JP4273468B2 - 内燃機関用燃料噴射装置等の圧力の異なる二つの空洞部の間のシール装置 - Google Patents

内燃機関用燃料噴射装置等の圧力の異なる二つの空洞部の間のシール装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力の異なる二つの空洞部の間のシール装置に関し、例えば、内燃機関燃料噴射装置のシール装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
公知の噴射装置は、通常、ノズルを保持する中空体と、ノズルを制御するための制御ロッドをスライドさせる大気圧下の空洞部とを備える。制御ロッドは、圧力下で燃料を供給される制御チャンバーを有するバルブ体を備える絞り弁により水力学的に制御される。
【0003】
公知の噴射装置のバルブ体は、実質的に円筒形状を有し、中空体の円筒形状シートの内側に取り付けられ、制御チャンバーへ燃料を供給するための環状空洞部を有し、高い圧力下にあり、環状空洞部と大気圧下の空洞部との間でシール装置により中空体に連結されなければならない。
【0004】
この目的のため、バルブ体の円筒形状壁と中空体のシートとの間に、少なくとも一つの環状シールが備えられ、このシールは、通常、シートの肩部に置かれ、バルブ体に取り付けられるとき、バルブ体の表面を効果的にシールするように少し延ばされるような大きさにされている。技術的な理由のため、バルブ体は、シートに対して5〜35ミクロンの放射方向のクリアランスを有する。
【0005】
噴射装置の操作中、分配空洞部の約1350バールの高い燃料圧力は、バルブ体とシートとの間のギャップ内のシールを押しつけ、すなわち、シールは、ギャップ内に押し出され、その結果、押し出しリング(extrusion rings)を形成し、シールを劣化させる。この結果、高い圧力の燃料が、押し出しリングを介して次第に漏れ、圧力差が減少され、漏洩摩擦のために熱が発生し、熱がさらにシールの抵抗力を弱め、シールが擦り切れ始め、たびたび取り替えなければならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、組立が容易で、使用寿命が長く、公知のシール装置が通常有する上記欠点を解消することができる、上記形式の噴射装置用のシール装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に従うシール装置は、圧力の異なる二つの空洞部の間のシール装置であって、前記空洞部を分離する同心の二つの表面の間に環状シールを備え、前記シールは、前記表面の軸と平行な方向で前記表面に備えられた二つの肩部の間で圧縮され、前記表面及び前記肩部の両方をシールするものである。
【0008】
上記装置は、内燃機関用燃料噴射装置内に取り付けられ、噴射装置は、ノズル保持する中空体と、前記ノズルを開くための絞り弁とを備え、前記絞り弁は、前記中空体の円筒形状のシートの内側に収容されるバルブ体を備え、前記肩部は、前記円筒形状のシートの表面及び前記バルブ体の一つの部位の外表面に備えられる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るシール装置を組み込んだ燃料噴射装置の一部断面側面図であり、図2は、図1の拡大図である。
【0010】
図1の11は、燃料噴射装置、例えば、内燃機関用燃料噴射装置全体を示す。噴射装置11は、一つ又はそれ以上の噴射オリフィスを有する底部で終端されるノズル(図示省略)を保持する中空体12を備える。中空体12は、軸上の空洞部13と、付加部15とを備え、空洞部13は、噴射オリフィスを閉じるためのピンに連結された制御ロッド14をルーズにスライドさせ、付加部15には、高い圧力、例えば1350バールで燃料を供給する通常の燃料供給ポンプに連結される吸気部品16が挿入される。
【0011】
中空体12は、ノズルの噴射チャンバーに吸気部品16を連結する導管17と、ネジ山19を有する実質的に円筒形状の空洞部18と、肩部23により空洞部18から分離される円筒形状の表面22を備えるシート21とを備える。また、噴射装置11は、24により全体的に示される絞り弁(metering valve)を備え、絞り弁24は、シート21内に取り付けられ、電磁石(図示省略)の電機子のステム25により制御される。
【0012】
絞り弁24は、実質的に円筒形状の外表面28(図2)を有する部位27を有するバルブ体26を備え、バルブ体26は、空洞部18のネジ山19にねじ込まれる、外側にネジ山を有するリングナット31により、中空体12の肩部23(図1)に通常は当接して保持されるフランジ29を有する。
【0013】
リングナット31とステム25との間のギャップは、絞り弁24の放出チャンバー32を規定している。放出チャンバー32は、燃料タンクに連結される放出部品33に公知の方法で連通し、放出チャンバー32の燃料は、実質的に大気圧下にある。中空体12の空洞部13は、中空体12に形成される放出導管34を介して放出部品33と連通し、大気圧下にある。
【0014】
バルブ体26は、制御ロッド14の上部37をガイドする軸上の孔36を有し、軸上の制御チャンバー38は、孔36と連通している。バルブ体26の部位27は、制御チャンバー38の吸気導管を規定する校正された導管41を介して孔36の端部と連通する環状溝39を有する。
【0015】
中空体12は、環状溝39に吸気部品16を連結する導管42をさらに備え、環状溝39は、導管42から制御チャンバー38へ燃料を配給するための配給用空洞部として機能し、通常、高い圧力下で燃料を格納している。
【0016】
制御チャンバー38は、放出チャンバー32と連通する校正された放出導管44を有している。制御ロッド14の上部37の端部は、吸気導管41を閉じないで孔36と制御チャンバー38との間の連通を切り離すための付属部46を備えている。制御ロッド14の上部37は、制御チャンバー38から軸上の空洞部13までの流通を妨げるための二つの環状シール47を備える。
【0017】
孔36の燃料の圧力は、通常、噴射装置11のノズルを閉じる下部位置に制御ロッド14を保持している。制御チャンバー38の放出導管44は、通常、球体48の形のシャッターにより閉じ続けられ、球体48は、導管44を有する、接触面により規定される円錐状のシート50(図2)の上で静止している。球体48(図1)は、電機子のステム25のフランジ51に作用するガイド板によりガイドされる。
【0018】
分配空洞部である環状溝39が高い圧力の燃料を通常収容し、一方、空洞部13及び放出チャンバー32は、大気圧の燃料を収容しているため、環状溝39の空洞部領域は、効果的なシール装置により空洞部13及び放出チャンバー32から水力学的に分離されなければならない。環状溝39と放出チャンバー32との間のシールは、肩部23と接触するフランジ29及びフランジ29と接触するリングナット31により公知の方法で確実に行われる。
【0019】
本発明に従えば、高い圧力の環状溝39と大気圧の空洞部13との間のシール装置は、弾性材料、例えば、グラスファイバー又はブロンズ(bronze)ファイバーが付加されたテフロン(登録商標)から作られる円形断面の又は楕円形断面の環状シール52からなり、環状シール52は、円筒形状シートの軸に平行な方向に二つの肩部53、54の間で圧縮される。
【0020】
より具体的には、肩部53(図2)は、バルブ体26のシート21に設けられ、円筒形状表面22より直径の小さい、シートの部位57の円筒形状表面56から円筒形状表面22を分離する。他の肩部54は、部位27の外表面28に設けられ、表面28より直径の小さい、バルブ体26の他の部位59の表面58から表面28を分離する。
【0021】
従って、二つの肩部53、54は、環状で、同軸で、互いに平行である。肩部54は、環状溝39の下方に位置し、リングナット31が中空体12の肩部23にフランジ29を接触させるとき、肩部54は、変形するように軸方向にシール52を圧縮し、肩部53、54だけでなく、中空体12のシート21の表面22及びバルブ体26の部位59の表面58に接触させてシールし、シール52によりシート21及びバルブ体26の両方を良好にシールすることができる。
【0022】
バルブ体26へのシール52の取付を容易にするために、部位59は、円筒形状部分61(図2)及び少しテーパーを付けた円錐台形状部分62を備える。より具体的には、円筒形状部分61の高さは、部位59の高さのほぼ4分の1に等しく、円錐台形状部分62の高さは、部位59の高さのほぼ4分の3に等しい。
【0023】
噴射装置11の絞り弁24(図1)は、以下のようにして組み立てられる。
【0024】
まず、シール52は、肩部54に接触するように部位59に取り付けられ、絞り弁24のバルブ体26は、シール52と共に、中空体12のシート21の内側に挿入され、制御ロッド14は、孔36の内側に挿入され、リングナット31は、ネジ山19にねじ込まれ、肩部23に対してフランジ29を押し付け、シール52が変形して、実質的に矩形断面になり、二つの肩部53、54の間の環状ギャップを充填する。
【0025】
噴射装置11は、以下に簡単に説明するように公知の方法で動作する。
【0026】
電磁石が駆動されると、電機子のステム25が上がり、制御チャンバー38の燃料の圧力により絞り弁24が開かれ、制御ロッド14が上がって噴射装置11のノズルを開き、制御チャンバー38の燃料は、放出チャンバー32及び放出部品33を介してタンク内に放出される。
【0027】
電磁石の駆動が停止されると、バネ(図示省略)がステム25を下方に動かし、円錐形状のシート50(図2参照)に対して球体48を押し付け、絞り弁24を閉じ、制御チャンバー38の燃料の圧力が増加して制御ロッド14を迅速に下方に動かし、噴射装置11のノズルを閉じる。
【0028】
公知の装置と比較すると、本発明に従うシール装置の利点は、上記の説明から明らかであろう。二つの肩部53、54の間のシール52の圧縮は、中空体12のシート21とバルブ体26の部位59との間に余剰なシールをもたらし、押し出しリング(extrusion rings)がシール52の材料で形成されないようにする。また、シール52の能力の改善は、燃料漏れを低減し、摩擦により発生する熱を減少してシール52の使用寿命を増加する。
【0029】
本発明の範囲を逸脱しない範囲で、上記のシール装置に変更を加えられることは明らかであり、例えば、シール52は、異なる弾性材料から作られてもよく、シール装置は、一つ以上の環状シールを備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るシール装置を組み込んだ燃料噴射装置の一部断面側面図である。
【図2】図1の拡大図である。
【符号の説明】
11 噴射装置
12 中空体
13、39 空洞部
14 制御ロッド
19 ネジ山
21 シート
22、58 表面
23 肩部
24 絞り弁
26 バルブ体
29 フランジ
31 リングナット
32 放出チャンバー
38 制御チャンバー
39 環状溝(環状空洞部)
41 校正された導管(吸気導管)
44 放出導管
48 球体(シャッター)
52 環状シール
53、54 肩部
59 部位(バルブ体の一つの部位)
62 円錐台形状部分

Claims (3)

  1. 内燃機関用燃料噴射装置に用いられ、圧力の異なる二つの空洞部の間のシール装置であって、
    前記二つの空洞部を分離する同心の二つの表面の間に環状シールを備え、
    前記シールは、前記表面の軸と平行な方向で前記表面に備えられた二つの肩部の間で圧縮され、前記表面及び前記肩部をシールし、
    前記噴射装置は、ノズルを保持する中空体と、前記ノズルを開くための絞り弁とを備え、
    前記絞り弁は、前記中空体の円筒形状のシートの内側に収容されるバルブ体を備え、
    前記肩部は、前記円筒形状のシートの表面及び前記バルブ体の一つの部位の外表面に設けられ、
    前記シールは、実質的に円形断面を有し、
    前記バルブ体は、ネジ山を有するリングナットにより前記中空体に連結され、
    前記リングナットは、前記中空体のネジ山の内側にねじ込まれて前記シールの断面が変形し、前記円筒形状のシートの前記表面及び前記外表面をシールすることを特徴とするシール装置。
  2. 前記バルブ体は、前記リングナットが作用するフランジを備え、
    前記フランジは、前記中空体の他の肩部に止められ、
    前記バルブ体は、前記円筒形状のシートの内側に前記バルブ体を挿入しやすいように少しテーパーを付けた円錐台形状部分を有することを特徴とする請求項記載のシール装置。
  3. 前記バルブ体は、制御チャンバーを有し、
    前記制御チャンバーは、放出導管を介して放出チャンバーと連通し、前記噴射装置を制御する制御ロッドに作用する高圧力燃料の吸気導管を有し、
    前記放出導管は、電磁的に制御されるシャッターにより制御され、
    前記吸気導管は、前記二つの空洞部の一方の環状空洞部の放射方向に配置され、
    前記バルブ体の前記肩部は、前記環状空洞部と前記円錐台形状部分との間の配置されることを特徴とする請求項記載のシール装置。
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