等の受光素子、フォトカプラー、フォトインタラプター等の光結合素子で代表される光電変換素子の絶縁封止材料、液晶等の接着剤、光造形用の樹脂、更にプラスチック、ガラス、金属等の表面コーティング剤、装飾材料等の透明性を要求される用途にも用いることができる。
【0041】
【実施例】
以下に、実施例を掲げて本発明を詳しく説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定して解釈されるものではない。
【0042】
使用した連続固定床反応装置は容量が0.98L(内径25mm、長さ2m)であり上部、中部及び下部の3箇所に電熱ヒーターと冷却ファンとで加熱と冷却ができる方式のものであり、所定の成型触媒を充填して、反応装置の上部から原料(テトラヒドロ無水フタル酸類と溶媒の混合物)及び水素ガスを所定量仕込みながら反応を行った。水素ガスの流量は、各実施例及び比較例の反応温度及び反応圧力に応じて、その空筒ガス線速度が、常に13cm/sになるように設定した。反応粗物は反応装置下部から連続的に送出された後、高圧分離器で水素ガスと分離して得られる。反応粗液のガスクロマトグラフ分析(内部標準法)は、所定温度と所定圧力になってから2時間後に行い、下記に示す原料(1)、目的物(2)、及び副生物(3)の含有量(重量%)を求めた。
原 料(1):テトラヒドロ無水フタル酸類
(原料は、水素化過程でシクロヘキサン環内の二重結合が移動した異性体も含む。)
生成物(2):ヘキサヒドロ無水フタル酸類
副生物(3):ヘキサヒドロフタリド類
【0043】
各実施例及び比較例で調製したニッケル担持成型触媒を表1に示す。
【表1】
【0044】
実施例1
使用する含浸法の触媒Aの調製法は以下の通りである。
市販の成型シリカ(打錠品 径3mm×高さ3mm)1kgを1%蟻酸ニッケル水溶液3.73kgを入れた5L攪拌付フラスコに少しずつ投入して浸漬し、30分間ゆるやかに攪拌した後、水を蒸発させつつ300℃まで昇温・乾固し、同温度にて約3時間加熱し、空気下で焼成・乾燥を行った。次いで、350℃にて常圧水素を導入して還元処理を行い、200℃まで降温してから、徐々に空気を導入し安定化して触媒Aを得た。触媒Aは原子吸光分析によりニッケル含有量は1.4%、BET法による比表面積は92m2/gであった。
【0045】
前記固定床反応装置(容積 0.98L,内径25mm,長さ2m)に、上記含浸法で調製した1.4%ニッケル/シリカ成型触媒(触媒A)を0.95kg充填し、常圧水素ガスを180NL/hの流量で供給しながら、温度180℃〜190℃の条件で予備還元を実施した。次いで、原料のテトラヒドロ無水フタル酸と溶媒としてヘキサヒドロ無水フタル酸(純度 98.5%,ヘキサヒドロフタリド0.1重量%)を等量混合使用して50%濃度の溶液を調製し、0.5L/h(FTHPA/V=0.26h−1)の送液速度で反応塔の上部から水素ガスを1.7Nm3/h(反応条件下の空筒ガス線速度=13cm/s)とともに供給し、100℃、0.9MPaの条件下で水素化反応を連続的に行った。得られた反応粗液の組成をガスクロマトグラフ分析により測定した。その測定結果は、次の通りであった。
テトラヒドロ無水フタル酸 0.3重量%
ヘキサヒドロ無水フタル酸 99.4重量%
ヘキサヒドロフタリド 0.1重量%
そ の 他 0.2重量%
【0046】
実施例2
担体として、市販のアルミナ(押し出品 径3mm×高さ3mm)を使用した他は実施例1と同様に含浸法でニッケル/アルミナ担持触媒(触媒B)を調製した。触媒Bのニッケル含有量は0.4 %、BET比表面積は151m2/gであった。得られた該触媒B0.65kgを反応器に充填し、反応温度を100℃から120℃とした他は実施例1と同様の条件で水素化反応行った。得られた反応粗液の組成をガスクロマトグラフ分析により測定した。その結果は、次の通りであった。
テトラヒドロ無水フタル酸 0.4重量%
ヘキサヒドロ無水フタル酸 99.1重量%
ヘキサヒドロフタリド 0.2重量%
その他 0.3重量%
【0047】
実施例3
担体として、市販のシリカ−チタニア(打錠品 径3mm×高さ3mm)を使用した他は実施例1と同様に含浸法で調製したニッケル/シリカ−チタニア担持触媒(触媒C)を得た。触媒Cのニッケル含有量は1.1 %、BET比表面積は117m2/gであった。得られた当該触媒Cを0.92kg、反応器に充填し、反応温度を100℃から80℃とした他は実施例1と同様の条件で水素化反応を行った。得られた反応粗液の組成をガスクロマトグラフ分析により測定した結果、次の通りであった。
テトラヒドロ無水フタル酸 0.4重量%
ヘキサヒドロ無水フタル酸 99.3重量%
ヘキサヒドロフタリド 0.2重量%
その他 0.1重量%
【0048】
実施例4
使用する沈殿法の触媒Dの調製法は以下の通りである。
4L攪拌付フラスコに1%硝酸ニッケル水溶液3.12kgを入れ、担体として市販のケイソウ土粉末1kgを少しずつ投入して浸漬し、ゆるやかに攪拌しながら温度を60〜80℃に保持しつつ10%炭酸ナトリウム水溶液を注加してゆき、pH8〜9の範囲で沈殿を生成させた。その後、得られたスラリ−を濾過、水洗後、100℃で乾燥粉砕した後、タブレットマシンで円柱状とし、この成型物を400℃で水素還元後、200℃で安定化して触媒D(打錠品 径3mm×高さ3mm)を得た。触媒Dのニッケル含有量は0.95 %、BET比表面積は96m2/gであった。
【0049】
得られた触媒Dを1.05kgを用い、反応圧力を0.9MPaから0.7MPaとした他は実施例1と同様の条件で予備還元処理と水素化反応を行った。得られた反応粗液の組成をガスクロマトグラフ分析により測定した結果は、次の通りであった。
テトラヒドロ無水フタル酸 0.5重量%
ヘキサヒドロ無水フタル酸 98.6重量%
ヘキサヒドロフタリド 0.4重量%
その他 0.5重量%
【0050】
実施例5
反応原料として4−メチル−テトラヒドロ無水フタル酸を使用し、溶媒として4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸を使用した他は実施例1と同様の条件で予備還元処理と水素化反応を行った。得られた反応粗液の組成をガスクロマトグラフィーにより測定した結果は、次の通りであった。
4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸 0.2重量%
4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸 99.3重量%
4−メチルヘキサヒドロフタリド 0.2重量%
その他 0.3重量%
【0051】
実施例6
原料のテトラヒドロ無水フタル酸の50%濃度の溶液の送液速度を0.5L/hから1.5L/h(FTHPA/V=0.77h−1)とし、さらに反応温度を100℃から140℃とした他は実施例1と同様の条件で水素化反応行った。得られた反応粗液の組成をガスクロマトグラフ分析により測定した結果は、次の通りであった。
テトラヒドロ無水フタル酸 0.7重量%
ヘキサヒドロ無水フタル酸 98.5重量%
ヘキサヒドロフタリド 0.5重量%
その他 0.3重量%
【0052】
比較例1
日揮化学社製の16%ニッケル/シリカ担持成形触媒E(商品名 N118−1、押出品:Ni含有量16%,BET比表面積116m2/g)を0.85kg用いた他は、実施例1と同様の条件で予備還元処理と水素化反応を行った。得られた反応粗液の組成をガスクロマトグラフ分析により測定した結果は、次の通りであった。
テトラヒドロ無水フタル酸 0.1重量%
ヘキサヒドロ無水フタル酸 94.3重量%
ヘキサヒドロフタリド 4.9重量%
その他 0.7重量%
【0053】
比較例2
反応温度を100℃から150℃とした他は実施例1と同様の条件で予備還元処理と水素化反応を行った。得られた反応粗液の組成をガスクロマトグラフ分析により測定した結果は、次の通りであった。
テトラヒドロ無水フタル酸 0.1量%
へキサヒドロ無水フタル酸 88.2重量%
ヘキサヒドロフタリド 11.4重量
その他 0.3重量%
【0054】
比較例3
反応圧力を0.9MPaから2MPaとし、水素ガスを3.8Nm3/h(反応条件下の空筒ガス線速度=13cm/s)とした他は実施例1と同様の条件下で水素化反応を行った。得られた反応粗液の組成をガスクロマトグラフ分析により測定した結果は、次の通りであった。
テトラヒドロ無水フタル酸 0.1重量%
ヘキサヒドロ無水フタル酸 96.0重量%
ヘキサヒドロフタリド 3.6重量%
その他 0.3重量%
【0055】
比較例4
反応圧力を0.9MPaから2.5MPaとし、水素ガスを3.9Nm3/h(反応条件下の空筒ガス線速度=13cm/s)、温度を100℃から150℃とした他は実施例1と同様の条件下で水素化反応を行った。得られた反応粗液の組成をガスクロマトグラフ分析により測定した結果は、次の通りであった。
テトラヒドロ無水フタル酸 0.1重量%
ヘキサヒドロ無水フタル酸 89.2重量%
ヘキサヒドロフタリド 10.3重量%
その他 0.4重量%
【0056】
【発明の効果】
本発明方法によれば、テトラヒドロ無水フタル酸類の固定床水素化反応において、ニッケル原子の担持量が0.1〜10%であるニッケル担持成型触媒を用い、反応温度が70℃〜145℃、且つ反応圧力が0.5MPa〜1.0MPaの範囲で水素化を行うことにより、副生物の少ない高品質のヘキサヒドロ無水フタル酸類を高収率で製造することができる。
Claims (5)
- ヘキサヒドロ無水フタル酸類中のヘキサヒドロフタリド類の含有量が0.5重量%以下である請求項1に記載のヘキサヒドロ無水フタル酸類の製造方法。
- ニッケル担持成型触媒が含浸法で調製されたニッケル担持成型触媒である請求項1又は2に記載のヘキサヒドロ無水フタル酸類の製造方法。
- ニッケル担持成型触媒の担体が珪藻土、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゼオライト及び活性炭から選ばれた担体の少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のヘキサヒドロ無水フタル酸類の製造方法。
- 請求項2に記載の製造方法より得られるヘキサヒドロフタリド類の含有量が0.5重量%以下であるヘキサヒドロ無水フタル酸類。
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