JP4271767B2 - 基板搬送方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板を搬送する際の搬送雰囲気中の有機物や水分などを制御することにより、高品質の薄膜を形成することが可能な基板搬送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの高集積化に伴いウェーハの各種堆積膜厚は縮小しており、成膜初期に形成される自然酸化膜の影響が無視できなくなっている。このため、ウェーハの搬送雰囲気中の酸素や水分濃度を制御したり、パージを行ったりできる基板搬送室を備えた装置が供給されている。このような装置として、例えば、特開平5−251457号公報、特開昭63−177426号公報及び特開平4−100222号公報に示されるようなものがある。
【0003】
すなわち、特開平5−251457号公報に示されるものは、ウェーハを外気から遮断するための真空排気機構を有する基板搬送室を反応室に接続させ、基板搬送室と反応室とをゲートバルブで遮断するようにしたものであって、ウェーハを処理する際に、まず、基板搬送室と反応室とをゲートバルブで遮断して反応室にパージガスを導入した後、真空排気するとともに、基板搬送室にウェーハを入れて真空排気し、ゲートバルブを開けて基板搬送室から反応室にウェーハを入れた後、ゲートバルブを閉じてウェーハを処置し、処理終了後、上記と逆の動作でウェーハを取り出すものである。
【0004】
また、特開昭63−177426号公報に示されるものは、反応室と隔離して設けた基板搬送室にウェーハを搬入した後、基板搬送室内の残留ガスを室温で大気圧まで不活性ガスと真空置換するとともに、反応室内の残留ガスを任意好適な温度で大気圧まで不活性ガスと真空置換し、反応室と基板搬送室の隔離を解除した後、ウェーハを反応室へ挿入して、再び隔離してウェーハを処理し、処理終了後、反応室と基板搬送室の隔離を解除し、基板搬送室の搬入及び搬出口用の閉じ弁を開いてウェーハを取り出すものである。
【0005】
さらには、特開平4−100222号公報に示されるものは、真空中でプラズマを利用してウェーハに所定の処理を行う処理室と、処理室との間で真空中でウェーハを搬送する基板搬送室との間でウェーハを搬送する際に、基板搬送室と処理室を不活性ガス雰囲気にするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のものには次のような課題がある。すなわち、ウェーハの処理後、特開平5−251457号公報及び特開平4−100222号公報に示されるものは、反応室から基板搬送室までのウェーハ搬送中のみ真空にするものであり、特開昭63−177426号公報に示されるものは、反応室から基盤搬送室に搬送するときに搬出口が開きそのまま外部に取り出されるものであるので、いずれもウェーハの温度が高いうちに基板搬送室内が大気圧となる。
【0007】
基板搬送室内は、エレベータ機構、ウェーハ移載機構等の搬送装置が存在しているうえ密閉容器であるため、成膜後、数百度に加熱されたウェーハの熱が篭り、駆動軸の潤滑剤や密閉容器のシール剤などから有機物や金属物質などの不純物質が雰囲気中に揮発しやすくなっており、ウェーハを基板搬送室内から外部に取り出す間に、大気圧となった基板搬送室内でこれらの不純物がウェーハ表面に付着してしまう。
【0008】
特に、真空は大気圧に比べ搬送装置の駆動部からの不純物の揮発が高くなっているので、特開平5−251457号公報や特開平4−100222号公報に示されるもののように、真空でウェーハの搬送を行うものでは、ウェーハの搬送中に多くの不純物が揮発するため、ウェーハの表面により多くの不純物が付着する可能性が高くなっている。不純物が、例えばゲート酸化膜上に付着することにより、絶縁耐圧、長期信頼性が劣化するなど、半導体デバイスに悪影響を及ぼすことが知られており、薄膜化に伴いその影響は大きくなる。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためのものであり成膜界面に形成される自然酸化膜を低減し、且つ基板表面への有機物付着を抑制することにより、高品質の薄膜を形成可能な基板搬送方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明のうちで請求項1記載の発明は、基板搬送室から、外気から遮断した状態で反応室へ基板(ウェーハ)を搬入及び搬出する基板搬送方法において、前記反応室から前記基板搬送室にウェーハを搬出した後、ウェーハの前記反応室からの搬出中よりもさらに低い圧力で前記基板搬送室内を減圧排気することを特徴とするものである。
【0011】
これにより、加熱されたウェーハの輻射熱により、基板搬送室内に存在するエレベータ機構、移載機等の駆動軸の潤滑剤、シール材等から有機物や金属等の不純物が雰囲気中に揮発し、ウェーハ搬出後は減圧排気することによりさらに不純物の揮発が進むが、これと同時に減圧排気することによりウェーハ上に吸着していた不純物も揮発が進み、さらに減圧排気中にウェーハの温度が下がるため、ウェーハへの再吸着の確率が下がり、ウェーハ上に吸着した不純物が効率良く排除できる。
【0012】
また、減圧排気は、通常ウェーハをカセットに取り出す際の冷却時間で終了するため、シーケンス時間が増加することはない。
【0013】
また、本発明のうちで請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、基板搬送室内の減圧排気時に不活性ガスを導入しつつ排気して不活性ガスを流通させる、いわゆるパージを行うことを特徴とする。
【0014】
これにより、ウェーハ上に吸着している不純物をさらに効率よく排除することができる。
【0015】
また、本発明のうちで請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、基板搬送中の反応室の温度が300度以上であることを特徴とする。
【0016】
ウェーハの輻射熱により基板搬送室内部で揮発した不純物を減圧排気で排除することができるので、反応室の温度を必要以上に下げなくても良く、300度以上にすることができるので、スループットが向上する。
【0017】
また、本発明のうちで請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか記載の発明において、基板搬送中の反応室内及び基板搬送室内の圧力を大気圧とすることを特徴とする。
【0018】
大気圧では、基板搬送室内のエレベータ機構、移載機等の駆動軸の潤滑剤、シール材等からの不純物の揮発を低く抑えることができるので、搬出中のウェーハ上への不純物の吸着を低く抑えることができる。
【0019】
また、本発明のうちで請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、反応室内での基板処理圧力が大気圧であることを特徴とする。
【0020】
これにより、反応室に排気系を接続せずウェーハを大気圧で処理する装置において、スループットが向上する。
【0021】
また、本発明のうちで請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、基板搬送室を減圧排気した後、大気圧に戻すことを特徴とする。
【0022】
このように、基板搬送室を減圧排気した後、大気圧に戻すことができるので、基板搬送室からウェーハを取り出す装置を実現することができる。
【0023】
また、本発明のうちで請求項7記載の発明は、請求項2記載の発明において、基板搬送室をパージした後、大気圧に戻すことを特徴とする。
【0024】
このように、基板搬送室をパージした後、大気圧に戻すので、基板搬送室へのパージにより冷却されていき有機汚染量がより低減されたウェーハを基板搬送室から取り出す装置を実現することができる。
【0025】
また、本発明のうちで請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、反応室内へウェーハが載置されたボートを搬入及び搬出する機構は、基板搬送室内に設けられた縦型装置であることを特徴とする。
【0026】
縦型装置のボートはバッチ処理のため長くなり、それに伴いボートの昇降部も長くなるため、不純物の汚染量が多くなるが、ウェーハ搬出後に減圧排気するため、不純物の汚染量が多くなっても効率良く排除することができる。
【0027】
また、本発明のうちで請求項9記載の発明は、基板搬送室より、外気から遮断した状態で反応室へ基板を搬入及び搬出する基板搬送方法において、前記反応室から前記基板搬送室に基板を搬出するときの圧力を減圧排気し、基板を搬出した後、不活性ガスにより圧力を上げ、再度減圧排気することを特徴とする。
【0028】
このように、搬出時の圧力が減圧排気されている状態であれば、搬出後、不活性ガスにより圧力を上昇させ、再度減圧排気することにより有効に汚染物を除去することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を用いて説明する。
図1に減圧排気可能な基板搬送室16を有する半導体製造装置11の概要を示す。
図1に示される半導体製造装置は、ヒータ10で覆われた反応室12の下方にゲートバルブ14を介して基板搬送室16が設置されており、ゲートバルブ14が開くと反応室12と基板搬送室16とが連通し、閉じると遮断される。
【0030】
基板搬送室16内には、図示していないエレベータ機構やウェーハ18を載置可能なボート20が設けられており、エレベータ機構が駆動することにより、ボート20に装填されたウェーハ18が反応室12と基板搬送室16との間を移動する。基板搬送室16には真空ポンプ22が接続されており、基板搬送室16内を減圧雰囲気とすることができる。また、基板搬送室16内には、質量流量計24を介して不活性ガスを導入することにより、内部圧力を制御することができる。
【0031】
図2に基づいて、半導体製造装置11に起因する不純物を低減するシーケンスを説明する。
まず、ステップ1において、ボート20にウェーハ18を装填した後、基板搬送室16内を真空ポンプ22により減圧排気し、基板搬送室16内の酸素及び水分を所定の濃度まで低減する。このとき、質量流量計24を介して基板搬送室16内に不活性ガスを導入することにより急激な圧力低下を抑え、水分が壁面に固化することを防ぐ。
【0032】
なお、これらの処理は、不純物などの汚染源として、クリーンルーム雰囲気、搬送用カセット、半導体製造装置11内部雰囲気などが考えられ、ウェーハ18上への吸着量はこれら雰囲気中への暴露時間に依存するため、バッチ式の装置では、吸着量の初期値にばらつきが生じ、デバイス特性を左右するので、成膜前のウェーハ18上から不純物や水分を除去し、ウェーハ18の状態を一定にして、バッチ内での成膜上のばらつきを制御するために行われる。この後、基板搬送室16内を大気圧に戻す。
【0033】
次に、ステップ2において、反応室12と基板搬送室16内に不活性ガスを導入することにより大気圧付近で圧力が同じになるように調整を行い、ゲートバルブ14を開いて、エレベータ機構によりウェーハ18を反応室12に搬入する。このとき、酸素や水分濃度がそれぞれ1ppm以下に制御されるため、ウェーハ18上に自然酸化膜が形成されることが抑制される。
【0034】
次に、ステップ3において、周囲にOリング23が配されたシールキャップ21で反応室12を閉じて、反応室12内でウェーハ18に所望の成膜を行う。
【0035】
次に、ステップ4において、エレベータ機構によりシールキャップ21を下げ、ウェーハ18を基板搬送室16に搬出する。この際、ウェーハ18は数百度に加熱されているため、この輻射熱により、基板搬送室16内に存在するエレベータ機構やシール材等が有する不純物が揮発して雰囲気中に飛び出し、ウェーハ18が不純物に暴露される。
【0036】
次に、ステップ5において、ゲートバルブ14を閉じて、搬出直後の高温状態で、ステップ1で行ったことと同様に減圧排気、及び不活性ガスの導入を行う。これにより、ウェーハ18上に吸着した不純物を効率良く排除することができる。また、これらの処理はウェーハ18の冷却時間中に完了するため、シーケンス時間が増加することはない。
【0037】
図3に、搬送温度、真空置換及びその他の条件を変えたA〜Eの各ウェーハをTDCマスにより計測し、計測されたカーボン量をヘキサデカン(C1624)の検量線と比較し、ヘキサデカンに換算した重さをグラフに表したものを示す。これに示されるように、本発明Eのように搬送温度が高温の700℃であっても搬送後に真空置換すれば、搬送後に真空置換はしていないが搬送温度が常温であるAよりもより低い有機汚染量となる。
【0038】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、反応室と基板搬送室がゲートバルブを介して接続されるような枚葉装置と縦型装置の両方に適用することができる。
【0039】
また、ウェーハ18を基板搬送室に搬出した後、搬出中の圧力よりもさらに低い圧力で基板搬送室を減圧排気すれば不純物を排除できるので、必ずしも大気圧で搬出しなくてもよく、減圧下で行うこともできる。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の基板搬送方法は、基板搬送室より、外気から遮断した状態で反応室へ基板を搬入及び搬出する半導体搬送方法において、前記反応室から前記基板搬送室に基板を搬出した後、基板の前記反応室からの搬出中よりもさらに低い圧力で前記基板搬送室内を減圧排気するようにしたので、成膜界面に形成される自然酸化膜を低減し、且つ基板表面への有機物付着を抑制することにより、高品質の薄膜を形成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】減圧排気可能な基板搬送室を有する半導体製造装置の概略図である。
【図2】半導体装置起因の不純物汚染を低減するシーケンスの概略図である。
【図3】搬送温度、真空置換及びその他の条件を変えたA〜Eの各ウェーハをTDCマスにより計測し、計測されたカーボン量をヘキサデカン(C1624)の検量線と比較し、ヘキサデカンに換算した重さをグラフに表したものである。
【符号の説明】
11 半導体製造装置
12 反応室
16 基板搬送室
18 ウェーハ

Claims (5)

  1. 基板搬送室より、外気から遮断した状態で反応室へ基板を搬入し、前記反応室内で基板を処理し、前記処理後の基板を前記反応室から前記基板搬送室に搬出する基板処理方法において、
    前記反応室から前記基板搬送室に基板を搬出した後、基板の前記反応室からの搬出中よりもさらに低い圧力で前記基板搬送室内を減圧排気すると共に、前記基板搬送室内の前記減圧排気時に不活性ガスによるパージを行うことを特徴とする基板処理方法。
  2. 基板搬送室より、外気から遮断した状態で反応室へ基板を搬入し、前記反応室内で基板を処理し、前記処理後の基板を前記反応室から前記基板搬送室に搬出する基板処理方法において、
    基板搬送中の前記反応室内及び前記基板搬送室内の圧力を大気圧とし、前記反応室から前記基板搬送室に基板を搬出した後、基板の前記反応室からの搬出中よりもさらに低い圧力で前記基板搬送室内減圧排気することを特徴とする基板処理方法。
  3. 前記反応室内で基板処理圧力が大気圧である請求項2記載の基板処理方法。
  4. 前記基板搬送室を減圧排気した後、大気圧に戻す請求項記載の基板処理方法。
  5. 前記基板搬送室をパージした後、大気圧に戻す請求項記載の基板処理方法。
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