JP4272764B2 - 数値制御データ作成装置、数値制御加工システム、数値制御データ作成方法及び記憶媒体 - Google Patents

数値制御データ作成装置、数値制御加工システム、数値制御データ作成方法及び記憶媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、NC(数値制御)工作機械に与えるNCデータを作成する数値制御データ作成装置、数値制御加工システム、数値制御データ作成方法及び記憶媒体に係り、特に、使用工具を決定する場合に好適な数値制御データ作成装置、数値制御加工システム、数値制御データ作成方法及び記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、NC工作機械に与えるNCデータを作成するNCデータ作成装置、該NCデータ作成装置で実行するNCデータ作成方法、該NCデータ作成方法を記憶したNCデータ記憶媒体における使用工具の決定では、着目工具より後加工となる工具の情報は使用せずに、着目工具に関する情報だけを元に判定している。
【0003】
本出願人は、上記のような使用工具の自動選択を可能としたNCデータ作成装置に関し、特開平6−210544号公報記載の技術を提案している。同公報記載の技術は、複数の利用可能な工具について当該工具の形状、加工条件を記憶する工具記憶手段と、加工目標形状を記憶する形状記憶手段と、加工箇所を指定する指定手段と、前記指定手段により指定された加工箇所の加工目標形状を前記形状記憶手段から読出して、加工時の形状を決定する加工時形状決定手段と、前記工具記憶手段に記憶された工具の形状、加工条件の中から前記加工時形状決定手段により決定された加工時の形状に最適な形状、加工条件の工具を選択する選択手段とを設けたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術においては下記のような問題があった。即ち、上述したように、NC工作機械に与えるNCデータを作成するNCデータ作成装置、該NCデータ作成装置で実行するNCデータ作成方法、該NCデータ作成方法を記憶したNCデータ記憶媒体における使用工具の決定で、着目工具より後加工となる工具の情報は使用せずに、着目工具に関する情報だけを元に判定していると、着目工具の効率が悪い場合であっても、着目工具を使用工具とすることがある。
【0005】
本発明は、上述した点に鑑みなされたものであり、NC工作機械に与えるNCデータを作成するNCデータ作成装置、該NCデータ作成装置で実行するNCデータ作成方法、該NCデータ作成方法を記憶したNCデータ記憶媒体における使用工具の決定で、着目工具より後加工となる工具でも加工可能な場合、着目工具を使用工具としない判定を可能とした数値制御データ作成装置、数値制御加工システム、数値制御データ作成方法及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、加工対象領域を複数の工具を用いて加工するための数値制御データを作成する数値制御データ作成装置であって、使用工具を決定する際、着目工具より後加工となる工具が前記加工対象領域に届くか否かの情報に基づき前記着目工具の有効性を判定する判定手段を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、数値制御データを作成する数値制御データ作成装置、前記数値制御データ作成の基礎となる被加工物の図形データを作成するコンピュータ支援設計装置及びコンピュータ支援製造装置、前記数値制御データに基づき加工対象領域を複数の工具を用いて加工を行う数値制御工作機械を有する数値制御加工システムであって、前記数値制御データ作成装置は、使用工具を決定する際、着目工具より後加工となる工具が前記加工対象領域に届くか否かの情報に基づき前記着目工具の有効性を判定する判定手段を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、加工対象領域を複数の工具を用いて加工するための数値制御データを作成する数値制御データ作成装置に適用される数値制御データ作成方法であって、使用工具を決定する際、着目工具より後加工となる工具が前記加工対象領域に届くか否かの情報に基づき前記着目工具の有効性を判定する判定ステップを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、数値制御データを作成する数値制御データ作成装置、前記数値制御データに基づき加工対象領域を複数の工具を用いて加工を行う数値制御加工システムに適用される数値制御データ作成方法を実行するプログラムを記憶したコンピュータにより読み出し可能な記憶媒体であって、前記数値制御データ作成方法は、使用工具を決定する際、着目工具より後加工となる工具が前記加工対象領域に届くか否かの情報に基づき前記着目工具の有効性を判定する判定ステップを有することを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
始めに本発明を適用したNCデータ作成装置の構成例を図1を参照し説明する。図1は本発明の実施の形態に係るNCデータ作成装置の構成を示すブロック図である。NCデータ作成装置10は、CPU1、入力部2、表示部3、出力部4、バス5、ROM6、RAM7、記憶装置8、通信インターフェイス9A、通信インターフェイス9Bを備えている。図中11はNC工作機械、12はCAD/CAMエンジニアリングワークステーション(EWS)である。
【0031】
上記構成を詳述すると、NCデータ作成装置10には、通信手段である通信インターフェイス9A、通信インターフェイス9Bを介してNC工作機械11やCAD/CAMエンジニアリングワークステーション(EWS)12が接続されており、データ通信が相互に可能である。NCデータ作成装置10において、CPU1は、NCデータ生成の基礎となるCADで作成された被加工物の図形データ(本実施形態では予めCAD/CAMEWS12で作成されたCADデータ)より工具軌跡や後述の加工形状の演算及び工具の選択などのNCデータの生成処理を行う。また、CPU1は、バス5を介して入力部2〜通信インターフェイス9Bを制御し、ROM6に格納されたプログラムに基づき後述の図2及び図3のフローチャートに示す処理を実行する。
【0032】
入力部2は、データやパラメータなどの入力を行うものであり、キーボードやマウスなどから構成されている。表示部3は、データやパラメータなどの表示を行うものであり、例えばCRTディスプレイなどから構成されている。出力部4は、各種データを用紙上に印刷出力するものであり、プリンタなどから構成されている。ROM6は、後述の加工形状の演算処理や工具の選択処理及び工具軌跡の算出などを行うプログラムや固定パラメータ、使用可能工具(図5)などを記憶している。RAM7は、可変パラメータや変数の一時記憶及びワーキングエリアなどとして使用される。
【0033】
記憶装置8は、予め作成された被加工物のCADデータなどを記憶するものであり、ハードディスクドライブやフロッピーディスクドライブなどから構成されている。通信インターフェイス9Aは、NCデータ作成装置10とNC工作機械11との間のデータ通信を行う。通信インターフェイス9Bは、NCデータ作成装置10とCAD/CAMEWS12との間のデータ通信を行う。上記CPU1〜通信インターフェイス9Bは、内部通信用のバス5を介して通信可能に接続されている。
【0034】
NC工作機械11は、NCデータ作成装置10で作成され通信インターフェイス9Aを介して供給されたNCデータに基づき加工を行う。CAD/CAMEWS12は、NCデータ生成の基礎となる被加工物の図形データを予め作成し、NCデータ作成装置10へ通信インターフェイス9Bを介して供給する。
【0035】
図8は本発明のプログラム及び関連データが記憶媒体から装置に供給される概念例を示す説明図である。本発明のプログラム及び関連データは、フロッピディスクやCD−ROM等の記憶媒体81を装置82に装備された記憶媒体ドライブ挿入口83に挿入することで供給される。その後、本発明のプログラム及び関連データを記憶媒体81から一旦ハードディスクにインストールしハードディスクからRAMにロードするか、或いは、ハードディスクにインストールせずに直接RAMにロードすることで、本発明のプログラム及び関連データを実行することが可能となる。
【0036】
この場合、本発明の実施の形態に係るNCデータ作成装置において本発明のプログラムを実行する場合は、例えば上記図8に示したような手順でNCデータ作成装置に本発明のプログラム及び関連データを供給するか、或いはNCデータ作成装置に予め本発明のプログラム及び関連データを格納しておくことで、プログラム実行が可能となる。
【0037】
図7は本発明のプログラム及び関連データを記憶した記憶媒体の記憶内容の構成例を示す説明図である。本発明の記憶媒体は、例えばボリューム情報71、ディレクトリ情報72、プログラム実行ファイル73、プログラム関連データファイル74等の記憶内容で構成される。本発明のプログラムは、後述する図2〜図3のフローチャートに基づいてプログラムコード化されたものである。
【0038】
尚、本発明の特許請求の範囲における各構成要件と、本発明の実施の形態における各部との対応関係は下記の通りである。判定手段はCPU1に対応し、図形データ記憶手段は記憶装置8に対応し、工具情報記憶手段はROM6に対応し、通信手段は通信インターフェイス9A、9Bに対応する。
【0039】
次に、上記の如く構成された本発明の実施の形態に係るNCデータ作成装置による動作の流れ並びに動作の具体例を上記図1及び図2〜図6に基づいて詳細に説明する。
【0040】
先ず、上記構成を備える本発明の実施の形態に係るNCデータ作成装置による動作の流れを図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3は本発明の実施の形態に係る使用工具を決定する処理のフローチャートである。
【0041】
先ずステップS21で、NCデータ作成装置のCPU1はCADで作成され記憶装置8に記憶されている被加工物の図形データから、着目する加工対象領域を抽出する。次にステップS22で、CPU1は予め登録されている使用可能工具の中から、最大径の工具に着目する(本実施形態では、大径から小径の順に工具を使用する加工を前提としているため、始めに最大径の工具を着目工具としている)。次にステップS23で、CPU1は着目工具によって加工可能な領域を求める。次にステップS24で、CPU1は着目工具の断面積に対する加工可能領域の面積の比率が、予め工具毎に登録されている最小加工量1(着目工具が最低限加工すべき着目工具の断面積に対する加工可能領域の面積の比率)を満たせばステップS28に進み、満たさなければステップS25に進む。
【0042】
次にステップS25で、CPU1は加工対象領域の面積に対する加工可能領域の面積の比率が、予め工具毎に登録されている最小加工率(着目工具が最低限加工すべき加工対象領域の面積に対する加工可能領域の面積の比率)を満たせばステップS26に進み、満たさなければステップS211に進む。次にステップS26で、CPU1は予め登録されている使用可能工具の中に、着目工具より小径の工具(本実施形態では、着目工具より後加工となる工具)で加工対象領域に刃長が届く工具があればステップS27に進み、なければステップS28に進む。
【0043】
次にステップS27で、CPU1は着目工具の断面積に対する加工可能領域の面積の比率が、予め工具毎に登録されている最小加工量2(最小加工率を満たし、且つ着目工具より小径の工具で加工対象領域に刃長が届く工具がある場合に、着目工具が最低限加工すべき加工対象領域の面積に対する加工可能領域の面積の比率)を満たせばステップS28に進み、満たさなければステップS211に進む。次にステップS28で、CPU1は着目加工対象領域の加工に着目工具を使用することを決定する。次にステップS29で、CPU1は加工対象領域から加工可能領域を差し引く。次にステップS210で、CPU1はまだ加工対象領域が残っていればステップS211に進み、残っていなければステップS213に進む。
【0044】
次にステップS211で、CPU1は予め登録されている使用可能工具の中に、まだ着目していない工具があればステップS212に進み、なければステップS213に進む。次にステップS212で、CPU1は予め登録されている使用可能工具の中から、現在の着目工具より1ランク小径の工具(本実施形態では、現在の着目工具より後加工となる工具)に着目し、ステップS23に戻る。次にステップS213で、CPU1はCADで作成されている被加工物の図形データに、まだ着目していない加工対象領域があればステップS21に戻り、なければ処理を終了する。
【0045】
次に、上記構成を備える本発明の実施の形態に係るNCデータ作成装置による動作の具体例を図4〜図6を参照して説明する。図4は本発明の実施の形態に係る被加工物の図形データと加工対象領域を示す説明図、図5は本発明の実施の形態に係る使用可能工具を示す説明図、図6は本発明の実施の形態に係る加工対象領域を示す説明図である。
【0046】
先ず、CADで作成されている被加工物の図形データ(図4)から、着目する加工対象領域311を抽出する。次に、予め登録されている使用可能工具(図5)の中から、最大径のφ10工具に着目する(本実施形態では、大径から小径の順に工具を使用する加工を前提としているため、始めに最大径のφ10工具を着目工具としている)。次に、φ10工具によって加工可能な領域511(図6)を求める。次に、φ10工具の断面積78.540[mm2]に対する加工可能領域511の面積894.635[mm2]の比率11.391が、予め登録されているφ10工具の最小加工量1:6.000を満たす。従って、加工対象領域311の加工にφ10工具を使用することを決定する。
【0047】
次に、加工対象領域311から加工可能領域511を差し引き、新たな加工対象領域312を求める。次に、予め登録されている使用可能工具(図5)の中に、まだ着目していないφ6・φ3工具があるので、φ10より1ランク小径のφ6工具(本実施形態では、φ10工具より後加工となる工具)に着目する。次に、φ6工具によって加工可能な領域312を求める。次に、φ6工具の断面積28.274[mm2]に対する加工可能領域312の面積3.434[mm2]の比率0.121が、予め登録されているφ6工具の最小加工量1:5.500を満たさない。且つ、加工対象領域312の面積5.365[mm2]に対する加工可能領域312の面積3.434[mm2]の比率0.640が、予め登録されているφ6工具の最小加工率0.925を満たさない。従って、加工対象領域312の加工にφ6工具は使用しない。
【0048】
次に、予め登録されている使用可能工具(図5)の中に、まだ着目していないφ3工具があるので、φ6工具より1ランク小径のφ3工具に着目する。次に、φ3工具によって加工可能な領域313を求める。次に、φ3工具の断面積7.069[mm2]に対する加工可能領域313の面積4.882[mm2]の比率1.448が、予め登録されているφ3工具の最小加工量1:5.000を満たさない。且つ、加工対象領域312の面積5.365[mm2]に対する加工可能領域313の面積4.882[mm2]の比率0.910が、予め登録されているφ3工具の最小加工率0.950を満たさない。従って、加工対象領域312の加工にφ3工具は使用しないことを決定する。
【0049】
次に、予め登録されている使用可能工具(図5)の中に、まだ着目していない工具はない。且つ、CADで作成されている被加工物の図形データ(図4)に、まだ着目していない加工対象領域32、33、34があるので、それぞれ使用工具を決定する。
【0050】
次に、CADで作成されている被加工物の図形データ(図4)から、着目する加工対象領域32を抽出する。次に、予め登録されている使用可能工具(図5)の中から、最大径のφ10工具に着目する。次に、φ10工具によって加工可能な領域52(加工対象領域32と同じ)を求める。次に、φ10工具の断面積78.540[mm2]に対する加工可能領域52の面積400.000[mm2]の比率5.093が、予め登録されているφ10工具の最小加工量1:6.000を満たさない。且つ、加工対象領域32の面積400.000[mm2]に対する加工可能領域52の面積400.000[mm2]の比率1.000が、予め登録されているφ10工具の最小加工率0.900を満たす。且つ、予め登録されている使用可能工具(図5)の中に、φ10工具より小径のφ6・φ3工具で最上面からの深さが10[mm]の加工対象領域32に刃長が届くφ6・φ3工具がある。且つ、φ10工具の断面積78.540[mm2]に対する加工可能領域52の面積400.000[mm2]の比率5.093が、予め登録されているφ10工具の最小加工量2:5.000を満たす。従って、加工対象領域32の加工にφ10工具は使用することを決定する。
【0051】
次に、加工対象領域32から加工可能領域52を差し引くと加工対象領域がなくなる。且つ、CADで作成されている被加工物の図形データ(図4)に、まだ着目していない加工対象領域33、34があるので、それぞれ使用工具を決定する。
【0052】
次に、CADで作成されている被加工物の図形データ(図4)から、着目する加工対象領域33を抽出する。次に、予め登録されている使用可能工具(図5)の中から、最大径のφ10工具に着目する。次に、φ10工具によって加工可能な領域53(加工対象領域33と同じ)を求める。次に、φ10工具の断面積78.540[mm2]に対する加工可能領域53の面積200.000[mm2]の比率2.546が、予め登録されているφ10工具の最小加工量1:6.000を満たさない。且つ、加工対象領域33の面積200.000[mm2]に対する加工可能領域53の面積200.000[mm2]の比率1.000が、予め登録されているφ10工具の最小加工率0.900を満たす。且つ、予め登録されている使用可能工具(図5)の中に、φ10工具より小径のφ6・φ3工具で最上面からの深さが20[mm]の加工対象領域33に刃長が届くφ6・φ3工具がある。且つ、φ10工具の断面積78.540[mm2]に対する加工可能領域53の面積200.000[mm2]の比率2.546が、予め登録されているφ10工具の最小加工量2:5.500を満たさない。従って、加工対象領域33の加工にφ10工具は使用しない。
【0053】
次に、予め登録されている使用可能工具(図5)の中に、まだ着目していないφ6・φ3工具があるので、φ10工具より1ランク小径のφ6工具に着目する。次に、φ6工具によって加工可能な領域53(φ10工具の加工可能領域と同じ)を求める。次に、φ6工具の断面積28.274[mm2]に対する加工可能領域53の面積400.000[mm2]の比率14.147が、予め登録されているφ6工具の最小加工量1:5.000を満たす。従って、加工対象領域33の加工にφ6工具を使用することを決定する。
【0054】
次に、加工対象領域33から加工可能領域53を差し引くと、加工対象領域がなくなる。且つ、CADで作成されている被加工物の図形データ(図4)に、まだ着目していない加工対象領域34があるので、それぞれ使用工具を決定する。
【0055】
次に、CADで作成されている被加工物の図形データ(図4)から、着目する加工対象領域34を抽出する。次に、予め登録されている使用可能工具(図5)の中から、最大径のφ10工具に着目する。次に、φ10工具によって加工可能な領域54(加工対象領域34と同じ)を求める。次に、φ10工具の断面積78.540[mm2]に対する加工可能領域54の面積400.000[mm2]の比率5.093が、予め登録されているφ10工具の最小加工量1:6.000を満たさない。且つ、加工対象領域34の面積400.000[mm2]に対する加工可能領域54の面積400.000[mm2]の比率1.000が、予め登録されているφ10工具の最小加工率0.900を満たす。且つ、予め登録されている使用可能工具(図5)の中に、φ10工具より小径のφ6・φ3工具で最上面からの深さが30[mm]の加工対象領域34に刃長が届く工具がない。従って、加工対象領域34の加工にφ10工具を使用することを決定する。
【0056】
次に、加工対象領域34から加工可能領域54を差し引くと、加工対象領域がなくなる。且つ、CADで作成されている被加工物の図形データ(図4)に、まだ着目していない加工対象領域がないので、処理を終了する。
【0057】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係るNCデータ作成装置によれば、CADで作成された被加工物の図形データを記憶した記憶装置8と、使用可能工具等のデータを記憶したROM6と、使用工具を決定する際、着目工具より後加工となる工具の情報に基づき着目工具の有効性を判定する制御、使用工具を決定する際、着目工具より後加工となる工具の情報に基づき着目工具の有効性を判定し、着目工具を使用した場合の加工量に応じて着目工具の有効性を判定する制御、使用工具を決定する際、着目工具を使用した場合の加工量に応じて着目工具の有効性を判定し、着目工具を使用した場合の加工率に応じて着目工具の有効性を判定する制御、使用工具を決定する際、着目工具を使用した場合の加工率に応じて着目工具の有効性を判定し、着目工具より後加工となる工具の情報に基づき着目工具の有効性を判定し、着目工具を使用した場合の加工量に応じて着目工具の有効性を判定する制御を実行するCPU1とを有するため、下記のような作用及び効果を奏する。
【0058】
上記構成において、NCデータを作成するNCデータ作成装置において使用工具を決定する際、NCデータ作成装置のCPU1は、着目工具より後加工となる工具の情報を使用して着目工具の有効性を判定する。これにより、着目工具より後加工となる工具でも加工可能な場合、着目工具を使用工具としない判定ができる。
【0059】
また、使用工具を決定する際、NCデータ作成装置のCPU1は、着目工具より後加工となる工具の情報を使用して着目工具の有効性を判定し、着目工具を使用した場合の加工量に応じて着目工具の有効性を判定する。これにより、着目工具より後加工となる工具でも加工可能で、且つ着目工具による加工量が少ない場合、着目工具を使用工具としない判定ができる。
【0060】
また、使用工具を決定する際、NCデータ作成装置のCPU1は、着目工具を使用した場合の加工量に応じて着目工具の有効性を判定し、着目工具を使用した場合の加工率に応じて着目工具の有効性を判定する。これにより、着目工具による加工量は少なく、且つ着目工具による加工率が低い場合、着目工具を使用工具としない判定ができる。
【0061】
また、使用工具を決定する際、NCデータ作成装置のCPU1は、着目工具を使用した場合の加工率に応じて着目工具の有効性を判定し、着目工具より後加工となる工具の情報を使用して着目工具の有効性を判定し、着目工具を使用した場合の加工量に応じて着目工具の有効性を判定する。これにより、着目工具による加工率は高いが、着目工具より後加工となる工具でも加工可能で、且つ着目工具による加工量が少ない場合、着目工具を使用工具としない判定ができる。
【0062】
即ち、本発明の実施の形態においては、使用工具の決定で、着目工具より後加工となる工具でも加工可能な場合、着目工具を使用工具としない判定ができるという効果がある。また、使用工具の決定で、着目工具より後加工となる工具でも加工可能で、且つ着目工具による加工量が少ない場合、着目工具を使用工具としない判定ができるという効果がある。また、使用工具の決定で、着目工具による加工量は少なく、且つ着目工具による加工率が低い場合、着目工具を使用工具としない判定ができるという効果がある。また、使用工具の決定で、着目工具による加工率は高いが着目工具より後加工となる工具でも加工可能で、且つ着目工具による加工量が少ない場合、着目工具を使用工具としない判定ができるという効果がある。
【0063】
[他の実施の形態]
上述した本発明の実施の形態においては、NCデータ作成装置にNC工作機械及びCAD/CAMEWSを各1台ずつ接続した場合のシステム構成を例に上げて説明したが、NC工作機械及びCAD/CAMEWSの台数は任意の台数とすることも可能である。
【0064】
また、上述した本発明の実施の形態においては、NCデータ作成装置にNC工作機械及びCAD/CAMEWSを接続した場合のシステム構成を例に上げて説明したが、NCデータ作成装置をFMS(Flexible Manufacturing System)等のシステムに組み込む構成とすることも可能である。
【0065】
また、上述した本発明の実施の形態において、NCデータ作成装置によるNCデータ作成時に、表示部3に対するデータ表示、出力部4からのデータ印刷出力を行うようにすることも可能である。
【0066】
尚、本発明は、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、本実施形態のように一つの機器からなる装置に適用してもよい。また、NCデータの作成機能を備えるNC工作機械自体に適用してもよい。
【0067】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。
【0068】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0069】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0070】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、使用工具を決定する際、着目工具より後加工となる工具が加工対象領域に届くか否かの情報に基づき着目工具の有効性を判定するので、使用工具の決定で、着目工具より後加工となる工具でも加工可能な場合、着目工具を使用工具としない判定ができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るNCデータ作成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る使用工具を決定する処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る使用工具を決定する処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る被加工物の図形データと加工対象領域を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る使用可能工具を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る加工対象領域を示す説明図である。
【図7】本発明のプログラム及び関連データを記憶した記憶媒体の記憶内容の構成例を示す説明図である。
【図8】本発明のプログラム及び関連データが記憶媒体から装置に供給される概念例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 CPU
6 ROM
8 記憶装置
9A、9B 通信インターフェイス
10 NCデータ作成装置
11 NC工作機械
12 CAD/CAMEWS

Claims (16)

  1. 加工対象領域を複数の工具を用いて加工するための数値制御データを作成する数値制御データ作成装置であって、
    使用工具を決定する際、着目工具より後加工となる工具が前記加工対象領域に届くか否かの情報に基づき前記着目工具の有効性を判定する判定手段を有することを特徴とする数値制御データ作成装置。
  2. 前記判定手段は、前記加工対象領域に届く工具がない場合は、前記着目工具が有効であると判定することを特徴とする請求項1記載の数値制御データ作成装置。
  3. 前記判定手段は、前記加工対象領域に届く工具がある場合は、前記着目工具の断面積に対する前記着目工具の加工可能領域の面積の比率が予め定めておいた数値よりも大きいければ前記着目工具が有効であると判定することを特徴とする請求項1記載の数値制御データ作成装置。
  4. 更に、前記数値制御データ作成の基礎となる被加工物の図形データを記憶する図形データ記憶手段と、前記使用工具決定に用いる情報を記憶する工具情報記憶手段と、数値制御工作機械コンピュータ支援設計装置及びコンピュータ支援製造装置と相互にデータ通信を行う通信手段とを有することを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の数値制御データ作成装置。
  5. 数値制御データを作成する数値制御データ作成装置、前記数値制御データ作成の基礎となる被加工物の図形データを作成するコンピュータ支援設計装置及びコンピュータ支援製造装置、前記数値制御データに基づき加工対象領域を複数の工具を用いて加工を行う数値制御工作機械を有する数値制御加工システムであって、
    前記数値制御データ作成装置は、使用工具を決定する際、着目工具より後加工となる工具が前記加工対象領域に届くか否かの情報に基づき前記着目工具の有効性を判定する判定手段を有することを特徴とする数値制御加工システム。
  6. 前記判定手段は、前記加工対象領域に届く工具がない場合は、前記着目工具が有効であると判定することを特徴とする請求項5記載の数値制御加工システム。
  7. 前記判定手段は、前記加工対象領域に届く工具がある場合は、前記着目工具の断面積に対する前記着目工具の加工可能領域の面積の比率が予め定めておいた数値よりも大きいければ前記着目工具が有効であると判定することを特徴とする請求項5記載の数値制御加工システム。
  8. 前記数値制御データ作成装置は、更に、前記コンピュータ支援設計装置及びコンピュータ支援製造装置で作成され前記数値制御データ作成の基礎となる被加工物の図形データを記憶する図形データ記憶手段と、前記使用工具決定に用いる情報を記憶する工具情報記憶手段と、前記数値制御工作機械前記コンピュータ支援設計装置及びコンピュータ支援製造装置と相互にデータ通信を行う通信手段とを有することを特徴とする請求項乃至の何れかに記載の数値制御加工システム。
  9. 加工対象領域を複数の工具を用いて加工するための数値制御データを作成する数値制御データ作成装置に適用される数値制御データ作成方法であって、
    使用工具を決定する際、着目工具より後加工となる工具が前記加工対象領域に届くか否かの情報に基づき前記着目工具の有効性を判定する判定ステップを有することを特徴とする数値制御データ作成方法。
  10. 前記判定ステップは、前記加工対象領域に届く工具がない場合は、前記着目工具が有効であると判定することを特徴とする請求項9記載の数値制御データ作成方法。
  11. 前記判定ステップは、前記加工対象領域に届く工具がある場合は、前記着目工具の断面積に対する前記着目工具の加工可能領域の面積の比率が予め定めておいた数値よりも大きければ前記着目工具が有効であると判定することを特徴とする請求項9記載の数値制御データ作成方法。
  12. 更に、前記数値制御データ作成の基礎となる被加工物の図形データを記憶する図形データ記憶ステップと、前記使用工具決定に用いる情報を記憶する工具情報記憶ステップと、数値制御工作機械コンピュータ支援設計装置及びコンピュータ支援製造装置と相互にデータ通信を行う通信ステップとを有することを特徴とする請求項乃至11の何れかに記載の数値制御データ作成方法。
  13. 数値制御データを作成する数値制御データ作成装置、前記数値制御データに基づき加工対象領域を複数の工具を用いて加工を行う数値制御加工システムに適用される数値制御データ作成方法を実行するプログラムを記憶したコンピュータにより読み出し可能な記憶媒体であって、
    前記数値制御データ作成方法は、使用工具を決定する際、着目工具より後加工となる工具が前記加工対象領域に届くか否かの情報に基づき前記着目工具の有効性を判定する判定ステップを有することを特徴とする記憶媒体。
  14. 前記判定ステップは、前記加工対象領域に届く工具がない場合は、前記着目工具が有効であると判定することを特徴とする請求項13記載の記憶媒体。
  15. 前記判定ステップは、前記加工対象領域に届く工具がある場合は、前記着目工具の断面積に対する前記着目工具の加工可能領域の面積の比率が予め定めておいた数値よりも大きければ前記着目工具が有効であると判定することを特徴とする請求項13記載の記憶媒体。
  16. 前記数値制御データ作成方法は、更に、前記数値制御データ作成の基礎となる被加工物の図形データを記憶する図形データ記憶ステップと、前記使用工具決定に用いる情報を記憶する工具情報記憶ステップと、前記数値制御加工システムを構成する数値制御工作機械コンピュータ支援設計装置及びコンピュータ支援製造装置と相互にデータ通信を行う通信ステップとを有することを特徴とする請求項13乃至15の何れかに記載の記憶媒体。
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