JP4268720B2 - 嫌気型界面バイオリアクター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、好気性微生物を用いた微生物変換反応に従来使用されていた板状担体充填型界面バイオリアクターにおいて、担体内部水相の脱気−不活性ガス置換、疎水性基質を含む有機溶媒層の脱気−不活性ガス置換及びバイオリアクター内部のデッドスペースの脱気−不活性ガス置換を行うことにより、該板状担体充填型界面バイオリアクター内部を完全嫌気状態として、嫌気性微生物による微生物変換反応を可能ならしめた嫌気型界面バイオリアクターに関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】
近年、地球環境問題、省資源・エネルギー問題、医薬品、農薬、電子材料分野などにおける光学活性体の需要拡大等を背景として、有機合成化学に生体触媒を利用するバイオコンバージョンの研究・開発が活発化してきている[太田博通、有機合成化学協会誌、41、1018(1983);清水昌・山田秀明、有機合成化学協会誌、41、1064(1983)]。該バイオコンバージョン法は、精製酵素を用いる酵素法と微生物菌体そのものを生体触媒として用いる微生物変換法とに大別されるが、後者は生体触媒として安価であること、補酵素要求性反応である酸化還元反応に低コストで活用可能であること等の長所があり、多くの適用例が報告されている [Ohta, H., et al., Agric. Biol. Chem., 46, 579 (1982); Oda, S., et al., Biosci. Biotech. Biochem., 56, 1216 (1992)]。
【0003】
これらバイオコンバージョン法を基質の溶解性の観点からみた場合、水溶性の基質と水不(難)溶性基質のバイオコンバージョンとに分類されるが、水不(難)溶性基質のバイオコンバージョンの場合、種々の問題点、例えば、基質の反応溶媒に対する溶解性、生体触媒の安定性、産物の分離・精製等の問題があり、これらの問題を克服する手法として、本発明者らは界面バイオリアクターを提案してきた[特許第2542766号公報;小田忍・太田博通、色材協会誌、70, 538 (1997); Oda, S. and Ohta, H., Recent Res. Devel. in Microbiol., 1, 85 (1997)]。該界面バイオリアクターは、エステルの加水分解[Oda, S., et al., J. Ferment. Bioeng., 86, 84 (1998); Katoh, O., et al., Tetrahedron: Asymmetry, 5, 1935 (1994)]、アルコールと有機酸とのエステル化[Oda, S. and Ohta, H., Biosci. Biotech. Biochem., 56, 2041 (1992)]、酸化[Oda, S. et al., J. Ferment. Bioeng., 78, 149 (1994); Oda, S., et al., J. Ferment. Bioeng., 80, 559 (1995): Oda, S., et al., Biosci. Biotech. Biochem., 60, 83 (1996)]、還元[Oda, S., et al., Biosci. Biotech. Biochem., 62, 1762 (1998); Sugai, T., et al., Tetrahedron, 51, 11987 (1995)]、特異な酢酸エステル合成法としての代謝−微生物変換融合システム[Oda, S., et al., Appl. Environ. Microbiol., 62, 2216 (1996); Oda, S. and Ohta, H., J. Ferment. Bioeng., 83, 423 (1997)]等の多くの微生物変換反応に適用され、高産物収量、高エナンチオ選択性もしくは不斉能、長期実働性等で非常に優れた成績を収めてきた。
【0004】
これら種々の微生物変換反応のうち、微生物的還元反応については、これまでは主に酵母を用いて検討してきたが、標的とする産物あるいは利用する酵素反応の種類によっては無酸素状態である嫌気性の要求が強い嫌気性微生物を使用しなければならない場合がある。しかるに、これまで提案されてきた界面バイオリアクターでは、使用する反応溶媒たる有機溶媒、具体的にはパラフィン類、中鎖エステル、エーテルあるいは長鎖のアルコール類は一般に水の10倍程度の酸素溶解性があり、該有機溶媒を嫌気性微生物膜に重層・接触させた場合、その溶存酸素によって嫌気性微生物は死滅してしまうという問題がある。
【0005】
さらにまた、界面バイオリアクターの親水性担体内部に包含される水相にも酸素が溶解しており、これが徐々に担体表面から気相に拡散していく際、担体表面に成長した微生物膜の中にも溶解し、結果として嫌気性微生物を死滅させてしまうことがある。このように、従来の界面バイオリアクターは好気性微生物およびそれを生体触媒として用いる好気性微生物変換反応には極めて有力な手法であったが、嫌気性微生物を用いた微生物変換反応、例えば微生物的還元反応には不適なシステムであった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者は、好気性微生物の微生物変換反応に威力を発揮する界面バイオリアクターを嫌気性微生物にも適用可能にするべく、鋭意検討を重ねた結果、今回、板状担体充填型界面バイオリアクターに縦方向に配列充填させた親水性板状担体の内部の水相中に溶解する酸素及び添加する基質含有有機溶媒層中に溶存する酸素の両者を脱気−不活性ガス置換し、かつ、リアクター内部のデッドスペースに存在する酸素をも併せて脱気−不活性ガス置換することにより、リアクター内部を完全に嫌気状態とすることにより、界面バイオリアクターを嫌気性微生物の微生物変換反応にも利用可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
かくして、本発明に従えば、栄養源および水を内部に包含し且つ表面に嫌気性微生物膜を有する親水性固定化板状担体を縦方向に配列し、該固定化板状担体表面に増殖する嫌気性微生物を疎水性基質を含む有機溶媒層と接触させて該疎水性基質を微生物変換反応させるようにした界面バイオリアクターであって、該固定化板状担体の水相中に溶存する酸素、疎水性基質が添加された有機溶媒層中に溶存する酸素および該界面バイオリアクター内部のデッドスペース中の酸素をそれぞれ除去し、不活性ガス置換して完全嫌気状態としたことを特徴とする嫌気型界面バイオリアクターが提供される。
【0008】
本発明の板状担体充填型嫌気型界面バイオリアクターによれば、界面リアクター内部の固相、液相及び気相の全てを完全に無酸素状態にされているので、嫌気性微生物を該担体表面において旺盛に増殖させ、嫌気性微生物変換反応に供することが可能である。なお、嫌気性を厳密に管理することを望む場合、特に、嫌気型界面バイオリアクターを組み立てた直後等には、嫌気型界面バイオリアクターの内部、具体的には、図1に示す箇所に市販の酸素消去触媒や酸素インジケーターを装着することが好ましく、それによりリアクター内の嫌気状態をより一層完全なものとすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図1を参照しつつ本発明の嫌気型界面バイオリアクターについてさらに具体的に説明する。
【0010】
本発明の嫌気型界面バイオリアクターは、従来の好気性微生物を用いた界面バイオリアクターと同様のリアクター本体(6)内に栄養源および水を含んだ複数の板状担体(8)を縦方向に配列した構造からなる。この担体内部の水相は、予め該担体を適当な容器、例えばリアクター本体(6)に入れて脱気−不活性ガス置換することにより、酸素が除去される。その後、該板状担体表面に嫌気性微生物を塗布、ディッピング、画線、懸濁液噴霧などによって植菌し、嫌気状態において所定の温度と時間で前培養し膜状に成長させる。このようにして得られる嫌気性微生物膜を表面に有する複数の板状担体を該リアクター本体(6)内に一定の間隔で縦方向に配列させ、基質を含む有機溶媒層(7)を注ぎ込む。次に、バイトンゴムパッキン(4)やパテのような隙間充填剤を用いて蓋(2)を装着し密封する。この蓋(2)には、使用する微生物の嫌気要求性の度合に応じて、場合により、酸素消去触媒(1)や酸素インジケーター(3)を装着することができる。また、この蓋(2)には、サンプリング口や場合によってはガス注入・排出口および安全弁を設けておくことが望ましく、これらについても、それらの口を通じて酸素がリアクター内に進入しないように工夫する必要がある。具体的には、これらの口に用いる栓はブチルゴム製のものを使い、シールおよび固定を堅固にする。その後、リアクター内部のデッドスペース(5)の酸素を脱気及び不活性ガス置換することによって、該リアクター内部を完全に無酸素状態とすることができる。
【0011】
本発明の嫌気型界面バイオリアクターは恒温漕又は恒温室内に設置するか、あるいはリアクター外部にジャケットを装着して恒温水を流すことにより、所定の温度で反応管理を行う。また、場合によっては、リアクター底部に設置した撹拌子(9)とスターラー(10)を用いて有機溶媒層(7)を所定の速度で撹拌・混合することができる。
【0012】
基質を溶解せしめた有機溶媒層は、例えば、これに極少量の沸石を添加して減圧し(これにより常温下でも容易に脱気することができる)、次いで不活性ガスを封入することにより容易に無酸素状態にすることができる。沸石を投入せずに、該有機溶媒層を加温下減圧することによって、あるいは直接窒素ガスを該有機溶媒層中に導入することによっても、該有機溶媒層の不活性ガス置換は可能であるが、操作の容易さや完全性等の観点より、沸石投入下での常温減圧脱気及び不活性ガス置換が好ましい。また、酸素を置換する不活性ガスは窒素ガスに限られるものではなく、水素や二酸化炭素、アルゴンなど、微生物変換反応種によって好ましいガス種を選択することができる。例えば、還元反応の場合には水素ガス、増殖に二酸化炭素が必要な場合には二酸化炭素ガスを選択することができる。
【0013】
本発明の嫌気型界面バイオリアクターに使用される板状担体充填型界面バイオリアクターは、これまで提案してきた通常のタイプのもの[例えば、特開平9−37766号公報;米国特許第5,707,825号;Oda, S., et al., Biosci. Biotech. Biochem., 62, 1762 (1998)等の文献に記載のもの]を基本とし、その密閉性を高めた上で市販の酸素除去触媒や酸素インジケーターを装着する箇所を設けることにより、本発明の嫌気型バイオリアクター本体として用いることができる。
【0014】
リアクター本体は耐有機溶媒性の素材を用いて作られていることが好ましく、具体的には、ステンレス鋼、ガラス、テフロン、テフロンコートされた合成樹脂製のものが好ましい。リアクター本体は、蓋との密閉性の観点から適当な幅のエッジ部を有することが好ましい。蓋もまた耐有機溶媒性の材質ものが好ましいが、リアクター本体ほど厳格ではなく、ステンレス鋼板、ガラス板の他、アクリル板等のプラスチック製でも十分に使用可能である。この蓋部には、酸素消去触媒ならびに酸素インジケーターを装着できる箇所を設けておくことが好ましい。さらにまた、バイオコンバージョンの過程で大量のガス、例えば水素ガス等が発生し、リアクター内部の圧力が増加する場合、安全性を考慮して安全弁を設置することができる。
【0015】
リアクター本体と蓋部との密閉には、バイトンゴムパッキンや耐有機溶媒性のパテ類を使用することができ、リアクター本体と蓋部とは、このパッキンやパテ類を介して、密着させ、気密性を保持する。
【0016】
本発明の嫌気型界面バイオリアクターに使用する板状担体としては、それ自体既知のもの、例えば、寒天被覆ろ過板[Oda, S., et al., Appl. Environ. Microbiol., 62, 2216 (1996)]、ステンレス鋼性フレームを骨格として有する寒天プレート[Oda, S., et al., Biosci. Biotechnol. Biochem., 62, 1762 (1998)]、ポリビニルアルコールを主要構成成分としたゲル板[Oda. S., et al., J. Ferment. Bioeng., 86, 84 (1998)]等を使用することができるが、これら担体内部の水相中に溶解している酸素の除去は、例えば、寒天をベースとする場合には、寒天凝固前の脱気及び不活性ガス置換、合成樹脂ゲル板の場合には、嫌気性微生物植菌前に密閉容器中で不活性ガス雰囲気下に酸素を不活性ガスで置換することにより行うことができる。
【0017】
かくして、構築された嫌気型界面バイオリアクターを用いた嫌気性微生物による微生物変換反応を実施するに際しては、その反応期間中リアクター蓋部に装着した酸素インジケーターを監視して、その内部の嫌気性が保持されていることを確認しながら実働させることが望ましい。もし該リアクター内部の気密性が保たれず、リアクター内部に酸素が混入したことが酸素インジケーターの変色によって確認された場合には、パテ類などを使用して気密破損箇所の修理を行うとともに、蓋部に設置したガス導入・放出口を通じて、例えば窒素ガスの封入等によって該リアクター内部の嫌気性を回復させることができる。
【0018】
該嫌気型界面バイオリアクターに使用可能な嫌気性微生物は、クロストリジウム(Clostridium)やユウバクテリウム(Eubacterium)属等の偏性もしくは絶対嫌気性微生物に限られるものではなく、多くの酵母や発酵能を有する通性嫌気性微生物も使用することができる。
【0019】
該嫌気型界面バイオリアクターを用いて行なう微生物変換反応に供しうる疎水性基質は、反応溶媒に対する溶解性や、目的とする生成物を利用する微生物変換反応との関連を踏まえて合成戦略的に選定することができる。
【0020】
例えば、脂肪族アルコール類を目的生成物とする場合には、対応するケトン類の微生物的還元反応を利用することができるが、その際の反応溶媒はデカン、ドデカン等のノルマルパラフィンで十分である。また、ステロイド類のようにパラフィン類に対する溶解性に難がある場合は、適当な低極性共溶媒、例えば酢酸ドデシル等の脂肪族エーテル類やジベンジルエーテル等の芳香族エーテル類を微生物に対する毒性が発現しない範囲で添加するが、あるいはジヘキシルエーテル等の低毒性、低極性溶媒を単独で用いることによって解決することができる。
【0021】
疎水性基質の添加量は、反応溶媒に対する溶解性と微生物に対する毒性発現濃度によって決定されるが、該嫌気型界面バイオリアクターにおいても、公知の好気型界面バイオリアクターと同様に、固/液界面における毒性緩和現象[Oda,S.and Ohta,H., Biosci. Biotech. Biochem., 56, 1515(1992)]が発現するため、その添加限界量は従来の水素反応法と比較して10倍〜1000倍と飛躍的に向上する。
【0022】
また、本発明の嫌気型界面バイオリアクターに適用可能な微生物変換反応としては、まず微生物還元反応が挙げられる。特に、クロストリジウムやユウバクテリウム属等の嫌気性の要求度が極めて高い腸内細菌を用いた水不溶性もしくは難溶性基質の微生物還元には、該リアクターは大きな威力を発揮する。酵母のような通性嫌気性微生物による還元反応においても、本発明の嫌気型バイオリアクターを用いることにより、好気条件に比べてより効率的に反応を進行させることがある。また、本発明の嫌気型界面バイオリアクターを用いることにより、エステル類の加水分解反応やエステル交換反応、アルコールと有機酸とのエステル合成反応やアミノ化反応等、酸化反応を除く多くの微生物変換反応を嫌気性微生物を用いて効率的に実施することができる。
【0023】
本発明の嫌気型界面バイオリアクターは、好気型界面バイオリアクターと同様に、基質および生成物の反応溶媒に対する溶解性、固/液界面における疎水性基質および生成物に対する毒性緩和現象[Oda, S. and Ohta, H., Biosci. Biotech. Biochem., 56, 1515 (1992)]に基づく高基質添加量ならびに高生成物蓄積量、有機溶媒中での増殖微生物による補酵素再生系の作動、反応後の生成物回収の容易さ、極めて広い汎用性等、従来法に比較して多くの長所を有している。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0025】
実施例1
リアクター本体として、幅160mm、奥行き160mm及び高さ120mmのステンレス鋼製タンク(幅20mmのエッジ付き)を、そして蓋として、酸素消去触媒2個と酸素インジケーター1枚を装着可能なアクリル板(180mm×180mm)を用いた。また、親水性板状担体としては、ステンレス鋼フレームを骨格として有する157×80×20mmの寒天プレートを用いた。該寒天プレートの組成は、ABCM培地をベースとし、寒天を20g/l及びゲル強化剤であるアガーメイト(タイホー(株)製)を2g/l添加したものとし、ゲル凝固前に脱気−窒素置換した後、該ステンレス鋼フレームを並べたキャスト中に分注し、凝固させた。上記の寸法でステンレス鋼フレームを包含した形で寒天プレートを6枚切り出し、その表面にエウバクテリウム・アエロファシエンス(Eubacterium aerofaciens)JCM 7790の1日嫌気培養液をディッピングにより植菌し、ステンレス鋼製密閉タンクの中で嫌気条件下、37℃で1日間前培養した。その後、これら表面に微生物膜が成長した板状担体6枚を厚さ5mmのテフロン製スペンサーを介して、縦方向にリアクター本体内に配列させ、予め脱気−窒素置換した2%メチル7−ケトリトコレート/ジヘキシルエーテル−酢酸2−エチルヘキシル溶液600mlを分注した。
【0026】
リアクター本体にバイトンゴムパッキンを介して蓋(酸素消去触媒2個、酸素インジケーター1枚を装着)を設置し、クランプを用いて両者を密着させた。その後、リアクター内部の気相を脱気−窒素置換してリアクター内部を完全嫌気状態とし、37℃で10日間変換反応を実施した。サンプリングは蓋上部に設置した小口径サンプリング口より毎日行い、生成物をガスクロマトグラフィー(カラム充填剤は silicon OV-210)を用いて定量した。その結果、還元生成物であるメチルウルソデオキシコレートの蓄積が反応開始1日目より認められ、反応開始10日目には、19.4g/lのメチル7−ケトリトコレートと0.3g/lのメチル7−ケトリトコレートの蓄積が認められた。反応終了後、有機溶媒層を全量回収し、極少量のメチルウルソデオキシコレートの結晶を添加した後、冷蔵庫内(4℃)に3日間放置して生成物の結晶化を行った。得られた結晶を冷ヘキサンで洗浄した後乾燥し、10.7gの白色針状晶を得た。この結晶はガスクロマトグラフィー、逆相液クロマトグラフィー、NMRおよびMS分析の結果、メチルウルソデオキシコレートであり、純度は99.8%以上であった。
【0027】
実施例2
リアクター本体として実施例1と同じのものを用い、板状担体として、実施例1と同寸法のポリビニルアルコールベースのゲル板を使用した。なお、該担体の調製法は公知の手法[Oda, S., et al., J. Ferment. Bioeng., 86, 84 (1998)]に準じ、その内部の酸素を、該担体を窒素を流入させた密閉ステンレス鋼タンク中で2日間保存することにより、窒素に置換した。該担体表面にピキア・パストリス(Pichia pastoris)IFO 0948の1日間好気培養液をディッピングによって植菌し、好気条件下、37℃で1日間前培養した。その後、これら表面に微生物膜が発達した板状担体6枚を該リアクター本体内に実施例1と同様にして設置し、予め沸石を用いて脱気−窒素置換した2%シトロネラール/ドデカン溶液600mlを分注し、実施例1と同様にして蓋を設置・密着後、リアクター内部のデッドスペースを脱気−窒素置換した。反応は30℃、500rpmの撹拌下で行い、毎日サンプリングしてシトロネロールへの還元挙動をガスクロを用いて追跡した。その結果、還元反応によるシトロネロールの蓄積は反応開始1日目より認められ、反応開始6日目には、基質であるシトロネラールは完全に消費され、20.1g/lのシトロネロールが蓄積された。なお、酸化生成物であるシロトネル酸はほとんど認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の嫌気性界面バイオリアクターの1例を示す概略図である。
【符号の説明】
(1) 酸素消去触媒
(2) リアクター蓋
(3) 酸素インジケーター
(4) バイトンゴムパッキン
(5) デッドスペース
(6) リアクター本体
(7) 有機溶媒層
(8) 板状担体
(9) 撹拌子
(10) スターラー

Claims (3)

  1. 栄養源および水を内部に包含し且つ表面に嫌気性微生物膜を有する親水性固定化板状担体を縦方向に配列し、該固定化板状担体表面に増殖する嫌気性微生物を疎水性基質を含む有機溶媒層と接触させて該疎水性基質を微生物変換反応させるようにした界面バイオリアクターであって、該固定化板状担体の水相中に溶存する酸素、疎水性基質を含有する有機溶媒層中に溶存する酸素及び該界面バイオリアクター内部のデッドスペースの酸素をそれぞれ除去し、不活性ガス置換して完全嫌気状態としたことを特徴とする嫌気型界面バイオリアクター。
  2. 固定化板状担体が天然高分子ゲル、合成高分子又は多孔性板よりなる請求項1の嫌気型界面バイオリアクター。
  3. 還元剤として水素ガスが有機溶媒層及び/又はデッドスペース内に供給される請求項1の嫌気型界面バイオリアクター。
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