JP4269803B2 - 光伝送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光信号の分岐や結合を光伝送媒体を用いて行う光伝送装置に係り、特に光伝送媒体が固定部材に固定される光伝送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の光伝送装置は、光信号を複数に分岐する光分岐装置や複数の光ファイバからの光信号を複数の光ファイバへ分岐または結合する光カプラとして用いることができるものである。光伝送媒体としては、例えば平板状の導光路を用いたものが提案されている。
【0003】
平板状の導光路を用いた光伝送媒体は、例えば光入出射部として45度の傾斜面(45度面)が複数形成された導光路を有する。光伝送装置は、このような導光路と、これを支持する固定部材と、少なくとも1つの光入出射部に配置されたレーザダイオード等の発光素子または光ファイバと、別の少なくとも1つの光入出射部に配置されたフォトダイオード等の受光素子または光ファイバとを備える。これらの発光素子、受光素子および光ファイバはそれぞれ光入出射部と光学的に結合されるように配置される。
【0004】
この光伝送装置においては、例えば、少なくとも1つの発光素子または光ファイバから出射された光信号は、導光路の対応する光入出射部に入射したのち45度面で反射され、その反射光が導光路内を伝送されて別の少なくとも1つの光入出射部へ進んで、対応する45度面で再び反射を受け、これにより少なくとも1つの受光素子または光ファイバに入射される。導光路の構成としては、その一方の端部の幅方向に階段状の段差部を形成し、各段差部をそれぞれ光入出射部とすることもできる。このような光伝送装置によれば、各受発光素子が光入出射部に近接配置されるので、光の利用効率の向上を図ることができる。
【0005】
ところで、この種の光伝送装置を作製する場合には、導光路の各光入出射部が正確に各受発光素子と光学的に結合されるように導光路を配置しなければならない。しかしながら、このような導光路を光軸方向に位置決めして受発光素子または光ファイバに精度よく結合することはなかなか困難なことである。その理由は、45度面を有する光入出射部を用いて行う位置決めには、先端の形状精度の問題や45度面での浮きの問題があるからである。特に、位置精度は、受発光素子、光ファイバおよび導光路に比較的大きいものを用いることができる場合にはあまり問題とならないが、高速化に伴い受発光素子、光ファイバおよび導光路のサイズが小さくなる場合には特に大きな問題となる。
【0006】
導光路の位置決めに関連して、例えば次に示す特許文献1および特許文献2には、導光路を固定する固定基板が開示されている。
【特許文献1】
特開2002−296445号公報
【特許文献2】
特開2002−328271号公報
この固定基板は、光透過性樹脂からなる矩形の樹脂基板の長手方向に沿った一辺を階段状に形成し、且つ、その階段部分の長手方向一端側の各端面を板面に対して45度傾斜させることにより信号光入出射部が形成された光データバス(導光路)を、各種信号処理回路間を接続する信号伝送媒体として簡単且つ効率よく利用できるようにするために、平板の上に光データバスを挿入可能な凹部を形成する。そして、凹部に挿入された光データバスの後端に反射型拡散板を備えた第1保持部材を配置し、この保持部材により光データバスを後端から押圧付勢すると共に、光データバスの側壁を板ばねを有する第2保持部材にて押圧付勢することで、光データバスを凹部内に固定する。これにより、接着剤を使うことなく、光データバスを固定基板に固定でき、光伝送効率の低下を防止できるというものである。
【0007】
一方、図7は、固定基板の凹部に固定された導光路の複数の光入出射部にそれぞれ光ファイバを光学的に接続する光伝送装置の一例を示す図である。この光伝送路では、図示のように、固定基板71の凹部には、複数の光入出射部72a〜72dを有する平板状の導光路73が挿入されている。固定基板71の上部には開口部74a〜74dを有するコネクタ受入部75が配置されている。各開口部74a〜74dには、光ファイバ76a〜76dを保持したコネクタ77a〜77dがそれぞれ挿入される。光ファイバ76aに対応する導光路73の光入出射部72aには、光を拡散する光拡散部78が設けられている。このような構成により、例えば、光ファイバ76aから入射した光信号は、光拡散部78で拡散されて光入出射部72aを介して導光路73内に伝達され、さらに各光入出射部72b〜72dを介して別の光ファイバ76b〜76dへ伝送される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述した特許文献1および特許文献2のものでは、光データバスを保持する凹部と受発光素子を位置決めする部分が固定基板の同じ側にあることから、光データバスが剥き出しになる部分があり、このような構成では埃や水分などが部品に付着して光伝送損失が増加する懸念がある。また、図7に示すものでは、導光路を固定する固定基板とコネクタを挿入する複数の開口部を有するコネクタ受入部とを備えるため、固定基板とコネクタ受入部の位置決めばらつきが累積され、導光路の光入出射部とコネクタに保持された光ファイバとの光学的位置決め精度が悪くなるという問題がある。
【0009】
従って本発明の目的は、埃や水分などの侵入を防ぎ、かつ光学的位置決め精度を向上した光伝送装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、凹部と開口部とを有する固定部材と、前記凹部に挿入位置決めされた複数の光入出射部を有する平板状の導光路と、前記導光路の光入出射部にあわせて前記開口部に挿入位置決めされた光伝播部材と、前記導光路を保護するカバー部材とを備えた光伝送装置により、達成される。
【0011】
ここで、前記カバー部材は、前記固定部材の凹部側の面を密閉するように覆うことができる。また、前記カバー部材は、前記導光路を前記凹部の底面に押しつけることができる。さらに、前記カバー部材は、前記固定部材との間で密着できるように前記固定部材側に弾性部材を有することができ、前記弾性部材は、前記開口部で前記導光路に不要な力が加わって変形することないように前記固定部材の開口部に対応する部分に窪みを有することができる。また、前記固定部材と前記カバー部材は、それぞれ周辺部において互いに嵌合する嵌合部を有することができる。さらに、前記固定部材と前記光伝播部材は、それぞれ前記開口部の周囲において互いに嵌合する嵌合部を有することができる。
このように構成することにより、光伝送装置において埃や水分などの侵入を防ぎ、かつ光学的位置決め精度を向上することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る光伝送装置の第1の実施形態を示す分解斜視図である。本光伝送装置は、図示のように、複数の凹部1と複数の開口部2とを有する固定部材3、固定部材3の凹部1に挿入され位置決めされる複数の光入出射部4を有する平板状の導光路5、導光路5の光入出射部4にあわせて固定部材3の凹部1側の反対側から開口部2に挿入され位置決めされる光伝播部材としての光ファイバ6を保持するコネクタ7、および導光路5を保護するカバー部材8を備えて構成される。ここでカバー部材8は、固定部材3の凹部1側の面を密閉するように覆う。
【0013】
導光路5は固定部材3側にX方向位置決め用の突起部9を有し、一方、固定部材3は突起部9と嵌合する窪み部10を有する。この突起部9と窪み部10の嵌合により、導光路5と固定部材3とのX方向の位置決めが行われる。また、固定部材の凹部1の片側側面に微小な突起部11が形成されており、導光路5が凹部1に挿入されると、この突起部11によって導光路5は突起部11とは反対側の側面に押し付けられる。これにより、導光路5のY方向の位置決めが行われる。さらに、カバー部材8により固定部材の凹部1の上面がふたをされ、カバー部材8によって導光路5が押されることにより、導光路5のZ方向の位置決めが行われる。固定部材3は、導光路5の入出射部4とコネクタ7に保持されたファイバ6との位置が合うように、導光路5とコネクタ7を保持する。
【0014】
図2は、本発明に係る光伝送装置の第1の実施形態を示す長手方向の断面図である。本光伝送装置は、図示のように、固定部材3の凹部1には、複数の光入出射部4a〜4dを有する平板状の導光路5が挿入されている。固定部材3には複数の開口部2a〜2dが設けられている。各開口部2a〜2dには、光ファイバ6a〜6dを保持したコネクタ7a〜7dがそれぞれ挿入されている。このような構成により、例えば、光ファイバ6aから入射した光信号は、光入出射部4aを介して導光路5内に伝達され、さらに各光入出射部4b〜4dを介して別の光ファイバ6b〜6dへ伝送される。光ファイバ6aに対応する導光路5の光入出射部4aには、光を拡散する光拡散部を設けてもよい。
【0015】
これにより、本実施形態の光伝送装置は、カバー部材8により導光路5への埃や水分などの侵入を防ぐことができる。また、固定部材3に導光路5を挿入する凹部1と光ファイバを保持したコネクタを挿入する開口部2とを設けることにより、光学的位置決め精度が向上する。上述の図7のものは、導光路を挿入する凹部が固定基板側にあり、またコネクタを挿入する開口部が固定基板とは別体のコネクタ受入部側にあるため、導光路の光入出射部とコネクタの光ファイバとの光学的位置決めを行いにくい。これに対して本発明では、導光路挿入用の凹部とコネクタ挿入用の開口部が同じ固定部材に形成されているので、光学的位置決め精度を向上することができるのである。本発明によれば、同一の光学的位置決め精度を実現するうえで、従来のものとくらべ、導光路の入出射部および固定部材の開口部の位置公差精度を約50%緩めることができる。
【0016】
図3は、本発明に係る光伝送装置の第2の実施形態を示す幅方向の断面図である。本実施形態では、固定部材3の凹部1の深さよりも導光路5の厚みの方が若干大きく製作されている。カバー部材8は中央部分が僅かに凸に弓そった形状をしている。このカバー部材8の周辺部を図示しないねじ(図の矢印部)により固定部材3と密着させることによって、各導光路5を固定部材3の凹部1の底面に押し付けることができる。これにより、導光路のZ方向位置を上面のコネクタ側基準で精度良く位置決めすることができる。
【0017】
図4は、本発明に係る光伝送装置の第3の実施形態を示すカバー部材の斜視図である。本実施形態では、カバー部材8の固定部材と向かい合う側に弾性部材41が設けられている。そして、固定部材の開口部と対応する位置には、弾性部材41に穴42が開けられている。したがってカバー部材8により、複数の導光路の上面を固定部材の凹部の底面側に押し付けることができ、かつ固定部材の開口部においては導光路に不要な力が加わることがなく、導光路を変形させるという不具合を防ぐことができる。また、カバー部材8に弾性部材41を設けているため、その周囲を確実に固定部材と密着させることができ、導光路への埃等の進入を良好に防止することができる。
【0018】
図5は、本発明に係る光伝送装置の第4の実施形態を示す長手方向の断面図である。本実施形態では、導光路5を囲うように、カバー部材8の周囲に沿って突起部51が、また固定部材3の周囲に沿って窪み部52が形成されている。この突起部51と窪み部52とを嵌合することにより、固定部材3とカバー部材8が密着する。このように本実施形態によれば、固定部材とカバー部材を確実に密着させることができるので、導光路5への埃等の進入を防ぐことができる。
【0019】
図6は、本発明に係る光伝送装置の第5の実施形態を示す長手方向の断面図である。本実施形態では、コネクタ7a〜7dが、その周囲に固定部材3の開口部2を囲う補助部材61a〜61dを有するものである。補助部材61a〜61dには突起部62が、また固定部材3の開口部2の周囲には窪み部63がそれぞれ形成されている。この突起部62と窪み部63とを嵌合することにより、固定部材3とコネクタ61a〜61dとが密着する。これによって、固定部材とコネクタとを確実に密着させることができるので、導光路5への埃等の進入を防ぐことができる。また補助部材61a〜61dは、コネクタ7a〜7dと一体的に形成されていても良い。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、光伝送装置において導光路と光伝播部材とを容易に位置決めして光結合させることができる。また、光伝送装置を構成する部品の製造公差に関して緩めることができる。また、埃や水分などの侵入を防ぎ、光伝送損失が増加することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光伝送装置の第1の実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】本発明に係る光伝送装置の第1の実施形態を示す長手方向の断面図である。
【図3】本発明に係る光伝送装置の第2の実施形態を示す幅方向の断面図である。
【図4】本発明に係る光伝送装置の第3の実施形態を示すカバー部材の斜視図である。
【図5】本発明に係る光伝送装置の第4の実施形態を示す長手方向の断面図である。
【図6】本発明に係る光伝送装置の第5の実施形態を示す長手方向の断面図である。
【図7】固定基板の凹部に固定された導光路の複数の光入出射部にそれぞれ光ファイバを光学的に接続する光伝送装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 凹部
2 開口部
3 固定部材
4 光入出射部
5 導光路
6 光ファイバ
7 コネクタ
8 カバー部材
9 突起部
10 窪み部
11 突起部

Claims (7)

  1. 凹部と開口部とを有する固定部材と、前記凹部に挿入位置決めされた複数の光入出射部を有する平板状の導光路と、前記導光路の光入出射部にあわせて前記開口部に挿入位置決めされた光ファイバを保持するコネクタと、前記導光路を保護するカバー部材とを備え、前記導光路の幅方向の位置決めが、前記固定部材の凹部の片側側面に形成された突起部によって前記導光路を前記突起部とは反対側の凹部側面に押し付けることにより行われることを特徴とする光伝送装置。
  2. 前記カバー部材が、前記固定部材の凹部側の面を密閉するように覆うことを特徴とする請求項1記載の光伝送装置。
  3. 前記カバー部材が、前記導光路を前記凹部の底面に押しつけることを特徴とする請求項2記載の光伝送装置。
  4. 前記カバー部材が、前記固定部材側に弾性部材を有することを特徴とする請求項3記載の光伝送装置。
  5. 前記弾性部材が、前記固定部材の開口部に対応する部分に窪みを有することを特徴とする請求項4記載の光伝送装置。
  6. 前記固定部材と前記カバー部材が、それぞれ周辺部において互いに嵌合する嵌合部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光伝送装置。
  7. 前記固定部材と前記コネクタが、前記開口部の周囲において補助部材を介して互いに嵌合することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光伝送装置。
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