JP4268425B2 - 釣竿 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣竿に関し、詳しくは釣竿のグリップ部に対するエクステンションバットの位置決め機構を備えた釣竿に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来のトラウトロッド101の概略構成図である。該ロッド101は、ロッド本体103と、ロッド本体103に外嵌装着されたグリップ102と、該グリップ102の竿元側端部に装着されたエクステンションバット104とを備えている。エクステンションバット104は、ロッド101を操作する際の安定性を高める部品であって、いわばロッド101のチューニング部品といえるものである。例えば、高いプレッシャーが要求される管理釣り場でマスの微妙なアタリをとるためには、非常に繊細なアプローチが求められ、ロッド101のティップ(穂先)を安定させることが重要となる。このような場合、エクステンションバット104を装着して釣人の肩に当ててロッド101を操作すると、リトリーブ時のティップのブレが効果的に抑えられるようになる。また、魚を掛けた後は、エクステンションバット104を肘に沿わせることで、ロッド101の操作がさらに容易となる。
【0003】
ところで、エクステンションバット104を装着し、ロッド101の操作性の向上を図る場合には、エクステンションバット104の長さLを、釣人の要望に合わせて調節することが必要となる。また、魚を掛けた後は、エクステンションバット104を肘に沿わせると、ロッド101の操作がさらに容易となる。
【0004】
このため、従来のロッド101では、エクステンションバット104を着脱自在の構造としたり、ロッド101に対してエクステンションバット104を回転させることにより、エクステンションバット104の長さLを調節する機構が設けられたりしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エクステンションバットを単に着脱自在の構造とすることのみでは、エクステンションバットの長さLを調節し、グリップに対するエクステンションバットの相対位置を所望の位置に位置決めすることができず、また、エクステンションバットを回転させて長さLを調節する機構では、該エクステンションバットを回転させる操作が煩わしい上、前記長さLを狙ったとおりの長さとするために時間を要していた。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされ、簡単な操作によって、速やかにグリップ部に対するエクステンションバットの相対位置を所望の位置に位置決めすることができる釣竿を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の釣竿は、上記課題を解決すべくなされたものであり、竿本体3と、該竿本体に装着されたグリップ部と、該グリップ部の竿元側に竿軸方向に沿って進退可能に装着されたエクステンションバットと、前記グリップ部に対する前記エクステンションバットの相対位置を所望の位置に位置決めする位置決め機構とを備えた釣竿であって、前記位置決め機構は、前記グリップ部または前記エクステンションバットの一方に竿軸方向に沿って設けられたガイド部と、他方に前記ガイド部に沿ってスライド移動するように保持されたスライダーとを備え、前記ガイド部は、竿軸方向に所定間隔を置いて設けられた複数の係合部を備え、前記スライダーは、いずれかの前記係合部と係合した係合状態と全ての前記係合部との係合が解かれた非係合状態とを取りうる被係合部を備え、前記グリップ部には、前記エクステンションバットの軸部が挿通され、複数の各管状体が同心状でかつ互いに離間した略入れ子構造の筒状部材が設けられ、該筒状部材には、前記スライダーを竿軸方向に移動可能にするためのスライド溝が設けられていることを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、スライダーの被係合部を非係合状態としながら、竿本体の竿軸方向にエクステンションバットを進退させることで、速やかにグリップ部に対するエクステンションバットの相対位置を所望の位置に設定することができる。さらに、ガイド部に設けられたいずれかの係合部とスライダーに保持された被係合部が係合することにより、設定された位置でエクステンションバットを固定することができる。
【0009】
前記筒状部材は、前記エクステンションバットの軸部が内部に挿通される第1管状体と、該第1管状体の外周を囲んで配設される第2管状体と、該第2管状体の外周を囲んで配設される第3管状体とを備えるとともに各管状体が同心状でかつ互いに離間した略入れ子構造とされ、前記第1管状体および第2管状体には、前記スライダーを竿軸方向に移動可能にするためのスライド溝が設けられ、前記複数の係合部は、前記第2管状体に形成されるスライド溝に形成され、前記スライダーは、前記エクステンションバットの軸部に保持されるとともに、第1管状体のスライド溝および第2管状体のスライド溝を介して竿軸方向にスライド移動自在に構成されていることが好ましい。
【0010】
かかる好ましい構成によれば、スライダーがエクステンションバットに保持されているため、エクステンションバットの竿軸方向におけるスライド動作が円滑となり、グリップ部に対するエクステンションバットの相対位置を位置決めする操作が、さらに容易かつ確実に行える。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る釣竿の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の釣竿1を示す一部省略側面図である。図1に示すように、この釣竿1は、竿本体3と、該竿本体3に装着されたグリップ2と、該グリップ2の竿元側に前記竿本体3の竿軸方向に沿って進退可能に装着されたエクステンションバット4とを備えている。
【0013】
前記竿本体3は、細長棒状に形成され、例えば、カーボン繊維に合成樹脂が含浸されてなるカーボンプリプレグを管状に成形する等の従来公知の方法により製造することができる。図示を省略したが、竿本体3には、釣糸を案内するガイド部材が所要の間隔を置いて配置されている。
【0014】
前記グリップ2は、それぞれ管状に形成されたフロントグリップ2aと、リアグリップ2cと、フロントグリップ2aとリアグリップ2cとの間に介在したリールシート2bとを備えている。竿本体3は、フロントグリップ2aを貫通している。フロントグリップ2aは、フロントグリップ本体5とフロントフード6とからなり、リールシート2bは、フロントフード6に螺着され、該フロントフード6は、フロントグリップ本体5に回転可能に保持されている。リアグリップ2cは、リアグリップ本体7とリアフード8とからなり、該リアフード8は、リアグリップ本体7に固定されている。リールシート2bは、リアフード8に嵌入されて固定されている。リールシート2bには、平坦なリール載置面9が設けられている。この状態で、フロントグリップ本体5を回転させると、フロントグリップ2aがリールシート2bに対して竿軸方向に移動する。リールをグリップ2に装着する際、該リールのフットをリール載置面9に当接させた状態で、フロントグリップ2aとリアグリップ2cとの離間距離を縮めるべく、フロントグリップ本体5を回転させると、フロントフード6とリアフード8との間でリールのフットが挟持されてリールがグリップ2に固定される。尚、これらグリップ2の各構成部材は、従来公知の方法により製造することができる。
【0015】
図2(イ)は、エクステンションバット4およびリアグリップ本体7の要部を示す断面図であり、図2(ロ)は、図2(イ)のA−A‘における断面図である。以下、図2を参照しながら本実施形態の釣竿1についてさらに詳細に説明する。
【0016】
エクステンションバット4は、釣竿1を操作する際の安定性を高めるチューニング部品であり、図2(イ)に示すように、リアグリップ本体7の竿元側端部に装着されている。エクステンションバット4は、竿元側からリアグリップ本体7の内部に挿入された軸部10と、該軸部10の竿元側端部に装着されたパッド部4aとを備えている。
【0017】
該軸部10は、例えば、チタン合金等の金属により構成することができるが、十分な剛性を有する樹脂等により構成することもできる。この軸部10は、中空パイプ状に形成されており、軸部10の竿先側には、該竿先側の軸部10の剛性を向上させるべく、口ゴム11が嵌入されて固定されている。
【0018】
前記パッド部4aは、釣竿1を操作する際に、釣人の肩等、身体の一部に当接させて用いるものである。パッド部4aは、軸部10の竿元側に装着されている。パッド部4aは、略円柱状に形成されており、ウレタン樹脂等によって構成することができる。また、パッド部4aの端面12は、凸曲面に形成されているため、パッド部4aを釣人の肩等に良好に当接させることができる。
【0019】
前記リアグリップ本体7は、エクステンションバット4の軸部10が挿通される挿通孔14が内部に形成された第1管状体15と、該第1管状体15の外周を囲んで配設された第2管状体16と、該第2管状体16の外周を囲んで配設された第3管状体17とを備えており、各管状体が同心状でかつ互いに離間した略入れ子構造の筒状の部材である。前記第3管状体17は、第3管状体本体17aと、該第3管状体本体17aの外周面に装着されたスリーブ17bとからなる。各管状体は、例えば、カーボン繊維に合成樹脂が含浸されてなるカーボンプリプレグを管状に成形する等の従来公知の方法により製造することができる。また、スリーブ17bは、コルク等を用いて製造することができる。
【0020】
前記リアグリップ本体7の竿先側には、リアフード8が装着され、リアグリップ2cの竿元側端部には、ゴム等からなる尻栓13が装着されている。リアフード8は、リールシート2bの竿元側端面にその内面が当接した大径部8aと、該大径部8aに連続して縮径された小径部8bとを備えている。尻栓13は、中央孔13eを有する環状の部材であり、リアグリップ本体7に嵌入される嵌入部13aと、該嵌入部13aの竿元側に配されてリアグリップ本体7の竿元側端部開口を閉塞する尻栓本体部13bとを備えている。前記嵌入部13aは、内径が各々異なり、所定厚みを有する2つの環状部13c、13dを備え、各環状部が軸中心からこの順で同軸状に配置されて構成されている。
【0021】
前記リールシート2bの竿元側は、リアフード8の大径部8aの内面と当接しており、また、竿本体3の外周に配された管状体22がリールシート2bとリアフード8との内部を貫通している。該管状体22の竿元側端面は、リアフード8の小径部8bの端面と略面一となっている。更に前記管状体22の竿元側端面は、第1管状体15の竿先側端面と当接しており、竿本体3は、第1管状体15の竿先側端部に嵌入されて固定されている。
【0022】
前記第1管状体15の竿先側端部には、所定厚みを有する環状スペーサー19が外装着され、第1管状体15の竿元側端部には、尻栓13の環状部13cが外装着されている。また、環状スペーサー19の外周面は第2管状体16の竿先側端部内周面と圧接し、環状部13cの外周面は第2管状体16の竿元側端部内周面と圧接している。これにより、第1管状体15が第2管状体16に固定されると共に、第1管状体15と第2管状体16との間に円筒状の空間21が形成されている。該第1管状体15の上部には、竿軸方向に延びるスライド溝18が、環状スペーサー19の竿元側端部の位置から第1管状体15の竿元側端縁まで形成され、該端縁から第1管状体15の竿元側外方に開放された状態となっている。
【0023】
前記第2管状体16および前記環状スペーサー19の竿先側端面は、リアフード8の小径部8bの竿元側端面と当接しており、該小径部8bの外周面と第2管状体16の外周面とは略面一となっている。リアフード8の小径部8bおよび第2管状体16の竿先側に所定厚みを有する環状スペーサー20が外装着され、該環状スペーサー20の外周面は、第3管状体本体17aの竿先側端部内周面と圧接している。また、第2管状体16の竿元側には、尻栓13の環状部13cが嵌入され、該尻栓13の環状部13dが外嵌されている。これにより、第2管状体16が第3管状体17に固定されると共に、第2管状体16と第3管状体17との間に円筒状の空間23が形成されている。該第2管状体16の上部には、竿軸方向に延びるスライド溝28が、環状スペーサー20の竿元側端部の位置から第2管状体16の竿元側端縁まで形成され、該端縁から第2管状体16の竿元側外方に開放された状態となっている。
【0024】
図2(イ)および図2(ロ)に示すように、雄ネジ部26を有するスライダー24が、エクステンションバット4に保持されている。スライダー24は、エクステンションバット4の軸部10に保持されるべく、前記雄ネジ部26がエクステンションバット4の軸部10の所定位置に設けられた雌ネジ部27に螺合されている。更にスライダー24の雄ネジ部26は、スライド溝18に竿軸方向に移動可能に遊挿され、スライダー24の本体は、スライド溝28に竿軸方向に移動可能に遊挿されている。かかる構成により、エクステンションバット4の軸部10が、第1管状体15の挿通孔14と尻栓13の中央孔13eとに挿通された状態で、エクステンションバット4をリアグリップ本体7に対して竿軸方向に進退させると、スライダー24は、前記エクステンションバット4の進退に伴って、リアグリップ本体7の挿通孔14と、該挿通孔14が内部に形成された第1管状体15と、第1管状体15に形成されたスライド溝18と、第1管状体15と第2管状体16との間に形成された円筒状の空間21と、第2管状体16に形成されたスライド溝28と、第2管状体16と第3管状体17との間に形成された円筒状の空間23とを備えてなるガイド部に沿って、竿軸方向にスライド移動するようになっている。図2(イ)に示すように、リアグリップ本体7において、スライダー24の移動可能範囲は、口ゴム11が嵌入された軸部10の竿先側が竿本体3の竿元側端面に当接する位置から、スライダー24の竿元側端面が尻栓13の嵌入部13aの竿先側端面に当接する位置までの範囲に規制されている。また、このようにスライダー24の移動が規制されているため、エクステンションバット4の進退量も規制されている。
【0025】
本実施形態では、リアグリップ本体7に竿軸方向に沿って設けられたガイド部と、該ガイド部に沿ってスライド移動するようにエクステンションバット4に保持されたスライダー24とを備えた位置決め機構によって、エクステンションバット4がリアグリップ2cに対して竿軸方向に進退可能となっており、かつ、図1および図2(イ)に示すように、エクステンションバット4の長さLを調節することで、リアグリップ2cに対するエクステンションバット4の相対位置を所望の位置に位置決めすることができる。以下、位置決め機構について詳細に説明する。
【0026】
図3は、第2管状体16の一部省略上面図(図2(ロ)の上部から見た図)である。図3に示すように、第2管状体16のスライド溝28には、竿軸方向に所定間隔を置いて複数の係合凹部25、…が設けられている。
【0027】
図4は、スライダー24の外観図である。図4に示すように、スライダー24は、スライダー本体30と、該スライダー本体30に固定された雄ネジ部26(図示せず)と、該スライダー本体30に収納された板ばね部材31と、該スライダー本体30を覆うための蓋部材33とを備えている。スライダー本体30は、第2管状体17のスライド溝28に竿軸方向に移動可能に遊挿されて、第1管状体15の外周面と第2管状体16の内周面との間に挟まれる基部30aと、該基部30aから突出し、板ばね部材31を保持する保持部30bとから構成されている。保持部30bには、溝32が形成され、該溝32に板ばね部材31が収納されている。
【0028】
図5(イ)は、スライダー24のスライド溝28へのロック状態を示す図であり、図5(ロ)は、スライダー24のスライド溝28へのロック解除状態を示す図である。
【0029】
図5(イ)に示すように、板ばね部材31は、1枚の金属の板ばね材を折り曲げることにより形成されており、ほぼ半円状に湾曲した係合凸部31aと、該係合凸部31aの両端から外側へ張り出す肩部31b、31bと、該肩部31b、31bの両端から係合凸部31aと逆の方向へ向かって略ハの字状に広がる脚部31c、31cとを一体的に有している。前記係合凸部31aは、スライド溝28の係合凹部25(図3)に弾力的に係脱するようになっている。
【0030】
また、スライダー本体30の保持部30bの溝32を区画する側壁の1つ32aには孔32bが形成され、該孔32bの中に板ばね部材31の係合凸部31aが嵌め込まれている。板ばね部材31は、係合凸部31aが孔32bの中に嵌め込まれたときに係合凸部31aの肩部31b寄りの部分が孔32bのエッジと接触し、かつ脚部31cの端部が反対側の側壁32cの内面に圧接して、脚部31cに生じるバネ力により溝32の中に留まるようになっている(この状態を板ばね部材31の「初期状態」という)。また、スライダー本体30の保持部30bの上端には一対のフランジ部30c、30cが形成されている。
【0031】
前記蓋部材33の下面両縁部には一対の爪部33a、33aが形成されており、該蓋部材33は、各爪部33aによりスライダー本体30の各フランジ部30cを挟んだ状態で、スライダー24の移動方向へ挿入することで該スライダー本体30に装着可能となっている。
【0032】
本実施形態の釣竿1の位置決め機構においては、図5(イ)に示すように、スライド溝28の係合凹部25に板ばね部材31の係合凸部31aが係合しているときは、板ばね部材31は、前述した初期状態をとり、脚部31cに生じたバネ力により、係合凸部31aがスライド溝28の係合凹部25に圧接された係合状態となる。したがって、エクステンションバット4のパッド部4aを釣人の肩等、身体の一部に当接させて釣竿1を操作する際に、エクステンションバット4をリアグリップ本体7の中へ押し込もうとする力やリアグリップ本体7から引き出そうとする力が作用しても、前記係合凸部31aと前記係合凹部25との係合状態がそのまま維持され、スライダー24の動きが阻止され、該係合凹部25の位置でエクステンションバット4が固定される。
【0033】
一方、グリップ2に対してエクステンションバット4を進退させるときは、エクステンションバット4を動かす方向へパッド部4aを押すだけで簡単に操作できる。例えば、エクステンションバット4を引き出す場合、図5(イ)の状態から前記パッド部4aを図5の右側へ向かって押せば、板ばね部材31の係合凸部31aの肩部31b寄りの部分が孔32bのエッジから離反すると共に係合凸部31aと係合凹部25との係合が解かれ、係合凹部25に対する係合凸部31aの位置規制が解除される。そして、パッド部4aを図5の右側へ押して行くと、図5(ロ)に示すように、板ばね部材31の係合凸部31aが係合凹部25から完全に外れ、隣接する係合凹部25、25の間の山の部分に接触する。そして、更にパッド部4aを図5の右側へ押して行くと、係合凸部31aが前記山の部分を越え、係合凸部31aが脚部31cに生じたバネ力により隣の係合凹部25に収まると共に、手を離せばスライダー24が該隣の係合凹部25の位置で確実にロックされる。
【0034】
本実施形態の釣竿1によれば、エクステンションバット4を所望の位置で固定できると共に、パッド部4aをエクステンションバット4の進退方向の前後いずれかに押すだけで、エクステンションバット4の長さLをエクステンションバット4の移動可能範囲で任意の長さとすることができる。さらに、釣竿1の操作時には係合凸部31aがスライド溝28の係合凹部25から外れないように係合凸部31aを板ばね部材31のバネ力で押圧する構成となっているので、スライダー24のロック状態を維持できる。これにより、簡単な操作によって、速やかにエクステンションバット4の位置を設定することができ、かつ、設定された位置でエクステンションバット4を固定することができる。
【0035】
また、本実施形態では、尻栓13を取り外すことで、エクステンションバット4を該尻栓13と共にリアグリップ本体7から抜き取ることが可能であり、その抜き取りの後、リアグリップ本体7の竿元側端部に別の尻栓(尻栓13と同様に嵌入部と本体部とを備えるが、該本体部に中央孔を有さないもの)を装着することができる。
【0036】
尚、本実施形態においては、エクステンションバット4の竿軸方向におけるスライド動作を円滑にし、グリップ部に対するエクステンションバットの相対位置を設定する操作を、さらに容易かつ確実なものとするため、リアグリップ本体7にガイド部を設け、該ガイド部に沿ってスライド移動するスライダー24がエクステンションバット4に保持される構成を採用したが、エクステンションバット4にガイド部を設け、該ガイド部に沿ってスライド移動するスライダー24がリアグリップ本体7に保持される構成であっても本発明の意図する範囲内である。
【0037】
また、本実施形態においては、スライダー24に板ばね部材31を設け、該板ばね部材31の係合凸部31aが、第2管状体16のスライド溝28に所定間隔を置いて形成した係合凹部25と係合した係合状態と、該係合凹部25との係合が解かれた非係合状態とを取りうる構成とすることで、グリップ2に対するエクステンションバット4の相対位置を所望の位置に位置決めできるようにしたが、本発明においては、スライダーに、例えば、バネやゴムにより出没する樹脂または金属製の係合凸部を設け、該係合凸部がグリップに設けた係合凹部と係合した係合状態と、該係合凹部との係合が解かれた非係合状態とを取りうる構成としてもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明の釣竿によれば、簡単な操作によって、速やかにグリップ部に対するエクステンションバットの相対位置を所望の位置に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の釣竿を示す一部省略側面図である。
【図2】(イ)は、本実施形態のエクステンションバットおよびリアグリップ本体の要部を示す断面図であり、(ロ)は、(イ)のA−A‘における断面図である。
【図3】本実施形態の第2管状体の一部省略上面図(図2(ロ)の上部から見た図)である。
【図4】本実施形態のスライダーの外観図である。
【図5】(イ)は、本実施形態のスライダーのスライド溝へのロック状態を示す図であり、(ロ)は、本実施形態のスライダーのスライド溝へのロック解除状態を示す図である。
【図6】従来のトラウトロッドの構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1…釣竿、2…グリップ(グリップ部)、2a…フロントグリップ、2b…リールシート、2c…リアグリップ、3…竿本体、4…エクステンションバット、4a…パッド部、5…フロントグリップ本体、6…フロントフード、7…リアグリップ本体、8…リアフード、8a…大径部、8b…小径部、9…リール載置面、10…軸部、11…口ゴム、12…端面、13…尻栓、13a…嵌入部、13b…尻栓本体部、13c…環状部、13d…環状部、13e…中央孔、14…挿通孔、15…第1管状体、16…第2管状体、17…第3管状体、17a…第3管状体本体、17b…スリーブ、18…スライド溝、19…環状体、20…環状体、21…空間、22…管状体、23…空間、24…スライダー、25…係合凹部、26…雄ネジ部、27…雌ネジ部、28…スライド溝、30…スライダー本体、30a…基部、30b…保持部、30c…フランジ部、31a…係合凸部、31b…肩部、31c…脚部、31…板ばね部材、32…溝、32a…側壁、32b…孔、32c…側壁、33…蓋部材、33a…爪部、101…ロッド、102…グリップ、103…ロッド本体、104…エクステンションバット
Claims (2)
- 竿本体(3)と、該竿本体(3)に装着されたグリップ部(2)と、該グリップ部(2)の竿元側に竿軸方向に沿って進退可能に装着されたエクステンションバット(4)と、前記グリップ部(2)に対する前記エクステンションバット(4)の相対位置を所望の位置に位置決めする位置決め機構とを備えた釣竿であって、
前記位置決め機構は、前記グリップ部(2)または前記エクステンションバット(4)の一方に竿軸方向に沿って設けられたガイド部と、他方に前記ガイド部に沿ってスライド移動するように保持されたスライダー(24)とを備え、
前記ガイド部は、竿軸方向に所定間隔を置いて設けられた複数の係合部(25、…)を備え、前記スライダー(24)は、いずれかの前記係合部(25)と係合した係合状態と全ての前記係合部(25)との係合が解かれた非係合状態とを取りうる被係合部(31a)を備え、前記グリップ部(2)には、前記エクステンションバット(4)の軸部(10)が挿通され、複数の各管状体が同心状でかつ互いに離間した略入れ子構造の筒状部材が設けられ、該筒状部材には、前記スライダー(24)を竿軸方向に移動可能にするためのスライド溝が設けられていることを特徴とする釣竿。 - 前記筒状部材は、前記エクステンションバット(4)の軸部(10)が内部に挿通される第1管状体(15)と、該第1管状体(15)の外周を囲んで配設される第2管状体(16)と、該第2管状体(16)の外周を囲んで配設される第3管状体(17)とを備えるとともに各管状体が同心状でかつ互いに離間した略入れ子構造とされ、
前記第1管状体(15)および第2管状体(16)には、前記スライダー(24)を竿軸方向に移動可能にするためのスライド溝(18,28)が設けられ、
前記複数の係合部(25、…)は、前記第2管状体(16)に形成されるスライド溝(28)に形成され、前記スライダー(24)は、前記エクステンションバット(4)の軸部(10)に保持されるとともに、第1管状体(15)のスライド溝(18)および第2管状体(16)のスライド溝(28)を介して竿軸方向にスライド移動自在に構成されている請求項1に記載の釣竿。
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