JP4272320B2 - 薄膜光電変換モジュールの欠陥修復方法及び薄膜光電変換モジュールの製造方法 - Google Patents

薄膜光電変換モジュールの欠陥修復方法及び薄膜光電変換モジュールの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜光電変換モジュールの欠陥修復方法及び薄膜光電変換モジュールの製造方法に係り、特には、タンデム型構造を採用した薄膜光電変換モジュールの欠陥修復方法及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、薄膜光電変換モジュールは、複数の薄膜光電変換セルを基板上で相互に直列接続した構造を有している。それぞれの薄膜光電変換セルは、一般的には、透明基板上への前面透明電極層、薄膜光電変換ユニット、及び金属裏面電極層の成膜とパターニングとを順次行うことにより形成される。
【0003】
ところで、薄膜光電変換ユニットの成膜、特に大面積の薄膜光電変換ユニットの成膜においては、ピンホールの発生を避けることはできない。このピンホールは、その後の金属裏面電極層の成膜の際に金属材料で埋め込まれるため、透明前面電極層と金属裏面電極層との短絡を生じさせる。すなわち、多くの場合、形成直後の薄膜光電変換セルはそれぞれ短絡欠陥部を有している。
【0004】
このような短絡部を放置した場合、当然の如く、期待されるほどのモジュール出力を得ることはできない。そこで、薄膜光電変換モジュールの製造プロセスにおいては、一般に、薄膜光電変換セルを形成した後に、上記短絡部を絶縁する欠陥修復工程が実施されている。なお、ここでいう「絶縁する」とは、短絡部の抵抗値を、要求される電気特性を得るのに充分な値にまで高めることを言う。
【0005】
上述した欠陥を修復する方法としては、例えば、逆バイアス処理が知られている。この逆バイアス処理は、短絡部を有する薄膜光電変換セルに、その発電方向と同方向に外部から電圧を印加すること(薄膜光電変換セルをダイオードとして考えた場合には逆方向に電圧を印加すること)により行われる。このような逆バイアス電圧を印加すると、pin接合等を有する薄膜光電変換セルでは、電流が短絡部に集中して、局所的な発熱を生ずる。その結果、ピンホールを埋め込む金属が酸化或いは溶融除去されて、ピンホールの位置で透明前面電極層と金属裏面電極層とが絶縁される。
【0006】
このような逆バイアス処理は、上述した一般的な構造の薄膜光電変換モジュールに対しては極めて有効である。しかしながら、各セルがタンデム型構造を有する場合、上述した方法では、以下に説明する理由により短絡部を十分に絶縁することはできない。
【0007】
タンデム型構造を有するセルにおいては、透明前面電極層上に複数の薄膜光電変換ユニットを積層してなる積層体が形成されるが、通常、ピンホールが発生する位置はそれぞれの薄膜光電変換ユニットにおいてランダムである。そのため、ある薄膜光電変換ユニットと他の薄膜光電変換ユニットとでピンホールの位置が一致しない場合が生じる。すなわち、ピンホールを埋め込む金属材料と透明前面電極層との間には複数の薄膜光電変換ユニットの一部が介在することとなる。
【0008】
このようなセルに逆バイアス処理を行った場合、ピンホールを埋め込む金属材料と透明前面電極層との間に介在する薄膜光電変換ユニットが抵抗として振る舞う。そのため、セルを破壊することのない程度の逆バイアス電圧の印加では、絶縁するのに十分な電流を短絡部に流すことができない。したがって、各セルがタンデム型構造を有する場合は、上述した方法では短絡部を十分に絶縁することはできないのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、タンデム型構造を有し且つモジュール出力が十分に向上された薄膜光電変換モジュールを製造することを可能とする薄膜光電変換モジュールの欠陥修復方法及び薄膜光電変換モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、タンデム型構造を有する薄膜光電変換セルに対してセルの破壊を伴うことなく短絡部の絶縁処理を行うことが可能な薄膜光電変換モジュールの欠陥修復方法及び薄膜光電変換モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、各薄膜光電変換セルが、それぞれ吸収波長の異なる複数の薄膜光電変換ユニットを積層してなる積層体を有する場合、換言すればタンデム型構造を有する場合であっても、それぞれの薄膜光電変換ユニットの吸収波長域の違いを利用すれば、セルの破壊を伴うことなく所望の薄膜光電変換ユニットに対して選択的に逆バイアス処理を行うこと、換言すれば、セルを破壊することなく短絡部を絶縁処理することが可能となることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明によると、基板上に第1の電極層、複数の薄膜光電変換ユニット、及び第2の電極層を順次積層した構造をそれぞれ有する複数の薄膜光電変換セルを具備し、前記複数の薄膜光電変換ユニットはそれぞれ吸収波長域が異なり且つタンデム型構造を形成する薄膜光電変換モジュールの欠陥修復方法であって、前記複数の薄膜光電変換セルの1つに対して、前記複数の薄膜光電変換ユニットの1つが他に比べて光起電力がより小さくなるように光を照射しつつ逆バイアス電圧を印加することにより、前記光起電力のより小さな薄膜光電変換ユニットに形成された短絡部を絶縁する工程を含むことを特徴とする薄膜光電変換モジュールの欠陥修復方法が提供される。
【0013】
また、本発明によると、基板上に第1の電極層、吸収波長域がそれぞれ異なりタンデム型構造を形成する複数の薄膜光電変換ユニット、及び第2の電極層を順次積層した構造をそれぞれ有する複数の薄膜光電変換セルを形成する工程と、前記複数の薄膜光電変換セルの1つに対して、前記複数の薄膜光電変換ユニットの1つが他に比べて光起電力がより小さくなるように光を照射しつつ逆バイアス電圧を印加することにより、前記光起電力のより小さな薄膜光電変換ユニットに形成された短絡部を絶縁する工程とを含むことを特徴とする薄膜光電変換モジュールの製造方法が提供される。
【0014】
本発明において、通常、上記複数の薄膜光電変換セルは相互に直列接続されて直列アレイを形成する。この場合、上記短絡部を絶縁する工程は、例えば、直列アレイを短絡させた状態で複数の薄膜光電変換セルの1つに上記光を第1の光として照射しつつ複数の薄膜光電変換セルの残りに第1の光よりも広い波長域を有する第2の光を照射することを含み得る。
【0015】
このように直列アレイを短絡させ且つ第1及び第2の光を用いる場合、直列アレイと負荷とを直列接続してなる直列構造を形成し、この直列構造を短絡させた状態で第1及び第2の光を照射することが好ましい。この場合、短絡部の絶縁処理が行われる薄膜光電変換ユニットに過剰な電圧が印加されるのを防止することができる。
【0016】
また、本発明において、外部の電源を用いて複数の薄膜光電変換セルの1つに対して逆バイアス電圧を印加することもできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面を参照しながらより詳細に説明する。なお、各図において同様の部材には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
図1は、本発明の第1及び第2の実施形態に係る欠陥修復工程を実施する前の薄膜光電変換モジュールを概略的に示す断面図である。図1に示す薄膜光電変換モジュール1は、透明基板2上に複数の薄膜光電変換セル10を集積した構造を有している。これら薄膜光電変換セル10は紙面に垂直な方向に長い短冊状の形状を有しており、互いに直列接続されて直列アレイを構成している。また、それぞれの薄膜光電変換セル10は、透明基板2上に、透明前面電極層3、薄膜光電変換ユニット4a,4b、及び金属裏面電極層5を順次積層した構造を有している。すなわち、このモジュール1は、透明基板2側から入射する光を、タンデム型構造を形成している光電変換ユニット4a,4bにより光電変換するものである。
【0019】
本発明の第1の実施形態によると、図1に示すモジュール1は、例えば以下に示す方法により製造することができる。
まず、透明基板2の一方の主面上に、透明前面電極層3を大面積の薄膜として形成する。透明基板2は、ガラス板や透明樹脂フィルム等により構成することができる。また、透明前面電極層3は、ITO膜、SnO2膜、或いはZnO膜のような透明導電性酸化物層等で構成することができる。透明前面電極層3は単層構造でも多層構造であってもよい。透明前面電極層3は、蒸着法、CVD法、或いはスパッタリング法等それ自体既知の気相堆積法を用いて形成することができる。
【0020】
透明前面電極層3の表面には、微細な凹凸を含む表面テクスチャ構造を形成することが好ましい。透明前面電極層3の表面にこのようなテクスチャ構造を形成することにより、光電変換ユニット4への光の入射効率を向上させることができる。表面テクスチャ構造を形成する方法に特に制限はなく、公知の様々な方法を用いることができる。
【0021】
次に、大面積の薄膜として形成した透明前面電極層3にYAGレーザ等を用いたレーザスクライブにより溝部6を形成して、透明前面電極層3を各セル10に対応して分割する。なお、上述したように、セル10はそれぞれ短冊状の形状を有しており、その短軸方向(図1においては水平方向)に集積されている。
【0022】
次に、透明前面電極層3上に薄膜光電変換ユニット4a,4bを順次形成する。薄膜光電変換ユニット4a,4bは、それぞれ、例えば、透明前面電極層3側からp型非単結晶シリコン系半導体層、非単結晶シリコン系薄膜光電変換層、及びn型非単結晶シリコン系半導体層を順次積層した構造を有する。これらp型半導体層、光電変換層およびn型半導体層はいずれもプラズマCVD法により形成することができる。
【0023】
p型シリコン系半導体層は、シリコンまたはシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等のシリコン合金に、ボロンやアルミニウム等のp導電型決定不純物原子をドープすることにより形成することができる。
【0024】
p型半導体層上に形成される光電変換層は、非単結晶シリコン系半導体材料で形成することができ、そのような材料としては、真性半導体のシリコン(水素化シリコン等)やシリコンカーバイド及びシリコンゲルマニウム等のシリコン合金等を挙げることができる。また、光電変換機能を十分に備えていれば、微量の導電型決定不純物を含む弱p型もしくは弱n型のシリコン系半導体材料も用いられ得る。
【0025】
光電変換層上に形成されるn型シリコン系半導体層は、シリコンまたはシリコンカーバイドやシリコンゲルマニウム等のシリコン合金に、燐や窒素等のn導電型決定不純物原子をドープすることにより形成することができる。
【0026】
これら第1及び第2の薄膜光電変換ユニット4a,4bは互いに吸収波長域が異なっており、通常は、薄膜光電変換ユニット4bに比べ薄膜光電変換ユニット4aがより短波長の光成分を吸収するように設計される。例えば、薄膜光電変換ユニット4aの薄膜光電変換層を非晶質シリコンで構成し、薄膜光電変換ユニット4bの薄膜光電変換層を非晶質のシリコンゲルマニウムで構成することができる。この場合、薄膜光電変換ユニット4aに500nm程度の光成分を最も効率的に吸収させ、薄膜光電変換ユニット4bに900nm程度の光成分を最も効率的に吸収させることができる。また、薄膜光電変換ユニット4aの薄膜光電変換層を非晶質シリコンで構成し、薄膜光電変換ユニット4bの薄膜光電変換層を多結晶シリコンで構成してもよい。この場合、薄膜光電変換ユニット4aに550nm程度の光成分を最も効率的に吸収させ、薄膜光電変換ユニット4bに900nm程度の光成分を最も効率的に吸収させることができる。
【0027】
上述した薄膜光電変換ユニット4a,4bの形成に伴い、透明前面電極層3に形成した溝部6は薄膜光電変換ユニット4a,4bを構成する材料で埋め込まれる。なお、上述した薄膜光電変換ユニット4a,4bには不可避的にピンホール9(薄膜光電変換ユニット4bに形成されたピンホールのみを図示)が形成される。例えば、一般的なサイズのモジュール1では、通常、各セル10に少なくとも1つのピンホール9が形成される。
【0028】
以上のようにして薄膜光電変換ユニット4a,4bを形成した後、YAGレーザ等を用いたレーザスクライブにより光電変換ユニット4a,4bに溝部7を形成する。溝部7は、あるセル10の透明前面電極層3とそれに隣り合うセル10の裏面金属電極層5とを電気的に接続するために設けられる。
【0029】
次に、光電変換ユニット4b上に金属裏面電極層5を形成する。この金属裏面電極層5は電極としての機能を有するだけでなく、透明基板2から光電変換ユニット4a,4bに入射し裏面電極層5に到達した光を反射して光電変換ユニット4a,4b内に再入射させる反射層としての機能も有している。金属裏面電極層5は、銀やアルミニウム等を用いて、蒸着法やスパッタリング法等により、例えば200nm〜400nm程度の厚さに形成することができる。また、金属裏面電極層5と光電変換ユニット4bとの間には、例えば両者の間の接着性を向上させるために、ZnOのような非金属材料からなる透明導電性薄膜(図示せず)を設けることができる。
【0030】
上述した金属裏面電極層5の形成に伴い、光電変換ユニット4a,4bに形成した溝部7は金属材料で埋め込まれ、溝部7の位置で金属裏面電極層5と透明前面電極層3とが電気的に接続される。また、それとともに、ピンホール9が金属材料で埋め込まれ、ピンホール9の位置でも金属裏面電極層5と薄膜光電変換ユニット4aとが電気的に接続される。
【0031】
次に、YAGレーザ等を用いたレーザスクライブにより金属裏面電極層5に溝部8を形成して、各セル10間で金属裏面電極層5を電気的に絶縁する。さらに、YAGレーザ等を用いたレーザスクライブにより発電領域を確定し、セル10が形成する列の両端部に一対の電極バスバー(図示せず)を設けることにより、図1に示す構造を得る。
【0032】
上述した方法により得られたモジュール1には、図1に示すように、単一のセル10内においてピンホール9の位置で薄膜光電変換ユニット4aと金属裏面電極層5とが短絡されている。このような短絡を放置した場合、上記の通り、期待されるほどのモジュール出力を得ることはできない。そこで、本発明の第1の実施形態に係る薄膜光電変換モジュール1の製造プロセスにおいては、薄膜光電変換セル10を形成した後に、以下に説明する欠陥修復工程が実施される。
【0033】
まず、欠陥修復工程を説明する前に、欠陥の修復に用いる欠陥修復装置について説明する。
【0034】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る薄膜光電変換モジュール1の欠陥修復装置を概略的に示す図である。図2に示す欠陥修復装置15は、主に、モジュール1を支持する支持部材16と光源17とフィルタ18と負荷19と電流計20とで構成されている。
【0035】
支持部材16は、光源17からの光がモジュール1のセル10に照射されるようにモジュール1を支持するものであれば特に制限はない。例えば、支持部材16としては、ガラス等からなる透明な板状体を用いることができる。
【0036】
光源17は、セル10が光電変換し得る光を出力し、セル10に対して光を均一に照射可能なものであれば特に制限はない。そのような光源17としては、LEDやキセノンランプ等を挙げることができる。また、光源17はパルス光源であってもよい。
【0037】
フィルタ18は、例えば、薄膜光電変換ユニット4aが比較的高い効率で吸収する波長域の光成分を透過し、薄膜光電変換ユニット4bが比較的高い効率で吸収する波長域の光成分を吸収するものである。このフィルタ18は、光源17とモジュール1との間であれば、どこに配置してもよい。
【0038】
フィルタ18を設ける代わりに、各セル10に対応して発光色の異なる複数種のLED等の光源17をアレイ状に設け、光源17のON/OFFを制御してもよい。フィルタ18を設けた場合にはフィルタ18を物理的に移動させる機構が必要であるが、光源17のON/OFFを制御する場合にはそのような物理的移動機構は不要である。したがって、欠陥修復工程に要する時間を短縮することができるのとともにメンテナンスが容易になる。
【0039】
負荷19は、欠陥の修復を行うセル10に過剰な逆バイアス電圧が印加されるのを防止するために設けられる。したがって、例えば、光源17からの光の照度を、欠陥の修復を行うセル10に過剰な逆バイアス電圧が印加されないように制御可能であれば、負荷19は必ずしも設ける必要はない。負荷19としては、可変抵抗器や出力を制御可能な直流電源等を用いることができる。
【0040】
電流計20は、モジュール出力を測定すること等を目的として設けられる。電流計20は必ずしも設ける必要はないが、設けた場合、欠陥修復装置15を出力測定装置としても利用することが可能となる。
【0041】
本発明の第1の実施形態によると、以上説明した欠陥修復装置15によるモジュール1の欠陥の修復は、例えば、以下に示す方法により行われる。
【0042】
まず、モジュール1を透明基板2が光源17側を向くように支持部材16上に配置する。次に、モジュール1の一対の電極バスバー11を負荷19にそれぞれ接続し、さらに、欠陥の修復を行うセル10に対してフィルタ18を位置合わせする。
【0043】
その後、光源17に電力を供給して、モジュール1に対して光照射を行う。上述したように、セル10の1つに照射される光は薄膜光電変換ユニット4bが光電変換し得る光成分の殆どをフィルタ18により除かれている。そのため、フィルタ18に対応して位置するセル10の薄膜光電変換ユニット4bでは光電変換は殆ど起こらない。したがって、フィルタ18に対応して位置するセル10には、他のセルの光起電力の総和と負荷19による電圧降下との差が逆バイアス電圧として印加されることとなる。
【0044】
ここで、上述したように、フィルタ18に対応して位置するセル10の薄膜光電変換ユニット4bでは光電変換は殆ど起こらないが、薄膜光電変換ユニット4aでは他のセル10と同様の光電変換が行われる。そのため、フィルタ18に対応して位置するセル10の薄膜光電変換ユニット4aが抵抗として振る舞うことはなく、フィルタ18に対応して位置するセル10の薄膜光電変換ユニット4bに対してその発電方向と同方向に十分な大きさの電圧を選択的に印加することができる。その結果、フィルタ18に対応して位置するセル10の薄膜光電変換ユニット4bの短絡部9を構成する金属材料が溶融除去されるか或いは酸化され、薄膜光電変換ユニット4aと金属裏面電極層5との絶縁が図られる。
【0045】
あるセル10について上述した絶縁処理を行った後、フィルタ18を他のセル10に対して位置合わせし、このセル10についても上述した処理を施す。以上のようにして、全てのセル10について絶縁処理を行うことにより欠陥修復工程を完了する。なお、上述した欠陥修復工程は、欠陥の修復を行う薄膜光電変換ユニット4bに過剰な電圧が印加されるのを防止するために、光源17からの光の照度を調節しつつ行うか、負荷19が可変抵抗器である場合には抵抗値を、負荷19が出力を可変の直流電源である場合にはその出力を調節しつつ行うか、或いは光源17からの光の照度と負荷19の抵抗値或いは出力との双方を調節しつつ行う。また、上述した絶縁処理は、薄膜光電変換ユニット4bに対して行ったが、フィルタ18として、薄膜光電変換ユニット4aが比較的高い効率で吸収する波長域の光成分を吸収し且つ薄膜光電変換ユニット4bが比較的高い効率で吸収する波長域の光成分を透過するものを用いれば、薄膜光電変換ユニット4aに対して上述した絶縁処理を行うこともできる。
【0046】
以上の処理を全てのセル10に対して実施した後、通常、モジュール1の裏面側に封止樹脂層(図示せず)を介して有機保護フィルム(図示せず)を設ける。この封止樹脂層は、透明基板2上に形成された各薄膜光電変換セル10を封止するものであり、有機保護フィルムをこれらセル10に接着することが可能な樹脂が用いられる。そのような樹脂としては、例えば、EVA(エチレン・ビニルアセテート共重合体)等を用いることができる。また、有機保護フィルムとしては、ポリフッ化ビニルフィルム(例えば、テドラーフィルム(登録商標名))等が用いられる。これら封止樹脂/有機保護フィルムは、真空ラミネート法により薄膜光電変換モジュール1の裏面側に同時に貼着することができる。
【0047】
第1の実施形態において、これら封止樹脂層及び有機保護フィルムは、上述した欠陥修復工程の前に設けてもよい。この場合、複数のセル10を直列接続してなる直列アレイと負荷19との接続は、一対の電極バスバー11と接続された取り出し電極(図示せず)等を介して行われる。
【0048】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によると、短絡部の絶縁処理は、直列アレイを短絡させた状態で複数の薄膜光電変換セル10の1つに第1の光を照射し且つ他の薄膜光電変換セル10に第1の光よりも広い波長域を有する第2の光を照射することにより行われる。すなわち、本発明の第1の実施形態によると、それぞれのセル10が複数種の薄膜光電変換ユニットを積層してなるタンデム型構造を有する場合であっても、所望の薄膜光電変換ユニットに対して選択的に逆バイアス電圧を印加することができる。したがって、第1の実施形態によると、タンデム型構造を有するセル10に対して短絡部9の絶縁処理を行うことが可能である。
【0049】
また、本発明の第1の実施形態によると、金属裏面電極層5にプローブ等を接触させることなく短絡部の絶縁処理を行うことができる。したがって、第1の実施形態によると、複雑な搬送機構等を必要とすることなく短絡部を絶縁処理することが可能となる。また、プローブ等を用いる必要がないため、金属裏面電極層5が傷つけられることがなく、しかも、逆バイアス処理の際にセル10に均一に電圧を印加することができる。さらに、上述した欠陥修復工程の際に、負荷19が可変抵抗器である場合にはその抵抗値と電流計20の読みとを記録することにより、負荷19が出力を可変の直流電源である場合にはその出力電圧と電流計20の読みとを記録することにより、モジュール1の出力特性を測定することができる。すなわち、モジュール1の出力特性を測定しつつ欠陥の修復を行うことができる。
【0050】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と第2の実施形態とでは、薄膜光電変換モジュール1の欠陥修復工程のみが異なる。したがって、第2の実施形態に係る薄膜光電変換モジュール1の製造プロセスについては、欠陥修復工程についてのみ説明する。
【0051】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る薄膜光電変換モジュール1の欠陥修復装置を概略的に示す図である。
【0052】
図3に示す欠陥修復装置25は、モジュール1を支持する支持部材26と、光源17と、フィルタ18と、一対の端子部材28と、モジュール1に対して一対の端子部材28を矢印30に示す方向に相対的に接離移動させる第1の移動機構(図示せず)と、モジュール1に対して一対の端子部材28を矢印31に示す方向に相対的に平行移動させる第2の移動機構(図示せず)と、電源32と、電流計20とを有している。
【0053】
支持部材26は、光源17からの光がモジュール1のセル10に照射されるように、及び隣り合う2つのセル10のそれぞれの金属裏面電極層5と一対の端子部材28とが接触できるようにモジュール1を支持するものであれば特に制限はない。例えば、支持部材26としては、ガラス等からなる透明な板状体を用いることができる。
【0054】
光源17及びフィルタ18としては、第1の実施形態に係る欠陥修復装置15において用いたのと同様のものを用いることができる。また、第1の実施形態と同様に、フィルタ18を設ける代わりに、各セル10に対応して発光色の異なる複数種のLED等の光源17をアレイ状に設け、光源17のON/OFFを制御してもよい。なお、本実施形態においては、第1の実施形態とは異なり、全てのセル10に対して同時に光照射を行う必要はなく、欠陥修復を行うセル10に対してのみ光照射可能であればよい。したがって、光源17は多数設ける必要はない。
【0055】
一対の端子部材28は、隣り合う2つのセル10の金属裏面電極層5に対して相対的に接離移動可能に配置されている。図3に示すように、一対の端子部材28は、それぞれ、複数のプローブを配列してなるものであってもよく、セル10の形状に対応して線状或いは帯状の接触部を有するものであってもよい。
【0056】
一対の端子部材28には、電流計20を介して電源32が接続されている。電源32は端子部材28に電力を供給するものであり、直流電源でも交流電源でもよい。また、電源32は、パルス状の直流電圧を出力するものであってもよい。
【0057】
電流計20は、セル10への欠陥修復処理の要否を判断するために設けられる。すなわち、電源32からあるセル10に対して所定の逆バイアス電圧を印加した場合に電流計20の読みが所定値以下であれば欠陥修復処理は不要であると判断することができる。
【0058】
第1の移動機構は、図3の矢印30に示すように、一対の端子部材28をモジュール1の隣り合う2つの金属裏面電極層5に対して相対的に接離移動させるものである。具体的には、第1の移動機構は、後述する第2の移動機構により端子部材28とモジュール1とを平行移動させる際にそれらを離間し、ある薄膜光電変換セル10に逆バイアス電圧を印加する際に一対の端子部材28を隣り合う2つの金属裏面電極層5にそれぞれ接触させるものである。
【0059】
第1の移動機構は、端子部材28を移動させるもの、モジュール1を移動させるもの、及びそれら両方を移動させるもののいずれであってもよい。また、第1の移動機構は、パルスモータ等を用いた一般的な構造を有し得る。
【0060】
一方、第2の移動機構は、図3の矢印31に示すように、端子部材28をモジュール1の金属裏面電極層5に対して相対的に平行移動させるものである。第2の移動機構によると、例えば、あるセル10の欠陥修復が終了した後、まだ欠陥修復を行っていないセル10を直ちに一対の端子部材28の直下に位置させること、すなわち欠陥修復を連続的に行うことが可能となる。
【0061】
第2の移動機構も第1の移動機構と同様に、端子部材28を移動させるもの、モジュール1を移動させるもの、及びそれら両方を移動させるもののいずれであってもよい。また、第2の移動機構も第1の移動機構と同様に、パルスモータ等を用いた一般的な構造を有し得る。
【0062】
なお、図3に示す装置25には端子部材28は2つのみ設けられているが、より多くの端子部材28を設けてもよい。この場合、端子部材28とモジュール1との相対移動の回数を減らすことができ、したがって、より短い時間で欠陥の修復を行うことができる。また、図3において一対の端子部材28は別体として描かれているが一体化されていてもよい。
【0063】
本発明の第2の実施形態によると、モジュール1の欠陥の修復は、例えば、上述した欠陥修復装置25を用いて以下に示す方法により行われる。
【0064】
まず、モジュール1を透明基板2が光源17側を向くように支持部材26で支持する。次に、第2の移動機構を用いて、モジュール1の隣り合う2つのセル10が一対の端子部材28の直下にそれぞれ位置するように位置合わせする。その後、第1の移動機構を用いて端子部材28を降下させ、一対の端子部材28を隣り合う2つ金属裏面電極層5にそれぞれ接触させる。
【0065】
上述した第1及び第2の移動機構の動作が完了した後、フィルタ18に対応して位置するセル10に対して光源17からフィルタ18を介して光を照射するのとともに、電源32から端子部材28に電力を供給する。
【0066】
ここで、上述したように、フィルタ18を透過した光は薄膜光電変換ユニット4bが光電変換し得る光成分の殆どを除かれている。したがって、フィルタ18に対応して位置するセル10において、薄膜光電変換ユニット4aでは光電変換が行われるのに対し、薄膜光電変換ユニット4bでは光電変換は殆ど起こらない。
【0067】
また、上記の操作により端子部材28に電力を供給すると、一対の端子部材28と接触する2つのセル10の一方において、透明前面電極層3と金属裏面電極層5との間に電圧が印加される。例えば、図1に示すモジュール1においては、図中右側のセル10の透明前面電極層3と左側のセル10の裏面金属電極層5とは電気的に接続されているため、右側のセル10の金属裏面電極層5に印加する電圧の極性を正とし、左側のセル10の金属裏面電極層5に印加する電圧の極性を負とすることにより、右側のセル10の透明前面電極層3と裏面金属電極層5との間に図中下向きの電圧が逆バイアス電圧として印加される。
【0068】
このように、光電変換が薄膜光電変換ユニット4aのみで行われているセル10に対して逆バイアス電圧を印加した場合、短絡部9と透明前面電極層3との間に介在する薄膜光電変換ユニット4aが抵抗として振る舞うことはなく、薄膜光電変換ユニット4bに対し、その発電方向と同方向に、電源32の起電力と薄膜光電変換ユニット4aで生じた光起電力との和に相当する電圧を印加することができる。したがって、この電圧の大きさが薄膜光電変換ユニット4bの短絡部9を構成する金属材料を溶融除去するか或いは酸化するのに十分となるように電源32の出力、光源17の出力、或いはそれら両方を制御することにより、セル10を破壊することなく薄膜光電変換ユニット4aと金属裏面電極層5とを絶縁させることができる。
【0069】
上述した方法によりセル10の短絡部9を絶縁処理した後、第1の移動機構を用いて、一対の端子部材28を上昇させ、それらを金属裏面電極層5から離間させる。次に、第2の移動機構を用いて、絶縁処理を実施していないセル10が一対の端子部材28の一方の直下に位置するように位置合わせする。さらに、第1の移動機構を用いて、一対の端子部材28を下降させ、それらを隣り合う2つの金属裏面電極層5にそれぞれ接触させる。その後、上述した絶縁処理を実施する。
【0070】
以上の処理を全てのセル10に対して実施することにより、モジュール1の欠陥修復工程を完了する。なお、上述した絶縁処理は、薄膜光電変換ユニット4bに対して行ったが、フィルタ18として、薄膜光電変換ユニット4aが比較的高い効率で吸収する波長域の光成分を吸収し且つ薄膜光電変換ユニット4bが比較的高い効率で吸収する波長域の光成分を透過するものを用いれば、薄膜光電変換ユニット4aに対して上述した絶縁処理を行うこともできる。また、上述した絶縁処理では欠陥の修復が行われる単一のセル10にのみ光を照射したが、上記絶縁処理は、欠陥の修復が行われるセル10を含む複数のセル10に対して光を照射しつつ行ってもよい。
【0071】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態によると、あるセル10の薄膜光電変換ユニット4bに形成された短絡部9の絶縁処理は、薄膜光電変換ユニット4aにおいて光電変換が生じるように光を照射しつつそのセル10に外部の電源32から逆バイアス電圧を印加することにより行われる。すなわち、本発明の第2の実施形態によると、それぞれのセル10が複数種の薄膜光電変換ユニットを積層してなるタンデム型構造を有する場合であっても、所望の薄膜光電変換ユニットに対して選択的に電圧を印加することができる。したがって、第2の実施形態によると、タンデム型構造を有するセル10に対して短絡部9の絶縁処理を行うことが可能である。
【0072】
なお、上述した第1及び第2の実施形態においては所望の光成分を得るためにフィルタ18を用いたが、フィルタ18を用いる代わりにそれぞれ異なる波長域の光成分を出力する複数種のLED等を用いてもよい。また、第1及び第2の実施形態では、2つの薄膜光電変換ユニット4a,4bを積層したタンデム型構造を採用したが、薄膜光電変換ユニットの積層数に特に制限はない。例えば、透明基板2上に、500nm程度の光成分を最も効率的に吸収するように薄く形成された非晶質シリコンからなる光電変換層を有する薄膜光電変換ユニット、650nm程度の光成分を最も効率的に吸収するように厚く形成された非晶質シリコンからなる光電変換層を有する薄膜光電変換ユニット、及び900nm程度の光成分を最も効率的に吸収するように形成された非晶質のシリコンゲルマニウムからなる光電変換層を有する薄膜光電変換ユニット等を順次積層した3層のタンデム型構造を採用してもよい。
【0073】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明する。
【0074】
(実施例1)
以下に示す方法により、図1に示す薄膜光電変換モジュール1を作製し、その後、図2に示す欠陥修復装置15を用いてモジュール1の欠陥を修復した。
【0075】
まず、一方の主面にSnO2膜3を有する910mm×450mmのガラス基板を準備した。次に、YAGレーザを用いて基板1の長辺に平行にレーザスキャンすることにより、SnO2膜3をスクライブして複数の帯状パターンに分割した。
【0076】
その後、プラズマCVD法により、SnO2膜3上に、厚さ10nmのp型非晶質シリコンカーバイド層、厚さ150nmのノンドープの非晶質シリコン層、及び厚さ10nmのn型非晶質シリコン層を順次成膜して第1の薄膜光電変換ユニット4aを形成した。さらに引き続き、この第1の薄膜光電変換ユニット4aの上に、厚さ10nmのp型非晶質シリコン層、厚さ150nmのノンドープの非晶質シリコンゲルマニウム層、及び厚さ10nmのn型非晶質シリコン層を順次成膜して第2の薄膜光電変換ユニット4bを形成した。すなわち、第1の薄膜光電変換ユニット4aと第2の薄膜光電変換ユニット4bとを積層してなるタンデム型の薄膜光電変換ユニット4を形成した。
【0077】
次に、YAGレーザを用いて基板1の長辺に平行にレーザスキャンすることにより、これら薄膜光電変換ユニット4a,4bのスクライブを行い、薄膜光電変換ユニット4a,4bを複数の帯状パターンに分割した。
【0078】
次に、薄膜光電変換ユニット4b上に、スパッタ法により、厚さ90nmのZnO膜(図示せず)及び厚さ300nmのAg膜5を順次成膜して裏面電極層を形成した。この裏面電極層についても、同様に、YAGレーザを用いたレーザスクライブを行い、複数の帯状パターンに分割した。
【0079】
続いて、YAGレーザを用いて基板2の短辺に平行にレーザスクライブを行い、SnO2膜3、薄膜光電変換ユニット4a,4b、及び裏面電極層をそれぞれ基板2の長辺方向に分割した。その後、YAGレーザ等を用いたレーザスクライブにより発電領域を確定した。以上のようにして、それぞれ890mm×9mmのサイズを有し且つ基板2の短辺に平行な方向に直列接続された50段の薄膜光電変換セル10を形成した。
【0080】
さらに、セル10が形成する直列アレイの両端部に一対の電極バスバー11を設けることにより、図1に示すモジュール1を得た。
【0081】
以上説明した方法で10枚のモジュール1を製造し、それぞれについて、光源としてキセノンランプを用いた放射照度100mW/cm2、AM1.5のソーラーシュミレータにより出力特性を調べた。なお、測定温度は25℃とした。その結果、モジュール1の最大出力は平均で27Wであり、F.F.は平均で51%であった。
【0082】
次に、これらモジュール1のそれぞれに対し、図2に示す装置15を用いて上述した欠陥修復処理を施した。なお、本実施例では、光源17としてはキセノンランプを用い、放射照度は100mW/cm2とした。また、負荷19としては出力を可変な直流電源を用い、各セル10に印加される逆バイアス電圧が4〜10V程度となるように制御した。また、フィルタ18としては赤色フィルタと緑色フィルタとを用い、薄膜光電変換ユニット4a,4bの双方について欠陥修復処理を施した。
【0083】
以上の条件で薄膜光電変換ユニットについて0.5秒間づつ欠陥修復工程を実施し、その後、上記条件下でモジュール1の出力特性を調べた。その結果、モジュール1の平均出力は37Wにまで向上し、F.F.も平均で70%にまで向上した。
【0084】
(実施例2)
以下に示す方法により、図1に示す薄膜光電変換モジュール1を作製し、その後、図3に示す欠陥修復装置25を用いてモジュール1の欠陥を修復した。
【0085】
まず、実施例1に示したのと同様の方法により図1に示す薄膜光電変換モジュール1を10枚製造し、それぞれについて出力特性を調べた。なお、測定条件は実施例1と同条件とした。その結果、モジュール1の最大出力は平均で27Wであり、F.F.は平均で51%であった。
【0086】
次に、これらモジュール1のそれぞれに対し、図3に示す装置25を用いて上述した欠陥修復処理を施した。なお、本実施例では、光源17としてはキセノンランプを用い、放射照度は100mW/cm2とした。また、電源32としては出力を可変な直流電源を用い、各セル10に印加される逆バイアス電圧が4〜10V程度となるように制御した。また、フィルタ18としては赤色フィルタと緑色フィルタとを用い、薄膜光電変換ユニット4a,4bの双方について欠陥修復処理を施した。
【0087】
以上の条件で薄膜光電変換ユニットについて0.5秒間づつ欠陥修復工程を実施し、その後、上記条件下でモジュール1の出力特性を調べた。その結果、モジュール1の平均出力は38Wにまで向上し、F.F.も平均で72%にまで向上した。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、タンデム型構造を形成する複数の薄膜光電変換ユニットの吸収波長がそれぞれ異なることを利用して、これら薄膜光電変換ユニットの1つにおける光起電力が他の薄膜光電変換ユニットにおける光起電力に比べて低くなるように光照射が行われ、それと同時に、その薄膜光電変換セルに逆バイアス電圧が印加される。そのため、上記他の薄膜光電変換ユニットが抵抗として振る舞うことがない。したがって、本発明によると、薄膜光電変換セルを破壊することなく、上記薄膜光電変換ユニットの1つに対して選択的に逆バイアス処理を行うことが可能である。
【0089】
すなわち、本発明によると、タンデム型構造を有し且つモジュール出力が十分に向上された薄膜光電変換モジュールを製造することを可能とする薄膜光電変換モジュールの欠陥修復方法及び薄膜光電変換モジュールの製造方法が提供される。また、本発明によると、タンデム型構造を有する薄膜光電変換セルに対して短絡部の絶縁処理を行うことが可能な薄膜光電変換モジュールの欠陥修復方法及び薄膜光電変換モジュールの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の実施形態に係る欠陥修復工程を実施する前の薄膜光電変換モジュールを概略的に示す断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る薄膜光電変換モジュールの欠陥修復装置を概略的に示す図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る薄膜光電変換モジュールの欠陥修復装置を概略的に示す図。
【符号の説明】
1…薄膜光電変換モジュール
2…透明基板
3…透明前面電極層
4…薄膜光電変換ユニット
5…裏面金属電極層
6〜8…溝
9…ピンホールまたは短絡部
10…薄膜光電変換セル
11…電極バスバー
15,25…欠陥修復装置
16,26…支持部材
17…光源
18…フィルタ
19…負荷
20…電流計
28…端子部材
30,31…矢印
32…電源

Claims (5)

  1. 基板上に第1の電極層、複数の薄膜光電変換ユニット、及び第2の電極層を順次積層した構造をそれぞれ有する複数の薄膜光電変換セルを具備し、前記複数の薄膜光電変換ユニットはそれぞれ吸収波長域が異なり且つタンデム型構造を形成する薄膜光電変換モジュールの欠陥修復方法であって、
    前記複数の薄膜光電変換セルの1つに対して、前記複数の薄膜光電変換ユニットの1つが他に比べて光起電力がより小さくなるように光を照射しつつ逆バイアス電圧を印加することにより、前記光起電力のより小さな薄膜光電変換ユニットに形成された短絡部を絶縁する工程を含むことを特徴とする薄膜光電変換モジュールの欠陥修復方法。
  2. 前記複数の薄膜光電変換セルは相互に直列接続されて直列アレイを形成し、
    前記短絡部を絶縁する工程は、前記直列アレイを短絡させた状態で前記複数の薄膜光電変換セルの1つに前記光を第1の光として照射しつつ前記複数の薄膜光電変換セルの残りに前記第1の光よりも広い波長域を有する第2の光を照射することを含む請求項1に記載の薄膜光電変換モジュールの欠陥修復方法。
  3. 前記直列アレイと負荷とを直列接続してなる直列構造を形成し、該直列構造を短絡させた状態で前記第1及び第2の光を照射することを特徴とする請求項2に記載の薄膜光電変換モジュールの欠陥修復方法。
  4. 外部の電源を用いて前記複数の薄膜光電変換セルの1つに対して前記逆バイアス電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の薄膜光電変換モジュールの製造方法。
  5. 基板上に第1の電極層、吸収波長域がそれぞれ異なりタンデム型構造を形成する複数の薄膜光電変換ユニット、及び第2の電極層を順次積層した構造をそれぞれ有する複数の薄膜光電変換セルを形成する工程と、
    前記複数の薄膜光電変換セルの1つに対して、前記複数の薄膜光電変換ユニットの1つが他に比べて光起電力がより小さくなるように光を照射しつつ逆バイアス電圧を印加することにより、前記光起電力のより小さな薄膜光電変換ユニットに形成された短絡部を絶縁する工程と
    を含むことを特徴とする薄膜光電変換モジュールの製造方法。
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