JP4268827B2 - 1成分形湿気硬化性組成物の充填包装缶 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の内外装の部材間やジョイント部の目地に充填し、風雨の侵入を防止するシーリング材、種々部材間の接着に用いる接着剤、塗膜防水材などに使用される1成分の湿気硬化性組成物の包装缶に関する。
【0002】
さらに詳しくは、長期間の貯蔵後においても、製品安定性、施工性に優れ、1成分形シーリング材組成物の充填包装缶に関する。
【0003】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】
一成分湿気硬化性組成物は空気中の水分と反応し、高分子化、三次元化し硬化することで、所望の接着強度、各種物性を発揮し、様々な用途に適用される。
その包装容器は、硬化を抑制するために、完全に外気と遮断する必要がある。
【0004】
一般に使用される1成分形組成物の包装形態としては、防湿カートリッジ、防湿フィルムパック、防湿フィルムソーセージ、缶蓋を密閉構造とした金属缶などが挙げられる。
【0005】
しかしながら、防湿カートリッジ、防湿フィルムパック、防湿フィルムソーセージ等の包装は、その強度の問題で、大容量の包装単位には適用できない。しかし、実際の建築現場などで多量に使用される材料に関しては、大容量の包装単位であることが好ましい。
【0006】
そのため、大容量の包装単位に対応可能な金属缶が使用される。しかし、金属缶は、防湿カートリッジ、防湿フィルムパック、防湿フィルムソーセージ等の包装に比べ、完全密閉することが困難であり、1成分形組成物が一部硬化してしまうということが起りやすい。その現象を防止するために、缶構造を強化したり、缶蓋のサイズを小さくしたりして、密閉性を上げることが行われているが、その場合、使用時の作業性や、使用後の缶の処理、缶自体の価格、充填の手間などの問題点が発生する。
【0007】
缶内の1成分型組成物の表面に防湿フィルムを被覆する方法、缶内空隙部に吸湿材を入れる方法、空隙部に不活性ガスを封入する方法等種々試みられているが、現時点で完全なものはない。
【0008】
特に、施工時の作業性を確保するため、缶蓋部の面積を大きくした場合、完全な密閉構造を確保するのは不可能であると考えられている。
防湿フィルムで1成分組成物の表面を被覆した場合、内部は問題なく使用できても、防湿フィルムと缶壁の間で硬化が進み、作業上の支障になる。
【0009】
缶内空隙部に吸湿材を入れる方法、空隙部に不活性ガスを封入する方法である程度硬化反応は防げるが、長期の温度差による缶内圧力の変動のため、外気中の僅かな水分が侵入するため、長期にわたって硬化を防ぐことはできない。
【0010】
特に、目地等に充填するために使用されるシーリング材として用いた場合、チキソトロピック性が高い設計になっているため、内部から材料を取り出すためにヘラ等で掻き取らねばならない。その場合、缶壁等に硬化物が発生した場合、著しく作業性が損なわれるという問題がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、鋭意検討の結果、金属缶の包装において、防湿フィルムで表面を被覆した後、空隙部に特定の硬化性組成物を封入することにより内部の硬化を抑えられることを見出し本発明に至った。
【0012】
つまり、表面に防湿フィルムで被覆した後、防湿フィルムと缶壁との空隙部に特定の材料を封入することで、その材料が硬化し内部の硬化を防止しかつ防湿フィルムを除去する際、缶壁からはく離し、防湿フィルムとともに取り出せ缶壁の硬化物が残らないことを見出したのである。
【0013】
すなわち、本発明は、缶内に1成分形湿気硬化性組成物を充填し、表面に防湿フィルムを被覆したのち、蓋をして密閉する包装において、防湿フィルムの端辺を立ち上げ、立ち上げた防湿フィルム面と缶壁との空隙部に反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分として含有する硬化性組成物を充填し硬化させ、防湿フィルムを除去する際、缶壁からはく離し、防湿フィルムとともに取り出せることを特徴とする1成分形湿気硬化性組成物の充填包装缶に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明における1成分形湿気硬化組成物はウレタン系、変成シリコーン系、変成シリコーン−エポキシ系等任意に選択できるが、湿気硬化性のほかに加熱による内部の粘度上昇があまり起らない変成シリコーン系の組成物においてはより顕著な効果が得られる。
【0015】
本発明における包装缶としては通常のブリキ缶のごとき透湿性のないものもしくは、非常に少ないものの中から任意に選択できる。缶は缶フタ等にパッキンを施す等でよい。
【0016】
防湿フィルムとしては、湿分の透過がない、もしくは、非常に少ないものであればよく、各種プラスチックフィルム、2種以上のフィルムをラミネートした複合フィルム、金属蒸着フィルム等の中から任意に選択できる。
透湿度の低さ、ハンドリングの容易さなどから考えると、熱可塑プラスチックフィルム/アルミニウムフィルムなどと2種以上のフィルムをラミネートしたアルミ複合フィルムが好ましい。
【0017】
本発明において、防湿フィルムと缶壁との空隙部に封入する反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分として含有する硬化性組成物とは、反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体と必要に応じて可塑剤、充填剤、溶剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止材、シラノール縮合触媒、硬化促進剤、硬化遅延剤、接着付与剤、脱水剤、その他添加剤等を使用できる
【0018】
反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体とは、芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体に反応性の珪素基を導入したもので、ここで芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体とは、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン等が挙げられる。具体的には、エピオン(鐘淵化学工業株式会社製)が使用できる。
【0019】
1成分形シーリング材組成物(1成分形湿気硬化性組成物)としては、空気中の水分と反応し、硬化するものであればよく、反応性珪素基を持った有機重合体を主成分とした変成シリコーン系組成物、ウレタンプレポリマーを主成分としたポリウレタン系組成物、主鎖にSS結合をもつポリサルファイド重合体を主成分とするポリサルファイド系組成物等が挙げられる。
【0020】
変成シリコーン系組成物は、反応性珪素基を持った有機重合体を主成分とし、必要に応じて可塑剤、充填剤、溶剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止材、シラノール縮合触媒、硬化促進剤、硬化遅延剤、接着付与剤、脱水剤、その他添加剤等を使用できる。
【0021】
主成分である反応性珪素基を持つ有機重合体とは、シラノール縮合反応により架橋しうる有機重合体で、縮合によりシロキサン結合を生成して、樹脂状、又はゴム状に変わる有機重合体を指す。
【0022】
有機重合体の例としては、反応性珪素基をもつポリアルキレンオキシドが挙げられる。反応性珪素基をもつポリアルキレンオキシドは、室温で空気中の湿度により硬化し、硬化物は優れた柔軟性、伸び特性、透明性、水密性を有するため、シーリング材、接着剤に最適であるが、これに限定されるものではない。反応性珪素基をもつポリアルキレンオキシドの具体例としては、MSポリマー(鐘淵化学工業株式会社製)、エクセスター(旭硝子製)等があげられる。
【0023】
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレートジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類、エポキシ化可塑剤、ポリエステル可塑剤、ポリエーテル類、ポリブテン、塩素化パラフィン類などが使用できる。
【0024】
充填剤としては、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、シリカ、ガラスバルーン等が使用できる。
【0025】
シラノール縮合触媒としては、チタン酸エステル類、錫カルボン酸塩、ジブチル錫とフタル酸エステルとの反応物、ジブチル錫ビスアセトアセトナート、アミン化合物、アミン系化合物とカルボン酸等との塩、アミノ基を有するシランカップリング剤などの公知の触媒等が挙げられる
【0026】
1成分形変成シリコーン系シーリング材は、反応性珪素基を持った有機重合体、可塑剤、充填剤、溶剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止材等を混合し、減圧下、80℃〜130℃で充分に脱水した後、シラノール縮合触媒、安定剤等を混合し製造する。
【0027】
ポリウレタン系シーリング材は、末端イソシアネート基をもつウレタンプレポリマーを主成分とし、可塑剤、充填剤、硬化触媒、揺変性付与剤等を使用できる。
【0028】
本発明の1成分系シーリング材組成物は、気密性の良い容器に充填される。その際、保存中の硬化を防止するために、シリカゲル等の乾燥剤を封入して密閉しても良い。
【0029】
【実施例】
次に、実施例に基づき、具体的に説明する。
(1成分系シーリング材の製造)
・製造例1
(1成分形変成シリコーン系シーリング材の作製)
プラネタリーミキサー(井上製作所(株)製)に変成シリコーン樹脂(MSポリマーS203;鐘淵化学工業(株)製)を100重量部、表面処理炭酸カルシウム(白艷華CCR;白石工業(株)製)120重量部、DINP50重量部、チキソ性付与剤(ディスパロン6500;楠本化成(株)製)3重量部を仕込み110℃、3時間、減圧下で混合し、脱水を行った。脱水処理後ビニルトリメトキシシラン(A−171;日本ユニカー(株)製)3重量部、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(A−1120;日本ユニカー(株)製)2重量部、錫触媒(ネオスタンU−220;日東化成(株)製)0.5重量部を窒素気流下混合し1成分形変成シリコーン系シーリング材を作製した。
【0030】
・製造例2
(反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分として含有する硬化性組成物の作製)
プラネタリーミキサー(井上製作所(株)製)に反応性珪素基含有ポリイソブチレン(エピオンEP505S;鐘淵化学工業(株)製)を100重量部、プロセスオイル(MCW32;出光興産)50部を仕込み110℃、1時間、減圧下で混合し、脱水を行った。脱水処理後ビニルトリメトキシシラン(A−171;日本ユニカー(株)製)3重量部、錫触媒(ネオスタンU−220;日東化成(株)製)0.5重量部を窒素気流下、混合し、硬化性組成物を作製した。
【0031】
・実施例1
図1に示すように、製造例1に従い作成した1成分形変成シリコーンを内容量7Lの金属缶に4L充缶し、厚み120μmのアルミ複合フィルム(構成;ポリエチレン/アルミフィルム/ポリエチレンテレフタレート)を表面に被覆し、空隙部に製造例2に従い作製した硬化性組成物を封入後、ゴムパッキンを有する缶蓋を施し密閉した。
【0032】
・比較例1
製造例2に従い作製した硬化性組成物を封入しない以外実施例と同様に充缶した。
【0033】
・比較例2
比較例1と同様に充填したものに、防湿フィルムと缶蓋の間にシリカゲル100gを入れ、缶蓋を施す前に乾燥窒素を流入し乾燥を行った。
【0034】
(保存安定性試験)
実施例、比較例に従い、作製したものを、23℃、50%(1日)→35℃、80%(1日)のサイクルで1週間後に開封し内容物の状態を観察した。結果を表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明のごとく、1成分形組成物の充缶において、表面に防湿フィルムを施し、缶壁との空隙部に反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分として含有する硬化性組成物を充填し硬化させることで、特別な密閉構造の缶を用いることなく簡便に内容物の皮張りを防止することができる。またこの際、缶壁との空隙部に反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分として含有する硬化性組成物は、硬化後缶壁等に残ることなく、防湿フィルムと伴に除去可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】充缶方法概略図
【符号の説明】
1…製造例1の1成分形組成物
2…製造例2の硬化性組成物
3…防湿フィルム
4…金属缶
5…蓋(ゴムパッキン付)
Claims (1)
- 缶内に1成分形湿気硬化性組成物を充填し、表面に防湿フィルムを被覆したのち、蓋をして密閉する包装において、防湿フィルムの端辺を立ち上げ、立ち上げた防湿フィルム面と缶壁との空隙部に反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分として含有する硬化性組成物を充填し硬化させ、防湿フィルムを除去する際、缶壁からはく離し、防湿フィルムとともに取り出せることを特徴とする1成分形湿気硬化性組成物の充填包装缶。
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