JP4268899B2 - フラバノン化合物、抗酸化剤、抗菌剤、抗腫瘍剤及び飲食品 - Google Patents

フラバノン化合物、抗酸化剤、抗菌剤、抗腫瘍剤及び飲食品 Download PDF

Info

Publication number
JP4268899B2
JP4268899B2 JP2004123479A JP2004123479A JP4268899B2 JP 4268899 B2 JP4268899 B2 JP 4268899B2 JP 2004123479 A JP2004123479 A JP 2004123479A JP 2004123479 A JP2004123479 A JP 2004123479A JP 4268899 B2 JP4268899 B2 JP 4268899B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
flavanone
food
antibacterial
flavanone compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004123479A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005029560A (ja
Inventor
茂則 熊澤
勉 中山
香代子 下位
崇輝 後藤
修一 福本
勉 新垣
Original Assignee
株式会社ポッカコーポレーション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2004123479A priority Critical patent/JP4268899B2/ja
Application filed by 株式会社ポッカコーポレーション filed Critical 株式会社ポッカコーポレーション
Priority to AU2004249614A priority patent/AU2004249614B2/en
Priority to TW093117690A priority patent/TW200510364A/zh
Priority to US10/562,019 priority patent/US7256214B2/en
Priority to PCT/JP2004/008964 priority patent/WO2004113318A1/ja
Priority to SG2007035900A priority patent/SG178620A1/en
Priority to EP04746433A priority patent/EP1640371B1/en
Priority to AT04746433T priority patent/ATE529418T1/de
Priority to EP09179875A priority patent/EP2186806A1/en
Priority to CN2007101529205A priority patent/CN101130536B/zh
Publication of JP2005029560A publication Critical patent/JP2005029560A/ja
Priority to HK06109121.7A priority patent/HK1088894A1/xx
Priority to US11/686,038 priority patent/US7829591B2/en
Application granted granted Critical
Publication of JP4268899B2 publication Critical patent/JP4268899B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/30Against vector-borne diseases, e.g. mosquito-borne, fly-borne, tick-borne or waterborne diseases whose impact is exacerbated by climate change

Landscapes

  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Pyrane Compounds (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

この発明は、新規フラバノン化合物、並びに該フラバノン化合物を含有する抗酸化剤、抗菌剤、抗腫瘍剤及び飲食品に関するものである。
従来より、この種のフラバノン化合物としては、ニムフェオール(nymphaeol)−A,B,Cが知られている(非特許文献1参照)。
K.Yakushijin, K.Shibayama, H.Murata and H.Furukawa、ハスノハギリ由来の新規プレニルフラバノン(New prenylflavanones from Hernandia nymphaefolia(presl) Kubitzki)、Heterocycles, 14, 397-402, 1980.
この発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、新規なフラバノン化合物を単離し、かつ有用な生理活性を見出したことによりなされたものである。その目的とするところは、飲食品や医薬品等の様々な用途に利用することが可能な新規フラバノン化合物を提供することにある。別の目的とするところは、高い抗酸化作用を発揮する抗酸化剤、高い抗菌作用を発揮する抗菌剤、及び高い抗腫瘍作用を発揮する抗腫瘍剤を提供することにある。その他の目的とするところは、健康増進効果又は保存性の向上を図るのが容易な飲食品を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のフラバノン化合物は、下記化1に示される構造を有するものである。
Figure 0004268899
請求項2に記載の発明の抗酸化剤は、請求項1に記載のフラバノン化合物を含有するものである。請求項3に記載の発明の抗菌剤は、請求項1に記載のフラバノン化合物を含有するものである。請求項4に記載の発明の抗腫瘍剤は、請求項1に記載のフラバノン化合物を含有するものである。請求項5に記載の発明の飲食品は、請求項1に記載のフラバノン化合物を含有するものである。
この発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明のフラバノン化合物によれば、飲食品や医薬品等の様々な用途に利用することができる。請求項2に記載の発明の抗酸化剤によれば、高い抗酸化作用を発揮することができる。請求項3に記載の発明の抗菌剤によれば、高い抗菌作用を発揮することができる。請求項4に記載の発明の抗腫瘍剤によれば、高い抗腫瘍作用を発揮することができる。請求項5に記載の発明の飲食品によれば、健康増進効果又は保存性の向上を図るのが容易となる。
以下、この発明を具体化した実施形態を詳細に説明する。
実施形態のフラバノン化合物は、下記化2に示される構造を有する有機化合物である。
Figure 0004268899
前記化2に示されるフラバノン化合物は、5,7,3',4'-テトラヒドロキシ-5'-C-ゲラニルフラバノン(5,7,3',4'-tetrahydroxy-5'-C-geranylflavanone、isonymphaeol-B)であり、分子式C25286、分子量424、融点(MP)123〜126℃である(図1参照)。このフラバノン化合物は、本発明者らによって沖縄産プロポリスから単離された天然物由来の新規化合物であり、エリオディクティオール(Eriodictyol)と類似した構造的特徴を有しているが、5’位にC−ゲラニル基を備えていることからエリオディクティオールよりも親油性(膜透過性)が高い。
このフラバノン化合物は、エリオディクティオールやα−トコフェロール(α-Tocopherol)と同程度の高い抗酸化作用を有している。また、このフラバノン化合物は、乳癌細胞等の癌細胞の増殖を抑制する抗腫瘍作用を有している。さらに、このフラバノン化合物は、生理的な細胞死(アポトーシス;apoptosis)等により、癌化しつつある異常細胞や細胞寿命を迎えつつある老化細胞等の不要細胞を除去する作用を有している。また、このフラバノン化合物は、黄色ブドウ球菌等のグラム陽性菌、バチルス属菌等の芽胞菌に対する抗菌作用を有している。
実施形態の抗酸化剤は、上記フラバノン化合物を有効成分(抗酸化素材)として含有するものである。この抗酸化剤は、油脂の酸化劣化、香料の劣化、色素の分解、色素の退色等の様々な製品の劣化(主に酸化劣化)を効果的に抑えるための劣化防止剤として飲食品中に添加して利用され得る。また、この抗酸化剤は、健康食品等の飲食品中に含有させて利用することにより、経口摂取した生体内で活性酸素を消去して、肝機能の増強作用、アセトアルデヒドの毒性の軽減、低密度コレステロール(LDL)の抗酸化作用、乳癌細胞の増殖抑制作用、免疫機能改善等の健康増進効果を発揮する。また、この抗酸化剤は、化粧品又は医薬部外品中に含有させて利用することも可能であり、皮膚や口腔等の美白効果や老化の防止等に役立つ。
実施形態の抗菌剤は、上記フラバノン化合物を有効成分として含有するものである。この抗菌剤は、主として飲食品中に添加して利用され、該飲食品の腐敗を防止する。また、この抗菌剤は、医薬品中に含有させて利用してもよく、或いは感染症治療薬や抗菌性化学療法薬等の医薬品として利用してもよい。また、この抗菌剤は、化粧品又は医薬部外品中に添加して利用することも可能であり、皮膚、口腔、腋下等を清潔に保つのに役立つ。この抗菌剤は、前記有効成分が飲食品、医薬品、化粧品又は医薬部外品中に、好ましくは10ppm以上の濃度、より好ましくは20ppm以上、さらに好ましくは30〜10000ppmの濃度、特に好ましくは50〜1000ppmの濃度で含有されるように添加される。前記有効成分の濃度が10ppm未満の場合には十分な抗菌作用が発揮されず、逆に10000ppmを越える場合には不経済である。
実施形態の抗腫瘍剤は、上記フラバノン化合物を有効成分として含有するものであり、主に医薬品として利用される。この抗腫瘍剤は、前記有効成分が癌細胞に対して、好ましくは0.1μM〜100mM、より好ましくは10〜1000μMの濃度で晒されるように投与される。前記有効成分の濃度が0.1μM未満の場合には治療効果が少なく、逆に100mMを越える場合には不経済である。また、この抗腫瘍剤の投与量としては、成人1日当たり好ましくは前記有効成分を0.5〜10g、より好ましくは2〜5g投与するように構成される。この有効成分の1日当たりの投与量が0.5g未満の場合には抗腫瘍作用を十分に発揮させることができず、逆に10gを越える場合には不経済である。また、小人の場合は、前記成人の場合の半量が目安となる。
一方、前記有効成分を飲食品(健康食品)、化粧品又は医薬部外品中に含有させた場合には、癌化しつつある異常細胞等の不要細胞の生理的な除去を促進させて、癌予防効果を発揮する製品として利用することもできる。このとき、前記製品中における有効成分の濃度は、好ましくは前記医薬品の場合の1〜50%、より好ましくは10〜30%程度が目安となる。
実施形態の飲食品は、上記フラバノン化合物を含有するものであり、上記抗酸化剤又は抗菌剤を含有するものであってもよい。この飲食品は、上記フラバノン化合物が有する抗酸化作用を十分に引き出すことにより、生体内で活性酸素を消去して様々な健康増進効果を発揮する健康食品として利用することができる。また、上記フラバノン化合物が有する劣化防止作用を十分に引き出すことにより、飲食品の劣化を防止して保存性を高め、長期間に渡って安定した品質を保持させることが可能となる。或いは、上記フラバノン化合物が有する抗菌作用を十分に引き出すことにより、飲食品の腐敗を防止して保存性を高め、長期間に渡って安定した品質を保持させることが可能となる。同様に、上記フラバノン化合物が有する抗腫瘍作用を十分に引き出すことにより、癌化しつつある異常細胞や細胞寿命を迎えつつある老化細胞等の不要細胞の生理的な除去を促進させて、高い健康増進効果を発揮する健康食品として利用することもできる。
この飲食品において、上記フラバノン化合物の1日当たりの摂取量は、成人1日当たり好ましくは0.05〜10g、より好ましくは0.2〜5gであるとよい。この有効成分の1日当たりの摂取量が0.05g未満の場合には前記有効成分による抗酸化作用を効果的に発揮させることができないおそれがあり、逆に10gを越える場合には不経済である。
上記実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態のフラバノン化合物は、上記化2に示される5,7,3',4'-テトラヒドロキシ-5'-C-ゲラニルフラバノン(イソニムフェオール−B)である。このフラバノン化合物は、抗酸化作用、抗腫瘍作用、抗菌作用等を有していることから、飲食品や医薬品を始めとする様々な種類の用途に利用することができる。特に、このフラバノン化合物は、単一の化合物でありながら複数種類の多面的な作用を同時に発揮することができることから、プロポリスに代表されるような多機能健康食品素材としての利用が可能である点は注目に値する。また、このフラバノン化合物は、エリオディクティオールと同様な用途に利用できる他、エリオディクティオールよりも親油性が高いことを利用した様々な用途に利用することができる。さらに、このフラバノン化合物は、健康食品素材として利用されているプロポリス中に含有されているものであることから、経口摂取や経皮投与における問題もない。
・ 実施形態の抗酸化剤は、高い抗酸化作用を有するフラバノン化合物を有効成分として含有していることから、飲食品、化粧品又は医薬部外品の劣化を防止して保存性を高めたり、経口摂取又は経皮投与することにより健康増進効果や老化防止効果を発揮することができる。実施形態の抗菌剤は、高い抗菌作用を有するフラバノン化合物を有効成分として含有していることから、飲食品、化粧品又は医薬部外品の腐敗を防止して保存性を高めたり、化粧品又は医薬部外品として経皮投与することにより高い衛生効果や消臭効果を発揮したり、医薬品としての利用も可能である。実施形態の抗腫瘍剤は、高い抗腫瘍作用を有するフラバノン化合物を有効成分として含有していることから、癌に対する高い治療効果を発揮することができるうえ予防効果も期待され得る。
・ 実施形態の飲食品(飲料品又は食品)は、抗酸化作用、抗腫瘍作用、抗菌作用等を有するフラバノン化合物を含有していることから、飲食品自体の劣化防止や腐敗防止、健康増進効果や老化防止効果、新陳代謝増進効果や癌予防効果等の多面的で有用な効果を同時に発揮させることができる。また、この飲食品は、フラバノン化合物の含有量を低く設定することにより、劣化防止効果又は腐敗防止効果を利用して保存性のみを高めることも容易である。
以下、前記実施形態を具体化した実施例及び比較例について説明する。
<化合物の単離>
沖縄産プロポリス原体50gにエタノール500mlを加え、数分間超音波処理を行い一晩室温で撹拌した後、ろ過を行なって残留物を取り除くことにより、抽出操作を行なった。得られた抽出液を減圧濃縮することによりエタノール抽出物39.73gを得た。次に、前記エタノール抽出物を以下の条件のカラムクロマトグラフィーにて(1)〜(11)の11の画分に分画した。
カラム管: ガラスカラム 5.0×45cm
充填剤 : シリカゲル 約590cm3
溶出溶媒: (1) ヘキサン:酢酸エチル=90:10( 350ml)
(2) ヘキサン:酢酸エチル=80:20( 220ml)
(3) ヘキサン:酢酸エチル=70:30( 250ml)
(4) ヘキサン:酢酸エチル=60:40(1000ml)
(5) ヘキサン:酢酸エチル=50:50( 200ml)
(6) ヘキサン:酢酸エチル=40:60( 100ml)
(7) ヘキサン:酢酸エチル=30:70( 100ml)
(8) ヘキサン:酢酸エチル=20:80( 100ml)
(9) ヘキサン:酢酸エチル=10:90( 100ml)
(10) 酢酸エチル(200ml)
(11) メタノール(700ml)
次に、各画分を下記HPLC条件1で分析したところ、(4)の画分に4つの主要成分が含まれていることが確認された。
HPLC条件1
カラム : YMC-Pack R&D ODS (4.6×250mm)
溶媒 : A:水(2%酢酸)、B:アセトニトリル(2%酢酸)
溶出条件: 0-60min(グラジエント溶出 ; A:B=80:20 → A:B=20:80)
流速 : 1ml/min
検出 : UV280nm
次に、画分(4)を用いて下記HPLC条件2にて分取・精製を行なうことにより、化合物1(収量61.1mg)、化合物2(収量65.7mg)及び化合物3(収量99.8mg)を単離した。さらに、画分(4)を用いて下記HPLC条件3にて分取・精製を行なうことにより、化合物4(収量20.0mg)を単離した。
HPLC条件2
カラム: YMC-Pack R&D ODS (20×250mm)
溶媒 : 水(0.1%TFA):アセトニトリル(0.1%TFA)=40:60
流速 : 9ml/min
検出 : UV280nm
HPLC条件3
カラム: YMC-Pack R&D ODS (20×250mm)
溶媒 : 水(0.1%TFA):アセトニトリル(0.1%TFA)=20:80
流速 : 9ml/min
検出 : UV280nm
<各化合物の同定>
上記化合物2について、1H−NMR、13C−NMR、MS、IR、UVスペクトル等を測定することにより構造解析を行なった。詳細を以下に記載する。即ち、化合物2(Compound 2)の物理化学的特性を図1に示した。ESI−MSによる測定から分子量は424と確認され、IRスペクトルから3360cm-1に水酸基、1680cm-1にカルボニル基の存在が示唆された。またUVスペクトルにおいて、フラバノンあるいはフラバノールに特徴的なスペクトルを示したので、フラバノン骨格を有すると推定された。1H−NMRスペクトルの積分値から28個のプロトンが確認され、13C−NMRスペクトルでは25本のシグナルが観測された。DEPTスペクトルより3個のメチル、4個のメチレン、8個のメチン、11個の4級炭素が確認され、これらの情報から分子式をC25286と推定した。これらに加えHSQCスペクトル、1H−1H COSY、HMBCスペクトル、CDスペクトル等のNMRデータを図2にまとめた。以上の結果から本化合物は上記化2に示した構造を有しており 5,7,3',4'-tetrahydroxy-5'-C-geranylflavanone であると同定した。本化合物はこれまで文献等未記載の新規化合物であった。
<プロポリス中の含有量の測定>
上記化合物1〜4が沖縄産プロポリス中にどれだけ含まれているかを下記HPLC条件4にて分析し含有量を求めた。その結果、沖縄産プロポリス原体100g中に化合物1は12.7g、化合物2は10.5g、化合物3は13.5g、化合物4は9.1g含有されていることが確認された。
HPLC条件4
カラム : YMC-Pack R&D ODS (4.6×250mm)
溶媒 : A:水(0.1%TFA)、B:アセトニトリル(0.1%TFA)
溶出条件: 0-50min(グラジエント溶出 ; A:B=65:35 → A:B=0:100)
流速 : 1ml/min
検出 : UV280nm
<DPPHラジカル捕捉活性試験>
DPPH(α,α-diphenyl-β-picrylhydradil)は517nmに極大吸収を持つ紫色の安定ラジカルであり、水素を得ることにより無色のヒドラジンになる。この呈色反応を利用して以下の方法にてラジカル捕捉活性を測定した。即ち、試料としての上記化合物2をエタノールに溶解することにより濃度25μMの試料溶液を3ml調製した。続いて、各試料溶液に0.5mMのDPPH溶液(溶媒はエタノール)を0.75ml加えて攪拌し、暗所にて1時間反応させた後に517nmにおける吸光度を測定した。一方、比較対照としては、前記化合物の代わりの試料としてBHT(butylated hydroxytoluene)、α−トコフェロール又はエリオディクティオールを用い同様に試験を実施した。また、前記試料を加えていないものをコントロールとして用い、同様に試験を実施した。ラジカル捕捉活性(%)は下記数1にて算出した。結果を下記表1に示す(全ての試験は3回行い、その平均値及び標準偏差を示した)。
Figure 0004268899
Figure 0004268899
表1より、上記化合物2は比較対照としてのBHTを上回っており、さらにα−トコフェロールとほぼ同程度の高いラジカル捕捉活性を示すことが明らかとなった。
<β−カロテン退色試験>
この方法は、リノール酸の自動酸化に伴って生じるリノール酸過酸化物が、β−カロテンの二重結合と反応することにより、β−カロテンの色が消失する現象を利用したものであり、以下の方法にて抗酸化活性を測定した。即ち、まず、200mg/mlのTween40クロロホルム溶液2ml、100mg/mlのリノール酸クロロホルム溶液0.4ml、及び0.1mg/mlのβ−カロテンクロロホルム溶液3mlを混合した後、窒素ガスを用いて溶媒を除去した。続いて、蒸留水100mlを加え十分に攪拌することによりエマルジョンを得た。このエマルジョン3mlにエタノールを加え溶質を溶媒中に完全に溶解させた後、1.2mMの各試料溶液50μlを混合することにより反応液を調製し、該反応液を60℃で60分間インキュベートした。インキュベート前の反応液(0分の試料反応液)と、インキュベート後の反応液(60分の試料反応液)とについて470nmの吸光度を測定した。
なお、前記試料溶液は、試料としての上記化合物2をエタノールに溶解することにより濃度1.2mMとなるように調製したものである。また、前記反応液中の試料濃度は20μMになるように調製した。一方、比較対照としては、前記化合物の代わりの試料としてBHT、α−トコフェロール又はエリオディクティオールを用いた反応液を調製し同様に試験を実施した。また、前記試料を加えていないコントロール反応液を調製し同様に試験を実施した。抗酸化活性(%)は下記数2により求めた。結果を上記表1に示す(全ての試験は3回行い、その平均値及び標準偏差を示した)。
Figure 0004268899
但し、上記コントロールの退色速度は、(0分のコントロール反応液の吸光度/60分のコントロール反応液の吸光度)/60の値の自然対数で表され、上記試料の退色速度は、(0分の試料反応液の吸光度/60分の試料反応液の吸光度)/60の値の自然対数で表される。その結果、表1より、化合物2は高い抗酸化活性を示し、その活性はBHT、α−トコフェロール及びエリオディクティオールとほぼ同等であったことが確認された。
<乳癌細胞増殖抑制試験>
乳癌細胞(MCF-7)を培養する際に細胞増殖促進作用のあるエストラジオール(17β-Estradiol)を添加することにより、短期間で簡易的に乳癌細胞の増殖を進めることができる。これを利用し上記各化合物が乳癌細胞に及ぼす増殖抑制効果を以下の方法にて測定した。即ち、まず、試料としての上記化合物2をジメチルスルフォキシドに希釈し試料溶液を作製した。次に、96ウェルプレートの各ウェルに2×103個の乳癌細胞(MCF-7)を播種し、4時間後にエストラジオール及び試料溶液を添加した。エストラジオールは終濃度で0.1nM、試料溶液は終濃度で0.2μM、2μM又は20μMになるようそれぞれ添加した区分を設けた。所定の培養期間経過した後(3、5days)に培地を交換し、酵素溶液(Cell counting Kit-8:Wako)を培地の10%量ずつ加えた後、37℃のインキュベーターにて2時間加温し、分光光度計で波長450nm(参照波長630nm)の吸光度を測定し、各区分における生細胞数を定量した。
なお、前記培養期間5日の区分は、培養3日目に培地を交換した後、エストラジオール及び試料を添加して5日目まで培養を継続させた。また、0日目の区分は、細胞を播種して4時間後に酵素溶液を添加し、上記方法に従って加温後、吸光度を測定した。比較対照としては、前記化合物の代わりの試料としてエリオディクティオールを用い同様に試験を実施した。また、エストラジオール及び試料を加えていないものをコントロール1として用い、試料を加えていないものをコントロール2として用いて、同様に試験を実施した。一方、前記生細胞数の定量は、コントロール1の0日目の吸光度を1としたときの相対細胞数で表し、各区分とも8ウェルずつ試験を実施し測定値の平均及び標準偏差をデータとした。結果を表2に示す。
Figure 0004268899
表2より、化合物2は乳癌細胞の増殖を抑制する傾向が認められ、さらには濃度依存的に乳癌細胞の増殖抑制効果が強まる傾向が認められた。
<エタノール抽出物に関する抗菌活性試験>
抗菌活性を評価するため、グラム陰性菌の指標菌として E.coli (IFO3366)、グラム陽性菌の指標菌として Staphylococcus aureus (IFO15035)、熱殺菌等の工程にも耐性を有する芽胞菌の指標菌として Bacillus cereus (IFO15305T)、及び缶詰における変敗の原因となる菌類の指標菌として変敗缶詰から分離した Bacillus coagulans を用い、上記化合物の抗菌活性を評価した。即ち、まず、上記<化合物の単離>におけるエタノール抽出物を70%エタノールに溶解させた後、該抽出物濃度が0ppm、12.5ppm、25ppm、50ppm、100ppm又は150ppmになるように調製した標準寒天培地を作製した。続いて、これらの標準寒天培地をオートクレーブ殺菌することにより評価培地を作製し、これらの評価培地に上記各菌を接種してその生育を確認した。その結果、上記全ての指標菌に対し、エタノール抽出物の濃度に依存して抗菌効果が高められていることが確認された。さらに、エタノール抽出物濃度が50ppm以上で上記全ての指標菌が検出されなくなったことが確認された。なお、前記70%エタノールによる上記各指標菌への影響はほとんど見られなかった。
<化合物2に関する抗菌活性試験>
抗菌活性を評価するため、グラム陰性菌の指標菌として上記 E.coli 及び Salmonella enteritidis (S.en;NBRC3313)、グラム陽性菌の指標菌として上記 Staphylococcus aureus (Sta.)及び芽胞菌の指標菌として上記 Bacillus cereus (B.ce)を用い、上記化合物2の抗菌活性を評価した。即ち、化合物2を70%エタノールに溶解させた後、該化合物2濃度が0ppm、5ppm、10ppm、15ppm、20ppm又は50ppmになるように調製した標準寒天培地を作製した以外は、上記<エタノール抽出物に関する抗菌活性試験>と同様にして上記各菌を評価培地に接種した。次いで、各菌を培養した後、1シャーレ当たりの菌数(CFU/シャーレ)をそれぞれ測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0004268899
表3より、化合物2は、上記グラム陽性菌及び芽胞菌に対し、濃度に依存して抗菌効果が高められる傾向が認められた。また、化合物2は、上記 E.coli 及び S.en に対し上記全ての濃度において抗菌効果がなかった。なお、前記70%エタノールによる上記各指標菌への影響はほとんど見られなかった。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 50ppm以上のフラバノン化合物を含有することを特徴とする請求項5に記載の飲食品。50〜10000ppmのフラバノン化合物を含有することを特徴とする請求項5に記載の飲食品。このように構成した場合、飲食品の保存性を容易に高めることができる。
・ 請求項1に記載のフラバノン化合物を含有する化粧品。このように構成した場合、美白効果、スキンケア効果又は保存性の向上を図るのが容易となる。請求項1に記載のフラバノン化合物を含有する医薬部外品。このように構成した場合、衛生効果、消臭効果又は保存性の向上を図るのが容易となる。請求項1に記載のフラバノン化合物を含有する医薬品。このように構成した場合、抗腫瘍効果や抗菌効果等の有用な薬効を容易に発揮させることができる。
実施例の化合物2の物理化学的特性をまとめた。 実施例の化合物2のNMRデータを示す。

Claims (5)

  1. 下記化1に示される構造を有するフラバノン化合物。
    Figure 0004268899
  2. 請求項1に記載のフラバノン化合物を含有する抗酸化剤。
  3. 請求項1に記載のフラバノン化合物を含有する抗菌剤。
  4. 請求項1に記載のフラバノン化合物を含有する抗腫瘍剤。
  5. 請求項1に記載のフラバノン化合物を含有する飲食品。
JP2004123479A 2003-06-20 2004-04-19 フラバノン化合物、抗酸化剤、抗菌剤、抗腫瘍剤及び飲食品 Expired - Fee Related JP4268899B2 (ja)

Priority Applications (12)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004123479A JP4268899B2 (ja) 2003-06-20 2004-04-19 フラバノン化合物、抗酸化剤、抗菌剤、抗腫瘍剤及び飲食品
EP09179875A EP2186806A1 (en) 2003-06-20 2004-06-18 Flavanone compound and uses thereof
US10/562,019 US7256214B2 (en) 2003-06-20 2004-06-18 Flavanone compound and uses thereof
PCT/JP2004/008964 WO2004113318A1 (ja) 2003-06-20 2004-06-18 フラバノン化合物及びその用途
SG2007035900A SG178620A1 (en) 2003-06-20 2004-06-18 Flavanone compound and uses thereof
EP04746433A EP1640371B1 (en) 2003-06-20 2004-06-18 Flavanone compound and uses thereof
AU2004249614A AU2004249614B2 (en) 2003-06-20 2004-06-18 Flavanone compound and uses thereof
TW093117690A TW200510364A (en) 2003-06-20 2004-06-18 Flavanone compound and uses thereof
CN2007101529205A CN101130536B (zh) 2003-06-20 2004-06-18 黄烷酮化合物及其应用
AT04746433T ATE529418T1 (de) 2003-06-20 2004-06-18 Flavanonverbindung und deren verwendungen
HK06109121.7A HK1088894A1 (en) 2003-06-20 2006-08-16 Flavanone compound and uses thereof
US11/686,038 US7829591B2 (en) 2003-06-20 2007-03-14 Flavanone compound and uses thereof

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003177332 2003-06-20
JP2004123479A JP4268899B2 (ja) 2003-06-20 2004-04-19 フラバノン化合物、抗酸化剤、抗菌剤、抗腫瘍剤及び飲食品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005029560A JP2005029560A (ja) 2005-02-03
JP4268899B2 true JP4268899B2 (ja) 2009-05-27

Family

ID=34220095

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004123479A Expired - Fee Related JP4268899B2 (ja) 2003-06-20 2004-04-19 フラバノン化合物、抗酸化剤、抗菌剤、抗腫瘍剤及び飲食品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4268899B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9457007B2 (en) 2013-03-29 2016-10-04 Naturewise Biotech & Medicals Corporation Prenylflavanone compounds for modulating diabetes
JP5996571B2 (ja) * 2014-03-27 2016-09-21 ナチュレワイズ バイオテック&メディカル コーポレーション 糖尿病を調節するプレニルフラバノン化合物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005029560A (ja) 2005-02-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7829591B2 (en) Flavanone compound and uses thereof
Zhang et al. Isolation and identification of strawberry phenolics with antioxidant and human cancer cell antiproliferative properties
Martini et al. Biological activity of five antibacterial flavonoids from Combretum erythrophyllum (Combretaceae)
Bassanetti et al. Investigation of antibacterial activity of new classes of essential oils derivatives
Shallan et al. In vitro antimicrobial, antioxidant and anticancer activities of globe artichoke (Cynara cardunculus var. scolymus L.) bracts and receptacles ethanolic extract
JP5667561B2 (ja) 4’−デメチルノビレチン又は4’−デメチルタンゲレチンを有効成分として含有する神経突起伸長剤、記憶改善剤、抗アルツハイマー剤、並びに、その製造方法
JP4268900B2 (ja) 抗酸化剤、抗菌剤、抗腫瘍剤及び飲食品
JPWO2007105581A1 (ja) 抗微生物剤及び抗微生物性組成物
Chedea et al. Antioxidant/Prooxidant and antibacterial/probacterial effects of a grape seed extract in complex with lipoxygenase
El‐Hadad et al. Biological activities of dihydroquercetin and its effect on the oxidative stability of butter oil
KR20210125203A (ko) 커피박 추출물을 유효성분으로 함유하는 항균용 조성물
JP4268899B2 (ja) フラバノン化合物、抗酸化剤、抗菌剤、抗腫瘍剤及び飲食品
JP2005272374A (ja) フラバノン化合物、その製造方法及び抗酸化剤
Marquez-Lopez et al. Extract of Ellagitannins starting with Strawberries (Fragaria sp.) and Blackberries (Rubus sp.)
JP4436055B2 (ja) 抗菌剤
KR20220043008A (ko) 여뀌바늘 추출물을 이용한 항산화 또는 항균용 조성물
JP4061675B2 (ja) 天然物由来の抗菌剤
JP2014152118A (ja) 老化抑制剤
US9707203B1 (en) Methods of killing bacteria and preventing or treating bacterial infection with oxidation products of safranal and methods of synthesizing safranal epoxides
US9000034B2 (en) Antibiotic composition containing erythorbyl laurate and its usage
JP2000273452A (ja) 抗酸化剤
JP4535305B2 (ja) 新規ポリオール系化合物
Benny et al. Attenuation of Quorum Sensing Mediated Virulence Factors and Biofilm Formation in Pseudomonas Aeruginosa PAO1 by Substituted Chalcones and Flavonols
Naz et al. Antioxidant activity directed isolations from Punica granatum
Balaj L'acide 5-O-caféoylquinique, un polyphénol alimentaire et ses métabolites produits par des bactéries intestinales: études électrochimiques, analyses LC-MS/MS, biotransformation et études biologiques

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070329

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20080314

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090210

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090223

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4268899

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120227

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150227

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees