JP4267715B2 - ビオチン生合成遺伝子ii - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、遺伝子操作された生物を用いた、発酵によるビオチンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビオチンは、動物、植物、および微生物の栄養にとって必須のビタミンの一つであり、医薬または食品添加物として極めて重要である。
【0003】
大腸菌のビオチン生合成はよく研究されており、ビオチンは、ピメリルCoAから、7-ケト-8-アミノペラルゴン酸(KAPA)、7,8-ジアミノペラルゴン酸(DAPA)、およびデスチオビオチン(DTB)を経由して生合成されることが明らかになっている[Escherichia coli and Salmonella typhimurium、Cellular and Molecular Biology、544、(1987)]。ビオチンの生合成に関わる遺伝情報の解析は、大腸菌[J. Biol. Chem., 263, 19577, (1988)]およびバチルス・スファエリクス(Bacillus sphaericus)(米国特許第5096823号)で発展してきた。少なくとも4種の酵素がこの生合成経路に関与していることが知られている。これら4種の酵素は、bioA遺伝子、bioB遺伝子、bioD遺伝子、およびbioF遺伝子によりコードされている。bioF遺伝子は、ピメリルCoAのKAPAへの変換を触媒作用するKAPA合成酵素(KAPA sunthetase)をコードする。bioA遺伝子は、KAPAをDAPAに変換するDAPAアミノトランスフェラーゼ(DAPA aminotransferase)をコードする。bioD遺伝子は、DAPAをDTBに変換するDTB合成酵素(DTB synthase)をコードする。bioB遺伝子は、DTBをビオチンに変換するビオチン合成酵素(Biotin synthase)をコードする。bioC遺伝子およびbioH遺伝子は、大腸菌におけるピメリルCoAの生合成に関与していることも報告されている。
【0004】
発酵によるビオチン製造に関する数多くの研究が行われている。大腸菌(日本特許公開公報第149091号(1986年)および日本特許公開公報第155081号(1987年))、バチルス・スファエリクス(日本特許公開公報第180174号(1991年))、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)(日本特許公開公報第27980号(1990年))、およびブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)(日本特許公開公報第240489号(1991年))が用いられた。しかし、これらの方法は、生産性が低いために、工業的な製造工程に用いるには未だ適していない。さらに、これらの細菌の発酵液中には、ビオチン前駆体であるDTBが大量に蓄積する。したがって、ビオチン生合成の最終段階、DTBからビオチンへの段階が、律速段階になっていると考えられている。
【0005】
一方、クルチア属(Kurthia)に属する細菌株が、DTBおよび少量のビオチンを合成することが見出された。また、はるかに大量のビオチンを合成する変異体も、ビオチン代謝拮抗物質である、アシドマイシン(ACM)、5-(2-チエニル)-吉草酸(TVA)、およびアルファ−メチル・デスチオビオチン(MeDTB)に対する耐性による選択によりクルチア属の野生型から誘導されている。しかしながら、ビオチン量は未だに低いことから、このような変異体のビオチン生産性を向上させるためには、遺伝子操作を行うことが望ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ビオチン生合成に関与する少なくとも一つの遺伝子が増幅されたクルチア属菌株、および該遺伝子操作されたクルチア属菌株によるビオチン製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明は、クルチア属(Kurthia sp.)のビオチン生合成に関与する遺伝子を有する染色体DNA断片に関する。単離された染色体DNA断片は、8種の遺伝子、すなわちbioA遺伝子、bioB遺伝子、bioC遺伝子、bioD遺伝子、bioF遺伝子、bioFII遺伝子、bioH遺伝子、およびbioHII遺伝子、ならびに転写調節配列を有する。bioFII遺伝子は、bioF遺伝子産物のアイソザイムをコードする。bioHII遺伝子は、bioH遺伝子産物のアイソザイムをコードする。
【0008】
本発明はさらに、ビオチン生合成に関与する少なくとも一つの遺伝子が増幅されたクルチア属菌株に関し、また、この遺伝子操作されたクルチア属菌株によるビオチンの製造方法にも関する。
【0009】
前記のDNA断片は、様々な起源に由来しうるが、クルチア属に属する菌株を用いることが好ましい。そのような菌株の具体例としては、クルチア属538-6(DSM9454番)、およびビオチン代謝拮抗物質に対する耐性により選択されたその変異株、例えばクルチア属538-KA26(DSM10609番)が挙げられる。
【0010】
本発明は、概して、配列番号:2、4、6、8、10、12、14、または16により示されるポリペプチド、および一つまたは複数のアミノ酸残基の付加、挿入、欠失、および/または置換を含むこれらのポリペプチドの機能的誘導体をコードするDNA配列に関し、一つまたは複数の該DNA配列を含むベクター、特に、該DNA配列がプロモーター配列に機能的に結合したベクターに関し、さらに、一つまたは複数の前記のDNA配列またはベクターにより形質転換された細胞に関し、さらに、当技術分野において既知の方法により前記の細胞を培地中で培養し、得られたビオチンを培養上清から単離することを含むビオチンの製造方法、特に、培養が5〜9、好ましくは6〜8のpHで、10〜45℃、好ましくは25〜30℃の温度範囲で、1〜10日間、好ましくは2〜7日間行われる方法に関する。
【0011】
最後に、本発明はまた、該方法により得られたビオチンが、当業者に周知の一つまたは複数の一般的な添加物と混合されていることを特徴とする、薬学的組成物、食品、または飼料の調製方法にも関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
これらの細菌株に由来するビオチン生合成に関与する酵素をコードする遺伝子を有するDNA断片の単離方法を以下に詳述する。
【0013】
このように、DNAは、周知のフェノール法によりクルチア属538-KA26から抽出することができる。該DNAは、その後、クルチア属538-KA26のゲノミックライブラリーを構築するために、Sau3AIにより部分分解され、BamHIにより分解されたpBR322と連結される。
【0014】
ビオチンを産生する生合成能をもたないビオチン栄養要求変異体を、前記のゲノミックライブラリーで形質転換し、ビオチン原栄養性を示す形質転換体を選択する。選択された形質転換体は、ビオチン栄養要求性変異体に欠如している遺伝子を相補するゲノミックDNA断片を有する。ビオチン栄養要求性変異体としては、大腸菌R875(bioB-)、R877(bioD-)、BM7086(bioH-)、およびR878(bioC-)(J. Bacteriol., 112, 830-839, (1972)およびJ. Bacteriol., 143, 789-800, (1980))を用いることができる。このような大腸菌株の形質転換は、コンピテントセル法のような従来の方法に従って実施することができる[Molecular Cloning、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、252、(1982)]。
【0015】
本発明において、大腸菌のbioB欠失変異体を相補するハイブリッドプラスミドは、上記のようにして得ることができる。得られたハイブリッドプラスミドは、pKB100と名付けられている。pKB100は、クルチア属538-KA26由来の5.58KbのゲノミックDNAを保持するプラスミドpBR322に相当し、その制限分解地図は図1および2に示されている。
【0016】
大腸菌のbioD欠失変異体を相補する、pKB200と名付けられたハイブリッドプラスミドも、上記のようにして得ることができる。pKB200は、クルチア属538-KA26由来の7.87KbのゲノミックDNAを保持するプラスミドpBR322に相当し、その制限分解地図は図1および3に示されている。pKB200中のゲノミックDNA断片は、pKB100の挿入断片と完全に重複し、図9Aに示されるように、クルチア属538-KA26のbioF遺伝子、bioB遺伝子、bioD遺伝子、ORF1遺伝子、およびORF2遺伝子、ならびにbioA遺伝子の一部を有する。
【0017】
クルチア属538-KA26の全長bioA遺伝子は、pKB200のゲノミックDNA断片の一部をプローブとして用いたコロニーハイブリダイゼーションのような、通常の方法により単離することができる。クルチア属538-KA26の全DNAは、HindIIIのような制限酵素で分解され、同一の制限酵素で切断されたプラスミドベクターと連結される。その後、ゲノミックライブラリーを構築するために、大腸菌は、クルチア属538-KA26のゲノミックDNA断片を保持するハイブリッドプラスミドで形質転換される。ベクターおよび大腸菌株としては、それぞれ、pUC19[宝酒造株式会社(日本京都市下京区東洞院東入)]および大腸菌JM109(宝酒造株式会社)を用いることができる。
【0018】
クルチア属538-KA26由来の8.44KbのゲノミックDNA断片を保持するpKB300と名付けられたハイブリッドプラスミドは、コロニーハイブリダイゼーションにより得られ、その制限分解マップは図1に示されている。pKB300のゲノミックDNA断片は、図9Aに示すように、クルチア属538-KA26のビオチン生合成に関与する2つの遺伝子群を有する。一つの群は、ORF1遺伝子、bioD遺伝子、およびbioA遺伝子を含む。もう一つの群は、ORF2遺伝子、bioF遺伝子、およびbioB遺伝子を含む。bioD遺伝子およびbioA遺伝子のヌクレオチド配列を、それぞれ、配列番号:1および配列番号:3に示す。bioD遺伝子およびbioA遺伝子の産物の推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号:2および配列番号:4に示す。bioD遺伝子は、分子量26,642の236アミノ酸残基からなるポリペプチドをコードする。bioA遺伝子は、分子量51,731の460アミノ酸残基からなるポリペプチドをコードする。ORF1遺伝子は、分子量21,516の194アミノ酸残基からなるポリペプチドをコードするが、この遺伝子産物の生物学的な機能は不明である。
【0019】
bioF遺伝子およびbioB遺伝子のヌクレオチド配列を、それぞれ、配列番号:5および配列番号:7に示す。bioF遺伝子およびbioB遺伝子の産物の推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号:6および配列番号:8に示す。bioF遺伝子は、分子量42,619の387アミノ酸残基からなるポリペプチドをコードする。bioB遺伝子は、分子量37,438の338アミノ酸残基からなるポリペプチドをコードする。ORF2遺伝子は、分子量7,447の63アミノ酸残基からなるポリペプチドをコードするが、この遺伝子産物の生物学的な機能は不明である。転写終結シグナルである逆方向反復配列が、bioA遺伝子およびbioB遺伝子の下流に見出される。図10に示されるように、両方向に転写を開始する2つの転写プロモーター配列が、ORF1遺伝子とORF2遺伝子との間に見出される。さらに、各プロモーター配列と各翻訳開始コドンとの間に、転写の負の調節に関与する、Box1およびBox2と名付けられた2つの逆方向反復配列が存在する。
【0020】
さらに、大腸菌のビオチン栄養要求変異体を相補する、2つのハイブリッドプラスミドが前記と同様の方法により得られた。pKH100と名付けられたハイブリッドプラスミドは、bioH欠失変異体を相補し、pKC100と名付けられたハイブリッドプラスミドは、bioC欠失変異体を相補する。pKH100(図4および5)は、図9Bに示すように、bioH遺伝子およびORF3遺伝子を含む遺伝子群を含有する、クルチア属538-KA26由来の1.91KbのゲノミックDNA断片を保持する。bioH遺伝子のヌクレオチド配列、およびこの遺伝子の産物の推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号:9および配列番号:10に示す。bioH遺伝子は、分子量29,423の267アミノ酸残基からなるポリペプチドをコードする。ORF3遺伝子は、分子量9,955の86アミノ酸残基からなるポリペプチドをコードするが、この遺伝子産物の生物学的な機能は不明である。図11に示されるように、プロモーター配列がbioH遺伝子の上流に見出され、転写終結因子である逆方向反復配列が、ORF3遺伝子の下流に存在する。プロモーター領域には、Box1およびBox2のような逆方向配列は含まれていないため、これらの遺伝子の発現は調節されていないと予想される。
【0021】
一方、pKC100は、図6および7に示されるように、クルチア属538-KA26由来の6.76KbのゲノミックDNA断片を保持する。pKC100のゲノミックDNA断片には、図9Cに示されるように、bioFII遺伝子、bioHII遺伝子、およびbioC遺伝子を含む遺伝子群が含まれる。bioHII遺伝子およびbioFII遺伝子は、それぞれ、大腸菌のbioH欠失変異体およびbioF欠失変異体を相補するため、それぞれ、bioH遺伝子およびbioF遺伝子のアイソザイムの遺伝子である。bioFII遺伝子、bioHII遺伝子、およびbioC遺伝子のヌクレオチド配列を、それぞれ、配列番号:11、配列番号:13、および配列番号:15に示す。bioFII遺伝子、bioHII遺伝子、およびbioC遺伝子の産物の推定アミノ酸配列を、それぞれ、配列番号:12、配列番号:14、および配列番号:16に示す。bioFII遺伝子は、分子量44,776の398アミノ酸残基からなるポリペプチドをコードする。bioHII遺伝子は、分子量28,629の248アミノ酸残基からなるポリペプチドをコードする。bioC遺伝子は、分子量31,599の276アミノ酸残基からなるポリペプチドをコードする。図12に示されるように、bioFII遺伝子の上流にはプロモーター配列が見出され、プロモーター領域内にはBox3と名付けられた逆方向反復配列が存在する。これらの遺伝子の転写は、bioC遺伝子の下流に存在する逆方向反復配列で終結する。Box3のヌクレオチド配列は、Box1およびBox2の配列と有意に類似しているため、これらの遺伝子の発現はbioA遺伝子群およびbioB遺伝子群と同様の調節を受けていると考えられる。
【0022】
言及するまでもなく、上記のようにして単離された遺伝子のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列は、人為的に変更される場合もある。例えば、開始コドンGTGまたはTTGは、ATGコドンに変換されうる。
【0023】
したがって、本発明は、本発明のポリペプチドの機能的誘導体にも関する。このような機能的誘導体は、本発明のアミノ酸配列を基礎として、該配列の一つまたは複数のアミノ酸残基の付加、挿入、欠失、および/または置換により定義づけられ、対応する本発明のポリペプチドと同一の型の酵素活性を保持している。該活性は、当技術分野において既知のいかなるアッセイにより測定してもよく、特に、本明細書に記載の方法により測定することができる。該機能的誘導体は、当技術分野において既知の化学的ペプチド合成により作製してもよいし、または、当技術分野において既知の、例えばSambrookら(Molecular Cloning、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー・プレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、米国ニューヨーク、第2版、1989)に開示されているような方法により、本明細書に記載されているDNA配列を基礎として組み換え法により作製してもよい。分子の活性を実質的に変化させないタンパク質およびペプチドのアミノ酸交換は、当技術分野において既知であり、例えばH.NeurathおよびR. H.Hillにより「The Proteins」(アカデミック・プレス(Academic Press)、ニューヨーク、1979、特に14頁図6を参照)に開示されている。最も起こりやすい交換は、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly、およびこれらの逆である。
【0024】
さらに、本発明は、例えば配列表に記載されたDNA配列、およびそれらの相補鎖のみならず、これらの配列を含む配列、該配列またはその断片と標準的な条件下でハイブリダイズするDNA配列、および遺伝コードの縮退のため標準的な条件下ではハイブリダイズしないが、全く同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列にも関する。
【0025】
本明細書において、ハイブリダイゼーションの「標準的な条件」とは、特異的なハイブリダイゼーションシグナルを検出するために当業者が通常使用する、例えばSambrookら(刊行年なし)に開示されている条件を意味し、好ましくは、当業者に周知の、例えばSambrookら(刊行年なし)に開示されている、いわゆる厳密度の高いハイブリダイゼーションおよび厳密度の低い洗浄条件を意味し、より好ましくは、いわゆる厳密度の高いハイブリダイゼーションおよび厳密度の高い洗浄条件を意味する。
【0026】
本発明のDNA配列に由来するDNA配列は、該DNA配列(上記参照)とハイブリダイズするか、または該DNA配列を基礎として設計されたプライマーを用いることによりポリメラーゼ連鎖反応により構築することができるため、示したように、すなわちPCR反応により、または部位特異的突然変異導入[例えば、Smith, Ann. Rev. Genet. 19, 423 (1985)参照]により調製することもできるし、または、例えば欧州特許第747483号(EP747483)に記載されているような合成により、または、例えばSambrookら(刊行年なし)に記載されているような通常の分子クローニング法により調製することもできる。
【0027】
本発明のDNA配列の発現および/または増幅のための宿主菌株としては、例えば欧州特許第635572号(EP635572)で同定されたものなど、いかなる微生物を用いることもできるが、クルチア属に属する菌株、特にクルチア属538-6(DSM9454番)およびクルチア属538-51F9(DSM10610番)を使用することが好ましい。
【0028】
ビオチン生産性の高い形質転換体を得るため、本発明のDNA配列は、その宿主細胞において有効なプロモーターの調節下で使用される。本発明のDNA配列は、該DNA配列を保持するプラスミドでの形質転換により、または宿主細胞の染色体への取り込みにより、宿主細胞に導入することができる。
【0029】
クルチア属538-51F9を宿主細胞として使用した場合、クルチア属菌株から上記のようにして単離された、ビオチン生合成に関与する少なくとも一つの遺伝子を保持するハイブリッドプラスミドにより、クルチア属538-51F9を形質転換することができる。ハイブリッドプラスミド用のベクタープラスミドとしては、pUB110[J. Bacteriol., 154, 1184-1194,(1983)]、pHP13[Mol. Gen. Genet., 209, 335-342,1987]、または、クルチア属菌株において機能する複製開始点を含むその他のプラスミドを使用することができる。クルチア属における増幅および/または発現のためのDNA配列としては、いかなる本発明のDNA配列を用いることもできるが、ビオチン合成酵素をコードするbioB遺伝子に相当するDNA配列が好ましい。そのようなハイブリッドプラスミドの一例は、図14に示したようなpYK114である。このプラスミドにおいて、bioB遺伝子は、bioH遺伝子用のプロモーターの調節下にあり、pUB110の複製開始点を保持している。
【0030】
クルチア属538-51F9は、プロトプラスト形質転換法[Molecular Biological Methods for Bacillus、150、(1990)]により、上記のようにして得られたpYK114で形質転換することができる。しかし、クルチア属538-51F9は、プロトプラストからの再生の効率が低いため、この菌株の形質転換効率は極めて低い。したがって、例えばクルチア属538-51F9-RG21などの、プロトプラストからの再生効率が高い菌株を使用することが好ましい。該菌株は、本明細書の実施例14に記載されているようにして調製することができる。
【0031】
本発明はまた、上記のようにして得られた形質転換体を培養し、産生されたビオチンを分離および精製することにより、ビオチンを製造する方法を提供する。
【0032】
本発明において用いられる形質転換体の培養は、当技術分野において既知の方法により行うことができる。同化可能な炭素源、消化可能な窒素源、無機塩、および形質転換体の増殖に必要なその他の栄養を含む培地を使用することができる。炭素源としては、例えば、グルコース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、ショ糖、マルトース、デンプン、デキストリン、またはグリセロールを用いることができる。窒素源としては、例えば、ペプトン、粉末ダイズ(soybean powder)、コーンスティープリカー(corn steep liquor)、肉抽出物(meat extract)、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、またはこれらを混合したものを用いることができる。さらに、無機塩としては、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、マンガン、コバルト、および鉄の硫酸塩、塩酸塩、またはリン酸塩を用いることができる。また、必要に応じて、通常の栄養因子、または動物油、植物油、または鉱油のような泡沫化防止剤を添加してもよい。得られた形質転換体が抗生物質耐性マーカーを有している場合には、それぞれの抗生物質を培地中に添加する必要がある。培養液のpHは、5〜9、好ましくは6〜8にすることができる。培養温度は、10〜45℃、好ましくは25〜30℃とすることができる。培養期間は、1〜10日間、好ましくは2〜7日間とすることができる。
【0033】
上記のような条件で産生されたビオチンは、当技術分野において既知の方法により容易に回収することができる。したがって、例えば、溶液から固形物を除去した後、濾液中のビオチンを活性炭に吸着させ、溶出させてから、さらにイオン交換樹脂で精製する。または、濾液を直接イオン交換樹脂に供し、溶出後、アルコールと水との混合液から目的の産物を再結晶させる。
【0034】
【実施例】
実施例1
クルチア属538-KA26のbioB遺伝子およびbioF遺伝子のクローニング
1.ゲノミックライブラリーの調製
クルチア属538-KA26のアシドマイシン耐性菌株(DSM10609番)を、100mlの栄養培地(極東製薬株式会社;日本東京中央区日本橋本町3-1-1)で、30℃で一晩培養し、細菌細胞を遠心分離により回収した。フェノール抽出法により全DNAを細菌細胞から抽出し[Experiments with gene fusions、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、137〜138、(1984)]、1.9mgの全DNAを得た。
【0035】
全DNA(10μg)を、1.2ユニットのSau3AIで、37℃で1時間、部分消化し、およそ10Kbの長さの断片を生成させた。5〜15KbのDNA断片をアガロースゲル電気泳動により得た。
【0036】
ベクターpBR322(宝酒造株式会社)をBamHIにより完全に消化し、自己ライゲーションを防止するためアルカリホスファターゼで処理した。DNAライゲーションキット(宝酒造株式会社)を用いて製品説明書に従い、DNA断片を、切断されたpBR322と連結させた。コンピテントセル法[Molecular Cloning、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、252〜253、(1982)]により、ライゲーション混合液を大腸菌JM109(宝酒造株式会社)に導入し、菌株を、寒天プレートLB培地(1%バクト−トリプトン(Bacto-tryptone)、0.5%バクト−酵母抽出物(Bacto-yeast extract)、0.5% NaCl、pH7.5)上で、アンピシリン耐性(100μg/ml)により選択した。ゲノミックDNA断片を有している約5,000個のクローンがゲノミックライブラリーとして得られた。
【0037】
クルチア属538-KA26のゲノミックライブラリーのアンピシリン耐性菌株を、100μg/mlのアンピシリンを含む50mlのLB培地中で、37℃で一晩培養し、細菌細胞を遠心分離により回収した。プラスミドDNAを、アルカリ変性法[Molecular Cloning、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、90〜91、(1982)]により細菌細胞から抽出した。
【0038】
2.ゲノミックライブラリーからのbioB遺伝子を保持するクローンの選択
プラスミドDNAを、コンピテントセル法により、ビオチン合成酵素活性を欠如した大腸菌bioB欠失変異体R875(J. Bacteriol. 112, 830-839, 1972)へと導入した。形質転換された大腸菌R875細胞を、0.85% NaClで2回洗浄し、100μg/mlのアンピシリンを含むM9CT培地(0.6% Na2HPO4、0.3% HK2PO4、0.05% NaCl、0.1% NH4Cl、2mM MgSO4、0.1mM CaCl2、0.2%グルコース、0.6%ビタミン欠カザミノ酸、1μg/mlチアミン)の1.5%寒天プレート上に接種し、プレートを37℃で40時間インキュベートした。ビオチン原栄養性の表現形質を有する一つの形質転換体が得られた。その形質転換体を100μg/mlアンピシリンを含むLB培地で培養し、ハイブリッドプラスミドを細胞から抽出した。このハイブリッドプラスミドは、5.58Kbの挿入配列を保持しており、pKB100と名付けられた。制限地図を図1および2に示す。
【0039】
3.大腸菌のビオチン欠失変異体のpKB100による相補
pKB100を、コンピテントセル法により、大腸菌のビオチン欠失変異体、R875(bioB-)、W602(bioA-)、R878(bioC-)、R877(bioD-)、R874(bioF-)、またはBM7086(bioH-)[J. Bacteriol., 112, 830-839, (1972)およびJ. Bacteriol., 143, 789-800, (1980)]へ導入した。形質転換された変異体を0.85% NaClで3回洗浄し、100μg/mアンピシリンおよび0.1ng/mlビオチンを含むM9CT寒天プレート上に接種し、プレートを37℃で一晩インキュベートした。プレート上のコロニーを、0.1ng/mlビオチンの存在下または非存在下で100μg/mアンピシリンを含むM9CT寒天プレート上に写し取り、プレートを37℃で24時間インキュベートし、相補性解析を行った。表1に示すように、pKB100は、bioB変異体のみならず、bioF変異体をも相補することができた。対照的に、bioA変異体、bioC変異体、bioD変異体、およびbioH変異体は、pKB100により相補されなかった。この結果より、pKB100は、クルチア属538-KA26のbioB遺伝子およびbioF遺伝子を保持していることが確認された。
【0040】
【表1】
Figure 0004267715
実施例2
クルチア属538-KA26のbioD遺伝子を保持するハイブリッドプラスミドの単離
1.bioD遺伝子を保持するハイブリッドプラスミドの単離
実施例1-1のクルチア属538-KA26のゲノミックライブラリーを、大腸菌bioD欠失変異体R877に導入し、アンピシリン耐性およびビオチン原栄養性表現形質を有する形質転換体を、実施例1-2と同様の方法により選択した。形質転換体を、100μg/mlアンピシリンを含むLB培地中で37℃で一晩培養し、細菌細胞を遠心分離により回収した。ハイブリッドプラスミドをアルカリ変性法により細胞から抽出した。ハイブリッドプラスミドは、7.87Kbの挿入DNA断片を有しており、pKB200と名付けられた。pKB200の切断のパターンを、様々な制限エンドヌクレアーゼ(HindIII、NcoI、EcoRI、BglII、SalI、およびPstI)を用いて分析し、pKB100のものと比較した。制限エンドヌクレアーゼ分析により、これら2つのハイブリッドプラスミドは全く同一の切断部位を有しており、pKB200では、pKB100の左側に1.5KbのDNA断片、右側に0.8Kbの断片が付加していることが明らかになった(図1および3)。
【0041】
2.大腸菌のビオチン欠失変異体のpKB200による相補
pKB200を、大腸菌のビオチン欠失変異体、R875(bioB-)、W602(bioA-)、R878(bioC-)、R877(bioD-)、R874(bioF-)、またはBM7086(bioH-)へ導入した。相補性解析を、実施例1-3と同様の方法により行った。表1に示すように、pKB200により、bioD変異体およびbioB変異体は相補されたが、bioA変異体、bioC変異体、bioF変異体、およびbioH変異体は相補されなかった。pKB200は、pKB100全長と完全に重複しているが、pKB200によりbioF遺伝子は相補されなかった。
【0042】
実施例3
クルチア属538-KA26のbioH遺伝子を保持するハイブリッドプラスミドの単離
1.bioH遺伝子を保持するハイブリッドプラスミドの単離
実施例1-1のクルチア属538-KA26のゲノミックライブラリーを、大腸菌bioH欠失変異体BM7086に導入した。bioHクローンを有する形質転換体を、ビオチン原栄養性表現形質により、実施例1-2と同様の方法により選択した。形質転換細胞から、ハイブリッドプラスミドをアルカリ変性法により抽出し、制限酵素により分析した。ハイブリッドプラスミドは、1.91Kbの挿入DNA断片を有しており、pKH100と名付けられた。上記で用いたゲノミックライブラリーは5〜15KbのゲノミックDNA断片を有しているため、pKH100は、大腸菌株において、欠失などの修飾を受けたものと考えられる。pKH100の制限地図を図4および5に示す。pKH100の切断パターンは、pKB100およびpKB200のパターンと全く異なっていた。したがって、pKH100は、pKB100およびpKB200とは異なるクルチア染色体のDNA断片を保持していた。
【0043】
2.大腸菌のビオチン欠失変異体のpKH100による相補
相補性解析を、実施例1-3と同様の方法により行った。pKH100を、大腸菌のビオチン欠失変異体、R875(bioB-)、W602(bioA-)、R878(bioC-)、R877(bioD-)、R874(bioF-)、またはBM7086(bioH-)へ導入した。表1に示すように、pKH100により、bioH変異体が相補され、bioB変異体、bioA変異体、bioC変異体、bioD変異体、およびbioF変異体は相補されなかった。したがって、pKH100はbioH遺伝子を保持している。
【0044】
実施例4
クルチア属538-KA26のbioC遺伝子を保持するハイブリッドプラスミドの単離
1.bioC遺伝子を保持するハイブリッドプラスミドの単離
実施例1-1のクルチア属538-KA26のゲノミックライブラリーを、大腸菌bioC欠失変異体R878に導入した。bioCクローンを有する形質転換体を、ビオチン原栄養性表現形質により、実施例1-2と同様の方法により選択した。形質転換細胞から、ハイブリッドプラスミドをアルカリ変性法により抽出し、制限酵素により分析した。ハイブリッドプラスミドは、6.76Kbの挿入DNA断片を有しており、pKC100と名付けられた。pKC100の制限地図を図6および7に示す。pKC100の切断パターンは、pKB100、pKB200、およびpKH100のパターンと全く異なっていた。したがって、pKC100は、pKB100、pKB200、およびpKH100とは異なるクルチア染色体の領域を保持している。
【0045】
2.大腸菌のビオチン欠失変異体のpKC100による相補
相補性解析を、実施例1-3と同様の方法により行った。pKC100を、大腸菌のビオチン欠失変異体、R875(bioB-)、W602(bioA-)、R878(bioC-)、R877(bioD-)、R874(bioF-)、またはBM7086(bioH-)へ導入した。表1に示すように、pKC100により、bioC変異体、bioF変異体、およびbioH変異体が相補された。pKC100の挿入DNA断片は、pKB100およびpKH100とは異なっていたため、pKC100は、bioC遺伝子のみならず、bioF遺伝子産物(KAPA合成酵素)およびbioH遺伝子産物のアイソザイムの遺伝子をも保持していた。
【0046】
実施例5
クルチア属538-KA26のbioA遺伝子を保持するハイブリッドプラスミドの単離
1.pKB200の染色体DNAの左側領域の単離
ハイブリダイゼーション法により、クルチア属538-KA26の染色体DNAから、pKB200の染色体DNAの左側の領域を単離した。クルチア属538-KA26の全DNAをHindIIIで完全に消化し、アガロースゲル電気泳動にかけた。ゲル上のDNA断片を変性させた後、製品説明書に従い、ナイロンメンブレン(Hybond-N、アマシャム(Amersham))に転写した。
【0047】
pKB200をNcoIで完全に消化し、アガロースゲル電気泳動により、2.1KbのNcoI断片を単離した(図1)。マルチプライムDNA標識システム(アマシャム)により、32PでNcoI断片を標識し、ハイブリダイゼーションプローブとして用いた。ハイブリダイゼーションは、製品説明書に従い、「ラピッド・ハイブリダイゼーション緩衝液(Rapid Hybridization buffer)」(アマシャム)を用いて、上記のようにして調製したメンブレン上で行った。プローブは、約8.5KbのHindIII断片に強力にハイブリダイズした。
【0048】
8.5Kbの断片を単離するため、クルチア属538-KA26の全DNAをHindIIIで完全に消化し、アガロースゲル電気泳動により7.5〜9.5kbのDNA断片を得た。ベクタープラスミドpUC19(宝酒造株式会社)をHindIIIで完全に消化し、自己ライゲーションを防止するためアルカリホスファターゼで処理した。DNAライゲーションキット(宝酒造株式会社)を用いて、7.5〜9.5kbのDNA断片を、切断されたpUC19と連結させ、コンピテントセル法により反応混合物を大腸菌JM109に導入した。このようなゲノミックDNA断片を保持する約1,000個のクローンが、ゲノミックライブラリーとして得られた。
【0049】
選択は、Maniatisらによるプロトコルに従い、コロニーハイブリダイゼーション法により行った[Molecular Cloning、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、312〜328、(1982)]。寒天プレート上の増殖したクローンをナイロンメンブレン(Hybond-N、アマシャム(Amersham))に転写し、アルカリにより溶解させた。変性したDNAをメンブレンに固定した。上記のようにして調製した32Pで標識されたNcoI断片をハイブリダイゼーションプローブとして使用し、ハイブリダイゼーションを、製品説明書に従い、「ラピッド・ハイブリダイゼーション緩衝液(Rapid Hybridization buffer)」(アマシャム)を用いて行った。プローブDNAにハイブリダイズする3個のコロニーが得られ、これらのコロニー中のハイブリッドプラスミドをアルカリ変性法により抽出した。
【0050】
構造の解析は、制限酵素(BamHI、HindIII、NcoI、EcoRI、BglII、SalI、およびPstI)を用いて行った。3つのハイブリッドプラスミドは全て、8.44Kbの挿入DNA断片を有しており、全く同一の切断パターンを示した。この結果より、これらが同一であることが示された。このハイブリッドプラスミドは、pKB300と名付けられた。pKB300の制限地図を図1に示す。pKB300のゲノミックDNA断片の約半分は、pKB200の半分と重複している。
【0051】
2.大腸菌のbioA欠失変異体のpKB300による相補
実施例1-3と同様の方法により、大腸菌のビオチン欠失変異体、W602(bioA-)のpKB300による相補性解析を行った。pKB300によりbioA変異体が相補されたので(表1)、pKB300は、クルチア属のbioA遺伝子を保持している。
【0052】
実施例6
クルチア属538-KA26のbioA遺伝子、bioB遺伝子、bioD遺伝子、およびbioF遺伝子のサブクローニング
1.ハイブリッドプラスミドpKB103およびpKB104の構築
pKB100をHindIIIで完全に消化し、3.3KbのHindIII断片を単離した。DNAライゲーションキットを用いて、3.3KbのDNA断片を、HindIIIで切断されたベクターpUC18(宝酒造株式会社)と連結させ、ハイブリッドプラスミドpKB103およびpKB104を構築した。pKB103およびpKB104においては、3.3Kbの断片が、pUC18内の、lac遺伝子のプロモーター−オペレーターに対して両方向に挿入されていた。これらの制限地図を図8に示す。
【0053】
実施例1-3と同様の方法により、大腸菌のbioB欠失変異体またはbioF欠失変異体(R875またはR874)の、pKB103およびpKB104による相補性解析を行った。pKB103およびpKB104によりbioB変異体およびbioF変異体が相補された(表2)。
【0054】
2.pKB200誘導体の構築
pKB200によりbioD変異が相補され、pKB200は、bioB遺伝子およびbioF遺伝子を保持するpKB100の全長を含んでいたため、pKB200の一連の欠失変異を構築し、bioB、bioD、およびbioFのより正確な位置を決定した。pKB200の4.0KbのSalI-HindIII断片を、pUC18およびpUC19のSalI部位およびHindIII部位に挿入し、SalI-HindIII断片が両方向に挿入されているpKB221およびpKB222を得た。
【0055】
pKB200をNruIで完全に消化し、アガロースゲル電気泳動により7.5KbのNruI断片を単離した。NruI断片をDNAライゲーションキットにより再び環化させ、pKB223を得た。
【0056】
pKB200をHindIIIで完全に消化した。アガロースゲル電気泳動により4.8KbのHindIII断片を単離し、pUC18のHindIII部位に両方向にクローニングし、pKB224およびpKB225を得た。
【0057】
pKB200をNcoIで部分消化し、アガロースゲル電気泳動により3.1KbのNcoI断片を単離した。NcoI断片の両末端を、DNAポリメラーゼIのクレノウ断片(宝酒造株式会社)を用いて平滑末端化し、HindIIIリンカー(宝酒造株式会社)と連結させた。HindIIIで処理することにより3.1KbのHindIII断片を得、pUC19のHindIII部位に両方向にクローニングし、pKB228およびpKB229を得た。
【0058】
同様にして、pKB200の2.1KbのNcoI断片の両末端を、クレノウ断片で処理し、HindIIIリンカーを付加することにより、HindIII部位に変換した。次に、得られたHindIII断片を、pUC19のHindIII部位に両方向に挿入し、pKB230およびpKB231を得た。
【0059】
pKB234およびpKB235は、それぞれ、pUC19およびpUC18のHindIII部位およびSmaI部位に、pKB230の1.6KbのHindIII-NruI断片を挿入することにより、作製された。
【0060】
pKB200誘導体の制限地図を図8に示す。
【0061】
3.大腸菌のビオチン欠失変異体のpKB200誘導体による相補性解析
実施例1-3と同様の方法により、pKB200誘導体による相補性解析を行った。相補性の結果を表2に示す。bioB欠失変異体は、pKB221、pKB222、pKB224、およびpKB225により相補されたが、pKB223、pKB228、pKB229、pKB230、pKB231、pKB234、およびpKB235では相補されなかった。bioF欠失変異体は、pKB223、pKB224、pKB225、pKB228、およびpKB229により相補されたが、pKB221、pKB222、pKB230、pKB231、pKB234、およびpKB235では相補されなかった。他方、bioD欠失変異体は、pKB223、pKB224、およびpKB225により相補されたが、pKB221およびpKB222では相補されなかった。
【0062】
pKB103およびpKB104での相補性解析を考え合わせると、bioF遺伝子はpKB103の最初のNruI部位の左側に存在し、bioB遺伝子は同じNruI部位の右側に、左側と少し重複して位置しており、bioD遺伝子はpKB200の左側の多くて1.5Kbの領域に存在することが考えられる。従って、pKB100およびpKB200の種々の誘導体での相補性解析により、bioD遺伝子、bioF遺伝子、およびbioB遺伝子が、この順に、pKB200のHindIII部位の左側の4.4Kbの領域に並んでいることが示された。
【0063】
4.ハイブリッドプラスミドpKB361の構築
bioA遺伝子の位置を決定するため、pKB300の誘導体を構築した。pKB361は、pUC19のBamHI部位およびSalI部位にpKB300の2.8KbのBamHI-SalI断片を挿入することにより作製した。
【0064】
pKB361を大腸菌のbioA欠失変異体(W602)に導入し、実施例1-3と同様の方法により相補性解析を行った。bioA変異体はpKB361により相補されたことから(表2)、pKB300のBamHI部位とSalI部位との間の2.8Kbの領域内にbioA遺伝子が存在することが示された。
【0065】
【表2】
Figure 0004267715
実施例7
クルチア属538-KA26のbioH遺伝子のサブクローニング
1.ハイブリッドプラスミドpKH101およびpKH102の構築
pKH100をBamHIで完全に消化し、DNAライゲーションキットを用いて再び環化し、pKH100から0.75KbのBamHI断片が欠失したpKH101を作製した(図4)。pKH102は、pKH100をHindIII処理し、DNAライゲーションキットを用いて再び環化することにより構築した。pKH102には、pKH100の1.07KbのHindIII断片が欠如している(図4)。
【0066】
実施例1-3と同様の方法により、大腸菌のbioH欠失変異体(R878)の、pKH101およびpKH102による相補性解析を行った。bioH変異体は、pKH101により相補されたが、pKH102によっては相補されなかった(図4)。この結果より、bioH遺伝子が、pKH100のBamHI部位の左側の領域(1.16Kb)に位置することが示された。
【0067】
実施例8
クルチア属538-KA26のbioC遺伝子のサブクローニング
pKC100をBamHIで完全に消化し、アガロースゲル電気泳動により1.81KbのBamHI断片を単離した。BamHI断片を、DNAライゲーションキットにより、BamHIおよびクレノウ断片で処理したpBR322と連結させた。最終的に、BamHI断片が両方向に挿入されたpKC101およびpKC102が得られた(図6)。
【0068】
pKC101およびpKC102を大腸菌bioC欠失変異体R878に導入し、実施例1-3と同様の方法により、相補性解析を行った。bioC変異体は、pKC101およびpKC102により相補され、bioC遺伝子が、1.81KbのBamHI断片内に存在することが確認された。
【0069】
実施例9
pKB100、pKB200、およびpKB300の挿入DNA断片のヌクレオチド配列
pKB100、pKB200、およびpKB300の挿入DNA断片のヌクレオチド配列を解析するため、pUC18、pUC19、M13mp18、およびM13mp19(宝酒造株式会社)を用いて数種の相互に重複するサブクローンを構築し、キロシークエンス用欠失キット(Kilo-Sequencing Deletion Kit)(宝酒造株式会社)によりサブクローンの一連の欠失誘導体を調製した。次に、デオキシチェーンターミネーション法(7-デアザ-dGTPを用いた、シーケナーゼ・バージョン2.0・DNAシークエンシングキット(Sequenase version 2.0 DNA sequencing kit)、米国バイオケミカル社(United States Biochemical Co.))により、欠失誘導体のヌクレオチド配列解析を行った。結果は、ソクトウェア・デベロップメント社(Software Development Co.)のコンピュータープログラム(GENETYX)により解析した。
【0070】
この配列のコンピューター解析により、クローニングされたDNA断片が、6つのオープンリーディングフレーム(ORF)をコードしうることが明らかになった。この遺伝子オペロンは、両方向に進行する2つの遺伝子群を有している(図9A)。
【0071】
左側の遺伝子群の最初のORFは、TTGコドンで開始し、その前方にバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)の16S rRNAの3'末端と相同性のあるリボソーム結合部位(RBS)が存在する。そして、分子量21,516の194アミノ酸残基からなるタンパク質をコードする。相補性解析によりこの遺伝子産物の機能を決定することが不可能であったため、このORFをORF1と名付けた。
【0072】
左側の遺伝子群の第2のORFのヌクレオチド配列を、配列番号:1に示す。この遺伝子は、分子量26,642の236アミノ酸残基からなるタンパク質をコードする。この遺伝子産物の推定アミノ酸配列を配列番号:2に示す。RBSと推定される配列が、ATG開始コドンの上流に見出される。相補性解析(実施例6-3)により、このORFがbioD遺伝子であることが示された。
【0073】
左側の遺伝子群の第3のORFには、RBSと推定される配列がATG開始コドンの上流に存在する。この遺伝子のヌクレオチド配列を配列番号:3に示す。この遺伝子は、分子量51,731の460アミノ酸残基からなるタンパク質をコードする。この遺伝子産物の推定アミノ酸配列を配列番号:4に示す。このORFは、bioA遺伝子に相当することが確認された(実施例6-3)。逆方向反復配列が、終止コドンの約3bp下流に位置する。この構造は、転写終結因子として機能する。
【0074】
ORF2と名付けられた、右側の遺伝子群の最初のORFは、ATGコドンで開始し、その前方にはRBSと推定される配列が存在する。この遺伝子の産物は、63アミノ酸残基からなるタンパク質であり、分子量は7,447と計算された。相補性解析、およびアミノ酸配列相同性検索によりこの遺伝子産物の機能を決定することが不可能であったため、このORFをORF2と名付けた。
【0075】
右側の遺伝子群の第2のORFのヌクレオチド配列を、配列番号:5に示す。この遺伝子は、1番目のアミノ酸残基、25番目のアミノ酸残基、および32番目のアミノ酸残基に対応する、3つの開始コドンとなりうるATGを有している。相補性解析(実施例6-3)により、このORFがbioF遺伝子に相当することが示された。この遺伝子の産物の推定アミノ酸配列を配列番号:6に示す。最初の開始コドンから開始し、387アミノ酸残基からなると推定されるタンパク質の分子量は、42,619と計算された。
【0076】
配列番号:7に示される、右側の遺伝子群の第3のORFには、開始コドンとなりうるコドンが3つ存在する。すなわち、2つのATGコドン(1番目のアミノ酸残基および18番目のアミノ酸残基)、および1つのGTGコドン(12番目のアミノ酸残基)である。この遺伝子の産物の推定アミノ酸配列を配列番号:8に示す。最初の開始コドンから翻訳される、338アミノ酸残基からなると推定されるタンパク質の分子量は、37,438と計算された。相補性解析(実施例6-3)により、このORFがbioB遺伝子に相当することが示された。終止コドンの16bp下流の逆方向反復配列の存在は、転写終結因子の特徴である。
【0077】
図10に示されるように、ORF1とORF2との間には、向かい合わせのプロモーターを形成している、プロモーターと考えられる配列が2つ存在する。転写は、左方にORF1、bioD、およびbioA遺伝子群へと進行し、また右方にORF2、bioF、およびbioB遺伝子群へと進行する。さらに、bioA遺伝子およびbioB遺伝子の終止コドンの下流に、2つの転写終結因子が位置する。したがって、両方向への転写により、2つの異なるmRNAが生成する。
【0078】
ORF1遺伝子とORF2遺伝子の開始部位の間に、2つの逆方向反復配列の因子、Box1およびBox2が見られる(図10)。Box1とBox2との全体としての相同性は、82.5%である。Box1またはBox2を、大腸菌ビオチンオペロンのオペレーター[Nature, 276, 689-694, (1978)]と比較すると、高レベルの保存が存在した(両者の相同性は54.6%)。2つの逆方向反復配列が、大腸菌のビオチンオペレーターと類似していることから、Box1およびBox2は、ビオチン合成のビオチンによる負の調節に関与している可能性が高いと考えられる。
【0079】
実施例10
pKH100の挿入DNA断片のヌクレオチド配列
pKH100の挿入DNA断片のヌクレオチド配列の解析を、実施例9と同様の方法により行った。挿入DNA断片には、2つのORFを含む遺伝子群が存在していた(図9B)。さらに、ベクタープラスミドpBR322の一部、および挿入DNA断片が欠如していることも確認された。
【0080】
配列番号:9に示される、最初のORFは、267アミノ酸残基からなるタンパク質をコードしており、その分子量は29,423と計算される。この遺伝子産物の推定アミノ酸配列を配列番号:10に示す。ATG開始コドンの6bp上流に、RBSと推定される配列が存在する。実施例7に示したような相補性解析により、このORFはbioH遺伝子に相当することが示された。
【0081】
RBSと推定される配列を有する、第2のORFが、bioH遺伝子の下流に存在する。このORFは、分子量9,955の86アミノ酸残基からなるタンパク質をコードしている。このORFによりコードされるタンパク質は、大腸菌およびバチルス・スファエリクスのビオチン遺伝子産物と相同性を有していなかった。このORFはORF3と名付けられた。
【0082】
図11に示されるように、bioH遺伝子の開始コドンから上流に、プロモーターと推定される配列が存在する。bioH遺伝子の5'非コード領域には、Box1およびBox2のような逆方向反復配列は存在しないため、この遺伝子群の転写は調節されていないと考えられる。さらに、ORF3の終止コドンと重複する逆方向反復配列が存在する。この構造は、転写終結因子として機能することができるため、bioHプロモーターと推定される配列は、bioH遺伝子およびORF3遺伝子の転写を可能にすると考えられる。
【0083】
実施例11
pKC100の挿入DNA断片のヌクレオチド配列
pKC100の挿入DNA断片のヌクレオチド配列の解析を、実施例9と同様の方法により行った。挿入DNA断片には、3つのORFを含む遺伝子群が存在していた(図9C)。
【0084】
第3のORFには、開始コドンの上流に、RBSと推定される配列が存在する。この遺伝子のヌクレオチド配列を配列番号:15に示す。この遺伝子は、267アミノ酸残基からなるタンパク質をコードしており、その分子量は31,599と計算される。この遺伝子産物の推定アミノ酸配列を配列番号:16に示す。実施例8に示したような相補性解析により、このORFはbioC遺伝子に相当することが示された。
【0085】
配列番号:11に示される最初のORFは、分子量44,776の398アミノ酸残基からなるタンパク質をコードする。RBSと推定される配列が、開始コドンの上流に存在する。配列番号:12に示される、この遺伝子の産物の推定アミノ酸配列は、実施例9のクルチア属538-KA26のbioF遺伝子産物と43.0%の相同性を有する。さらに、実施例4に示したように、pKC100により、大腸菌bioF変異体が相補された。したがって、このORFは、bioF遺伝子産物、KAPA合成酵素のアイソザイムをコードすると結論づけられる。したがって、このORFは、bioFII遺伝子と名付けられた。
【0086】
配列番号:13に示される第2のORFには、開始コドンの上流にRBSと推定される配列が存在する。この遺伝子は、分子量28,629の248アミノ酸残基からなるタンパク質をコードする。配列番号:14に示される、この遺伝子産物の推定アミノ酸配列は、実施例10のクルチア属538-KA26のbioH遺伝子産物と24.2%の相同性を有する。実施例4に示したように、pKC100により、大腸菌bioH変異体が相補された。したがって、このORFは、bioH遺伝子産物のアイソザイムをコードすると考えられるため、bioHII遺伝子と名付けられた。
【0087】
図12に示されるように、bioFII遺伝子の開始コドンから上流に、プロモーターと考えられる配列が存在する。bioFII遺伝子のプロモーター配列とRBSとの間には、1つの逆方向配列が存在する。Box3と名付けられたこの逆方向反復配列を、ORF1遺伝子とORF2遺伝子との間に位置するBox1およびBox2(実施例9)と比較した。Box1、Box2、およびBox3は、相互に極めてよく類似していた(Box1とBox3との相同性は80.0%、Box2とBox3との相同性は77.5%)。したがって、bioC遺伝子群は、bioA群およびbioB群と同様の負の調節を受けている可能性が高い。さらに、bioC遺伝子の終止コドンの254bp下流に、1つの逆方向反復配列が存在する。この構造は、転写終結因子として機能すると考えられる。
【0088】
実施例12
大腸菌およびクルチア属菌株用のシャトルベクターの構築
大腸菌およびクルチア属用のシャトルベクターを、図13に示したような方法で構築した。スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococus Aureus)・プラスミドpUB110(バチルス遺伝子貯蔵センター(Bacillus Genetic Stock Center);オハイオ州立大学生化学科(The Ohio State University, Department of Biochemistry)、484 West Twelfth Avenue, Columbus, Ohio 43210, USA)を、EcoRIおよびPvuIIで完全に消化した。クルチア属のための複製開始点およびカナマイシン耐性遺伝子を含む、3.5kbのEcoRI-PvuII断片を、アガロースゲル電気泳動により単離した。pUC19をEcoRIおよびDraIで完全に消化し、大腸菌のための複製開始点を含む、1.2kbのEcoRI-DraI断片を、アガロースゲル電気泳動により単離した。次に、これらの断片をDNAライゲーションキットを用いて連結し、シャトルベクターpYK1を作製した。pYK1は、大腸菌およびクルチア属において複製することができ、pYK1で形質転換された大腸菌またはクルチア属は、カナマイシン耐性を示す。
【0089】
実施例13
クルチア属のbioB遺伝子の発現プラスミドの構築
クルチアbioH遺伝子のプロモーターの下流にクルチアbioB遺伝子が挿入されている、pYK114を、図14に示すような方法により構築した。実施例7のpKH101をBanIIで完全に消化し、BanII断片の両末端をDNAポリメラーゼのクレノウ断片により平滑末端化した。次に、BanII断片をEcoRIで処理し、bioHプロモーターを含む0.6KbのEcoRI-平滑末端断片を、アガロースゲル電気泳動により単離した。実施例6のpKB104をKpnIで完全に消化し、クレノウ断片で処理することにより平滑末端へと変化させた。HindIIIで消化した後、bioB遺伝子を保持する1.3Kbの平滑末端-HindIII断片を、アガロース電気泳動により単離した。EcoRI-平滑末端断片と平滑末端-HindIII断片とを、EcoRIおよびHindIIIで消化したpYK1と連結させ、pYK114を構築した。bioB遺伝子は、pYK114由来のbioHプロモーターの下で、構成的に発現する。
【0090】
実施例14
形質転換効率の高いクルチア属538-51F9の誘導株の単離
クルチア属538-51F9(DSM10610番)を、50mlのトリプチカーゼ・ソイ・ブロス(Tripticase Soy Broth)(ベクトン・ディキンソン(Becton Dickinson))中で、28℃で、600nmにおける光学濃度(OD600)が1.0になるまで培養した。増殖した細胞を遠心分離により回収し、SMM(0.5Mショ糖、0.02Mマレイン酸ナトリウム、0.02M MgCl2 6H2O; pH6.5)中にOD60016で懸濁させた。リゾチーム(シグマ(Sigma))を200μg/mlで細胞懸濁液に添加し、プロトプラストを形成させるために、懸濁液を30℃で90分間インキュベートした。プロトプラストをSMMで2回洗浄した後、0.5mlのSMMに懸濁させた。1.5mlのPEG溶液(30%w/vポリエチレングリコール4000のSMM溶液)を、プロトプラスト懸濁液に添加し、懸濁液を氷上で2分間インキュベートした。6mlのSMMを添加し、プロトプラストを遠心分離により回収した。回収されたプロトプラストをSMMに懸濁させ、30℃で90分間インキュベートした。0.6%アガロース(シグマ;タイプVII)を含むDM3培地(0.5Mコハク酸ナトリウム pH7.3、0.5%w/vカザミノ酸、0.5%w/v酵母抽出物、0.3%w/v KH2PO4、0.7%w/v K2HPO4、0.5%w/vグルコース、0.02M MgCl2 6H2O、0.01%w/vウシ血清アルブミン)をプロトプラスト懸濁液に添加し、懸濁液をDM3培地寒天プレートに重層した。プレートを30℃で3日間インキュベートした。DM3プレート上に、合計で65個のコロニーが再生された。
【0091】
再生された菌株の形質転換効率を、実施例12のpYK1を用いて調べた。その結果、40個の菌株を選択し、50mlのトリプチカーゼ・ソイ・ブロス(Tripticase Soy Broth)中で、28℃で、OD600が1.0になるまで培養した。増殖した細胞を遠心分離により回収し、SMM中にOD60016で懸濁させた。その後、上記と同様にして細胞をリゾチームで処理し、プロトプラストを得た。プロトプラストを0.5mlのSMMに懸濁させ、pYK1(1μg)をプロトプラスト懸濁液に添加した。1.5mlのPEG溶液を添加した後、懸濁液を氷上で2分間インキュベートした。6mlのSMMを添加し、プロトプラストを遠心分離により回収した。次に、プロトプラストをSMMに懸濁させ、30℃で90分間インキュベートした。0.6%アガロースを含むDM3培地をプロトプラスト懸濁液に添加し、懸濁液をDM3培地寒天プレートに重層した。プレートを30℃で3日間インキュベートした。再生されたコロニーを含むプレート上のDM3−アガロースを回収し、形質転換体を選択するために、5μg/mlのカナマイシンを含む栄養培地寒天プレート上に広げた。プレートを、30℃で一晩インキュベートした。最終的に、高い形質転換効率(DNA1μg当たり2,000個の形質転換体)を特徴とする誘導株、クルチア属538-51F9-RG21が得られた。
【0092】
実施例15
クルチア属538-51F9-RG21中のbioB遺伝子の増幅
1.クルチア属538-51F9-RG21の形質転換
クルチア菌株のbioB遺伝子の発現プラスミドpYK114を、実施例13に記載の方法で構築した。クルチア属538-51F9-RG21を、実施例14の方法により、pYK114およびベクタープラスミドpYK1で形質転換した。pYK1またはpYK114を有するクルチア属538-51F9-RG21を、それぞれ、クルチア属538-51F9-RG21(pYK1)またはクルチア属538-51F9-RG21(pYK114)と名付けた。
【0093】
2.発酵によるビオチン生産
クルチア属538-51F9-RG21(pYK1)およびクルチア属538-51F9-RG21(pYK114)を、5μg/mlのカナマイシンを含む、50mlの生産培地(6%グリセロール、5.5%プロテオース・ペプトン、0.1% KH2PO4、0.05% MgSO4 7H2O、0.05% FeSO4 7H2O、0.001% MnSO4 5H2O; pH7.0)に接種した。対照として、クルチア属538-51F9-RG21を、50mlの生産培地に接種した。培養は、28℃で120時間行った。
【0094】
培養後、2mlの培養液を遠心分離して細菌細胞を除去し、上清を得た。上清中のビオチン生産を、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)(ATCC8014)を用いた微生物学的アッセイにより測定した。生産されたビオチンの量を表3に示す。
【0095】
【表3】
Figure 0004267715
【0096】
【発明の効果】
本発明により、クルチア属のビオチン生合成に関与する遺伝子を有する染色体DNA断片、一つまたは複数の該DNA断片を含むベクター、および一つまたは複数の該DNA断片もしくは該ベクターにより形質転換された細胞が提供された。従って、当技術分野において既知の方法により該細胞を培地中で培養し、得られたビオチンを培養上清から単離することにより、大量のビオチンを製造することが可能となった。また、このような方法により得られたビオチンは、一般的な添加物と混合し、薬学的組成物、食品、および飼料を調製することが可能である。
【0097】
【配列表】
Figure 0004267715
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【図面の簡単な説明】
【図1】 pKB100、pKB200、およびpKB300の制限地図である。
【図2】 pKB100の構造を示す図である。
【図3】 pKB200の構造を示す図である。
【図4】 pKH100、pKH101、およびpKH102の制限地図、および相補性の結果を示す図である。
【図5】 pKH100の構造を示す図である。
【図6】 pKC100、pKC101、およびpKC102の制限地図である。
【図7】 pKC100の構造を示す図である。
【図8】 pKB100、pKB200、およびpKB300に由来するプラスミドの構造を示す図である。
【図9】クルチア属538-KA26のビオチン生合成に関与する遺伝子群の遺伝子の構成を示す図である。
【図10】クルチア属538-KA26のORF1遺伝子とORF2遺伝子との間のヌクレオチド配列を示す図である。
【図11】 bioH遺伝子群のプロモーター領域のヌクレオチド配列を示す図である。
【図12】 bioFII遺伝子群のプロモーター領域のヌクレオチド配列を示す図である。
【図13】シャトルベクターpYK1の構築を示す図である。
【図14】 bioB発現プラスミドpYK114の構築を示す図である。

Claims (6)

  1. 配列番号2、4、6、8、10、12、14、または16により示されるポリペプチドをコードするDNA。
  2. 一つまたは複数の請求項1に記載のDNAを含むベクター。
  3. 前記DNAがプロモーターに機能的に結合している、請求項2に記載のベクター。
  4. 一つまたは複数の請求項1に記載のDNAまたは請求項2もしくは3に記載のベクターにより形質転換された細胞。
  5. 当技術分野において既知の方法により、請求項4に記載の細胞を培地中で培養し、得られたビオチンを培養培地から単離することを含む、ビオチンの製造方法。
  6. 培養 6〜8のpHで 25〜30℃の温度範囲で 2〜7日間行われる、請求項5に記載の方法。
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