JP4270127B2 - 内燃機関のアイドル回転速度制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関のアイドル回転速度制御装置に関するものである。
自動車用エンジン等の内燃機関においては、吸入空気量に対応した燃料噴射が行われることから、吸入空気量が多くなるほど燃焼される混合気の量が多くなり、機関出力が高くなる。このため、内燃機関のアイドル運転時には、吸入空気量の調整を通じて機関回転速度を制御するアイドル回転速度制御が行われる。そして、アイドル回転速度制御での吸入空気量の調整はISC補正量に基づき行われ、例えばISC補正量が大きくなるほど吸入空気量が増量されるようになる。
上記ISC補正量は、機関回転速度をアイドル運転時の目標値に近づけるべく増減するフィードバック項、内燃機関の温間時にフィードバック項を所定範囲内に収束させるべく増減するISC学習値、同機関の冷間時に増減する冷間補正項、及び、同機関の冷間から温間に亘って増減する冷間・温間補正項を備えてなる値である。
ここで、上記ISC学習値は、内燃機関における吸気系でのデポジットの付着など当該吸気系の経時変化による吸入空気量の適正値からの定常的なずれを補償するためのものである。すなわち、温間時にフィードバック項を上記所定範囲内に収束させた状態でのISC学習値(以下、学習完了したISC学習値という)は上記定常的なずれに対応した値となり、このときのISC学習値分の吸入空気量の調整により当該定常的なずれが補償されるようになる。
また、内燃機関の吸入空気量は吸入空気の密度(吸気密度)に応じて変化し、例えば大気圧の低い高地では吸気密度が小となって同機関の吸入空気量が少なくなるが、温間時には上記吸気密度の違いに基づく吸入空気量の適正値からのずれについても、温間時に学習されるISC学習値によって補償することができる。すなわち、温間時にISC学習値の学習が完了したときには当該ISC学習値が吸気密度に対応した値となり、このときのISC学習値分の冷間・温間補正項の調整により上記吸気密度の違いに基づく吸入空気量の適正値からのずれが補償される。このため、温間時には高地など吸気密度が小となる状況のもとでも吸入空気量を必要な値(適正値)に保つことができる。
しかし、ISC学習値の増減は、機関運転の安定しにくい冷間時には行われない。このため、温間時には上記学習されたISC学習値に基づき冷間・温間補正項を吸気密度に応じた値に調整することは可能であるが、冷間時には上記学習されたISC学習値に基づき冷間補正項を吸気密度に応じた値に調整することはできない。これは、冷間時には安定した機関運転のために多量の吸入空気が必要になり、温間時に学習されたISC学習値で冷間補正項を調整しても、その調整後の冷間補正項が吸気密度に適した値に満たないためである。従って、例えば吸気密度の小となる高地での機関冷間時には、吸入空気量の不足が顕著になり、内燃機関のストールに繋がるおそれがある。
こうした問題に対処するため、特許文献1の技術、すなわち大気圧が低く吸気密度が小になるほどISC補正量を大とするという吸気密度補正を適用することも考えられる。この場合、冷間時には、ISC学習値による冷間補正項の調整だけでは補いきれない冷間補正項の不足分を、ISC補正量(冷間補正項)に対する特許文献1の吸気密度補正により補うことで、その冷間補正項を吸気密度に適した値とすることができる。従って、上記のように高地での冷間時に吸入空気量が不足してストールを招くのを抑制することができる。
特開平6−294337公報
上述したように、特許文献1の吸気密度補正を適用することで、冷間時にISC補正量(冷間補正項)を吸気密度に応じた値に調整することが可能にはなる。ただし、特許文献1の吸気密度補正を単純に適用するだけでは、冷間時だけでなく温間時においても、ISC補正量(冷間・温間補正項)に対する吸気密度補正が冷間時と同様の態様で行われる。温間時には学習されたISC学習値に基づく冷間・温間補正項の調整が行われているため、その上で更に特許文献1の吸気密度補正が行われたとしても、その調整は無駄なものとなる。更に、特許文献1の吸気密度補正が行われているとき、ISC学習値の学習が行われると、そのISC学習値に上記吸気密度補正の分が含まれてしまい、当該ISC学習値の誤学習を招くことにもなる。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、冷間時にはISC補正量の吸気密度補正を的確に行い、温間時には不必要な吸気密度補正の実行及びISC学習値の誤学習を回避することのできる内燃機関のアイドル回転速度制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、ISC補正量が多くなるほど吸入空気量を増量するという同ISC補正量に基づく吸入空気量の調整を通じてアイドル運転時の機関回転速度を制御する内燃機関のアイドル回転速度制御装置において、前記ISC補正量は、機関回転速度を目標値に近づけるべく増減するフィードバック項と、内燃機関の温間時に前記フィードバック項を所定範囲内に収束させるべく増減するISC学習値と、同機関の冷間時に増減する冷間補正項と、同機関の冷間から温間に渡って増減する冷間・温間補正項とを備えてなり、内燃機関の温間時に前記フィードバック項が前記所定範囲内に収束するよう前記ISC学習値を増減させる同ISC学習値の学習を行い、内燃機関の冷間時のみ、且つ、前記冷間補正項に対してのみ、吸入空気の密度が小になるほど前記冷間補正項を大として前記ISC補正量を大とする吸気密度補正を行うことを要旨とした。
内燃機関の温間時には、フィードバック項が所定範囲内に収束するようISC学習値が増減される。そして、フィードバック項が所定範囲内に収束することによってISC学習値の学習が完了することになる。内燃機関の温間時には、こうして学習されたISC学習値が吸入空気の密度(吸気密度)に対応した値になり、同ISC学習値に基づき冷間・温間補正項が吸気密度に対応した値に調整される。この調整により吸気密度の違いに基づく吸入空気量の適正値からのずれが補償される。一方、内燃機関の冷間時には、冷間補正項に対してのみ吸気密度が小になるほど冷間補正項を大とする吸気密度補正が行われ、これにより吸気密度の違いに基づく吸入空気量の適正値からのずれを補償することができるようになる。また、こうした吸気密度補正は温間時に冷間・温間補正項に対して行われることはない。このため、温間時に、冷間・温間補正項に対する不必要な吸気密度補正の実行、及び、その吸気密度補正と同時にISC学習値の学習が行われることに伴う当該ISC学習値の誤学習を回避することができる。
請求項2記載の発明では、ISC補正量が多くなるほど吸入空気量を増量するという同ISC補正量に基づく吸入空気量の調整を通じてアイドル回転速度を制御する内燃機関のアイドル回転速度制御装置において、前記ISC補正量は、機関回転速度を目標値に近づけるべく増減するフィードバック項と、内燃機関の温間時に前記フィードバック項を所定範囲内に収束させるべく増減するISC学習値と、内燃機関の冷間時に増減する冷間補正項と、同機関の冷間から温間に渡って増減する冷間・温間補正項とを備えてなり、内燃機関の温間時に前記フィードバック項が前記所定範囲内に収束するよう前記ISC学習値を増減させる同ISC学習値の学習を行い、内燃機関の冷間時のみ、前記冷間補正項及び前記冷間・温間補正項に対し、吸入空気の密度が小になるほど当該両補正項を大として前記ISC補正量を大とする吸気密度補正を行い、前記冷間・温間補正項に対する吸気密度補正を前記冷間補正項に対する吸気密度補正よりも小さく行うことを要旨とした。
内燃機関の温間時には、フィードバック項が所定範囲内に収束するようISC学習値が増減される。そして、フィードバック項が所定範囲内に収束することによってISC学習値の学習が完了することになる。内燃機関の温間時には、こうして学習されたISC学習値が吸入空気の密度(吸気密度)に対応した値になり、同ISC学習値に基づき冷間・温間補正項が吸気密度に対応した値に調整される。この調整により吸気密度の違いに基づく吸入空気量の適正値からのずれが補償される。一方、内燃機関の冷間時には、冷間補正項及び冷間・温間補正項に対し吸気密度が小になるほど当該両補正項を大とする吸気密度補正が行われる。ここで、冷間・温間補正項については、温間時に学習されたISC学習値に基づく調整がなされることで、上記吸気密度補正の必要性が小さくなる。このことを考慮し、冷間・温間補正項に対する吸気密度補正は、冷間補正項に対する吸気密度補正よりも小さく行われる。以上の吸気密度補正により、吸気密度の違いに基づく吸入空気量の適正値からのずれを補償することができるようになる。また、こうした吸気密度補正は温間時に冷間・温間補正項に対して行われることはない。このため、温間時に、冷間・温間補正項に対する不必要な吸気密度補正の実行、及び、その吸気密度補正と同時にISC学習値の学習が行われることに伴う当該ISC学習値の誤学習を回避することができる。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の発明において、前記冷間補正項が吸入空気量を減量する側の値になるときには、前記吸気密度補正が行われないようにした。
内燃機関の冷間始動時のクランキング中には、吸入空気量を減量すべく冷間補正項が吸入空気量を減量する側の値になることがある。このようなときには、吸気密度補正を通じて冷間補正項が更に吸入空気量を減量する側に調整され、吸入空気量の減量しすぎにより内燃機関の始動性悪化を招くおそれがある。しかし、上記構成によれば、冷間補正項が吸気密度補正によって吸入空気量を減量する側の値になるときには、その吸気密度補正が行われないようにされるため、上記のような吸入空気量の減量しすぎによる内燃機関の始動性悪化を抑制することができる。
請求項4記載の発明では、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明では、前記冷間補正項の吸気密度補正については、高地の吸気密度に対応した補正が誤って低地にて行われたときに機関回転の過上昇を生じさせない態様で行われるものとした。
上記構成によれば、冷間補正項に対して高地での吸気密度補正が誤って低地にて行われたとしても、それに伴い機関回転が過上昇して内燃機関の運転性に影響を及ぼすのを抑制することができる。
請求項5記載の発明では、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記冷間補正項の吸気密度補正は、吸気密度に基づき算出される吸気密度補正係数を用いて行われるものであって、前記吸気密度補正係数は、アイドル状態での機関回転速度に応じて設定されるガード値に基づき、吸入空気量を増大させる側についてガードされるものであることを要旨とした。
上記構成によれば、冷間補正項に対して高地での吸気密度補正が誤って低地にて行われたとき、それに伴い機関回転が上昇するとしても、そのときの機関回転速度に応じて設定されるガード値に基づき、吸気密度補正係数が吸入空気量を増大させる側についてガードされる。このガード処理を通じて機関回転速度の過上昇が抑制され、当該機関回転速度の過上昇が内燃機関の運転性に影響を及ぼすのを抑制することができる。
請求項6記載の発明では、請求項5記載の発明において、前記ガード値の機関回転速度に基づく更新は、同ガード値の吸入空気量減量側への更新のみ許可されるものとした。
吸気密度補正係数のガード処理を通じて機関回転速度が低下したとき、仮に機関回転速度の低下に併せてガード値が吸入空気量増量側に更新されたとすると、吸気密度補正係数がガード値よりも吸入空気量減量側の値となり、吸気密度補正係数のガードが解除されて機関回転速度が再び上昇する。そして、この機関回転速度の上昇に伴いガード値が吸気密度補正係数よりも吸入空気量減量側の値に更新されると、再び吸気密度補正係数がカード値を用いて吸入空気量を増大させる側についてガードされる。以上のように、ガード値の吸入空気量増量側への更新が許可されると、吸気密度補正係数のガード実行・ガード解除が繰り返されるというハンチングが生じる。しかし、上記構成によれば、ガード値の吸入空気量減量側への更新のみが許可され、同ガード値の吸入空気量増量側への更新は禁止されるため、上記のようなハンチングが生じるのを回避することができる。
以下、本発明を自動車用の筒内噴射式エンジンに適用した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。
図1に示されるエンジン1においては、吸気通路4から燃焼室3に空気が吸入されるとともに、この空気の量(吸入空気量)に対応した量の燃料が燃料噴射弁2から燃焼室3内に噴射される。このため、吸気通路4に設けられたスロットルバルブ12の開度調節を通じて吸入空気量を多くするほど、燃焼室にて燃焼する混合気の量が多くなり、エンジン出力が高くなる。そして、エンジン1のアイドル運転時には、スロットルバルブ12の開度調節に基づき吸入空気量を調整してエンジン回転速度を制御するアイドル回転速度制御が行われる。
こうしたアイドル回転速度制御は、エンジン1を運転制御すべく自動車に搭載された電子制御装置20を通じて実行される。この電子制御装置20は、上記燃料噴射弁2及びスロットルバルブ12を駆動制御するとともに、以下に示す各種センサからの検出信号を入力する。
・自動車の運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダル14の踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセルポジションセンサ15。
・スロットルバルブ12の開度(スロットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ16。
・吸気通路4を介して燃焼室3に吸入される空気の流量(吸入空気流量)を検出するエアフローメータ13。
・エンジン1の出力軸であるクランクシャフト9の回転に対応する信号を出力するクランクポジションセンサ10。
・エンジン1の冷却水温を検出する水温センサ11。
ここで、電子制御装置20によるスロットルバルブ12の駆動を通じて行われるスロットル開度制御について説明する。
スロットルバルブ12は、電子制御装置20を通じてスロットル開度指令値TAtに基づき開度制御される。このスロットル開度指令値TAtは、以下の式(1)を用いて算出される。
TAt=TAbase+Qcal ・kt …(1)
TAbase:基本スロットル開度
Qcal :ISC補正量
kt :変換係数
上記式(1)において、基本スロットル開度TAbaseは、アクセルポジションセンサ15からの検出信号に基づき求められるアクセル踏込量、及び、クランクポジションセンサ10からの検出信号に基づき求められるエンジン回転速度等に基づき算出される値である。
この基本スロットル開度TAbaseについては、エンジン1のアイドル運転時には例えば「0」とされる。従って、アイドル運転時のスロットル開度指令値TAtは、式(1)における「Qcal ・kt」という項によって決定されることになる。この「Qcal ・kt」という項において、ISC補正量Qcal はアイドル回転速度制御でのエンジン回転速度の調整を行うべく増減する無次元のパラメータであり、変換係数ktは当該ISC補正量Qcal をスロットル開度というパラメータに変換するためのものである。
そして、アイドル回転速度制御中においては、ISC補正量Qcal が大になるほど、スロットルバルブ12の開度が大となり、エンジン回転速度が上昇するようになる。逆に、ISC補正量Qcal が小になるほど、スロットルバルブ12の開度が小となり、エンジン回転速度が低下するようになる。
次に、アイドル回転速度制御に用いられる上記ISC補正量Qcal の算出手順について説明する。
ISC補正量Qcal は、暖機完了状態でのエンジン1のアイドル運転中であることを条件に、フィードバック項qi、ISC学習値qg、冷間補正項A、冷間・温間補正項B、及び、吸気密度補正量Hに基づき、以下の式(2)を用いて算出される。
Qcal =qi+qg+A+B+H …(2)
Qcal :ISC補正量
qi :フィードバック項
qg :ISC学習値
A :冷間補正項
B :冷間・温間補正項
H :吸気密度補正量
以下、上記フィードバック項qi、ISC学習値qg、冷間補正項A、冷間・温間補正項B、及び、吸気密度補正量Hについて個別に説明する。
[フィードバック項qi]
フィードバック項qiは、エンジン回転速度をエンジン1のアイドル時の負荷状態等に応じて予め設定される目標値に近づけるべく増減される値である。すなわち、エンジン回転速度が目標値よりも小さい場合には、フィードバック項qiが大きくされてISC補正量Qcal が大きくされる。これにより、スロットル開度指令値TAtが大となってスロットルバルブ12が開き側に制御され、エンジン回転速度が上昇して目標値に近づくようになる。また、エンジン回転速度が目標値よりも大きい場合には、フィードバック項qiが小さくされてISC補正量Qcal が小さくされる。これにより、スロットル開度指令値TAtが小となってスロットルバルブ12が閉じ側に制御され、エンジン回転速度が低下して目標値に近づくようになる。
[ISC学習値qg]
ISC学習値qgは、エンジン1の吸気系におけるデポジットの付着など当該吸気系の経時変化による吸入空気量の適正値からの定常的なずれを補償するための値である。このISC学習値qgは、エンジン運転状態の安定し易いエンジン1の温間時、例えば水温センサ11によって検出される冷却水温が70℃以上のとき、フィードバック項qiを所定範囲内に収束させるよう増減される。
より具体的には、フィードバック項qiが上記所定範囲に対し増大側に外れている場合には、ISC学習値qgが大きくされてISC補正量Qcal が大きくされる。その結果、それまで同ISC補正量Qcal を大きくしていたフィードバック項qiが、上記所定範囲に向けて小さくされる。また、フィードバック項qiが上記所定範囲に対し減少側に外れている場合には、ISC学習値qgが小さくされてISC補正量Qcal が小さくされる。その結果、それまで同ISC補正量Qcal を小さくしていたフィードバック項qiが、上記所定範囲に向けて大きくされる。
そして、温間時にフィードバック項qiが上記所定範囲内に収束させた状態でのISC学習値qg(以下、学習完了したISC学習値qgという)は上記定常的なずれに対応した値となり、このときのISC学習値qg分のスロットル開度(吸入空気量)の調整により当該定常的なずれが補償されるようになる。なお、上記のように学習完了したISC学習値qgは、電子制御装置20に設けられた不揮発性のメモリに記憶され、次回のエンジン運転でのアイドル回転速度制御時においてISC補正量Qcal の算出に用いられる。
[冷間補正項A]
冷間補正項Aは、エンジン1の冷間時、すなわちISC学習値qgの増減が行われない冷却水温70℃未満のときに増減する補正項である。こうした冷間補正項Aとしては、始動時嵩上げ項qsta、水温補正項qthw、目標回転速度補正項qdlnt、及び、クランキング時補正項qcrnk等が含まれる。
上記始動時嵩上げ項qstaはエンジン1の始動開始時に必要な多量の吸入空気を確保するための補正項であり、上記水温補正項qthwはエンジン低温時のオイル粘度に起因するフリクション増大に抗してエンジン1を安定回転させるための補正項である。また、上記目標回転速度補正項qdlntは、アイドル回転速度制御の目標値に向けてエンジン回転速度を応答性よく近づけることを目的に、その目標値の大きさに応じて増減される補正項である。更に、上記クランキング時補正項qcrnkは、エンジン始動開始後のクランキング中にエンジン回転速度が急上昇したとき、ISC補正量Qcal を減少させて吸入空気量を少なくし、混合気のリーン化を抑制するための補正項である。なお、上記エンジン回転速度の急上昇に伴い混合気がリーン化するのは、その急上昇に伴い燃料噴射弁2からの燃料噴射が可能な時間が短くなり、実際に燃料噴射弁2から噴射される燃料の量が必要量よりも少なくなるためである。こうした混合気のリーン化を抑制すべく、クランキング時補正項qcrnk分のISC補正量Qcal の減少を通じて、吸入空気量が少なくされることとなる。
[冷間・温間補正項B]
冷間・温間補正項Bは、エンジン1の冷間時から温間時に亘って増減する補正項であって、オルタネータ補正項qo、電気負荷補正項qe、及び、エアコン補正項qac等が含まれる。
上記オルタネータ補正項qoは、アイドル運転時にエンジン1のオルタネータによる発電が行われているとき、それに伴うエンジン1の駆動抵抗に応じてエンジン1を安定回転すべく増減される補正項である。また、電気負荷補正項qeは、自動車の各種電気機器の作動に伴い、それら機器への給電を行うオルタネータの発電量を多くする必要が生じたとき、要求される発電量を得る際のエンジン1の駆動負荷(電気負荷)によって、エンジン回転速度が過度に低下しないようにするための補正項である。更に、エアコン補正項qacは、自動車のエアコンの作動に伴いエンジン1の駆動抵抗が大きくなったとき、それに応じてエンジン1を安定回転すべく増減される補正項である。
[吸気密度補正量H]
吸気密度補正量Hは、エンジン1の吸入空気の密度(吸気密度)の違いに基づく吸入空気量の適正値からのずれを補償するためのものである。
なお、エンジン1の温間時には、学習完了したISC学習値qgが上記ずれに対応する値になり、このISC学習値qgに基づき冷間・温間補正項Bを調整することで、上記ずれが補償されるようになる。しかし、エンジン1の冷間時には、安定したエンジン運転のために温間時よりも多量の吸入空気が必要になり、上記ずれに対応する値も温間時とは異なるものになるが、冷間時にはISC学習値qgの増減が行われないために同ISC学習値qgが上記ずれに対応する値にはならない。このため、温間時に学習完了したISC学習値qgを、冷間時に冷間補正項Aの調整に用いたとしても上記ずれを補償しきれるものではない。従って、例えば吸気密度の小となる高地での機関冷間時には、吸入空気量の不足が顕著になり、内燃機関のストールに繋がるおそれがある。
この不具合に対処するため、[背景技術]の欄に記載したように、特許文献1の技術を適用して、冷間か温間かに関係なく吸気密度が小になるほどISC補正量Qcal を大とする吸気密度補正を行うことが考えられる。この場合、冷間時には上記吸気密度補正により冷間補正項Aを吸気密度に応じた値に調整して上記ずれを補償することはできるものの、温間時には上記吸気密度補正が不必要に行われてしまうことや、それに伴いISC学習値qgの誤学習が生じることは、[発明が解決しようとする課題]の欄に記載したとおりである。
こうした実情に鑑み、上記吸気密度補正量Hは、エンジン1の冷間時のみ、且つ、冷間補正項Aに対してのみ吸気密度補正を行うものとされている。すなわち、吸気密度補正量Hは、冷間時には吸気密度の違いに基づく吸入空気量の適正値からのずれを補償すべく吸気密度が小になるほど冷間補正項Aを大とする値にされ、温間時には「0」に設定される。以上のように吸気密度補正量Hを操作することで、冷間時には吸気密度補正量Hを用いた吸気密度補正により上記ずれを的確に補償し、温間時には不必要な吸気密度補正の実行、及び、その補正と同時にISC学習値qgの学習が行われることに伴うISC学習値qgの誤学習を回避することができる。
次に、吸気密度補正量Hの算出手順について、吸気密度補正量算出ルーチンを示す図2及び図3のフローチャートを参照して説明する。この吸気密度補正量算出ルーチンは、電子制御装置20を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて実行される。
吸気密度補正量Hは、冷間補正項A及び吸気密度補正係数K2に基づき、以下の式(3)を用いて算出される。
H=(A/K2)−A …(3)
H :吸気密度補正量
A :冷間補正項
K2:吸気密度補正係数
ここで、吸気密度補正係数K2は、大気圧に基づき基準値「1.0」を中心に増減される値である。すなわち、大気圧が標準大気圧よりも低くなって吸気密度が小になるほど、吸気密度補正係数K2は基準値「1.0」から低下側に離れてゆく。逆に、大気圧が標準大気圧よりも高くなって吸気密度が大になるほど、吸気密度補正係数は基準値「1.0」から増加側に離れてゆく。このため、冷間時に式(3)によって算出される吸気密度補正量Hについては、吸気密度が小になるほど大きい値になり、吸気密度が大になるほど小さい値になるという特性を有する。こうして算出される吸気密度補正量Hは、冷間時における吸気密度の違いに基づく吸入空気量の適正値からのずれを補償する値になる。そして、冷間時に吸気密度補正量Hを式(2)において冷間補正項Aに加算することで、当該冷間補正項Aが吸気密度補正されて吸気密度に対応した値に調整される。
図2及び図3の吸気密度補正量算出ルーチンにおいては、吸気密度補正量Hにかかわる以下の各種処理が順に実行される。
[1]大気圧を推定するための大気圧推定処理(S101、S102)。
[2]推定された大気圧に基づき吸気密度補正係数K2を算出する吸気密度補正係数算出処理(S103〜S106)。
[3]吸気密度補正係数K2のガード値Gを算出し、吸気密度補正係数K2を上記ガード値Gに基づき吸入空気量増量側についてガードする吸気密度補正係数ガード処理(S107〜S113)。
[4]上記式(3)に基づき吸気密度補正量Hを算出する吸気密度補正量算出処理(S114)。
[5]算出された吸気密度補正量Hが吸入空気量を減量する値(「0」未満)であるとき、吸気密度補正を行わないようにする吸気密度補正禁止処理(S115、S116)。
以下、上記[1]〜[5]の各処理について個別に詳しく説明する。
[1]大気圧推定処理(S101、S102)
この処理では、まずスロットルバルブ12の開度が大であるか否か、例えば全開付近の開度であるか否かが判断され(図2のS101)。ここで肯定判定であれば大気圧の算出・記憶が行われる(S102)。
より詳しくは、エアフローメータ13からの検出信号に基づきエンジン1の実際の吸入空気量を求めるとともに、そのときのスロットル開度に基づき標準大気圧のもとでエンジン1に吸入されるはずの吸入空気量(基準空気量)をマップ演算等によって求める。なお、基準空気量を求めるためのスロットル開度としては、スロットルポジションセンサ16からの検出信号に基づき求められる実測値が用いられる。ここで、実際の吸入空気量が基準空気量よりも少ないということは大気圧が標準大気圧よりも低く吸気密度が小であることを意味し、実際の吸入空気量が基準空気量よりも多いということは大気圧が標準大気圧よりも高く吸気密度が大であることを意味する。このように実際の吸入空気量と基準空気量との差が標準大気圧に対する実際の大気圧のずれに関係していることを利用して、その差に基づき大気圧が算出されることとなる。そして、算出された大気圧は、電子制御装置20の不揮発性のメモリに記憶される。
ただし、上述した大気圧の算出・記憶はスロットル開度が大きいときにしか行われない。これは、アイドル運転時などスロットル開度が小さく吸入空気量が少ない運転領域では、標準大気圧に対する実際の大気圧のずれが実際の吸入空気量と基準空気量との差として現れにくく、その差に基づき求められる大気圧を正確な値とすることが難しいためである。従って、大気圧の算出・記憶は、吸入空気量が多くなり大気圧を正確に算出することの可能な運転領域、すなわちスロットル開度が大となる運転領域でのみ行われる。
[2]吸気密度補正係数算出処理(S103〜S106)
この処理では、電子制御装置20の不揮発性メモリに記憶された大気圧を用いて、アイドル回転速度制御以外の各種制御に用いられる大気圧補正係数K1が算出される(S103)。こうして算出される大気圧補正係数K1は、上記大気圧が標準大気圧のときに「1.0」とされるとともに標準大気圧よりも低くなるほど「1.0」から小さい値へと変化してゆく。
続いて、エンジン1の冷間時であることを条件に(S104:YES)、上記大気圧補正係数K1に基づき図4のマップを参照して吸気密度補正係数K2が算出される(S105)。こうして算出される吸気密度補正係数K2は、アイドル回転速度制御以外の各種制御で用いられる大気圧補正係数K1に比べて「1.0」に近い値になる。そして、大気圧(吸気密度)が小となって吸気密度補正係数K2が「1.0」未満になると、吸気密度補正量Hが基準値「0」よりも大きい値になり、その吸気密度補正量Hを式(2)に示されるように冷間補正項Aに加算することで、当該冷間補正項Aが吸気密度補正されて吸気密度に対応した値に調整される。
一方、エンジン1の温間時には(S104:NO)、上記吸気密度補正係数K2が「1.0」に設定される(S106)。これにより、吸気密度補正量Hが基準値「0」とされ、その吸気密度補正量Hによる吸気密度補正は行われないようになる。
ところで、大気圧の算出・記憶は上述したとおりスロットル開度が大であるときにしか行われないため、例えば以下のような状況のもとでは記憶された大気圧が実際の大気圧よりも低くなるということが生じる。すなわち、低地から高地への走行中であってスロットル開度が大となるときに大気圧の算出・記憶が行われ、その後に高地から低地に戻るような場合には低地に戻ったときにも高地のときの大気圧が記憶されたままになる。これは、高地から低地に戻るときにはスロットルバルブ12の開度領域として全閉側の領域しか用いられない可能性が高く、スロットル開度が大となった状態での大気圧の算出・記憶が行われない可能性が高いためである。
そして、上述したように低地において高地の大気圧が記憶されている場合、一旦エンジン1を停止して同エンジン1が冷えた後に始動されるとき、低地であるにもかかわらず冷間補正項Aに対し誤って吸気密度補正量Hによる高地での吸気密度補正が行われる。その結果、エンジン1の吸入空気量が多くなりすぎ、エンジン回転速度の過上昇が生じるおそれがあった。このことに対処すべく、ステップS105での吸気密度補正係数K2の算出は、上記のような状況下でのエンジン回転速度の過上昇を極力抑制し得る値となるように行われる。このため、吸気密度補正係数K2に基づき算出された吸気密度補正量Hによる冷間補正項Aの吸気密度補正については、高地に対応した吸気密度補正が誤って低地で行われたときのエンジン回転速度の過上昇が可能な限り抑制される態様で行われる。
[3]吸気密度補正係数ガード処理(S107〜S113)
この処理は、アイドル運転時、上述したように低地であるにもかかわらず冷間補正項Aに対し誤って吸気密度補正量Hによる高地での吸気密度補正が行われたとき、エンジン回転速度が過上昇しないよう、吸気密度補正量Hを算出するための吸気密度補正係数K2をガード値Gに基づき吸入空気量増量側についてガードするためのものである。
この処理では、アクセル踏込量が「0(アクセルオフ)」であるとき(図3のS107:YES)、例えばアイドル運転状態であるとき、エンジン1に繋がる自動変速機がニュートラルポジションであること(S108:YES)を条件に、ガード値Gがアイドル運転時のエンジン回転速度に基づき算出される(S109)。こうして算出されるガード値Gについては、アイドル運転時のエンジン回転速度が増大するにつれて、図5に示されるごとく増大側(吸入空気量減量側)へと推移することになる。なお、ガード値Gの算出をニュートラルポジションのもとで実行するのは、その状態のもとではエンジン1に自動変速機側の負荷がかかっておらず、ドライブポジションなどエンジン1に自動変速機側の負荷がかかる状態に比べ、上記誤った吸気密度補正によるエンジン回転速度への影響が生じやすいためである。
上記のようにガード値Gを算出した後、そのガード値Gが前回の値よりも小さい(吸入空気量増量側の値)であれば(S110:YES)、前回のガード値Gがそのまま今回のガード値Gとされ、ガード値Gの吸入空気量増量側への更新が禁止される。このことは言い換えれば、ガード値Gの更新は吸入空気量を減量する側についてのみ許可されるということである。そして、吸気密度補正係数K2が上記ガード値Gよりも小さくなるとき(S112:YES)、すなわち吸入空気量増量側の値になるときには、当該ガード値Gが新たな吸気密度補正係数K2として設定され(S113)、これにより吸気密度補正係数K2が吸入空気量増量側についてガードされる。
従って、上述した状況等に起因してアイドル運転時のエンジン回転速度が急上昇すると、ガード値Gが大きい値(吸入空気量減量側の値)となり、同ガード値Gに基づく吸気密度補正係数K2のガードを通じてエンジン回転速度の急上昇が抑制される。ここで、上記吸気密度補正係数ガード処理の実行例について、図6のタイムチャートを参照して説明する。同図において、(a)はエンジン回転速度の推移を示し、(b)は吸気密度補正係数K2の推移を示している。
冷間状態でのアイドル運転時、エンジン回転速度が図6(a)に実線で示されるように過上昇すると、そのときのエンジン回転速度に基づき算出されるガード値Gは例えば図6(b)に一点鎖線L1で示される値から一点鎖線L2で示される値へと増大側(吸入空気量減量側)に変化する。その結果、吸気密度補正係数K2がガード値Gよりも吸入空気量増量側の値になることから、図6(b)に実線で示されるように、ガード値G(L2)が新たな吸気密度補正係数K2として設定され、同吸気密度補正係数K2の吸入空気量増量側についてのガードが行われる。以上のガード処理により、上述したエンジン回転速度の過上昇は抑制され、エンジン回転速度は図6(a)に破線で示されるように推移するようになる。
ところで、ガード値Gについては、ステップS110,S111の処理を通じて、エンジン回転速度の変化に対し増大側(吸入空気量減量側)への更新のみが許可されることは上述したとおりである。仮に、こうした更新の規制が行われず、エンジン回転速度の変化に対しガード値Gの減少側(吸入空気量増量側)への更新も行われるとすると、吸気密度補正係数K2のガード実行・ガード解除が繰り返されるというハンチングを招くことになる。
すなわち、吸気密度補正係数K2のガード実行によりエンジン回転速度が低下したとき、それに併せてガード値Gが減少側(吸入空気量増量側)に更新されたとすると、吸気密度補正係数K2がガード値Gよりも吸入空気量減量側の値となり、吸気密度補正係数K2のガードが解除されてエンジン回転速度が再び上昇する。そして、このエンジン回転速度の上昇に伴いガード値Gが吸気密度補正係数K2よりも吸入空気量減量側の値に更新されると、再び吸気密度補正係数K2がガード値Gを用いて吸入空気量を増量させる側についてガードされる。
以上のように、ガード値Gの減少側(吸入空気量増量側)への更新が許可されると、吸気密度補正係数K2のガード実行・ガード解除が繰り返されるというハンチングを招くが、ガード値Gの吸入空気量増量側への更新はステップS110,S111の処理を通じて禁止されるため、上記ハンチングが生じるのを回避することができる。
[4]吸気密度補正量算出処理(S114)
この処理では、アイドル運転時、上述したとおり、冷間補正項A及び吸気密度補正係数K2に基づき、式(3)を用いて吸気密度補正量Hの算出が行われる(S114)。
[5]吸気密度補正禁止処理(S115,S116)
この処理では、アイドル状態(アクセルオフ)のもとで、冷間補正項Aが吸入空気量を減量する側の値(負の値)になるか否か、すなわち吸気密度補正量Hが「0」未満であるか否かが判断される(図3のS115)。そして、ステップS115で肯定判定であれば、吸気密度補正量Hが基準値「0」に設定され(S116)、これにより冷間補正項Aに対する吸気密度補正量Hによる吸気密度補正が行われないようにされる。ここで、上記吸気密度補正禁止処理の実行例について、図7のタイムチャートを併せ参照して説明する。なお、同図において、(a)は冷間補正項Aの推移を示し、(b)は吸気密度補正量Hの推移を示し、(c)はエンジン回転速度の推移を示している。
冷間時のアクセルオフ状態にあっては、冷間補正項Aが負の値(吸入空気量減量側の値)になることがある(タイミングT1)。このように冷間補正項Aが負の値になる状況としては、エンジン1の冷間始動時のクランキング中にクランキング時補正項qcrnkによって冷間補正項Aが減少させられるという状況が考えられる。そして、冷間補正項Aが負の値になるようなとき、その冷間補正項Aに対し吸気密度補正量Hによる吸気密度補正が施され、同冷間補正項Aが更に吸入空気量減量側に調整されると、吸入空気量の減量しすぎになる。その結果、エンジン回転速度が図7(c)に実線で示されるように低下し、エンジン1の始動性悪化を招くおそれがある。
しかし、冷間補正項Aが負の値になるときには、吸気密度補正量Hが図7(b)に破線で示されるように基準値「0」に設定される。これにより、冷間補正項Aに対する吸気密度補正量Hによる吸気密度補正が行われないようにされ、図7(c)に破線で示されるようにエンジン回転速度の低下が抑制される。従って、上記のような吸入空気量の減量しすぎによるエンジン回転速度の低下、ひいてはそれに伴うエンジン1の始動性悪化を抑制することができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)エンジン1の温間時には、学習完了したISC学習値qgが、エンジン1の吸入空気の密度(吸気密度)の違いに基づく吸入空気量の適正値からのずれに対応する値になる。そして、このISC学習値qgに基づきISC補正量Qcal (冷間・温間補正項B)を調整することで、上記ずれが補償されるようになる。一方、エンジン1の冷間時には、冷間補正項Aに対してのみ吸気密度補正量Hに基づく吸気密度補正が行われ、これにより上記ずれが補償されるようになる。上記吸気密度補正量Hは、冷間時には吸気密度の違いに基づく吸入空気量の適正値からのずれを補償すべく吸気密度が小になるほど冷間補正項Aを大とする値にされ、温間時には「0」に設定される。このように吸気密度補正量Hを操作することで、冷間時には吸気密度補正量Hを用いた吸気密度補正により上記ずれを的確に補償し、温度時には吸気密度補正量Hによる不必要な吸気密度補正の実行、及び、その補正と同時にISC学習値qgの学習が行われることに伴うISC学習値qgの誤学習を回避することができる。
(2)冷間時のクランキング中には、冷間補正項Aが負の値(吸入空気量減量側の値)になることがある。このとき、冷間補正項Aに対し吸気密度補正量Hによる吸気密度補正が施され、同冷間補正項Aが更に吸入空気量減量側に調整されると、吸入空気量を減量しすぎてエンジン1の始動性悪化を招くおそれがある。しかし、冷間補正項Aが負の値になるときには、吸気密度補正量Hが基準値「0」に設定される。これにより、冷間補正項Aに対する吸気密度補正量Hによる吸気密度補正が行われないようにされ、エンジン回転速度の低下が抑制される。従って、上記のような吸入空気量の減量しすぎによるエンジン回転速度の低下、ひいてはそれに伴うエンジン1の始動性悪化を抑制することができる。
(3)高地から低地への走行時には大気圧の算出・記憶の頻度が小さいため、低地に戻った後のエンジン1の冷間時には、低地であるにもかかわらず冷間補正項Aに対し誤って吸気密度補正量Hによる高地での吸気密度補正が行われることがある。この場合、エンジン1の吸入空気量が多くなりすぎ、アイドル運転時にエンジン回転速度の過上昇が生じるおそれがある。このことに対処すべく、図4のマップを参照しての吸気密度補正係数K2の算出は、上記のような状況下でのエンジン回転速度の過上昇を極力抑制し得る値となるように行われる。このため、上記吸気密度補正係数K2に基づき算出された吸気密度補正量Hによる冷間補正項Aの吸気密度補正については、高地に対応した吸気密度補正が誤って低地で行われたときのエンジン回転速度の過上昇が可能な限り抑制される態様で行われることとなる。従って、冷間補正項Aに対し誤って吸気密度補正量Hによる高地での吸気密度補正が行われたとしても、それに伴いエンジン回転速度が過上昇してエンジン1の運転性に影響を及ぼすのを抑制することができる。
(4)また、上記低地における高地での吸気密度補正に起因したエンジン回転速度の過上昇を抑制しきれない場合も考えられるが、そのときはエンジン回転速度に基づき算出されるガード値Gが増大側(吸入空気量減量側)に変化する。その結果、吸気密度補正係数K2がガード値Gよりも吸入空気量増量側の値になることから、ガード値Gが新たな吸気密度補正係数K2として設定され、同吸気密度補正係数K2の吸入空気量増量側についてのガードが行われる。以上のガード処理により、上述したエンジン回転速度の過上昇は抑制され、その過上昇がエンジン1の運転性に影響を及ぼすのを抑制することができる。
(5)上記ガード値Gについては、エンジン回転速度の変化に対し増大側(吸入空気量減量側)への更新のみが許可され、減少側(吸入空気量増量側)への更新は禁止される。仮に、こうした更新の規制が行われず、エンジン回転速度の変化に対しガード値Gの減少側(吸入空気量増量側)への更新も行われるとすると、吸気密度補正係数K2のガード実行・ガード解除が繰り返されるというハンチングを招くことになる。しかし、ガード値Gの吸入空気量増量側への更新を禁止することで、上記ハンチングが生じるのを回避することができる。
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・ガード値Gの算出をエンジン回転速度とそのアイドル運転時の目標値との差に基づき行ってもよい。この場合、エンジン回転速度が目標値よりも高くなるほど、ガード値Gが増大側(吸入空気量減量側)の値とされる。
・ガード値Gの算出をニュートラルポジション以外のときに行ってもよい。
・吸気密度補正係数K2を大気圧補正係数K1に基づき算出する代わりに、大気圧から直接的に算出してもよい。
・冷間補正項Aのみを吸気密度補正する値として吸気密度補正量Hを算出したが、冷間補正項A及び冷間・温間補正項Bを吸気密度補正する値として吸気密度補正量Hを算出してもよい。
ただし、冷間・温間補正項Bについては、冷間時には、温間時に学習されたISC学習値qgに基づく調整がなされるため、上記吸気密度補正の必要性は小さくなる。このため、吸気密度補正量Hは、冷間・温間補正項Bに対する吸気密度補正を冷間補正項Aに対する吸気密度補正よりも小さく行う値となるように算出される。
具体的には、吸気密度補正量Hが「H={(A/K2)−A}+{(B/K3)−B}…(4)」という式に基づき算出される。この式(4)において、「{(B/K3)−B}」という項は、冷間・温間補正項Bを吸気密度補正するためのものである。また、同項の吸気密度補正係数K3は、標準大気圧での吸気密度に対し実際の吸気密度が小となるほど「1.0」から減少側に離れてゆき、且つ、そのときの吸気密度補正係数K2よりも「1.0」に近い値とされる。このように吸気密度補正量Hを算出し、式(2)において冷間補正項A及び冷間・温間補正項Bに加算することで、冷間・温間補正項Bに対する吸気密度補正を冷間補正項Aに対する吸気密度補正よりも小さく行うことができる。
そして、エンジン1の冷間時には、上記吸気密度補正量Hを用いてISC補正量Qcal (冷間補正項A及び冷間・温間補正項B)の吸気密度補正が行われる。以上により、上記実施形態に準じた効果が得られるようになる。
・スロットルバルブ12を迂回するように吸気通路4にバイパス通路を接続するとともに、同通路にアイドルスピードコントロールバルブを設け、このアイドルスピードコントロールバルブの開度を調節してアイドル運転時の吸入空気量を調整し、アイドル回転速度制御を実施するエンジンに本発明を適用してもよい。
本実施形態のアイドル回転速度制御装置が適用されるエンジン全体を示す略図。 吸気密度補正量Hの算出手順を示すフローチャート。 吸気密度補正量Hの算出手順を示すフローチャート。 吸気密度補正係数K2の算出に用いられるマップ。 エンジン回転速度の変化に対するガード値Gの推移を示すグラフ。 (a)及び(b)は、吸気密度補正係数ガード処理の実行時におけるエンジン回転速度、及び、吸気密度補正係数K2の推移を示すタイムチャート。 (a)〜(c)は、吸気密度補正禁止処理実行時における冷間補正項A、吸気密度補正量H、及び、エンジン回転速度の推移を示すタイムチャート。
符号の説明
1…エンジン、2…燃料噴射弁、3…燃焼室、4…吸気通路、9…クランクシャフト、10…クランクポジションセンサ、11…水温センサ、12…スロットルバルブ、13…エアフローメータ、14…アクセルペダル、15…アクセルポジションセンサ、16…スロットルポジションセンサ、20…電子制御装置。

Claims (6)

  1. ISC補正量が多くなるほど吸入空気量を増量するという同ISC補正量に基づく吸入空気量の調整を通じてアイドル運転時の機関回転速度を制御する内燃機関のアイドル回転速度制御装置において、
    前記ISC補正量は、機関回転速度を目標値に近づけるべく増減するフィードバック項と、内燃機関の温間時に前記フィードバック項を所定範囲内に収束させるべく増減するISC学習値と、同機関の冷間時に増減する冷間補正項と、同機関の冷間から温間に渡って増減する冷間・温間補正項とを備えてなり、
    内燃機関の温間時に前記フィードバック項が前記所定範囲内に収束するよう前記ISC学習値を増減させる同ISC学習値の学習を行い、
    内燃機関の冷間時のみ、且つ、前記冷間補正項に対してのみ、吸入空気の密度が小になるほど前記冷間補正項を大として前記ISC補正量を大とする吸気密度補正を行う
    ことを特徴とする内燃機関のアイドル回転速度制御装置。
  2. ISC補正量が多くなるほど吸入空気量を増量するという同ISC補正量に基づく吸入空気量の調整を通じてアイドル回転速度を制御する内燃機関のアイドル回転速度制御装置において、
    前記ISC補正量は、機関回転速度を目標値に近づけるべく増減するフィードバック項と、内燃機関の温間時に前記フィードバック項を所定範囲内に収束させるべく増減するISC学習値と、内燃機関の冷間時に増減する冷間補正項と、同機関の冷間から温間に渡って増減する冷間・温間補正項とを備えてなり、
    内燃機関の温間時に前記フィードバック項が前記所定範囲内に収束するよう前記ISC学習値を増減させる同ISC学習値の学習を行い、
    内燃機関の冷間時のみ、前記冷間補正項及び前記冷間・温間補正項に対し、吸入空気の密度が小になるほど当該両補正項を大として前記ISC補正量を大とする吸気密度補正を行い、前記冷間・温間補正項に対する吸気密度補正を前記冷間補正項に対する吸気密度補正よりも小さく行う
    ことを特徴とする内燃機関のアイドル回転速度制御装置。
  3. 前記冷間補正項が吸入空気量を減量する側の値になるときには、前記吸気密度補正が行われないようにする
    請求項1又は2記載の内燃機関のアイドル回転速度制御装置。
  4. 前記冷間補正項の吸気密度補正については、高地の吸気密度に対応した補正が誤って低地にて行われたときに機関回転の過上昇を生じさせない態様で行われる
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関のアイドル回転速度制御装置。
  5. 前記冷間補正項の吸気密度補正は、吸気密度に基づき算出される吸気密度補正係数を用いて行われるものであって、
    前記吸気密度補正係数は、アイドル状態での機関回転速度に応じて設定されるガード値に基づき、吸入空気量を増大させる側についてガードされるものである
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関のアイドル回転速度制御装置。
  6. 前記ガード値の機関回転速度に基づく更新は、同ガード値の吸入空気量減量側への更新のみ許可される
    請求項5記載の内燃機関のアイドル回転速度制御装置。
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