JP4271994B2 - ヘテロポリ酸塩担持触媒及びその製造方法 - Google Patents

ヘテロポリ酸塩担持触媒及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はヘテロポリ酸塩を無機微粒子に担持した触媒、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘテロポリ酸またはその塩は、水酸基含有化合物とカルボキシル基含有化合物のエステル化、オレフィン化合物の水和反応、メタクリロレインの酸化反応などに有効な触媒として工業的に広く使用されている。しかしながらヘテロポリ酸またはその塩のほとんどが、水やアルコールなどの極性溶媒に可溶であり、極性溶剤を含む媒体中で触媒として用いたときには溶出が起こり、長期にわたって連続的に使用できないという問題を有していた。
【0003】
これに対して、ヘテロポリ酸またはその塩を活性炭等の微粒子に担持させた触媒を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、これでも脱離及び溶出により触媒の耐久性としては充分でないという問題を有していた。
【0004】
更に、金属酸化物のゾルとヘテロポリ酸を混合し、次いで焼成して成る触媒により耐久性が向上した触媒の調製方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら本触媒においてもヘテロポリ酸自体が水溶性であるため脱離及び溶出が起こり、その耐久性には限界があった。
【0005】
また比較的イオン半径の大きいカチオンを持つ塩例えばセシウム塩、ルビジウム塩、バリウム塩を用いた場合には極性溶媒に不溶化できるが、これをそのまま用いたのではその粒径より反応液からの分離が難しいという問題がある。またこれをシリカ等の無機微粒子に担持させた触媒の調製法も開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしこれもヘテロポリ酸塩と無機担体とを単に混合しただけではヘテロポリ酸塩が脱離してしまい長期にわたって連続的に使用できない問題を有していた。
【0006】
【特許文献1】
特開昭57−130954号公報
【特許文献2】
特開平6−320003号公報
【特許文献3】
特開2002−79088号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、エステル化反応や水和反応など極性溶媒が多量に存在する液相下の反応に使用した場合においても、長期にわたり溶出及び脱離が起こらず反応活性を維持し、安定的に使用可能である触媒の提供、及び該触媒の製造方法の提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明はヘテロポリ酸塩(A)が金属酸化物(B)に担持されてなり、(A)の重量が(B)の重量に対して10重量%〜300重量%であり、かつ80℃の温水に2時間浸漬したときの(A)と(B)の合計の重量に対する(A)の脱離重量が1重量%以下であることを特徴とするヘテロポリ酸塩担持触媒(C);ならびにヘテロポリ酸塩(A)の水分散液中でアルコキシ基を有する有機金属化合物(D)のゾルーゲル反応によって得られるゲルを乾燥した後、200℃〜1000℃の温度で焼成して得られることを特徴とするヘテロポリ酸塩担持触媒(C)の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について説明する。
本発明のヘテロポリ酸担持触媒(C)を特徴付けるのは、ヘテロポリ酸塩(A)が金属酸化物(B)に担持されてなり、(A)の重量が(B)の重量に対して10重量%〜300重量%であり、かつ80℃の温水に2時間浸漬したときの(A)と(B)の合計の重量に対する(A)の脱離重量が1重量%以下であることである。
【0010】
本発明の触媒に用いるヘテロポリ酸塩(A)とは、ヘテロポリ酸(A0)に対して金属塩化合物(A11)又はアンモニウム塩(A12)を用いて、その水素原子の一部又は全てを置換した金属塩あるいはオニウム塩であれば特に制限はない。
【0011】
上記ヘテロポリ酸(A0)とは、中心元素及び酸素が結合した周辺元素からなるものである。中心元素は好ましくは珪素又はリンであるが、これに限定されるものではなく、周期律表の1族〜17族の元素から選ばれた任意の一つからなることができる。
【0012】
中心元素としては二価のベリリウム、亜鉛、コバルト又はニッケルイオン;三価のホウ素、アルミニウム、ガリウム、鉄、セリウム、ヒ素、アンチモン、燐、ビスマス、クロム又はロジウムイオン;四価の珪素、ゲルマニウム、錫、チタン、ジルコニウム、バナジウム、硫黄、テルル、マンガン、ニッケル、白金、トリウム、ハフニウム、セリウムイオン及び他の希土類イオン;五価の燐、ヒ素、バナジウム、アンチモンイオン;六価のテルルイオン;及び七価のヨウ素イオン等を挙げることができる。これらのうち好ましいのは珪素、リンである。
【0013】
酸素が結合した周辺元素としては、タングステン、モリブデン、バナジウム、ニオブ、タンタル等の酸化物を挙げることができる。これらのうち好ましいのはタングステン、モリブデンの酸化物である。化学式としてはMxOy(M・・周辺元素、O・・酸素)で示すことができ、好ましくはx=5〜15、y=30〜50である。
【0014】
中心元素及び酸素が結合した周辺元素からなるヘテロポリ酸は「ポリオキソアニオン」、「ポリオキソ金属塩」または「酸化金属クラスター」として知られている。よく知られているアニオン類のいくつかの構造は、例えばケギン、ウエルス−ドーソン及びアンダーソン−エバンス−ペアロフ構造として知られている。ヘテロポリ酸は、通常高分子量、例えば700〜8500の範囲の分子量を有し、その単量体だけではなく二量体錯体を含む。
【0015】
ヘテロポリ酸(A0)の例としては、ケイタングステン酸 H4[SiW1240].xH2O、リンタングステン酸 H3[PW1240].xH2O、リンモリブデン酸 H3[PMo1240].xH2O、ケイモリブデン酸 H4[SiMo1240].xH2O、ケイバナドタングステン酸 H4+n[SiVn12-n40].xH2O、リンバナドタングステン酸 H3+n[PVn12-n40].xH2O、リンバナドモリブデン酸 H3+n[PVnMo12-n40].xH2O、ケイバナドモリブデン酸 H4+n[SiVnMo12-n40].xH2O、ケイモリブドタングステン酸 H4[SiMon12-n40].xH2O、リンモリブドタングステン酸 H3[PMon12-n40].xH2O(ただし、nは1〜11の整数を、xは1以上の整数を示す。)等が挙げられる。これらのうち好ましいのはリンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸である。
【0016】
このようなヘテロポリ酸の合成方法としては特に制限はなく、どのような方法を用いたものでよい。例えば、モリブデン酸、またはタングステン酸の塩とヘテロ原子の単純酸素酸またはその塩を含む酸性水溶液(pH1〜pH2程度)を熱することによって得ることができる。生成したヘテロポリ酸水溶液からヘテロポリ酸化合物を単離するには、金属塩として晶析分離する方法などがあるが、これに限定するわけではない。また、合成したヘテロポリ酸のケギン構造の確認には、化学分析のほか、X線回折、UV、IRの測定で行うことができる。
【0017】
また金属塩化合物(A11)としては、第3周期金属の硝酸、硫酸、酢酸、炭酸塩化合物(A111)、第4周期金属の硝酸、硫酸、酢酸、炭酸塩化合物(A112)、第6周期金属の硝酸、硫酸、酢酸、炭酸塩化合物(A113)等が挙げられる。(A111)としては硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硝酸マグネシウム六水和物、酢酸マグネシウム四水和物、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。(A112)としては硝酸カリウム、酢酸カリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、硝酸銅、酢酸銅、硫酸銅、炭酸銅、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。(A113)としては硝酸バリウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硝酸セシウム、酢酸セシウム、炭酸セシウム、硫酸セシウム、塩化セシウム等が挙げられる。さらにアンモニウム塩(A12)としては酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、クエン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸ニアンモニウム、リン酸一アンモニウム、硫酸アンモニウムなどを挙げることができる。これらのうち好ましいのは金属塩化合物であり、さらに好ましくは第6周期金属の硝酸、硫酸、酢酸、炭酸塩化合物であり、特に好ましくは炭酸セシウム、硫酸バリウムである。
【0018】
本発明に用いることのできるヘテロポリ酸塩(A)の好ましい例としては、上記の好ましいヘテロポリ酸のバリウム塩、セシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。特に好ましくはケイタングステン酸のバリウム塩、セシウム塩、リンタングステン酸のバリウム塩、セシウム塩である。
【0019】
またヘテロポリ酸塩(A)の25℃の水100gに対する水溶解度は、触媒の耐久性の観点より1g以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5g以下である。
【0020】
本発明の触媒(C)においては、これらのヘテロポリ酸塩(A)からなる群の2種以上用いることも可能である。
【0021】
本発明の触媒に用いる金属化合物(B)としてはシリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、シリカチタニアといった無機質担体を挙げることができる。これらうち好ましくはシリカ、シリカチタニアが挙げられる。
【0022】
金属酸化物(B)の形状には特に制限はない。適用される反応形式に応じて粉末状、球状、ペレット状、その他任意の形状のものを使用することができる。好ましくは球形、平均直径1mm〜20mmの範囲である。
【0023】
金属酸化物(B)の比表面積としてはBET法による比表面積の値が50m2/g〜500m2/gの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは100m2/g〜400m2/gの範囲である。
【0024】
また本発明のヘテロポリ酸塩担持触媒(C)の比表面積としてはヘテロポリ酸及び/または塩を坦持して調製した後に、該触媒のBET法による比表面積の値が80m2/g〜480m2/gの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは100m2/g〜350m2/gの範囲である。
【0025】
本発明のヘテロポリ酸塩担持触媒(C)は、上記したヘテロポリ酸塩(A)と金属酸化物(B)の混合物となっている。これらの混合比は反応活性と耐久性の観点から(A)の重量が(B)の重量に対して10重量%〜300重量%であり、好ましくは50重量%〜250重量%であり、さらに好ましくは100重量%〜250重量%である。10重量%未満であると触媒活性が極端に低くなり、300重量%を越えると未担持のヘテロポリ酸塩が反応液に脱離してしまう。(A)と(B)の混合比は触媒調製時、原料の仕込量を調整することで可能である。
【0026】
本発明のヘテロポリ酸塩担持触媒(C)は、極性溶媒中に浸漬してもヘテロポリ酸の脱離が極めて少ない。即ち本発明のヘテロポリ酸担持触媒を80℃の温水中に3時間浸漬したときのヘテロポリ酸の脱離重量は、担持されていたヘテロポリ酸触媒全体に対する重量で1%以下であり、好ましくは0.5%以下である。(A)と(B)の合計の重量に対する(A)の脱離重量が1%を超えると、多量の極性溶媒中での反応に用いた時に脱離してしまい、長期にわたって安定的に使用することができなくなる。
(A)の脱離重量が1%以下の 上記(C)は、水溶解度の低いヘテロポリ酸塩、例えば上記ヘテロポリ酸塩(A)の25℃の水100gに対する水溶解度が1g以下であるヘテロポリ酸塩をシリカ等の無機担体に担持することで得られる。
【0027】
本発明のヘテロポリ酸触媒(C)の製造方法を特徴付けるのは、ヘテロポリ酸塩(A)の水分散液中でアルコキシ基を有する有機金属化合物(D)のゾルーゲル反応によって得られるゲルを乾燥した後、200℃〜1000℃の温度で焼成して得る方法である。
【0028】
ヘテロポリ酸塩(A)の水分散液は公知の方法で製造することができるが、例えば水攪拌下にヘテロポリ酸塩(A)を投入し分散する方法、ヘテロポリ酸(A0)の水溶液に金属塩化合物(A11)あるいはアンモニウム塩(A12)を投入し、反応させることで析出させ水分散体を得る方法等が挙げられる。水分散液の固形分濃度は通常10〜60重量%であり、好ましくは30〜50重量%である。
【0029】
アルコキシ基を有する有機金属化合物(D)としては水溶液中で加水分解反応(ゾルーゲル反応)を起こす必要があり、例えば有機ケイ素化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタニウム化合物等が挙げられる。有機ケイ素化合物としてはテトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、有機アルミニウム化合物としてはトリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、有機チタニウム化合物としてはテトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン等が挙げられる。これらのうち好ましくは有機ケイ素化合物であり、さらに好ましくはテトラエトキシシランである。
【0030】
(D)の加水分解反応(ゾルーゲル反応)は公知の方法で行うことができるが、例えば(D)を溶剤(E)に溶解させた後、これをヘテロポリ酸塩水分散液の中へ攪拌下に滴下し、その後40℃〜90℃の温度で、2hr〜10hr反応させて行う方法等を挙げることができる。本反応に必要に応じてヘテロポリ酸塩水分散液に酸触媒(F)を加えることも可能である。
【0031】
上記ゾルーゲル反応において、反応活性と耐久性の観点よりヘテロポリ酸塩(A)の重量は有機金属化合物(D)の重量に対して7%〜300%であり、好ましくは35%〜250%であり、さらに好ましくは70%〜200%である。
【0032】
本発明で用いることのできる溶剤(E)としてはアルコール類、高沸点溶剤類等が挙げられる。アルコール類としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられ、高沸点溶剤類としてはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらのうち好ましくはアルコール類であり、さらに好ましくはエタノール、プロパノールである。
【0033】
本発明で用いることのできる酸触媒(F)としてはプロトン酸類、ルイス酸類等が挙げられる。プロトン酸類としては塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等が挙げられ、ルイス酸類としては塩化アルミニウム、3フッ化ホウ素等が挙げられる。これらのうち好ましくはプロトン酸類であり、さらに好ましくは塩酸、硫酸である。酸触媒(F)は通常上記(D)に対して0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜1.5重量パーセント添加して用いる。
【0034】
上記ゾルーゲル反応によって得られたゲル混合物は蒸発乾固、ろ過、遠心分離等の公知の方法で反応液から分離される。このゲル混合物を必要により40℃〜150℃の循風乾燥機にて乾燥させることで固形分濃度95%〜100%の混合物を得ることができる。
【0035】
本発明の製造方法では耐久性を向上させるため上記混合物を焼成してヘテロポリ酸担持触媒(C)を得る。焼成の温度は特に制限されないがヘテロポリ酸塩の触媒能を損なわずに脱離量を少なくするために、200℃〜1000℃、好ましくは250℃〜500℃の範囲で行われる。また焼成時間も特に制限されないが1〜10時間、好ましくは3〜7時間の範囲で行われる。
【0036】
本発明のヘテロポリ酸塩担持触媒(C)は特に液相における水酸基含有化合物とカルボンキシル基含有化合物とのエステル化反応に効果的に用いることができ、長期にわたり活性を維持し安定的に使用することが可能である。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において「部」は重量部、「%」は重量%を示す。なお以下に示す水溶解度とは触媒を10g秤量し、50gの水に1時間浸漬した後、濾過して不溶解分を取り除きこれを80℃×12時間乾燥させた重量から以下の式によって計算された値である。
水溶解度(%)=[(10−乾燥後重量)/10]×100
【0038】
触媒1:リンタングステン酸(H3PW12O40)40gを80gの水に溶解させヘテロポリ酸水溶液を調製する。これに炭酸セシウム3.7g投入し、反応析出させリンタングステン酸セシウム塩(A−1:水溶解度0.3%)水分散液を得る。次いで本水分散液40℃攪拌下にテトラエトキシシラン50重量%エタノール溶液210gを滴下しながら加える(滴下時間10分間)。滴下終了後80℃に昇温し、5時間反応させる。反応終了後生成したゲル混合物を120℃の循風乾燥機にて8時間乾燥させる。得られた混合物を300℃の焼成炉に入れ、12時間焼成を行いヘテロポリ酸塩担持触媒(触媒1)を得た。
【0039】
触媒2:リンタングステン酸(H3PW12O40)40gを80gの水に溶解させヘテロポリ酸水溶液を調製する。これに酢酸バリウム3.5g投入し、反応析出させリンタングステン酸バリウム塩(A−2:水溶解度0.5%)水分散液を得る。次いで本水分散液40℃攪拌下にテトライソプロポキシシラン50重量%エタノール溶液90gを滴下しながら加える(滴下時間10分間)。滴下終了後80℃に昇温し、5時間反応させる。反応終了後生成したゲル混合物を120℃の循風乾燥機にて8時間乾燥させる。得られた混合物を300℃の焼成炉に入れ、12時間焼成を行いヘテロポリ酸塩担持触媒(触媒2)を得た。
【0040】
触媒3:ケイタングステン酸(H3SiW12O40)40gを80gの水に溶解させヘテロポリ酸水溶液を調製する。これに炭酸セシウム3.5g投入し、反応析出させケイタングステン酸セシウム塩(A−3:水溶解度0.6%)水分散液を得る。次いで本水分散液40℃攪拌下にテトラエトキシチタン50重量%エタノール溶液60gを滴下しながら加える(滴下時間10分間)。滴下終了後80℃に昇温し、5時間反応させる。反応終了後生成したゲル混合物を120℃の循風乾燥機にて8時間乾燥させる。得られた混合物を300℃の焼成炉に入れ、12時間焼成を行いヘテロポリ酸塩担持触媒(触媒3)を得た。
【0041】
触媒4:リンタングステン酸(H3PW12O40:A−4:水溶解度92.7%)40gを80gの水に溶解させヘテロポリ酸水溶液を調製し、次いで本水溶液40℃攪拌下にテトラエトキシシラン50重量%エタノール溶液90gを滴下しながら加える(滴下時間10分間)。滴下終了後80℃に昇温し、5時間反応させる。反応終了後生成したゲル混合物を120℃の循風乾燥機にて8時間乾燥させる。得られた混合物を300℃の焼成炉に入れ、12時間焼成を行いヘテロポリ酸塩担持触媒(触媒4)を得た。
【0042】
触媒5:リンタングステン酸ナトリウム(H3PW12O40:A−5:水溶解度95.1%)40gを80gの水に溶解させヘテロポリ酸塩水溶液を調製し、次いで本水溶液40℃攪拌下にテトラエトキシシラン50重量%エタノール溶液90gを滴下しながら加える(滴下時間10分間)。滴下終了後80℃に昇温し、5時間反応させる。反応終了後生成したゲル混合物を120℃の循風乾燥機にて8時間乾燥させる。得られた混合物を300℃の焼成炉に入れ、12時間焼成を行いヘテロポリ酸塩担持触媒(触媒5)を得た。
【0043】
触媒6:上記リンタングステン酸セシウム塩(A−1:水溶解度0.3%)水分散液 40℃攪拌下に合成シリカゲル(富士シリシア化学(株)社製CARiACTG−10)40g添加し、2時間含浸させる。次いで生成した混合物を120℃の循風乾燥機にて8時間乾燥させる。得られた混合物を300℃の焼成炉に入れ、12時間焼成を行いヘテロポリ酸塩担持触媒(触媒6)を得た。
【0044】
触媒7:上記リンタングステン酸バリウム塩(A−2:水溶解度0.3%)水分散液40℃攪拌下にテトラエトキシシラン50重量%エタノール溶液90gを滴下しながら加える(滴下時間10分間)。滴下終了後80℃に昇温し、5時間反応させる。反応終了後生成したゲル混合物を120℃の循風乾燥機にて8時間乾燥させる。得られた混合物を300℃の焼成炉に入れ、12時間焼成を行いヘテロポリ酸塩担持触媒(触媒7)を得た。
【0045】
上記触媒1〜7を10g秤量し、これを80℃の温水30gに浸漬する。3時間後遠心分離機を用いて分離し、上澄みを100℃×6時間で蒸発乾固し、残った固形分の重量を測定する。以下の式にて脱離重量を計算し表1に示した。
脱離重量(%)=(固形分重量(g)×100)/10(g)
またBET法において各触媒の比表面積を測定し表1に示した。
【0046】
【表1】
Figure 0004271994
【0047】
[実施例1〜3、比較例1〜4]表1に示した各触媒それぞれ50gを押し出し流れ型流通式反応器に充填し、表2に示す反応条件(触媒種類、反応温度、原料種類、カルボン酸・水酸基等量比)で反応を行った。連続運転開始3時間後、200時間後に得られた生成液についてNMRの分析結果に基づく生成物の組成及び仕込量から下記の式により計算された「転化率(%)」で転化率を算出した。また活性保持率を以下の式にて計算し、結果を表3に示した。
【0048】
転化率(モル%)
=(生成したエステルのモル数/供給したアルコールのモル数)×100
活性保持率(%)
=(200時間連続運転後の水酸基含有化合物の転化率/運転開始3時間後の水酸基含有化合物の転化率)×100
【0049】
【表2】
Figure 0004271994
【0050】
【表3】
Figure 0004271994
【0051】
表3よりヘテロポリ酸の担持量が少なすぎる触媒7を用いた比較例4では初期反応活性が大きく劣る。またヘテロポリ酸を用いた触媒4、ヘテロポリ酸のナトリウム塩を用いた触媒5では担持前のヘテロポリ酸/塩触媒の水溶解度が高いため、活性保持率が低い。さらに金属酸化物への担持法として、担体へ含浸することで得た触媒6でも活性保持率が低く、触媒耐久性の点で劣ることは明らかである。
【0052】
【発明の効果】
以上より、ヘテロポリ酸塩水分散液中でアルコキシ基を有する有機金属化合物をゾルーゲル反応させ、乾燥後焼成して得ることのできる本発明のヘテロポリ酸塩担持触媒は、温水に浸漬したときのヘテロポリ酸塩の脱離重量が少なく、反応における初期活性が高く、且つ工業的に実施するうえで十分な触媒寿命を持ち、反応を長時間連続的に安定して行うことができる。上記効果を有することから、特に極性溶媒が系中に存在する液相でのエステル化反応等に有用である。

Claims (4)

  1. ヘテロポリ酸塩(A)が金属酸化物(B)に担持されてなり、(A)がケイタングステン酸 H4[SiW1240].xH2O、リンタングステン酸 H3[PW1240].xH2O、リンモリブデン酸 H3[PMo1240].xH2O、ケイモリブデン酸 H4[SiMo1240].xH2O、ケイバナドタングステン酸 H4n[SiVn12n40].xH2O、リンバナドタングステン酸 H3n[PVn12n40].xH2O、リンバナドモリブデン酸 H3n[PVnMo12n40].xH2O、ケイバナドモリブデン酸 H4n[SiVnMo12n40].xH2O、ケイモリブドタングステン酸 H4[SiMon12n40].xH2O及びリンモリブドタングステン酸 H3[PMon12n40].xH2O(ただし、nは1〜11の整数を、xは1以上の整数を示す。)からなる群から選ばれる少なくとも1種であるヘテロポリ酸のセシウム塩、バリウム塩、及びカルシウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の塩であり、(B)がシリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア及びシリカチタニアからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、(A)の重量が(B)の重量に対して10重量%〜300重量%であり、かつ80℃の温水に3時間浸漬したときの(A)と(B)の合計の重量に対する(A)の脱離重量が1重量%以下であることを特徴とする液相で水酸基含有化合物とカルボキシル基含有化合物とからカルボン酸エステルを製造する際に用いる触媒であるヘテロポリ酸塩担持触媒(C)。
  2. 上記ヘテロポリ酸塩(A)の25℃の水100gに対する水溶解度が1g以下である請求項1記載のヘテロポリ酸塩担持触媒(C)。
  3. ヘテロポリ酸塩(A)の水分散液中でアルコキシ基を有する有機金属化合物(D)のゾルーゲル反応によって得られるゲルを乾燥した後、200℃〜1000℃の温度で焼成して得られることを特徴とする請求項1または2記載のヘテロポリ酸塩担持触媒(C)の製造方法。
  4. 有機金属化合物(D)がケイ素原子を有する金属アルコキサイドである請求項3記載のヘテロポリ酸塩担持触媒(C)の製造方法。
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