JP4267969B2 - 免震装置のトリガー機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定震度以上の地震が発生したときに、揺れを軽減する免震装置を作動させるトリガー機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
地震時に、揺れ動く床から精密機器や美術品等を載置したラック等へ伝わるエネルギーを吸収し、ラックが激しく揺れることを防ぐ免震装置、及び、その免震装置を作動させるトリガー機構がある。揺れる床に対しラックを摺動させて揺れを小さくする免震装置を作動させるトリガー機構は、通常は、精密機器や美術品等が載置されているラックが床に対して水平方向に摺動しないようにラックを床に連結している。しかし、地震により水平方向の揺れが一定の大きさを超えると、ラックと床との連結部分を外し、ラックが床に対して水平方向に摺動可能な状態にすることにより、免震装置を作動可能な状態にする。これまでに、床とラックとの連結部分に磁石を用いたトリガー機構がある(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−350786公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1のトリガー機構は、床と精密機器や美術品等を載置したラックとに夫々設けた磁石を地面に対して垂直になるように吸着させて床とラックとを連結し、所定震度以上の地震が発生したときに、2つの磁石を引合力に抗して互いに水平方向に引き離し、免震装置を作動可能な状態とする。しかしながら、特許文献1のトリガー機構は、連結部分の磁石を水平方向に引き離すため、ラックが水平方向に摺動して元の位置に戻ってくると、引き離れた磁石が再び接近することで引合し、ラックの摺動を妨げ、免震性能を劣化させる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、免震性能が劣化しない免震装置のトリガー機構を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の免震装置のトリガー機構は、上下に対向配置されて震動時に水平方向に相対変位する上側部材と下側部材との間に配置された第1の部材と、前記第1の部材が水平方向に移動するのを禁止する移動禁止機構と、前記下側部材の上側面に固定された第2の部材と、前記第1の部材を上方に付勢する付勢機構と、昇降機構とを備えており、平常時においては前記第1の部材が前記付勢機構によって上方に付勢されつつ前記第2の部材と接触した状態に保持されており、水平方向への揺れが限界を超えると、前記第1の部材が前記第2の部材から離れて前記付勢機構により付勢されて上昇するように構成されており、前記昇降機構は、前記付勢機構により上昇した前記第1の部材が前記第2の部材と接触するように前記第1の部材を降下させるものであり、前記第1の部材が磁石であり且つ前記第2の部材が磁性体であって、平常時においては前記第1の部材と前記第2の部材とが磁力により接触した状態に保持されていると共に、前記昇降機構が、薄板状磁性体と、前記薄板状磁性体を水平に保持する保持機構と、前記保持機構に保持された前記薄板状磁性体を水平方向に移動させる水平移動機構と、前記保持機構に保持された前記薄板状磁性体を鉛直方向に移動させる鉛直移動機構とを備えている。
【0007】
【0008】
この構成によると、精密機器などを操作するような小さな力では、上側部材と下側部材とが水平方向に相対変位しないが、激しい地震により水平方向の振動が大きい場合は、上側部材と下側部材とを連結している第1の部材と第2の部材が離れて、上側部材と下側部材とが水平方向に相対変位可能となる。また、第1の部材と第2の部材とが上下に離れるため、上側部材と下側部材との水平方向の変位を妨げる恐れがなくなり、免震性能が劣化する可能性を少なくすることができる。
【0009】
また、第1の部材を第2の部材に接触させた状態に容易に戻すことができる。
【0010】
【0011】
さらに、磁石により第1の部材と第2の部材とを接着させるので、接着力が低下することがなく、何度でも接着させることができる。
【0012】
しかも、前記第1の部材が磁石であり且つ前記第2の部材が磁性体であって、平常時においては前記第1の部材と前記第2の部材とが磁力により接触した状態に保持されていると共に、前記昇降機構が、薄板状磁性体と、前記薄板状磁性体を水平に保持する保持機構と、前記保持機構に保持された前記薄板状磁性体を水平方向に移動させる水平移動機構と、前記保持機構に保持された前記薄板状磁性体を鉛直方向に移動させる鉛直移動機構とを備えている。
【0013】
この構成によると、磁力により第1の部材を保持しつつ、水平及び鉛直に移動させることができるため、簡単な構造で第1の部材を第2の部材に接触させることができる。
【0014】
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の参考例に係るトリガー機構を有する免震装置を配置した外観図である。図1に示すように免震装置1は、コンピュータ4と床5との間に配置されている。免震装置1は、コンピュータ4に配設される上部支持台3と、床5に配設される下部支持台2とから構成されている。上部支持台3は、下部支持台2に対して摺動可能である。通常は、上部支持台3と下部支持台2とが摺動不可に固定されている。しかし、地震により水平方向に所定以上の揺れが生じると、上部支持台3と下部支持台2との固定部分が外れ、免震装置1の上部支持台3と下部支持台2とを介して、コンピュータ4は水平に揺れる床5に対して摺動する。これにより、コンピュータ4の揺れを抑えることができる。なお、コンピュータ4に限定されず、美術品等を載置したラックと床との間に免震装置1を配置してもよい。
【0017】
免震装置1の下部支持台2及び上部支持台3の構造について図2〜図5を参照しつつ説明する。図2は、免震装置1の下部支持台2の構造を表した図である。図2(a)は上面図、図2(b)は側面図である。図2(a)及び図2(b)に示すように、下部支持台2は、略正方形の基盤24を有している。さらに、基盤24は、すり鉢状の4つの受け皿部21と、4つのトリガー機構22と、4つの鋼球23とを有している。基盤24の各対角線上には夫々2つの受け皿部21があり、且つ、各受け皿部21が重なり合うことなく凹曲面を上にして配設されている。各受け皿部21の凹曲面の最深部には、鋼球23が載置されている。鋼球23は受け皿部21の凹曲面内を自由に移動可能な状態にある。また、鋼球23は、受け皿部21の最深部に載置されたときに、受け皿部21の周縁よりも高くなるような大きさを有している。トリガー機構22は、基盤24の各辺に平行に隣り合う受け皿部21の間に位置するように、基盤24の各辺沿いの中心部に夫々1つ配置されている。
【0018】
ここで、トリガー機構22について図3を参照しつつ説明する。トリガー機構22とは、通常は上部支持台3を固定し、所定以上の揺れが発生した場合に、固定部分が外れる機構をいう。図3は、トリガー機構22の構造を示す図である。図3(a)はトリガー機構22の上面図、図3(b)はトリガー機構22の正面図、図3(c)は側面図である。トリガー機構22は、底面と側面とがL字型を形成している取付板6と、マグネット7と、取付板6とマグネット7とを取り付けるボルト8及びナット9とを有している。ボルト8は、頭部8aとナット9と噛合するネジ部8bとから構成されている。マグネット7は、上部支持台3の磁性体34(図4参照)に吸着する部分であるマグネットキャッチ71を備えている。取付板6の底面には、基盤24に取り付けるための取付穴10が配設されている。また、取付板6の側面には、上下に伸びた同じ長さのスライド穴11が3つ、横に平行に配設されている。両端のスライド穴11は、同じ高さに配設されており、真中のスライド穴11は、両端よりも低い位置に配設されている。各スライド穴11は、ボルト8のネジ部8bが通過可能で、且つ、ボルト8の頭部8aが通過不可能な大きさの幅を有している。ボルト8は、ネジ部8bがスライド穴11に沿うことにより、上下にのみ移動することができる。
【0019】
図示しないマグネット7の3つの穴と、3つのスライド穴11とが夫々重なるようにし、ボルト8をマグネット7側からこれらの穴に差込み、ネジ部8bを取付板6側に出している。そして、取付板6とマグネット7とを挟み込むように、ナット9をボルト8のネジ部8bに締め付けている。このとき、ナット9は、マグネット7が取付板6に対して摺動するように締め付けられている。また、マグネット7は、マグネットキャッチ71が上側になるように取り付けられている。さらに、横に平行に並ぶ3つのスライド穴11の真中のスライド穴11を異なる高さに配設することにより、マグネット7ががたつくことを防いでいる。これにより、マグネット7は、ボルト8を介して、スライド穴11に沿って水平方向にずれることなく上下にのみ移動する。
【0020】
図4は、免震装置1の上部支持台3の下側から見た平面図である。上部支持台3は、下部支持台2の基盤24とほぼ同じ大きさの正方形の基盤31を有している。基盤31の各辺沿いの中央部には、磁性体34が1つずつ配置され、基盤31は合計4個の磁性体34を有している。これら磁性体34に、トリガー機構22のマグネットキャッチ71が吸着できるような大きさを有している。
【0021】
図5は、上部支持台3と下部支持台2とが連結した免震装置1の側面図である。図5に示すように、上部支持台3は、磁性体34が配置されている面を下側にし、且つ、磁性体34がトリガー機構22のマグネット7上に位置するように下部支持台2に載置されている。このとき、上部支持台3は、下部支持台2の鋼球23の動きに応じて摺動するように、鋼球23上に載置されている。さらに、上部支持台3が摺動しないように、トリガー機構22のマグネットキャッチ71を上部支持台3の磁性体34に吸着させて、上部支持台3を固定している。
【0022】
次に、上部支持台3と下部支持台2とのトリガー機構による固定方法、及び、地震発生時のトリガー機構の動作について、図6を参照しつつ説明する。なお、1つの固定部分について説明するが、他の固定部分も同様である。図6は、下部支持台2のトリガー機構22と上部支持台3との固定部分の拡大図である。上部支持台3は、4つのトリガー機構22のマグネット7と、4つの上部支持台3の磁性体34とが夫々同じ位置となるように、下部支持台2に載置されている。図6(a)に示すように、トリガー機構22のマグネット7を持ち上げて、マグネットキャッチ71を磁性体34に吸着させている。そのため、マグネット7と下部支持台2との間には間隙が形成されている。また、この吸着によって、上部支持台3は摺動することなく下部支持台2に固定される。地震が発生すると、上部支持台3と下部支持台2とには水平方向に負荷がかかる。この水平方向の負荷がマグネット7の吸着力よりも大きくなると、マグネットキャッチ71が磁性体34から外れ、図6(b)に示すように、マグネット7は落下する。マグネット7が外れると、上部支持台3と下部支持台2とを固定している部分がなくなり、上部支持台3は、鋼球23を介して摺動可能となる。マグネット7が落下することにより、摺動している上部支持台3が再び元の位置に戻ってきても、マグネット7のマグネットキャッチ71が上部支持台3の磁性体34に吸着することがない。このため、上部支持台3の摺動を妨げるおそれが少なくなる。
【0023】
次に、落下したトリガー機構22のマグネット7を再び上部支持台3に接着させて、上部支持台3と下部支持台2とを再び固定させる回復機構について説明する。図7は、回復機構12の構造を示す図である。図7(a)は、上面から見た透視図、図7(b)は、側面から見た透視図である。図7に示すように、回復機構12は、昇降機構15と、摺動機構16とを備えている。昇降機構15は、薄板状磁性体14と、上下に長い直方体の筐体15aと、摺動機構16を昇降させる環状のベルト15bとを備えている。筐体15aは1つの側面にはリニアガイド15cを備えている。ベルト15bは、リニアガイド15cの周りを上下に1週するように配置されている。摺動機構16は、筐体16aと、薄板状磁性体14を摺動させる4つの回転板16bとを備えている。筐体16aの側面には、棒状の部材の先端が昇降機構15のベルト15bと係合するように構成された係合部材16cを備えている。係合部材16cはリニアガイド15cから差込まれ、ベルト15bと係合している。薄板状磁性体14の上下に夫々2つの回転板16bが、薄板状磁性体14を挟み込むように配設されている。上下の回転板16bが、互いに逆方向に回転することにより、薄板状磁性体14はどちらかの方向に移動する。昇降機構15のベルト15bが回転することにより、ベルト15bに係合している係合部材16cを介して摺動機構16が上下に移動する。
【0024】
次に、回復機構12の動作について説明する。図8は、落下したマグネット7のマグネットキャッチ71を上部支持台3の磁性体34に吸着させる回復機構の動作を示した図である。回復機構12の摺動機構16が、薄板状磁性体14を上部支持台3とトリガー機構22との間に挿入している。さらに、昇降機構15が、薄板状磁性体14を出来るだけマグネット7に近づくように降下させている(図8(a))。落下したマグネット7は、磁石の引合力により、少し持ち上がりマグネットキャッチ71が薄板状磁性体14に吸着する(図8(b))。マグネット7を吸着させた状態で、回復機構12の昇降機構15が、薄板状磁性体14が上部支持台3に接触するまで、薄板状磁性体14を持ち上げている(図8(c))。その後、摺動機構16が薄板状磁性体14を移動させ、トリガー機構22からゆっくり引き抜くと、マグネットキャッチ71が上部支持台3の磁性体34に引き付けられ、マグネット7は落下することなく、再び上部支持台3の磁性体34に吸着する(図8(d))。これにより、落下したマグネット7を持ち上げて上部支持台3に接着させることができ、何度でも免震装置1の上部支持台3と下部支持台2とを固定することができる。
【0025】
本参考例では、トリガー機構22の落下したマグネット7を持ち上げて上部支持台3に再び接着させる手段として、薄板状磁性体14を用いているが、変形例として、カム機構を用いて、落下したマグネット7を持ち上げるようにしてもよい。ここでカム機構とは、回転運動を往復運動などに変換する機械構造である。図9は、カム機構を備えたトリガー機構22を示す図である。図9に示すように、マグネット7と下部支持台2との間に卵型のカム12を配置する(図9(a))。カム12を配置するときに、カム12を回転させて、上部支持台3の磁性体34に吸着しているマグネット7とカム12との間に空間ができるようする。地震により、マグネットキャッチ71が上部支持台3の磁性体34から外れてマグネット7がカム12上に落下する(図9(b))。カム12は卵型をしているため、カム12を回転させると、カム12上にあるマグネット7が押し上げられて、再び上部支持台3の磁性体34にマグネットキャッチ71を吸着させる(図9(c))。これにより、簡単に落下したマグネット7を持ち上げ、上部支持台3と下部支持台2とを再び固定することができる。
【0026】
以上説明したように、本参考例において、精密機器などを操作するような小さな力では、上部支持台3と下部支持台2とが水平方向に移動しないが、激しい地震により水平方向の振動が大きい場合は、上部支持台3と下部支持台2とを連結しているトリガー機構22のマグネット7が離れて落下又は持ち上げられる。これにより、上部支持台3と下部支持台2とが水平方向に相対変位可能となる。さらに、マグネット7が落下又は上昇するため、摺動している上部支持台3が元の位置に戻ってきても、マグネット7に近づくことがなく、上部支持台3と下部支持台2との水平方向の変位を妨げる恐れが少なくなる。このため、免震性能が劣化する可能性を少なくすることができる。
【0027】
また、上部支持台3と下部支持台2との連結部分にマグネット7を用いることにより、何度でも再接着が可能となる。さらに、薄板状磁性体又はカム機構のような簡単な構造で落下したマグネット7を容易に持ち上げて再び上部支持台3の磁性体部分に吸着させることが出来る。これにより、免震装置1を何度でも使用することが出来る。
【0028】
次に、本発明に係る実施の形態によるトリガー機構について説明する。本実施の形態のトリガー機構は、免震装置1の下部支持台2に備えられず、上部支持台3に備えられているという点で、第1の参考例と相違している。以下、その相違点を中心に説明する。なお、以下の説明において、第1の参考例と同様の部材には同じ符号を付してその説明を省略する。本実施の形態では、トリガー装置22が、免震装置1の上部支持台3の下面の各辺沿いの中央部に1つずつ、合計4つ配設されている。トリガー機構35のマグネット35aは、上下に移動可能に、且つ、マグネットキャッチ35bが下側に位置するように取り付けられている。また、トリガー機構22のマグネットキャッチ35bが吸着するための磁性体34が、下部支持台2の各辺の中央部に夫々1つずつ、合計4つ配設されている。
【0029】
図10は、上部支持台3のトリガー機構35と下部支持台2との固定部分の拡大図である。トリガー装置35のマグネット35aと上部支持台3との間に、バネ13が、マグネット35aを吊るすように配設されている。バネ13に吊るされたマグネット35aのマグネットキャッチ35bが、静止状態のときに、下部支持台2の磁性体34に吸着しないように、バネ13は調整されている。このバネ13の弾性力によりマグネット35aは上下に移動可能となる。図10(a)に示すように、バネ13を伸ばしつつ、マグネットキャッチ35bを下部支持台2の磁性体34に吸着させている。この吸着によって、上部支持台3は摺動することなく下部支持台2に固定される。地震が発生すると、上部支持台3と下部支持台2とには水平方向に負荷がかかる。この水平方向の負荷がマグネット35aの吸着力よりも大きくなると、下部支持台2の磁性体34に吸着しているマグネットキャッチ35bが外れ、図10(b)に示すように、マグネット35aは、バネ13の収縮する力により持ち上げられる。マグネット35aが外れると、上部支持台3と下部支持台2とを固定している部分がなくなり、上部支持台3は摺動可能になる。
【0030】
次に、持ち上げられたトリガー機構35のマグネット35aを再び下部支持台2に接着させて、上部支持台3と下部支持台2とを再び固定させる機構について説明する。図11は、バネ13により持ち上げられたマグネット35aを降下させて下部支持台2の磁性体に吸着させる回復機構の動作を示した図である。回復機構17は、薄板状磁性体14を含む昇降機構18と、摺動機構19とを備えている。昇降機構18は、内部に、薄板状磁性体14を上下に挟み込むように図示しない回転板を配置し、上下の回転板を互いに逆方向に回転させることにより、薄板状磁性体14を移動させる。摺動機構19は、図示しないリニアガイドと環状のベルトを備えており、昇降機構18の一部とベルトが係合し、ベルトが上下に回転することで、リニアガイドに沿って摺動機構19が上下に移動する。回復機構17の摺動機構19が、薄板状磁性体14を下部支持台2とトリガー機構35との間に挿入している。さらに、昇降機構18が、薄板状磁性体14を出来るだけマグネット35aに近づくように上昇させている(図11(a))。マグネット35aは、磁石の引合力により、少し降下しマグネットキャッチ35bが薄板状磁性体14に吸着する。マグネット35aを吸着させた状態で、回復機構17の昇降機構18が、薄板状磁性体14が下部支持台3に接触するまで、薄板状磁性体14を垂直に降下させている(図11(b))。その後、摺動機構19が、薄板状磁性体14を移動させ、トリガー機構35からゆっくり引き抜くと、マグネットキャッチ35bが下部支持台3の磁性体34に引き付けられ、マグネット35aは持ち上がることなく、再び下部支持台2の磁性体34に吸着する(図11(c))。これにより、持ち上げられたマグネット35aを元の位置に戻すことができ、何度でも免震装置1の上部支持台3と下部支持台2とを固定することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態によると、第1の参考例と同様の効果を得ることができる。
【0032】
次に、本発明に係る第2の参考例によるトリガー機構について説明する。本参考例のトリガー機構は、免震装置の上部支持台と下部支持台とを磁石以外の接着力のある部材を用いて固定するという点で、第1の参考例と相違している。以下、その相違点を中心に説明する。なお、以下の説明において、第1の参考例と同様の部材には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0033】
図12は、本参考例に係るトリガー機構と上部支持台との固定部分の拡大図である。トリガー機構26の取付板6の側面に金属板26aが上下のみに移動可能なように取り付けられている。図12(a)に示すように、金属板26aの上面と上部支持台3とに接着剤26bを塗装し、金属板26aを持ち上げて、免震装置1の上部支持台3に接着させている。この接着力により、上部支持台3は下部支持台2に固定される。地震が発生すると、上部支持台3と下部支持台2とには水平方向に負荷がかかる。この水平方向の負荷が金属板26aと上部支持台3とを接着している接着力よりも大きくなると、金属板26aが上部支持台3から外れ、図12(b)に示すように、金属板26aは落下する。これにより、上部支持台3と下部支持台2とを固定している部分がなくなり、上部支持台3は、鋼球23を介して摺動可能となる。
【0034】
以上説明したように、本参考例によると、接着剤26bにより上部支持台3と下部支持台2とを固定するため、上部支持台3、下部支持台2、及び金属板26aの材質を問わない。このため、上部支持台3、下部支持台2、及び金属板26aの材質の選択範囲を広げることができる。
【0035】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更が可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、鋼球を介して上部支持台を摺動させる免震装置に本発明のトリガー装置を備えさせているが、これに限定されず、別の免震装置に備えるようにしてもよい。また、免震装置内に備えず、トリガー装置のみを独立させてコンピュータと床との間に配置するようにしてもよい。さらに、上述の実施の形態では、受け皿部、鋼球、及び、トリガー機構の数又は配設位置を限定しているが、これに限定されることはない。
【0036】
また、上述の参考例では、カム機構のカムが卵型をしているが、これに限定されるものではない。さらに、上述の実施の形態では、上部支持台又は下部支持台が磁性体を備えているが、上部支持台又は下部支持台自体を磁性体としてもよい。
【0037】
上述の実施の形態では、マグネットを持ち上げる手段としてバネを用いているが、バネに限定されることはない。
【0038】
上述の第2の参考例では、接着剤により上部支持台と下部支持台とを固定しているが、これに限定されず、他の接着力のある部材を用いてもよい。具体的には、マジックテープ(登録商標)のようなものを用いてもよい。また、上述の実施の形態では、トリガー機構の固定部分を金属板としているが、これに限定されない。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の免震装置のトリガー機構によると、免震性能が劣化しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の参考例に係るトリガー機構を有する免震装置を配置した外観図である。
【図2】 免震装置の下部支持台の構造を表した図である。
【図3】 トリガー機構の構造を示す図である。
【図4】 免震装置の上部支持台の下側から見た平面図である。
【図5】 免震装置の上部支持台と下部支持台とを連結した側面図である。
【図6】 トリガー機構と免震装置の上部支持台との固定部分の拡大図である。
【図7】 トリガー機構の回復機構の構造を示した図である。
【図8】 図7に示す回復機構の動作を示した図である。
【図9】 カム機構を備えたトリガー機構を示す図である。
【図10】 本発明の実施の形態に係るトリガー機構と下部支持台との固定部分の拡大図である。
【図11】 図10の持ち上げられたマグネットを降下させる手順を示した図である。
【図12】 本発明の第2の参考例に係るトリガー機構と下部支持台との固定部分の拡大図である。
【符号の説明】
1 免震装置
2 下部支持台
3 上部支持台
7 マグネット
22 トリガー機構
34 磁性体
71 マグネットキャッチ
Claims (1)
- 上下に対向配置されて震動時に水平方向に相対変位する上側部材と下側部材との間に配置された第1の部材と、
前記第1の部材が水平方向に移動するのを禁止する移動禁止機構と、
前記下側部材の上側面に固定された第2の部材と、
前記第1の部材を上方に付勢する付勢機構と、
昇降機構とを備えており、
平常時においては前記第1の部材が前記付勢機構によって上方に付勢されつつ前記第2の部材と接触した状態に保持されており、水平方向への揺れが限界を超えると、前記第1の部材が前記第2の部材から離れて前記付勢機構により付勢されて上昇するように構成されており、
前記昇降機構は、前記付勢機構により上昇した前記第1の部材が前記第2の部材と接触するように前記第1の部材を降下させるものであり、
前記第1の部材が磁石であり且つ前記第2の部材が磁性体であって、平常時においては前記第1の部材と前記第2の部材とが磁力により接触した状態に保持されていると共に、
前記昇降機構が、
薄板状磁性体と、
前記薄板状磁性体を水平に保持する保持機構と、
前記保持機構に保持された前記薄板状磁性体を水平方向に移動させる水平移動機構と、
前記保持機構に保持された前記薄板状磁性体を鉛直方向に移動させる鉛直移動機構とを備えていることを特徴とするトリガー機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003150480A JP4267969B2 (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 免震装置のトリガー機構 |
Applications Claiming Priority (1)
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