JP4267712B2 - メタルハライドランプ - Google Patents

Description

技術分野
本発明は、セラミック壁を備える放電容器を有し、前記放電容器は、イオン性充填物を含む放電空間を囲み、該充填物は、水銀、ナトリウムハロゲン化物及びタリウムハロゲン化物を含むメタルハライドランプに関する。
背景技術
冒頭段落に記載の形式のランプは、欧州特許出願公開第EP-A-0 215 524号（出願人整理番号PHN11.485）から既知である。このランプは、タングステン電極を有している。非常に特有の光束を優れた色質（とりわけ、平均演色評価数Ｒ_a≧０、色温度Ｔ_cが２６００Ｋと４０００Ｋとの間）と組合わせる前記既知のランプは、例えば屋内照明用の照明源として非常に適している。このランプでは、ナトリウムハロゲン化物がランプの充填物成分として用いられ、Na-D線におけるナトリウム発光の強力な広がり（widening）及び反転（reversal）がランプの動作中に起こる場合に良好な演色性が可能になる、と言う認識が有利に用いられている。これは、少なくとも１１７０Ｋ（９００℃）と言う放電容器内の高い冷点部温度Ｔ_kpを要求する。Na-D線が反転及び広がる場合、それらはスペクトル内に相互にΔλ離れた二つの最大値を持つ発光帯域の形態をとる。
Ｔ_kpの大きな値の要求は、放電容器が、かなり小さく、該放電容器の壁に対する石英または石英ガラスの使用を排除し、該放電容器の壁に対しセラミックを用いることを強いる、と言うことを伴う。
本願明細書及び各請求項において、セラミック壁は、例えばサファイア即ち焼結した多結晶酸化アルミニウム（Al₂O₃）等の金属酸化物の壁及び例えば窒化アルミニウム（AlN）等の金属窒化物の壁の両方を意味すると理解されたい。
放電容器の充填物は、ナトリウム（Na）及びタリウム（Tl）の他に、１以上の希土類金属を含む。希土類金属により、平均演色評価数Ｒ_a≧８０及び色温度Ｔ_cに対する所望の値が実現される。本願明細書及び各請求項において、希土類金属は、スカンジウム（Sc）、イットリウム（Y）及びランタノイドなる元素を意味すると理解されたい。
前記既知のランプの不利な点は、ランプの動作時に希土類金属が存する影響により、放電容器の各部、とりわけ、壁の腐食が起こる、と言うことである。これは、結局の所、ランプ寿命の末期を早める。前記既知のランプの他の不利な点はまた、放電容器のかなり小さい寸法に起因して、該放電容器の壁の黒化が、前記電極から蒸発されるタングステン（W）の前記壁への堆積によりかなり急速に生じる、と言うことである。
発明の開示
本発明の目的は、上述の不利な点を無くす対策を提供することにある。それ故、本発明による冒頭段落に記載の形式のランプは、前記イオン性充填物が、カルシウムも含み、希土類ハロゲン化物を欠くことを特徴とする。
本発明によるランプは、赤及び青両方に対してカルシウム（Ca）が驚くべき大きくスペクトルに寄与する結果として、平均演色評価数に関しＲ_a≧８０の値が実現され、色温度に関し３５００Ｋに至るＴ_cが実現される。更に、驚くべきことに、安定的なアルミン酸塩カルシウム化合物（Ca aluminate compounds）の形成が除かれ、カルシウムが存することにより、タングステンハロゲン化サイクル（W-halidecycle）が展開し、その結果として、電極のタングステンの蒸発による放電容器の壁の黒化が強力に相殺されることが分かった。タングステンハロゲン化サイクルの発生に関する条件は、放電容器内に少量の自由酸素（free oxygen）が存することである。実際には、該量の自由酸素は、ランプの製造時に発生する汚染物から生じ、ランプが動作状態にある場合に該汚染物から放出される。放電容器の充填物成分との反応の影響により酸素がセラミック壁材料から放出される、と言うことも確証されている。濃度が低すぎる場合、ランプの動作時満足のいくタングステンハロゲン化サイクルを維持することは殆ど不可能であろう。濃度が高すぎる場合、とりわけ、タングステン電極の腐食が起こるであろう。本発明によるランプの好ましい実施例においては、前記放電容器が、酸素ディスペンサ（oxygen dispenser）を含む。これは、酸素が放電容器内に制御されるようにして導入される、という重要な利点を持つ。ランプの適切な動作に対して要求される製造精度、及びその結果としての汚染物の減少を念頭におくと、汚染物から放出される酸素（O₂）の量に関する濃度は低すぎる可能性が大きい。好ましい実施例によるランプの更なる利点は、ランプの寿命の間の供与が可能になる、と言うことである。本発明によるランプの有利な実施例においては、前記酸素ディスペンサが、酸化カルシウムを含む。酸化カルシウム（CaO）は、それ自体が放電容器の充填物の一部を形成する点で有利である。放電容器の充填物は、ナトリウム及びタリウムに加えて、とりわけ、ランプの色質に影響を及ぼす１以上の金属、例えば、インジウム（In）を含むこともできる。希土類金属の排除の他に、充填物に関して、チタン（Ti）、ジルコニウム（Zr）及びハフニウム（Hf）を用いることはそれ程適していない。なぜなら、それらは、かなり安定的な酸化物を形成するからである。
Δλに関し１２ｎｍ及び６０ｎｍの間の値が、ランプの良好な演色性をもたらすために望ましい、と言うことが実験的に示された。Ｔ_kpに関し１２００Ｋ及び１３００Ｋの間の範囲内の値の場合、Δλに関する所望の大きさが実際に実現可能であると共に、１４５０Ｋに至る放電容器の壁の最大温度も実現することが出来る。
本発明のこれらの及び他の特徴は、以下に記載の実施例を参照して詳細に説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
図は、メタルハライドランプを示し、放電空間を囲むセラミック壁を持つ、縮尺通りではない、放電容器が断面図で示されている。
発明を実施するための最良の形態
図は、メタルハライドランプを示し、放電空間１１を囲むセラミック壁を持つ、縮尺通りではない、放電容器が断面図で示されている。前記放電空間は、図例の場合、水銀だけでなくナトリウムハロゲン化物及びタリウムハロゲン化物も含むイオン性充填物を含む。また、前記充填物は、酸化カルシウムを含む酸素ディスペンサを、例えば、酸化カルシウムが注入されたセラミック担体（ceramic CaO-impregnated carrier）の形態で含む。タングステンからなる各々図において電極ロッド４４、５４及び頂部４５、５５を持つ二つの電極４、５が、前記放電容器内に配置される。前記放電容器は、セラミック突出プラグ３４、３５により一の側で閉じられる。セラミック突出プラグ３４、３５は、前記放電容器内に配置される電極４、５への各々引き込み線４０、４１及び５０、５１を間隙をもって近接的に囲み、前記放電容器から遠い端部に隣接して融解セラミック接合１０により該引き込み線に気密的に結合されている。前記放電容器の構造自体は、例えば欧州特許第EP-0 587 238号から既知である。前記放電容器は、一方の端部に口金２を持つ外側バルブ１により囲まれている。ランプの動作時、電極４及び５の間には放電が生じる。電極４は、口金２の一部を形成する第１電気的接点に導体８を介して接続される。電極５は、口金２の一部を形成する第２電気的接点に導体９を介して接続される。
図示のような本発明によるランプの実用的な実施例においては、ランプの公称電力が７０Ｗであり、該ランプは９０Ｖの公称ランプ電圧を持つ。放電容器の透光性壁は、０．８ｍｍの厚さを持つ。放電容器の内径は６．８５ｍｍであり、電極頂部間の距離は７ｍｍである。ランプのイオン性充填物は、４．６ｍｇの水銀に加えて、各々２８．８、１０．７及び６０．５の重量濃度成分を持つ７ｍｇの（Na＋Tl＋Ca）ヨウ化物を含む。放電容器は、３００ｍｂａｒの充填圧で始動エンハンサとしてアルゴン（Ar）も含む。ランプの動作時、Ｔ_kpは１２６５Ｋである。ランプは、１００時間の間９０ｌｍ／Ｗという特有の光束（specific luminousflux）でもって光を発する。発せられた光の色温度Ｔ_cは３１５０Ｋである。平均演色評価数Ｒ_aは８４である。１０，０００時間の燃焼後、特有の光束（specificlight stream）は、前記１００時間の値の８８％である。

Claims (3)

1. セラミック壁を備える放電容器を有し、前記放電容器は、イオン性充填物を含む放電空間を囲み、該充填物は、水銀、ナトリウムハロゲン化物及びタリウムハロゲン化物を含むメタルハライドランプであって、前記イオン性充填物が、カルシウムも含み、希土類ハロゲン化物を欠くことを特徴とするメタルハライドランプ。
2. 請求項１記載のランプであって、前記放電容器が、酸素ディスペンサを含むことを特徴とするランプ。
3. 請求項２記載のランプであって、前記酸素ディスペンサが、酸化カルシウムを含むことを特徴とするランプ。

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