JP4268292B2 - 車両用熱交換器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、左右のヘッダパイプ間で熱交換媒体を流通させて空気との熱交換を行う車両用熱交換器、特に一方のヘッダパイプに熱交換冷媒の流入口および流出口の双方を設けたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の車両用熱交換器として、例えば特開平6−281387号公報に開示されたものが知られている。この熱交換器は、左右のヘッダパイプ間に複数のチューブおよびフィンを交互に設け、チューブを流通する熱交換媒体と外部空気との熱交換を行うものである。一方のヘッダパイプには、その上部に熱交換媒体の流入口が、下部に流出口がそれぞれ形成され、これらの流入口および流出口に継手を介して流入用配管および流出用配管がそれぞれ接続される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような熱交換器は、一般に車両のエンジンルームに配置され、熱交換器本体の配置後にヘッダパイプへの流入/流出用配管の接続作業が行われる。このとき、上述のように流出口がヘッダパイプの下部に設けられたものでは、流出口への配管接続に作業者が不自然な作業姿勢を強いられ、作業効率が悪いという問題がある。
【0004】
そこで、例えば特開平10−141887号公報に開示されているように、ヘッダパイプの下部に設けられた流出口に予め上方に延在する補助パイプを接続し、その補助パイプの上端部に流出用配管の接続部を設けることが考えられる。これによれば、流出用配管の接続作業が上述のものと比べて上側の位置で行えるので、作業者がさほど不自然な姿勢を強いられずに済む。
【0005】
しかしながら、この特開平10−141887号公報の方法では、別体の補助パイプをヘッダパイプの流出口に接続し、なおかつ支持手段を用いて補助パイプをヘッダパイプに支持させなければならない。そのため、補助パイプおよび支持手段が別に必要となり、またその接続作業および支持作業が加わり、部品点数および製造工数がともに増加してコストアップを招来する。
【0006】
本発明の目的は、部品点数や製造工数を増大させることなく、しかも車両搭載後の配管接続作業等が容易に行える車両用熱交換器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
一実施の形態を示す図1〜図6に対応づけて説明すると、本発明は、左右のヘッダパイプ10,20のうちいずれか一方に熱交換媒体の流入口21bおよび流出口22bを設け、両ヘッダパイプ間で熱交換媒体を流通させて空気との熱交換を行う車両用熱交換器に適用され、以下の構成により上記問題点を解決する。
一方のヘッダパイプ20は、板部材PLを筒状に加工して接合するとともにその上下端の開口を封止して成るメインパイプ部21と、板部材PLのうちメインパイプ部21の接合部と連続する部分を更に筒状に加工し接合して成る排出パイプ部22とを有し、メインパイプ部21と排出パイプ部22とはその下部において互いに連通され、メインパイプ部21の上部には流入口21bが設けられるとともに、排出パイプ部22の上部には流出口22bが設けられ、流入口21bには熱交換媒体の流入用配管を接続するための接続部40が設けられ、流出口22bには熱交換媒体の流出用配管を接続するための接続部40が設けられる。
この構成によれば、ヘッダパイプのメインパイプ部と排出パイプ部とを一枚の板部材で構成したので、これらを別々に作成して連結/支持する構成と比べて部品点数および製造工数の低減が図れ、配管接続作業の効率向上を図った車両用熱交換器を従来よりも廉価に提供できる。
請求項2の発明は、流出口22bが流入口21bと近接する位置となるよう排出パイプ部22の長さを定めたものである。このように構成すれば、流出用配管接続作業がより効率よく行える。
請求項3の発明は、例えば図8に示すように流入口221bと流出口222bとを略同一の高さ位置に設けたものである。このように構成すれば、作業効率の点でより有利である。
請求項4の発明は、流入用配管および流出用配管の各接続部を単一の部材40で構成したものである。このように構成すれば、更なる部品点数の低減が図れる。
【0008】
なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段の項では、本発明を分かり易くするために実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1〜図6により本発明を車両空調用のコンデンサに適用した場合の一実施形態を説明する。
図1は本実施の形態におけるコンデンサ(熱交換器)の正面図である。コンデンサは、左右のヘッダパイプ10,20間に複数の冷媒チューブ31およびフィン32を交互に配置して成り、車両のエンジンルーム前部に横置きに配置される。図2〜図6は右側のヘッダパイプ20の詳細構造を示している。このヘッダパイプ20の本体は、一枚のアルミ製板部材PLから構成されるもので、板部材PLを円筒状に加工し接合して成るメインパイプ部21と、板部材PLのうちメインパイプ部21の接合部と連続する部分を更に円筒状に加工し接合して成る排出パイプ部22(メインパイプ部21よりも小径)とから構成される。メインパイプ部21の上下開口はキャップ(封止部材)23を装着することにより封止される。排出パイプ部22は、メインパイプ部21の上端よりやや下方の位置からメインパイプ部21の下部まで延在し、その下端部は板部材PLを内側に折り曲げた平坦部22d(図4(a)参照)を密着させることにより塞がれる。
なおメインパイプ部21内には、冷媒をチューブ31に導くための複数の仕切板が設けられるが、その図示は省略した。
【0010】
メインパイプ部21の周面には、複数のチューブ31と連通する連通孔21aが形成されるとともに、メインパイプ部21の上部と排出パイプ部22の上部との間の接合部分に冷媒流入口21bが形成されている。またメインパイプ部21と排出パイプ部22の連結部分(接合部)には、両パイプ部21,22を連通する連通孔22aが形成されるとともに、排出パイプ部22の周面の上部には冷媒流出口22bが形成されている。この流出口22bおよび上記流入口21bは、メインパイプ部21の中央より十分高い位置において上下に近接して設けられることになる。
【0011】
このように構成されたヘッダパイプ20の上部には、配管接続用のコネクタ(接続部)40が装着される。コネクタ40は、メインパイプ部21の流入口21bに冷媒流入用配管(不図示)を接続するための入口側接続孔41と、排出パイプ部22の上部が挿通される溝部42と、排出パイプ部22の流出口22bに冷媒流出用配管(不図示)を接続するための出口側接続孔43とを有する。コネクタ40のヘッダパイプ20側の面は、メインパイプ部21の外周面と同一曲率の曲面とされ、その曲面がメインパイプ部21の外周面に密着するようにコネクタ40が装着される。このとき、排出パイプ部22の上部開口は、図5に示すようにコネクタ40の溝部42の上壁42aによって塞がれる。また、溝部42の流出口22b側の壁42bは曲面とされ、この曲面が排出パイプ部22の流出口22b周辺の外周面と密着する。
板部材PLは、図4(a)に示すように、アルミの平板をプレス加工して略半円柱状のメインパイプ部21と、メインパイプ部21の両端にそれぞれ形成された略半円柱状の排出パイプ部22とに形成される。連通孔22aは、アルミの平板に予めエンボス加工で凹部を形成してから折り返し部22cが折り返されることにより形成される。切欠き22eは、折り返しによって排出パイプ部22の端部からメインパイプ部21にクラックが発生するのを防止するための切欠きである。この切欠き22eはコネクタ40により塞がれる。排出パイプ部22の下端部に形成された平坦部22dは、板部材PLが内側に折り曲げられたときに互いに密着させて、排出パイプ部22の下端部を塞ぐためのものである。冷媒流入口21bと冷媒流出口22bとは、プレス加工の際に形成される。
このようにプレス加工された板部材PLは、図4(b)に示すように、メインパイプ部21が円柱状に折り曲げ加工され、折り返し部22c同士および排出パイプ部22の端部同士が密着され、ろう付けされる。
【0012】
コネクタ40は、コンデンサが車両に搭載される前に予め右側ヘッダパイプ20に装着されており、コンデンサがエンジンルームに配置された後に、コネクタ40の入口側接続孔41および出口側接続孔43に冷媒流入用配管および流出用配管がそれぞれ接続される。その際、両接続孔41,43がいずれもヘッダパイプ20の上部に位置しているので、配管接続作業にあたって作業者が不自然な姿勢をとることがなく接続作業効率の向上が図れる。
なお、左側のヘッダパイプ10は従来と同様の円柱形状であり、その製造方法は問わない。
【0013】
以上の構成において、不図示のコンプレッサによって圧送される冷媒は、流入用配管(不図示)およびコネクタ40の入口側接続孔41を通って冷媒流入口21bから右側ヘッダパイプ20のメインパイプ部21に流入する。流入された冷媒は、チューブ31を流通してヘッダパイプ10とメインパイプ部21との間を複数回往復し、その際、フィン32を通過する空気との間で熱交換が行われる。その後、冷媒はメインパイプ部21の下部に至り、連通孔22aを通って排出パイプ部22に流入し、排出パイプ部22の上部に設けられた冷媒流出口22bからコネクタ40の出口側接続孔43および流出用配管(不図示)を通って下流のリキッドタンクに導かれる。
【0014】
このように本実施の形態では、右側ヘッダパイプ20を構成する際に、一枚の板部材PLからメインパイプ部21と排出パイプ部22とを形成するようにしたので、上述したように配管接続作業の効率向上が図れるのに加えて、両パイプ部を別々に作成して連結する場合と比べて部品点数および製造工数の低減が図れる。特にヘッダパイプ20の冷媒流入口21bと流出口22bとが近接して設けられているので、流入側および流出側の配管接続が単一のコネクタ40で実現でき、更なる部品点数の低減が図れる。
【0015】
図7は他の実施形態を示している。ヘッダパイプ120の本体は、上述したと同様に一枚の板部材から構成され、メインパイプ部121と排出パイプ部122とを有する。メインパイプ部121の流入口121bは板部材の接合部よりも側方の位置に設けられ、この部分にコネクタ141が装着される。コネクタ141には、流入口121bと流入用配管とを接続するための入口側接続孔141aが設けられている。排出パイプ部122の上端の高さ位置は上述のものと比べて高くなっており、その接合部分に流出口122bが設けられる。メインパイプ部121の図示前部には、排出パイプ部122の上部が挿通される溝部142aと、排出パイプ部122の流出口122bと流出用配管とを接続するための出口側接続孔142bとを有するコネクタ42が装着される。この場合も溝部142aの上壁によって排出パイプ部122の上部開口が塞がれる。
本実施の形態によれば、流出口122bを先の実施形態と比べてより高い位置に設けられるので、配管接続作業がより一層向上する。
【0016】
図8は更なる別実施形態を示している。本実施形態のヘッダパイプ220も上記2例と同様の方法により作成され、各パイプ部221,222の流入孔221bおよび流出孔222bは同一の高さ位置に設けられる。コネクタ240は、流入口221bに流入用配管を接続するための入口側接続孔241と、排出パイプ部222の上部が挿通される溝部242と、排出パイプ部222の流出口222bに流出用配管を接続するための出口側接続孔243とを有して一体に形成されており、装着の際には、ヘッダパイプ220の上方から溝部242の下端を排出パイプ部222の上端と合わせて下方へ移動させ、嵌め込むようにして装着する。
このように流入孔221bおよび流出孔222bを同一の高さ位置に設ければ、流入用配管の接続作業と流出用配管の接続作業が同位置で行え、作業効率の更なる向上が図れる。
【0017】
なお、以上では空調用のコンデンサについて説明したが、車両に搭載される他の熱交換器、例えばラジエータなどにも本発明を同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における車両用熱交換器(空調用コンデンサ)を示す正面図。
【図2】コンデンサの右側ヘッダパイプの構成を示す斜視図。
【図3】コンデンサの右側ヘッダパイプの構成を示す分解斜視図。
【図4】右側ヘッダパイプの作成方法を説明する斜視図。
【図5】右側ヘッダパイプの構成を示す断面図。
【図6】図5のVI−VI線断面図。
【図7】他の実施形態におけるヘッダパイプを示す分解斜視図。
【図8】他の実施形態におけるヘッダパイプを示す分解斜視図。
【符号の説明】
10,20,120,220 ヘッダパイプ
21,121,221 メインパイプ部
21b,121b,221b 冷媒流入口
22,122,222 排出パイプ
22a 連通孔
22b,122b,222b 冷媒流出口
23 キャップ
40,141,142,240 ブラケット
41,141a,241 入口側接続孔
42,142a,242 溝部
43,142b,243 出口側接続孔
Claims (4)
- 左右のヘッダパイプのうちいずれか一方に熱交換媒体の流入口および流出口を設け、両ヘッダパイプ間で熱交換媒体を流通させて空気との熱交換を行う車両用熱交換器において、
前記一方のヘッダパイプは、板部材を筒状に加工して接合するとともにその上下端の開口を封止して成るメインパイプ部と、前記板部材のうち前記メインパイプ部の接合部と連続する部分を更に筒状に加工し接合して成る排出パイプ部とを有し、
前記メインパイプ部と前記排出パイプ部とはその下部において互いに連通され、
前記メインパイプ部の上部には前記流入口が設けられるとともに、前記排出パイプ部の上部には前記流出口が設けられ、
前記流入口には熱交換媒体の流入用配管を接続するための接続部が設けられ、前記流出口には熱交換媒体の流出用配管を接続するための接続部が設けられていることを特徴とする車両用熱交換器。 - 前記流出口が前記流入口と近接する位置となるよう前記排出パイプ部の長さが定められていることを特徴とする請求項1に記載の車両用熱交換器。
- 前記流入口と流出口とが略同一の高さ位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両用熱交換器。
- 前記流入用配管の接続部と前記流出用配管の接続部とが単一の部材で構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用熱交換器。
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