JP4267777B2 - レイヤ2リンクのハンドリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レイヤ2リンクのハンドリング装置に関する。現在、LANやインターネット等に代表されるTCP/IP通信の需要が拡大するとともに、その通信速度の高速化が求められている。
【0002】
TCP/IP通信の高速化の一手段として、IP通信の下位の物理レイヤとしてATM(Asynchronous Transfer Mode)網等の広帯域網を用いた方式が採用されつつある。本発明は、このようなレイヤ3のIP通信と下位物理レイヤのATM等の広帯域網との間のレイヤ2リンクのパスを扱うハンドリング装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
ATM網におけるパスの接続には、ユーザが通信開始時にその都度相手を指定してパスを接続するSVC(Switched Virtual Connection ;スイッチ切替型接続)パスと、接続相手に事前にパスを設定しておくPVC(Permanent Virtual Connection;固定型接続)パスの2種類がある。
【0004】
SVC(スイッチ切替型接続)パスは、現在の電話網においてユーザが指定した相手の電話番号に従って接続されるパスと同様に、ユーザ側が指定したATM網上の通信相手のアドレスに従ってATMパスが設定され、ユーザ側とATM交換機との間で、パス接続要求等のATMパス設定の制御信号(シグナリング)をI.2931というプロトコルで遣り取りされ設定される。
【0005】
PVC(固定型接続)パスは、通信相手との間に固定的なパスで継続的に設定しておくパスであり、ユーザ側とATM交換機との間でのパス設定のための制御信号の遣り取りは不要であり、パス設定はATM網側のオペレータにより事前に設定される。
【0006】
ユーザ側装置とATM網側装置との間の接続にSVC(スイッチ切替型接続)パスを用いる接続をサポートした装置はまだ少なく、現状ではユーザ側装置とATM網側装置との間の接続にPVC(固定型接続)パスを用いたものが多く、また将来にわたっても、常時接続通信サービスの需要が増えそうなことから、PVC(固定型接続)パスによる接続がなお主な接続形態として普及するものと予想される。
【0007】
PVC(固定型接続)パスを用いて、ユーザ側装置と網サービス提供事業者 (NSP:Network Service Provider)側装置とを接続した接続例を図26に示す。この接続形態においては、各ユーザ側装置の接続先は固定されており、任意の網サービス提供事業者(NSP)を選択して接続することはできない。
【0008】
また、各網サービス提供事業者(NSP)の接続口には多数のPVC(固定型接続)パスが集中し、各網サービス提供事業者(NSP)側装置は多数のPVC(固定型接続)パスを扱わなければならない。しかし、多数のPVC(固定型接続)パスが集中しているにもかかわらず、各PVC(固定型接続)パスには常に一定の帯域を与えなければならないためトラヒック集線を行いにくい。
【0009】
前述のPVC(固定型接続)パス等のATMパス上で、IP(Internet Protocol )フレームのデータを伝送する場合のフレーム構成を図27に示す。同図に示すように、レイヤ3のIPフレームは、レイヤ2のPPP(Point-to-Point Protocol )フレームでカプセリングされ、AAL5(ATM Adaptation Layerタイプ5)により物理層のATMセルに分解される。
【0010】
PPPのプロトコルによる接続は、コネクションオリエンテッドなレイヤ2リンクの一例であり、ユーザ側装置から網サービス提供事業者(NSP)側装置へ1対1のリンクが設定される。ATM網上の一つのPVC(固定型接続)パスには、PPPリンクは一つしか設定することができない。
【0011】
このようなPVC(固定型接続)パスによりユーザ側と網サービス提供事業者(NSP)側とを接続して、IPフレームによるデータ通信サービス等を供給する場合、ATM網側装置には以下のことが要求される。
【0012】
一つのユーザ側装置が接続要求する網サービス提供事業者(NSP)が一つである場合には、各ユーザ側装置と網サービス提供事業者(NSP)側装置との間にそれぞれPVC(固定型接続)パスを1本設定すればよい。
【0013】
しかし、各ユーザは複数の網サービス提供事業者(NSP)に対する接続を希望する場合があり、同時に複数の網サービス提供事業者(NSP)と契約して通信内容によって又はプライベート用と業務用等とによって接続先の網サービス提供事業者(NSP)を使い分けたい場合がある。
【0014】
また、国によっては、キャリア(通信事業者)による網サービス提供事業を禁止し、各キャリア(通信事業者)はユーザが希望する網サービス提供事業者(NSP)へ公平にアクセスを提供することが義務付けられるなど、キャリア(通信事業者)が網サービス提供事業者(NSP)に対する公平なアクセスオープン点をユーザに提供することが要求されている。
【0015】
以上の理由からATM網側装置は、ユーザの要求に応じて任意の網サービス提供事業者(NSP)に対して公平にアクセス可能とする必要があり、ユーザと網サービス提供事業者(NSP)とがPVC(固定型接続)パスによって接続されている場合でも、ユーザが希望する任意の網サービス提供事業者(NSP)へのスイッチング接続を行うことが要求される。
【0016】
更に、各ユーザから網サービス提供事業者(NSP)へ個々にPVC(固定型接続)パスを設定すると、網サービス提供事業者(NSP)に接続されるPVC(固定型接続)パスの数は膨大なものになるため、各網サービス提供事業者(NSP)側装置は膨大なPVC(固定型接続)パスをハンドリングしなければならない。
【0017】
また、トラヒックが網サービス提供事業者(NSP)側装置において集中するにもかかわらず、ATM網上の一つのPVC(固定型接続)パスは、PPPリンクと1対1に対応し、またATMレイヤ上のチャネル識別子が各PVC(固定型接続)パス毎に異なるためトラヒック集線を行いにくい。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、固定型接続パスで接続されたユーザ側装置が複数の特定接続先の中の一つを選択して接続することを可能とすることを目的とし、また一つの物理レイヤ回線上に複数のレイヤ2リンクを設定してトラヒック集線し、効率的な網の運用を可能にし、複数のレイヤ2リンクを論理的に分離したスイッチングを高速に行うことができるレイヤ2リンクのハンドリング装置及びそのパス接続方法を提供する。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明のレイヤ2リンクのハンドリング装置は、(1)網側装置内に設けられ、ユーザ側装置と固定型接続パスで接続され、該ユーザ側装置を複数の特定接続先のうちの一つに固定型接続パス又はスイッチ切替型接続パスを介して接続させるレイヤ2リンクのハンドリング装置において、該ハンドリング装置は、ユーザ側装置からレイヤ2リンクの接続要求時に発出されるレイヤ2リンク情報から、接続要求先の一つのパスを特定するパス特定手段と、ユーザ側装置と接続された前記固定型接続パスを接続要求先の一つのパスに接続させ、ユーザ側装置と特定接続先と間にパスを形成させるパス接続手段と、を備えたものである。
【0021】
また、(2)前記パス接続手段は、ユーザ側装置と接続された固定型接続パスから到来するパケットを、接続要求先の一つのパスにレイヤ2パケットレベルのスイッチングにより振り分けて転送する手段を備えたものである。
【0022】
また、(3)前記パス接続手段は、前記パス特定手段により特定される接続要求先の一つのパスを新規に設定して、ユーザ側装置と特定接続先間のパスを接続する手段を備えたものである。
【0023】
また、(4)前記パス特定手段は、ユーザ側装置からレイヤ2リンクの接続要求時に発出されるレイヤ2リンク情報を基に、該接続要求のレイヤ2リンク毎のラベルをユーザ側装置からのレイヤ2パケットに付与するラベル付与手段を備え、前記パス接続手段は、該ラベル付与手段によるラベル付きレイヤ2パケットを該当特定接続先へのパスヘ、ラベル多重レイヤ2リンクにより転送する手段を備えたものである。
【0024】
また、(5)前記パス接続手段は、ユーザ側装置との固定型接続パスから到来し、レイヤ2リンク毎のラベルが付与されたレイヤ2パケットのラベルを認識し、該ラベルに対応した特定接続先へのパスヘレイヤ2パケットを転送するとともに、特定接続先とのパスから到来するラベル付きレイヤ2パケットのラベルを認識し、該ラベルに対応したユーザ側装置への固定型接続パスヘレイヤ2パケットを転送するものである。
【0025】
また、(6)前記ラベル付与手段は、レイヤ2リンクに対して新規にラベルを付与する際に、任意の空きラベル番号を選択してラベル付きレイヤ2パケットを送出する手段を備え、前記パス接続手段は、該ラベル付きレイヤ2パケット受けた装置側から同一のラベル番号を付与して返送されたラベル付きレイヤ2パケットのリンクを、前記新規にラベルを付与したレイヤ2リンクの対のリンクとして扱うものである。
【0026】
また、(7)前記ラベル付与手段は、ラベル番号を新規に選択して割当てたラベル番号管理側からの送信であることを示すマーキングをラベルに含めて付与する手段を備え、受信側から同一のラベル番号で、ラベル番号非管理側からの送信を示すマーキングが付加されて返送されたラベル付きレイヤ2パケットのリンクを、新規にラベルを付与したレイヤ2リンクの対のリンクとして扱うものである。
【0027】
また、(8)前記ラベル付与手段は、レイヤ2リンクに対して新規にラベルを付与する際に、相手装置側と互いにネゴシエーションを行ってラベル番号を決定する手段を備えたものである。
【0028】
また、(9)前記ラベル付与手段は、レイヤ2リンクに対して新規にラベルを付与する際に、ネットワークの管理運用装置のオペレーションによって指示されるラベル番号のラベルを付与するものである。
【0029】
また、(10)前記パス接続手段は、ユーザ側装置との固定型接続パスから到来し、レイヤ2リンク毎のサービス品質クラス別のラベルが付与されたレイヤ2パケットのラベルを認識し、該ラベルに対応した特定接続先へのパスヘレイヤ2パケットを転送するものである。
【0030】
また、(11)前記パス接続手段は、ユーザ側装置との固定型接続パスから到来し、レイヤ2リンク毎の接続先別のラベルが付与されたレイヤ2パケットのラベルを認識し、該ラベルに対応した特定接続先へのパスヘレイヤ2パケットを転送するものである。
【0031】
また、(12)前記パス接続手段は、ユーザ側装置との固定型接続パスから到来するレイヤ2リンクパケット内のIPパケット中の配送サービス種類に応じて付与されたレイヤ2パケットのラベルを認識し、該ラベルに対応した特定接続先へのパスヘレイヤ2パケットを転送するものである。
【0032】
また、(13)パス特定手段は、ユーザ側装置からレイヤ2リンクの接続要求時に発出されるレイヤ2リンク情報から要求接続先名を抽出する手段と、該接続先名から接続アドレスヘ変換する変換テーブルとを備え、前記パス接続手段は、該変換テーブルから得られる接続アドレスを用いてユーザ側装置と特定接続先間のパスを接続させる手段を備えたものである。
【0033】
また、(14)前記パス特定手段におけるレイヤ2リンク情報から接続要求先の一つのパスを特定する処理を、プロセッサによるソフトウェア制御で行い、一つの接続先パスを特定した後の前記該接続先パスへユーザ側装置の固定型接続パスを接続するパス接続手段をハードウェアによるスイッチング手段で構成したものである。
【0034】
また、(15)上記の構成は適宜組合せることが可能で、更にユーザ側の網終端装置又は網側の加入者線集線装置に設けられるレイヤ2リンクのハンドリング装置にも適用されるものである。
【0035】
また、本発明のレイヤ2リンクのパス接続方法は、(16)ユーザ側装置と固定型接続パスで接続されたレイヤ2リンクのハンドリング装置を備え、該ハンドリング装置は、ユーザ側装置からレイヤ2リンクの接続要求時に発出されるレイヤ2リンク情報から要求接続先名を抽出し、該接続先名から変換テーブルにより接続アドレスを抽出し、該接続アドレスを固定型接続パスで接続されたユーザ側装置へ通知し、ユーザ側装置は通知された接続先アドレスを網側装置へ送出し、網側装置は該接続先アドレスに基づいてユーザ側装置と接続先とを固定型接続パス又はスイッチ切替型パスのスイッチングにより接続するものである。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のレイヤ2ハンドリング装置の説明図である。網側装置(例えば、加入者線集線装置等)1−10内にレイヤ2ハンドリング装置1−11を設け、該レイヤ2ハンドリング装置1−11により、PVC(固定型接続)パスで接続されたユーザ側装置を、網サービス提供事業者(NSP)等の複数の特定接続先のパスの一つに選択的に接続するようにしたものである。
【0037】
ユーザ側装置は網側装置1−1とPVC(固定型接続)パスで接続され、該PVC(固定型接続)パスはATMスイッチ1−12等を経由してレイヤ2ハンドリング装置1−11に接続される。
【0038】
レイヤ2ハンドリング装置1−11は、ユーザ側装置のレイヤ2リンク(PPP等)接続開始時に、ユーザ側装置より発出されるレイヤ2リンク確立のための情報に基づいて特定接続先のパスの一つを識別し、該識別した特定接続先のパスへユーザ側装置から送出されたレイヤ2パケット(PPPパケット等)を、ATMスイッチ1−12等を経由して送出する。
【0039】
なお、ここではATM網のPVC(固定型接続)パス上のレイヤ2リンクを例に挙げて説明するが、レイヤ1の物理層はATM網に限らず、SONET,Ethernet(登録商標)、フレームリレー等のネットワークであってもよい。このことは、以下の実施形態全てにおいても同様である。以下、選択的に特定接続先に接続するレイヤ2ハンドリング装置の具体的実施形態について説明する。
【0040】
図2は本発明のATMスイッチングによるPVC(固定型接続)パス設定の実施形態の説明図である。各ユーザ側装置#1〜#5とレイヤ2ハンドリング装置2−11との間は、PVC(固定型接続)パスで接続され、レイヤ2ハンドリング装置2−11と網サービス提供事業者(NSP−A,NSP−B)側装置との間がPVC(固定型接続)パスで接続された場合において、レイヤ2ハンドリング装置2−11は、各ユーザ側装置#1〜#5からのPVC(固定型接続)パスを、それぞれ、網サービス提供事業者(NSP−A,NSP−B)側装置等の一つの特定接続先のパスへ、ATMレベル(ATMセル単位)でのスイッチングにより接続する。
【0041】
図3は本発明のレイヤ2スイッチングによるPVC(固定型接続)パス設定の実施形態の説明図である。前述の実施形態と同様に、レイヤ2ハンドリング装置3−11と網サービス提供事業者(NSP−A,NSP−B)側装置との間がPVC(固定型接続)パスで接続された場合において、レイヤ2ハンドリング装置3−11は、各ユーザ側装置#1〜#5からのPVC(固定型接続)パスを、それぞれ、網サービス提供事業者(NSP−A,NSP−B)側装置等の一つの特定接続先のパスへ、レイヤ2パケットレベル(PPPパケット等のパケット単位)でスイッチングして接続する。
【0042】
図4は本発明のATMスイッチングによるSVC(スイッチ切替型接続)パス設定の実施形態の説明図である。各ユーザ側装置#1〜#5とレイヤ2ハンドリング装置4−11との間はPVC(固定型接続)パスで接続され、レイヤ2ハンドリング装置4−11と網サービス提供事業者(NSP−A,NSP−B)側装置との間がSVC(スイッチ切替型接続)パスで接続される場合において、レイヤ2ハンドリング装置4−11は、ユーザ側装置のレイヤ2リンク接続開始時に、ユーザ側装置より発出されるレイヤ2リンク確立のための情報等から、網サービス提供事業者(NSP)等の一つの接続先を特定する。
【0043】
レイヤ2ハンドリング装置4−11は該特定接続先に対して、シグナリング手順によりSVC(スイッチ切替型接続)パスを新規に設定する。レイヤ2ハンドリング装置4−11は、ユーザ側装置との間のPVC(固定型接続)パスを、網サービス提供事業者(NSP)等の一つの特定接続先のSVC(スイッチ切替型接続)パスへ、ATMレベル(ATMセル単位)でのスイッチングにより設定する。
【0044】
図5は本発明のレイヤ2スイッチングによるSVC(スイッチ切替型接続)パス設定の実施形態の説明図である。図4に示した実施形態と同様に、レイヤ2ハンドリング装置5−11は、ユーザ側装置のレイヤ2リンク接続開始時に、ユーザ側装置より発出されるレイヤ2リンク確立のための情報等から、網サービス提供事業者(NSP)等の一つの接続先を特定する。
【0045】
レイヤ2ハンドリング装置5−11は該特定接続先に対して、シグナリング手順によりSVC(スイッチ切替型接続)パスを新規に設定する。レイヤ2ハンドリング装置5−11は、ユーザ側装置との間のPVC(固定型接続)パスから到来するレイヤ2パケット(PPPパケット等)を、網サービス提供事業者(NSP)等の一つの特定接続先のSVC(スイッチ切替型接続)パスへ、レイヤ2パケットレベルでスイッチングして、ユーザ側装置と一つの特定接続先との間のレイヤ2接続を行う。
【0046】
図6 は本発明のラベル付与によるレイヤ2スイッチングの第1の実施形態を示す図である。各ユーザ側装置#1〜#5とレイヤ2ハンドリング装置6−11との間はPVC(固定型接続)パスで接続され、レイヤ2ハンドリング装置6−11と網サービス提供事業者(NSP−A,NSP−B)側装置との間はPVC (固定型接続)パス又はSVC(スイッチ切替型接続)パスで接続される場合において、レイヤ2ハンドリング装置6−11は、ユーザ側装置のレイヤ2リンク接続開始時に、ユーザ側装置より発出されるレイヤ2リンク確立のための情報等から一つの接続先を特定する。
【0047】
レイヤ2ハンドリング装置6−11内において、ユーザ側装置とのPVC(固定型接続)パスから到来するレイヤ2パケット(PPPパケット等)に対して、個々のレイヤ2リンクを識別するラベルを付与し、そのラベル付きレイヤ2パケットを、レイヤ2パケットレベルでスイッチングし、該当特定接続先の一つのパスの中へ、複数のレイヤ2リンクを多重化して、ユーザ側装置と特定接続先と間のレイヤ2接続を行う。
【0048】
また、通常、レイヤ2パケットであるPPPパケット等は、一つの物理レイヤ回線上に一つのリンクしか設定することができないが、ラベル付きレイヤ2パケットに変換することにより、一つの物理レイヤ回線上に複数のレイヤ2リンクを設定することが可能となる。
【0049】
そして、ATMパス等の一つの物理レイヤ回線上に、複数のレイヤ2リンクを多重化して設定することにより、トラヒック多重化効果が奏せられ、ATM網の回線(VC)等の一つの物理レイヤ回線が有効に利用され、その数の削減を図ることができる。
【0050】
図7は本発明のラベル付与によるレイヤ2スイッチングの第2の実施形態を示す図である。各ユーザ側装置#1〜#5とレイヤ2ハンドリング装置7−11との間はPVC(固定型接続)パスで接続され、レイヤ2ハンドリング装置7−11と網サービス提供事業者(NSP−A,NSP−B)側装置との間はPVC (固定型接続)パス又はSVC(スイッチ切替型接続)パスで接続される。
【0051】
各ユーザ側装置#1〜#5は、個々のレイヤ2リンクを区別するためのラベルを付与したラベル付きレイヤ2パケットを、一つのPVC(固定型接続)パスに発出する。即ち、ユーザ側装置とレイヤ2ハンドリング装置7−11との間の一つのPVC(固定型接続)パス上に、異なるラベルを付与したレイヤ2リンクが多重化されて設定される。
【0052】
レイヤ2ハンドリング装置7−11は、ユーザ側装置のレイヤ2リンク接続開始時に、ユーザ側装置より発出されるレイヤ2リンク確立のための情報等から一つの接続先を特定する。
【0053】
レイヤ2ハンドリング装置7−11は、ユーザ側装置とのPVC(固定型接続)パスから到来するラベル付きレイヤ2パケット(PPPパケット等)に対してラベルの変換を行い、そのラベル付きレイヤ2パケットを該ラベルに対応した特定接続先のパスの一つへレイヤ2パケットレベルでのスイッチングを行い、前述の図6に示した実施形態と同様に、レイヤ2ハンドリング装置7−11と特定接続先との間の多重化されたレイヤ2リンクのパスにより、ユーザ側装置と該当接続先とを接続する。
【0054】
ユーザ側装置との間の一つのPVC(固定型接続)パス上に、複数のレイヤ2リンクを多重化することにより、トラヒック多重化効果が奏せられ、該PVC (固定型接続)パスを効率よく有効に利用することができる。
【0055】
図8は本発明のレイヤ2リンク確立処理の説明図である。レイヤ2ハンドリング装置(L2H)は、ユーザ側装置(User)のレイヤ2リンク接続開始時に、ユーザ側装置(User)より発出されるレイヤ2リンク確立のための情報等から一つの接続先を特定するまでのネゴシネーション等を含む複雑な処理はソフトウェアによる処理を行い、一つの接続先を特定した後のPVC(固定型接続)パス又はSVC(スイッチ切替型接続)パスのスイッチング処理はハードウェアにより高速スイッチングを行う構成とすることができる。
【0056】
図9は本発明のATMスイッチによるPVC(固定型接続)パス設定の実施形態の説明図である。レイヤ2ハンドリング装置9−11は、図の(a)に示すように、ATMスイッチ9−12を介して、各ユーザ側装置とPVC(固定型接続)パスで接続され、ユーザ側装置のレイヤ2リンク接続開始時に、ユーザ側装置より発出されるレイヤ2リンク確立のための情報等から、網サービス提供事業者(NSP)等の一つの接続先を特定する。
【0057】
レイヤ2ハンドリング装置9−11は、特定した接続先をATMスイッチ9−12に指示し、ATMスイッチ9−12は、図の(b)に示すように、指示された特定接続先にATMレベルでスイッチングを行い、ユーザ側装置からPVC (固定型接続)パスを特定接続先に接続する。
【0058】
ATMレベルでの接続をレイヤ2ハンドリング装置9−11内で行うのではなく、ATMスイッチ9−12へ指示して行うことにより、特定接続先の選定まではレイヤ2ハンドリング装置9−11で処理し、該特定接続先へ接続するスイッチングはATMスイッチ9−12を利用して行うように構成したものである。
【0059】
図10は本発明のATMアドレスへの変換テーブルを備えた第1の実施形態の説明図である。図の(a)に示すように、ユーザ側装置とレイヤ2ハンドリング装置10−11との間、及びレイヤ2ハンドリング装置10−11と網サービス提供事業者(NSP)側装置との間は、ATMスイッチ10−12を介してPVC(固定型接続)パスで接続されている。
【0060】
レイヤ2ハンドリング装置10−11は、図の(b)に示すように、網サービス提供事業者(NSP)名等の特定接続先名から、該特定接続先に対応したPVC(固定型接続)パスのATMアドレスヘの変換テーブルを備える。
【0061】
レイヤ2ハンドリング装置10−11は、ユーザ側装置とのレイヤ2リンク接続開始時に、ユーザ側装置より発出されるレイヤ2リンク確立のための情報内に含まれる網サービス提供事業者(NSP)名等の特定接続先名から、前述の変換テーブルを用いて該接続先に対応するATMアドレスを得、該ATMアドレスを基にATM接続を行う。
【0062】
このような構成により、ユーザ側装置は特定接続先のATMアドレスを認識していなくても、PVC(固定型接続)パスにより接続された網サービス提供事業者(NSP)等の特定接続先に選択的に接続することが可能となる。
【0063】
図11は本発明のATMアドレスへの変換テーブルを備えた第2の実施形態の説明図である。図の(a)に示すように、ユーザ側装置とレイヤ2ハンドリング装置11−11との間は、ATMスイッチ11−12を介してPVC(固定型接続)パスで接続され、レイヤ2ハンドリング装置11−11と網サービス提供事業者(NSP)側装置との間は、ATMスイッチ11−12を介してSVC(スイッチ切替型接続)により接続される。
【0064】
レイヤ2ハンドリング装置11−11は、図の(b)に示すように、網サービス提供事業者(NSP)名等の特定接続先名から、該特定接続先に対応したSVC(スイッチ切替型接続)パスのATMアドレスヘの変換テーブルを備える。
【0065】
レイヤ2ハンドリング装置11−11は、ユーザ側装置とのレイヤ2リンク接続開始時に、ユーザ側装置より発出されるレイヤ2リンク確立のための情報内に含まれる網サービス提供事業者(NSP)名等の特定接続先名から、前述の変換テーブルを用いて該接続先に対応するATMアドレスを得、該ATMアドレスをユーザ側装置へ通知する。
【0066】
ユーザ側装置は、その通知されたATMアドレスをATMスイッチ11−12に送出し、ATMスイッチ11−12は該ATMアドレスに基いて、図の(c)に示すように、網サービス提供事業者(NSP)等の特定接続先へSVC(スイッチ切替型接続)パスを設定する。
【0067】
このような構成により、ユーザ側装置は特定接続先のATMアドレスを認識していなくても、PVC(固定型接続)パスで接続されたATMスイッチ11−12を介して、網サービス提供事業者(NSP)等の特定接続先に選択的に接続することが可能となる。
【0068】
図12は本発明のラベル付与機能を有するユーザ側の網終端装置の説明図である。ユーザ側の網終端装置(ONU:Optical Network Unit等)12−10において、ユーザ側装置より発出されるレイヤ2リンク確立のための情報等から一つの接続先を特定する。
【0069】
ユーザ側の網終端装置12−10内において、ユーザ側装置のPVC(固定型接続)パスから到来するレイヤ2パケット(PPPパケット等)に対して、個々のレイヤ2リンクを識別するラベルを付与し、そのラベル付きレイヤ2パケットを網側のPVC(固定型接続)パスへ振り分け、網側のPVC(固定型接続)パスに複数のレイヤ2リンクを多重化して、ユーザ側と網側とを接続する。
【0070】
通常、レイヤ2パケットであるPPP等のプロトコルパケットのリンクは、一つの物理レイヤ回線上に一つしか張ることができない。しかし、レイヤ2パケットをラベル付きレイヤ2パケットに変換することにより、一つの物理回線上に複数のレイヤ2リンクを張ることが可能となる。
【0071】
このような構成により、ユーザ側装置はラベル付きレイヤ2リンクに何ら対処することなく、通常のPPP等のプロトコルによるレイヤ2パケットを扱いながら、網側に対して少ないPVC(固定型接続)パスの契約での多数のレイヤ2パケットリンクを設定することが可能となる。
【0072】
図13は本発明のPVC(固定型接続)及びSVC(スイッチ切替型接続)のパスに対するレイヤ2スイッチングの実施形態を示す図である。各ユーザ側装置#1〜#5とレイヤ2ハンドリング装置13−11との間は、PVC(固定型接続)パスで接続され、レイヤ2ハンドリング装置13−11と一部の網サービス提供事業者(NSP−A)側装置との間がPVC(固定型接続)パスで、他の網サービス提供事業者(NSP−B)側装置との間がSVC(スイッチ切替型接続)パスで接続される場合において、レイヤ2ハンドリング装置13−11は、ユーザ側装置より発出されるレイヤ2リンク確立のための情報等から、網サービス提供事業者(NSP)等の一つの接続先を特定する。
【0073】
レイヤ2ハンドリング装置13−11は、該当する特定接続先がPVC(固定型接続)パスで接続されている場合は、該PVC(固定型接続)パスへレイヤ2パケットを送出するが、該当する特定接続先がPVC(固定型接続)パスで接続されていない場合は、当該特定接続先にSVC(スイッチ切替型接続)パスを用いて新規にパスを設定する。
【0074】
このようなレイヤ2ハンドリング装置13−11を用い、多数のユーザ側装置と接続される網サービス提供事業者(NSP)等の特定接続先に対してのみPVC(固定型接続)パスにより接続し、少数のユーザ側装置としか接続されない特定接続先に対しては、SVC(スイッチ切替型接続)パスで接続することにより、PVC(固定型接続)パスとSVC(スイッチ切替型接続)パスとを効率良く使分け、経済的に網サービス提供事業者(NSP)等の特定接続先へのパスを設定することができる。
【0075】
図14は任意のラベルを付与する本発明の実施形態の説明図である。前述の図6又は図7等に示した実施形態におけるラベル付与において、レイヤ2リンクに新規にラベルを付与してラベル付きパケットを送出する側の装置が、任意の空きラベル番号を選択してレイヤ2パケットに付与し、該ラベル付きレイヤ2パケットを受信した装置は、その受信リンクと対になる返送方向のリンクに該付与ラベルの番号と同一番号のラベルを付与する。
【0076】
今、図14の(a)に示すように、網側装置14−10内のレイヤ2ハンドリング装置14−11は、網サービス提供事業者(NSP−A)との間にラベル #1を付与したレイヤ2リンクが設定されているときに、新たなリンクaを張る場合、レイヤ2ハンドリング装置14−11は、現在使われていない任意のラベル#2を選択して割当て、該ラベル#2を付与したレイヤ2パケットを送信する。
【0077】
ラベル#2付きのレイヤ2パケットを受けた網サービス提供事業者(NSP−A)は、図の(b)に示すように、ラベル#2付きのレイヤ2パケットを受信したリンクと対になるレイヤ2ハンドリング装置14−11に対するリンクには、受信したレイヤ2パケットと同一のラベル#2を付与する。このようなラベル付与方式により、双方向のレイヤ2リンクに対して簡易にラベル付与を行うことができる。
【0078】
図15は衝突防止を図ったラベル付与を行う本発明の実施形態の説明図である。前述の対となるレイヤ2リンクに同一のラベル番号を付与する場合において、最初に任意の空きラベル番号を選択してラベル付きレイヤ2パケットを送出する側と、該ラベル付きレイヤ2パケットを受けた側で対のリンクに同じラベル番号を付与して送出する側とで、それぞれラベルに異なるマーキングを行うものである。
【0079】
今、図15の(a)に示すように、レイヤ2ハンドリング装置15−11は、網サービス提供事業者(NSP−A)との間にラベル#1−0とラベル#1−1とを付与した双方向のレイヤ2リンクが設定されているときに、新たなリンクaを設定する場合、レイヤ2ハンドリング装置15−11は、現在使われていない任意のラベル#2−0を選択して割当て、該ラベル#2−0を付与したレイヤ2パケットを送信する。
【0080】
このとき、同時に網サービス提供事業者(NSP−A)装置側からもリンクbを設定する動作が開始され、そのときたまたま同一のラベル#2−0を選択して付与したとすると、両者は別個のリンクであるにもかかわらず、レイヤ2ハンドリング装置15−11はリンクaの対のリンクとして認識してしまう。
【0081】
そこで、自装置で選択して割り当てたラベル番号には例えば“0" のマーキングを付与したラベル番号のラベル付きレイヤ2パケットを送信し、そのマーキングが付与されたレイヤ2パケットを受信した相手装置では、対のリンクに対して送出するレイヤ2パケットのラベル番号に例えば“1" のマーキングを行う。
【0082】
すると図の(b)に示すように、レイヤ2ハンドリング装置15−11は、ラベル番号#2−0を付与したリンクaの対のリンクに送信されるレイヤ2のパケットには、ラベル番号#2−1が付与されているはずであるから、網サービス提供事業者(NSP−A)側装置が新たに設定しようとするリンクbとして付与されるラベル番号#2−0と区別することができ、簡易なラベル付与方式でありながら、両側装置それぞれで独立にラベル管理を行っていても、ラベル番号の衝突を回避することができる。
【0083】
図16はネゴシエーションによりラベル付与を行う本発明の実施形態の説明図である。図の(a)に示すように、レイヤ2ハンドリング装置16−11は、網サービス提供事業者(NSP−A)との間にラベル#1を付与したレイヤ2リンクが設定されているときに、新たなリンクを設定する場合、網サービス提供事業者(NSP−A)と互いにラベル番号に関してネゴシエーションを行い、図の (b)に示すように、現在使われていない任意のラベル#2を選択して決定し、ラベル#2の双方向のリンクを設定する。ネゴシエーションにより衝突のないラベル付与を行うことができる。
【0084】
図17はネットワークオペレーションによりラベル付与を行う本発明の実施形態の説明図である。図の(a)に示すように、レイヤ2ハンドリング装置17−11と網サービス提供事業者(NSP−A)との間に新たなリンクを設定する場合、ネットワークの管理運用装置のオペレーションにより、付与するラベルを指示する。
【0085】
レイヤ2ハンドリング装置17−11及び網サービス提供事業者(NSP−A)は、ネットワーク管理運用装置のオペレーションにより指示されたラベルをレイヤ2リンクに付与することにより、衝突のないラベル付与を行うことができる。
【0086】
図18はサービス品質クラス(QoS)別のラベル付与を行う本発明の実施形態の説明図である。ユーザ側装置又はユーザ側網終端装置(ONU)は、要求するQoS(Quality of Service)別のラベルを付与してレイヤ2パケットを送出し、レイヤ2ハンドリング装置18−11は、そのラベルを基に各QoS別のPVC(固定型接続)パスへ振り分けを行う。このとき、ラベル変換も行い、一つのPVC(固定型接続)パス上に同じQoSクラスのレイヤ2パケットを多重して送出する。
【0087】
図19は接続先別のラベル付与を行う本発明の実施形態の説明図である。ユーザ側装置又はユーザ側網終端装置(ONU)は、接続先別のラベルを付与してレイヤ2パケットを送出し、レイヤ2ハンドリング装置19−11は、そのラベルを基に各接続先別のPVC(固定型接続)パスへ振り分けを行う。このとき、ラベル変換も行い、一つのPVC(固定型接続)パス上に同じ接続先のレイヤ2パケットを多重して送出する。
【0088】
図20は配送サービスの種類(ToS:Type of Service )別のラベル付与を行う本発明のレイヤ2ハンドリング装置の説明図である。レイヤ2ハンドリング装置20−11は、レイヤ2パケット内のIPパケットにおける配送サービス種類(ToS)のフィールドの値を基に、ToSフィールド値よりQoS別のラベルをレイヤ2パケットに付与して送出する。
【0089】
ここで、配送サービス種類(ToS)は、ユーザ側装置から要求される配送経路の種類の情報で、それに応じてできるだけ遅延の少ない経路を使用するか、できるだけスループットの大きい経路を使用するか、又はできるだけ信頼性の高い経路を使用するか等の配送経路選択が行われる。
【0090】
網サービス提供事業者(NSP−A,B)へパスを接続するアクセス網は、その付与されたラベルに応じてQoS制御を行う。ユーザ側装置からのパケットにQoS別のラベルを付与することにより、アクセス網において、柔軟なQoS制御が可能となる。
【0091】
図21は配送サービスの種類別のラベル付与を行う本発明のユーザ側網終端装置(ONU)の説明図である。ユーザ側網終端装置(ONU)21−10は、レイヤ2パケット内のIPパケットにおける配送サービス種類(ToS)のフィールド)の値を基に、ToSフィールド値よりQoS別のラベルをレイヤ2パケットに付与して送出する。
【0092】
網サービス提供事業者(NSP−A,B)へパスを接続するアクセス網は、その付与されたラベルに応じてQoS制御を行う。ユーザ側装置からのパケットにQoS別のラベルを付与することにより、アクセス網において、柔軟なQoS制御が可能となる。
【0093】
図22は加入者線集線装置(OLT:Optical Line Terminator )内に本発明のレイヤ2ハンドリング装置を設けた実施形態を示す。加入者線集線装置(OLT)22−10内に、レイヤ2ハンドリング装置22−11とATMスイッチ22−12とを備え、ユーザ側装置とレイヤ2ハンドリング装置22−11間にATMスイッチ22−12を介してPVC(固定型接続)パスを張っておく。
【0094】
また、レイヤ2ハンドリング装置22−11と、網サービス提供事業者側装置(NSP−X)及び網サービス提供事業者側装置(NSP−Y)との間にATMスイッチ22−12を介してPVC(固定型接続)パスを張っておく。レイヤ2ハンドリング装置22−11の構成例を以下に説明する。
【0095】
図23は本発明のレイヤ2ハンドリング装置の構成例の説明図である。図の (a)は構成例を示し、図の(b)はソフトウェア処理時のレイヤ2パケットの通過経路を示し、図の(c)はハードウェア処理時のレイヤ2パケットの通過経路を示している。
【0096】
パッケージインタフェース部23−11は、ATMスイッチからのセルを受け取り、PPP等のレイヤ2パケットを組み立てる。また、レイヤ2パケットをATMセルに分解しATMスイッチへ渡す。
【0097】
レイヤ2パケットスイッチング部23−12は、PPP等のレイヤ2パケットのスイッチング及びラベル付与を行うハードウェアであり、レイヤ2パケットのうち、ネゴシエーションが必要なパケットに関しては、図の(b)に示すようにレイヤ2パケットソフト処理部23−13へ処理を渡し、接続先が特定されたリンクのパケットに対しては図の(c)に示すようにスイッチング及びラベル付与を行い、パッケージインタフェース部23−11を介してATMスイッチにパケットを送出する。
【0098】
レイヤ2パケットソフト処理部23−13は、ネゴシエーションの必要なパケットを受け取り、ネゴシエーション処理を行う。その過程で、ユーザ側から希望する接続先を特定し、レイヤ2パケットスイッチング部23−12の制御を行う。
【0099】
図24は本発明のレイヤ2ハンドリング装置の動作の説明図である。ユーザAがPPPのレイヤ2プロトコルの送信シーケンスを開始する。まず、PPPのコネクション設定のために、LCP_ConfReqパケットをPPPオーバーATMの形式でレイヤ2ハンドリング装置へのPVC上へ送出する(24−1)。
【0100】
このパケットはレイヤ2ハンドリング装置(L2H)で受信され、レイヤ2ハンドリング装置では、ATMインタフェースでPPPパケットが取り出され、レイヤ2スイッチエンジンを通って、レイヤ2制御部で受信される。レイヤ2制御部では、このパケットのソフトウェア処理を開始し、ユーザ側にLCP_ConfAckパケットを返送する(24−2)。
【0101】
また、レイヤ2ハンドリング装置は認証シーケンスとして、CHAP_Challengeパケットを送出する(24−3)。ユーザAはこれに対応して、ユーザIDおよびパスワードを送出する(24−4)。このときユーザAは、自分のユーザIDを“aaa@nspx" の形式で送出する。
【0102】
これは、ユーザID“aaa" の後ろに@及び接続先網サービス提供事業者(NSP)名“nspx" を指定した形式である。この形式のユーザIDをレイヤ2制御部が受信することにより、レイヤ2制御部はこのユーザと接続すべき網サービス提供事業者(NSP)名“nspx" を特定する。
【0103】
レイヤ2ハンドリング装置は、接続すべき網サービス提供事業者“nspx" へのPVC(固定型接続)パスを用いて、コネクション設定のためのLCP_ConfReqパケットをラベル付きPPPオーバーATMの形式で、網サービス提供事業者“nspx" へ送出する。
【0104】
このとき、レイヤ2制御部は網サービス提供事業者“nspx" へのPVC (固定型接続)パスの中で使われていないラベル番号、ここでは[2]を、ラベル管理表から得る。そしてそのラベル番号に、ラベル番号管理側からの送出であるという意味のマーキング[0]を含めて、[2−0]のラベルとして送出する(24−5)。
【0105】
網サービス提供事業者“nspx" の装置では、ラベル[2−0]のPPPパケットのLCP_ConfReqを受けて、受信したラベル[2−0]に対応する送信パケットのラベル[2−1]を付加して、PPPパケットのLCP_ConfAckを返す(24−6)。ここで、ラベル[2−1]は、ラベル番号が2で、ラベル番号非管理側からの送出であるという意味のマーキング[1]を付加したものである。
【0106】
レイヤ2ハンドリング装置では、ラベル[2−1]を付与されたPPPパケットを受信すると、該パケットを[2−0]の対になるパケットであると認識して処理を行う。
【0107】
このように、レイヤ2ハンドリング装置と網サービス提供事業者(NSP)間で、PPPパケットにラベルを付与することによって、一つのPVC(固定型接続)パス上に複数のPPPパケットを多重化することが可能となる。また、ラベル番号の管理側か、非管理側かを識別するマーキングを付加することにより、それぞれの装置で別々にラベル番号の管理を行っていても、ラベルの衝突は発生しない。
【0108】
次にレイヤ2ハンドリング装置は、網サービス提供事業者“nspx" へ、ユーザAのIDとパスワードとを送出する(24−7)。そしてレイヤ2ハンドリング装置のレイヤ2制御部は、レイヤ2スイッチエンジン部に対して、以下のハードウェア動作を設定する。
【0109】
ユーザAのPVC(固定型接続)パスから到来したPPPパケットは、網サービス提供事業者“nspx" へのPVC(固定型接続)パスへ[2−0]のラベルを付与したPPPパケットとして転送する(24−9,24−11)。
【0110】
網サービス提供事業者“nspx" のPVC(固定型接続)パスから到来した[2−1]のラベルを付与したPPPパケットは、該ラベルを除去し、ユーザAのPVC(固定型接続)パスへ転送する(24−8,24−10,24−12)。
【0111】
この設定により、以後のユーザAと網サービス提供事業者“nspx" 間のPPPパケット通信は、レイヤ2ハンドリング装置を経由したハードウェアによる転送が行われることになる。
【0112】
この通信手順を用いることにより、PVC(固定型接続)パスでありながら網サービス提供事業者(NSP)の選択機能を実現することが可能となり、またトラヒック集線効果による、効率的な網の運用が可能となる。
【0113】
図25は本発明のラベル付きレイヤ2パケットのフォーマット例を示す。図の(a)は通常のPPPオーバーATMのパケットフォーマットを示し、図の(b)はラベル付きPPPオーバーATMのパケットフォーマットを示す。図の(b)の“Label" と示す領域に付与ラベルが格納される。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、固定型接続パスで接続されたユーザ側装置からレイヤ2リンクの接続要求時に発出されるレイヤ2リンク情報から、接続要求先の一つのパスを特定し、ユーザ側装置の固定型接続パスを接続要求先の一つのパスに接続することにより、ユーザ側装置が固定型接続パスで接続されていても、特定接続先の一つを選択して接続することが可能となる。
【0115】
また、通常、レイヤ2パケットは、一つの物理レイヤ回線上に一つのリンクしか設定することができないが、レイヤ2パケットをラベル付きレイヤ2パケットに変換することにより、一つの物理レイヤ回線上に複数のレイヤ2リンクを設定することが可能となり、トラヒック多重化効果による効率的な網の運用が可能となる。
【0116】
また、付与ラベルと特定接続先とを対応付けることにより、レイヤ3のIPヘッダ内IPアドレス等を参照することなく、レイヤ2で同じプライベートアドレスを有する複数の企業のユーザ装置を収容しても、付与ラベルにより論理的に分離したスイッチングを行うことができる。
【0117】
また、レイヤ3のIPヘッダ内IPアドレス等を参照することなく、レイヤ2パケットの付与ラベルによりスイッチングを行うことにより、ハードウェアによる高速スイッチングが可能となる。
【0118】
また、レイヤ3のIPヘッダ内IPアドレス等によるスイッチングでは、途中の経由ノード等を指定することができないが、レイヤ2のラベルによるスイッチングにより、物理回線の途中経由のノードの指定が可能となり、輻輳時や障害時等の回避ルートを確立させたり、複数の物理回線ルートヘスイッチングすることによる負荷分散を行わせることが可能となり、また、付与ラベルとサービス品質クラス(QoS)を対応づけることにより、柔軟なQoS制御を行うことができる。
【0119】
特定接続先名とATMアドレスとを対応付けることにより、ユーザ側装置は特定接続先のATMアドレスを認識していなくても、固定型接続パスにより接続された網サービス提供事業者(NSP)等の特定接続先に選択的に接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレイヤ2ハンドリング装置の説明図である。
【図2】本発明のATMスイッチングによるPVC(固定型接続)パス設定の実施形態の説明図である。
【図3】本発明のレイヤ2スイッチングによるPVC(固定型接続)パス設定の実施形態の説明図である。
【図4】本発明のATMスイッチングによるSVC(スイッチ切替型接続)パス設定の実施形態の説明図である。
【図5】本発明のレイヤ2スイッチングによるSVC(スイッチ切替型接続)パス設定の実施形態の説明図である。
【図6】本発明のラベル付与によるレイヤ2スイッチングの第1の実施形態を示す図である。
【図7】本発明のラベル付与によるレイヤ2スイッチングの第2の実施形態を示す図である。
【図8】本発明のレイヤ2リンク確立処理の説明図である。
【図9】本発明のATMスイッチによるPVC(固定型接続)パス設定の実施形態の説明図である。
【図10】本発明のATMアドレスへの変換テーブルを備えたレイヤ2ハンドリング装置の説明図である。
【図11】本発明のATMアドレスへの変換テーブルを備えた第2の実施形態の説明図である。
【図12】本発明のラベル付与機能を有するユーザ側の網終端装置の説明図である。
【図13】本発明のPVC(固定型接続)及びSVC(スイッチ切替型接続)のパスに対するレイヤ2スイッチングの実施形態を示す図である。
【図14】任意のラベルを付与する本発明の実施形態の説明図である。
【図15】衝突防止を図ったラベル付与を行う本発明の実施形態の説明図である。
【図16】ネゴシエーションによりラベル付与を行う本発明の実施形態の説明図である。
【図17】ネットワークオペレーションによりラベル付与を行う本発明の実施形態の説明図である。
【図18】QoS別のラベル付与を行う本発明の実施形態の説明図である。
【図19】接続先別のラベル付与を行う本発明の実施形態の説明図である。
【図20】配送サービスの種類別のラベル付与を行う本発明のレイヤ2ハンドリング装置の説明図である。
【図21】配送サービスの種類別のラベル付与を行う本発明のユーザ側網終端装置(ONU)の説明図である。
【図22】加入者線集線装置(OLT)内に本発明のレイヤ2ハンドリング装置を設けた実施形態を示す図である。
【図23】本発明のレイヤ2ハンドリング装置の構成例の説明図である。
【図24】本発明のレイヤ2ハンドリング装置の動作のシーケンスを示す図である。
【図25】本発明のラベル付きレイヤ2パケットのフォーマット例を示す図である。
【図26】従来のPVC(固定型接続)によるユーザ側装置と網サービス提供事業者(NSP)側装置との接続の説明図である。
【図27】ATMパス上でIPフレームを伝送する場合のフレーム構成を示す図である。
【符号の説明】
1−10 網側装置
1−11 レイヤ2ハンドリング装置
1−12 ATMスイッチ

Claims (11)

  1. 網側装置内に設けられ、ユーザ側装置と固定型接続パスで接続され、該ユーザ側装置を複数の特定接続先のうちの一つに固定型接続パス又はスイッチ切替型接続パスを介して接続させるレイヤ2リンクのハンドリング装置において、
    該ハンドリング装置は、ユーザ側装置からレイヤ2リンクの接続要求時に発出されるレイヤ2リンク情報から、接続要求先の一つのパスを特定するパス特定手段と、
    ユーザ側装置と接続された前記固定型接続パスを接続要求先の一つのパスに接続させ、ユーザ側装置と特定接続先と間にパスを形成させるパス接続手段と、を備え
    前記パス特定手段は、ユーザ側装置からレイヤ2リンクの接続要求時に発出されるレイヤ2リンク情報を基に、該接続要求のレイヤ2リンク毎のラベルをユーザ側装置からのレイヤ2パケットに付与するラベル付与手段を備え、
    前記パス接続手段は、該ラベル付与手段によるラベル付きレイヤ2パケットを該当特定接続先へのパスヘ、ラベル多重レイヤ2リンクにより転送する手段を備えた
    ことを特徴とするレイヤ2リンクのハンドリング装置。
  2. 網側装置内に設けられ、ユーザ側装置と固定型接続パスで接続され、該ユーザ側装置を複数の特定接続先のうちの一つに固定型接続パス又はスイッチ切替型接続パスを介して接続させるレイヤ2リンクのハンドリング装置において、
    該ハンドリング装置は、ユーザ側装置からレイヤ2リンクの接続要求時に発出されるレイヤ2リンク情報から、接続要求先の一つのパスを特定するパス特定手段と、
    ユーザ側装置と接続された前記固定型接続パスを接続要求先の一つのパスに接続させ、ユーザ側装置と特定接続先と間にパスを形成させるパス接続手段と、を備え
    前記パス接続手段は、ユーザ側装置との固定型接続パスから到来し、レイヤ2リンク毎のラベルが付与されたレイヤ2パケットのラベルを認識し、該ラベルに対応した特定接続先へのパスヘレイヤ2パケットを転送するとともに、特定接続先とのパスから到来するラベル付きレイヤ2パケットのラベルを認識し、該ラベルに対応したユーザ側装置への固定型接続パスヘレイヤ2パケットを転送することを特徴とするレイヤ2リンクのハンドリング装置。
  3. 前記ラベル付与手段は、レイヤ2リンクに対して新規にラベルを付与する際に、任意の空きラベル番号を選択してラベル付きレイヤ2パケットを送出する手段を備え、前記パス接続手段は、該ラベル付きレイヤ2パケット受けた装置側から同一のラベル番号を付与して返送されたラベル付きレイヤ2パケットのリンクを、前記新規にラベルを付与したレイヤ2リンクの対のリンクとして扱うことを特徴とする請求項に記載のレイヤ2リンクのハンドリング装置。
  4. 前記ラベル付与手段は、ラベル番号を新規に選択して割当てたラベル番号管理側からの送信であることを示すマーキングをラベルに含めて付与する手段を備え、受信側から同一のラベル番号で、ラベル番号非管理側からの送信を示すマーキングが付加されて返送されたラベル付きレイヤ2パケットのリンクを、新規にラベルを付与したレイヤ2リンクの対のリンクとして扱うことを特徴とする請求項に記載のレイヤ2リンクのハンドリング装置。
  5. 前記ラベル付与手段は、レイヤ2リンクに対して新規にラベルを付与する際に、相手装置側と互いにネゴシエーションを行ってラベル番号を決定する手段を備えたことを特徴とする請求項に記載のレイヤ2リンクのハンドリング装置。
  6. 前記ラベル付与手段は、レイヤ2リンクに対して新規にラベルを付与する際に、ネットワークの管理運用装置のオペレーションによって指示されるラベル番号のラベルを付与することを特徴とする請求項に記載のレイヤ2リンクのハンドリング装置。
  7. 前記パス接続手段は、ユーザ側装置との固定型接続パスから到来し、レイヤ2リンク毎のサービス品質クラス別のラベルが付与されたレイヤ2パケットのラベルを認識し、該ラベルに対応した特定接続先へのパスヘレイヤ2パケットを転送することを特徴とする請求項に記載のレイヤ2リンクのハンドリング装置。
  8. 前記パス接続手段は、ユーザ側装置との固定型接続パスから到来し、レイヤ2リンク毎の接続先別のラベルが付与されたレイヤ2パケットのラベルを認識し、該ラベルに対応した特定接続先へのパスヘレイヤ2パケットを転送することを特徴とする請求項に記載のレイヤ2リンクのハンドリング装置。
  9. 前記パス接続手段は、ユーザ側装置との固定型接続パスから到来するレイヤ2リンクパケット内のIPパケット中の配送サービス種類に応じて付与されたレイヤ2パケットのラベルを認識し、該ラベルに対応した特定接続先へのパスヘレイヤ2パケットを転送することを特徴とする請求項に記載のレイヤ2リンクのハンドリング装置。
  10. パス特定手段は、ユーザ側装置からレイヤ2リンクの接続要求時に発出されるレイヤ2リンク情報から要求接続先名を抽出する手段と、該接続先名から接続アドレスヘ変換する変換テーブルとを備え、前記パス接続手段は、該変換テーブルから得られる接続アドレスを用いてユーザ側装置と特定接続先間のパスを接続させる手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のレイヤ2リンクのハンドリング装置。
  11. 前記パス特定手段におけるレイヤ2リンク情報から接続要求先の一つのパスを特定する処理を、プロセッサによるソフトウェア制御で行い、一つの接続先パスを特定した後の前記該接続先パスへユーザ側装置の固定型接続パスを接続するパス接続手段をハードウェアによるスイッチング手段で構成したことを特徴とする請求項1に記載のレイヤ2リンクのハンドリング装置。
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