JP4272189B2 - 位置測定装置、描画装置及び位置測定方法 - Google Patents
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Description
可変成形型電子線描画装置(EB(Electron beam)描画装置)における第1のアパーチャ410には、電子線330を成形するための矩形例えば長方形の開口411が形成されている。また、第2のアパーチャ420には、第1のアパーチャ410の開口411を通過した電子線330を所望の矩形形状に成形するための可変成形用開口421が形成されている。荷電粒子ソース430から照射され、第1のアパーチャ410の開口411を通過した電子線330は、偏向器により偏向され、第2のアパーチャ420の可変成形用開口421の一部を通過して、所定の一方向(例えば、X方向とする)に連続的に移動するステージ上に搭載された試料に照射される。すなわち、第1のアパーチャ410の開口411と第2のアパーチャ420の可変成形用開口421との両方を通過できる矩形形状が、X方向に連続的に移動するステージ上に搭載された試料340の描画領域に描画される。第1のアパーチャ410の開口411と第2のアパーチャ420の可変成形用開口421との両方を通過させ、任意形状を作成する方式を可変成形方式という(例えば、特許文献1参照)。
理想的には測定器から被測定物までの距離とその位置データは完全なリニアリティ(線形)の関係になるはずであるが、レーザ測長の場合、光学的なパス(光路)の問題で誤差を含んでしまう。具体的には、レーザ光中に混在している垂直波と水平波とが互いに干渉してしまい非線形誤差を生じさせる。すなわち、レーザ測長システム中のミラー等の反射により垂直波には水平波の成分が、水平波には垂直波の成分が干渉して非線形誤差を発生させてしまう。パターンの微細化に伴い、かかる非線形誤差が描画精度に影響するようになってきており、かかる非線形誤差の影響により正確なステージ位置が測定できず、所望する位置から外れた位置にパターンを描画してしまうといった問題が生じてしまう。
また、かかる非線形誤差成分をローパスフィルタによって除去しようとした場合、フィルタの特性によりフィルタ起因の位置ずれを生じてしまう。特に、速度が変化するステージの場合には、速度成分だけでなく、加速度成分、或いは、加加速度成分、或いは、さらに高次の成分の位置ずれが発生してしまうという問題点がある。
移動可能なステージと、
レーザを用いて、前記ステージの移動位置を測定する測定部と、
前記測定部の測定値から所定の周波数領域の成分を減衰させる第1のフィルタと、
前記第1のフィルタと並列に接続され、前記測定部の測定値から前記所定の周波数領域以外の成分を減衰させる第2のフィルタと、
前記第2のフィルタと直列に接続され、前記測定部の測定値から前記所定の周波数領域の成分を減衰させる第3のフィルタと、
前記第2のフィルタと直列に前記第3のフィルタと並列に接続され、前記測定部の測定値から前記所定の周波数領域以外の成分を減衰させる第4のフィルタと、
前記第4のフィルタと直列に接続され、前記測定部の測定値から前記所定の周波数領域の成分を減衰させる第5のフィルタと、
前記第1のフィルタを通過した前記測定部の測定値と、前記第2と第3のフィルタを通過した前記測定部の測定値と、前記第2と第4と第5のフィルタを通過した前記測定部の測定値とを合成し、合成された合成値を出力する合成部と、
を備えたことを特徴とする。
前記第2のフィルタとして、ハイパスフィルタを用い、
前記第4のフィルタとして、ハイパスフィルタとローパスフィルタとのうち、いずれか一方を用い、
前記第5のフィルタとして、前記ローパスフィルタとハイパスフィルタとのうち、前記第4のフィルタとは逆の一方を用いることを特徴とする。
前記第4のフィルタと直列に前記第5のフィルタと並列に接続され、前記測定部の測定値から前記所定の周波数領域以外の成分を減衰させる第6のフィルタと、
前記第6のフィルタと直列に接続され、前記測定部の測定値から前記所定の周波数領域の成分を減衰させる第7のフィルタと、
を備え、
前記合成部は、さらに、前記第2と第4と第6と第7のフィルタを通過した前記測定部の測定値を合成し、合成された合成値を出力することを特徴とする。
試料を載置し、前記試料を載置した状態で移動するステージと、
レーザを用いて、前記ステージの移動位置を測定する測定部と、
所定のカットオフ周波数に設定した状態で前記測定部の測定値を通過させるローパスフィルタと、
前記所定のカットオフ周波数と同一なカットオフ周波数に設定した状態で、前記測定部の測定値を通過させる1組目のローパスフィルタとハイパスフィルタと、
前記所定のカットオフ周波数と同一なカットオフ周波数に設定した状態で、前記1組目のローパスフィルタとハイパスフィルタとのうちのハイパスフィルタを通過し、前記1組目のローパスフィルタとハイパスフィルタとのうちのローパスフィルタを通過する前の測定値を通過させる2組目のローパスフィルタとハイパスフィルタと、
前記ローパスフィルタを通過した前記測定部の測定値と、前記1組目のローパスフィルタとハイパスフィルタを通過した前記測定部の測定値と、前記2組目のローパスフィルタとハイパスフィルタを通過した前記測定部の測定値との合成値に基づいて、前記試料の所望する位置に所定のパターンを描画する描画部と、
を備えたことを特徴とする。
レーザを用いて、ステージの移動位置を測定する測定工程と、
所定のカットオフ周波数に設定されたローパスフィルタを用いて、前記測定工程により測定された測定値から非線形誤差成分を除去する非線形誤差成分除去工程と、
前記所定のカットオフ周波数に設定された1組目のローパスフィルタとハイパスフィルタとを用いて、前記測定工程により測定された測定値に対する速度比例の位置ずれの発生を補正する速度比例位置ずれ補正工程と、
前記所定のカットオフ周波数に設定された2組目のローパスフィルタとハイパスフィルタに、前記1組目のローパスフィルタとハイパスフィルタとのうちのハイパスフィルタを通過し、前記1組目のローパスフィルタとハイパスフィルタとのうちのローパスフィルタを通過する前の測定値を通過させることによって、前記測定値に対する加速度比例の位置ずれの発生を補正する加速度比例位置ずれ補正工程と、
を備えたことを特徴とする。
図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。
図1において、描画装置100は、描画部の一例となる電子鏡筒102、描画演算回路111、描画室103と、XYステージ105、駆動部106、測定部の一例となるレーザ干渉計300、位置演算部109、フィルタ部110を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、第1のアパーチャ203、投影レンズ204、偏向器205、第2のアパーチャ206、対物レンズ207、偏向器208を有している。レーザ干渉計300は、レーザ光源となるレーザヘッド107、ミラー104、光学系112、受光部108を有している。
試料101に描画する場合には、XYステージ105を駆動部106によりX方向に連続移動させながら、描画(露光)面を電子線200が偏向可能な短冊状の複数のストライプ領域に仮想分割された試料101の1つのストライプ領域上を電子線200が照射する。XYステージ105のX方向の移動は、連続移動とし、同時に電子線200のショット位置もステージ移動に追従させる。連続移動させることで描画時間を短縮させることができる。そして、1つのストライプ領域を描画し終わったら、XYステージ105を駆動部106によりY方向にステップ送りしてX方向(今度は逆向き)に次のストライプ領域の描画動作を行なう。各ストライプ領域の描画動作を蛇行させるように進めることでXYステージ105の移動時間を短縮することができる。
レーザ測長システムの一例であるレーザ干渉計300にて描画室103内に設置されたXYステージ105の位置を測定する。かかるレーザ干渉計300にて測定された測定値を位置演算部109にて位置成分のデータに変換する。そして、所定のカットオフ周波数に設定したローパスフィルタ(以降LPFという)122に前記位置成分のデータを通過させる。一方で、LPF122と並列に配置され、LPF122のカットオフ周波数と同一なカットオフ周波数に設定した1組目のハイパスフィルタ(以降HPFという)124とLPF126に、前記位置成分のデータを通過させる。さらに、HPF124と直列に、そしてLPF126と並列に配置され、LPF122のカットオフ周波数と同一なカットオフ周波数に設定した2組目のHPF134とLPF136に、HPF124を通過後の前記位置成分のデータを分岐して通過させる。そして、LPF122を通過したデータと1組目のHPF124とLPF126を通過したデータと1組目のHPF124と2組目のHPF134とLPF136を通過したデータとを合成部の一例となる加算器128で加算し合成する。そして、合成された合成値を描画部の描画演算回路111に出力する。
S(ステップ)502において、測定工程として、上述したように、レーザ干渉計300にて描画室103内に設置された連続移動するXYステージ105の位置を測定する。すなわち、描画室103内に設置されたXYステージ105上に取付けられたミラー104に、レーザ投光部となるレーザヘッド107から光学系112を介してレーザ光を当てて、反射したレーザ光を、光学系112を介して受光部108にて受光する。かかるレーザ干渉計300にて測定された測定値を位置演算部109にて位置成分のデータに変換する。ここで、上述したように、かかる位置成分のデータには、非線形誤差成分が内在している。
ここでは、図5に示すように、所定の一定加速度で加速された後、一定速度で移動し、さらに、前記所定の一定加速度で減速した後、また、反対方向に一定の加速度で加速し、一定速度で移動するといった、いわゆる台形速度パターンを示している。
上述した図5に示す台形パターンに沿って、XYステージ105を移動させると、図6に示すような変位パターンで推移する。レーザ測長の場合、光学的なパス(光路)の問題で非線形誤差成分を含んでしまう。具体的には、レーザ光中に混在している垂直波と水平波とが互いに干渉してしまい非線形誤差を生じさせる。すなわち、レーザ測長システム中のミラー等の反射により垂直波には水平波の成分が、水平波には垂直波の成分が干渉して非線形誤差を発生させてしまう。かかる非線形誤差成分が変位データにのってしまうこととなる。
図7(a)に示すように、LPF122を所定のカットオフ周波数に設定することで、レーザ干渉計300の測定値から変換された位置成分のデータから、高周波領域の非線形誤差成分を含む周波数領域を減衰させ、実質的に除去することができる。しかし、図7(b)に示すように、LPF122を通過させることで、位置成分のデータに位相遅れが生じてしまう。このままLPF122を通過したデータに基づいてXYステージ105の位置を判断すると、位相遅れによる位置ずれで、後述するビーム照射位置にずれが生じてしまう恐れがある。
カットオフ周波数をfn、時定数をτn(但し、τ=1/(2πf))、ラプラス演算子をSとして、図8(a)に示すように、LPF122の伝達関数式は、伝達関数G1(s)=1/(1+τ1・S)で示すことができる。しかし、レーザ干渉計300の測定値から変換された位置成分のデータをかかるLPF122を通過させただけの場合、図8(b)に示すように、τ1・S/(1+τ1・S)で示される1次の時間微分項、言い換えれば、速度成分項が残差として残ってしまうことがわかる。
図9に示すように、LPF122を通過させただけの場合、図5に示す台形速度パターンでは、速度比例の位置ずれが発生してしまう。
S506において、速度比例位置ずれ補正工程として、速度比例の位置ずれを補正する。第1のフィルタとしてLPF122と並列にHPF124とLPF126を通過させることで、速度比例の位置ずれを発生させずに、レーザ干渉計300の測定値から変換された位置成分のデータから、所定のカットオフ周波数で高周波領域の非線形誤差成分を含む周波数領域を減衰させることができる。
図10(b)に示すように、HPF124を通過させることで、位置成分のデータの位相が速まる。そして、図10(a)に示すように、LPF122が減衰させる周波数領域以外の成分を減衰させておく。さらに、LPF126を通過させることで、LPF122が減衰させる周波数領域の成分と同じ周波数領域の成分を減衰させておく。かかる位相を早め、かつLPF122と同じカットオフ周波数で両側の周波数領域を減衰させた位置成分のデータを形成する。
図11(b)に示すように、2つのデータを加算して合成することで、位相遅れを修正し、位相遅れが始まる周波数領域を高周波側にずらすことができる。また、図11(a)に示すように、ゲインの減衰開始位置も若干高周波側にずらすことができる。
カットオフ周波数をfn、時定数をτn(但し、τ=1/(2πf))、ラプラス演算子をSとして、HPF124の伝達関数式は、τ2・S/(1+τ2・S)で示すことができる。同様に、LPF126の伝達関数式は、1/(1+τ3・S)で示すことができる。ここで、LPF122とHPF124とLPF126のカットオフ周波数は、同一のカットオフ周波数が望ましい。ただし、上述したような非線形誤差成分の除去効果が認められる範囲での若干のずれを排除するものではない。同一のカットオフ周波数の場合、τ1=τ2=τ3となる。図8(a)に示した伝達関数式に1次の時間微分項(速度成分項)を補正すると、図12(a)に示すように、速度補正付きフィルタの伝達関数式は、G2(s)={1/(1+τ・S)}{1+τ・S/(1+τ・S)}で示すことができる。しかし、レーザ干渉計300の測定値から変換された位置成分のデータをかかる速度補正付きフィルタを通過させただけの場合、図12(b)に示すように、τ2・S2/(1+τ・S)2で示される2次の時間微分項、言い換えれば、加速度成分項が残差として残ってしまうことがわかる。
図13に示すように、LPF122と1組目のHPF124とLPF126とを通過させた場合、図5に示す台形速度パターンでは、加速度比例の位置ずれが発生してしまう。
S508において、加速度比例位置ずれ補正工程として、前記測定工程により測定された測定値から非線形加速度誤差成分を除去する。LPF122とLPF126とに並列にHPF124と直列に、HPF134とLPF136を通過させることで、加速度比例の位置ずれを発生させずに、レーザ干渉計300の測定値から変換された位置成分のデータから、所定のカットオフ周波数で高周波領域の非線形誤差成分を含む周波数領域を減衰させることができる。
図14(b)に示すように、3つのデータを加算して合成することで、位相遅れを修正し、位相遅れが始まる周波数領域を高周波側にずらすことができる。また、図14(a)に示すように、ゲインの減衰開始位置もさらに若干高周波側にずらすことができる。
カットオフ周波数をfn、時定数をτn(但し、τ=1/(2πf))、ラプラス演算子をSとして、HPF134の伝達関数式は、τ4・S/(1+τ2・S)で示すことができる。同様に、LPF136の伝達関数式は、1/(1+τ5・S)で示すことができる。ここで、LPF122とHPF124とLPF126とHPF134とLPF136のカットオフ周波数は、同一のカットオフ周波数が望ましい。ただし、上述したような非線形誤差成分の除去効果が認められる範囲での若干のずれを排除するものではない。同一のカットオフ周波数の場合、τ1=τ2=τ3=τ4=τ5となる。図12(a)に示した伝達関数式に2次の時間微分項(加速度成分項)を補正すると、図15(a)に示すように、加速度補正付きフィルタの伝達関数式は、G3(s)={1/(1+τ・S)}〔1+τ・S/(1+τ・S){1+τ・S/(1+τ・S)}〕で示すことができる。しかし、レーザ干渉計300の測定値から変換された位置成分のデータをかかる加速度補正付きフィルタを通過させた場合、図15(b)に示すように、τ3・S3/(1+τ・S)3で示される3次の時間微分項、言い換えれば、加加速度成分項が残差として残ってしまうことがわかる。
図16に示すように、LPF122と1組目のHPF124とLPF126と2組目のHPF134とLPF136とを通過させた場合、図5に示す台形速度パターンでは、一定加速度でXYステージ105が移動している場合の位置ずれを補正することができる様子を示している。ただし、スパイクノイズ状の位置ずれは残っていることを示している。
実施の形態1では、速度変化するXYステージの移動について、一定加速度で変化する場合について説明したが、加速度変化するXYステージの移動も想定するとより望ましい。実施の形態2では、XYステージの移動において加速度が変化する移動パターンの場合における非線形誤差成分の除去手法について説明する。描画装置100の構成は、図1と同様であるので説明を省略する。
レーザ測長システムの一例であるレーザ干渉計300にて描画室103内に設置されたXYステージ105の位置を測定する。かかるレーザ干渉計300にて測定された測定値を位置演算部109にて位置成分のデータに変換する。そして、所定のカットオフ周波数に設定したLPF122に前記位置成分のデータを通過させる。一方で、LPF122と並列に配置され、LPF122のカットオフ周波数と同一なカットオフ周波数に設定した1組目のHPF124とLPF126に、前記位置成分のデータを通過させる。さらに、HPF124と直列に、そしてLPF126と並列に配置され、LPF122のカットオフ周波数と同一なカットオフ周波数に設定した2組目のHPF134とLPF136に、HPF124を通過後の前記位置成分のデータを分岐して通過させる。そして、実施の形態2では、さらに、HPF134と直列に、そしてLPF136と並列に配置され、LPF122のカットオフ周波数と同一なカットオフ周波数に設定した3組目のHPF144とLPF146に、HPF134を通過後の前記位置成分のデータを分岐して通過させる。そして、LPF122を通過したデータと1組目のHPF124とLPF126を通過したデータと1組目のHPF124と2組目のHPF134とLPF136を通過したデータと1組目のLPF124と2組目のHPF134と3組目のHPF144とLPF146を通過したデータとを合成部の一例となる加算器128で加算し合成する。そして、合成された合成値を描画部の描画演算回路111に出力する。
図18(a)では、加速度パターンの一例を示し、かかる加速度パターンを時間で積分して図18(b)に示す速度パターンの一例を示している。ここでは、図18(a)と図18(b)に示すように、所定の一定の加加速度で加速された後、さらに、前記所定の一定の加加速度で減速した後、図18(b)に示すように、一定速度で移動する。そして、図18(a)と図18(b)に示すように、前記所定の一定の加加速度で反対方向に加速した後、前記所定の一定の加加速度で減速し、その後、図18(b)に示すように、一定速度で移動する。かかる加速度変更パターンを示している。
図19に示すように、LPF122を通過させただけの場合、図18に示す加速度変更パターンでは、速度比例の位置ずれが発生してしまう。
図20に示すように、LPF122と1組目のHPF124とLPF126とを通過させた場合、図14に示す加速度変更パターンでは、加速度比例の位置ずれが残ってしまう。
図21に示すように、LPF122と1組目のHPF124とLPF126と2組目のHPF134とLPF136とを通過させた場合、図18に示す加速度変更パターンでは、加加速度比例の位置ずれが残る。
図22(a)では、加速度パターンの一例を示し、かかる加速度パターンを時間で積分して図22(b)に示す速度パターンの一例を示している。ここでは、図22(a)と図22(b)に示すように、所定の一定の加加速度で加速された後、さらに、前記所定の一定の加加速度で減速した後、図22(b)に示すように、一定速度で移動する。そして、図22(a)と図22(b)に示すように、前記所定の一定の加加速度で反対方向に加速した後、前記所定の一定の加加速度で減速し、その後、図22(b)に示すように、一定速度で移動する。かかる加速度変更パターンを示している。
図23に示すように、LPF122と1組目のHPF124とLPF126と2組目のHPF134とLPF136とを通過させた場合、図22に示す加速度変更パターンでは、加加速度比例の位置ずれが残る。ただし、ここでは、カットオフ周波数を変化させることで、一定加加速度成分の大きさを調整すること、すなわち、小さくすることができることを示している。例えば、カットオフ周波数を100Hzから300Hz側に大きくしていくことで、ここでは、一定加加速度成分の大きさを小さくすることができる一例を示している。しかし、図15(b)において説明したように、加加速度成分項が残差として残ってしまい、かかる加加速度成分項をゼロにすることはできていない。
図示していない加加速度比例位置ずれ補正工程として、加加速度比例の位置ずれを補正する。LPF122とLPF126とLPF136とに並列にHPF124とHPF134とに直列に、HPF144とLPF146を通過させることで、加加速度比例の位置ずれを補正し、レーザ干渉計300の測定値から変換された位置成分のデータから、所定のカットオフ周波数で高周波領域の非線形誤差成分を含む周波数領域を減衰させることができる。
図24(b)に示すように、4つのデータを加算して合成することで、位相遅れを修正し、位相遅れが始まる周波数領域をさらに高周波側にずらすことができる。また、図24(a)に示すように、ゲインの減衰開始位置もさらに若干高周波側にずらすことができる。
カットオフ周波数をfn、時定数をτn(但し、τ=1/(2πf))、ラプラス演算子をSとして、HPF144の伝達関数式は、τ6・S/(1+τ2・S)で示すことができる。同様に、LPF146の伝達関数式は、1/(1+τ7・S)で示すことができる。ここで、LPF122とHPF124とLPF126とHPF134とLPF136とHPF144とLPF146のカットオフ周波数は、同一のカットオフ周波数が望ましい。ただし、上述したような非線形誤差成分の除去効果が認められる範囲での若干のずれを排除するものではない。同一のカットオフ周波数の場合、τ1=τ2=τ3=τ4=τ5=τ6=τ7となる。図15(a)に示した伝達関数式に3次の時間微分項(加加速度成分項)を補正すると、図25(a)に示すように、加加速度補正付きデジタルフィルタの伝達関数式は、G4(s)={1/(1+τ・S)}〔1+τ・S/(1+τ・S)〔1+τ・S/(1+τ・S){1+τ・S/(1+τ・S)}〕〕で示すことができる。しかし、レーザ干渉計300の測定値から変換された位置成分のデータをかかる加加速度補正付きデジタルフィルタを通過させた場合、図25(b)に示すように、τ4・S4/(1+τ・S)4で示される4次の時間微分項が残差として残ってしまうことがわかる。
図26に示すように、LPF122と1組目のHPF124とLPF126と2組目のHPF134とLPF136と3組目のHPF144とLPF146とを通過させた場合、図22に示す加速度変更パターンでは、加加速度比例の位置ずれまでは除去されている。ただし、加加加速度比例の位置ずれは残ってしまう。
図27(a)では、周波数に対するゲインの関係を示している。図27(b)では、周波数に対する位相の関係を示している。図27(b)に示すように、高次の補正、加加速度補正側に向かって位相遅れが始まる周波数領をさらに高周波側にずらすことができる。よって、加加速度補正側に向かってより位置ずれを抑制することができる。
図28(a)には、従来技術として、本実施の形態1或いは本実施の形態2における組合わせフィルタを通さないで電子線露光を行なった場合を示している。非線形誤差成分により正確なXYステージ105の位置が測定できないため、XYステージ105上の試料101の所望する位置も正確に特定することができない。その結果、電子線のショット位置がずれてしまう。図28(a)では、位置ずれによりパターンが断線している様子を示している。これに対し、上述した各実施の形態における組合わせフィルタを通すことにより、非線形誤差成分が除去され、高精度なXYステージ105の位置を測定することができる。その結果、図28(b)に示すように、電子線のショット位置にずれがなく、所望する位置に所定のパターンを描画することができる。
101,340 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
104 ミラー
105 XYステージ
106 駆動部
107 レーザヘッド
108 受光部
109 位置演算部
110 フィルタ部
111 描画演算回路
112 光学系
122,126,136,146 LPF
124,134,144 HPF
128 加算器
200,330 電子線
201 電子銃
202 照明レンズ
203,206,410,420 アパーチャ
204 投影レンズ
205,208 偏向器
207 対物レンズ
300 レーザ干渉計
411 開口
421 可変成形開口
430 荷電粒子ソース
Claims (5)
- 移動可能なステージと、
レーザを用いて、前記ステージの移動位置を測定する測定部と、
前記測定部の測定値から所定の周波数領域の成分を減衰させる第1のフィルタと、
前記第1のフィルタと並列に接続され、前記測定部の測定値から前記所定の周波数領域以外の成分を減衰させる第2のフィルタと、
前記第2のフィルタと直列に接続され、前記測定部の測定値から前記所定の周波数領域の成分を減衰させる第3のフィルタと、
前記第2のフィルタと直列に前記第3のフィルタと並列に接続され、前記測定部の測定値から前記所定の周波数領域以外の成分を減衰させる第4のフィルタと、
前記第4のフィルタと直列に接続され、前記測定部の測定値から前記所定の周波数領域の成分を減衰させる第5のフィルタと、
前記第1のフィルタを通過した前記測定部の測定値と、前記第2と第3のフィルタを通過した前記測定部の測定値と、前記第2と第4と第5のフィルタを通過した前記測定部の測定値とを合成し、合成された合成値を出力する合成部と、
を備えたことを特徴とする位置測定装置。 - 前記第1と第3のフィルタとして、ローパスフィルタを用い、
前記第2のフィルタとして、ハイパスフィルタを用い、
前記第4のフィルタとして、ハイパスフィルタとローパスフィルタとのうち、いずれか一方を用い、
前記第5のフィルタとして、前記ローパスフィルタとハイパスフィルタとのうち、前記第4のフィルタとは逆の一方を用いることを特徴とする請求項1記載の位置測定装置。 - 前記位置測定装置は、さらに、
前記第4のフィルタと直列に前記第5のフィルタと並列に接続され、前記測定部の測定値から前記所定の周波数領域以外の成分を減衰させる第6のフィルタと、
前記第6のフィルタと直列に接続され、前記測定部の測定値から前記所定の周波数領域の成分を減衰させる第7のフィルタと、
を備え、
前記合成部は、さらに、前記第2と第4と第6と第7のフィルタを通過した前記測定部の測定値を合成し、合成された合成値を出力することを特徴とする請求項1記載の位置測定装置。 - 試料を載置し、前記試料を載置した状態で移動するステージと、
レーザを用いて、前記ステージの移動位置を測定する測定部と、
所定のカットオフ周波数に設定した状態で前記測定部の測定値を通過させるローパスフィルタと、
前記所定のカットオフ周波数と同一なカットオフ周波数に設定した状態で、前記測定部の測定値を通過させる1組目のローパスフィルタとハイパスフィルタと、
前記所定のカットオフ周波数と同一なカットオフ周波数に設定した状態で、前記1組目のローパスフィルタとハイパスフィルタとのうちのハイパスフィルタを通過し、前記1組目のローパスフィルタとハイパスフィルタとのうちのローパスフィルタを通過する前の測定値を通過させる2組目のローパスフィルタとハイパスフィルタと、
前記ローパスフィルタを通過した前記測定部の測定値と、前記1組目のローパスフィルタとハイパスフィルタを通過した前記測定部の測定値と、前記2組目のローパスフィルタとハイパスフィルタを通過した前記測定部の測定値との合成値に基づいて、前記試料の所望する位置に所定のパターンを描画する描画部と、
を備えたことを特徴とする描画装置。 - レーザを用いて、ステージの移動位置を測定する測定工程と、
所定のカットオフ周波数に設定されたローパスフィルタを用いて、前記測定工程により測定された測定値から非線形誤差成分を除去する非線形誤差成分除去工程と、
前記所定のカットオフ周波数に設定された1組目のローパスフィルタとハイパスフィルタとを用いて、前記測定工程により測定された測定値に対する速度比例の位置ずれの発生を補正する速度比例位置ずれ補正工程と、
前記所定のカットオフ周波数に設定された2組目のローパスフィルタとハイパスフィルタに、前記1組目のローパスフィルタとハイパスフィルタとのうちのハイパスフィルタを通過し、前記1組目のローパスフィルタとハイパスフィルタとのうちのローパスフィルタを通過する前の測定値を通過させることによって、前記測定値に対する加速度比例の位置ずれの発生を補正する加速度比例位置ずれ補正工程と、
を備えたことを特徴とする位置測定方法。
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