JP4269433B2 - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents
熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物およびその成形体に関する。詳しくは、芳香族ポリサルホン樹脂ならびにオレフィン類とグリシジルメタクリレートおよび/またはグリシジルアクリレートとの共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物およびその成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリサルホン樹脂は、その成形品が優れた耐熱性、機械的強度を有し、エンジニアリング部品用、歯科用材料、膜などの成形材料として、幅広い分野に使用されているが、ノッチ存在下における衝撃強度が低いという欠点を有している。この点を改善するために、従来、エポキシ基含有オレフィン系共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等を配合する処方が検討されている。
中でも、エポキシ基含有オレフィン系共重合体は、分子内に反応性官能基を有する等の点で好適な配合成分と考えられ、種々検討がなされている(例えば、特公平2−381号公報、特開昭59−11360号公報)。しかしながら従来の処方では、耐衝撃性の改善効果が未だ十分ではなく、必ずしも満足できるものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決して、得られる成形体が耐衝撃性に優れたものである、芳香族ポリサルホン樹脂をベースとする熱可塑性樹脂組成物およびその成形体を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の芳香族ポリサルホン樹脂、ならびにオレフィン類とグリシジルメタクリレートおよび/またはグリシジルアクリレートとの共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物が、上記目的を達成することを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、(1).(A)360℃、せん断応力0.12MPaにおける溶融粘度が530Pa・s以上である芳香族ポリサルホン樹脂、ならびに(B)オレフィン類とグリシジルメタクリレートおよび/またはグリシジルアクリレートとの共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物に係るものである。
また、本発明は、(2).上記(1)記載の熱可塑性樹脂組成物の各成分を溶融混練してなる熱可塑性樹脂組成物に係るものである。
さらに、本発明は、(3).上記(1)または(2)記載の熱可塑性樹脂組成物を用いてなる成形体に係るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において、芳香族ポリサルホン樹脂とは、アリーレン単位、エーテル結合およびサルホン結合の三者が必須の繰り返し構造単位であって、アリーレン単位がエーテルおよびサルホン結合とともに無秩序にまたは秩序正しく位置するポリアリーレン化合物である。
【0011】
本発明で用いる(A)成分の芳香族ポリサルホン樹脂は、360℃、せん断応力0.12MPaで測定した溶融粘度が、530Pa・s以上である。530Pa・s未満であると、成形品の耐衝撃性が十分でない。好ましくは、成形品の耐衝撃性と成形時の流動性とのバランスの観点から、550〜1000Pa・sである。
【0012】
また、(A)成分としては、分子末端に水酸基を有するものが好ましい。水酸基の含有量は、水酸基当量(OH当量)にして、滞留時の熱安定性の観点から、通常5000g/eq以上、好ましくは200000g/eq以上、さらに好ましくは400000g/eq以上であり、また、B成分の分散性や成形品の耐衝撃性の観点から、通常800000g/eq以下、好ましくは700000g/eq以下、さらに好ましくは600000g/eq以下である。
【0013】
上記した所望の溶融粘度を有し、必要に応じて所望の水酸基当量を有する(A)成分を得るには、公知の芳香族ポリサルホン樹脂の製造方法を採用して、適宜、反応条件を調整すればよい。例えば、二価フェノラート(例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルホン等の二価フェノール類を炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、等の塩基と反応させて得られるもの)とジクロロ化合物(例えば、4,4’−ジクロロジフェニルサルホン等)との脱塩縮合反応において、二価フェノラートとジクロロ化合物とのモル比を調整する等すればよい。
【0014】
また、市販されている芳香族ポリサルホン樹脂の中から所望の溶融粘度、水酸基当量を有するものを選んでもよいし、市販されている芳香族ポリサルホン樹脂を二種以上混合して、所望の溶融粘度、水酸基当量となる様にしてもよい。市販されている芳香族ポリサルホン樹脂としては、例えば、下記構造単位
【化5】
からなるものの例として、住友化学工業(株)製、商品名:スミカエクセルPES3600P、スミカエクセルPES4100P、スミカエクセルPES4800P、スミカエクセルPES5200P、スミカエクセルPES5003P、等が挙げられる。
【0015】
本発明において(B)成分であるオレフィン類とグリシジルメタクリレートおよび/またはグリシジルアクリレートとの共重合体としては、オレフィン類とグリシジルメタクリレートとの共重合体、オレフィン類とグリシジルアクリレートとの共重合体、およびオレフィン類とグリシジルメタクリレートとグリシジルアクリレートとの共重合体から選ばれる一種または二種以上が用いられる。(B)成分は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
【0016】
(B)成分におけるオレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、イソブチレン、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ドデセン−1、4ーメチル−ペンテン−1、等が挙げられ、その一種以上が用いられる。中でもエチレン、プロピレンが好ましい。(B)成分におけるオレフィン類単位の含有量は、1〜99重量%の範囲内で変えることは可能であるが、好ましい範囲としては50〜97重量%である。
【0017】
(B)成分の共重合体には、他のビニル化合物の共重合成分を含んでいてもよく、例えば、スチレン、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、アクリル酸、エチルアクリレート、塩化ビニル、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、テトラフルオロエチレン、ジフルオロエチレン、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸アミド、等が挙げられる。
【0018】
本発明の熱可塑性樹脂組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100重量部に対して、5〜10重量部である。この範囲未満では耐衝撃性の改善効果に乏しいことがあり、また、この範囲を越えると、耐熱性の低下や、型汚染を引き起こすことがある。
【0019】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、補強材、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、界面活性剤、外部滑剤、等の添加剤を一種または二種以上含有させてもよい。例えば、補強材としては、ガラスファイバー、ガラスビーズ、カーボンファイバー、等が挙げられ、着色剤としては、染料、顔料、等が挙げられ、外部滑剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤、等が挙げられる。
【0020】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ポリエーテルイミド、等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂、等の熱硬化性樹脂;等の樹脂を一種または二種以上含有させてもよい。
【0021】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、各成分を溶媒にて均一に混合した後、溶媒を除去してもよいし、各成分をヘンシェルミキサー等でドライブレンドした後、溶融混練してもよい。本発明の熱可塑性樹脂組成物が耐衝撃性に優れるのは、(A)成分である芳香族ポリサルホン樹脂が末端に水酸基を有する場合、該水酸基の水酸基の一部または全部と、(B)成分である共重合体中のグリシジル基の一部または全部とが反応しているためと考えられる。この反応を促進させるためには、溶融混練するのが好ましく、例えば、バンバリーミキサー、ロール、押し出し機、ニーダー、等を用いてもよい。また、混練の際、この反応を促進するために、有機ホスフィン類、アミン類、塩基類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、等の塩基性物質を添加してもよい。
【0022】
本発明の芳香族ポリサルホン樹脂組成物は、射出成形法、押出し成形法、ブロー成形法、等の通常の成形方法により様々な製品、部品、部材に成形することができる。射出成形体としては、例えば、自動車、航空機、産業用機器、家電製品、水周り製品、食器、医療機器、OA・AV機器、電気・電子製品、等の各種製品の部品、部材が挙げられる。押出し成形体としては、例えば、フレキシブル基板用途や包材用途の耐熱フィルム、配管被覆用途や電線被覆用途の耐熱被覆材、等が挙げられる。ブロー成形体としては、例えば、自動車産業部品、電気産業部品、等が挙げられる。さらには成形体を微粉化してなる粉体塗料として用いる事もできる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1〜7、比較例1〜6
表1に示す各成分を表1に示す組成(重量部)で混合後、二軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM−30)を用いてシリンダー温度320℃で造粒し、熱可塑性樹脂組成物を得た。該熱可塑性樹脂組成物を340℃の成形温度にて射出成形し、各種試験片を作製した。評価結果を表1に示す。なお、表1中の物性値、評価結果は次の方法で測定した。
【0024】
・水酸基当量
芳香族ポリサルホン樹脂をジメチルホルムアミドに溶解し、滴定試薬として0.05mol/lのカリウムメトキシド/トルエン・メタノール溶液を用いて電位差滴定装置にて水酸基の量を測定し、水酸基当量を算出した。また、水酸基当量が既知である芳香族ポリサルホン樹脂を二種以上混合して水酸基当量を調整した実施例に関しては、両者の水酸基当量、混合比より算出した値を用いた。
・溶融粘度
フローテスターCFT−500(島津製作所製)を用い、360℃、せん断応力0.12MPa(ダイス径1.0mm、荷重5kg)の条件で測定した。
・アイゾット衝撃強度
射出成形機を用いて長さ64mm、幅12.7mm、厚み6.4mm、中央部に先端半径0.25mm、深さ2.7mmのノッチを有する試験片を成形し、ASTM D256に準拠して測定した。
・曲げ強度、弾性率
射出成形機を用いて長さ127mm、幅12.7mm、厚み6.4mmの試験片を成形し、ASTM D790に準拠して測定した。
・荷重たわみ温度
曲げ強度、弾性率測定に用いた試験片と同形状の試験片を用い、ASTM D648に準拠し、1.82MPaの荷重で測定した。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性に優れ、該組成物を用いて有用な成形体を得ることができる。
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