JP4271157B2 - 到来方向推定装置及び到来方向推定方法 - Google Patents

到来方向推定装置及び到来方向推定方法 Download PDF

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Description

本発明は、到来電波の到来方向を推定する到来方向推定装置及び到来方向推定方法に関する。
到来方向推定装置では、アレーアンテナへ到来する電波の方向が推定される。現在様々な到来方向推定アルゴリズムが開発されている。アレーアンテナが大規模になると、高精度に到来方向を推定しなければならない場合、演算量が多くなってしまう。高精度な到来方向推定にかかる演算量の削減を行うものとしては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。
この特許文献1に記載の到来方向推定方法では、まず、演算量の少ない簡易推定方法により到来波の到来方向を概略的に推定し、この簡易推定結果に基づいて必要最小限の演算範囲(演算対象とすべき方向範囲)を決定する。そして、決定された演算範囲についてMUSIC(MUltiple SIgnal Characterization)アルゴリズムにより到来方向推定を行うことで、高精度の推定結果を得る。
つまり、この到来方向推定方法では、演算量を削減するため、初めに演算量の少ない簡易推定方法で概略の到来方向の推定を行って最小限の演算範囲を決定し、次にMUSICアルゴリズムにより各演算範囲について高精度な到来方向の推定を行っている。
しかしながら、上記方法では、2回目に行う到来方向推定では、必ずMUSICアルゴリズムを用いなければならない。すなわち、MUSICアルゴリズムを用いなくても所望の精度によって到来方向を推定できる場合も、MUSICアルゴリズムを使用しなければならない。このため、演算量が多くなってしまう問題があった。
特開平11−231033号公報
本発明は、到来方向推定に必要な演算量をさらに低減しつつも高精度に到来方向推定を行うことのできる到来方向推定装置及び到来方向推定方法を提供する。
本発明の一態様としての到来方向推定装置は、
到来電波の到来方向を推定する到来方向推定装置であって、
前記到来電波を受信する複数のアンテナ素子と、
各前記アンテナ素子の受信信号から相関行列を計算する相関行列計算手段と、
前記相関行列の固有値を計算する固有値計算手段と、
前記固有値を用いて到来電波の数を推定する第1の到来波数推定手段と、
各前記アンテナ素子の受信信号を用いて離散フーリエ変換に基づくアルゴリズムにより前記到来電波の概略の到来方向を推定する概略到来方向推定手段と、
前記概略到来方向推定手段の推定結果に基づいて到来電波の数を推定する第2の到来波数推定手段と、
前記概略の到来方向に基づいて、前記到来電波の到来方向を推定する方向範囲としての演算範囲を決定する演算範囲決定手段と、
演算指示を受けた場合は、前記離散フーリエ変換に基づくアルゴリズムよりも到来電波の検出能力が高いアルゴリズムに基づき、前記演算範囲について前記到来電波の到来方向の推定を行う第1の到来方向推定手段と、
演算指示を受けた場合は、前記離散フーリエ変換に基づくアルゴリズムに基づき、前記演算範囲について前記到来電波の到来方向の推定を行う第2の到来方向推定手段と、
前記第1の到来波数推定手段によって推定された到来波数と、前記第2の到来波数推定手段によって推定された到来波数とが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって一致しないと判定された場合は前記演算範囲について前記到来方向の推定を行うことを前記第1の到来方向推定手段に指示し、一致すると判定された場合は前記第2の到来方向推定手段に指示するアルゴリズム選択手段と、
前記判定手段によって一致しないと判定された場合、前記第1の到来方向推定手段によって前記演算範囲の各々について到来方向の推定が行われる度に、前記第1の到来波数推定手段によって推定された到来波数と、前記第1の到来方向推定手段によって推定された到来方向の総数との差を計算する計算手段と、
計算された前記差と、残りの演算範囲の数とが一致するか否かを判定するさらなる判定手段段とを備え、
前記さらなる判定手段によって一致すると判定された場合は、前記アルゴリズム選択手段は、残りの演算範囲について前記到来方向の推定を行うことを前記第2の到来方向推定手段に指示する
ことを特徴とする。
本発明の一態様としての到来方向推定方法は、
複数のアンテナ素子を用いて到来電波の到来方向を推定する到来方向推定方法であって、
各前記アンテナ素子の受信信号から相関行列を計算し、
前記相関行列の固有値を計算し、
前記固有値を用いて到来電波の数を推定し、
各前記アンテナ素子の受信信号を用いて離散フーリエ変換に基づくアルゴリズムにより前記到来電波の概略の到来方向を推定し、
前記概略の到来方向に基づいて、前記到来電波の到来方向を推定する方向範囲としての演算範囲を決定し、
前記推定された到来波数と、推定された前記概略の到来方向の数とが一致するか否かを判定し、
一致しない場合は前記離散フーリエ変換に基づくアルゴリズムよりも到来電波の検出能力が高いアルゴリズムに基づき前記演算範囲について前記到来電波の到来方向の推定を行い、一致する場合は前記離散フーリエ変換に基づくアルゴリズムに基づき前記到来電波の到来方向の推定を行い、
前記推定された到来波数と、前記推定された前記概略の到来方向の数とが一致しないと判定された場合、前記検出能力が高いアルゴリズムに基づき前記演算範囲の各々について到来方向の推定が行われる度に、前記固有値に基づいて推定された到来波数と、前記検出能力が高いアルゴリズムに基づき推定された到来方向の総数との差を計算し、
計算された前記差と、残りの演算範囲の数とが一致するか否かを判定し、一致すると判定された場合は、残りの演算範囲について前記離散フーリエ変換に基づくアルゴリズムに基づき前記到来方向の推定を行う
ことを特徴とする。
本発明により、到来方向推定に必要な演算量を低減しつつも高精度に到来方向推定を行うことができる。
以下、図面を参照しながら本実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に従った到来方向推定方法を実施する到来方向推定装置の構成を概略的に示すブロック図である。
まず、各構成要素について簡単に説明し、その後、各構成要素の詳細を説明する。
複数のアンテナ素子101は、複数のユーザ装置からの到来電波を受信する。
複数のA/D変換手段102は、複数のアンテナ素子101による受信信号をデジタル信号に変換する。
相関行列計算手段103は、複数のA/D変換手段102の出力信号から相関行列を計算する。
固有値計算手段104は、相関行列計算手段103から出力された相関行列の固有値を求める。
第1の到来波数推定手段105は、固有値計算手段104から出力された固有値を用いて到来電波の波数を推定する。ここで推定された波数は、実際に到来した電波の数として扱われる。
概略到来方向推定手段106は、相関行列計算手段103から出力された相関行列または複数のA/D変換手段102の出力信号を用いて、ビームフォーマ法(離散フーリエ変換に基づくアルゴリズム)に基づき、簡易な到来方向推定を行う。つまり、到来電波の概略の到来方向(到来角)を推定する。
第2の到来波数推定手段107は、概略到来方向推定手段106の推定結果に基づいて到来電波の到来波数(メインローブ数)を推定する。より詳細には、第2の到来波数推定手段107は、概略到来方向推定手段106によって推定された各到来電波の概略方向の数を、到来電波の到来波数として推定する。第2の到来波数推定手段107は、推定した到来波数を判定装置109に出力し、また、自身に入力された各到来電波の概略の到来方向を第2の到来方向推定手段112に出力する。
到来方向推定演算範囲決定手段(以下単に演算範囲決定手段)108は、各到来電波の概略方向の各々に対応して、高精度な到来方向推定を行うべき到来方向の範囲(演算範囲)を決定する。
判定装置109は、第1の到来波数推定手段105と第2の到来波数推定手段107との出力値が一致するか否かを判定する。
到来方向推定アルゴリズム選択装置(以下単にアルゴリズム選択装置と称する)110は、判定装置109による判定結果に応じて、到来電波の到来方向を推定するために用いる到来方向推定アルゴリズムを選択する。具体的には、上記判定結果が不一致を示す場合は到来電波の検出能力の高い(分解能の高い)MUSICアルゴリズムを、一致を示す場合は演算量の少ないビームフォーマ法を選択する。判定結果が不一致を示す場合のアルゴリズムとしてMUSICアルゴリズム以外の、ビームフォーマ法よりも到来電波の検出能力の高い他のアルゴリズムを選択してもよい。アルゴリズム選択装置110は、MUSICアルゴリズムを選択した場合は第1の到来方向推定手段111に演算指示を出力し、ビームフォーマ法を選択した場合は第2の到来方向推定手段112に演算指示を出力する。
第1の到来方向推定手段111は、アルゴリズム選択装置110から演算指示を受けた場合は、演算範囲決定手段108によって決定された各演算範囲について、MUSICアルゴリズムを用いて、到来方向の推定を行う。第1の到来方向推定手段111は、各演算範囲について推定した到来方向を出力する。
第2の到来方向推定手段112は、アルゴリズム選択装置110から演算指示を受けた場合は、演算範囲決定手段108によって決定された各演算範囲について、ビームフォーマ法を用いて、到来方向の推定を行う。第2の到来方向推定手段112は、各演算範囲について推定した到来方向を出力する。
以下、上述した各構成要素についてさらに詳細に説明する。
複数のアンテナ素子101は、必要とする周波数で到来する電波を受信するように設計されている。複数のアンテナ素子101は、リニアアンテナまたは平面アレーアンテナとして構成される。アンテナ形状としては、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、パッチアンテナ等、どのような形状のアンテナを用いてもよい。
複数のA/D変換手段102は、複数のアンテナ素子101で受信された受信信号をアナログ信号からデジタル信号へ変換する。デジタル信号に変換する前に、受信信号の増幅、受信信号の周波数変換、受信信号の周波数帯域制限を、それぞれ、増幅器、周波数変換器、フィルターを用いて行っても良い。
相関行列計算手段103は、デジタル化された各アンテナ素子の受信信号を用いて、相関行列を計算する。相関行列は以下の式(1)を用いて計算する。
Figure 0004271157
ここで、x(t)=[x1(t),x2(t),・・・,xp(t)]T(すなわちx(t)はxi(t)(i=1,2・・・,p)のベクトル表現)であり、ここにおいて、pはアンテナ素子数、xi(t)(i=1,2・・・,p)はアンテナ素子の受信信号である。また、E[・]はアンサンブル平均を表し、有限の時間サンプル数Nの平均によって計算される。Hは複素共役転置、Tは転置を表す。
固有値計算手段104は、相関行列Rxxの固有値を計算する。アンテナ素子数がpの場合、相関行列はp×pの行列となり、固有値はp個求められる。計算された固有値を大きい順に、λ1≧λ2≧・・・≧λpとする。
第1の到来波数推定手段105は、計算されたp個の固有値を用いて到来波数推定を行う。到来波数推定はAIC(Akaike Information Criteria)法やMDL (Minimum Description Length)法を用いることができる(参考文献:Mati Wax, and Thomas Kailath, “Detection of signals by information theoretic criteria”, IEEE Trans. Acoustic, Speech, and Signal Processing, vol. ASSP-33, no. 2, pp. 387-392, April 1985.)。
AIC法、MDL法では以下に示す式(2)、式(3)の評価関数をそれぞれ計算する。
Figure 0004271157
評価関数は、到来波数kの関数となっていて、その関数の最小値から到来波数kを推定する。この評価関数によって推定された波数は、上述したように、実際に到来した電波の数として扱われる。
概略到来方向推定手段106は、複数のA/D変換手段102の出力または相関行列Rxxに基づき、到来電波の概略の到来方向の推定(概略到来方向推定)を行う。
図2は、概略到来方向推定を説明する図である。
まず、方向θstartから方向θstopまでの全演算範囲について、適当な演算ステップ幅θ’stepで、ビームフォーマ法(離散フーリエ変換に基づくアルゴリズム)により、到来方向θに対する相対電力PBF(θ)を計算する(図中の白丸でプロットされたサンプル点参照)。相対電力は、最も大きな電力値を1(0dB)とした場合の電力である。次に、サイドローブレベル以上の閾値Tを設定し、閾値Tを越える相対電力PBF(θ)のピーク(メインローブ)を検出する(K'個検出されたとする)。検出したピークに対応する到来方向θ’x(X=1,2,・・・,K')を、到来波の概略の到来方向として推定する。
図中、到来方向θ1、θ2、・・・、θKは、到来電波の実際の到来方向を示す。ビームフォーマ法は電波の検出能力が低いため(分解能が低いため)、ここで検出された到来電波の数K'と、第1の到来波推定手段105によって計算された実際の到来電波の数Kとが一致するとは限らない。一致しない場合、K'<Kの関係がある。すなわち、この場合、ビームフォーマ法で検出された1つのメインローブ内に実際には複数のメインローブが存在する。つまり、ビームフォーマ法では、近接する複数のメインローブを1つのメインローブとして判定してしまっている。
図1に戻り、第2の到来波数推定手段107は、概略到来方向推定手段106による推定結果を用いて、到来電波の波数(メインローブ数)を推定する(第2の到来波数推定)。図2に示すように、閾値Tを超えるピークの個数を計数し、計数により得た数を到来電波の波数とする。この到来波数は、上記概略の到来方向の数と等しい。
第2の到来波数推定手段107は、推定した到来電波の波数を判定装置109へ出力する。また、第2の到来波数推定手段107は、閾値を超えたピークに対応する到来方向(図2におけるθ'1, θ'2, ・・・,θ'k')、すなわち各到来電波の概略の到来方向を、第2の到来方向推定手段112へ出力する。
判定装置109は、第1の到来波数推定手段105及び第2の到来波数推定手段107により推定された波数が一致しているか否かを判定し、判定結果をアルゴリズム選択装置110に出力する。
演算範囲決定手段108は、概略到来方向推定手段106によって推定された各到来電波の概略の到来方向に基づき、到来方向の推定を行う方向範囲(演算範囲)を決定する。以下これについて詳細に説明する。
図2に示すように、概略到来方向推定手段106によって推定された概略の到来方向θ’x(X=1,2,・・・K')のピーク値PBF(θ’x)からA[dB](例えばA=3)だけ低い相対電力PBFcross-startX)及びPBFcross-stopX) (X=1,2,・・・K')を各ピークについてそれぞれ求める。そして、方向θcross-startXに対し横軸方向に最も近いサンプル点における方向θstartX(X=1,2,・・・K')と、方向θcross-stopXに対し横軸方向に最も近いサンプル点における方向θstopX(X=1,2,・・・K')との間の方向範囲を演算範囲として決定する。
一例としてX=1の場合を以下に示す。図2において、まず、PBF(θ’1)(X=1)からA[dB]だけ低い相対電力PBFcross-start1)及びPBFcross-stop1)(X=1)を求める。次に、方向θcross-start1に最も近いサンプル点及び方向θcross-start1に最も近いサンプル点をそれぞれ求めるとサンプル点P1、P2となる。よって、サンプル点P1に対応する方向θstart1(X=1)と、サンプル点P2に対応する方向θstop1(X=1)との間の範囲が演算範囲として求まる。
図1に戻り、アルゴリズム選択装置110は、判定装置109による判定結果に基づいて、到来方向推定を行う際に用いる到来方向推定アルゴリズムを選択する。すなわち、第1の到来波数推定手段105及び第2の到来波数推定手段107により推定された波数が一致しない場合は、高分解能なMUSICアルゴリズムを選択する。一方、第1の到来波数推定手段105及び第2の到来波数推定手段107により推定された波数が一致する場合は、低演算量のビームフォーマ法を選択する。以下これについてさらに詳細に説明する。
第1の到来波数推定手段105及び第2の到来波数推定手段107により推定された波数が一致する場合、第1の到来波推定手段105によって推定された到来波数と、第2の到来波数推定手段107で検出した、閾値を超えるピーク値の個数とが一致する。これは、閾値を超える各方向範囲すなわち各メインビーム幅内には、到来電波(メインローブ)が1波しか含まれないこととを意味する。逆にいえば、両者が一致しない場合は、閾値を越える各方向範囲(各メインビーム幅)の少なくともいずれかには、複数の到来電波(メインローブ)が存在することになる。各方向範囲に到来電波がそれぞれ1波しか含まれない場合は、後述するように、MUSICアルゴリズムに比べ演算量が非常に少ないビームフォーマ法を用いても、到来方向を高精度に推定可能である。そこで、両者が一致する場合は、低い演算量で高精度の到来方向推定を行うべくビームフォーマ法を選択し、一致しない場合は、MUSICアルゴリズムを選択する。
アルゴリズム選択装置110は、MUSICアルゴリズムを選択した場合は、MUSICアルゴリズムにより到来方向推定を行うべく、第1の到来方向推定手段111に演算指示を出力する。一方、アルゴリズム選択装置110は、ビームフォーマ法を選択した場合は、ビームフォーマ法による到来方向推定を行うべく、第2の到来方向推定手段112に演算指示を出力する。
第1の到来方向推定手段111は、アルゴリズム選択装置110から演算指示を受けた場合は、演算範囲決定手段108によって決定された各演算範囲について、到来波数推定手段105によって推定された到来波数を用いて、MUSICアルゴリズムに基づき、到来方向推定を行う(第1の到来方向推定)。
図3は、この第1の到来方向推定を行う様子を示す。
各演算範囲(方向θstartX〜θstopX(X=1,2,・・・K'))について、所望の演算ステップ幅θstepにより、評価関数Pmusic(θ)を用いた演算を行う。評価関数Pmusic(θ)がピークを示す方向θ"1,θ"2,・・・θ"Kが求めるべき到来方向となる。この評価関数Pmusic(θ)は、複数のアンテナ素子101の受信信号を用いて、既知の方法で算出できる。図3において、θ1、θ2、・・・、θKは、到来電波の実際の到来方向を示す。
図1に戻り、第2の到来方向推定手段112は、アルゴリズム選択装置110から演算指示を受けた場合は、演算範囲決定手段108で決定された各演算範囲について、ビームフォーマ法を用いて、以下のようにして到来方向推定を行う(第2の到来方向推定)。
図4は、ビームフォーマ法よりある演算範囲(方向θstartX〜θstopX)について到来方向推定を行う様子を示す図である。
まず、ある演算範囲θstartX〜θstopXにおいて、演算ステップ幅をθstartX及びθstopX間の方向間隔ΔθX(=θstopX −θstartX)の1/2であるΔθX/2として、方向θstartX+ΔθX/2(方向θstartX及びθstopX間の中間方向)での相対電力PBFstartX+ΔθX/2)を新たに求める。
次に、PBF(θstartX)、PBF(θstopX)、PBFstartX+ΔθX/2)を比較し、大きいものから順に2番目までを選択する。ここではPBF(θstopX)、PBFstartX+ΔθX/2)が選択される。
次に、演算ステップ幅をΔθX/22とし、上で選択された2つの方向の中間方向θstartX+ΔθX/2+ΔθX/22での相対電力PBFstartX+ΔθX/2+ΔθX/22)を新たに求める。そして、先ほど同様に、PBF(θstopX)、PBFstartX+ΔθX/2)及びPBFstartX+ΔθX/2+ΔθX/22)の比較を行い、大きいものから順に2番目までを選択する。
以降、同様の処理(中間方向における相対電力を求める処理と、相対電力の大きいものを2つ選択する処理)を繰り返し行う。そして、演算ステップ幅ΔθX/2mが、所望の分解に相当する演算ステップ幅となったら、最後に最大となる相対電力値を選択し、その相対電力値を与える方向を、求めるべき到来方向θXとする。
このような処理を各演算範囲について行うことで最終的に全ての到来方向を低演算量で高精度に求めることができる。
以上のように、図4に示した手法によれば、徐々に演算ステップを所望の分解能以下まで狭めながら、到来方向推定を行うことで、相対電力PBF (θ)の算出回数を減らしつつ、すなわち演算量を削減しつつ、到来電波の到来方向を推定できる。
以上では、徐々に演算ステップを所望の分解能以下まで狭めながら到来方向推定を行ったが、この他、所望の分解能以下の一定の演算ステップ幅で順次、演算を行うことによって到来方向推定を行ってもよい。
図5は、図1に示す到来方向推定装置による処理の流れを説明するフローチャートである。
まず、デジタル化された複数の受信信号を用いて、相関行列を計算する(Step1)。
次に、Step1で計算された相関行列を用いて固有値を計算する(Step2)。
次に、Step2で計算された固有値を用いて第1の到来波数推定を行う(Step3)。
次に、Step1の結果を用いて概略到来方向推定を行う(Step4)。
次に、Step4の結果を用いて到来方向推定を行う演算範囲を決定する(Step5)。
次に、Step4の結果を用いて、第2の到来波数推定を行う(Step6)。
次に、Step3及びStep6でそれぞれ計算された到来波数が一致するか判定する(Step7)。
次に、Step7の判定結果に基づいて、到来方向推定アルゴリズムを選択する(Step8)。すなわち、到来波数が一致する場合は、MUSICアルゴリズムを選択し、一致しない場合はビームフォーマ方法を選択する。
次に、Step8で選択した到来方向推定アルゴリズムに基づき、第1または第2の到来方向推定を行う(Step9)。
以上に示した処理の流れは一例であり、各ステップの一部の順序が入れ替わってもよい。例えば、Step5及びStep6の順序が入れ替わってもよい。また、いくつかのステップが同時に行われてもよい。例えば、Step5及びStep6が同時に行われてもよい。
ここで、本発明者らは、本実施の形態の有効性を示すため、図1の装置を用いて独自の実験を行った。以下、この実験の結果を説明する。
本実験では、複数のアンテナ素子として、素子数10のアンテナ素子が直線状に配列されたリニアアレーを用いた。また、到来電波の波数を3、各到来電波の到来方向をそれぞれ−20°、0°、30°とした。また、概略到来方向推定での演算ステップ幅を3°とした。また、第1または第2の到来方向推定における所望の分解能を0.1°とした。
以上において、実験を行った結果、第1の到来波数推定手段105において、到来波数は3と推定された。
概略到来方向推定手段106における概略到来方向推定の結果は図6に示すようになった。但し、推定のための閾値を−10dBとしている。つまり、リニアアレーのサイドローブレベルは−13dBであるが、到来波分布によって多少上下に変動するため、マージンを確保すべく閾値は−10dBとした。この結果、閾値を越えるピークに対応する到来方向はそれぞれ、−21°、0°、30°となった。これら3つの方向が概略の到来方向として推定される。
第2の到来波数推定手段107による第2の到来波数推定の結果(到来波数)は、図6からも理解されるように、閾値を越えるピーク数、すなわち3である。
演算範囲決定手段108では、概略到来方向推定で求められた各概略の到来方向に対応するピーク値より3dB低くなる方向を計算し、この結果に基づき、第1または第2の到来方向推定を行う演算範囲を決定する。その結果、方向−21°では−27°<θ <−12°、方向0°では−6°<θ <6°、方向30°では24°<θ <39°が、第1または第2の到来方向推定を行う演算範囲として算出された。
判定装置109では、上記から理解されるように、第1及び第2の到来波数推定手段105、107によって推定された到来波数が一致すると判定された。この結果、アルゴリズム選択装置110によって、ビームフォーマ法が選択された。
第2の到来方向推定手段112において、ビームフォーマ法に基づく到来方向推定(第2の到来方向推定)が行われ、各演算範囲の幅は、−21°方向では15°、0°方向では12°、30°方向では15°である。従って、演算ステップ幅ΔθX/2mが所望の分解能0.1°より小さくなるのは、−21°方向ではm=8、0°方向ではm=7、30°方向ではm=8である。よって、第2の到来方向推定手段112で新たに相対電力PBF(θ)を算出しなければならない回数は合計で23回となる。
以上の結果、到来方向として、−19.91°、0°、30.04°が推定された。これらの方向は、すべて誤差0.1°以内の精度で推定されている。
ここで、本発明者らは、比較のために、MUSICアルゴリズムにより到来方向推定を行った場合に到来方向がどのようになるかを上記と同一条件で実験してみた。
実験の結果、到来方向は、−19.9°、0.1°、30.1°と推定された。評価関数Pmusic(θ)を計算しなければならない回数は、方向−21°方向では151回、方向0°では121回、そして方向30°では151回で、合計423回となる。これは、MUSICアルゴリズムによって所望の精度(0.1°)の到来方向を得るためには、各演算範囲について、0.1°以下の演算ステップ幅により到来方向推定を行わなければならないからである。
このようにMUSICアルゴリズムを用いる場合、ビームフォーマ法に比べて、約20倍(≒423/20)もの演算回数を必要となる。また、ビームフォーマ法は、MUSICアルゴリズムに比べ、非常に演算量が少ないため、演算回数の減少による効果は非常に大きい。また、演算回数が削減されても、推定精度は、上記から理解されるように、MUSICアルゴリズムと同等のものを得ることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、AIC法やMDL法などにより推定した到来波数と、ビームフォーマ法により推定した到来波数とが一致する場合は、到来方向推定に用いるアルゴリズムとしてビームフォーマ法を選択するようにしたため、到来方向を推定するのに必要な演算量を削減しつつ高精度な到来方向推定を行うことができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、第1の到来波数推定手段105と第2の到来波数推定手段107の出力結果が一致しないと判定された場合、各演算範囲について全てMUSICアルゴリズムにより到来方向推定を行ったが、本実施の形態は、MUSICアルゴリズムが選択された場合でも、ビームフォーマ法に変更可能な状況になった場合は、途中からビームフォーマ法に変更することでできるだけ演算量を低減する。以下図面を参照しながら第2の実施の形態について詳細に説明する。
図7は、本実施の形態としての到来方向推定装置の構成を概略的に示すブロック図である。
この到来方向推定装置は、MUSICアルゴリズムが選択された場合、第1の到来方向推定手段111によって各演算範囲の各々について到来方向が推定される毎に、まだ推定されていない到来電波の数と、まだ到来方向推定を行っていない演算範囲の数とが一致するかを判定し、一致する場合は、到来方向推定アルゴリズムをビームフォーマ法に切り換えることを特徴とする。
波数計数装置(計算手段及び判定手段)701は、第1の到来方向推定手段111において到来電波の到来方向が推定される毎に、到来電波の数を計数する。すなわち、推定された到来電波の総数を計算する。そして、各演算範囲の各々の到来方向推定が終了する毎に、第1の到来波数推定手段105により推定された波数から、計数した到来電波の数を減算する。この減算の結果と、まだ第1の到来方向推定手段111において到来方向推定が行われていない演算範囲の数とを比較する。一致する場合は、到来方向推定アルゴリズムをMUSICアルゴリズムからビームフォーマ法に切り換えるべく、アルゴリズム選択装置110に一致信号を出力する。つまり、上記減算の結果と、残りの演算範囲との数が一致する場合、残りの各演算範囲に含まれる到来電波はそれぞれ1波のみと判断できるため、ビームフォーマ法が適用可能となる。
アルゴリズム選択装置110は、一致信号が入力された場合は、到来方向推定アルゴリズムを、MUSICアルゴリズムからビームフォーマ法に切り換える。すなわち、アルゴリズム選択装置110は、演算指示の出力先を、第1の到来方向推定手段111から第2の到来方向推定手段112に切り換える。
第2の到来方向推定手段112は、演算指示を受けた場合は、残りの演算範囲についてビームフォーマ法により到来方向推定を行う。
図8は、波数計数装置701によって行われる処理の流れを説明するフローチャートである。
演算範囲決定手段108により決定された演算範囲の数が入力され、入力された演算範囲の数を記録する(Step11)。
第1の到来波数推定手段105により推定された到来波数が入力され、入力された到来波数を記録する(Step12)。
第1の到来方向推定手段111によって到来方向が推定されるたびに、推定された到来波の数を計数し、記録する(Step13)。
第1の到来方向推定手段111によって1つの演算範囲について到来方向推定が終了するたびに、推定された演算範囲の数を計数し、記録する(Step14)。
Step14で記録した値に基づいていまだ推定されていない演算範囲(残りの演算範囲)の数を計算し、残りの演算範囲の数と、いまだ推定されていない到来波の数とを比較する。一致すれば次のStep16へ進み、一致していなければStep13へ戻る(Step15)。
Step16では、まだ推定していない到来波の数と、残りの演算範囲の数とが一致したことを示す一致信号を、アルゴリズム選択装置110へ出力し、アルゴリズム選択装置110にビームフォーマ法を選択させる。すなわち、アルゴリズム選択装置110は、演算指示を第2の到来方向推定手段112に出力する。
以上のように、本実施の形態によれば、第1の到来波数推定手段105と第2の到来波数推定手段107との出力結果が一致しないと判定された場合でも、その後、まだ推定されていない到来電波の数と残りの演算範囲の数とが一致した場合は、途中から到来方向推定アルゴリズムをMUSICアルゴリズムからビームフォーマ法に切り換えるようにしたため演算量を削減することができる。
(第3の実施の形態)
第2の実施の形態では、到来電波の到来方向推定を行う毎に、すなわち複数のアンテナ素子101に到来電波が到来する度に、第1及び第2の到来波数を計算して到来方向推定アルゴリズムの選択を行ったが、短時間の間に連続して到来方向推定を行う場合などは、到来電波の数は変動しないことが多いと考えられ、また、到来方向の変動も少ないものと考えられる。そこで、本実施の形態では、今回における到来電波の数が前回と変動していないと考えられる場合は、前回と同じ到来方向推定アルゴリズムを適用することで、固有値の計算と、第1及び第2の到来波数推定と、第1及び第2の到来波数推定結果が一致するかの判定とを省略する。これにより演算量を低減し、もって処理時間を短くする。以下、図面を参照しながら、本実施の形態について詳細に説明する。
図9は、本実施の形態としての到来方向推定装置の構成を概略的に示すブロック図である。
この到来方向推定装置は、前回の演算範囲と、今回の演算範囲との関係が所定の一致条件を満たす場合は、前回と今回との到来電波の数は同一であるとみなし、今回の演算範囲に対する到来方向推定アルゴリズムとして前回と同一のものを適用しようとすることを特徴とする。この到来方向推定装置は、図7の構成に対して、一致判定手段901及び記憶手段902が新たに追加されている。
一致判定手段901は、演算範囲決定手段108によって決定された各演算範囲と、アルゴリズム選択装置110によって各演算範囲に対して選択された到来方向推定アルゴリズムとを内部の記憶手段902に記録する。
一致判定手段901は、記録している前回の各演算範囲と、今回新たに決定された各演算範囲との関係が所定の一致条件を満たすか否かを判定する。この判定は例えば以下のようにして行う。
まず、前回の演算範囲の数と、今回の演算範囲の数とが一致するか否かを調べる。一致する場合は、前回と今回とで各々対応する演算範囲同士の間で、演算範囲の大きさの差及び演算範囲同士のずれ(例えば概略の到来方向に対応するピーク位置のずれ)が所定の誤差条件を満たすかを満たすか否かを判断し、全ての演算範囲同士の間で、この所定の誤差条件が満たされる場合は、上記所定の一致条件が満たされると判定する。
一致判定手段901によって所定の一致条件が満たされないと判定された場合は、固有値の計算と、第1及び第2の到来波数推定と、第1及び第2の到来波数推定結果が一致するかの判定とを行って到来方向推定アルゴリズムを決定する。そして、到来方向推定アルゴリズムとしてMUSICアルゴリズムが選択された場合、第2の実施の形態と同様、アルゴリズムが切替可能な状況になったら、到来方向推定アルゴリズムをビームフォーマ方に切り換える。
一方、一致判定手段901によって所定の一致条件が満たされると判定された場合は、一致判定手段901は、前回の各演算範囲の各々に対して適用された到来方向推定アルゴリズムを示す情報をアルゴリズム選択装置110に出力し、アルゴリズム選択装置110は、各演算範囲について各々対応する到来方向推定アルゴリズムを選択する。すなわち、対象となる演算範囲に適用するアルゴリズムがMUSICアルゴリズムの場合は第1の到来方向推定手段111に演算指示を出力し、対象となる演算範囲に適用するアルゴリズムがビームフォーマ法である場合は第2の到来方向推定手段112に演算指示を出力する。
以上に説明した本実施の形態では、前回の各演算範囲の全部と、今回の各演算範囲の全部との間で、互いの演算範囲の大きさの差及び演算範囲の位置ずれの差が所定の誤差条件を満たす場合にのみ、前回と同様のアルゴリズムを適用するとした。この他、前回と今回との演算範囲の間で、一部の演算範囲同士のみが上記所定の誤差条件を満たさない場合は、その演算範囲についてはMUSICアルゴリズムを適用することとし、その他の演算範囲については前回と同様のアルゴリズムを適用するようにしてもよい。そして、所定の誤差条件を満たさないとしてMUSICアルゴリズムが適用された演算範囲から検出された到来電波の数が1であった場合は、記憶手段901に当該演算範囲に対応して記憶されたMUSICアルゴリズムをビームフォーマ法によって更新してもよい。
以上のように、本実施の形態によれば、今回の各演算範囲と前回の各演算範囲との関係が所定の一致条件を満たす場合は、前回及び今回における到来電波の数が同一であるとみなし、今回の各演算範囲の各々に対する到来方向推定アルゴリズムとして前回と同一のアルゴリズムを適用するようにしたため、固有値の計算と、第1及び第2の到来波数推定と、第1と第2の到来波数推定結果が一致するかの判定とを省略することができる。
さらに以上に説明した本実施の形態により、到来電波の到来方向推定を行う時間間隔を効率的に設定することも可能となる。以下これについて図10を用いて詳細に説明する。
図10は、時刻t=t1での到来波分布の一部と時刻t=t2での到来波分布の一部とを示す。簡単のため、ここでは、1つの到来波について着目している。点線で示すのが時刻t=t1での到来波分布であり、実線で示すのが時刻t=t2での到来波分布である。図10の方向差Δθは時刻t1とt2とでの到来波分布のずれを示す。
前述した本実施の形態によると、前回の時刻t1の到来電波について到来方向推定を行った際、その到来電波の演算範囲R1が記録される。そこで、まず、前回の演算範囲R1と、今回の時刻t2の到来電波について算出された演算範囲R2とを比較し、その方向差Δθを求める。なお、演算範囲R1と演算範囲R2の大きさは同一又は略同一であるとする。
次に、今回における到来電波の概略の到来方向(ピークに対応する方向)、前回と今回との演算範囲の方向差Δθ、目標物(ユーザ装置)までの距離に基づき、目標物の移動速度を求める。目標物までの距離は、予めまたは既知の手法で取得済みであるとし且つ目標物までの距離は前回と今回とで同一とみなす(例えば本発明を適用した中継装置が成層圏に配置され、目標物が地上に配置されている場合)。
次に、この移動速度に基づき、時刻t1において到来方向を推定した目標物が、時刻t1で推定された方向から、所望の到来方向推定精度(システムの仕様で要求される推定精度)以上の方向に移動するまでの時間(許容移動時間)を求める。
このようにして求めた許容移動時間をもとに到来方向推定を行う時間間隔を効率的に設定できる。例えば、ある時刻の到来電波について算出した各演算範囲の各々に対応する許容移動時間のうち、最も短い時間が経過するまでは次の到来方向推定を行わないようにすることができる。このように到来方向推定を行う時間間隔を効率的に設定することによって到来方向推定を行う回数を減らすことができ、もって消費電力の低減を図ることができる。
以上までに説明した第1〜第3の実施の形態では、主として、到来方向推定アルゴリズムを好適に選択することで高精度な到来方向推定を低演算量で行うことができる旨を説明したが、低演算量以外にも、安定した通信や高速な到来方向推定といった効果を得ることができる。
例えば、無線LANのアクセスポイントにおいて、複数の移動無線端末からの到来電波の方向を推定しそれぞれの端末方向へビームを向けるビームフォーミングを行う場合、到来電波の分布に応じて到来方向推定アルゴリズムを適正に選択することで、高速な到来方向推定が行うことができる。その結果、アクセスポイントとそれぞれの無線端末との間で安定した通信を行うことができる。
また、レーダでは、高精度な到来方向推定が必要となってくるが、大規模なアレーアンテナで、常に、高分解能な到来方向推定アルゴリズムを使用すると、処理時間が長くなり、目標を捕捉できなくなる。そこで、到来電波の分布に応じて、到来方向推定アルゴリズムを適正に選択することによって、高速に目標物を捕捉することができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明は、リニアアンテナまたは平面アンテナを用いて到来電波の到来方向を推定する各種の装置に適用可能であり、例えば無線LAN基地局やレーダ、成層圏プラットフォームの中継装置に適用できる。成層圏プラットフォームについて以下に簡単に説明しておく。
成層圏プラットフォームは、高度20Kmの成層圏に、基地局を載せた飛行体を滞空させ、これを通信・放送、地球観測、災害監視などに利用するものである。この成層圏プラットフォームを利用した無線システムは、地上系の無線システムに比べて高い仰角が確保しやすく1つの中継装置からのサービス範囲が圧倒的に広いことや、衛星系のシステムに比べて地上からの距離が短く伝搬損失や遅延歪みが極めて小さいことを特徴としてもつ。このような特徴から、成層圏プラットフォームは、地上系、衛星系に次ぐ第3の通信インフラになると期待されている(参考文献「成層圏滞空ソーラープレーンによるミリ波IP伝送ならびにディジタルビーム形成実験」(辻 宏之等、通信総合研究所等))。
本発明の第1の実施の形態に従った到来方向推定方法を実施する到来方向推定装置の構成を概略的に示すブロック図である。 概略到来方向推定を説明する図である。 第1の到来方向推定を行う様子を示す図である。 ビームフォーマ法よりある演算範囲(方向θstartX〜θstopX)について到来方向推定(第2の到来方向推定)を行う様子を示す図である。 図1に示した到来方向推定装置による処理の流れを説明するフローチャートである。 第1の到来方向推定の結果を示す図である。 本発明の第2の実施の形態としての到来方向推定装置の構成を概略的に示すブロック図である。 波数計数装置による処理の流れを説明するフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態としての到来方向推定装置の構成を概略的に示すブロック図である。 連続する2つの時刻における到来波分布をそれぞれ示す図である。
符号の説明
101:アンテナ素子
102:A/D変換器
103:相関行列計算手段
104:固有値計算手段
105:第1の到来波数推定手段
106:概略到来方向推定手段
107:第2の到来波数推定手段
108:演算範囲決定手段
109:判定装置
110:アルゴリズム選択装置
111:第1の到来方向推定手段
112:第2の到来方向推定手段
701:波数計数装置
901:一致判定手段
902:記憶手段

Claims (9)

  1. 到来電波の到来方向を推定する到来方向推定装置であって、
    前記到来電波を受信する複数のアンテナ素子と、
    各前記アンテナ素子の受信信号から相関行列を計算する相関行列計算手段と、
    前記相関行列の固有値を計算する固有値計算手段と、
    前記固有値を用いて到来電波の数を推定する第1の到来波数推定手段と、
    各前記アンテナ素子の受信信号を用いて離散フーリエ変換に基づくアルゴリズムにより前記到来電波の概略の到来方向を推定する概略到来方向推定手段と、
    前記概略到来方向推定手段の推定結果に基づいて到来電波の数を推定する第2の到来波数推定手段と、
    前記概略の到来方向に基づいて、前記到来電波の到来方向を推定する方向範囲としての演算範囲を決定する演算範囲決定手段と、
    演算指示を受けた場合は、前記離散フーリエ変換に基づくアルゴリズムよりも到来電波の検出能力が高いアルゴリズムに基づき、前記演算範囲について前記到来電波の到来方向の推定を行う第1の到来方向推定手段と、
    演算指示を受けた場合は、前記離散フーリエ変換に基づくアルゴリズムに基づき、前記演算範囲について前記到来電波の到来方向の推定を行う第2の到来方向推定手段と、
    前記第1の到来波数推定手段によって推定された到来波数と、前記第2の到来波数推定手段によって推定された到来波数とが一致するか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段によって一致しないと判定された場合は前記演算範囲について前記到来方向の推定を行うことを前記第1の到来方向推定手段に指示し、一致すると判定された場合は前記第2の到来方向推定手段に指示するアルゴリズム選択手段と、
    前記判定手段によって一致しないと判定された場合、前記第1の到来方向推定手段によって前記演算範囲の各々について到来方向の推定が行われる度に、前記第1の到来波数推定手段によって推定された到来波数と、前記第1の到来方向推定手段によって推定された到来方向の総数との差を計算する計算手段と、
    計算された前記差と、残りの演算範囲の数とが一致するか否かを判定するさらなる判定手段段とを備え、
    前記さらなる判定手段によって一致すると判定された場合は、前記アルゴリズム選択手段は、残りの演算範囲について前記到来方向の推定を行うことを前記第2の到来方向推定手段に指示する
    ことを特徴とする到来方向推定装置。
  2. 前記第2の到来波数推定手段は、前記概略到来方向推定手段によって推定された前記概略の到来方向の数を、前記到来電波の数として推定することを特徴とする請求項1に記載の到来方向推定装置。
  3. 前記第1の到来方向推定手段は、前記到来電波の検出能力が高いアルゴリズムとしてMUSICアルゴリズムを使用し、前記MUSICアルゴリズムに基づき所望の分解能を得るために必要な演算ステップ幅で演算を行うことにより前記到来方向の推定を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の到来方向推定装置。
  4. 前記概略到来方向推定手段は、前記到来電波の概略の到来方向を推定できる演算ステップ幅による演算を行うことによって到来方向と受信電力との関係を算出し、既定値以上の受信電力を持つピークに対応する到来方向を前記概略の到来方向として推定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の到来方向推定装置。
  5. 前記第2の到来方向推定手段は、前記演算範囲の中間方向における受信電力を算出し、前記演算範囲の始点方向、終点方向及び前記中間方向のうち受信電力が大きいものを2つ選択し、選択された2つの方向の中間方向における受信電力を算出し、以降、選択された2つの方向と中間方向との3つの方向のうち受信電力が大きいもの2つを選択することと、選択された2つの方向の中間方向における受信電力を算出することとを繰り返すことにより前記到来方向の推定を行うことを特徴とする請求項4に記載の到来方向推定装置。
  6. 前記第2の到来方向推定手段は、前記選択された2つの方向からの距離が所望の分解能以下になる中間方向について受信電力を算出したら、これまで算出した受信電力のうち最も大きい受信電力を与える方向を前記到来方向として推定することを特徴とする請求項5に記載の到来方向推定装置。
  7. 今回受信された到来電波について前記演算範囲決定手段により決定された演算範囲の各々と、前回受信された到来電波について前記演算範囲決定手段により決定された演算範囲の各々との関係が所定の一致条件を満たすか否かを判断する判断手段をさらに備え、
    前記判断手段によって前記所定の一致条件を満たすと判定された場合は、前記アルゴリズム選択手段は、今回の前記演算範囲の各々について前回と同じ到来方向推定手段に前記到来方向の推定を指示することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の到来方向推定装置。
  8. 前記複数のアンテナ素子は、リニアアレーアンテナまたは平面アレーアンテナとして構成されたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の到来方向推定装置。
  9. 複数のアンテナ素子を用いて到来電波の到来方向を推定する到来方向推定方法であって、
    各前記アンテナ素子の受信信号から相関行列を計算し、
    前記相関行列の固有値を計算し、
    前記固有値を用いて到来電波の数を推定し、
    各前記アンテナ素子の受信信号を用いて離散フーリエ変換に基づくアルゴリズムにより前記到来電波の概略の到来方向を推定し、
    前記概略の到来方向に基づいて、前記到来電波の到来方向を推定する方向範囲としての演算範囲を決定し、
    前記推定された到来波数と、推定された前記概略の到来方向の数とが一致するか否かを判定し、
    一致しない場合は前記離散フーリエ変換に基づくアルゴリズムよりも到来電波の検出能力が高いアルゴリズムに基づき前記演算範囲について前記到来電波の到来方向の推定を行い、一致する場合は前記離散フーリエ変換に基づくアルゴリズムに基づき前記到来電波の到来方向の推定を行い、
    前記推定された到来波数と、前記推定された前記概略の到来方向の数とが一致しないと判定された場合、前記検出能力が高いアルゴリズムに基づき前記演算範囲の各々について到来方向の推定が行われる度に、前記固有値に基づいて推定された到来波数と、前記検出能力が高いアルゴリズムに基づき推定された到来方向の総数との差を計算し、
    計算された前記差と、残りの演算範囲の数とが一致するか否かを判定し、一致すると判定された場合は、残りの演算範囲について前記離散フーリエ変換に基づくアルゴリズムに基づき前記到来方向の推定を行う
    ことを特徴とする到来方向推定方法。
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