JP2523238B2 - 熱交換器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えばカークーラー
用凝縮器、ルームクーラー用熱交換器等に用いられる、
アルミニウム等の金属製の熱交換器に関する。

【０００２】

【従来の技術】近時、例えば、カークーラー用凝縮器と
して、所定間隔をおいて並列状に配置された複数本のチ
ューブの両端に１対の中空ヘッダーが連通状態に組み付
けられ、これらが一括ろう付けにより互いに接合一体化
された構造の、いわゆるマルチフロータイプあるいはパ
ラレルフロータイプと称される熱交換器が、高熱交換性
能、低圧力損失、超コンパクト化を実現しうるものとし
て、好んで使用される傾向にある。

【０００３】そして、この熱交換器では、冷媒を蛇行状
の流通せしめる等の目的において、ヘッダー内が複数の
室に仕切られたものとなされることがある。このヘッダ
ー仕切構造として、例えば、第５図に示されるように、
仕切り部材（53）として、ヘッダー（51）の内周形状に
適合する円板部（53a ）と、挿入孔（52）内に配置され
る周端突出部（53b ）とを有するダルマ状のものが用い
られ、これが、ヘッダー（51）の周側壁に略半周にわた
って形成されたスリット状の挿入孔（52）を通じてヘッ
ダー（51）内に挿入配置され、その周端突出部（53b ）
の外周面がヘッダー（51）外に露出状態にされ、その状
態で、フラックスろう付けや真空ろう付け等のろう付け
によりヘッダー（51）に接合一体化されたものが採用さ
れることがある。

【０００４】また一方、この熱交換器のヘッダー（51）
には、熱交換器本体を車体に取付けるための、あるいは
冷媒配管の中間部を支承するための取付け用ブラケット
が取り付けられることが多い。このブラケットの取付け
構造として、例えば、第５図に示されるように、ヘッダ
ー（51）の外周面にブラケット（54）が面接触状態に配
置され、その配置状態において、両者が、前記仕切り部
材（53）のろう付けと併せて、一括ろう付けにより接合
一体化されたものとなされることがある。そして、該ブ
ラケット（54）は、その種類、仕切り部材（53）の取付
け位置等によっても異なるが、同図に示されるように、
仕切り部材（53）のろう付け接合予定部分を通過する態
様において、ヘッダー（51）にろう付けされる場合があ
る。

【０００５】

【発明が解決使用とする課題】しかしながら、上記のよ
うにブラケット（54）を、仕切り部材（53）の取付け部
分を通過する態様において、ヘッダー（51）の外周面に
面接触状態に配置し、その状態において、仕切り部材
（53）がヘッダー（51）にフラックスろう付け、あるい
は真空ろう付けすると、フラックスろう付けによる場合
には、ブラケット（54）下に位置する仕切り部材のろう
付け接合予定部分にフラックスがいきわたりにくく、ま
た、真空ろう付けによる場合には、同仕切り部材のろう
付け接合予定部分における真空引きが不十分となりやす
く、いずれの場合においても、良好なろう付け接合状態
が得られないことがあり、仕切り部材（53）のろう付け
不良を生じて、ヘッダー（51）の内部密閉性が害され、
冷媒洩れの原因となる危険性があった。

【０００６】この発明は、上記のような従来の欠点を解
消し、ブラケットが、仕切り部材の露出部分を通過する
態様においてヘッダー外周面に取り付けられる構造の熱
交換器において、仕切り部材のろう付け性を良好なもの
にできて、ヘッダーの内部密閉性を適正なものにでき、
ひいては熱交換媒体の洩れの危険性を排除しうる熱交換
器を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的において、この
発明は、複数本のチューブを連通状態に接続した中空ヘ
ッダー内に、仕切り部材が、その周端の一部又は全部を
ヘッダー外に露出させた状態に配置され、その状態でヘ
ッダーにろう付けにより接合一体化されると共に、取付
け用ブラケットが、ヘッダーの外周部に、前記仕切り部
材の露出部分を通過する態様において取り付けられた熱
交換器であって、前記ブラケットの内面に、仕切り部材
の位置に対応して、該仕切り部材とヘッダーとのろう付
け接合予定部分を外部に開放するための空間部を形成す
る凹部が設けられてなることを特徴とする熱交換器を要
旨とする。

【０００８】なお、「取付け用ブラケット」の語は、熱
交換器本体を車体等の取付け側に取り付けるためのブラ
ケットや、熱交換媒体入口用配管、同出口用配管の中間
部を支持するブラケット、あるいはこれらのブラケット
を取り付けるための台座用ブラケット等の各種ブラケッ
ト類を含む意味において使用している。

【０００９】

【作用】上記構成では、仕切り部材をヘッダーに、例え
ばフラックスろう付けによりろう付けする場合には、フ
ラックスが、ブラケットの凹部によって形成された空間
部を通じて仕切り部材とヘッダーとのろう付け接合予定
部分にいきわたる。あるいは、例えば真空ろう付けによ
り仕切り部材のろう付けを行う場合も、真空引きの作用
が前記空間部を通じて仕切り部材とヘッダーとのろう付
け接合予定部分に十分に及ぶ。このようにヘッダーと仕
切り部材とを各種ろう付けによって接合一体化するにお
いて、両者間のろう付け性が良好となり、ヘッダーの内
部密閉性が適正良好なものになる。

【００１０】

【実施例】次に、この発明の熱交換器をカークーラー用
凝縮器に適用した実施例について説明する。

【００１１】なお、本発明の熱交換器は、ルームエアコ
ン用熱交換器、ラジエーター、オイルクーラー等の各種
熱交換器に広く適用され得るものであることはいうまで
もない。

【００１２】第１図ないし第４図に示されるカークーラ
ー用凝縮器において、（１）は偏平チューブ、（２）は
コルゲートフィンで、これらは上下方向に向けて交互配
置の並列状態にされている。（３）（３）は左右１対の
中空ヘッダーで、偏平チューブ（１）の両端に連通状態
に接続されている。そして、（４）は仕切り部材で、冷
媒がチューブ（１）群を蛇行状に流通するようにヘッダ
ー（３）（３）内を所定高さ位置において仕切るもので
ある。（５）（５）は、熱交換器本体を車体に取り付け
るための左右の取付け用ブラケットである。なお、
（６）は入口管、（７）は出口管、（８）（８）はサイ
ドプレートである。

【００１３】偏平チューブ（１）は、アルミニウム製の
押出型材によるもので、第３図に示されるように、内部
が仕切り壁により複数個の室に区画されて耐圧性能、伝
熱性能が高められた、いわゆるハモニカチューブが使用
されている。なお、押出型材によらず、電縫管が使用さ
れることもある。

【００１４】コルゲートフィン（２）は、チューブ
（１）の幅と略同じ幅のシート材をコルゲート状に成形
してルーバーを切り起こしたもので、このシート材とし
てろう材層がクラッドされたアルミニウムブレージング
シートが使用されている。

【００１５】ヘッダー（３）（３）は、片面又は両面に
ろう材層がクラッドされたアルミニウムブレージングシ
ートを両側縁部突き合わせ状態に曲成することによりパ
イプ状となした円筒状のヘッダーパイプ（3a）と、その
上下の端部開口を外嵌め状態に塞ぐアルミニウム製ヘッ
ダーキャップ（3b）とからなる。そして、第３図に示さ
れるように、このヘッダー（３）の周側壁には、その長
さ方向に沿い、チューブ（１）の端部を挿入するチュー
ブ挿入孔（3c）が列設され、また、チューブ挿入孔（3
c）の形成側とは反対の側に、仕切り部材（４）を挿入
する周方向スリット状の仕切り部材挿入孔（3d）が形成
されている。なお、ヘッダーパイプ（3a）としては、電
縫管、押出管等が使用されることもある。

【００１６】そして、仕切り部材（７）は、アルミニウ
ム製の１対の対称な仕切り板（10）（11）が重ね合わせ
状にされ、これらが先端部において相互に結合されたも
のとなされている。仕切り板（10）（11）はそれぞれ、
第３図に示されるように、ヘッダー（３）の内周形状に
適合する円板状の仕切り部（10a ）（11a ）と、該仕切
り部（10a ）（11a ）の基端側半周部にそこから径方向
外方に一体に突出された突出縁部（10b ）（11b ）と、
該突出縁部（10b ）（11b ）の周縁部に相反する方向に
立ち上がり状に連接されたリブ（10c）（11c ）とを有
するものに形成されている。また、一方の仕切り板（1
0）には、その仕切り部（10a ）内の位置から突出縁部
（10b ）との境界位置までを突出縁部（10b ）側に向け
てテーパー状に傾斜して隆起する１対の抜け止め用隆起
部（10d ）が設けられている。なお、仕切り部材（４）
は、アルミニウムブレージングシートによってつくら
れ、仕切り板（10）（11）の各対向面等にろう材層が存
在するものとなされている。

【００１７】取付け用ブラケット（５）は、アミニウム
シート又はアルミニウムブレージングシートを用いたプ
レス成形品による。このブラケット（５）は、仕切り部
材（４）の取付け部分を通過する態様においてヘッダー
（３）の外周面に面接触状態に配置される長尺なろう付
け用片部（5a）と、熱交換器を車体に取り付けるための
取付け用片部（5b）と、ブラケット（５）をヘッダー
（３）に位置決めする爪片（5c）とを一体に有するもの
となされている。そして、第３図に示されるように、こ
のブラケット（５）の長尺なろう付け用片部（5a）に
は、その長さ方向中間部、即ち、仕切り部材（４）の取
付け高さ位置に対応して、その内面に、周方向に延びる
凹部（12）が形成され、第１図に示されるように、仕切
り部材（４）がスリット状挿入孔（3d）を通じてヘッダ
ー（３）内に挿入配置された状態で、ブラケット（５）
がヘッダー（３）に組み付けられると、ブラケット
（５）のろう付け用片部（5a）と、ヘッダー（３）の仕
切り部材（４）露出部分との間に凹部（12）による空間
部（13）が形成され、該空間部（13）を通じて仕切り部
材（４）の露出部分、即ち、ヘッダー（３）と仕切り部
材（４）とのろう付け接合予定部分が外部に開放される
ようになされている。

【００１８】熱交換器の製造においては、まず、各熱交
換器構成部材を相互に仮組状態に組み立てる。即ち、複
数本の偏平チューブ（１）を所定間隔おきに並列状態に
配置して、その両端にヘッダー（３）（３）を、チュー
ブ挿入孔（3c）にチューブ（１）の端部を挿入すること
により、嵌め込むと共に、コルゲートフィン（２）をチ
ューブ（１）間に挿入配置する。また、最外側のフィン
（２）（２）の外側に上下のサイドプレート（８）
（８）を配置すると共に、出入口管（６）（７）をヘッ
ダー（３）（３）に組み付ける。そして、これらに併せ
て、仕切り板（ 10）（11）同士を若干開き気味にした
仕切り部材（４）を挿入孔（3d）を通じてヘッダー
（３）内に位置決め状態に挿入配置すると共に、ブラケ
ット（５）をヘッダー（３）に組付ける。なお、熱交換
器構成部材の組立て順序には特別な制限はなく、適当な
順序に従って行えばよい。

【００１９】そして、この熱交換器組立て体をフラック
スろう付け、あるいは真空ろう付け等のろう付けに付
し、各熱交換器構成部材同士、ヘッダーパイプ（3a）の
側縁部同士等を、相互に一括ろう付けし、全体を接合一
体化する。このろう付けにおいて、例えばフラックスろ
う付けの場合にはフラックスが、また例えば真空ろう付
けの場合には真空引きの作用が、ブラケット（５）の凹
部（12）によって形成された空間部（13）を通じてブラ
ケット（５）下の仕切り部材（４）ろう付け接合予定部
分に及び、これによって、仕切り部材（４）とヘッダー
（３）とのろう付けが適正になされる。

【００２０】なお、上記実施例では、仕切り部材（４）
として、一対の仕切り板（10）（11）をその先端部にて
結合した２枚重ねのものを用いたが、第５図に示される
従来の仕切り部材（53）が使用されてよいことはいうま
でもない。また、ブラケット（４）は、上記実施例のよ
うなろう付け接合仕様のものに限定されるものではな
く、仕切り部材（４）のろう付けの際にヘッダー（３）
に組付けられ、ないしは取り付けられる構造のものであ
ればよい。

【００２１】

【発明の効果】上述の次第で、この発明の熱交換器は、
ブラケットが仕切り部材の露出部分を通過する態様にお
いてヘッダーの外周部に取り付けられる熱交換器におい
て、ブラケットの内面に、仕切り部材の位置に対応し
て、該仕切り部材とヘッダーとのろう付け接合予定部分
を外部に開放するための空間部を形成する凹部が設けら
れたものであるから、仕切り部材とヘッダーのろう付け
性が良好なものとなり、ヘッダーの内部密閉性が適正な
ものとなって、熱交換媒体の洩れの危険性を排除するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ヘッダー、仕切り部材、ブラケット等の組付け
状態を示す斜視図である。

【図２】図（イ）はヘッダー、仕切り部材、ブラケット
等の相互組付け状態を示す断面図、図（ロ）は図（イ）
のII-II 線断面矢視図である。

【図３】ヘッダー、仕切り部材、ブラケット等を分離状
態で示す斜視図である。

【図４】図（イ）は熱交換器の全体正面図、図（ロ）は
同平面図である。

【図５】従来例を示すもので、図（イ）はヘッダー、仕
切り部材、ブラケット等を分離状態で示す斜視図、図
（ロ）は組付け状態で示す斜視図である。

【符号の説明】

１…チューブ ３…ヘッダー ４…仕切り部材 ５…取付け用ブラケット 12…凹部 13…空間部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数本のチューブを連通状態に接続した
   中空ヘッダー内に、仕切り部材が、その周端の一部又は
   全部をヘッダー外に露出させた状態に配置され、その状
   態でヘッダーにろう付けにより接合一体化されると共
   に、取付け用ブラケットが、ヘッダーの外周部に、前記
   仕切り部材の露出部分を通過する態様において取り付け
   られた熱交換器であって、 前記ブラケットの内面に、仕切り部材の位置に対応し
   て、該仕切り部材とヘッダーとのろう付け接合予定部分
   を外部に開放するための空間部を形成する凹部が設けら
   れてなることを特徴とする熱交換器。