JP3212038B2 - アルミニウム製熱交換器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、カークーラー用凝縮
器やルームエアコン用熱交換器等に用いられる、アルミ
ニウム製熱交換器に関する。

【０００２】

【従来の技術】近時、カークーラー用凝縮器として、い
わゆるマルチフロータイプと称されるアルミニウム製熱
交換器が、高熱交換効率、低圧力損失、超コンパクト化
を実現しうるものとして、好んで使用される傾向にあ
る。

【０００３】この熱交換器は、所定間隔おきに並列状態
に配置された複数本のアルミニウム製偏平チューブの両
端に一対の中空筒状のアルミニウム製ヘッダーが連通状
態に組み付けられ、また、チューブ間にアルミニウム製
コルゲートフィンが配置され、その他ヘッダーの所定位
置に適宜冷媒入り口用及び出口用の接続管が連通状態に
組み付けられ、その組付け状態において、全体が一括ろ
う付けにより接合一体化されたものである。

【０００４】そして、この熱交換器には、一般に、これ
を車体等に取り付ける目的において、あるいは冷媒入り
口用接続管や同出口用接続管が長尺である場合にその中
間部を支持する等の目的において、取付け用ブラケット
が取り付けられる。

【０００５】このブラケットの取付け方法として、爪を
一体に有するアルミニウム製のブラケットを用い、これ
をヘッダーの外周面に面接触状態に配置すると共に、前
記爪をチューブ間の間隙内に強制嵌合してブラケットを
ヘッダーに仮どめし、その状態で一括ろう付けを行い、
それによりブラケットをヘッダーに接合一体化する方式
が提案されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような方法では、ブラケットを、チューブ間の間隙位置
に対応してしか、ヘッダーに仮どめできないことから、
ブラケットを所望の配置態様にするため、ブラケット自
体の形状、構造が複雑化することが多く、しかも、熱交
換器はその機種ごとにチューブ間の間隔長さが異なるの
が一般的で、機種ごとに爪の寸法等を異ならせたブラケ
ットを用意しなければならず、そのため、ブラケットの
設計、製作が煩雑なものになりやすいという欠点があ
る。

【０００７】この発明は、上記のような従来の欠点を解
消し、ブラケットの設計、製作作業の簡素化を図ること
ができる熱交換器を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的において、この
発明は、所定間隔おきに並列状態に配置された複数本の
チューブの端部が中空状のアルミニウム製ヘッダーに連
通状態に接続された熱交換器において、前記ヘッダー
に、アルミ製のプレス成形品からなる断面コ字状 のブラ
ケット取付用台座部材が、その両側壁間にヘッダーを嵌
合配置し、かつブラケット取付板部をヘッダーの外周面
から離間させてそれらの間に所定の間隔を存置する態様
のもとに一括ろう付けにより接合一体化されると共に、
前記両側壁の間隔がヘッダーの外周直径よりも短く形成
され、該両側壁の幅方向中間部にヘッダーの外周形状に
沿う断面円弧状の凹部が形成され、該台座部材がヘッダ
ーに嵌合配置された際に円弧状凹部の内面がヘッダーの
外周面に面接触するものとなされて接合一体化されてお
り、該台座部材の前記ブラケット取付板部にリベット、
ビス等の締結部材を用いて取付け用ブラケットが取り付
けられてなることを特徴とするアルミニウム製熱交換器
を要旨とする。

【０００９】なお、台座部材は、一般に、ヘッダーの長
さ方向に沿うものに形成されるが、その他、所要の形状
に形成されてよい。また、「取付け用ブラケット」の語
は、熱交換器本体を車体等の取付け側に取り付けるため
のブラケットや、熱交換媒体入口用配管、同出口用配管
の中間部を支持するブラケット等の各種ブラケット類を
含む意味において使用している。

【００１０】

【作用】上記熱交換器では、取付け用ブラケットは、台
座部材のブラケット取付板部に対してリベット等の締結
部材を用いて取り付けられる。この場合、上記ブラケッ
ト取付板部は、ヘッダーの外周面から離間して該ヘッダ
ー外周面との間に所定間隔を存置しているので、上記締
結部材がブラケット取付板部を貫通する場合にあって
も、その先端を上記間隔内に位置させることができる。
このため、台座部材にブラケットを先付け固定した状態
のもとでも台座部材のヘッダーへの取付けを支障なく行
うことができ、熱交換器の組立製作上有利である。また
ブラケットはヘッダーに直接取付けるのではなく、台座
部材に対して取付けを行えばよいので、チューブ間の間
隙の位置に関わりなくブラケットをヘッダーの長さ方向
における所望位置に取り付けることができてブラケット
の形状、構造が簡素化される。しかも、機種によって熱
交換器のチューブ間の間隔長さが変化してもそれに伴う
ブラケットの設計変更を要さない。

【００１１】

【実施例】次に、この発明の熱交換器を、カークーラー
用凝縮器に適用した実施例について、図面に基づいて説
明する。

【００１２】なお、この発明の熱交換器は、ルームクー
ラー用熱交換器、オイルクーラー、ラジエータ等に広く
適用されうるものであることはいうまでもない。

【００１３】第４図に示されるカークーラー用凝縮器に
おいて、（１）は偏平チューブ、（２）はコルゲートフ
ィンで、これらは上下方向に向けて交互配置の並列状態
にされている。（３）（３）は左右１対のヘッダーで、
偏平チューブ（１）の両端に連通状態に接続されてい
る。（４）は入口管、（５）は出口管である。そして、
（６）は、熱交換器を車体に取り付けるための取付け用
ブラケット、（７）は台座部材である。なお、（８）は
仕切部材で、熱交換媒体がチューブ（１）群を蛇行状に
流通するようにヘッダー（３）（３）内を所定高さ位置
において仕切っている。（９）（９）はサイドプレート
で、上下最外側のコルゲートフィン（２）（２）を保護
するためにその外側に配置されている。

【００１４】偏平チューブ（１）は、アルミニウム製の
押出型材によるもので、第１図に示されるように、内部
が仕切り壁により複数個の室に区画されて耐圧性能、伝
熱性能が高められた、いわゆるハモニカチューブが使用
されている。なお、チューブ（１）として、電縫管が使
用されることもある。

【００１５】コルゲートフィン（２）は、チューブ
（１）の幅と略同じ幅のシート材をコルゲート状に成形
してルーバーを切り起こしたもので、このシート材とし
てろう材層がクラッドされたアルミニウムブレージング
シートが使用されている。

【００１６】ヘッダー（３）（３）は、第１図に示され
るように、片面又は両面にろう材層がクラッドされた１
枚のアルミニウムブレージングシートを両側縁部突き合
わせ状態に曲成することによりパイプ状となした円筒状
のヘッダーパイプ（3a）の上下端部開口をアルミニウム
製ヘッダーキャップ（3b）にて塞いだものである。な
お、このヘッダーパイプ（3a）としては、電縫管、押出
管等が使用されることもある。また、本実施例では、ヘ
ッダーキャップ（3b）として、第１図及び第５図に示さ
れるように、その周端部にヘッダーパイプ（3a）の端部
外周面に嵌合する環状周側壁（3d）を有すると共に、中
央部にヘッダーパイプ（3a）の端部内周面に嵌合する円
形隆起部（3e）を有するプレス成形品が使用され、ヘッ
ダーパイプ（3a）の端部周側壁を内外両方向から挟持す
る態様において、ヘッダーパイプ（3a）端部に嵌合され
るものとなされている。そして、第５図に示されるよう
に、円形隆起部（3e）の周縁（3f）はテーパー状に成形
されて、嵌合状態においてヘッダーパイプ（3a）の内周
壁との間に環状のろう材溜まり（3g）が形成されるよう
になされている。なお、ヘッダーキャップ（3b）とし
て、アルミニウムブレージングシートが使用されること
もある。

【００１７】そして、台座部材（７）は、第１図ないし
第３図に示されるように、ろう材がクラッドされてない
通常のアルミニウムシート、ないしはろう材がクラッド
されたアルミニウムブレージングシートのプレス成形品
によるもので、断面コ字状の長尺材に形成されている。
そして、ブラケット取付板部の両側縁からのびた両側壁
（7a）（7a）間にヘッダー（３）の外周面が接触状態に
嵌合配置されるものとなされている。

【００１８】この台座部材（７）は、その両側壁（7a）
（7a）の間隔長さがヘッダー（３）の外周直径長さより
も短く形成されると共に、両側壁（7a）（7a）の幅方向
中間部にヘッダー（３）の外周形状に沿う断面円弧状の
凹部（7c）（7c）が形成され、該台座部材（７）がヘッ
ダー（３）に嵌合配置された際に、円弧状凹部（7c）
（7c）の内面がヘッダー（３）の外周面に面接触するも
のとなされている。かかる構成により、ヘッダー（３）
と台座部材（７）とのろう付け接合面積が広く確保さ
れ、両者の接合強度を一層強く安定したものにすること
ができる。また、この円弧状凹部（7c）（7c）により台
座部材（７）の一括ろう付けに際して安定よ くこの台座
部材（７）をヘッダー（３）に組み付けることができ
る。

【００１９】また、台座部材（７）の長さは、ヘッダー
（３）の長さよりも若干短いものに設計されている。な
お、台座部材（７）の長さは、必要に応じて、ヘッダー
（３）の長さよりも長く形成されたり、短く形成された
りする場合もある。そして、この台座部材（７）の長さ
方向所定位置にブラケット（６）を取り付けるためのね
じ孔（7b）（7b）が設けられている。

【００２０】取付け用ブラケット（６）は、締結用板部
（6a）と、取付け用板部（6b）とを一体に有するＬ字状
の簡素構造の一体成形品で、締結用板部（6a）にはビス
（10）を挿通する通孔（6c）（6c）が設けられ、また、
取付け用板部（6b）には、取付け孔（6d）が形成されて
いる。同ブラケット（６）は、アルミニウム製でも鉄系
材料製でもよいが、強度確保上、鉄系材料製製ブラケッ
トが用いられることも多い。

【００２１】熱交換器の製造においては、まず、各熱交
換器構成部材を相互に仮組状態に組み立てる。即ち、複
数本の偏平チューブ（１）を所定間隔おきに並列状態に
配置して、その両端にヘッダー（３）（３）を、チュー
ブ挿入孔（3c）にチューブ（１）の端部を挿入すること
により、嵌め込むと共に、コルゲートフィン（２）をチ
ューブ（１）間に挿入配置する。また、最外側のフィン
（２）（２）の外側に上下のサイドプレート（９）
（９）を配置すると共に、出入口管（４）（５）をヘッ
ダー（３）に組み付ける。そして併せて、台座部材
（７）をヘッダー（３）に組み付ける。この際、そのブ
ラケット取付板部は、ヘッダー（３）の外周面から離間
して、両者間に所定の間隔を存置する態様に組付ける。
台座部材（７）はヘッダー（３）の長さ方向に沿う長尺
なものに形成されているため、組付けを簡素かつ容易に
行うことができる。なお、各熱交換器構成部材の組立て
順序には特別な制限はなく、適当な順序に従って行えば
よい。

【００２２】そして、この熱交換器組立て体をろう付け
炉内に配置し、ないしは通すことにより、各熱交換器構
成部材同士、ヘッダーパイプ（3a）の側縁部同士等を、
相互に一括ろう付けし、全体を接合一体化する、これに
より、長尺台座部材（７）は、第３図に示されるよう
に、その両側壁（7a）（7a）の内面がヘッダー（３）の
外周面にろう接され、ブラケット取付板部がヘッダー
（３）の外面との間に所定間隔を存置した態様のもとに
ヘッダー（３）に強固かつ安定よく接合一体化される。

【００２３】そして、ブラケット（６）を、第２図に示
されるように、長尺台座部材（７）の所定位置に、ビス
（10）にて締結固定する。うまでもない。

【００２４】

【発明の効果】上述の次第で、この発明のアルミニウム
製熱交換器は、ヘッダーにアルミニウム製台座部材が一
括ろう付けにより接合一体化されたものであるから、ブ
ラケットをこの台座部材を利用して取り付けることがで
き、チューブ間の間隙の位置に関わりなく任意の所望位
置にブラケットを取り付けることができてブラケットの
形状、構造を簡素化しえ、しかも、機種によって熱交換
器のチューブ間の間隔長さが変化してもそれに伴うブラ
ケットの設計変更を行わなくてよく、従って、ブラケッ
トの設計、製作を容易なものにすることができる。

【００２５】しかも、台座部材はその両側壁の円弧状凹
部をヘッダーの外周面に面接触させた状態でヘッダーに
一括ろう付けにより接合一体化されたものであるから、
該台座部材の取付け強度を強く安定したものにすること
ができ、また、台座部材としてアルミニウム製のプレス
成形品からなるものを使用していることにより、熱交換
器の重量増も少なく、かつヘッダーの腐食発生も防止で
きる。

【００２６】また、台座部材は、そのブラケット取付板
部がヘッダーの外周面から離間して両者間に所定間隔を
存置した態様のもとにヘッダーにろう付け接合一体化さ
れる一方、台座部材の上記ブラケット取付板部にリベッ
ト、ビス等の締結部材を用いてブラケットが取付け固定
されたものとなされている。従って、締結部材に例えば
ビスを用いて、該ビスをブラケット取付板部に貫通させ
てブラケットを取付けても、ビスの先端がヘッダーに干
渉することがなく、安全にブラケットの取付けを行うこ
とができる。また、締結部材にリベットを用いてブラケ
ットを取付ける場合にあっても、上記間隔内にリベット
の頭部あるいは先端のかしめ部を位置させることができ
るので、台座部材にブラケットを締結部材を用いて先付
け固定した状態のもとで、台座部材を支障なくヘッダー
にろう付け接合固定することができる。従って、ろう付
けを併用してブラケットを一層強固に台座部材に接合固
定することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ヘッダー、チューブ、台座部材等を分離状態に
示す斜視図である。

【図２】ビスによるブラケットの取付け態様を示す斜視
図である。

【図３】ヘッダーへの台座部材の取付け状態を示す横断
面図である。

【図４】図（イ）は熱交換器の全体正面図、図（ロ）は
同平面図である。

【図５】ヘッダーの端部縦断面図である。

【符号の説明】

１…チューブ ３…ヘッダー ６…ブラケット ７…台座部材

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定間隔おきに並列状態に配置された複
   数本のチューブの端部が中空状のアルミニウム製ヘッダ
   ーに連通状態に接続された熱交換器において、前記ヘッ
   ダーに、アルミ製のプレス成形品からなる断面コ字状の
   ブラケット取付用台座部材が、その両側壁間にヘッダー
   を嵌合配置し、かつブラケット取付板部をヘッダーの外
   周面から離間させてそれらの間に所定の間隔を存置する
   態様のもとに一括ろう付けにより接合一体化されると共
   に、前記両側壁の間隔がヘッダーの外周直径よりも短く
   形成され、該両側壁の幅方向中間部にヘッダーの外周形
   状に沿う断面円弧状の凹部が形成され、該台座部材がヘ
   ッダーに嵌合配置された際に円弧状凹部の内面がヘッダ
   ーの外周面に面接触するものとなされて接合一体化され
   ており、該台座部材の前記ブラケット取付板部にリベッ
   ト、ビス等の締結部材を用いて取付け用ブラケットが取
   り付けられてなることを特徴とするアルミニウム製熱交
   換器。