JP4268045B2

JP4268045B2 - 補綴物

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Inventors: ジェイムズ・ビー・グライムズ
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Description

発明の詳細な説明

（発明の背景）
本発明は、大腿骨などの骨に移植される移植可能な補綴物に関する。

ここに一体のものとして参考に統合される本出願人の先の米国特許第６，２７３，９１５号は、大腿ヘッド−ネック人工骨およびその移植方法に関する。補綴物は、大腿骨ネック部に載置されるカラー部上に取り付けられるネック部を有する。ステム部がカラー部の下側部分の上に取り付けられ、通常、大腿骨を貫通するように下方に延びている。この移植方法において、カラー部の下側部分と係合するような台座部が大腿骨のネック部に形成される。台座部の形状は、カラー部の下側部分と相補的である。カラー部の下側部分と台座部が適合するとき、台座部の全体領域は、カラー部の下側部分と係合し、その界面において１００％の骨接触があり、実質的に１００％の負荷を伝えることができる。しかしながら、骨とステム部−カラー部の交差部との間における線接触に起因して、ステム部とカラー部の交差部においては、より大きな力が骨に伝わる。ヴォルフの法則によれば、応力または力の分布における変化により、いつしか骨の内部構造が変質する。以前に比べてより小さい応力が加わる骨の部位は脆くなる傾向があり、以前より大きな応力を受ける部位は厚くなる傾向がある。したがって、ステム部−カラー部の交差部における応力がより強い場合、その部位における骨は厚くなり、蓄積し、長期間において、交差部における応力が着実に増大する一方、交差部とは離れた部位において、カラー部を介した応力伝達が徐々に減少して、こうした部位における骨は脆くなるか、「再吸収」する。骨は、インプラントの交換が必要となるほどに再吸収することがある。

理想的には、大腿補綴物は、移植後、広範な領域における動きに対応できるようにしなければならない。大腿骨がいくつかの位置にピボット回転するとき、従来式の補綴物は、そのネック部が寛骨臼に当たるか接触するため、股関節の動きを制限することがある。すなわち、より広範な動きを許容するように、ネック部を形成することが好ましい。

接合剤を用いない大腿補綴物において、その長手方向軸と垂直な複数の軸に対する動きを阻止するように、補綴物を骨の中に固定する必要がある。'915特許において開示されたように、補綴物のステム部は、補綴物を好適に固定するためのスプラインを有していてもよい。例えば、長手方向軸と垂直な複数の軸の周りにおいて、体の中心軸から離れる側と近づく側の間の動きを阻止するための、補綴物を骨に固定するためのさらなる構造物を有することが好ましい。

（発明の要約）
本発明のいくつかの目的および特徴は、中でも、骨に対する補綴物の力を伝える係合を促進する補綴物を提供すること、補綴物と骨の間の線接触を阻止する補綴物を提供すること、骨の再吸収を阻止する補綴物を提供すること、移植後の関節の実質的な範囲の動きを可能にする補綴物を提供すること、移植後に長手方向軸に垂直な複数の軸の周りの補綴物の動きを阻止する補綴物を提供することである。

概略的に云えば、本発明の装置は、骨に移植される補綴物である。この補綴物は、骨と係合し、骨に力を伝えるカラー部であって、第１表面、およびカラー部の通常反対側にある第２表面を有するカラー部を有する。ネック部は、第１表面から外側に延び、ボール部を受容するように構成されている。ステム部は、カラー部の第２表面から外側に延び、骨に受容される。第２表面は、カラー部の第２表面での応力集中領域における第２表面と骨の係合を制限し、第２表面と骨の間の線接触を阻止するために、少なくとも実質的な第２表面の部分における骨に対する、力を伝えるための第２表面の係合を促進するような形状を有する。

本発明の別の態様によれば、大腿骨に移植される補綴物は、第１表面と、その通常反対側にあって、大腿骨と係合し、大腿骨に力を伝える第２表面とを有するカラー部を有する。ネック部は、第１表面から外側に延び、ボール部を受容するように構成されている。ステム部は、カラー部の第２表面から外側に延び、大腿骨に受容される。カラー部の第２表面は、少なくとも第２表面の実質的な部分における第２表面と大腿骨の力を伝える係合を促進し、かつ通常ステム部がカラー部と交差する部位における大腿骨との接触を阻止して骨の再吸収を阻止するように、ステム部に隣接した凹部を有する。

本発明のさらに別の態様によれば、大腿骨補綴物はネック部を含み、ネック部は、大腿骨に移植されたとき、寛骨臼との接触を阻止するような凹部を有する。

本発明のさらに別の態様によれば、大腿骨補綴物は、第１および第２の表面とは通常垂直な方向に延びる水平方向の外側に面した表面を含むカラー部を有する。この表面は、水平方向のネック部の切除された部分と通常相補的な部分的円筒形状を有し、これにより、大腿骨に移植されたとき、長手方向軸に垂直な複数の軸の周りの動きを阻止する。

本発明の他の目的および特徴は、部分的に明らかであり、部分的に以下において指摘される。

（好適な実施形態の詳細な説明）
ここで図面、とりわけ図１、図１Ａ、図２および図３を参照すると、本発明に係る骨移植性の、接合剤を用いない補綴物の全体が符号２１で図示されている。本発明のこの実施形態において、この補綴物は、大腿骨Ｆに移植するのに適した寸法と形状を有するが、上腕骨などの他の骨に移植するのに適した寸法と形状を有していてもよい。大腿骨は、大腿骨シャフト部Ｓ、大腿骨ヘッド部Ｈ、大腿骨ネック部Ｎ、転子間線ＴＬ、および大腿骨側方のシャフト部の上端部にある大転子Ｔを有する。大腿骨Ｆは、骨の表面付近に皮質骨Ｃの硬い層と、大腿骨内部にある比較的に柔らかい海面質骨ＳＣおよび骨内膜（図示せず）と、を有する。補綴物は、米国材料試験学会（ＡＳＴＭ）規格１５３７による温間加工されたコバルト−クロム合金、チタニウム、またはその他の材料を用いて形成されている。移植性補綴物２１は、移植されると、通常、切除された大腿骨ネック部Ｎから対角線方向に髄管ＭＣを通って大腿骨の反対側に出る。補綴物は、側方後方向に突出するが、中立転移または反対転移の場合、側方向または側方前方向に延びる。補綴物のいくつかの特徴が骨接ぎ式でない脊髄管補綴物に採用され得ることに留意されたい。この補綴物２１は、接合剤を用いて大腿骨Ｆに接合する必要のないタイプのものであるが、'915特許および以下においてより詳細に説明するように、補綴物と骨の間の機械的な内部接触により固定される。なお、例えば、近位または上部大腿骨ネック部において、補綴物２１に対する接合剤の利用を想定されることに留意されたい。補綴物が（長手方向軸の周りの）回転動作、および（長手方向軸と垂直な方向、すなわち前後方向および中央−外側方向の）トグル動作しないように固定される一方、軸方向の微少変位を許容して、骨に対する自然な負荷を実現することにより、骨を守るように、補綴物は構成されている。

補綴物２１は、通常符号２５で示す連続的な周辺カラー部を有し、カラー部２５は、上側表面２７と、通常これとは反対側にある下側表面２９と、を有する。下側表面は、骨（例えば、大腿骨Ｆの皮質骨および海面質骨）と係合し、骨に力を伝えるような寸法と形状を有する。ネック部３３は、上側表面２７から外側に延び、その上にボール部３５を受容するように形成されている。ステム部３７は、カラー部の下側表面２９から外側方向に延び、大腿骨（一般に、骨）内に収容され、ステム軸ＳＡを形成する。好適な実施形態において、カラー部２５、ネック部３３，およびステム部３７は、一体部品として形成されている。

図１、図２、図５および図６を参照すると、この実施形態によれば、カラー部２５の下側表面２９は、通常平坦であって、下側表面と、切除された大腿骨ネック部Ｎ上に形成された通常平坦な切除台座ＳＴとの間で、下側表面の少なくとも実質的な部分において、力を伝えるような係合が促進される。下側表面２９は、下側表面と骨の間の線接触を回避し、一般に、ステム部３７がカラー部２５に交差する部位おける接触を阻止するような形状を有する。カラー部２５とステム部３７の交差部は、移植後、比較的に強い応力を受け、その結果、交差部において応力集中が発生し得る。したがって、応力または力をより広い領域に分散させて、応力集中による影響を回避し、交差部において補綴物が損傷しないように、交差部において丸み（円縁ともいう）を設けることが好ましい。しかし、こうした丸みを補綴物材料の交差部に設けると、骨に応力を加えることになり得る。したがって、下側表面２９は、ステム部３７の交差部に、その周囲に延びる内側凹部４５を有することが好ましい。内側凹部４５は、環状溝形状を有し、それはウェブ４５ａおよび２つのフランジ４５ｂを有し、一方のウェブとフランジの交差部に湾曲を有する（図６）。内側凹部４５は、好適にも、機械加工により形成され、ステム部とカラー部の交差部に配置される。ただし、内側凹部４５は、交差部から若干離間していてもよい。本実施形態の内側凹部４は、約１ｍｍないし約４ｍｍの深さを有し、約３ｍｍないし約１０ｍｍの幅を有する。凹部４５は、比較的に幅広で、比較的に深く、骨がステム部−カラー部の交差部において補綴物２１に接触するのを防止し、ステム部−カラー部の交差部においてカラー部を介して応力が伝達しないようにする。応力は、下側表面と台座ＳＴの界面部の実質的な部分において、下側表面２９から台座から伝達され、大腿骨への自然な負荷を促進し、骨の再吸収を阻止する。たとえ、移植後、内側凹部４５の中に骨が成長した場合であっても（可能性は低いが）、こうした骨は、カラー部２５を介して伝わる実質的な応力を受けることはない。

下側表面２９は、内側凹部４５から半径方向外側に離間した環状外側凹部４７を有することが好ましい。図６に示すように、外側凹部４７は、内側凹部４５より浅く幅が狭く、好適には約１ｍｍの深さと、約１．５ｍｍの幅を有する。移植後、骨が外側凹部４７内に成長し、補綴物の動きをさらに固定する。こうした骨の内部成長により、移植後、補綴物に加わる剪断力を吸収しやすくなる。凹部４７の形状は、特に重要でなく、Ｕ字状凹部などの他の形状を有する凹部が想定される。同様に、例えば、複数の独立した円筒状の孔または半径方向に配列された溝を含む、凹部４７などの他の「マクロテクスチャ」が想定される。グリットブラストまたは多孔質材料で表面をコーティングすることにより、下側表面２９に凹凸を形成するなどの「マクロテクスチャ」が同様に想定される。

図４および図５を参照すると、カラー部２５は、体の中心軸から遠ざかる方向（laterally）、前方方向（anteriorly）、体の中心軸に向かう方向（medially）、および後方方向（posteriorly）において外側に向かって延びている。'915特許で開示されているように、カラー部は髄管に蓋をする。カラー部のメディアル表面５１（medial surface、体の中心軸に近い側のカラー部の表面５１）、およびカラー部のラテラル表面５３（lateral surface、体の中心軸から離れた側のカラー部の表面５３）は、切除された大腿骨ネック部Ｎを完全にカバーするように、弓状の部分的円筒形状を有する。カラー部のラテラル表面５３の部分的円筒軸は、ステム軸ＳＡと一致するが、移植後、カラー部のラテラル表面の形状により回転が阻止されるように、ラテラル表面５１の部分的円筒の軸をステム軸ＳＡと平行にするか、ずらしておいてもよい。この実施形態において、メディアル表面５１の部分的円筒軸は、ステム軸ＳＡと平行である（そして体の中心軸に近い方向にずれている。）。大腿骨および切除された台座ＳＴの形状と一般に適合するように、ラテラル表面５３の部分的円筒の半径は、メディアル表面５１のそれより大きい。移植後、ラテラル表面５３は、好適には、大腿骨の切除部分に形成された凹状の半円筒状壁Ｗと係合し、トグル動作、すなわち体の中心軸に向かう方向−体の中心軸から遠ざかる方向の動作を防止する。基準線ＲＬ（図５）は、メディアル表面およびラテラル表面を二分し、ステム軸ＳＡと垂直である。カラー部２５の前方表面（anterior surface）５５は、通常平坦で、鉛直基準線ＲＬ（図５）に対して角度（アルファ）で外側に傾斜している。カラー部の後方表面（posterior surface）は、通常平坦で、鉛直基準線ＲＬに対して角度（ベータ）で外側に傾斜している。この実施形態において、角度アルファ、ベータは、両方とも１５度である。補綴物２１は、カラー部が切除された大腿骨ネック部Ｎを完全にカバーするが、過剰にネック部から張り出さないように、患者に適合させる角度に変えるように構成することができる。例えば、これらの角度を約１０度から約２０度まで変えることができ、角度アルファを角度ベータより実質的に大きくしてもよいし、その反対でもよい。

図１、図５および図６を参照すると、カラー部２５のラテラル表面５３には、移植後、骨の内部成長を促進させて、移植後に大腿骨内における補綴物の回転を阻止する少なくとも１つの傾斜した平坦部６１（通常、凹部）が形成される。この実施形態のラテラル表面５３は３つの平坦部６１を有し、各平坦部は約４５度の角度でステム３７に向かって下方向に傾斜しており、好適にもラテラル表面を機械加工することにより形成される。移植されるとき、好適には、骨の断片が平坦部６１に配置され、移植後の骨の内部成長を促進する。ラテラル表面は、骨の内部成長を促進する任意の数の凹部を有していてもよい。一般にラテラル表面は、平坦部６１などのマクロテクスチャを含み、溝、孔、スロット、またはぎざぎざのついた仕上げなどのマクロテクスチャを含んでいてもよい。ラテラル表面５３および下側表面２９は、同様にマクロテクスチャを含んでいてもよく、例えば、グリットブラストまたは多孔質材料で表面をコーティングすることにより、これらの表面をざらざらにしてもよい。またラテラル表面５３は、骨を貫通し、回転を阻止するための１つまたはそれ以上の突起部（一般には、「浮き上がったような起伏」）を含んでいてもよい。

図１ないし図３を参照すると、ステム部３７は、カラー部２５の下側表面２９から垂直方向に延びている。ステム部とカラー部２５の交差部に最も近いステム部３７の一部は、滑らかな円筒部分を有するが、ステム部３７の交差部において、またはこれに隣接して凹部（図示せず）を含むように変形してもよい。内側凹部４５に加えて、あるいはこれに代えて、こうした凹部を用いることにより、下側表面と骨の間の線接触を阻止し、ステム部がカラー部と交差するところにおける大腿骨との通常の接触を回避することができる。'915特許の図１９Ｂないし図１９Ｄに示す鋸ガイドまたは鋸テンプレート１２７を用いたとき、鋸がステムに接触するリスクがより小さいので、隣接するステム部の径より小さい径を有する滑らかな円筒部分は好適である。図１に示すステム部３７を左から右へ説明すると、ステム部は、滑らかな円筒部分６５、上側部分６７、傾斜部分６９（これらはすべて、ステム部の近位部分として通常説明される）、中央部分７１、および末端部分７３を有する（中央部分および末端部分はステム部の遠位部分を構成する）。大腿骨Ｆの内部に形成されたボアＢ（'915特許でボアＢ１として説明した）と係合するように配置された上側部分６７、傾斜部分６９、および中央部分７１の半径方向外側に面した表面は、一般に「固定表面」である。上側部分６７、傾斜部分６９、および中央部分７１は、大腿骨Ｆ内に密接嵌合するような寸法を有し、各部分は、長手方向に延びるスプライン７５（図７参照）を有し、大腿骨内部の骨を貫通し、補綴物２１を大腿骨Ｆ内に固定する。末端部７３は、傾斜しており、同様に後方側方にある大腿骨皮質骨Ｃを貫通してボアＢにおいて骨を貫通し得るスプライン７５（図８）を有し、これにより補綴物の挿入を容易にし、骨の破砕を防止する。明らかに、スプライン７５は、実質的にステム部の全長にわたって延びている。スプライン７５は、移植後、補綴物の長手方向軸ＳＡの周りの回転方向の動きに対して補綴物をしっかりと固定し、スプライン間における骨の成長を促進する。ただし、スプライン７５は、大腿骨Ｆに対する補綴物２１の軸方向の変位を阻害するが、軸方向の微少な動きを禁止するように補綴物を固定するものではない。

図８を参照すると、ステム部の末端部は、中間部に対して鋭角シータで傾斜していることが好ましく、この角度は約５度ないし１５度であることが好ましい。孔８５は、好適には末端部に形成され、'915特許の図１８Ｎに示す弾丸形状のガイド先端部１２５のようなガイド先端部を受容する。任意であるが、'915特許に示すように、ステム先端部を、大腿骨Ｆの後方側部側における外側表面に位置合わせされるか、平行となるように所定角度で切断してもよい。末端部７３は、末端部上に骨が成長しないように、大腿骨Ｆの後方側方側から外側に延びる。こうした骨の成長により、補綴物２１を軸方向に必要以上に固定し、大腿骨の上側端部における自然な負荷を阻害することがある。

図１を参照すると、上側部分６７は、中間部分７４より大きな径を有することが好ましく、大腿骨ネック部Ｎの骨内膜（内側表面の）皮質骨と、前方方向、体の中心軸に向かう方向、および後方方向において接触し、回転動作およびトグル動作を抑制するために、上側部分６７のスプライン７５が皮質骨と噛み合うことを可能にする。上側部分の径が変化するような複数の補綴物２１を形成して、最適な皮質骨の接触を実現するように、患者に適合する補綴物を選択してもよい。上側部分は、通常、約１１ｍｍないし約２０ｍｍの外径を有し、中間部分７１は約８．５ｍｍの外径ＯＤを有する。傾斜部分６９は、好適には比較的に浅い角度、例えば、約１０度ないし約２０度で傾斜している。上側部分６７は、'915特許に示すように、２つの重複する円筒状部品を有していてもよい。

図３および図４を参照すると、ネック部３３は、円錐台形状を有する上側部分７７と下側部分７８を有する。ネック部は、'915特許に示すように、ステム部の長手方向軸と平行な長手方向軸ＮＡを有する。下側部分７８は、一般に円筒状であるが、大腿骨Ｆに移植されたとき、ネック部が寛骨臼と接触するのを防ぐための２つの平坦な凹部７９を有し、これにより関節を曲げた際に、そして股関節が内転または伸長した際に、ネック部が寛骨臼に当接または干渉することが防止される。補綴物２１が移植されると、一方の凹部７９が後方中央方向に配置され、他方の凹部７９が前方中央方向に配置される。この実施形態において、平坦な凹部は、通常、軸ＮＡと平行に延び、基準線ＲＬに対して対称的な寸法を有し、対称的に配置される。好適には、凹部７９により、ネック部３３の後方中央部および前方中央部が小さくなり、その結果、従来式の股関節補綴物と比較して、股関節の動作範囲が改善される。従来式の股関節補綴物に対して、股関節の１０度ないし２０度（平均して約１５度）のさらなる曲げを期待することができ、その正確な改善度合いは、部分的には、補綴物が移植される角度、補綴物の大きさ、寛骨臼内の補綴カップ（図示せず）の大きさに依存する。曲げは、股関節の動きとして定義され、これにより膝が旨に向かって垂直方向にゆっくりと上げることができる。

補綴物２１は、好適にも、'915特許で図示および開示した１つの移植方法と同様の手法を用いて移植することができる。こうした手法は、補綴物２１を移植するために好適に変形できることに留意されたい。一般に、中間骨梁ストリームＴＳ（'915特許の図４Ａおよび図１８Ａ）の角度が特定され、補綴物２１を位置決めするために用いられる。補綴物２１のステム部は、大腿骨の通常の負荷（すなわち、補綴物を移植する前の負荷）を十分に再現するように、特定の大腿骨Ｆに対する平均的な圧縮性負荷ベクトルに位置合わせされる。角度ガイド（'915特許の角度ガイド２９と同様のもの）が'915特許の図１８Ｂに関して説明したように配置される。前傾角度（アンテベルジオン）が特定され、鋸ガイド４１と同様の鋸ガイド（図示せず）が角度ガイドスリーブ３３に固定され、大腿骨ヘッド部Ｈを切除するために水平方向に切断する。鋸ガイドは、好適には、'915特許の図４Ｂおよび図１８Ｃに示すように、角度ガイドからあまり突出していないので、ヘッド部Ｈのベース部のより多くが切除される。同様に、図４Ｂおよび図１８Ｃに示すように、鋸は骨を水平方向にあまり多く切断しないので、本願の図２に示すように、大腿骨の水平方向のネック部のより多くの部分が温存される。垂直方向の切断は、フリーハンドまたは鋸ガイドを用いて実施されるので、ネック部に係合すべきラテラル表面５３のための十分な骨が残る。

皮質骨との接触を実現するために、前の拡孔器より大きい径をそれぞれ有する連続拡孔器を用いて、近位ネック部をフリーハンドで拡孔する（'915特許の図１８Ｄおよび図１８Ｅ）。角度ガイドのポインタは、拡孔中、方向インジケータとして機能する。拡孔器を用いて形成されるボアＢは、補綴物２１が'915特許で図示したような重複するシリンダを有していないので、'915特許で図示したものほど大きくはない。補綴物２１を最も適合させるボアＢの寸法は、図１８Ｆに関して説明したように仕上げられるが、寸法測定器１１３に類似するが、上側部分において重複するシリンダを有さない近位の寸法測定器（図示せず）が用いられる。近位寸法測定器は、通常、８ｍｍないし２５ｍｍの径を有する。'915特許の図４Ｎおよび図１８Ｆで示す方法と同様に皮質に穿孔するために、ガイドピン１１９と同様のガイドピンが導入される。ただし、チューブ４９を用いず、その代わりに、ピンガイド１１７と同様のピンガイドを受容するために、近位寸法測定器がボアＢ内に係留される。近位寸法測定器は、ピンガイドおよびガイドピンを受容するボアを有し、皮質が穿孔される。この方法において、図１８Ｊないし図１８Ｋを参照してさらに説明されているが、好適には８．０ｍｍの皮質ドリルを用いて、皮質トンネルを穿孔する。

好適にも'915特許で図示されたプレーナ８１’に相当する補綴物２１を移植するためのプレーナが、通常平坦な台座ＳＴを形成するための平坦なボトム部を有する。プレーナは、同様に、大転子に隣接して、ネック部の水平部分に凹状の部分的な円筒状壁Ｗを形成する上で適当な形状を有しており、すなわちプレーナは円筒状を有している。プレーナは、図１８Ｍに関して説明した方法と同様に用いられるが、そこで説明されたトラニオンおよびガイドは、皮質トンネルを貫通して延びる、適当な寸法を有する一体式ガイドと置換される。本願の図２に示すように、プレーナは、ネック部に台座ＳＴを形成するが、部分的な円筒壁Ｗは、大転子Ｔに隣接するが、転子間線ＴＬ（図１Ａ）と実質的に接触または横断することがないので、大転子はそのまま温存される。しかし、'915特許で開示されたように、大転子の一部が切除されて、補綴物２１のラテラル表面がさらに水平方向に延び、大転子と係合することも想定される。

移植前、上述のガイド先端部がステム部３７の孔８５に取り付けられる。ガイド先端部は、弾丸状の先端形状を有するので、後方側方の大腿骨皮質骨を貫通する前に、補綴物が骨に引っかからないようにする上で役立つ。'915特許で説明したように、図２に示すようにステム部をボアＢ内に挿入することにより、補綴物（ボール部３５を除く）が移植される。後方側方の皮質骨を貫通するボアＢは、ステム部３７の中間部分７１の外径より小さい径を有するので、スプライン７５が骨と噛み合う。好適には、ボアＢは、ステム部の外径より約０．５ｍｍ小さい。大腿骨ネック部Ｎを貫通するボアＢは、ステム部の上側部分より約１．０ｍｍ小さくして、スプライン７５が骨、特に皮質骨と噛み合うことが好ましい。上側部分６７（図示せず）および中間部分（図７）のスプラインの谷径ＲＤは、ボアＢの径より小さい。ステム部の末端部７３は、後方側方の皮質骨に設けた斜めの孔から突出しているので、ステム部３７の末端部の上に皮質骨が成長することはない。カラー部２５の下側表面２９は、上述のように、台座ＳＴと実質的に一致した形状を有し、ラテラル表面５３は、大腿骨壁Ｗに実質的に係合するか、少なくとも隣接している。必要ならば、'915特許の図１９Ｂないし図１９Ｄに関して図示および説明した鋸テンプレート１２７を用いて、台座ＳＴと下側表面２９の形状の合同性を改善してもよい。

補綴物２１が移植された後、適当な寸法を有するボール部３５がネック部上に固定される。ボール部３５は、寛骨臼または寛骨臼の補綴カップに受容される。

上述のように、本発明のいくつかの目的が実施され、他の好適な結果が実現される。

本発明または好適な実施形態の構成要素を説明するとき、不定冠詞「１つの（a, an）」や定冠詞「その（the, said）」は、１つまたはそれ以上の要素が存在することを意図するものである。用語「備える（comprising）」、「有する（including）」、および「含む（having）」は、包括的な意味であって、列挙された要素以外の追加的な要素が存在し得ることを意図している。

本発明の精神から逸脱することなく、上述の構成をさまざまに変形することができる。上記に開示し、添付図面で図示した内容はすべて例示的なものであって、限定するものではないと意図されている。

対応する参照符号は、いくつかの図面において全般に対応する構成部品を示す。

図１は、本発明の補綴物の側面平面図である。図１Ａは、処理されていない大腿骨の平面図である。図２は、図１の２−２線の平面から見た断面図であって、大腿骨に移植された状態の補綴物を示す。図３は、補綴物の正面平面図である。図４は、図３の４−４線の平面から見た断面図であって、大腿骨に移植された状態の補綴物を示す。図５は、補綴物の背面図である。図６は、図２に示す破線楕円６の一部拡大図であって、カラー部とステム部を示し、分かりやすくするために大腿骨を省略してある。図７は、図３の７−７線の平面から見た断面図である。図８は、図２に示す破線円８の一部分解拡大図であって、カラー部とステム部を示す。

符号の説明

Ｆ大腿骨、Ｓ大腿骨シャフト部、Ｈ大腿骨ヘッド部、Ｎ大腿骨ネック部、ＴＬ転子間線、Ｔ大転子、Ｃ皮質骨、ＳＣ海面質骨、ＭＣ髄管、ＳＡステム軸、ＳＴ切除台座、Ｗ半円筒状壁、２１補綴物、２５カラー部、２７上側表面、２９下側表面、３３ネック部、３５ボール部、３７ステム部、４５内側凹部、４５ａウェブ、４５ｂフランジ、４７外側凹部、５１メディアル表面、５３ラテラル表面、５５前方表面、６１平坦部（凹部）。

Claims

骨に移植される補綴物であって、
第１表面と、その通常反対側にあって、骨と係合し、骨に力を伝達する第２表面とを有するカラー部と、
第１表面から外側に延び、ボール部を受容するように構成されたネック部と、
カラー部の第２表面から外側に延び、骨に受容されるステム部と、を備え、
カラー部の第２表面は、少なくとも第２表面の実質的な部分における第２表面と大腿骨の力を伝える係合を促進するための凹部を有し、第２表面での応力集中領域における第２表面と骨の係合を制限し、第２表面と骨の間の線接触を阻止することを特徴とする補綴物。
請求項１に記載の補綴物であって、
第２表面は、通常ステム部がカラー部と交差する部位において、第２表面と骨との接触を阻止するように配置されたことを特徴とする補綴物。
請求項２に記載の補綴物であって、
凹部は、ステム部に隣接して配置されることを特徴とする補綴物。
請求項１に記載の補綴物であって、
凹部は、環状であって、ステム部の周囲に延びることを特徴とする補綴物。
請求項１に記載の補綴物であって、
カラー部の水平方向の外側に面した表面は、骨の内部成長を促進するように形成され、骨に移植されたとき補綴物の回転動作を阻止することを特徴とする補綴物。
請求項５に記載の補綴物であって、
水平方向の外側に面した表面は、少なくとも１つの平坦部を有することを特徴とする補綴物。
請求項６に記載の補綴物であって、
カラー部の水平方向の外側に面した表面は、大腿骨ネック部の水平方向の切除された部分と合致するような部分的円筒形状を有することを特徴とする補綴物。
請求項１に記載の補綴物であって、
補綴物は、大腿骨に移植されるように構成され、
ネック部は、大腿骨に移植されたとき、寛骨臼との接触が阻止されるような寸法および形状を有することを特徴とする補綴物。
請求項８に記載の補綴物であって、
ネック部は、大腿骨に移植されたとき、寛骨臼との接触を阻止するような凹部を有することを特徴とする補綴物。
請求項１に記載の補綴物であって、
補綴物は、大腿骨に移植されるように構成され、
ステム部は、大腿骨に移植されたとき、補綴物の長手方向軸および長手方向軸に垂直な方向の複数の軸の周りの動きを固定し、かつステム部の軸方向の固定を禁止するように、ステム部の上に形成された軸方向に延びるスプラインを有することを特徴とする補綴物。
請求項１０に記載の補綴物であって、
スプラインは、ステム部の実質的な長さにわたって延びることを特徴とする補綴物。
請求項１０に記載の補綴物であって、
ステム部は、通常円筒状であって、
ステム部の近位部分は、ステム部の遠位部分より大きい径を有することを特徴とする補綴物。
大腿骨に移植される補綴物であって、
第１表面と、その通常反対側にあって、大腿骨と係合し、大腿骨に力を伝達する第２表面とを有するカラー部と、
第１表面から外側に延び、ボール部を受容するように構成されたネック部と、
カラー部の第２表面から外側に延び、大腿骨に受容されるステム部と、を備え、
カラー部の第２表面は、少なくとも第２表面の実質的な部分における第２表面と大腿骨の力を伝える係合を促進し、かつ通常ステム部がカラー部と交差する部位における大腿骨との接触を阻止して骨の再吸収を阻止するように、ステム部に隣接した凹部を有することを特徴とする補綴物。
請求項１３に記載の補綴物であって、
凹部は、環状であって、ステム部の周囲に延びることを特徴とする補綴物。
請求項１３に記載の補綴物であって、
カラー部の水平方向の外側に面した表面は、骨の内部成長を促進するための少なくとも１つの窪みを有し、骨に移植されたとき、補綴物の回転動作を阻止することを特徴とする補綴物。
請求項１５に記載の補綴物であって、
カラー部の水平方向の外側に面した表面は、水平方向の大腿骨ネック部の切除された部分と合致するような部分的円筒形状を有することを特徴とする補綴物。
請求項１３に記載の補綴物であって、
ネック部は、大腿骨に移植されたとき、寛骨臼との接触が阻止されるような凹部を有することを特徴とする補綴物。