JP4272296B2 - 小型モータ及びその製造方法 - Google Patents

小型モータ及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型モータに関し、特に、該小型モータに直接取り付けられるコンデンサー等の電気素子の電気的接続及び取付構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドライヤー等の送風用小型モータには、コンデンサー、ダイオード、チョークコイル等の電気素子を直接取り付けることが必要になる。
【0003】
図5は、本発明が前提とする小型モータであり、従来の小型モータと基本的に同様な構成を有するものである。図示したように、金属材料により有底中空筒状に形成されたモータケース1の内周面にマグネット2が取り付けられている。このモータケース1の開口部は、金属製の蓋板6が嵌着されて、それによって閉じられている。蓋板6の中央部には、シャフト20のための軸受4が圧入固定されている。
【0004】
シャフト20の他端は、有底中空筒状のモータケース1の底部中央に設けられた軸受3によって支持されている。このシャフト20には、積層コア21と、該積層コア21上に巻いた巻線22と、整流子23とが通常に備えられて、小型モータの回転子を構成している。そして、この整流子23に接触する一対のカーボンブラシは、そのブラシアーム8が合成樹脂製のブラシホルダー7に支持されると共に、ブラシアーム8に接続されたブラシターミナル10が電気的接続のためにブラシターミナル7を貫通して蓋板6の外部に突出している。
【0005】
このような通常の小型モータは、大きくは3つに分解することができる。その第一は、回転子であり、シャフト20上に積層コア21及び該コアに券回した巻線22と、整流子23とを組み立てることにより構成されている。その第二は、所定数(通常2極)のマグネット2を固定したモータケース1及びその底部中央の円筒状突部に圧入固定した軸受3から構成されている。その第三は、本明細書においては「ケース蓋5」と称するが、金属製の蓋板6と、その中央の円筒状突部に圧入固定した軸受4と、蓋板6に設けた開口部に嵌合固定した樹脂製の絶縁ブラシホルダー7と、該ブラシホルダー7内を挿通させた2つのブラシターミナル10と、該ブラシターミナル10にそれぞれ電気的及び機械的に固定されているブラシアーム(その先端部にはブラシが固定されている)とから構成されている。
【0006】
コンデンサー、ダイオード、チョークコイル等の電気素子は、このケース蓋5に電気的及び機械的に取り付けられる。図6は、電気素子としてコンデンサを打込み鋲を利用して固着する従来の方法を示している。図6の左側の図は、ケース蓋5をモータ内部から見た図であり、また、右側の図は、上半分を断面で示す側面図である。図中、14は、ブラシターミナル10を固定する打込み鋲であるが、この打込み鋲にコンデンサ11の足を絡めて固着していた。ブラシターミナル10を固定する際に、打込み鋲14を途中まで打込んで、この打込み鋲14にコンデンサ11の足を2〜3回巻いた後、打込み鋲14を完全に打ち込んでいた。しかし、打込み鋲14にコンデンサ11の足12を絡める固定方法だと、部品点数が増加するという欠点がある。即ち、「コンデンサ有りのケース蓋」と「コンデンサ無しのケース蓋」の2種類の在庫を持つ必要性が生じる。
【0007】
図7は、コンデンサを半田付けして固定する別の従来方法を示している。コンデンサ11の足12は、ブラシターミナル10に半田付けすることにより固着される。しかし、半田付けは、作業工数が大きく増加するという問題が生じる。
【0008】
さらに、従来、ブラシターミナル10をブラシホルダー7に圧入固定する際に、コンデンサーの足を挟み込み、固着することも行われていた。しかし、この方法は、後付けができないという問題がある。また、ブラシターミナル圧入にバラツキが発生する問題、及び線がずれてしまう等の問題もあった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる問題点を解決し、コンデンサーなどの電気素子をケース蓋のブラシターミナルに接続する際に、部品点数を増加させることなく、また、作業工数の増加を抑えて、作業性良く、確実に行うことを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の小型モータ及びその製造方法は、マグネット2を内周面に取り付けた金属製の有底中空筒状のモータケース1と、該モータケース1の開口部を閉じるように嵌着されたケース蓋5と、シャフト20上に積層コア21、該積層コア21に巻いた巻線22、及び整流子23を取り付けた回転子とを備えている。ブラシターミナル10は、モータ内部に面する側において、中央に溝を設けて左右対称に形成した逆L字形状の2つの突起部13を有し、かつ、ブラシアーム8を接続した導電性板部材から構成される。このブラシターミナル10は前記ケース蓋5に貫通固定される。その後、前記2つの突起部13の根元部に電気素子(コンデンサ11)の足12が絡められる。そして、かしめ治具15を用いて、前記2つの突起部13は、その中央から外側に塑性変形させられることにより、絡めた電気素子の足はかしめ固定される。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を適用するケース蓋を、モータ内部から見た図である。以下、電気素子として火花消去用のコンデンサを例に取って、かしめ固定により取り付ける方法を説明する。本発明は、このように電気素子の取付に特徴を有しているが、このような本発明は、図6を参照して前述したような通常の小型モータに適用することができる。それ故、図1に例示したケース蓋5は、図6に示した小型モータのケース蓋5に代えて用いることができる。図1において、コンデンサ11の足12は、詳細は後述するように、ブラシターミナル10にかしめにより固着される。
【0012】
図2は、本発明のブラシターミナル10の詳細な構成を例示している。その右側の図は、A部の詳細を示している。通常、ブラシターミナル10は、導電部材の板よりプレス加工により打ち抜くことにより一体に形成でき、幅広の基部とモータ外部に突出する先端部とから成っている。基部は、そのいずれかの側に、鋲止め、かしめ等の適宜の固定手段によりブラシアームが電気的及び機械的に接続される。このブラシターミナル10は、樹脂製のブラシホルダー7への取り付けに際して、ブラシホルダー7に設けられたスリット内に、ブラシターミナル10の先端部を先にして内から外方向に挿入されるが、その際、ブラシターミナル10が抜け出ることのないように、基部は、先端部よりも幅広に形成されて、その上縁がストッバとして機能するようになっている。
【0013】
そして、本発明を適用するブラシターミナル10は、モータ内部に面する側に、逆L字形状の2つの突起部13を、その間に溝を形成するように左右対称に設けたことを特徴としている。
【0014】
次に、このようなブラシターミナル10に、コンデンサ11を取り付ける方法について説明する。まず、図3に示すように、固定しかつ電気的に接続すべきコンデンサ11の一方の足12を、逆L字形状の2つの突起部13の根元部回りに絡めるように巻き付ける。
【0015】
その後、図示したように先端部を三角形状の頂点とするような形状のかしめ治具15を用いて突起部13を塑性変形させることにより、コンデンサ11の足12は、かしめ固定される。このかしめは、中央に溝を形成して左右対称に設けられた逆L字形状の突起部13の中央に、かしめ治具15を押圧することにより行われる。このとき、かしめ治具15の三角形状先端部のそれぞれの辺が、それぞれの突起部13を外方向に同時に圧迫することにより、突起部13はそれぞれ外方向に折れ曲がり、突起部に絡められていたコンデンサ11の足12は、挟み付けられるようにして固定される。この固定状態を図4に示している。
【0016】
なお、電気素子のもう一方の足については、通常の技術を用いて、接続することができる。例えば、コンデンサのもう一方の足を、モータケース1に接続する場合は、モータケース1にケース蓋5を嵌着する際にその間に挟み込むことにより固定することができる。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、左右対称に形成した逆L字形状の2つの突起部を備えるブラシターミナルをケース蓋に貫通固定し、2つの突起部の根元部に電気素子の足を絡めた後、2つの突起部を、その中央から外側に塑性変形させることにより、絡めた電気素子の足をかしめ固定するものであるから、部品点数を増加させることがなく、また、電気素子の後付が可能となるためケース蓋の種類を増やすこともないという効果を生じる。
【0018】
さらに、単にかしめ治具を用いて押圧するのみであるから作業工数を格別増加させることもなく、また、ブラシターミナルの圧入自体には何らの影響も与えず、バラツキの改善を図ることができ、作業性良く、確実に電気素子の足を固着することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するケース蓋を、モータ内部から見た図である。
【図2】本発明のブラシターミナルの詳細な構成を例示する図である。
【図3】図2に示したブラシターミナルにコンデンサの足を絡めたが、まだかしめ固定していない状態を示す図である。
【図4】本発明に基づきコンデンサをかしめ固定した状態を示す図である。
【図5】本発明が前提とする小型モータの全体構成図であり、従来の小型モータと基本的に同様な構成を有している。
【図6】従来技術によりコンデンサを打込み鋲を利用して固着する方法を示す図である。
【図7】従来技術によりコンデンサを半田付けして固定する方法を示す図である。
【符号の説明】
1 モータケース
2 マグネット
3 軸受
4 軸受
5 ケース蓋
6 蓋板
7 ブラシホルダー
8 ブラシアーム
10 ブラシターミナル
11 コンデンサ
12 コンデンサの足
13 突起部
14 打込み鋲
15 かしめ治具
20 シャフト
21 積層コア
22 巻線
23 整流子

Claims (2)

  1. マグネットを内周面に取り付けた金属製の有底中空筒状のモータケースと、該モータケースの開口部を閉じるように嵌着されたケース蓋と、シャフト上に積層コア、該積層コアに巻いた巻線、及び整流子を取り付けた回転子とから成る小型モータにおいて、
    前記ケース蓋は、ブラシアームを接続した導電性板部材のブラシターミナルを貫通固定し、
    該ブラシターミナルは、モータ内部に面する側において、中央に溝を設けて左右対称に形成した逆L字形状の2つの突起部を、該2つの突起部の中央から外側に塑性変形することにより電気素子の足をかしめ固定した、
    ことを特徴とする小型モータ。
  2. マグネットを内周面に取り付けた金属製の有底中空筒状のモータケースと、該モータケースの開口部を閉じるように嵌着されたケース蓋と、シャフト上に積層コア、該積層コアに巻いた巻線、及び整流子を取り付けた回転子とから成る小型モータの製造方法において、
    モータ内部に面する側において、中央に溝を設けて左右対称に形成した逆L字形状の2つの突起部を有し、かつ、ブラシアームを接続した導電性板部材のブラシターミナルを前記ケース蓋に貫通固定し、
    前記2つの突起部の根元部に電気素子の足を絡め、そして、
    かしめ治具を用いて、前記2つの突起部を、その中央から外側に塑性変形させることにより、絡めた電気素子の足をかしめ固定した、
    ことを特徴とする小型モータの製造方法。
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