JP4272538B2 - 移動物体検出装置、移動物体検出方法及び移動物体検出プログラム - Google Patents

移動物体検出装置、移動物体検出方法及び移動物体検出プログラム Download PDF

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Description

本発明は、移動物体検出装置、移動物体検出方法及び移動物体検出プログラムに関し、より詳しくは、撮像した画像の中から移動する人間の輪郭を抽出する装置、方法及びプログラムに関する。
従来、CCD等を使用したビデオカメラ(以下、単に「カメラ」という。)によって撮像された画像から、その画像上に存在する物体を検出する技術として、例えば、画像内で物体の初期の曖昧な輪郭を輪郭モデルとして設定し、その輪郭モデルを所定の規則にしたがって収縮変形することで物体の輪郭を抽出して物体を検出する技術(動的輪郭モデル:SNAKES)が知られている。なお、この輪郭抽出に基づいた物体検出技術においては、時間的に連続した画像により、動きのある物体(移動物体)のエッジを検出し、輪郭モデルをそのエッジに連結させることで、移動物体の輪郭を抽出して移動物体を検出している(例えば、特許文献1参照)。
また、移動カメラで撮像した画像から移動物体を検出する技術としては、時間的に連続する画像の輝度情報から移動カメラの動きを解析し、その動きを背景の動きであると仮定し、連続する画像の差分と背景の動きとに基づいて、移動物体の領域を検出し、輪郭として抽出する技術が存在する(例えば、非特許文献1参照)。
しかし、前記した第1の例(特許文献1)では、撮像した画像上で、複数の物体が隣接して存在する場合、その複数の物体を一つの物体として認識してしまうという問題があった。また、前記した第2の例(非特許文献1)では、移動カメラで撮像された画像全体を輪郭抽出の対象領域として処理を行うため、計算量が多くなり、リアルタイムに移動物体の輪郭を抽出するためには高速の演算装置が必要になるという問題がある。さらに、第2の例においても、第1の例と同様に、複数の物体が隣接して存在する場合、その複数の物体を一つの物体として認識してしまうという問題があった。
そこで、本件出願人は、特願2002−334970において、上記従来技術の問題点を解消するための技術を出願している。具体的には、2つのCCDカメラで撮像対象を撮像してカメラの視差から撮像対象までの距離情報を生成するとともに、ある時間間隔で撮像対象を撮像して時系列に取得される撮像画像の差分から動き情報を生成する。そして、これらの情報から動きがあった画素の累計値を距離ごとに求めて、この動きがあった画素の累計値がもっとも大きい距離を移動物体までの距離(対象距離)とし、この対象距離から奥行き方向の所定範囲内に存在する画素から対象距離画像を生成する。さらに、この対象距離画像を構成する画素の垂直方向の画素数をヒストグラムにして,そのピークから所定範囲に対象領域を設定し、この対象領域から輪郭を抽出して移動物体を検出している。すなわち、かかる技術は、図13(a)に示すように、対象画像を構成する画素の縦方向の合計数(画素数)が最大となる位置を移動物体探索領域の中心として、複数の物体から個別の物体を抽出するものである。
しかしながら、例えば、図13(b)に示すように、移動物体である人間が手を上げている場合には、当該手の位置の縦方向の画素数がもっとも大きくなる場合がある。そのため、従来の移動物体検出技術のように、対象画像を構成する画素の縦方向の累計値が最大となる位置を移動物体の探索領域の中心に定めると、当該手の位置が探索領域の中心となってしまい、探索領域が移動物体の左右どちらかにぶれて、輪郭が正しく抽出されないことがあった。
また、移動物体の探索領域は、探索領域の中心線から、実空間で人を十分に包含できる範囲(例えば、図13では左右50cmずつ)に固定されている。そのため、人が並んで立っている場合には、隣にいる人まで当該探索領域に含まれてしまい、個別の輪郭を正確に抽出できないことがあった。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、移動物体の中心と画素の累計値のピークとが異なる場合にも、移動体の中心を高い精度で検出して、接近した複数の移動物体の中から個別の移動物体の輪郭を抽出することができる移動物体抽出装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る移動物体検出装置は、同期した複数のカメラで、撮像対象を撮像した複数の撮像画像から、前記撮像対象内に存在する移動物体を検出する移動物体検出装置であって、前記複数の撮像画像の視差に基づいて、前記撮像対象までの距離を距離情報として生成する距離情報生成手段と、前記複数のカメラの中の少なくとも一つのカメラから、時系列に入力される撮像画像の差分に基づいて、前記移動物体の動きを動き情報として生成する動き情報生成手段と、前記距離情報に含まれる距離毎に、前記動き情報に含まれる動きのあった画素値を累計し、前記累計値が最大となる距離を、前記移動物体が存在する対象距離として設定する対象距離設定手段と、前記距離情報に基づいて、前記対象距離設定手段で設定された対象距離に対応する画素からなる対象距離画像を生成する対象距離画像生成手段と、前記対象距離画像内に、少なくとも前記対象距離に対応して、前記移動物体を検出する対象となる対象領域を設定する対象領域設定手段と、この対象領域設定手段で設定された対象領域から輪郭を抽出することで、前記移動物体を検出する輪郭抽出手段と、を備え、前記対象領域設定手段は、前記対象距離画像において、水平方向の座標毎に垂直方向の画素数をカウントしてヒストグラムを生成した後、前記ヒストグラムの極大点及び極小点を抽出し、当該極大点及び極小点のうちの連続する3点ごとに、両端の点の垂直方向の画素数の差と、中央の点と両端の点とをそれぞれ結んだ2つの直線の傾きの差とを計算し、前記画素数の差と前記傾きの差とが最も小さい前記3点のうちの中央の点を、最も対称性の高い点と判定し、この最も対称性が高い点に基づいて前記対象領域を設定することを特徴とする。
かかる構成によれば、移動物体検出装置は、前記対象領域設定手段によって、前記対象距離画像において、水平方向の座標毎に垂直方向の画素数をカウントしてヒストグラムを生成した後、当該ヒストグラムの対称性を判定し、最も対称性が高い点に基づいて前記対象領域を設定することから、ヒストグラムのピークが移動物体の中心と一致していなくても、ヒストグラムの対称性に基づいて移動物体の中心を検出し、対象領域を設定することができる。
とくに、移動物体が人間である場合、人間の体は正面から見て略左右対称であることから、体の中心付近のヒストグラムは左右対称となる傾向がある。したがって、移動物体である人間が手を上げたりして、ヒストグラムのピークが中心位置とずれていても、ヒストグラムの対称性が最も高い位置に基づいて対象領域を設定することにより、移動物体(人間)の中心に高い精度で対象領域を設定することができる。
なお、対象距離画像の垂直方向の画素数をカウントしてヒストグラムを生成した後に、以下に示す(1)式によって、当該ヒストグラムを平滑化するのが望ましい。
Figure 0004272538
但し、Sxは、前記ヒストグラムにおける座標xの画素数、Sx′は、平滑化後の座標xにおける画素数、x0は、正の定数、f(n)は、nの関数または定数とする。
ヒストグラムを平滑化することにより、ヒストグラムの対称性を判定し易くなり、中心位置の検出精度が向上する。また、平滑化することによって極大点及び極小点の数が少なくなり、対称性の抽出にかかる計算量を削減することができる。
また、かかる構成によれば、移動物体検出装置は、対象距離設定手段によって、距離情報に含まれる視差(距離)毎に、動き情報に含まれる動きのあった画素値を累計(ヒストグラム化)し、その累計値が最も多くなる視差(距離)に、最も動き量の多い移動物体が存在していると判定し、その視差(距離)を対象距離として設定する。このように、画素を累計するという簡単な動作で対象と距離を設定することができ、処理を高速化することができる。
また、かかる構成によれば、対象領域設定手段は、前記ヒストグラムの極大点及び極小点を抽出し、当該極大点及び極小点のうちの連続する3点ごとに、両端の点の垂直方向の画素数の差と、中央の点と両端の点とをそれぞれ結んだ2つの直線の傾きの差とを計算し、前記画素数の差と前記傾きの差とが最も小さい前記3点のうちの中央の点を、最も対称性の高い点と判定することから、前記画素数の差と前記傾きの差とをヒストグラムの対称性のパラメータとして最も対称性の高い点を判定することができる。
請求項に係る移動物体検出装置は、請求項に記載の移動物体検出装置であって、前記対象距離画像生成手段は、少なくとも前記対象距離を基準として奥行き方向の所定範囲内に存在する画素からなる対象距離画像を生成することを特徴とする。
かかる構成によれば、移動物体検出装置は、対象距離画像生成手段によって、例えば、対象距離を基準とした奥行き方向(前後方向)で、予め定めた範囲(所定範囲)内に存在する画素のみを抽出することで対象距離画像を生成する。これによって、同一方向に複数移動物体が存在していても、その中から対象距離に存在する移動物体を特定した対象距離画像を生成することができる。
請求項に係る移動物体検出装置は、請求項1又は請求項2に記載の移動物体検出装置であって、前記対象領域設定手段は、前記ヒストグラムにおいて、最も対称性が高いと判定された極大点又は極小点の水平方向の座標から所定範囲を、前記対象領域の水平方向の範囲として設定することを特徴とする。
かかる構成によれば、移動物体検出装置は、前記対象領域設定手段によって、前記ヒストグラムにおいて、最も対称性が高いと判定された極大点又は極小点の水平方向の座標から所定範囲を、前記対象領域の水平方向の範囲として設定する。これにより、対象距離画像内に設定される対象領域の水平範囲を設定することができる。
請求項に係る移動物体検出装置は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の移動物体検出装置であって、前記対象領域設定手段は、少なくとも前記カメラのチルト角及び設置面からの高さに基づいて、その対象領域の垂直方向の範囲を設定することを特徴とする。
かかる構成によれば、移動物体検出装置は、移動物体が存在する対象領域を設定する際に、対象領域設定手段によって、カメラのチルト角や、そのカメラの基準となる設置面からの高さ等のカメラパラメータに基づいて、移動物体の垂直方向の存在領域の範囲を設定する。例えば、移動物体の高さを特定の大きさ(人間であれば2m等)に定めることで、その大きさとカメラパラメータとに基づいて、移動物体が対象距離画像内のどの範囲に位置するかを特定することができる。
請求項に係る移動物体検出装置は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の移動物体検出装置であって、前記撮像画像の各画素の色情報又は濃淡情報に基づいて、その撮像画像のエッジを抽出したエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段を備え、前記対象距離画像生成手段が、前記距離情報に基づいて、前記対象距離に対応する前記エッジ画像の画素を抽出して、前記対象距離画像を生成することを特徴とする。
かかる構成によれば、移動物体検出装置は、エッジ画像生成手段によって、撮像画像の色情報又は濃淡情報から、撮像画像のエッジを抽出したエッジ画像を生成する。例えば、撮像画像の明るさ(輝度)に基づいて、その明るさが大きく変化する部分をエッジとして検出することで、エッジのみからなるエッジ画像を生成する。なお、撮像画像がカラー画像で、移動物体を人物として特定する場合は、例えば、人物の顔の色(肌色)等を色情報として検出することで、エッジを検出することも可能である。
そして、移動物体検出装置は、対象距離画像生成手段によって、エッジ画像から対象距離の範囲内に存在する対象距離画像を生成する。これによって、輪郭抽出手段が対象距離画像から輪郭を抽出する際に、エッジを検出する動作を省くことができる。
請求項に係る移動物体検出装置は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の移動物体検出装置であって、前記輪郭抽出手段で抽出された輪郭の内部領域を、前記移動物体の抽出済領域として、前記距離情報を更新する距離情報更新手段を備えたことを特徴とする。
かかる構成によれば、移動物体検出装置は、距離情報更新手段によって、輪郭抽出手段で抽出された輪郭の内部領域を、すでに移動物体の輪郭を抽出した抽出済領域とすることで、距離情報を更新する。これにより、すでに抽出された移動物体の情報が距離情報から削除されることになるので、別の移動物体を順次検出することが可能になる。
請求項に係る移動物体検出方法は、同期した複数のカメラで、撮像対象を撮像した複数の撮像画像から、前記撮像対象内に存在する移動物体を検出する移動物体検出方法であって、前記複数の撮像画像の視差に基づいて、前記撮像対象までの距離を距離情報として生成する距離情報生成ステップと、前記複数のカメラの中の少なくとも一つのカメラから、時系列に入力される撮像画像の差分に基づいて、前記移動物体の動きを動き情報として生成する動き情報生成ステップと、前記距離情報に含まれる距離毎に、前記動き情報に含まれる動きのあった画素値を累計し、前記累計値が最大となる距離を、前記移動物体が存在する対象距離として設定する対象距離設定ステップと、前記距離情報に基づいて、前記対象距離設定ステップで設定された対象距離に対応する画素からなる対象距離画像を生成する対象距離画像生成ステップと、前記対象距離画像内に、少なくとも前記対象距離に対応して、前記移動物体を検出する対象となる対象領域を設定する対象領域設定ステップと、この対象領域設定ステップで設定された対象領域から輪郭を抽出することで、前記移動物体を検出する輪郭抽出ステップと、を備え、前記対象領域設定ステップは、前記対象距離画像において、水平方向の座標毎に垂直方向の画素数をカウントしてヒストグラムを生成した後、前記ヒストグラムの極大点及び極小点を抽出し、当該極大点及び極小点のうちの連続する3点ごとに、両端の点の垂直方向の画素数の差と、中央の点と両端の点とをそれぞれ結んだ2つの直線の傾きの差とを計算し、前記画素数の差と前記傾きの差とが最も小さい前記3点のうちの中央の点を、最も対称性の高い点と判定し、この最も対称性が高い点に基づいて前記対象領域を設定することを特徴とする。
請求項に係る移動物体検出プログラムは、同期した複数のカメラで、撮像対象を撮像した複数の撮像画像から、前記撮像対象内に存在する移動物体を検出するために、コンピュータを、前記複数の撮像画像の視差に基づいて、前記撮像対象までの距離を距離情報として生成する距離情報生成手段、前記複数のカメラの中の少なくとも一つのカメラから、時系列に入力される撮像画像の差分に基づいて、前記移動物体の動きを動き情報として生成する動き情報生成手段、前記距離情報に含まれる距離毎に、前記動き情報に含まれる動きのあった画素値を累計し、前記累計値が最大となる距離を、前記移動物体が存在する対象距離として設定する対象距離設定手段、前記距離情報に基づいて、前記対象距離設定手段で設定された対象距離に対応する画素からなる対象距離画像を生成する対象距離画像生成手段、前記対象距離画像内に、少なくとも前記対象距離に対応して、前記移動物体を検出する対象となる対象領域を設定する対象領域設定手段、この対象領域設定手段で設定された対象領域から輪郭を抽出することで、前記移動物体を検出する輪郭抽出手段、として機能させる。そして、前記対象領域設定手段は、前記対象距離画像において、水平方向の座標毎に垂直方向の画素数をカウントしてヒストグラムを生成した後、前記ヒストグラムの極大点及び極小点を抽出し、当該極大点及び極小点のうちの連続する3点ごとに、両端の点の垂直方向の画素数の差と、中央の点と両端の点とをそれぞれ結んだ2つの直線の傾きの差とを計算し、前記画素数の差と前記傾きの差とが最も小さい前記3点のうちの中央の点を、最も対称性の高い点と判定し、この最も対称性が高い点に基づいて前記対象領域を設定することを特徴とする。
本発明によれば、移動物体の中心と画素の累計値のピークとが異なる場合にも、移動体の中心を高い精度で検出して、接近した複数の移動物体の中から個別の移動物体の輪郭を抽出することができる。
さらに、本発明によれば、カメラのチルト角や、床からの高さに基づいて、対象距離画像における移動物体の垂直方向の範囲を絞り込むことができるため、輪郭抽出にかかる計算量を抑え、移動物体の検出にかかる処理速度を早めることができる。
また、本発明によれば、予め撮像画像からエッジを抽出したエッジ画像を生成しておくため、個々の移動物体の領域(対象領域)に対する輪郭抽出時にエッジを検出する必要がない。このため、移動物体が撮像画像上に複数繋がって存在する場合であっても、重複した領域でエッジの抽出を行わないため、高速に移動物体を検出することが可能になる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(移動物体検出装置の構成)
図1は、本実施形態に係る移動物体検出装置の構成を示したブロック図である。図1に示すように、移動物体検出装置1は、2台のカメラ2で撮像された撮像画像から、動きを伴う物体(移動物体)を検出するものである。ここでは、移動物体検出装置1を、入力された撮像画像を解析する入力画像解析手段10と、解析された撮像画像から物体を検出する物体検出手段20とで構成した。なお、2台のカメラ2は、左右に距離Bだけ離れて配置されており、それぞれを右カメラ2a及び左カメラ2bとする。
入力画像解析手段10は、撮像対象を撮像した2台のカメラ2から同期して入力される撮像画像を解析して、距離情報を含んだ距離画像と動き情報を含んだ差分画像とエッジ情報を含んだエッジ画像とを生成するものである。ここでは、入力画像解析手段10を、距離情報生成部11と、動き情報生成部12と、エッジ画像生成部13とで構成した。
距離情報生成部(距離情報生成手段)11は、同時刻に右カメラ2aと左カメラ2bとで撮影された2枚の撮像画像の視差を、カメラ2からカメラ2で撮像した撮像対象までの距離情報(より正確には、カメラ2の焦点位置からの距離)として埋め込み、距離画像として生成するものである。
この距離情報生成部11では、右カメラ2aを基準カメラ(基準カメラ)として、この基準カメラ(右カメラ2a)で撮像された撮像画像(基準撮像画像)と、左カメラ2bで撮像された撮像画像(同時刻撮像画像)とで、特定の大きさのブロック(例えば16×16画素)でブロックマッチングを行うことで、基準撮像画像からの視差を計測する。そして、その視差の大きさ(視差量)を基準撮像画像の各画素に対応付けた距離画像を生成する。
なお、視差をZとしたとき、この視差Zに対応するカメラ2から物体までの距離D(図示せず)は、カメラ2の焦点距離をf(図示せず)、右カメラ2aと左カメラ2bとの距離をBとすると、(2)式で求めることができる。
D=B×f/Z …(2)
動き情報生成部(動き情報生成手段)12は、基準カメラ(右カメラ2a)で時系列に撮像された2枚の撮像画像の差分に基づいて、撮像画像内の移動物体の動きを動き情報として埋め込んだ、差分画像を生成するものである。
この動き情報生成部12では、右カメラ2aを基準カメラとして、この基準カメラ(右カメラ2a)で時系列(時刻t及び時刻t+1)に撮像された2枚の撮像画像の差分をとる。そして、差のあった画素には動きのあった画素として画素値“1”を与え、差のなかった画素には動きのなかった画素として画素値“0”を与えた差分画像を生成する。なお、動き情報生成部12では、さらに差分画像に対して、メディアンフィルタ等のフィルタリング処理を行うことで、ノイズを除去しておく。
なお、カメラ2を移動カメラとし、撮像された撮像画像内の背景が変化する場合は、カメラ2から撮像画像毎のパン、チルト等のカメラ移動量を入力し、例えば、時刻t+1の撮像画像をそのカメラ移動量分補正することで、時刻t及び時刻t+1において、動きのあった画素のみを検出する。
エッジ画像生成部(エッジ画像生成手段)13は、カメラ2(2a)から撮像画像(基準撮像画像)を入力し、その撮像画像からエッジを抽出したエッジ画像を生成するものである。このエッジ画像生成部13では、カメラ2(2a)から入力された撮像画像の明るさ(輝度:濃淡情報)に基づいて、その明るさが大きく変化する部分をエッジとして検出し、そのエッジのみからなるエッジ画像を生成する。例えば、ある画素の近傍領域の画素に対して重み係数を持つオペレータ(係数行例:Sovelオペレータ、Kirschオペレータ等)を画素毎に乗算することで、エッジの検出を行う。
ここで、図4を参照(適宜図1参照)して、距離情報生成部11で生成される距離画像、動き情報生成部12で生成される差分画像、及び、エッジ画像生成部13で生成されるエッジ画像の内容について説明する。図4は、距離画像Dと差分画像DIとエッジ画像EDの画像内容の一例を示したものである。ここでは、カメラ2から約1m、2m及び3m離れた位置に人物が存在しているものとする。
図4に示したように、距離画像Dは、時刻tの右撮像画像と左撮像画像との視差を画素値で表現することで生成される。この視差は、その値が大きいほど人物の位置がカメラ2に近いことを表し、値が小さいほど人物の位置がカメラ2から遠いことを表している。また、差分画像DIは、時刻tの右撮像画像と時刻t+1の右撮像画像との差分をとり、差のあった画素を画素値“1”、差のなかった画素を画素値“0”として表現することで生成される。この差のあった画素が、実際に人物が動いた領域を表している。また、エッジ画像EDは、時刻tの右撮像画像からエッジのみを抽出することによって生成される。
ここで、図5を参照して、距離画像D及び差分画像DIについてさらに詳しく説明する。図5(a)は、距離画像Dの画像内容と、その画素値(距離画像画素値DB)の一例を示したものである。図5(b)は、差分画像DIの画像内容と、その画素値(差分画像画素値DIB)の一例を示したものである。ここでは、カメラ2から約1m、2m及び3m離れた位置に人物が存在しているものとする。
距離画像Dは、図5(a)に示すように、同時刻の右カメラ画像と左カメラ画像との視差を画素値で表現したものであって、例えば、距離画像画素値DBに示したように、距離画像Dの画素位置(0,0)は視差が0であり、カメラ2からの距離が無限大(∞)であることを意味している。また、距離画像Dの画素位置(30,50)は視差が20であり、カメラ2からの距離が視差20に対応する距離、例えば2.2mであることを意味している。このように、距離画像Dは、視差を画素値として表現するため、例えば、カメラ2に近いほど明るく、遠いほど暗い画像となる。
また、差分画像DIは、図5(b)に示すように、時系列に入力される右カメラ画像の差の有無を表現したものであって、例えば、差分画像画素値DIBに示したように、差分画像DIの画素位置(0,0)は“0”「停止」で、動きがなかったことを意味している。また、差分画像DIの画素位置(30,50)は“1”「動き」で、動きがあったことを意味している。
図1に戻って、説明を続ける。
物体検出手段20は、入力画像解析手段10で解析された画像(距離画像、差分画像及びエッジ画像)に基づいて、動きのある移動物体の領域を検出し、移動物体の輪郭を抽出するものである。ここでは、物体検出手段20を、対象距離設定部21と、対象距離画像生成部22と、対象領域設定部23と、輪郭抽出部24と、距離情報更新部25とで構成した。
対象距離設定部(対象距離設定手段)21は、入力画像解析手段10の距離情報生成部11で生成された距離画像と、動き情報生成部12で生成された差分画像とに基づいて、最も動き量の多い移動物体を特定し、対象となる移動物体が存在する視差(対象距離)を設定するものである。この対象距離は、対象距離画像生成部22へ通知される。
この対象距離設定部21では、距離画像で表された視差(距離)毎に、その視差に対応する画素と同じ位置にある差分画像の画素値を累計し、その累計が最も多くなる視差(最多視差)に、最も動き量の多い移動物体が存在していると判定する。なお、対象距離設定部21は、距離情報生成部11で生成された距離画像と、動き情報生成部12で生成された差分画像とを、図示していないメモリ等の記憶手段に記憶することとする。
対象距離画像生成部(対象距離画像生成手段)22は、距離情報生成部11で生成された視差量を埋め込んだ距離画像に基づいて、対象距離設定部21で設定された対象距離に対応する画素を、エッジ画像生成部13で生成されたエッジ画像から抽出することにより、対象距離画像を生成するものである。
なお、ここでは人物を検出することと仮定して、対象距離(最多視差)±α(数十cm)分の視差の幅(奥行き)を、最も動き量の多い移動物体が存在する視差の範囲とする。このαの値は、対象距離を基準とした奥行き方向の範囲(所定範囲)であって、検出する対象となる物体の奥行き方向の大きさによって予め定めた値である。
例えば、最多視差におけるカメラ2から移動物体までの距離Dを前記(2)式で算出したとすると、その視差の範囲Zrは(2)式を変形することで、(3)式を得る。ただし、カメラ2の焦点距離をf、右カメラ2aと左カメラ2bとの距離をBとする。
B×f/(D+α)<Zr<B×f/(D−α) …(3)
この対象距離画像生成部22では、前記(3)式の範囲の視差に対応する画素を抽出した対象距離画像を生成するものとする。
なお、この対象距離画像の生成は、基準カメラ(右カメラ2a)で撮像された撮像画像(基準撮像画像)から、対象距離(視差の範囲)に対応する画素位置のみの画素を抽出することとしてもよい。
ここで、図6を参照(適宜図1参照)して、対象距離設定部21及び対象距離画像生成部22で、検出対象となる移動物体が存在する距離に対応する画像(対象距離画像)を生成する手順について説明する。図6(a)は、距離画像D及び差分画像DI(図4)に基づいて、視差(距離)と動きのある画素を累計した動き量(画素数)との関係を示したグラフである。図6(b)は、エッジ画像ED(図4)から対象距離の画像のみを抽出した対象距離画像TDEを示している。
図6(a)に示したように、距離画像D(図4)の視差(距離)と動き量(画素数)との関係をグラフ化すると、視差(距離)が1m、2.2m、3mの位置で動き量がピークとなる。そこで、対象距離設定部21は、動き量が最大となる視差(2.2m)に移動物体が存在するものとして、2.2mを対象距離に設定する。なお、移動物体を人物と仮定すると、カメラ2から2.2±αm(α=0.5)の範囲に人物が存在すると判定することができる。
そこで、対象距離画像生成部22は、図6(b)に示したように、エッジ画像生成部13で生成されたエッジ画像EDから、対象距離設定部21で設定された対象距離±αm(2.2±0.5m)に存在する画素を抽出した対象距離画像TDEを生成する。これによって、カメラ2から1m、3m離れた位置に存在している人物の画像を削除し、2.2±0.5m離れた位置に存在している人物のみを抽出した対象距離画像TDEを生成することができる。
図1に戻って、説明を続ける。
対象領域設定部(対象領域設定手段)23は、対象距離画像生成部22で生成された対象距離画像(対象距離に対応したエッジ画像)の垂直方向の画素数を累計してヒストグラムを生成した後、そのヒストグラムの対称性を判定し、最も対称性が高い点を移動物体の中心の水平位置であると特定して、その移動物体を含んだ領域(対象領域)を設定するものである。具体的には、対象領域設定部23は、ヒストグラム生成部23a、変化点抽出部23b、対称性抽出部23c、対称性判定部23d、水平範囲設定部23e、および垂直範囲設定部23fを備えて構成されている。
なお、この対象領域設定部23は、例えば、移動物体を人物と仮定して、対象領域の水平方向の範囲を人物の幅に適した大きさに設定する。また、それ以外、例えば、斜め方向に接近してくる場合は、対象領域の水平方向の範囲を狭めて設定する。これは、人物が斜め方向を向いている場合は、水平方向の範囲を人物の肩幅以下で検出すればよいからである。
また、対象領域設定部23は、縦方向の特定の大きさ(例えば2m)を対象領域の高さとする。このとき、対象領域設定部23は、カメラ2から入力されるチルト角、床(設置面)からの高さ等のカメラパラメータに基づいて、対象領域の垂直方向の存在領域(範囲)を設定する。
ここで、対象領域設定部23に備えられたヒストグラム生成部23a、変化点抽出部23b、対称性抽出部23c、対称性判定部23d、水平範囲設定部23e、および垂直範囲設定部23fについて、図7〜図10を参照して説明する。図7は、対象距離画像生成部で生成された対象距離画像における垂直方向の画素数の累計をヒストグラムで表した図であり、(a)は平滑化前、(b)は平滑化後のヒストグラムを示している。図8は、ヒストグラム上の極大点及び極小点を示した図である。図9は、対象距離画像の中で移動物体を人物として対象領域を設定した状態を示した図である。図10は、カメラパラメータに基づいて、移動物体が対象距離画像上のどの高さに位置するかを算出する手順を説明するための説明図である。
ヒストグラム生成部23aは、図7に示すように、対象距離画像生成部22で生成された対象距離画像TDEの垂直方向の画素数をカウントすることで、ヒストグラムHIを生成するものである。
なお、かかるヒストグラムHIは、平滑化するのが望ましい。具体的には、Sxを、ヒストグラムHIにおける注目している座標xの画素数とし、Sx′を、平滑化後のヒストグラムHI′の座標xの画素数とし、x0を、正の定数として、前記(1)式により平滑化を行うことができる。
Figure 0004272538
ここで、f(n)はnの関数であるが、nの係数を0にして定数としてもよい。そして、(4)式のように、f(n)=|x−n|とすれば、座標xから距離(座標)が近い座標nの画素数Snほど重く扱うことになるので、もとのヒストグラムHIの特徴を残したまま平滑化後のヒストグラムHI′を生成することができる。
Figure 0004272538
この処理により、図7(a)に示すようなヒストグラムHIは、図7(b)に示すような、平滑化されたヒストグラムHI′とすることができる。このとき、ヒストグラムHIにおいて、局所的に現れていたピークPKは、ピークPK′のように低くなる。
また、前記した(1)式または(4)式による平滑化処理において、次の(5)式を条件とするのが望ましい。
Figure 0004272538
(5)式の条件によれば、注目している座標xの右側(xが大きい側)または左側(xが小さい側)のヒストグラムHIの画素数Sxが全て0の場合に、平滑化後の画素数Sx′を0にするので、ヒストグラムHIの左右端の裾が広がらないようにすることができる。これにより、隣り合う人物のヒストグラムHIが、平滑化の処理によりつながってしまうことを防ぐことができる。
変化点抽出部23bは、前記ヒストグラムHI′から極大点及び極小点(以下、「変化点」という場合がある。)を抽出するものである。具体的には、変化点抽出部23bは、前記ヒストグラムHI′のX軸方向に、連続的に画素数Sx′を検出していき、連続的に検出される画素数Sx′をその前後の画素数と比較する。そして、画素数が増加傾向から減少傾向に、あるいは、減少傾向から増加傾向にそれぞれ変化する点を変化点P1、P2、・・・として順次抽出し、この変化点P1、P2、・・・の水平方向位置Xnと、垂直方向の画素数SXn′とをメモリ(図示省略)に記録する。なお、変化点(極大点及び極小点)を抽出する方法は、このような方法に限定されるものではなく、例えば、ヒストグラムHI′の接線を計算して当該接線の傾きが“0”となる点を抽出する方法等を用いてもよい。
対称性抽出部23cは、前記変化点抽出部23bで抽出された変化点PnのヒストグラムHI′上の座標(Xn,SXn′)に基づいて、連続する3つの変化点(以下、単に「連続する3点」と適宜省略する)毎に、ヒストグラムHI′の対称性を抽出するものである。本実施形態では、連続する3つの変化点のうちの両端の点の画素数の差DS(以下、単に「画素数の差DS」と適宜略称する。)と、この連続する3つの変化点の中央の点と両端の点とをそれぞれ結んだ直線の傾きの差DK(以下、単に「傾きの差DK」と適宜略称する。)とを、この連続する3点の対称性のパラメータ(以下、「対称性パラメータ」と適宜略称する。)として抽出する。
この画素数の差DSnは、(6)式により求めることができる。
DSn=|SXn+2′−SXn′| ・・・ (6)
また、傾きの差DKnは、(7)式により求めることができる。
DKn=|Kn+1−Kn| ・・・ (7)
但し、Kn=|(SXn+1′−SXn′)/(Xn+1−Xn)| ・・・ (7−1)
ここで、図8を参照して具体的に説明すると、対称性抽出部23cは、まず、変化点抽出部23bで抽出した変化点P1、P2、・・・の中から連続する3点としてP1、P2、P3について、画素数の差DS1と傾きの差DK1とを下式のように計算する。
DS1=|SX3′−SX1′|
1 =|(SX2′−SX1′)/(X2−X1)|
2 =|(SX3′−SX2′)/(X3−X2)|
DK1=|K2−K1
つぎに、対称性抽出部23cは、連続する3点としてP2、P3、P4について、画素数の差DS2と傾きの差DK2とを下式のように計算する。
DS2=|SX4′−SX2′|
2 =|(SX3′−SX2′)/(X3−X2)|
3 =|(SX4′−SX3′)/(X4−X3)|
DK2=|K3−K2
このようにして、対称性抽出部23cは、対称性パラメータとして、連続する3つの変化点Pn、Pn+1、Pn+2ごとに、画素数の差DSnと、傾きの差DKnとを順次抽出し、これらをメモリに記録する。
対称性判定部(対称性判定手段)23dは、前記対称性抽出部23cで求めた対称性パラメータに基づいて、最も対称性の高い点を判定するものである。例えば、対称性パラメータとして、画素数の差DSnと、傾きの差DKnとを用いる場合には,これらが最も小さくなる3点のうちの中央の変化点を、最も対称性の高い点と判定する。
なお、画素数の差DSnが最小となる3点と、傾きの差DKnが最小となる3点とが異なる場合には、以下に示す(8)式の計算結果Lnが最小となる3点のうちの中央の変化点を、最も対称性の高い変化点と判定するようにしてもよい。
n=(DSn 2+DKn 20.5 ・・・(8)
また、対称性パラメータとしてのDSn、DKnが所定値よりも大きい場合には、対称性の高い点は存在しないと判定するようにしてもよい。
水平範囲設定部23eは、図9に示すように、対称性判定部23dで最も対称性が高いと判定された変化点Pnの水平座標Xnを、移動物体の中心の水平位置であると特定して、対象距離画像TDE内に、その移動物体を含んだ領域(対象領域)を設定するものである。ここでは人物を検出することと仮定して、最も対称性が高い点を中心に、左右に特定の大きさ(例えば0.5〜0.6(m))の範囲を対象領域の水平方向の存在領域(範囲)として設定する。
また、垂直範囲設定部23fは、カメラ2から入力されるチルト角、床(設置面)からの高さ等のカメラパラメータに基づいて、対象領域の垂直方向の存在領域(範囲)を設定する。ここでは人物を検出することと仮定して、縦方向の特定の大きさ(例えば2(m))を対象領域の高さとする。
この対象領域Tの大きさについては、図10を参照(適宜図1参照)してさらに説明を行う。図10は、カメラ2が移動ロボット(図示せず)に組み込まれ、移動物体Mと同じ床からある高さ(カメラ高)Hに位置しているときに、移動物体Mが対象距離画像(a’、b’)上のどの高さに位置するかを説明するための説明図である。なお、図10(a)は、カメラ2のチルト角が0(°)の場合、図10(b)はカメラ2のチルト角がθT(≠0)の場合におけるカメラ2と移動物体Mとの対応関係を示している。
まず、図10(a)を参照して、チルト角が0(°)の場合において、移動物体Mが対象距離画像(a’)上で縦方向のどの位置に存在するかを特定する方法について説明する。
ここで、カメラ2の垂直画角をθv、カメラ2から移動物体Mまでの距離をD、対象距離画像(a’)の縦方向の解像度をY、カメラ2の床からの高さ(カメラ高)をH、移動物体Mの床からの仮想の高さを2(m)とする。このとき、カメラ2の光軸と、カメラ2から移動物体Mの仮想の上端(床から2m)までを結んだ直線との角度θHは(9)式で表すことができる。
θH=tan-1((2−H)/D) …(9)
これにより、移動物体Mの対象距離画像(a’)上での上端yTは(10)式で求めることができる。
T=Y/2−θHY/θv
=Y/2−(Y/θv)tan-1((2−H)/D) …(10)
また、カメラ2の光軸と、カメラ2から移動物体Mの下端(床)までを結んだ直線との角度θLは(11)式で表すことができる。
θL=tan-1(H/D) …(11)
これにより、移動物体Mの対象距離画像(a’)上での下端yBは(12)式で求めることができる。
B=Y/2+θLY/θv
=Y/2+(Y/θv)tan-1(H/D) …(12)
次に、図10(b)を参照して、チルト角がθT(≠0)の場合において、移動物体Mが対象距離画像(b’)上で縦方向のどの位置に存在するかを特定する方法について説明する。
ここで、カメラ2の垂直画角をθv、チルト角をθT、移動物体Mまでの距離をD、対象距離画像の縦方向の解像度をY、カメラ2の床からの高さ(カメラ高)をH、移動物体Mの床からの仮想の高さを2(m)とする。このとき、カメラ2の光軸とカメラ2から移動物体Mの仮想の上端(床から2m)までを結んだ直線との角度θHと、チルト角θTとの差分角度(θH−θT)は(13)式で表すことができる。
θH−θT=tan-1((2−H)/D) …(13)
これにより、移動物体Mの対象距離画像(b’)上での上端yTは(14)式で求めることができる。
T=Y/2−θTY/θv−(θH−θT)Y/θv
=Y/2−θTY/θv−(Y/θv)tan-1((2−H)/D) …(14)
また、カメラ2の光軸とカメラ2から移動物体Mの下端(床)までを結んだ直線との角度θLと、チルト角θTとの加算角度(θL+θT)は(15)式で表すことができる。
θL+θT=tan-1(H/D) …(15)
これにより、移動物体Mの対象距離画像(b’)上での下端yBは(16)式で求めることができる。
B=Y/2−θTY/θv+(θL+θT)Y/θv
=Y/2−θTY/θv+(Y/θv)tan-1(H/D) …(16)
このように求めた対象距離画像(a’又はb’)の上端yT及び下端yBによって、対象領域T(図9)の垂直方向の範囲が決定される。
なお、移動ロボット(図示せず)が階段等を昇降し、移動物体Mと同一の床に存在しない場合は、移動ロボット本体のエンコーダ等によって昇降量を検出し、その昇降量を移動物体Mの床からの高さに対して加算又は減算することで、移動物体Mの対象距離画像(a’又はb’)における縦方向の位置を特定することができる。あるいは、移動ロボットに地図情報を保持しておき、移動物体Mの方向及び距離で特定される床の高さを、その地図情報から取得することとしてもよい。
また、対象領域T(図9)の水平方向の範囲は、例えば、図示していないが、カメラ2の水平画角をθh、カメラ2から対象とする移動物体Mまでの距離をD、対象距離画像の横方向の解像度をXとすると、対象領域の幅の半分(移動物体の中心からの距離)を0.5(m)としたときの、対象距離画像上での水平画素数αHは、(17)式で求めることができる。
αH=(X/θh)tan-1(0.5/D) …(17)
図1に戻って、説明を続ける。
輪郭抽出部(輪郭抽出手段)24は、対象距離画像生成部22で生成された対象距離画像TDEにおいて、対象領域設定部23で設定した移動物体の領域(対象領域)内で、既知の輪郭抽出技術を用いて輪郭の抽出を行うものである。ここで抽出された輪郭(輪郭情報)は、移動物体検出装置1の出力として、外部に出力されるとともに、距離情報更新部25へ通知される。なお、この輪郭抽出部24で輪郭が抽出されることで、移動物体が検出されたことになる。
ここで、既知の技術である輪郭抽出の手順の概要を説明する。
まず、対象領域内の画素値の変化に基づいてエッジを検出する。例えば、ある画素の近傍領域の画素に対して重み係数を持つオペレータ(係数行例:Sovelオペレータ、Kirschオペレータ等)を画素毎に乗算することで、エッジの検出を行う。そして、この検出されたエッジに対して、適当な閾値によって2値化を行い、メディアンフィルタ等によって孤立点の除去を行う。このように2値化されたエッジを連結することで、対象領域内から移動物体の輪郭を抽出することができる。なお、エッジから輪郭を抽出する手法として、動的輪郭モデル(SNAKES)を適用することとしてもよい。これによって、例えば、図11に示したように、対象距離画像TDEの中で移動物体が一つ(一人)に限定された対象領域T内で輪郭Oを抽出することができる。
距離情報更新部(距離情報更新手段)25は、輪郭抽出部24で抽出された輪郭(輪郭情報)に基づいて、対象距離設定部21で記憶手段(図示せず)に記憶した距離画像を更新するものである。例えば、輪郭を含んだ内部領域に対応する距離画像の画素値を“0”にする。これによって、輪郭抽出を完了した移動物体の領域が距離画像から削除されたことになる。なお、距離情報更新部25は、この距離画像の更新が完了したことを、更新情報として、対象距離設定部21へ通知する。
例えば、図12に示したように、図11で抽出した輪郭O内(輪郭Oを含んだ内部領域)に対応する距離画像Dの内容(距離画像画素値DB)を更新する。すなわち、輪郭Oの領域内における全ての画素値、例えば輪郭O内の画素位置(30,50)等、の視差を0に変更する。このように輪郭Oの領域内の視差を0に変更することで、輪郭Oとして抽出された移動物体は、カメラ2からの距離が無限大になり、距離画像D上には存在しなくなる。
以上、本実施形態に係る移動物体検出装置1の構成について説明したが、移動物体検出装置1は、コンピュータにおいて各手段を各機能プログラムとして実現することも可能であり、各機能プログラムを結合して移動物体検出プログラムとして動作させることも可能である。
また、ここでは、移動物体検出装置1の距離情報生成部11が、2台のカメラ2で撮像した撮像画像に基づいて距離画像を生成したが、3台以上のカメラを用いて距離画像を生成することとしてもよい。例えば、3行3列に配置した9台のカメラで、中央に配置したカメラを基準カメラとして、他のカメラとの視差に基づいて距離画像を生成することで、移動物体までの距離をより正確に測定することもできる。
また、この移動物体検出装置1を、移動ロボット、自動車等の移動体に組み込んで、人物等の物体を検出するために用いることも可能である。例えば、移動ロボットに本発明を適用することで、移動ロボットが、人込みにおいても人物を認識することが可能になる。さらに、人物を個別に検出することができるので、例えば、顔認識等を行うことで、その人物を追跡したり、人物毎に異なる動作を行わせる等の輪郭抽出後の処理が容易になる。
また、本実施形態においては、手を上げている人物の輪郭を検出する場合を例として示したが、手を上げていない人物の輪郭の検出に用いることもできる。かかる場合においても、ヒストグラムの対称性に基づいて、対象距離画像から人物の輪郭を適切かつ迅速に抽出することができる。
(移動物体検出装置1の動作)
次に、図1乃至図3を参照して、移動物体検出装置1の動作について説明する。図2及び図3は、移動物体検出装置1の動作を示すフローチャートである。
<撮像画像入力ステップ>
まず、移動物体検出装置1は、同期した2台のカメラ2から時系列に撮像画像を入力する(ステップS1)。なお、ここでは、ある時刻tに右カメラ2a(基準カメラ)と左カメラ2bとから入力された撮像画像と、次の時刻t+1(例えば、1フレーム後)に右カメラ2a(基準カメラ)から入力された撮像画像とに基づいて、移動物体の輪郭を抽出するものとする。
<距離情報生成ステップ>
そして、移動物体検出装置1は、距離情報生成部11によって、時刻tに、右カメラ2a(基準カメラ)と左カメラ2bとから入力された2枚の撮像画像から、撮像対象までの視差(距離)を埋め込んだ距離画像を生成する(ステップS2)。
<動き情報生成ステップ>
さらに、移動物体検出装置1は、動き情報生成部12によって、右カメラ2a(基準カメラ)で時刻tと時刻t+1に撮像された2枚の撮像画像(基準撮像画像)の差分をとり、差(動き)のあった画素を画素値“1”、差のなかった画素を画素値“0”とした差分画像を生成する(ステップS3)。
<エッジ画像生成ステップ>
そして、移動物体検出装置1は、エッジ画像生成部13によって、右カメラ2a(基準カメラ)で時刻tに撮像された撮像画像(基準撮像画像)からエッジを抽出したエッジ画像を生成する(ステップS4)。
<対象距離設定ステップ>
また、移動物体検出装置1は、対象距離設定部21によって、ステップS2及びステップS3で生成した距離画像及び差分画像から、距離画像で表された視差(距離)毎に、動きのあった画素数を累計する(ステップS5)。例えば、距離画像から、ある視差(距離)の画素のみを抽出し、この抽出された画素と対応する差分画像の画素の画素値を累計する。そして、この動き(差分)のある画素数の累計が最大となる距離を、検出する移動物体の対象距離として設定する(ステップS6)。
<対象距離画像生成ステップ>
そして、移動物体検出装置1は、対象距離画像生成部22によって、距離画像から対象距離±αに対応する画素を抽出した対象距離画像を生成する(ステップS7)。なお、ここでは人物を検出することと仮定して、αを数十cmとする。
<ヒストグラム生成ステップ>
そして、移動物体検出装置1は、ヒストグラム生成部23aによって、ステップS7で生成した対象距離画像の垂直方向(縦方向)の画素数をカウントしてヒストグラムを生成する(ステップS8)。このとき、生成したヒストグラムを平滑化するのが望ましい。
<変化点抽出ステップ>
また、移動物体検出装置1は、変化点抽出部23bによって、ステップ8で生成したヒストグラム上の変化点(極大点及び極小点)を、抽出する(ステップS9)。例えば、ある水平方向位置(Xn)における画素数(SXn′)を、その前後の水平方向位置における画素数と比較することにより、当該位置において画素数が増加から減少に転じている場合には、当該位置を極大点として抽出し、その水平方向位置Xnと画素数SXn′とをメモリに記憶する。また、極小点についても同様の方法で抽出する。
<対称性抽出ステップ>
そして、移動物体検出装置1は、対称性抽出部23cによって、ステップ9で抽出した変化点(極大点及び極小点)Pnの座標(Xn,SXn′)に基づいて、連続する3つの変化点Pn、Pn+1、Pn+2ごとに、画素数の差DSnと、傾きの差DKnとを、対称性パラメータとして抽出する(ステップS10)。
<対称性判定ステップ>
また、移動物体検出装置1は、対称性判定部23dによって、ステップ10において抽出した対称性パラメータに基づいて、ヒストグラムHI′の中から、対称性が最も高い3点を判定する(ステップS11)。
<水平・垂直領域設定ステップ>
そして、移動物体検出装置1は、水平範囲設定部23eによって、ステップS7で生成した対象距離画像内に、最も対称性が高い3点の中央の変化点を中心に、特定量(例えば0.5〜0.6(m))の左右範囲を対象領域の水平方向の範囲として設定する(ステップS12)。
さらに、垂直範囲設定部23fでは、カメラ2から入力されるチルト角、床(設置面)からの高さ等のカメラパラメータに基づいて、対象領域の垂直(上下)方向の範囲を設定する(ステップS13)。なお、前記ヒストグラム生成ステップから前記水平・垂直領域設定ステップまでが、請求項9にいう「対象領域設定ステップ」に相当する。
例えば、カメラ2のチルト角、床からの高さに基づいて、対象距離画像における画像中の床の位置(対象領域の下端)を求める。そして、カメラ2の画角と移動物体までの距離とに基づいて、床から2mまでの範囲を、画素数に換算することにより対象領域の対象距離画像における床からの画素数を求める。これによって、対象距離画像における対象領域の上端を求めることができる。この対象領域の上端は、カメラ2のチルト角、床からの高さに基づいて、対象距離画像における画像中の2mの位置(高さ)を直接求めることとしてもよい。なお、この2mは、一例であって、他の長さ(高さ)であっても構わない。
<輪郭抽出ステップ>
また、移動物体検出装置1は、輪郭抽出部24によって、ステップS7で生成した対象距離画像において、ステップS12及びステップS13で設定した対象領域内で輪郭の抽出を行う(ステップS14)。例えば、対象領域内でエッジを検出し、そのエッジに対して動的輪郭モデル(SNAKES)を適用することによって輪郭の抽出を行う。
そして、輪郭の抽出に成功したかどうかを判定する(ステップS15)。なお、ここで輪郭抽出の成功及び失敗の判定は、ステップS14において輪郭が抽出できたかどうかの判定だけではなく、例えば、対象距離が予め定めた距離よりも遠い場合や、対象領域が予め定めた大きさよりも小さい場合、さらには、すべての物体の輪郭抽出を完了した等の理由によって、物体の輪郭抽出を行わないとする判定をも含むものとする。
このステップS14で輪郭の抽出に成功した場合(Yes)は、ステップS16へ進む。一方、輪郭の抽出に失敗した(あるいは抽出を行わない)場合(No)は、本動作を終了する。
<距離情報更新ステップ>
そして、移動物体検出装置1は、距離情報更新部25によって、ステップS14で抽出した輪郭内(輪郭を含んだ内部領域)に対応する距離画像を更新する(ステップS16)。例えば、輪郭を含んだ内部領域に対応する距離画像の画素値を“0”にする。これによって、すでに抽出を終わった移動物体の領域が距離画像から削除されることになる。そして、ステップS5へ戻って、処理を継続する。
以上の各ステップによって、本実施の形態の移動物体検出装置1によれば、カメラ2から入力された撮像画像から、その撮像画像に存在する移動物体を検出することができる。なお、ここでは、ある時刻t(t+1)において移動物体の輪郭を抽出したが、時々刻々と入力される撮像画像に基づいて、前記ステップ(ステップS1〜ステップS15)を動作させることで、例えば、移動ロボット等の移動体が、人物を検出し続けることができる。
本実施形態に係る移動物体検出装置の構成を示したブロック図である。 本実施形態に係る移動物体検出装置の動作を示すフローチャートの前半部を示す図である。 本実施形態に係る移動物体検出装置の動作を示すフローチャートの後半部を示す図である。 距離画像、エッジ画像及び差分画像の画像内容の一例を示した図である。 (a)は、距離画像の画像内容と、その画素値(距離画像画素値)の一例を示したものである。(b)は、差分画像の画像内容と、その画素値(差分画像画素値)の一例を示したものである。 (a)は、距離画像及び差分画像に基づいて、視差と動きのある画素を累計した動き量との関係を示したグラフである。(b)は、エッジ画像から対象距離の画像のみを抽出した対象距離画像を示した図である。 対象距離画像における垂直方向の画素数の累計をヒストグラムで表した図であり、(a)は平滑化前、(b)は平滑化後のヒストグラムを示した図である。 ヒストグラム上の極大点及び極小点を示した図である。 対象距離画像の中で移動物体を人物として対象領域を設定した状態を示した図である。 カメラパラメータに基づいて、移動物体が対象距離画像上のどの高さに位置するかを算出する手順を説明するための説明図である。 対象距離画像の対象領域で輪郭を抽出した例を示した図である。 輪郭を抽出した移動物体の領域に基づいて、距離画像の内容を更新した例を示す図である。 従来の移動物体検出装置における対象距離画像と対象領域の一例を示した図である。
符号の説明
1 移動物体検出装置
2 カメラ
10 入力画像解析手段
11 距離情報生成部
12 動き情報生成部
13 エッジ画像生成部
20 物体検出手段
21 対象距離設定部
22 対象距離画像生成部
23 対象領域設定部
23a ヒストグラム生成部
23b 変化点抽出部
23c 対称性抽出部
23d 対称性判定部
23e 水平範囲設定部
23f 垂直範囲設定部
24 輪郭抽出部
25 距離情報更新部
HI、HI′ ヒストグラム
T 対象領域
TDE 対象距離画像

Claims (8)

  1. 同期した複数のカメラで、撮像対象を撮像した複数の撮像画像から、前記撮像対象内に存在する移動物体を検出する移動物体検出装置であって、
    前記複数の撮像画像の視差に基づいて、前記撮像対象までの距離を距離情報として生成する距離情報生成手段と、
    前記複数のカメラの中の少なくとも一つのカメラから、時系列に入力される撮像画像の差分に基づいて、前記移動物体の動きを動き情報として生成する動き情報生成手段と、
    前記距離情報に含まれる距離毎に、前記動き情報に含まれる動きのあった画素値を累計し、前記累計値が最大となる距離を、前記移動物体が存在する対象距離として設定する対象距離設定手段と、
    前記距離情報に基づいて、前記対象距離設定手段で設定された対象距離に対応する画素からなる対象距離画像を生成する対象距離画像生成手段と、
    前記対象距離画像内に、少なくとも前記対象距離に対応して、前記移動物体を検出する対象となる対象領域を設定する対象領域設定手段と、
    この対象領域設定手段で設定された対象領域から輪郭を抽出することで、前記移動物体を検出する輪郭抽出手段と、
    を備え、
    前記対象領域設定手段は、前記対象距離画像において、水平方向の座標毎に垂直方向の画素数をカウントしてヒストグラムを生成した後、前記ヒストグラムの極大点及び極小点を抽出し、当該極大点及び極小点のうちの連続する3点ごとに、両端の点の垂直方向の画素数の差と、中央の点と両端の点とをそれぞれ結んだ2つの直線の傾きの差とを計算し、前記画素数の差と前記傾きの差とが最も小さい前記3点のうちの中央の点を、最も対称性の高い点と判定し、この最も対称性が高い点に基づいて前記対象領域を設定することを特徴とする移動物体検出装置。
  2. 前記対象距離画像生成手段は、少なくとも前記対象距離を基準として奥行き方向の所定範囲内に存在する画素からなる対象距離画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の移動物体検出装置。
  3. 前記対象領域設定手段は、前記ヒストグラムにおいて、最も対称性が高いと判定された極大点又は極小点の水平方向の座標から所定範囲を、前記対象領域の水平方向の範囲として設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動物体検出装置。
  4. 前記対象領域設定手段は、少なくとも前記カメラのチルト角及び設置面からの高さに基づいて、前記対象領域の垂直方向の範囲を設定することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の移動物体検出装置。
  5. 前記撮像画像の各画素の色情報又は濃淡情報に基づいて、その撮像画像のエッジを抽出したエッジ画像を生成するエッジ画像生成手段を備え、
    前記対象距離画像生成手段が、前記距離情報に基づいて、前記対象距離に対応する前記エッジ画像の画素を抽出して、前記対象距離画像を生成することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の移動物体検出装置。
  6. 前記輪郭抽出手段で抽出された輪郭の内部領域を、前記移動物体の抽出済領域として、前記距離情報を更新する距離情報更新手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の移動物体検出装置。
  7. 同期した複数のカメラで、撮像対象を撮像した複数の撮像画像から、前記撮像対象内に存在する移動物体を検出する移動物体検出方法であって、
    前記複数の撮像画像の視差に基づいて、前記撮像対象までの距離を距離情報として生成する距離情報生成ステップと、
    前記複数のカメラの中の少なくとも一つのカメラから、時系列に入力される撮像画像の差分に基づいて、前記移動物体の動きを動き情報として生成する動き情報生成ステップと、
    前記距離情報に含まれる距離毎に、前記動き情報に含まれる動きのあった画素値を累計し、前記累計値が最大となる距離を、前記移動物体が存在する対象距離として設定する対象距離設定ステップと、
    前記距離情報に基づいて、前記対象距離設定ステップで設定された対象距離に対応する画素からなる対象距離画像を生成する対象距離画像生成ステップと、
    前記対象距離画像内に、少なくとも前記対象距離に対応して、前記移動物体を検出する対象となる対象領域を設定する対象領域設定ステップと、
    この対象領域設定ステップで設定された対象領域から輪郭を抽出することで、前記移動物体を検出する輪郭抽出ステップと、
    を備え、
    前記対象領域設定ステップは、前記対象距離画像において、水平方向の座標毎に垂直方向の画素数をカウントしてヒストグラムを生成した後、前記ヒストグラムの極大点及び極小点を抽出し、当該極大点及び極小点のうちの連続する3点ごとに、両端の点の垂直方向の画素数の差と、中央の点と両端の点とをそれぞれ結んだ2つの直線の傾きの差とを計算し、前記画素数の差と前記傾きの差とが最も小さい前記3点のうちの中央の点を、最も対称性の高い点と判定し、この最も対称性が高い点に基づいて前記対象領域を設定することを特徴とする移動物体検出方法。
  8. 同期した複数のカメラで、撮像対象を撮像した複数の撮像画像から、前記撮像対象内に存在する移動物体を検出するために、コンピュータを、
    前記複数の撮像画像の視差に基づいて、前記撮像対象までの距離を距離情報として生成する距離情報生成手段、
    前記複数のカメラの中の少なくとも一つのカメラから、時系列に入力される撮像画像の差分に基づいて、前記移動物体の動きを動き情報として生成する動き情報生成手段、
    前記距離情報に含まれる距離毎に、前記動き情報に含まれる動きのあった画素値を累計し、前記累計値が最大となる距離を、前記移動物体が存在する対象距離として設定する対象距離設定手段、
    前記距離情報に基づいて、前記対象距離設定手段で設定された対象距離に対応する画素からなる対象距離画像を生成する対象距離画像生成手段、
    前記対象距離画像内に、少なくとも前記対象距離に対応して、前記移動物体を検出する対象となる対象領域を設定する対象領域設定手段、
    この対象領域設定手段で設定された対象領域から輪郭を抽出することで、前記移動物体を検出する輪郭抽出手段、
    として機能させ、
    前記対象領域設定手段は、前記対象距離画像において、水平方向の座標毎に垂直方向の画素数をカウントしてヒストグラムを生成した後、前記ヒストグラムの極大点及び極小点を抽出し、当該極大点及び極小点のうちの連続する3点ごとに、両端の点の垂直方向の画素数の差と、中央の点と両端の点とをそれぞれ結んだ2つの直線の傾きの差とを計算し、前記画素数の差と前記傾きの差とが最も小さい前記3点のうちの中央の点を、最も対称性の高い点と判定し、この最も対称性が高い点に基づいて前記対象領域を設定することを特徴とする移動物体検出プログラム。
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