JP4273092B2 - プリプレグの製造方法およびプリプレグの製造装置 - Google Patents

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本発明は、プリプレグの製造方法およびプリプレグの製造装置に関するものである。
従来から、CF(カーボンフィラメント)が収束して成る繊維束を一方向に引き揃えて成る繊維体に合成樹脂を含浸せしめて構成されるプリプレグがある。
ところで、近年、このプリプレグの更なる強度向上を図るために、繊維体に含浸せしめる合成樹脂にCNT(カーボンナノチューブ)を入れ、各繊維束間だけでなく各CF間にもCNTを混入させる方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2003−102343号公報
しかしながら、合成樹脂にナノフィラーを添加すると、粘度が上昇し、単にナノフィラーが混入された合成樹脂に繊維体を浸漬(湿式法:ディッピング)するだけでは、繊維束間には侵入するものの、フィラメント間までには含浸しにくいという課題があった。すなわち、図16に示すように、CNTは、繊維束28には付着するものの、目詰まりをしてフィラメント27間には侵入しにくいのである。また、これにより、合成樹脂自体がフィラメント27間に侵入しにくい結果も引き起こし、かえって強度を低下させるという課題があった。
本発明は、上述のような現状に鑑み、鋭意研究の結果、従来の樹脂の含浸方法(ジャブ漬け、所謂フリーディッピング)では、繊維束の周囲にはCNTを混入した合成樹脂が付着するがCF間にはCNTを混入した合成樹脂が付着せず、これが原因で所望の強度が出ない点を見出し、これを解決したもので、極めて効率的にCNTを混入した樹脂をCF間にも含浸できる画期的なプリプレグの製造方法およびプリプレグの製造装置を提供するものである。
本発明に係るプリプレグの製造方法は、フィラメントが集束して成る繊維束を一方向に引き揃えて成る繊維体もしくは前記繊維束から成る経糸及び緯糸で織成される繊維体に合成樹脂を含浸させてプリプレグを製造するプリプレグの製造方法において、前記繊維体を張力調整用の段差ロールを経由して連続的に搬送し、繊維体に所要以上の張力が加わった際には段差ロールによって吸収し、これにより、繊維体に過度の張力が加わらないようにして、繊維体をカーボンナノチューブ(CNT)が混入された合成樹脂が貯留された貯留槽を、複数の固定ローラと上下方向に変位可能な複数の可動ローラとに接触させつつ通過させ、前記可動ローラを上下方向に複数回変位させることで、該可動ローラにより繊維体を長さ方向にしごき、もって繊維体にCNTが混入した合成樹脂を含浸せしめることを特徴とする。
前記繊維体を給糸ロールによって送り出すとともに、巻取りロールによって巻き取ることによって搬送し、前記給糸ロールを断続的に停止することを特徴とする
また、前記可動ローラのうち一群の可動ローラが上昇する際、他の一群の可動ローラを下降させるようにし、これにより繊維体にしごき力のみが加わるようにすることを特徴とする。
また、前記貯留槽に貯留されている樹脂を循環ポンプによって循環させ、ノズルから繊維体に向けて噴出させることを特徴とする。
また、前記カーボンナノチューブにカップスタック型カーボンナノチューブを用いることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のプリプレグの製造方法。
また本発明に係るプリプレグの製造装置は、フィラメントが集束して成る繊維束を一方向に引き揃えて成る繊維体もしくは前記繊維束から成る経糸および緯糸で織成される繊維体に合成樹脂を含浸させてプリプレグを製造するプリプレグの製造装置において、繊維体を連続的に搬送する、繊維体の給糸ロール、繊維体の巻取りロール、および繊維体の張力調整用の段差ロールを含む繊維体の搬送機構と、CNTが混入された合成樹脂が貯留される貯留槽と、該貯留槽内に配設され、前記繊維体が接触しつつ通過する複数の固定ローラおよび上下方向に変位可能な複数の可動ローラと、該可動ローラを上下方向に変位させる変位機構とを備え、前記繊維体を張力調整用の段差ロールを経由して連続的に搬送し、繊維体に所要以上の張力が加わった際には段差ロールによって吸収し、これにより、繊維体に過度の張力が加わらないようにして、繊維体をCNTが混入された合成樹脂が貯留された貯留槽を、複数の固定ローラと上下方向に変位可能な複数の可動ローラとに接触させつつ通過させ、前記可動ローラを上下方向に複数回変位させることで、該可動ローラにより繊維体を長さ方向にしごき、もって繊維体にCNTが混入した合成樹脂を含浸せしめることを特徴とする。
前記給糸ロールの駆動部を断続的にオンオフして、給糸ロールを断続的に停止させる制御部を備えることを特徴とする。
また、前記変位機構は、前記可動ローラのうち一群の可動ローラが上昇する際、他の一群の可動ローラを下降させるようにすることを特徴とする。
本発明は上述のように構成したから、繊維体は張設状態と緩設状態とを繰り返し、また繊維体には可動ローラが上下動することによって長さ方向へのしごき力も加わることから、生じた繊維束間並びにフィラメント間の隙間から、CNTの混入した樹脂が侵入し、CNTをフィラメント間にも含浸できる画期的なプリプレグの製造方法および製造装置を提供できる
以下本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
本発明方法は、本発明装置と軌を一にするので、装置と併せて説明する。
図1は、プリプレグの製造装置20の概略的な説明図である。
本実施の形態は、フィラメント7が集束して成る繊維束8(図2)を一方向に引き揃えて成る繊維体1に合成樹脂を含浸させてプリプレグを製造するプリプレグの製造装置20であって、繊維体を連続的に搬送する搬送機構(給糸ロール5、段差ロール10、固定ロール4a、可動ロール4b、ガイドロール13、14、巻き取りロール15等)と、CNTが混入された合成樹脂が貯留された貯留槽3と、前記搬送機構により連続的に搬送される繊維体1にパルス的に張力を付与する張力付与機構とを備え、繊維体1を貯留槽3を通過させながら張力付与機構により繊維体1に繊維体1の長さ方向にパルス的に作用する張力を付与することにより繊維体1にCNTが混入された合成樹脂を含浸せしめるものである。
本実施の形態の繊維体1は、一方向に引き揃えられた炭素繊維(CF)束を多数集束して形成されたものであり、この繊維体1に熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)を含浸せしめてプリプレグを製造する。
具体的には、繊維体1は巻回ロール12に巻回せしめられており、この巻回ロール12に巻回せしめられた繊維体1を、図示しないサーボモータ等の駆動部およびこの駆動部を制御する制御部により回転駆動される給糸ロール5により送り出し、筬9によって繊維束8が重なったり絡まったりしないように揃えつつ繊維束8同士の間隔を調整することで繊維体1の目付量(g/m2)をコントロールして、貯部槽3に貯留されたエポキシ樹脂等の合成樹脂内を通過せしめることで、繊維体1に合成樹脂を含浸せしめる。
合成樹脂中には、10〜20wt%程度のCNT6(カーボンナノチューブ)が混入される。
本実施の形態では、CNT6を繊維体1を構成する繊維束8のフィラメント一本一本の間に付着させるため、繊維体1にパルス的に張力を付与しながら、搬送機構により上記繊維体1の搬送を行うのである。
なお、符号10は繊維体1の張力調整用の段差ロール、11は段差ロール10駆動用のピストン制御機構(エアシリンダ)であり、ピストン制御機構11により段差ロール10を介して繊維体1に所要の初期張力を与えるようになっている。
貯留槽3内には繊維体1を上下に蛇行させる複数の搬送ロール4が設けられ、この搬送ロール4は、固定ロール4aと、上下動可能な可動ロール4bとで構成され、可動ロール4bは張力付与機構(変位機構)2により上下動可能に構成されている。本実施の形態においては、固定ロール4aと可動ロール4bとが交互に配設されている。繊維体1は、固定ロール4aの下面側、可動ロール4bの上面側に接触しつつ搬送される。なお、繊維体1の搬送は、給糸ロール5による送り込みと、巻取りロール15による巻き取りとによってなされる。
張力付与機構(変位機構)2としては、公知のカム機構が採用されている。具体的には、張力付与機構2は、サーボモータ等の適宜な回転駆動機構により水平回転軸(図示せず)を中心として回転せしめられる側面視略四角形状のカム16と、下面側で該カム16の各角部および各辺部と当接するプレート17と、該プレート17と可動ロール4bとを連結する連結体18とで構成されている。カム16の回転駆動機構は適宜な支持台(図示せず)により支持されている。また、連結体18は、可動ロール4bの両側に設けられて可動ローラ4bを回転可能に支持している。また連結体18は、図示しないガイドにより上下方向に移動可能に支持されている。
従って、プレート17がカム16の辺部と当接した状態から、カム16が回動して該カム16の角部によりプレート17が押し上げられることで可動ロール4bは上昇し、一方、プレート17がカム16の角部に押し上げられた状態から、カム16が回動して該カム16の辺部とプレート17が当接することで可動ロール4bは下降する。
この際、可動ロール4bを固定ロール4aから離反させる程、搬送ロール4により上下蛇行状態で搬送される繊維体1の搬送経路が長くなって繊維体1の搬送方向への張力が大きくなり、可動ロール4bを固定ロール4aに近接させる程、前記搬送経路が短くなって繊維体1の搬送方向への張力が小さくなる。また、繊維体1には、搬送ロール4の外周面から長さ方向へのしごき力が作用する。なお、巻取りロール15にトルクリミッター(図示せず)を設け、巻取りロール15に一定以上のトルクが加わった際には、巻取りロール15が空転するように構成すると好適である。あるいは、繊維体1に加わる張力を図示しないセンサによって検出し、繊維体1に所要以上の張力が加わった際には、段差ロール10が引き上げられ、これにより過度の張力を吸収、減じるようにしてもよい。このようにすることにより、繊維体1へ無理な力が加わることを防止できる。
よって、カム16の回動速度および角部の配設周期に応じ、張力変化の1パルスの周期が決定され、このパルス周期に応じて繊維体1は張設状態と緩設状態とを繰り返し、また、繊維体1に加わるしごき力によって、生じた繊維束8間並びにフィラメント7間の隙間から、CNT6を混入したエポキシ樹脂が侵入し、CNT6がフィラメント7間にも付着せしめられることになる。
具体的には、従来のようにフリーディッピングにより繊維体に樹脂を含浸せしめる場合には、図16に図示したように、フィラメント27を集束してなる繊維束28の外周位置にしかCNT26が存せずに、却ってこのCNT26が繊維束28の外周部にのみ密集して繊維束同士の結合強度を損なっていたのに対し、本実施の形態においては、図2に図示したように、繊維束8の外周位置だけでなく繊維束8の内部、即ちフィラメント7間にもCNT6が略均一に散在することで、該CNT6の適宜な存在により前記フィラメント7同士が強固に接合し、曲げ強度および引っ張り強度の向上に寄与することが確認されている。
なお、複数本の可動ロール4bを変位させるカム16を、搬送方向に順次位相を90度ずつずらせるように配設して、一群の可動ローラ4bが上昇する際、他の一群の可動ローラ4bを下降させるように構成し、これにより、繊維体1にしごき力のみが加わるように構成し、張力の変位を小さくするようにしてもよい(この場合にも、繊維体1に、搬送ロール4との間の摩擦力による張力は作用する)。このように構成することによって、もろい繊維体1の場合には、繊維体1を損傷することなく、CNTおよび樹脂の含浸が行える。
また、上記では、カム16により可動ロール4bを上下動させたが、シリンダ機構等のアクチュエータにより上下駆動させてもよい。
また、上記実施の形態においては、張力付与機構2は、上述のように搬送ロール4の可動ロール4bを所定周期で上下動せしめる構成となっている。その際、繊維体1を送出する給糸ロール5の回転を制御するものとはなっていない。図3(a)はその際の給糸ロール5の作動状態を示し、図3(b)は、可動ロール4bの上下動による繊維体1に作用するパルス的張力のイメージを示す。
あるいは張力付与機構2は、給糸ロール5の駆動部(図示せず)を制御部により断続的にオンオフ制御して、給糸ロール5の回転を図4に図示したような所定周期で断続的に停止することで、繊維体1の搬送方向にパルス的に張力を付与するように構成することもできる。この場合、可動ロール4bの上下動は行わないようにしてもよいし、あるいは、給糸ロール5のオンオフによるパルス的張力、および可動ロール4bの上下動によるパルス的張力の両方を作用させるようにしてもよい。後者の場合、両パルス的張力の山と山、谷と谷が重ならないように、制御部により制御するとよい。
本発明における張力付与機構は、繊維体1の搬送速度を可変することで該繊維体1の搬送方向にパルス的に張力を付与する構成であればどのような構成を採用しても良い。
上述のような搬送機構により搬送され、貯留槽3を通過した繊維体1は、図示しないホットプレートにより加熱される加熱工程を経て、エポキシ樹脂が硬化せしめられたプリプレグとして巻き取りロール15により巻き取られる。
貯留槽3には、CNTが混入された合成樹脂が貯留されるが、CNTへの樹脂への分散性を良好にするため、あるいは維持するため、貯留槽3に超音波振動装置等の振動装置(図示せず)を配設し、樹脂に振動を印加するようにすると好適である。また、貯留槽3に貯留されている樹脂を循環ポンプ(図示せず)によって循環させ、図示しないノズルから各搬送ロール4の手前側の繊維体1に向けて噴出させるように構成すれば、CNTの分散性の維持と、繊維体1への樹脂およびCNTの含浸を促進させることができ、さらに好適である。
また、上記では、繊維体1として一方向に引き揃えられた炭素繊維束から成るものを採用しているが、前記炭素繊維束から成る経糸と緯糸とを織成して成る織物を繊維体1として採用しても良い。また、アラミド繊維等、他の素材から成る繊維束8で繊維体1を形成しても良い。
本実施例は上述のように構成したから、連続的に搬送される繊維体1の搬送方向にパルス的に張力を付与すると、この繊維体1は張設状態と緩設状態とを繰り返し、この張設状態から緩設状態となった際、繊維束8間並びにフィラメント7間に隙間が生じ、この隙間からCNTを混入した樹脂が入り込むため、従来はCNTを混入した合成樹脂が到達できなかったフィラメント7同士の間にもCNT6を混入した樹脂を到達させることができ、これによりCNT6がフィラメント一本一本の間に散在せしめられ、フィラメント7同士の結び付きを強めるためのツナギとしての作用を発揮する。
従って、本実施の形態によれば、CNT6が繊維束8間並びに繊維束8を構成するフィラメント7間に均一に散在せしめられて従来より強度が向上したプリプレグを簡単に得ることができる。
樹脂については液状エポキシ樹脂エピコート827(株式会社ジャパンエポキシレジン製)を用い、該樹脂にカップスタック型カーボンナノチューブ(商品名カルベール:株式会社GSIクレオス製)を樹脂に対して10〜20wt%良好に分散させたものを用いた。
強化繊維については、炭素繊維T700(東レ株式会社製)の一方向材を用いた。炭素繊維の目付けは、180g/m2、樹脂と炭素繊維の比率は重量比で38:62とした。
上記の樹脂材料をあらかじめ溶剤を用いて適正な粘度に調整した後、貯留槽3に貯留した。
上記の炭素繊維体1を搬送し、貯留槽3内を通過させ、可動ロール4bを上下動させて、炭素繊維体1にパルス状の張力変動としごき力を作用させ、炭素繊維体1に樹脂の含浸を促進させた。その後、乾燥工程、半硬化工程を経てプリプレグを作製した。
図5は、上記のようにして作製したプリプレグ(実施例プリプレグ)の電子顕微鏡断面写真である。CNTが炭素繊維(フィラメント)間に均一に散在しているのがわかる。なお、図6は、上記プリプレグ製造装置20を用いない、通常のディッピング法によって作製したプリプレグの電子顕微鏡断面写真である。CNTが炭素繊維束の外層側に堆積し、炭素繊維間に侵入していない。
図7は、実施例プリプレグの曲げ強度試験の結果を示すグラフである。なお、AR10というのは、CNT(カルベール)のグレードを示す。CNTを含浸させたものはCNTを含浸させないものに比し、いずれも曲げ強度が向上している。図8は、従来のホットメルト法により作製したプリプレグの曲げ強度試験結果を示すグラフであるが、CNTを入れた方が却って強度が低下している。CNTが炭素繊維間に均一に侵入していないから却って曲げ強度が低下しているのである。
図9は、実施例プリプレグの曲げ強度試験片の破断部の電子顕微鏡写真、図10はその拡大写真である。CNTが炭素繊維間に存在し、これがツナギとなって炭素繊維間の樹脂の脱落を防止しており、プリプレグの曲げ強度を大きくしている。
図11は、CNTを含有しない樹脂を単に炭素繊維に含浸させた2層プリプレグの曲げ強度試験の破断部の電子顕微鏡写真であるが、炭素繊維間の樹脂がほとんど脱落しており、曲げ強度が低いものとなっている。
図12は、実施例プリプレグの圧縮強度試験結果を示すグラフである。CNT入りの実施例プリプレグは、CNTを含浸していない2層プリプレグに比して20%以上も圧縮強度が増大している。これは非常に重要な結果である。すなわち、炭素繊維は一般に引っ張りに対しては大きな強度を有するが、圧縮に対してはその繊維構造故に、強度が低い。従来の樹脂を含浸した2層構造のプリプレグも圧縮に対しては同様の傾向を示した。これに対して、本実施例プリプレグは、炭素繊維間に樹脂と共にCNTが均一に散在することから、圧縮に対しても高い抵抗力を示し、高い圧縮強度が得られるのである。したがって、その用途が飛躍的に増大することが期待される。
図13は、実施例プリプレグの層間せん断強度試験結果を示すグラフである。実施例プリプレグは、CNTが含浸されていない2層プリプレグに対してせん断強度も増大している。図14は実施例プリプレグの層間せん断試験片の電子顕微鏡写真、図15はその拡大図である。やはり炭素繊維間にCNTが散在し、樹脂のツナギとして作用し、樹脂の脱落を防止する結果、せん断強度も増大している。
プリプレグ製造装置の構成概略説明図である。 本実施形態における繊維束の概略説明断面図である。 給糸ロールを定速に、可動ロールを上下動させる張力付与機構による張力制御の概略説明図である。 給糸ロールをオンオフさせる張力付与機構による張力制御の概略説明図である。 実施例プリプレグの電子顕微鏡断面写真である。 通常のディッピングによって作製したプリプレグの電子顕微鏡断面写真である。 実施例プリプレグの曲げ強度試験の結果を示すグラフである。 従来のホットメルト法により作製したプリプレグの曲げ強度試験結果を示すグラフである。 実施例プリプレグの曲げ強度試験片の破断部の電子顕微鏡写真である。 図9の拡大写真である。 CNTを含有しない樹脂を炭素繊維に含浸させた2層プリプレグの曲げ強度試験の破断部の電子顕微鏡写真である。 実施例プリプレグの圧縮強度試験結果を示すグラフである。 実施例プリプレグの層間せん断強度試験結果を示すグラフである。 実施例プリプレグの層間せん断試験片の電子顕微鏡写真である。 図14の拡大写真である。 従来の繊維束の概略説明断面図である。
符号の説明
1 繊維体
2 張力付与機構
3 貯留槽
4 搬送ロール
4a 固定ロール
4b 可動ロール
5 給糸ロール
6 CNT
7 フィラメント
8 繊維束
20 プリプレグ製造装置

Claims (8)

  1. フィラメントが集束して成る繊維束を一方向に引き揃えて成る繊維体もしくは前記繊維束から成る経糸及び緯糸で織成される繊維体に合成樹脂を含浸させてプリプレグを製造するプリプレグの製造方法において、
    前記繊維体を張力調整用の段差ロールを経由して連続的に搬送し、繊維体に所要以上の張力が加わった際には段差ロールによって吸収し、これにより、繊維体に過度の張力が加わらないようにして、繊維体をカーボンナノチューブ(CNT)が混入された合成樹脂が貯留された貯留槽を、複数の固定ローラと上下方向に変位可能な複数の可動ローラとに接触させつつ通過させ、前記可動ローラを上下方向に複数回変位させることで、該可動ローラにより繊維体を長さ方向にしごき、もって繊維体にCNTが混入した合成樹脂を含浸せしめることを特徴とするプリプレグの製造方法。
  2. 前記繊維体を給糸ロールによって送り出すとともに、巻取りロールによって巻き取ることによって搬送し、前記給糸ロールを断続的に停止することを特徴とする請求項1記載のプリプレグの製造方法。
  3. 前記可動ローラのうち一群の可動ローラが上昇する際、他の一群の可動ローラを下降させるようにし、これにより繊維体にしごき力のみが加わるようにすることを特徴とする請求項1記載のプリプレグの製造方法。
  4. 前記貯留槽に貯留されている樹脂を循環ポンプによって循環させ、ノズルから繊維体に向けて噴出させることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のプリプレグの製造方法。
  5. 前記カーボンナノチューブにカップスタック型カーボンナノチューブを用いることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のプリプレグの製造方法。
  6. フィラメントが集束して成る繊維束を一方向に引き揃えて成る繊維体もしくは前記繊維束から成る経糸および緯糸で織成される繊維体に合成樹脂を含浸させてプリプレグを製造するプリプレグの製造装置において、
    繊維体を連続的に搬送する、繊維体の給糸ロール、繊維体の巻取りロール、および繊維体の張力調整用の段差ロールを含む繊維体の搬送機構と、
    CNTが混入された合成樹脂が貯留される貯留槽と、
    該貯留槽内に配設され、前記繊維体が接触しつつ通過する複数の固定ローラおよび上下方向に変位可能な複数の可動ローラと、
    該可動ローラを上下方向に変位させる変位機構とを備え、
    前記繊維体を張力調整用の段差ロールを経由して連続的に搬送し、繊維体に所要以上の張力が加わった際には段差ロールによって吸収し、これにより、繊維体に過度の張力が加わらないようにして、繊維体をCNTが混入された合成樹脂が貯留された貯留槽を、複数の固定ローラと上下方向に変位可能な複数の可動ローラとに接触させつつ通過させ、前記可動ローラを上下方向に複数回変位させることで、該可動ローラにより繊維体を長さ方向にしごき、もって繊維体にCNTが混入した合成樹脂を含浸せしめることを特徴とするプリプレグの製造装置。
  7. 前記給糸ロールの駆動部を断続的にオンオフして、給糸ロールを断続的に停止させる制御部を備えることを特徴とする請求項6記載のプリプレグの製造装置。
  8. 前記変位機構は、前記可動ローラのうち一群の可動ローラが上昇する際、他の一群の可動ローラを下降させるようにすることを特徴とする請求項6または7記載のプリプレグの製造装置。
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