JP4269514B2 - 高温集塵用セラミックフィルター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加圧流動床複合発電システム(Pressurized Fluidized Bed Combustion : PFBC)用や石炭ガス化複合発電システム(Integrated Coal Gasification Combined Cycle : IGCC)用の高温集塵用セラミックフィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の石炭発電は、微粉炭火力であるが、より高効率化を目指した複合発電システムの開発が進められている。加圧流動床複合発電システムでは、石炭を燃焼させ、発生した蒸気により蒸気タービンを駆動させると共に、燃焼後の高温高圧燃焼ガスでガスタービンも駆動させるもので、この高温高圧燃焼ガス(約900℃、1〜1.5MPa、酸化性ガス)の温度を下げずに高温のまま脱じんする必要がある。また、石炭ガス化複合発電システムでは、石炭を高温高圧のガス化炉で可燃性のガス(約500℃、2〜3MPa、還元性ガス)に転換し、このガスを利用してガスタービンと蒸気タービンを駆動させるもので、この可燃性のガスの温度を下げずに高温のまま脱じんする必要がある。
【0003】
この高温での集塵方法の一つとして、セラミックフィルターが開発され適用化のための試験が国内外で進められている。フィルター形状としては、外径約60mm、内径約50mm、長さ約1500mmの円筒状で片端を閉じ、もう一方にフランジを設けたキャンドル型と呼ばれるものと、外径約170mm、内径約140mm、長さ約800mmの円筒でこれを3段、又は4段に重ねたチューブ型がある。これらのフィルターが、実際の発電プラントでは数百本から数千本、必要となる。キャンドル型では、燃焼ガスはフィルターの外側から内側に向かって流れるため、外面ろ過となり、脱じんされたアッシュはフィルターの外側に堆積することになる。一方、チューブ型では、燃焼ガスは逆にフィルターの内側から外側に向かって流れるため、内面ろ過となり、脱じんされたアッシュはフィルターの内側に堆積することになる。これらの堆積したアッシュは、燃焼ガスの流れと反対方向に室温の窒素ガスを逆洗ガスとしてパルス状で流し、このガス圧により払い落とされる。
【0004】
以上のことからセラミックフィルターに要求される性能としては、フィルター破損による運転停止を防止するため、それぞれの発電システムにおけるガス雰囲気(加圧流動床複合発電:約900℃、1〜1.5MPa、酸化性ガス;石炭ガス化複合発電システム:約500℃、2〜3MPa、還元性ガス)での長期間(最低1年間)の耐久性、逆洗ガスに対する高い熱衝撃性及び大量の本数が必要なため、高い信頼性が要求される。
【0005】
従来のセラミックフィルターとしては、コージェライト(キャンドル型、チューブ型)、炭化ケイ素(キャンドル型)系のモノリシック(単相)セラミックスフィルターや、酸化物(アルミナ、ムライト等)繊維を強化繊維とする酸化物(アルミノシリケート)あるいは炭化ケイ素複合材フィルター(キャンドル型)が開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、モノリシック(単相)セラミックスフィルターは、脆いため、熱衝撃による亀裂や大量の製造した際の欠陥やフィルターをセットする時の作業中でのキズ等の欠陥導入により容易に破壊してしまうため、信頼性に欠ける欠点がある。さらに、炭化ケイ素では酸化による劣化やコージェライトでは機械的性質や耐久性がかなり低いという欠点のため、さらに信頼性が下がってしまうため、発電システム用フィルターとしては不適格である。一方、酸化物(アルミナ、ムライト等)繊維を強化繊維とする複合材フィルターでは耐酸化性や複合化効果によりモノリシックセラミックスのように脆性的には破壊しないため信頼性に優れているため比較的短時間においては使用可能である。しかしながら、酸化物繊維が長期間の高温での暴露によって、繊維中の酸化物粒子の粒成長による力学特性の急激な劣化が起こる為、長時間の使用には問題となる。
【0007】
以上のことから、発電システムにおけるガス雰囲気(加圧流動床複合発電:約900℃、1〜1.5MPa、酸化性ガス;石炭ガス化複合発電システム:約500℃、2〜3MPa、還元性ガス)での長期間(最低1年間)の耐久性、逆洗ガスに対する高い熱衝撃性及び高い信頼性も有する高温集塵用セラミックフィルターの開発が強く望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、加圧流動床複合発電システム(Pressurized Fluidized Bed Combustion : PFBC)用や石炭ガス化複合発電システム(Integrated Coal Gasification Combined Cycle : IGCC)用の高温集塵用セラミックフィルターにおいて、高温集塵用セラミックフィルターが炭化ケイ素系のセラミックス繊維により強化された酸化物セラミックスの複合材から構成されている高温集塵用セラミックフィルターにおいて、炭化ケイ素系セラミックス繊維が、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Th、U、Al、Zr及びHfから選ばれる金属原子を含有し、酸素含有量が1〜13%である炭化ケイ素系繊維であり、複合材中の繊維配向が、炭化ケイ素系セラミックス繊維の不織布を織布でサンドイッチした3層構造であることを特徴とする高温集塵用セラミックフィルターが提供される。
【0009】
また、本発明の高温集塵用セラミックフィルターは、前記炭化ケイ素系セラミックス繊維が、密度が2.7 g cm 以上であり、強度及び弾性率が、それぞれ、2GPa以上及び250GPa以上であり、SiCの焼結構造からなる結晶性炭化ケイ素繊維であることが望ましい。さらに、前記炭化ケイ素系セラミックス繊維に含有される前記金属元素がZrであることが好ましい。
【0010】
また、マトリックスが、Al2O3、SiO2、MgOのうちの少なくとも1種を含む酸化物で形成され、さらに繊維とマトリックスの界面相としてAl2O3を含む酸化物を有することを好ましい。さらにフィルター表面には、Al2O3、SiO2、MgOのうちの少なくとも1種を含む酸化物の粒子からなり、厚さが1mm以下のメンブレン層を有すること好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における炭化ケイ素系セラミックス繊維は、SiC及びCを主体とし、1〜13重量%の範囲内の酸素を含有し、さらに、2族、3族及び4族の金属原子からなる群から選択され、その酸化物の炭素還元反応における自由エネルギ−変化が負の値になる温度が、酸化ケイ素の炭素還元反応における自由エネルギ−変化が負の値になる温度に比較して、高温である金属原子を含有する炭化ケイ素繊維であることことが望ましい。
【0012】
ここで、化学反応の自由エネルギ−変化は、系全体のエンタルピ−(H)及びエントロピ−(S)から導かれるギブスの自由エネルギ−(G=H−TS、T:温度/K)の差から求められる。ところで、反応の始原系における自由エネルギ−(G0 )と生成系における自由エネルギ−(Gproduct )との差(△G=G0 −Gproduct )が負であれば、過程は自発的に進行し、逆に正であれば過程は逆の方向に自発的に進行する。
【0013】
ケイ素の酸化物が炭素と反応する場合の最も一般的な反応式は
SiO2 +3C=SiC+2CO (1)
で表され、この自由エネルギ−変化が0になる温度は1538℃であり、それ以上の温度では同エネルギ−変化が負の値を示し、反応は自発的に進行する。逆に言えば、基本的にはSiO2 の炭素による還元反応は1538℃以下の温度では自発的には起こらないことになる。しかし、実際には、SiO2 相からSiOの揮発が1400℃近辺から徐々に起こるため、SiOとCとの反応
SiO+2C=SiC+CO (2)
も考慮する必要がある。この場合の自由エネルギ−変化は、室温でも−73.55kJ/molと負の値を示すことから、SiOの揮発が起これば、上記(2)の反応は速やかに進行することになる。これらの変化はいずれも繊維の強度を低下させる原因となり好ましくない。
【0014】
そこで、酸素及び余剰炭素を含有する炭化ケイ素系無機繊維において、上記SiO2 及び/又はSiOの炭素還元反応を抑制する目的で、SiO2 に比較して熱力学的により安定な酸化物を生成し得る金属原子を繊維中に存在させ、結果として相対的に繊維中のSiO2 成分を減少させ、より高温まで繊維の分解によるCOガスの発生を起こさない状態を実現する。一般に2元系の反応は、それぞれの反応体が、ある一定頻度の衝突を繰り返した後に進行する。従って、反応速度を減少させるためには、反応体の濃度を減少させることがきわめて効果的である。そこで、本発明では、上述のようにSiO2 の濃度を減少させるわけであるが、繊維中に含まれる酸素の約5%程度を捕獲し得る金属原子を導入することにより、耐熱性について予想以上の優れた効果が発現される。
【0015】
従って、本発明において、金属原子は、無機繊維中に含有される酸素の少なくとも5%以上を捕獲できる割合で含有されていることが好ましい。金属原子の具体例としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Th、U、Al、Zr及びHfが挙げられ、特に、Zr,Hf,Alが好ましい。
【0016】
本発明の無機繊維における構成元素の重量割合は、酸素原子が1〜13%であり、ケイ素原子は通常35〜70%、炭素原子は通常20〜40%である。酸素原子の重量割合が13重量%を超えると、1400℃以上での酸素の脱離量が増大し、それに伴って繊維中のβ−SiC結晶の成長が顕著になり、1500℃での強度保持率が低下する。
【0017】
金属原子の含有割合は、金属の配位数により異なるが、無機繊維中に含有される酸素の少なくとも5%以上を捕獲できる量であることが好ましい。この割合の金属原子の量の計算方法をつぎに記載する。
金属原子をM、その配位数をWとし、
Si:C:O:M=a:b:c:d(モル比)とした場合、無機繊維中の酸素全量の少なくとも5%以上を捕獲するに足る金属原子の量はつぎの式で算出することができる。
d≧c×0.05/W(但し、d≦c/Wである。)
ここで、Mの原子量をmとすると、Mの重量割合は下式で表される。
M(重量%)=(d×m)/(a×28.09+b×12.01+
c×16.00+d×m)
【0018】
前記無機繊維は、カルボシラン(−Si−CH2 −)結合単位、及びポリシラン(−Si−Si−)結合単位から主としてなり、ケイ素の側鎖に水素原子、低級アルキル基、アリ−ル基、フェニル基及びシリル基からなる群から選択される基を有する有機ケイ素重合体に、前記金属原子のアルコキシド、アセチルアセトキシ化合物、カルボニル化合物、シクロペンタジエニル化合物及びアミン化合物からなる群から選択される化合物を加熱反応して金属含有有機ケイ素重合体を調製し、次いで金属含有有機ケイ素重合体を溶融紡糸し、得られた紡糸繊維を酸素含有雰囲気中で不融化し、得られた不融化繊維を不活性雰囲気中で予備加熱後、不活性ガス雰囲気あるいは還元性ガス雰囲気で高温焼成することにより得られる。
【0019】
また、本発明における炭化ケイ素系セラミックス繊維は、密度が2.7g/cm3以上であり、強度及び弾性率が、それぞれ、2GPa以上及び250GPa以上であり、SiCの焼結構造からなる結晶性炭化ケイ素繊維であることことが望ましい。
【0020】
前記結晶性炭化ケイ素繊維としては、ケイ素及び炭素を主成分とし、焼結助剤成分としてのアルミニウム及びホウ素、あるいはさらにイットリウム及び/又はマグネシウムから構成されるものが挙げられる。これら成分の好ましい割合は、Si:55〜70%、C:30〜45%、Al:0.06〜3.8%、特に0.13〜1.25%、B:0.06〜0.5%、特に0.06〜0.19%である。
また、イットリウム及び/又はマグネシウムが共存する場合には、Si:55〜70%、C:30〜45%、Al:0.06〜3.8%、特に0.13〜1.25%、B:0〜0.2%、Y:0.06〜3.8%、特に0.13〜1.25%及び/又はMg:0.06〜3.8%、特に0.13〜1.25%である。
【0021】
また、この結晶性炭化ケイ素繊維は、少量の酸素及び余剰の炭素を含むことがあるが、いずれも2重量%以下であることが好ましい。余剰の炭素とは、繊維中に含有されるSiに対してSiCとして存在し得る化学量論的組成量を超えて存在する炭素を意味する。
【0022】
前記結晶性炭化ケイ素繊維は、Alを0.05〜3重量%、及びBを0.05〜0.4重量%含有し、さらに余剰の炭素を1重量%以上含有する非晶質の炭化ケイ素繊維を、1600〜2100℃の範囲の温度に加熱することによって調製される。
また、Alを0.05〜3重量%、Bを0〜0.1重量%、Yを0.05〜3重量%及び/又はMgを0.05〜3重量%、及び余剰の炭素を1重量%以上含有する非晶質の炭化ケイ素繊維を1600〜2100℃の範囲の温度に加熱することによって調製される。この加熱処理は、アルゴン、ヘリウムのような不活性ガス雰囲気下に行われる。
【0023】
非晶質炭化ケイ素繊維中のアルミニウムの割合が3重量%を超えると、焼結後の繊維の繊維において、多くのアルミニウムが焼結SiC結晶の粒界に遍在するために、粒界破壊が優勢に起こるようになって、高い強度が得られないと共に、高温における力学的特性の低下が顕著になる。この繊維中のアルミニウムの割合が0.05重量%未満であると、充分に焼結した結晶性繊維が得られなくなる。非晶質炭化ケイ素繊維中のホウ素の割合が0.4重量%を超えると、得られる結晶性炭化ケイ素繊維の耐アルカリ性が極端に低下し、逆にその割合が0.05重量%より少ないと、充分に焼結した結晶性繊維が得られなくなる。
一方、イットリウム及び/又はマグネシウムが共存する場合には、ホウ素の含有量を低減させても十分な焼結性並びに優れた耐アルカリ性を発現させることができる。
【0024】
また、非晶質炭化ケイ素繊維は、酸素を8〜16重量%含むことが好ましい。非晶質炭化ケイ素繊維を加熱する際に、この酸素は前述の余剰の炭素をCOガスとして脱離させる。
【0025】
上記の非晶質炭化ケイ素繊維は、カルボシラン(−Si−CH2 −)結合単位、及びポリシラン(−Si−Si−)結合単位から主としてなり、ケイ素の側鎖に水素原子、低級アルキル基、アリ−ル基、フェニル基及びシリル基からなる群から選択される基を有する有機ケイ素重合体に、前記金属原子のアルコキシド、アセチルアセトキシ化合物、カルボニル化合物、シクロペンタジエニル化合物及びアミン化合物からなる群から選択される化合物を加熱反応して金属含有有機ケイ素重合体を調製し、次いで金属含有有機ケイ素重合体を溶融紡糸し、得られた紡糸繊維を酸素含有雰囲気中で不融化し、得られた不融化繊維を不活性雰囲気中で予備加熱後、不活性ガス雰囲気あるいは還元性ガス雰囲気で高温焼成することにより得られる。
【0026】
本発明によればフィルター本体を炭化ケイ素系のセラミックス繊維により強化された酸化物セラミックスの複合材から構成することによりセラミックスの欠点である脆さを克服することができる。すなわち炭化ケイ素系セラミックス繊維と酸化物セラミックスマトリックスの界面にすべり相を設けることより微視的なクラックが入っても通常のセラミックスのように一気に破壊することはなくなる。これは、繊維とマトリックスの界面でクラックが偏向・分散し、また繊維が引きぬけながら破壊が進行するので破壊に大きなエネルギーが必要となるためである。さらに複合化により、モノリシック(単相)セラミックスに比べ耐熱衝撃も大きく向上させることができる。このような複合材は繊維の耐熱性・耐久性が複合材全体の耐熱性・耐久性に大きな影響を与えるので本発明においては請求項に示した炭化ケイ素系の繊維、例えば、Si-Zr-C-O繊維を用いることが望ましい。さらに請求項に示した結晶性炭化ケイ素繊維、例えば、化学組成が、Si:67%、C:31%、O:0.3%、Al:0.8%、B:0.06%(原子比Si:C:O:Al=1:1.08:0.008:0.012)の結晶性炭化ケイ素繊維は、Si-Zr-C-O繊維よりも耐熱性に優れるため、さらにフィルターの特性を向上させることができる。
【0027】
この繊維の不織布と織布の組み合わせたものをフィルターの形状に成形する。この状態のものをプリフォームとよぶこととする。フィルターの形状としては、上記したチューブ型、キャンドル型いずれの形状でも問題はないが、キャンドル型が一般的である。プリフォームの繊維配向は、繊維の不織布を織布でサンドイッチした3層構造にすることが好ましい。すなわち、フィルターの内側と外側は織布で構成されその中間に不織布がサンドイッチされた構造である。これにより、織布部を構成する長繊維でフィルターの強度を保ち、不織部でガス中のアッシュをろ過することができる。織布は外側、内側いずれも2〜4層積層することがフィルターの強度を発現させる上で好ましい。さらに、内側の織布は、逆洗ガスがフィルター内部に通り易いように繊維束の間隔を繊維束の幅の2〜4倍とすることが好ましい。一方、外側の織布は、ガス中のアッシュを不織布中に過剰に入れないように繊維束の間隔を繊維束の幅の1〜2倍とすることが好ましい。プリフォーム形成の具体的な方法としては、黒鉛等からなるマンドレルに織布、不織布そして織布の順に巻き付けて成形する方法がある。織布の形態としては平織やサテン織等の織物をマンドレルに巻き付ける方法、あるいはフィラメントワインディング法やブレーディング法のように繊維束を直接マンドレルに巻き付けていく方法があり、いずれの方法でも適用可能であるが、特にブレーディング法がキャンドル型形状に成形するのに適している。不織布としては、5〜10mm程度の短繊維を用いる紙漉きタイプと50〜70mm程度の短繊維を用いるフェルトタイプがあり、いずれも適用可能であるが、フェルトの方が短繊維の脱落等がなく好ましい。
【0028】
このプリフォームにAl2O3、SiO2、MgOのうちの少なくとも1種を含む酸化物をマトリックスとして形成する。方法としては、ゾルゲル方法を用いることができムライト組成が特に好ましい。さらにゾルゲル法では、形成されたマトリックス中にクラックが発生することがあるので、このクラックをシールするため、アルミノシリケート系のガラス粉末のスラリーを含浸させてこのガラスの融点以上に加熱することが有効である。また、繊維とマトリックス界面相としてあらかじめAl2O3を含む酸化物を繊維にコーティングしておくことが望ましく、特にAl2O3単相が好ましい。コーティング方法としてはゾルゲル法を用いることができる。これが、界面のすべり相として機能する。
【0029】
以上のように炭化ケイ素系のセラミックス繊維により強化された酸化物セラミックスの複合材からなるフィルターを成形した後、フィルターの外側表面に、Al2O3、SiO2、MgOのうちの少なくとも1種を含む酸化物の粒子からなり、厚さが1mm以下のメンブレン層を形成させる。組成としてはムライトが特に好ましい。形成させる方法としては、ムライトの粉末をムライト用のゾルに混ぜてスラリーを作製し、これをはけ等でフィルター外側表面に塗り、乾燥後、焼成することで、ムライト粒子からなるメンブレン層を形成できる。このメンブレン層により不織布に過剰のアッシュが入り込むことを防止でき、さらに逆洗ガスにより堆積したアッシュが払い落としやすくなり、使用中のフィルターの表面状態が安定する。
【0030】
【作用】
本発明によれば、炭化ケイ素系のセラミックス繊維により強化された酸化物セラミックスの複合材からなるフィルターとすることで破壊しにくく耐熱衝撃に優れた高信頼性を付与できる。また、強化繊維に炭化ケイ素系繊維を用いて界面相及びマトリックスを酸化物で形成させることで、これらが繊維を酸化から保護できることから繊維が長時間、安定した特性を維持できるため、優れた耐久性を付与できる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1
キャンドル型(直径50mm、長さ1550mm、片端閉じ)の黒鉛製マンドレルに結晶性炭化ケイ素繊維として化学組成が、Si:67%、C:31%、O:0.3%、Al:0.8%、B:0.06%(原子比Si:C:O:Al=1:1.08:0.008:0.012)の長繊維をブレーディング法により2層製織した。繊維束の間隔は繊維束の3倍とした。この上に50mmの結晶性炭化ケイ素の短繊維を用いて作製した厚さ2mmの不織布を2周巻き付けた。さらに最外層に結晶性炭化ケイ素の長繊維をブレーディング法により2層製織した。繊維束の間隔は繊維束の1.5倍とした。このようにして3層構造のプリフォームを作製した。このプリフォームに界面相としてゾルゲル法によりAl2O3をコーティングした。この後、マトリックスとしてムライトを同様にゾルゲル法により形成させた。ゾルゲル法は6回繰り返しフィルターのかさ密度を0.8g/cm3とした。この後、アルミノシリケートガラスの粉末スラリーを含浸して乾燥後、ガラスの融点以上の1400℃で焼成した。さらに、ムライトの粉末をムライト用のゾルに混ぜてスラリーを作製し、これをはけでフィルター外側表面に塗り、乾燥後、焼成してムライト粒子からなるメンブレン層を形成した。この後黒鉛製マンドレルを酸化除去して炭化ケイ素繊維で強化したムライトセラミック複合材のフィルターを製造した。
【0032】
実施例2
炭化ケイ素繊維として、化学組成がSi:55.5%、O:9.8%、C:34.1%、Zr:0.6%のSi-Zr-C-O繊維を用いた他は、実施例1と同様にして、フィルターを製造した。
【0033】
比較例1〜3
強化繊維としてアモルファス構造のSi-Ti-C-O繊維(比較例1)を用い、マトリックスとしてポリチタノカルボシランのキシレンに含浸し、窒素中、1200℃で焼成してSi-Ti-C−O系のマトリックスを形成させたフィルターを製造した。さらに、炭化ケイ素、コージェライト粉末を原料として円筒状に圧粉体を成形し、これを焼成して、それぞれ単相からなる、チューブ状の成形体を製造した。炭化ケイ素製を比較例2、コージェライト製を比較例3とする。
【0034】
上記の実施例、及び比較例として製造したフィルターから長さ100mmのチューブ状のフィルターを切り出して、加圧流動床複合発電システムでのフィルター使用環境下を模擬したガス雰囲気下での暴露試験による耐久性を評価した。試験条件を以下に示す。
Figure 0004269514
暴露試験後に長さ25mmの試験片をきり出して圧環試験を行い、暴露試験前後の破壊挙動の変化を調べた。表1に圧環強度と圧環試験時の最高荷重が得られた時の変位量を示す。
【表1】
Figure 0004269514
【0035】
表1からわかるように比較例ではいずれも暴露試験後に強度の大きな低下が認められた。比較例2と3のモノリシックセラミックスの場合、暴露試験前の強度は実施例よりも高強度であるが、変位量が小さく破壊が一気に進行しており、信頼性が低いことが判る。比較例1は複合体フィルターであるが、暴露試験後は、強度と共に変位量も減少しており、脆化も進行していることが判る。一方、実施例では、変位量が大きく、破壊エネルギーの大きい信頼性の高いフィルターであることが判る。また、暴露試験後の強度、変位量共に変化が少なく優れた耐久性を示している。特に実施例1の結晶性炭化ケイ素繊維を強化繊維とした場合には暴露試験前の強度、変位量共に大きく、暴露試験後の変化も非常に小さく非常に優れた耐久性を示していることが判る。
【0036】
【発明の効果】
本発明よる本発明によれば、炭化ケイ素系のセラミックス繊維により強化された酸化物セラミックスの複合材からなるフィルターとすることで破壊しにくく耐熱衝撃に優れた信頼性の高いフィルターが得られる。また、強化繊維に炭化ケイ素系繊維を用いて界面相及びマトリックスを酸化物で形成させることで、これらが繊維を酸化から保護できることから繊維が長時間、安定した特性を維持できるため、優れた耐久性を有するフィルターが得られる。この本発明フィルターにより、加圧流動床複合発電システム用や石炭ガス化複合発電システム用の高温集塵用フィルターとして適用可能なセラミックフィルターが提供できる。

Claims (5)

  1. 炭化ケイ素系セラミックス繊維により強化された酸化物セラミックスの複合材から構成されている高温集塵用セラミックフィルターにおいて、前記炭化ケイ素系セラミックス繊維が、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Th、U、Al、Zr及びHfから選ばれる金属原子を含有し、酸素含有量が1〜13%である炭化ケイ素系繊維であり、複合材中の繊維配向が、炭化ケイ素系セラミックス繊維の不織布を織布でサンドイッチした3層構造であることを特徴とする高温集塵用セラミックフィルター。
  2. 前記炭化ケイ素系セラミックス繊維が、密度が2.7g/cm以上であり、強度及び弾性率が、それぞれ、2GPa以上及び250GPa以上であり、SiCの焼結構造からなる結晶性炭化ケイ素繊維である請求項記載の高温集塵用セラミックフィルター。
  3. 前記炭化ケイ素系セラミックス繊維に含有される金属原子がZrであることを特徴とする請求項1記載の高温集塵用セラミックフィルター。
  4. マトリックスが、Al、SiO、MgOのうちの少なくとも1種を含む酸化物であり、繊維とマトリックスの界面相としてAlを含む酸化物を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高温集塵用セラミックフィルター。
  5. フィルター表面に、Al、SiO、MgOのうちの少なくとも1種を含む酸化物の粒子からなり、厚さが1mm以下のメンブレン層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高温集塵用セラミックフィルター。
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