JP4271957B2 - 高周波用電子装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波領域で動作する電子回路を収容して電磁シールドする高周波用電子装置、その製造方法および高周波用シールドパッケージに関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロ波、ミリ波などの高周波領域で動作する電子回路(高周波用電子部品が実装された配線基板や半導体チップなど)は、携帯電話、通信機器、衛星、レーダーなどに用いられており、高信頼性が要求されると共に、外部からの電磁波の干渉および外部への電磁波の漏洩を防止するために、電磁シールド機能を有した材料で形成された箱状のシールドケースと、このシールドケースの開口を塞ぐ電磁シールド機能を有した材料で形成された平板状のシールドカバーとで構成されたパッケージ(高周波用シールドパッケージ)に収容されて使用されている。
【0003】
また、さらに、このようなパッケージ内部に収容された高周波領域で動作する電子回路は、複数の機能の異なる回路領域で構成されていることが多く、回路領域間の電磁的相互干渉による誤動作を防止するために、パッケージ内部においても機能の異なる回路領域間の電磁シールドを行う必要がある。
このため、パッケージ内部の中空部に電磁的に分離された複数のキャビティ(小部屋)を形成し、機能の異なる回路領域を電磁的に分離されたキャビティに配置することにより、回路領域間の電磁的相互干渉を防止することが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、機械加工によって複数のキャビティを形成するための隔壁が設けられ、開口を有した箱体状の導電性の枠体(即ち、シールドケース)と、この枠体の開口を塞ぐ平面蓋体(即ち、シールドカバー)とからなる高周波用シールドパッケージの構造において、平面蓋体と接触する枠体の開口縁のネジ止め部以外の全周に凹部状の溝(エンボス)を形成し、かつ、平面蓋体の上記枠体の開口縁と接触する部分に凹部状の溝と嵌合する凸部が形成され、ネジの締結時に平面蓋体の凸部が枠体の開口縁の凹部状の溝に嵌合することにより、枠体に平面蓋体を固定するようにした高周波用シールドケース構造(即ち、高周波用シールドパッケージの構造)が示されている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示された高周波用シールドケース構造には、次のような問題点がある
第1に、枠体(シールドケース)に平面蓋体(シールドカバー)を固定するために、枠体の開口面の縁部に溝状の凹部を、この凹部に嵌合する凸部を平面蓋体に設ける必要があるため、工程が複雑であると共に、歩留まりも低下し、生産性が良くない。
第2に、複雑な加工を要する機械加工によって、キャビティを形成するための隔壁を枠体(シールドケース)に設けているので、生産性は良くなく、さらに、枠体(シールドケース)の中空部に底面と一体の隔壁が存在するので、電子回路実装時のスペースファクタも良くない。
【0006】
また、特許文献2には、シールドケースとは別部材(即ち、シールドケースとは別に製作される部材)のシールドブロックを用いて、電磁的に分離されたキャビティを形成した高周波電力増幅器のシールド構造(即ち、高周波用シールドパッケージの構造)の事例が示されている。
しかし、この事例では、本来のシールドケースとは別の部材(即ち、シールドブロック)を製作する必要があること、シールドブロックの固定にネジを使用することなどのために、やはり、生産性が悪い。
さらに、上記特許文献1の場合と同様に、シールドケースの中空部にはシールドブロックが存在するため、電子回路実装時のスペースファクタも良くない。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−322076号公報(図1)
【特許文献2】
特開平06−260844号公報(図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、特許文献1あるいは特許文献2に示された従来の高周波用シールドパッケージでは、高周波用シールドパッケージ内部の中空部に電磁的に分離された複数のキャビティを形成するために、機械加工による隔壁や別部材のシールドブロックが用いられるので、製造工程が複雑であり、生産性が良くない。
さらに、隔壁やシールドブロックによって、パッケージ内部の中空部の一部が占有されるので、電子回路実装時のスペースファクタが悪くなる。
【0009】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、シールドケースの内部底面に配置された高周波用の電子回路ブロック(電子部品が実装された配線基板や半導体チップなど)の機能の異なる回路領域間での電磁干渉を防止できると共に、実装時のスペースファクタが良く、かつ、生産性に優れた高周波用電子装置、その製造方法、および高周波用シールドパッケージを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る高周波用電子装置は、配線基板上に高周波用電子部品が実装された電子回路ブロックと、電磁シールド機能を有する部材で形成され、上記電子回路ブロックを収納するシールドケースと、電磁シールド機能を有する部材で形成され、上記シールドケースの開口部に配置されるシールドカバーと、上記シールドカバーの上記シールドケースの開口部側の所定位置に設けられた電磁シールド機能を有する第一のシールド部材とを備え、上記シールドカバーを上記シールドケースに固定することにより、上記第一のシールド部材により上記電子回路ブロックと上記シールドカバーとの間の空間部に電磁的に分離された複数のキャビティを形成するものであって、
上記第一のシールド部材は、所定間隔を有して配置されたボール型の導電性部材の列であり、上記ボール型の導電性部材は、上記シールドケースと対向する面の所定位置においてソルダレジスト領域を周囲に有して列状に形成された半田パッドに溶着された半田ボールの列である。
【0011】
また、この発明に係る高周波用電子装置の製造方法は、請求項1に記載の高周波用電子装置の製造方法であって、
電磁シールド機能を有する部材で形成されたシールドケースに電子回路ブロックを収納する工程と、上記シールドケースの開口部を塞ぐためのシールドカバーの上記開口部と対向する所定位置に電磁シールド機能を有する第一のシールド部材を設ける工程と、上記電子回路ブロックが配置された上記シールドケースに上記シールドカバーを固定し、上記電子回路ブロックと上記シールドカバーの間の空間部に電磁的に分離された複数のキャビティを形成する工程とを有し、
上記第一のシールド部材を設ける工程は、上記シールドカバーの上記シールドケースと対向する面に所定の間隔を有して半田パッドの列を形成し、上記半田パッドの列の各半田パッドにクリーム半田を塗布し、上記クリーム半田が塗布された各半田パッドに半田ボールをそれぞれ仮固定し、仮固定された各半田パッドと半田ボールをリフロー処理により固着するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
なお、各図間において、同一符号は、同一あるいは相当のものを表す。
また、各図は全て模式的に表したものであり、図面上の寸法関係は実際のものとは異なる。例えば、半田ボールは実際の寸法関係より大きく描かれている。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による高周波用電子装置の構造を模式的に表した分解斜視図である。
図において、10は開口を有した箱状の金属製のシールドケース、20はシールドケース10の開口を塞ぐ平板状蓋体である金属製のシールドカバー、30はシールドカバー20のシールドケース10と対向する面に設けられた半田ボール、100はシールドケース10の底面に配置された電子回路ブロックである。
また、11はシールドカバー20と電子回路ブロック100との間の空間部である。
【0013】
なお、電子回路ブロック100は、後述するようにセラミックあるいは樹脂材などで製作された配線基板に、半導体素子、抵抗、コンデンサなどの高周波用の電子部品が実装されて電子回路が構成されたものである。
そして、電子回路ブロック100が、例えば、増幅や位相制御を行う高周波電子部品とディジタル制御用のマイクロプロセッサなどを一緒に実装して一体的にモジュール化されているような場合には、ディジタル制御回路のスイッチングノイズによる誤動作を防止するために、高周波電子部品の回路領域とマイクロプロセッサが実装されている回路領域の間の電磁シールドが要求される。
【0014】
このように、異なる機能を有した複数の回路領域からなる電子回路で構成されている電子回路ブロック100は、シールドケース10の底面に配置され、シールドケース10の開口をシールドカバー20で密閉・固定し、外部からの電磁波の影響を防止できる状態であっても、複数の回路領域間で相互に電磁的に干渉しないように、電子回路ブロック100とシールドカバー20の間の空間部11を異なる機能の回路領域に対応して電磁的に分離する必要がある。
このため、半田ボール30はシールドカバー20のシールドケース10と対向する面の所定の位置において列状に配置されており、この半田ボール列によって電子回路ブロック100の機能の異なる複数の回路領域で相互に電磁的に干渉しないように、電子回路ブロック100とシールドカバー20の間の空間部11を電磁的に分離している。
【0015】
即ち、この半田ボール30の列は、電子回路ブロック100とシールドカバー20の間の空間部11を電磁的に分離するシールド部材(第一のシールド部材)を構成しており、半田ボール30が列状に配置される所定の位置とは、電子回路ブロック100が底面に配置されたシールドケース10にシールドカバー20を固定した時に、電子回路ブロック100の機能の異なる複数の回路領域が相互に電磁的に干渉しないように、電子回路ブロック100とシールドカバー20の間の空間部11を電磁的に分離できる位置のことである。
なお、図1に示した例では、T字状に形成された半田ボール30の列によって、電子回路ブロック100とシールドカバー20との間の空間部11は、電磁的に分離された3つのキャビティ(cavity)に分割される。
【0016】
図2は、図1に示した本実施の形態による高周波用電子装置において、電子回路ブロック100が底面に配置されたシールドケース10にシールドカバー20を固定したときの様子を模式的に示す断面図であり、図2(a)は図1のA−A線における断面図、図2(b)は図1のB−B線における断面図である。
図2(b)に示すように、電子回路ブロック100は、配線パターン(図示せず)が形成され、セラミックあるいは樹脂などで製作されている配線基板101、この配線基板101に実装される半導体素子102や図示しない抵抗、コンデンサなどの高周波用電子部品などによって一体的に構成されている。
【0017】
また、図3は、本実施の形態による高周波用電子装置のシールドカバー20の構造を説明するための模式図であり、図において、21は半田パッド、22はソルダ(半田)レジストである。
なお、図3(a)は、半田パッド21となる部分の周辺部のみにリング状のソルダレジスト22が印刷されている場合例を示す図であり、図3(b)は、半田パッド21となる部分とシールドカバー20がシールドケース10と接する部分以外は全面にソルダレジスト22が印刷されている場合の例を示す図である。
いずれの例も基本的な機能は同じであるが、図3(b)の方がソルダレジスト22のシールドカバー20への接着強度が高いので信頼性は高い。
【0018】
図4は、本実施の形態による高周波用電子装置において、シールドカバー20とシールドケース10の取り付け状態を模式的に表した断面図であり、図1のA−A線での断面を示している。
なお、図4(a)は、シールドカバー20をシールドケース10に固定する前の状態を示す断面図、図4(b)はシールドカバー20をシールドケース10に固定した後の状態を示す断面図である。
【0019】
本実施の形態による高周波用電子装置の製造方法について説明する。
まず、高周波用電子装置を構成する基本的な部材であるシールドケース10とシールドカバー20の具体例について説明する。
シールドケース10は、開口を有した金属製(合金も含む)の正方形の箱体であり、例えば、その一辺は15mm、高さは3mm、厚さは1mmである。
そして、表面にはニッケルめっきを下地にした金めっきによるメタライズが施されている。
金めっきを施すのは、接触部の電気抵抗を下げると共に、金属部の酸化を防止するなどの目的で実施する。
【0020】
シールドカバー20は、金属製(合金も含む)の正方形の平板であり、その一辺は15mm、厚さは0.2mmである。
表面には上記と同様のニッケルめっきを下地にした金めっきによるメタライズが施されている。
シールドカバー20のシールドケース10側の面には、ソルダレジスト22が、例えば、図3(b)のパターンで印刷されている。
図3(b)において、ソルダレジスト22が印刷されていない部分(即ち、円形の部分)は、半田ボールを取付ける半田パッド21になる。
【0021】
ソルダレジスト22を印刷することにより、シールドカバー20の半田パッド21の上に搭載した半田ボール30が溶融した際に、半田が濡れ拡がることを防止できる。
なお、シールドケース10およびシールドカバー20の形状が正方形の場合の例を示しているが、これに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0022】
シールドカバー20に半田ボール30を取り付けるには、次のような方法で行う。
まず、シールドカバー20上の各半田パッド21にスクリーン印刷法によってクリーム半田を供給する。
次に、供給したクリーム半田上に、半田ボール30をマウンタで搭載し、仮固定する。
半田ボール30は、鉛−スズ共晶半田(37Pb-63Sn、融点183℃)から成る一般的な安価な市販品(例えば、直径0.68mmの半田ボール)を使用した。
その後、リフロー炉にてクリーム半田と半田ボールの双方を溶融させる。
なお、リフロー後の半田ボール30の直径は、半田の濡れ拡がりによりリフロー前に比べて若干小さくなる。
【0023】
以上の方法により、シールドカバー20のシールドケース10に対向する側の面に半田ボール30を取り付けることができる。
最後に、半田ボール付きのシールドカバー20を洗浄し、半田フラックスを除去する。
このような工程を経ることによって、キャビティ間の電磁波の漏洩を遮断する電磁シールド機能を有する第一のシールド部材(半田ボール30の列)が、シールドカバー20のシールドケース10と対向する面の上に形成できる。
【0024】
一方、シールドケース10の内部の底面には、あらかじめ配線基板101上に高周波用電子部品が実装された電子回路ブロック100が配置されている。
この電子回路ブロック100は、セラミックまたは有機材料からなる配線基板に、例えば、MMIC(monolithic microwave IC:マイクロ波・ミリ波を扱う高周波回路を半導体基板上に集積回路としてつくったもの)、抵抗、コンデンサなどの電子部品が実装されている。
なお、この電子回路ブロック100は、前述したように複数の機能に対応する複数の回路領域で構成されている。
また、電子回路ブロック100は、その周囲(外周)が絶縁処理されたものであってもよく、あるいは、半導体集積回路を内包した高周波用の半導体チップであってもよい。
【0025】
シールドケース10にシールドカバー20を取り付けて固定することにより、シールドカバー20のシールドケース10側の面に設けた第一のシールド部材(半田ボール30の列)は、シールドケース10の底面に配置された電子回路ブロック100とシールドカバー20の間の空間部11を分割する。
即ち、電子回路ブロック100とシールドカバー20の間の空間部11は、第一のシールド部材(半田ボール30の列)によって電子回路ブロック100の電磁的に分離すべき各機能領域に対応する複数のキャビティに分離され、各キャビティに対応する電子回路ブロック内の各回路領域は相互に電磁的に分離される。
【0026】
このように、シールドケース10と電子回路ブロック100の間の空間部11の電磁的な分離は、第一のシールド部材(即ち、半田ボール30の列)が形成されたシールドカバー20をシールドケース10に取り付けて固定することで達成される。
なお、シールドカバー20をシールドケース10に固定する方法は、接着剤による接着、シームシール、レーザビーム溶接、電子ビーム溶接などの局所溶接、半田接合、ネジ止め、嵌合など、いずれの方法であってもよい。
以上により、従来のようにシールドケース10内に金属による仕切り壁(隔壁)あるいはシールドブロックを設けずとも、キャビティ間の電磁波の漏洩を遮断する機能を有する高周波パッケージのシールド構造が完成する。
【0027】
なお、第一のシールド部を構成する半田ボール30の設置間隔G(図4(b)参照)は、シールドケース10内に収納される高周波回路ブロック100内の高周波回路で扱われる周波数から導かれる波長(λ)の1/4以下、即ち、G<λ/4(λは波長)で配置される。
これにより、特許文献1あるいは2に示されているような物理的に連続した隔壁やシールドブロックを施さずとも、電磁気的に同じ効果を得ることができる。
ただし、Gの値は小さいほど良く、波長のλ/8〜λ/16になると更に効果が増す。
また、半田ボール30間の間隔S(図4(b)参照)は、理論面から考えると狭いほど良いが、実装面から考えると、例えば、0.2mm程度であれば工作上有利である。しかし、必ずしもこの値を守る必要はない。
【0028】
ここでは、第一のシールド部材の例として、半田ボール30の列による場合を説明したが、半田ボール30に代わり、金属製のボールや、表面をめっき処理したプラスチックボール、カーボンや金属粉などの導電性粒子を混入したプラスチックボールなどのボール型の導電性部材を用いることができる。
あるいは、ボール型の導電性部材に代えて、金属材、表面をめっき処理したプラスチック材、カーボンや金属粉などの導電性粒子を混入したプラスチック材などで製作され、シールドケース10と電子回路ブロック100の間の空間部11を電磁的に分離することのできる所定の高さを有した断面略矩形の柱状のシールド部材であってもよい。
この場合、柱状の第一のシールド部材のシールドカバー20の取り付け方法としては、半田付けに限らず、導電性接着剤などを用いてもよい。
【0029】
また、シールドケース10およびシールドカバー20も、金属製(合金を含む)に限られるものではなく、導電性処理を施したプラスチック材、メタライズ処理したセラミック材を用いてもよい。
シールドケース10およびシールドカバー20の固定には、導電性接着剤による接着、局所溶接、半田接合、ネジ止め、嵌合などのいずれの方法であってもよく、シールドケース10およびシールドカバー20の材質に適応した適切な方法を用いればよい。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態による高周波用電子装置は、配線基板101上に高周波用電子部品が実装された電子回路ブロック100と、電磁シールド機能を有する部材で形成され、電子回路ブロック100を内部に収納するシールドケース10と、電磁シールド機能を有する部材で形成され、シールドケース10の開口部を塞ぐためのシールドカバー20と、シールドカバー20のシールドケース10の開口部側の所定位置に設けられた電磁シールド機能を有する第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)とを備え、シールドカバー20をシールドケース10に固定すると、第一のシールド部材によって電子回路ブロック100とシールドカバー20との間の空間部11が電磁的に分離された複数のキャビティを形成するので、シールドケース10の開口縁部にシールドカバー20の縁部を固定するだけの、簡便、かつ、最低限の作業によって、電子回路ブロック100とシールドカバー20の間の空間部を介して電子回路ブロック100の機能の異なる複数の回路領域が相互に電磁的に干渉しないようにすることが可能となる。
【0031】
従って、内部に収納された電子回路ブロック内の異なる機能領域間の電磁的干渉による誤動作を防止できる高周波用電子装置、あるいはこれに用いられる高周波用シールドパッケージを、生産性よく、かつ、低価格に製造することができる。
なお、高周波用電子装置に用いられるから高周波用シールドパッケージとは、高周波用電子部品が実装された電子回路ブロックを電磁的にシールドして収容するパッケージのことである。
また、従来のようにキャビティ間を電磁シールドするための隔壁やシールドブロックを必要としないので、電子回路ブロックを収納(配置)する際のスペースファクタもよくなる。
また、このような効果を奏することのできる高周波用電子装置の製造方法を提供することができる。
【0032】
実施の形態2.
図5は、実施の形態2による高周波用電子装置の構成を模式的に示す断面図であり、図5(a)はシールドカバー20をシールドケース10に固定する前の状態を示す断面図、図5(b)はシールドカバー20をシールドケース10に固定した後の状態を示す断面図である。
図において、40はシールドケース10の底面に配置された電子回路ブロック100のシールトカバー20と対向する面に塗布された導電性接着剤である。
導電性接着剤40は、電磁的な分離を必要とする電子回路ブロック100内の複数の回路領域の境界線に沿って塗布されており、また、第一のシールド部材を構成する半田ボール30は、シールドカバー20のシールドケース10と対向する面において、導電性接着剤40と対向する位置に列状に設けられている。
【0033】
本実施の形態による高周波用電子装置は、実施の形態1による高周波用電子装置において、さらに、電子回路ブロック100のシールドカバー20と対向する面上で、シールドカバー20に設けられたキャビティ形成用の第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)と対向する位置に導電性接着剤40を塗布し、シールドケース10にシールドカバー20を固定した時に、シールドカバー20に設けられた第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)と導電性接着剤40が接触し、キャビティ間の不要な空隙を無くするようにしたことを特徴とする。
【0034】
高周波用電子装置の構成部材であるシールドケース10、シールドカバー20、第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)は、その製造条件や製造ロットによって多少の寸法変化が発生する。
このため、シールドカバー20に取り付けた第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)と電子回路ブロック100のシールドカバー20と対向する面との間に生じる僅かな空隙は、高周波用電子装置が完成した時点で微妙なばらつきが生じる。
このため、使用する周波数帯域によっては高周波的に電磁シールド効果が十分でない状態が生じる。
このような状態では、従来のようなキャビティの間を金属の隔壁で連続的にシールドする構造と同じ効果を得ることができなくなり、キャビティ間の電磁波の漏洩を防止するという目的が損なわれてしまう。
【0035】
そのため、本実施の形態では、電子回路ブロック100のシールドカバー20と対向する側の面に所定厚さの導電性接着剤40を塗布し、シールドカバー20をシールドケース10に固定した時に、導電性接着剤40と第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)が電気的に接続される構造を考えた。
これにより、電子回路ブロック100と第一のシールド部材の間における不要な空隙が発生することを防止できる。
従って、寸法にバラツキがあるシールドカバー20、第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)、シールドケース10を用いた場合であっても、良好な電磁シールド機能を有するキャビティを形成できる高周波用電子装置を提供することができる。
【0036】
本構造を実現するに当たり、導電性接着剤40はシールドケース10の中空部11の底面の半田ボール30の列に対向する位置にシリンジ(syringe:注射器)で供給した。
シリンジで供給した導電性接着剤40は円筒状の形状になり、その直径の大きさが導電性接着剤40の厚さとなる。
導電性接着剤40を供給した後、第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)付きのシールドカバー20をシールドケース10に取り付け、これを加熱オーブンに入れて硬化させた。
以上により、実施の形態2による高周波用電子装置が完成する。
【0037】
なお、導電性接着剤40を所定の厚さを有して塗布する代わりに、導電性ゴムのような導電性を有する所定厚さの部材を導電性を有した接着剤により電子回路ブロックの表面に配置する構造であってもよい。
即ち、導電性接着剤あるいは導電性ゴムのような所定厚さを有する導電性部材を電子回路ブロック100のシールドカバー20と対向する面に配置し、シールドカバー20をシールドケース10に固定した時に、電子回路ブロック100のシールドカバー20と対向する面に配置された導電性部材とシールドカバー20に設けられたキャビティ形成用の第一地のシールド部材(例えば、半田ボールの列)とが接触する構造であればよい。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態による高周波用電子装置の電子回路ブロック100は、第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)と対向する位置に導電性部材が設けられ、シールドカバー20をシールドケース10に固定すると、導電性部材(例えば、導電性接着剤)とシールド部材とが接触するように構成しているので、キャビティ間の不要な空隙(即ち、電子回路ブロックとシールド部材の間の空隙)を無くし、キャビティ間の電磁シールドが確実に確保できる高品位な高周波用電子装置、あるいはこれに用いられる高周波用シールドパッケージを提供することができる。
【0039】
実施の形態3.
図6は、実施の形態3による高周波用電子装置の構成を模式的に示す断面図であり、図6(a)はシールドカバー20をシールドケース10に固定する前の状態を示す断面図、図6(b)はシールドカバー20をシールドケース10に固定した後の状態を示す断面図である。
図において、41はシールドカバー20に設けられた第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)のシールドケース20と対向する面に転写により塗布された導電性接着剤である。
本実施の形態による高周波用電子装置は、シールドカバー20に設けられたキャビティ形成用の第一のシールド部材を構成する各半田ボール30のシールドケースと対向する面に転写方式により所定厚さの導電性接着剤を塗布し、シールドケース10にシールドカバー20を固定した時に、導電性接着剤41を介してシールドカバー20に設けられた第一のシールド部材を構成する半田ボール30の列と電子回路ブロック100が接触するようにしたことを特徴とする。
【0040】
本実施の形態による高周波用電子装置の製造方法について説明する。
まず、第一に、あらかじめ第一のシールド部材を構成する半田ボール30が取り付けられたシールドカバー20を準備する。
次に、転写台にスクリーン印刷機などを用いて、あらかじめ所定の厚さで導電性接着剤を供給する。
次に、転写台上の導電性接着剤の層に、シールドカバー10に形成した半田ボール30を押し付け、各半田ボール30のシールドケース10側の面に導電性接着剤41を転写して塗布する。
その後、各半田ボール30に導電性接着剤41が塗布されたシールドカバー20をシールドケース10に取り付け、これを加熱オーブンに入れて硬化させる。
以上により、本実施の形態による高周波用電子装置が完成する。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態による高周波用電子装置のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)は、シールドケース10と対向する側の面に所定厚みの導電性接着剤41が塗布され、シールドケース10にシールドカバー20を固定した時に、導電性接着剤41を介してシールドカバー20に設けられた半田ボール30の列と電子回路ブロック100が接触するので、キャビティ間の不要な空隙(即ち、電子回路ブロックとシールド部材の間の空隙)が無くなり、キャビティ間の電磁シールドが確実に確保できる高品位な高周波用電子装置、あるいはこれに用いられる高周波用シールドパッケージを、生産性よく、安価に提供することができる。
【0042】
実施の形態4.
図7は、実施の形態4による高周波用電子装置の構成を模式的に示す断面図であり、図7(a)はシールドカバー20をシールドケース10に固定する前の状態を示す断面図、図7(b)はシールドカバー20をシールドケース10に固定した後の状態を示す断面図である。
本実施の形態による高周波用電子装置の基本的な構成および各構成部材の材質は、実施の形態2による高周波用電子装置とほぼ同じであるが、電子回路ブロック100のシールドカバー20と対向する面上にも、シールドカバー20に設けられたキャビティ形成用の第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)と対応させて、第二のシールド部材(例えば、半田ボール31の列)を設けたことを特徴とする。
【0043】
例えば、シールドカバー20に設けられたキャビティ形成用の第一のシールド部材が半田ボール列の場合、シールドカバー20をシールドケース10に固定したときに、シールドカバー20に設けた各半田ボール30と電子回路ブロック100の面に設けられた第二のシールド部材を構成する半田ボール31がそれぞれ対向するように構成されている。
即ち、本実施の形態による高周波用電子装置は、シールドカバー20に設けられたシールド部材(例えば、半田ボール30の列)と、これと対向して電子回路ブロック100のシールドカバー20側の面に設けられた第二のシールド部材(例えば、半田ボール31の列)とにより、シールドカバー20と電子回路ブロック100の間の空間部11を電磁的に分離された複数のキャビティに分割することを特徴とする。
このように、本実施の形態によれば、第一および第二のシールド部材(例えば、半田ボールの列)を2組対向した位置に取り付けることにより、より深い中空部を持ったシールドケースにも対応することが可能となる。
【0044】
本実施の形態による高周波用電子装置の製造方法の一例について説明する。
まず、第一に、あらかじめ第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)が取り付けられたシールドカバー20を準備する。
次に、シールドケース10の底面に配置された電子回路ブロック100のシールドカバー20と対向する面において、シールドカバー20に設けた第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)と対向する位置に導電性接着剤をシリンジで供給し、供給した接着剤の上に第二のシールド部材(例えば、半田ボール31の列)を搭載する。
その後シールドケース10をオーブンに入れて硬化させる。
【0045】
この場合、第一および第二のシールド部材は、半田ボールである必要はなく、前述した導電性プラスチックボール等であっても良く、また、断面が略矩形状の柱状の電磁シールド機能を有した部材であってもよい。
その後、第一のシールド部材(半田ボールあるいは導電性プラスチックボール)付きのシールドカバー20をシールドケース10に固定することにより本実施の形態による高周波用電子装置が完成する。
【0046】
以上説明しように、本実施の形態による高周波用電子装置の電子回路ブロック100は、シールドカバー20に設けられた第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)と対向する位置に第二のシールド部材(例えば、半田ボール31の列)が設けられ、シールドカバー20をシールドケース10に固定すると、第一のシールド部材と第二のシールドとにより電子回路ブロック100とシールドカバー20との間の空間部が電磁的に分離された複数のキャビティを形成するので、シールドケースが深い中空部を有する場合であっても、シールドカバー20と電子回路ブロック100の間の空間部に電磁的に分離された複数のキャビティを形成できる。
【0047】
実施の形態5.
図8は、実施の形態5よる高周波用電子装置の構成を模式的に示す断面図であり、図8(a)はシールドカバー20をシールドケース10に固定する前の状態を示す断面図、図8(b)はシールドカバー20をシールドケース10に固定した後の状態を示す断面図である。
本実施の形態による高周波用電子装置の基本的な構成および各構成部材の材質は、実施の形態4による高周波用電子装置とほぼ同じであるが、シールドカバー20に設けられた第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)とシールドケース10の底面に配置された電子回路ブロック100のシールドカバー20と対向する面に設けられた第二のシールド部材(例えば、半田ボール31の列)とが向かい合う空隙部に導電性接着剤42をはさみ込む形で固定することを特徴とする。
【0048】
本実施の形態による高周波用電子装置の組立方法について説明する。
導電性接着剤42としては、例えば、所定厚さのストライプ状の半硬化状態の導電性エポキシ樹脂フイルム(導電性接着剤42)を用いる。
そして、所定温度に設定したホットプレート上にシリコンゴムと離型用のテフロン(登録商標)シートを敷き、その上に導電性エポキシ樹脂フイルム(導電性接着剤42)を置き、予熱する。
次に、所定温度に予熱された導電性エポキシ樹脂フイルム(導電性接着剤42)に、所定温度で予熱されたシールドカバー20の第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)を押し付けることにより、熱で軟化した導電性エポキシ樹脂フイルム(導電性接着剤42)を第一のシールド部(例えば、半田ボール30の列)に仮接着する。
【0049】
次に、シールドカバー20に設けた第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)と対向する位置に第二のシールド部材(例えば、半田ボール31の列)が設けられた電子回路ブロック100をシールドケース10の底面に配置する。
導電性エポキシ樹脂フイルム42を仮接着したシールドカバー20の第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)と第二のシールド部材(例えば、半田ボール31の列)とが対向するように位置合わせして、シールドケース10にシールドカバー20を固定することにより、対向するシールド部材(例えば、半田ボール列)間に挟まれる形で導電性エポキシ樹脂フイルム(導電性接着剤42)を供給できる。
【0050】
その後、シールドカバー20とシールドケース10を固定した後、導電性接着剤42を加熱硬化させる。
その際、加熱により軟化した導電性接着剤の流動による樹脂の移動、はみ出しが生じにくいように導電性接着剤の軟化時の粘度を選ぶ必要がある。
なお、導電性接着剤の供給は、ストライプ状の導電性エポキシ樹脂フイルム(導電性接着剤42)に代えて、実施の形態2で説明したような転写方式によって行ってもよい。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態による高周波用電子装置は、シールドカバー20に設けられた第一のシールド部材のシールドケース10と対向する面に導電性接着剤42を設け、シールドカバー20をシールドケース10に固定すると、第一のシールド部材と電子回路ブロック100の第二のシールド部材が導電性接着剤42を介して接着されるので、第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)と第二のシールド部材(例えば、半田ボール31の列)との間の空隙を無くすることができ、シールドケース10が深い中空部を有する場合であっても、シールドカバー20と電子回路ブロック100の間の空間部にキャビティ間の不要な空隙(即ち、電子回路ブロックとシールド部材の間の空隙)を無くし、キャビティ間の電磁シールドが確実に確保できる高品位な高周波用電子装置、あるいはこれに用いられる高周波用シールドパッケージを提供することができる。
【0052】
実施の形態6.
図9は、実施の形態6による高周波用電子装置の構造を示す断面図であり、図9(a)はシールドカバーとシールドケースが固定される前の断面図、図9(b)はシールドカバーとシールドケースが固定され、リフロー処理された後の断面図である。
これにより、実施の形態1から5に述べたシールド方法よりも低抵抗でシールドカバー20とシールドケース10を接続できるため、より優れた電磁シールド効果が期待できる。
【0053】
シールドカバー20のシールドケース10と抵抗する面にはあらかじめ第一のシールド部材である半田ボール30の列が設けられている。
また、シールドケース10の底面に配置された電子回路ブロック100のシールドカバー20側の面には、あらかじめ第二のシールド部材を構成するクリーム半田70が第一のシールド部材である半田ボール30と対向する位置に供給されている。なお、クリーム半田70は、例えば、ディスペンサで供給される。
【0054】
シールドカバー20の第一のシールド部材である半田ボール30の列と電子回路ブロック100のシールドカバー20側の面に設けられる第二のシールド部材を構成するクリーム半田70は互いに対向する位置に設けてあり、シールドカバー20とシールドケース10とが位置合わせされた後に、加熱リフローすることにより、半田ボール30とクリーム半田70は溶解して、一体的に固着される。
なお、図において、80は半田ボール30とクリーム半田70が溶解して、一体的に固着された状態を示している。
以上により、本実施の形態による高周波用電子装置が完成する。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態による高周波用電子装置は、第一のシールド部材は半田ボール30の列で構成され、第二のシールド部材は半田ボール30の列に対向して電子回路ブロック100に設けられたクリーム半田70の列であり、シールドカバー20をシールドケース10に固定して加熱リフローすると、第一のシールド部材を構成する各半田ボール30と第二のシールド部材を構成するクリーム半田70が溶解して一体的に固着されるので、低抵抗でシールドカバー20とシールドケース10を接続できるので、第一のシールド部材を構成する半田ボール30と第二のシールド部材を構成するクリーム半田70とを低抵抗で接続することが可能となり、シールドケース10が深い中空部を有する場合であっても、シールドカバー20と電子回路ブロック100との間の空間部にキャビティ間の不要な空隙(即ち、電子回路ブロックとシールド部材の間の空隙)を無くし、キャビティ間の電磁シールドがさらに確実に確保できる高品位な高周波用電子装置、あるいはこれに用いられる高周波用シールドパッケージを提供することができる。
【0056】
実施の形態7.
図10は、実施の形態7による高周波用電子装置の構成を模式的に示す断面図であり、図10(a)は組立完了前の状態を示す断面図、図10(b)は組立完了後の状態を示す断面図である。
本実施の形態による高周波用電子装置は、例えば、図に示すように、第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)が設けられたシールドカバー20と、電子回路ブロック100が配置され、さらに、この電子回路ブロック100のシールドカバー20と対向する面において第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)と対向する位置に第二のシールド部材(例えば、半田ボール31の列)が設けられた底面シールドカバー50と、シールドカバー20の縁部と底面シールドカバー50の縁部との間に配置され、空間部11を形成するための枠体であるシールドフレーム60とで構成されている。
即ち、本実施の形態による高周波用電子装置は、例えば、前述の実施の形態4による高周波用電子装置において、シールドケース10は、個別の部材である底面シールドカバー50とシールドフレーム60とで構成したことを特徴とする。
【0057】
本実施の形態では、底面シールドカバー50に配置された電子回路ブロック100のシールドカバー20と対向する面には、シールドカバー20に設けられた第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)と対向する位置に第二のシールド部材(例えば、半田ボール31の列)が設けられている。
例えば、第一および第二のシールド部材が半田ボールの列である場合、底面シールドカバー50には、シールドカバー20に形成された各半田ボール30と対向する位置に半田ボール31がそれぞれ設けられている。
【0058】
そして、半田ボール列が形成されている面同士を対向させて、シールドカバー20と底面シールドカバー50の縁部に枠体であるシールドフレーム60を接着剤を用いて固着することにより、シールドカバー20、底面シールドカバー50に配置された電子回路ブロック100およびシールドフレーム60によって形成される空間部11は電磁的に分離された複数のキャビティに分割される。
なお、シールドカバー20と第二のシールドカバー50の縁部に枠体であるシールドフレーム60を固着する方法としては、接着剤を用いる方法の他に局所溶接、半田接合、ネジ止め、嵌合などの方法であってもよい。
【0059】
本実施の形態によれば、電子回路100は箱状のシールドケース10の底面に実装されるのではなく、平板状の底面シールドカバー50に実装するので、実装上の自由度が増し、生産性が向上する。
また、シールド部材(例えば、半田ボール列)が設けられたシールドカバー20および底面シールドカバー50は、シールドフレーム60を用いて組み立てる前に、フラックス洗浄することができるので、フラックス洗浄が容易に行える。
【0060】
なお、実施の形態1〜6の高周波用電子装置においても、本実施の形態と同様に、箱状の一体形成されたシールドケース10を用いずに、第一のシールド部材(例えば、半田ボール30の列)が設けられたシールドカバー20と、電子回路ブロック100が配置される平板状の底面シールドカバー50と、シールドカバー20の縁部と底面シールドカバー50の縁部との間に配置され、空間部11を形成するための枠体であるシールドフレーム60とで構成しても、同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態による高周波用電子装置のシールドケースは、電子回路ブロック100が配置される平板状の底面シールドカバー50と、シールドカバー20の縁部と底面シールドカバー50の縁部との間に配置され、空間部11を形成するための枠体であるシールドフレーム60とで構成されているので、電子回路ブロック100を実装する際の自由度が増すと共に、組み立て前のフラックス洗浄も容易になり、生産性が向上する。
【0062】
なお、実施の形態1〜7の高周波用電子装置では、電子回路ブロック100は、配線基板に半導体素子を含む高周波電子部品を一体的に実装した高周波用電子回路である場合について説明したが、電子回路ブロック100は絶縁性樹脂等で覆われてチップ化された半導体チップであってもよい。
また、シールドケース内に収納(配置)される電子回路ブロックは1つに限られるものではなく、複数個の電子回路ブロックを収納したものであってもよい。
要は、シールドカバーをシールドケースに固定した時に、シールド部材によって電子回路ブロックとシールドケースとの間の空間部に電磁的に分離されたる望のキャビティを形成できればよい。
【0063】
【発明の効果】
この発明による高周波用電子装置は、配線基板上に高周波用電子部品が実装された電子回路ブロックと、電磁シールド機能を有する部材で形成され、電子回路ブロックを収納するシールドケースと、電磁シールド機能を有する部材で形成され、上記シールドケースの開口部に配置されるシールドカバーと、シールドカバーのシールドケースの開口部側の所定位置に設けられた電磁シールド機能を有する第一のシールド部材とを備え、シールドカバーを上記シールドケースに固定することにより、第一のシールド部材により電子回路ブロックと上記シールドカバーとの間の空間部に電磁的に分離された複数のキャビティを形成するので、シールドケースの内部底面に配置された高周波用の電子回路ブロックの機能の異なる回路領域間での電磁干渉を防止できると共に、実装時のスペースファクタが良く、かつ、生産性に優れた高周波用電子装置を提供することができる。
【0064】
また、この発明による高周波用電子装置の製造方法は、請求項1に記載の高周波用電子装置の製造方法であって、電磁シールド機能を有する部材で形成されたシールドケースに電子回路ブロックを収納する工程と、シールドケースの開口部を塞ぐためのシールドカバーの開口部と対向する所定位置に電磁シールド機能を有する第一のシールド部材を設ける工程と、電子回路ブロックが配置されたシールドケースにシールドカバーを固定し、電子回路ブロックと上記シールドカバーの間の空間部に電磁的に分離された複数のキャビティを形成する工程とを有するので、シールドケースの内部底面に配置された高周波用の電子回路ブロックの機能の異なる回路領域間での電磁干渉を防止できると共に、実装時のスペースファクタが良く、かつ、生産性に優れた高周波用電子装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1による高周波用電子装置の構造を模式的に示す分解斜視図である。
【図2】 実施の形態1による高周波用電子装置の構造を模式的に示す断面図である。
【図3】 実施の形態1による高周波用電子装置のシールドカバーの構造を説明するための模式図である。
【図4】 実施の形態1による高周波用電子装置において、シールドカバーとシールドケースの取り付け状態を説明するための模式図である。
【図5】 実施の形態2による高周波用電子装置において、シールドカバーとシールドケースの取り付け状態を説明するための模式図である。
【図6】 実施の形態3による高周波用電子装置において、シールドカバーとシールドケースの取り付け状態を説明するための模式図である。
【図7】 実施の形態4による高周波用電子装置において、シールドカバーとシールドケースの取り付け状態を説明するための模式図である。
【図8】 実施の形態5による高周波用電子装置において、シールドカバーとシールドケースの取り付け状態を説明するための模式図である。
【図9】 実施の形態6による高周波用電子装置において、シールドカバーとシールドケースの取り付け状態を説明するための模式図である。
【図10】 実施の形態7による高周波用電子装置の構造を説明するための模式図である。
【符号の説明】
10 シールドケース 11 空間部 20 シールドカバー
21 半田パッド 22 ソルダレジスト
30 半田ボール(第一のシールド部材)
31 半田ボール(第二のシールド部材)
40、41、42 導電性接着剤 50 底面シールドカバー
60 シールドフレーム 70 クリーム半田
100 電子回路ブロック 101 配線基板 102 半導体素子
Claims (2)
- 配線基板上に高周波用電子部品が実装された電子回路ブロックと、電磁シールド機能を有する部材で形成され、上記電子回路ブロックを収納するシールドケースと、電磁シールド機能を有する部材で形成され、上記シールドケースの開口部に配置されるシールドカバーと、上記シールドカバーの上記シールドケースの開口部側の所定位置に設けられた電磁シールド機能を有する第一のシールド部材とを備え、
上記シールドカバーを上記シールドケースに固定することによって、上記第一のシールド部材により上記電子回路ブロックと上記シールドカバーとの間の空間部に電磁的に分離された複数のキャビティを形成する高周波用電子装置であって、
上記第一のシールド部材は、所定間隔を有して配置されたボール型の導電性部材の列であり、
上記ボール型の導電性部材は、上記シールドケースと対向する面の所定位置においてソルダレジスト領域を周囲に有して列状に形成された半田パッドに溶着された半田ボールの列であることを特徴とする高周波用電子装置。 - 請求項1に記載の高周波用電子装置の製造方法であって、
電磁シールド機能を有する部材で形成されたシールドケースに電子回路ブロックを収納する工程と、上記シールドケースの開口部を塞ぐためのシールドカバーの上記開口部と対向する所定位置に電磁シールド機能を有する第一のシールド部材を設ける工程と、上記電子回路ブロックが配置された上記シールドケースに上記シールドカバーを固定し、上記電子回路ブロックと上記シールドカバーの間の空間部に電磁的に分離された複数のキャビティを形成する工程とを有し、
上記第一のシールド部材を設ける工程は、上記シールドカバーの上記シールドケースと対向する面に所定の間隔を有して半田パッドの列を形成し、上記半田パッドの列の各半田パッドにクリーム半田を塗布し、上記クリーム半田が塗布された各半田パッドに半田ボールをそれぞれ仮固定し、仮固定された各半田パッドと半田ボールをリフロー処理により固着することを特徴とする高周波用シールドパッケージの製造方法。
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