JP4266139B2 - ひずみゲージ式測定システムおよびその感度補正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ひずみゲージまたはひずみゲージ式変換器を用いることを前提としたひずみゲージ式測定システムにおけるひずみゲージの接続ケーブル、すなわち接続リード線の内部抵抗に基づく感度低下を、ひずみゲージの結線方式等の測定モードに応じ且つ接続端子の端子間抵抗に基づいて補正する技術に係り、特に、多チャンネルのひずみゲージ式測定システムに好適な、ひずみゲージ式測定システムおよびひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ひずみ測定において、ひずみゲージまたはひずみゲージ式変換器等を用いて測定する場合、この種のひずみゲージ式測定器には、ひずみゲージの結線方式の相違などによる複数の測定モードが存在する。具体的には、例えば単一のひずみゲージのみを用いる(3線式)1アクティブゲージ法(1G3W)などの1ゲージ測定モード、2個のひずみゲージをハーフブリッジ接続して用いる2アクティブゲージ法(2G/A−A)および2ゲージアクティブダミー法(2G/A−D)等の2ゲージ測定モード、やはり2個のひずみゲージを用いる2ゲージ法の一種で2ゲージアクティブコモンダミー法(2G/A−(COM−D))等と称される2ゲージコモンダミー測定モード、4個のひずみゲージをフルブリッジ接続して定電圧励振する定電圧4アクティブゲージ法(4G)等の4ゲージ定電圧測定モード、4個のひずみゲージをフルブリッジ接続して定電流励振する公称ブリッジ抵抗が120Ωの定電流120Ω4アクティブゲージ法(4GI−120)、および4個のひずみゲージをフルブリッジ接続して定電流励振する公称ブリッジ抵抗が350Ωの定電流350Ω4アクティブゲージ法(4GI−350)等の4ゲージ定電流測定モードなどが、代表的な測定モードである。
【0003】
一般に、ひずみゲージ式測定器の接続に用いる接続端子は、ある程度標準化されており、複数の端子からなる接続端子に対するひずみゲージ等の結線方式は、個々の測定モード毎に一義的に定まっていることが多い。また、測定器側では、これらの測定モードによって、給電方式、給電個所、計測情報、計測個所、および入出力抵抗等の少なくともいずれかが異なるため、ひずみゲージ等の結線に適用された測定モードに応じて測定器側においても個々に測定モードを設定しなければならない。すなわち、測定に先立って、接続されたひずみゲージ等の測定モードを確認し、測定チャンネル、測定個所、ひずみゲージ抵抗値等と共に測定モードを記録紙に記録しておき、それに合わせて測定器の測定モードを設定しなければならなかった。このように、測定器の測定モードを設定する作業は、煩雑で且つ間違え易い作業であり、測定に際し大きな負担となっている。
一方、ひずみ測定は、測定器から離れた場所に設置したひずみゲージに接続ケーブル、すなわちリード線、を介して測定器を接続し、遠隔地のひずみを測定しなければならないことも多く、このような場合にはリード線の長さに応じた内部抵抗による計測感度低下が生ずる。
【0004】
すなわち、ひずみ測定においては、被測定体に貼着するひずみゲージまたはひずみゲージ式変換器と測定器の間に、必要な長さのリード線からなる延長ケーブルを接続するのが一般的である。このように延長ケーブルを接続すると、延長したケーブルのリード線の線間抵抗により計測感度の低下を生じることになる。このため、高い測定精度を必要とする場合には、この感度低下分を補正しなければならない。
上述した4ゲージ定電流測定モード以外の(3線式)1アクティブゲージ法(1G3W)などの1ゲージ測定モード、2アクティブゲージ法(2G/A−A)および2ゲージアクティブダミー法(2G/A−D)等の2ゲージ測定モード、2ゲージアクティブコモンダミー法(2G/A−(COM−D))等と称される2ゲージコモンダミー測定モード、および定電圧4アクティブゲージ法(4G)等の4ゲージ定電圧測定モードにおいて、感度補正をする際には、低下した感度を、(センサ)ゲージ抵抗Rgおよび延長したケーブルリード線の往復抵抗(1G3W,2G/A−A,2G/A−Dの場合には、片道抵抗)RLを用いて測定ひずみ量εiから次式により、手動演算あるいはPC等を用いた演算で補正して、真のひずみεを求めることができる。
【0005】
【数1】
【0006】
何故なら、センサのゲージ抵抗Rgの両端からそれぞれリード線抵抗RL/2のケーブルを介してブリッジ電圧Eが計測されるとすると、ゲージ抵抗Rgの両端におけるブリッジ電圧eは、次式であらわされる。
【0007】
【数2】
すなわち、次式が成立する。
【0008】
【数3】
補正係数をAとすると、次式が得られる。
【0009】
【数4】
【0010】
したがって、ゲージ抵抗Rgの両端におけるブリッジ電圧eは、真のひずみεに対応し、計測されるブリッジ電圧Eは、測定ひずみ量εiに対応するから、(1)式が得られ、補正係数Aは、次式であらわされる。
【0011】
【数5】
【0012】
一方、ひずみゲージをブリッジ回路に組み込むためのリード線の影響を排除して、ひずみ測定を行う処理を自動的に効率よく行うシステムが既に特許文献1(特開平11−183112号公報)にて提案されている。
即ち、この特許文献1に記載されたひずみ測定システムは、ひずみゲージ1のひずみを生じていない状態におけるブリッジ8の出力電圧e o 及びリード線3の電圧e r2 と、抵抗体7を有する辺の電圧V 4 と、ひずみ測定時のブリッジ回路8の出力電圧eとを電圧検出手段35を介して検出する。ブリッジ回路8の出力電圧e(又はe , e o )から把握されるひずみ測定値に、電圧e r2 の検出値を用いた次式により求まる補正係数xを乗算してなる値をリード線2 , 3の抵抗値の影響を排除したひずみ測定値として求めるものである。
x=(V−V 4 +e o )/(V−V 4 +e o −e r2 )
特に多チャンネルのひずみ測定の場合には、測定点毎に延長ケーブルリード線の長さが異なるため、各測定点毎にゲージ抵抗Rgとリード線抵抗RLを測定するのは、かなり煩雑な作業となる。このため、延長したケーブルリード線による感度低下の補正作業を簡易にするため、全計測点のリード線長さを最長のリード線に合わせて配線し、単一の補正係数で処理するなどといった苦肉の策がとられることもある。
また、ケーブルリード線による延長が必要な場合に、定電流ブリッジ電源を用いる定電流120Ω4アクティブゲージ法(4GI−120)および定電流350Ω4アクティブゲージ法(4GI−350)等の4ゲージ定電流測定モードを採用すれば、ケーブルリード線の抵抗が増加しても電流を一定に保つために、変換器のブリッジに加わる電圧が常に一定となり、ケーブルリード線の延長による影響があらわれない。しかしながら、このような定電流励振方式の場合には、ブリッジ抵抗の誤差を次式により補正する必要がある。次式においては、測定ひずみ量εi、使用センサの入力ゲージ抵抗Rgおよび公称ブリッジ抵抗Rを用いて真のひずみ値εをあらわしている。
【0013】
【数6】
【0014】
また、接続ケーブルに接続されたひずみゲージ自体は、地中やコンクリート中に埋設されることもあり、接続状態を容易に視認することができない場合も少なくない。このため、従来は、接続ケーブルを介してひずみゲージ等を接続した際に、測定器側の感度補正や測定モードの設定のために、上述したように、測定モードをメモ等に記録しておく必要があった。特に、ダム等のように大きな建造物や施設、あるいは工事現場等の多数の個所に、ひずみゲージおよびひずみゲージ式変換器等を含む種々のセンサを多数設置し、それぞれ複数の端子からなる各チャンネル毎の接続端子にケーブルを介して接続し、これら多チャンネルの接続端子を測定器にスキャナを使用して選択的に走査接続して測定を行なう多点観測システムにおいては、予め個々のチャンネル毎の補正量および接続モードを走査接続機能を有する多チャンネル測定器に設定しなければならない。このような測定システムでは、保守または測定対象の変動によるセンサの除去や追加に伴うチャンネルの変更および増減、並びに多チャンネル測定器の交換の都度、各チャンネルの補正量および測定モードの変更設定を行なう必要がある。
したがって、各チャンネルの接続モード等を記録したメモ等を長期間にわたって保管しておかなければならず、しかも各チャンネルの測定モードの変更設定作業も極めて煩雑である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、ひずみゲージまたはひずみゲージ式変換器を使用した測定においては、ひずみゲージから測定器までを接続するケーブルリード線抵抗による計測感度低下の影響を無視することができない。また、従来は、ひずみゲージ等を接続した測定系の測定モードやひずみゲージの抵抗値等を、予めメモ等に記録しておくか、個々に確認するかして、ケーブルリード線抵抗による計測感度低下の影響を補正したり、測定器側に該当する測定モードを設定したりする必要があり、ケーブルリード線抵抗による感度低下の補正作業や測定モードの設定作業が、煩雑であるばかりか、誤認等による誤処理も生じがちであった。しかも、このことは、多チャンネルの測定系を選択的に走査接続する測定システムにおいては、測定モードの設定作業を著しく煩雑化する原因にもなっていた。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうにあたり、計測系側から測定したひずみゲージ部の所定の端子間抵抗から、ひずみゲージ部の抵抗とケーブルリード線の抵抗に基づく、感度補正演算を行なって、ケーブルリード線抵抗による感度低下を的確に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムおよびその感度補正方法を提供することを目的としている。
【0016】
本発明の請求項1の目的は、特に、所定の複数の端子に対するひずみゲージ等の接続による所定の端子間抵抗を測定器側から計測し、該所定の端子間抵抗に基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムを提供することにある。
本発明の請求項2の目的は、特に、所定の複数の端子に対するひずみゲージ等の接続による所定の端子間抵抗を測定器側から計測し、対応する測定モードを判定して、測定モードを自動的に設定するとともに、前記所定の端子間抵抗に基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムを提供することにある。
本発明の請求項3の目的は、特に、選択された測定モードに応じて、前記所定の端子間抵抗に基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムを提供することにある。
本発明の請求項4の目的は、特に、選択された測定モードに応じ、且つ前記所定の端子間抵抗に基づく演算により補正係数を求めることによって、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムを提供することにある。
【0017】
本発明の請求項5の目的は、特に、前記複数の端子が、ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子を含み、前記複数の測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードとのうちの少なくともいずれかを含む場合において、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムを提供することにある。
本発明の請求項6の目的は、特に、前記複数の端子が、ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子を含み、前記複数の測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードとのうちの少なくともいずれかを含む場合において、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムを提供することにある。
【0018】
本発明の請求項8の目的は、特に、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードである場合に、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムを提供することにある。
本発明の請求項9の目的は、特に、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードである場合に、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムを提供することにある。
本発明の請求項10の目的は、特に、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードである場合に、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムを提供することにある。
【0019】
本発明の請求項11の目的は、特に、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードである場合に、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムを提供することにある。
本発明の請求項12の目的は、特に、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードである場合に、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムを提供することにある。
本発明の請求項13の目的は、特に、選択された測定モードに応じて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムを提供することにある。
【0020】
本発明の請求項14の目的は、特に、多チャンネルの各々について所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なう場合に、多チャンネルの測定モードを自動的に設定することを可能とするひずみゲージ式測定システムを提供することにある。
本発明の請求項15の目的は、特に、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードとのうちの少なくともいずれかを含む複数の測定モードにより選択的に測定を行なう場合に、容易に、ひずみゲージ等の接続状態に対応する測定モードに応じてひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法を提供することにある。
【0021】
本発明の請求項16の目的は、特に、第1、第2、第3および第4の端子に対して、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードとのうちの少なくともいずれかを含む複数の測定モードにより選択的に測定を行なう場合に、容易に、ひずみゲージ等の接続状態を検知し、対応する測定モードを的確に判定して、測定モードを自動的に設定して測定するとともに、前記所定の端子間抵抗に基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法を提供することにある。
【0022】
本発明の請求項17の目的は、特に、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードである場合に、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法を提供することにある。
本発明の請求項18の目的は、特に、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードである場合に、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法を提供することにある。
本発明の請求項19の目的は、特に、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードである場合に、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法を提供することにある。
【0023】
本発明の請求項20の目的は、特に、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードである場合に、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法を提供することにある。
本発明の請求項21の目的は、特に、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードである場合に、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムは、上述した目的を達成するために、
所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおいて、
ひずみゲージが接続される所定の複数の端子の少なくとも一部に対し、給電路および計測端子を切り替えて給電するとともに端子間抵抗値を計測する端子間抵抗値計測手段と、
前記端子間抵抗値計測手段によって得られる前記端子間抵抗値に基づき、測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出手段と、
前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出手段によって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測手段と、
を具備することを特徴としている。
【0025】
請求項2に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムは、上述した目的を達成するために、
所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおいて、
ひずみゲージが接続される所定の複数の端子の少なくとも一部に対し、給電路および計測端子を切り替えて給電するとともに端子間抵抗値を計測する端子間抵抗値計測手段と、
前記端子間抵抗値計測手段によって得られる前記端子間抵抗値に基づいて前記所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態を弁別し該当する測定モードを判別するモード判別手段と、
前記端子間抵抗値計測手段によって得られる前記端子間抵抗値に基づき、前記モード判別手段により判別された測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出手段と、
前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出手段によって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測手段と、
を具備することを特徴としている。
【0026】
請求項3に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムは、請求項1または請求項2のひずみゲージ式測定システムにおいて、前記補正係数算出手段における補正係数演算が、前記複数の測定モードの個々の測定モード毎に一義的に定められていることを特徴としている。
請求項4に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムは、請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項のひずみゲージ式測定システムにおいて、前記補正係数算出手段が、前記端子間抵抗値計測手段により計測された選択的な端子間の抵抗値に基づき、前記所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態に対応する測定モードに応じた所定の演算により補正係数を算出する手段を含むことを特徴としている。
【0027】
請求項5に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムは、請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項のひずみゲージ式測定システムにおいて、
前記複数の端子が、ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子を含み、
前記複数の測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードとのうちの少なくともいずれかを含み、
前記端子間抵抗値計測手段は、前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とによって抵抗値を計測する手段を含み、さらに
前記補正係数算出手段が、前記ひずみゲージの抵抗Rgと前記ひずみゲージへの接続リード線の片道抵抗RLに基づき補正係数Aを
A=1+(RL/Rg)
として、前記端子間抵抗値計測手段により計測される抵抗値から算出する手段を含む
ことを特徴としている。
【0028】
請求項6に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムは、請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項のひずみゲージ式測定システムにおいて、
前記複数の端子が、ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子を含み、
前記複数の測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードとのうちの少なくともいずれかを含み、
前記端子間抵抗値計測手段が、前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とによって抵抗値を計測する手段を含み、さらに
前記補正係数算出手段が、前記ひずみゲージの抵抗Rgと前記ひずみゲージへの接続リード線の往復抵抗R2Lに基づき補正係数Aを
A=1+(R2L/Rg)
として、前記端子間抵抗値計測手段により計測される抵抗値から算出する手段を含むことを特徴としている。
【0029】
請求項7に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムは、請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項のひずみゲージ式測定システムにおいて、
前記複数の端子が、ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子を含み、
前記複数の測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードを含み、
前記端子間抵抗値計測手段が、前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とによって抵抗値を計測する手段を含み、さらに
前記補正係数算出手段が、前記ひずみゲージの入力抵抗Rgと公称ブリッジ抵抗Rに基づき補正係数Aを
A=(R/Rg)
として、前記端子間抵抗値計測手段により計測される抵抗値から算出する手段を含む
ことを特徴としている。
【0030】
請求項8に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムは、請求項5のひずみゲージ式測定システムにおいて、
前記補正係数算出手段は、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードである場合、
前記端子間抵抗値計測手段により、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=(2X−Z)/{2(X−Z)}
として算出する手段を含む
ことを特徴としている。
【0031】
請求項9に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムは、請求項5のひずみゲージ式測定システムにおいて、
前記補正係数算出手段は、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードである場合、
前記端子間抵抗値計測手段により、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/{2(X−Z)}
として算出する手段を含む
ことを特徴としている。
【0032】
請求項10に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムは、請求項6のひずみゲージ式測定システムにおいて、
前記補正係数算出手段は、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードである場合、
前記端子間抵抗値計測手段により、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/(X−Z)
として算出する手段を含む
ことを特徴としている。
【0033】
請求項11に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムは、請求項6のひずみゲージ式測定システムにおいて、
前記補正係数算出手段は、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードである場合、
前記端子間抵抗値計測手段により、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/{4(X−Z)}
として算出する手段を含む
ことを特徴としている。
【0034】
請求項12に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムは、請求項7のひずみゲージ式測定システムにおいて、
前記補正係数算出手段は、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードである場合、
前記端子間抵抗値計測手段により、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zと、公称ブリッジ抵抗Rとに基づき補正係数Aを
A=R/{4(X−Z)}
として算出する手段を含む
ことを特徴としている。
請求項13に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムは、請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項のひずみゲージ式測定システムにおいて、前記複数の端子に対する前記ひずみゲージの接続回路が、前記複数の測定モードの個々の測定モード毎に一義的に定められていることを特徴としている。
【0035】
請求項14に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムは、
多チャンネルの各々について所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおいて、
各々所定の複数の端子を有する各チャンネルについて、順次、それぞれ請求項1〜請求項13の少なくともいずれか1項の補正係数算出手段、モード判別手段および計測手段の少なくともいずれかを、切り替え走査して接続する手段を含むことを特徴としている。
【0036】
請求項15に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法は、上述した目的を達成するために、
ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、
前記複数の測定モードは、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードとのうちの少なくともいずれかを含み、
前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とを選択的に切り替えてそれぞれ抵抗値を計測する抵抗値計測ステップと、
前記第1〜第4の端子に対するひずみゲージの接続状態が、前記1ゲージ測定モード、2ゲージ測定モード、2ゲージコモンダミー測定モード、4ゲージ定電圧測定モードおよび4ゲージ定電流測定モードの少なくともいずれかを含む測定モードのうちのどの測定モードであるかを決定するモード決定ステップと、
前記抵抗値計測ステップによって得られる前記端子間抵抗値に基づき、前記測定モード決定ステップにより決定された測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出ステップと、
前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出ステップによって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測処理ステップと
を有することを特徴としている。
【0037】
請求項16に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法は、上述した目的を達成するために、
ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、
前記複数の測定モードは、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードとのうちの少なくともいずれかを含み、
前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態と、前記第4の端子と前記第2の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第3の抵抗計測状態とを選択的に切り替えてそれぞれ抵抗値を計測する抵抗値計測ステップと、
前記抵抗値計測ステップによる前記各抵抗計測状態における計測抵抗値に基づいて、前記第1〜第4の端子に対するひずみゲージの接続状態を弁別し、前記1ゲージ測定モード、2ゲージ測定モード、2ゲージコモンダミー測定モード、4ゲージ定電圧測定モードおよび4ゲージ定電流測定モードの少なくともいずれかを含む測定モードのうちの該当する測定モードを推定するモード推定ステップと、
前記抵抗値計測ステップによって得られる前記端子間抵抗値に基づき、前記測定モード推定ステップにより推定された測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出ステップと、
前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出ステップによって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測処理ステップと
を有することを特徴としている。
【0038】
請求項17に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法は、請求項15または請求項16のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、
前記補正係数算出ステップは、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードである場合、
前記抵抗値計測ステップにより、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=(2X−Z)/{2(X−Z)}
として算出するステップを含む
ことを特徴としている。
【0039】
請求項18に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法は、請求項15または請求項16に記載のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、
前記補正係数算出ステップは、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードである場合、
前記抵抗値計測ステップにより、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/{2(X−Z)}
として算出するステップを含む
ことを特徴としている。
【0040】
請求項19に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法は、請求項15または請求項16のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、
前記補正係数算出ステップは、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードである場合、
前記抵抗値計測ステップにより、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/(X−Z)
として算出するステップを含む
ことを特徴としている。
【0041】
請求項20に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法は、請求項15または請求項16のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、
前記補正係数算出ステップは、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードである場合、
前記抵抗値計測ステップにより、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/{4(X−Z)}
として算出するステップを含む
ことを特徴としている。
【0042】
請求項21に記載した本発明に係るひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法は、請求項15または請求項16のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、
前記補正係数算出ステップは、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードである場合、
前記抵抗値計測ステップにより、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zと、公称ブリッジ抵抗Rとに基づき補正係数Aを
A=R/{4(X−Z)}
として算出するステップを含む
ことを特徴としている。
【0043】
【作用】
すなわち、本発明の請求項1によるひずみゲージ式測定システムは、
所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおいて、
ひずみゲージが接続される所定の複数の端子の少なくとも一部に対し、給電路および計測端子を切り替えて給電するとともに端子間抵抗値を計測する端子間抵抗値計測手段と、
前記端子間抵抗値計測手段によって得られる前記端子間抵抗値に基づき、測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出手段と、
前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出手段によって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測手段と、
を具備する。
このような構成により、特に、所定の複数の端子に対するひずみゲージ等の接続による所定の端子間抵抗を測定器側から計測し、該所定の端子間抵抗に基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0044】
また、本発明の請求項2によるひずみゲージ式測定システムは、
所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおいて、
ひずみゲージが接続される所定の複数の端子の少なくとも一部に対し、給電路および計測端子を切り替えて給電するとともに端子間抵抗値を計測する端子間抵抗値計測手段と、
前記端子間抵抗値計測手段によって得られる前記端子間抵抗値に基づいて前記所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態を弁別し該当する測定モードを判別するモード判別手段と、
前記端子間抵抗値計測手段によって得られる前記端子間抵抗値に基づき、前記モード判別手段により判別された測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出手段と、
前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出手段によって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測手段と、
を具備する。
このような構成により、特に、所定の複数の端子に対するひずみゲージ等の接続による所定の端子間抵抗を測定器側から計測し、対応する測定モードを自動的に判定して、測定モードを自動的に設定するとともに、前記所定の端子間抵抗に基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0045】
そして、本発明の請求項15によるひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法は、
ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、
前記複数の測定モードは、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードとのうちの少なくともいずれかを含み、
前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とを選択的に切り替えてそれぞれ抵抗値を計測する抵抗値計測ステップと、
前記第1〜第4の端子に対するひずみゲージの接続状態が、前記1ゲージ測定モード、2ゲージ測定モード、2ゲージコモンダミー測定モード、4ゲージ定電圧測定モードおよび4ゲージ定電流測定モードの少なくともいずれかを含む測定モードのうちのどの測定モードであるかを決定するモード決定ステップと、
前記抵抗値計測ステップによって得られる前記端子間抵抗値に基づき、前記測定モード決定ステップにより決定された測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出ステップと、
前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出ステップによって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測処理ステップと
を有する。
このようにすることにより、特に、前記1ゲージ測定モードと、前記2ゲージ測定モードと、前記2ゲージコモンダミー測定モードと、前記4ゲージ定電圧測定モードと、前記4ゲージ定電流測定モードとのうちの少なくともいずれかを含む複数の測定モードにより選択的に測定を行なう場合に、容易に、ひずみゲージ等の接続状態に対応する測定モードに応じてひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0046】
本発明の請求項16によるひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法は、
ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、
前記複数の測定モードは、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードとのうちの少なくともいずれかを含み、
前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態と、前記第4の端子と前記第2の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第3の抵抗計測状態とを選択的に切り替えてそれぞれ抵抗値を計測する抵抗値計測ステップと、
前記抵抗値計測ステップによる前記各抵抗計測状態における計測抵抗値に基づいて、前記第1〜第4の端子に対するひずみゲージの接続状態を弁別し、前記1ゲージ測定モード、2ゲージ測定モード、2ゲージコモンダミー測定モード、4ゲージ定電圧測定モードおよび4ゲージ定電流測定モードの少なくともいずれかを含む測定モードのうちの該当する測定モードを推定するモード推定ステップと、
前記抵抗値計測ステップによって得られる前記端子間抵抗値に基づき、前記測定モード推定ステップにより推定された測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出ステップと、
前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出ステップによって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測処理ステップと
を有する。
【0047】
このようにすることにより、特に、前記1ゲージ測定モードと、前記2ゲージ測定モードと、前記2ゲージコモンダミー測定モードと、前記4ゲージ定電圧測定モードと、前記4ゲージ定電流測定モードとのうちの少なくともいずれかを含む複数の測定モードにより選択的に測定を行なう場合に、容易に、ひずみゲージ等の接続状態を検知し、対応する測定モードを的確に判定して、測定モードを自動的に設定して測定するとともに、前記所定の端子間抵抗に基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に基づき、図面を参照して本発明に係るひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法を示すフローチャートである。図1に示す感度補正方法を説明する前に、図2〜図13を参照して、本発明に係る感度補正方法の原理について説明する。図2は、1ゲージ測定モード、すなわち単一のひずみゲージRgのみを用いる(3線式)1アクティブゲージ法(1G3W)による測定回路の接続構成を示しており、図3および図4は、図2の回路における端子間抵抗値計測時の等価回路を示している。図5は、2ゲージ測定モード、すなわち2個のひずみゲージRg1、Rg2をハーフブリッジ接続して用いる2アクティブゲージ法(2G/A−A)および2ゲージアクティブダミー法(2G/A−D)による測定回路の接続構成を示しており、図6および図7は、図5の回路における端子間抵抗値計測時の等価回路を示している。図8は、2ゲージコモンダミー測定モード、すなわち2個のひずみゲージを用いる2ゲージ法の一種である2ゲージアクティブコモンダミー法(2G/A−(COM−D))による測定回路の接続構成を示しており、図9および図10は、図8の回路における端子間抵抗値計測時の等価回路を示している。
【0049】
図11は、4ゲージ定電圧測定モード、すなわち4個のひずみゲージをフルブリッジ接続して定電圧励振する定電圧4アクティブゲージ法(4G)、ならびに4ゲージ定電流測定モード、すなわち4個のひずみゲージをフルブリッジ接続して定電流励振する公称ブリッジ抵抗が120Ωの定電流120Ω4アクティブゲージ法(4GI−120)、および4個のひずみゲージをフルブリッジ接続して定電流励振する公称ブリッジ抵抗が350Ωの定電流350Ω4アクティブゲージ法(4GI−350)等のいわゆる4ゲージ法による測定回路の接続構成を示しており、図12および図13は図11の回路における端子間抵抗値計測時の等価回路を示している。
【0050】
〈1アクティブゲージ法(1G3W、3線式)〉
図2に示す単一のひずみゲージのみを用いる(3線式)1アクティブゲージ法(1G3W)による測定回路は、ゲージ抵抗Rgの一端をケーブル抵抗r1のリード線を介して端子A′に接続し、ゲージ抵抗Rgの他端を抵抗r2のリード線を介して端子B′に接続し、さらにゲージ抵抗Rgの他端、つまりケーブル抵抗r2のリード線との接続点を抵抗r3のリード線を介して端子C′に接続している。端子間抵抗値の計測時には、定電流源CSが、スイッチSW1により選択的に切り替えられて端子A′および端子B′に接続され、端子C′がスイッチSW2を介して共通電位(アース)に接続されて、端子A′または端子B′と端子C′との間にそれぞれ選択的に定電流源CSからの電流Iを流す。A′〜C′間に電流Iを流したときの等価回路は、図3のようになり、A′〜C′端子間の電圧をV1とすれば、A′〜C′端子間抵抗値Xは、次式であらわされる。
X=V1/I=Rg+r1+r3 … (3)
また、B′〜C′間に電流Iを流したときの等価回路は、図4のようになり、B′〜C′端子間の電圧をV2とすれば、B′〜C′端子間抵抗値Zは、次式であらわされる。
【0051】
Z=V2/I=r2+r3 … (4)
r1=r2=r3とすれば、
(4)式÷2=片道リード線抵抗=RL
(3)式−(4)式=Rg(ゲージ抵抗)
である。
すなわち、次の(5)式および(6)式が得られる。
【0052】
【数7】
【0053】
【数8】
【0054】
〈2アクティブゲージ法(2G/A−A)、アクティブダミー法(2G/A−D)〉
図5に示す2個のひずみゲージRg1,Rg2をハーフブリッジ接続して用いる2アクティブゲージ法(2G/A−A)および2ゲージアクティブダミー法(2G/A−D)による測定回路は、第1のゲージ抵抗Rg1の一端を抵抗r1のリード線を介して端子A′に接続し、第1のゲージ抵抗Rg1の他端を抵抗r2のリード線を介して端子B′に接続している。また、第2のゲージ抵抗Rg2の一端を第1のゲージ抵抗Rg1の他端と抵抗r2のリード線との接続点に接続し、第2のゲージ抵抗Rg2の他端を抵抗r3のリード線を介して端子C′に接続している。端子間抵抗値の計測時には、定電流源CSが、スイッチSW1により選択的に切り替えられて端子A′および端子B′に接続され、端子C′がスイッチSW2を介して共通電位(アース)に接続されて、端子A′または端子B′と端子C′との間にそれぞれ選択的に定電流源CSからの電流Iを流す。A′〜C′間に電流Iを流したときの等価回路は図6のようになり、A′〜C′端子間の電圧をV1とすれば、A′〜C′端子間抵抗値Xは、次式であらわされる。
【0055】
X=V1/I=Rg1+Rg2+r1+r3 … (7)
また、B′〜C′間に電流Iを流したときの等価回路は、図7のようになり、B′〜C′端子間の電圧をV2とすれば、B′〜C′端子間抵抗値Zは、次式であらわされる。
Z=V2/I=Rg2+r2+r3 … (8)
r1=r2とすれば、
【0056】
【数9】
である。通常は、Rg1≒Rg2であるので、Rg1=Rg2とすれば、(9)式を(8)式に代入して、
【0057】
【数10】
であり、往復抵抗(r2+r3)として、次式が求められる。
【0058】
【数11】
したがって、片道抵抗RLとしては、次式が得られる。
【0059】
【数12】
【0060】
〈アクティブコモンダミー法(2G/A−(COM−D))〉
図8に示す2ゲージ法の一種である2ゲージアクティブコモンダミー法(2G/A−(COM−D))による測定回路は、3線式のゲージを用いたアクティブゲージとしてのゲージ抵抗Rgの一端を抵抗r1のリード線を介して第1の端子A′に接続し、ゲージ抵抗Rgの他端を抵抗r2のリード線を介して第2の端子B′に接続し、さらにゲージ抵抗Rgの他端、つまり抵抗r2のリード線との接続点を抵抗r3のリード線を介して第3の端子C′に接続している。また、ダミーゲージRDの一端を抵抗r4のリード線を介してコモンダミー端子DUMMYの一方に接続し、ダミーゲージRDの他端を抵抗r5のリード線を介してコモンダミー端子DUMMYの他方に接続している。コモンダミー端子DUMMYの前記一方は、第2の端子B′に接続されている。端子間抵抗値の計測時には、定電流源CSが、スイッチSW1により選択的に切り替えられて第1の端子A′および第2の端子B′に接続され、第3の端子C′がスイッチSW2を介して共通電位(アース)に接続されて、第1の端子A′または第2の端子B′と第3の端子C′との間にそれぞれ選択的に定電流源CSからの電流Iを流す。A′〜C′間に電流Iを流したときの等価回路は図9のようになり、A′〜C′端子間の電圧をV1とすれば、A′〜C′端子間抵抗値Xは、次式であらわされる。
【0061】
X=V1/I=Rg+r1+r3 … (12)
また、B′〜C′間に電流Iを流したときの等価回路は図10のようになり、B′〜C′端子間の電圧をV2とすれば、B′〜C′端子間抵抗値Zは、次式であらわされる。
Z=V2/I=r2+r3=R2L(往復抵抗として) … (13)
r1=r2とすれば、次式が求められる 。
【0062】
【数13】
【0063】
〈4アクティブゲージ法(4G,定電圧/定電流)〉
図11に示す4個のひずみゲージをフルブリッジ接続して定電圧励振する定電圧4アクティブゲージ法(4G)、ならびに4個のひずみゲージをフルブリッジ接続して定電流励振する公称ブリッジ抵抗が120Ωの定電流120Ω4アクティブゲージ法(4GI−120)、および4個のひずみゲージをフルブリッジ接続して定電流励振する公称ブリッジ抵抗が350Ωの定電流350Ω4アクティブゲージ法(4GI−350)等のいわゆる4ゲージ法による測定回路は、第1のゲージ抵抗Rg1の一端を抵抗r1のリード線を介して第1の端子A′に接続し、第1のゲージ抵抗Rg1の他端を抵抗r2のリード線を介して第2の端子B′に接続している。また、第2のゲージ抵抗Rg2の一端を第1のゲージ抵抗Rg1の他端と抵抗r2のリード線との接続点に接続し、第2のゲージ抵抗Rg2の他端を抵抗r3のリード線を介して第3の端子C′に接続している。第3のゲージ抵抗Rg3の一端を第2のゲージ抵抗Rg2の他端と抵抗r3のリード線との接続点に接続し、第3のゲージ抵抗Rg3の他端を抵抗r4のリード線を介して第4の端子D′に接続している。そして、第4のゲージ抵抗Rg4の一端を第3のゲージ抵抗Rg3の他端と抵抗r4のリード線との接続点に接続し、第4のゲージ抵抗Rg4の他端を第1のゲージ抵抗Rg1の一端と抵抗r1のリード線との接続点に接続している。
【0064】
第1〜第4のゲージ抵抗Rg1〜Rg4は、互いに等しくこれらをRg(=Rg1=Rg2=Rg3=Rg4)とする。端子間抵抗値の計測時には、定電流源CSが、スイッチSW1により選択的に切り替えられて端子A′および端子B′に接続され、端子C′がスイッチSW2を介して共通電位に接続されて、端子A′または端子B′と端子C′との間にそれぞれ選択的に定電流源CSからの電流Iを流す。A′〜C′間に電流Iを流したときの等価回路は図12のようになり、A′〜C′端子間の電圧をV1とすれば、A′〜C′端子間抵抗値Xは、次式であらわされる。
X=V1/I=Rg+r1+r3 … (15)
また、B′〜C′間に電流Iを流したときの等価回路は図13のようになり、B′〜C′端子間の電圧をV2とすれば、B′〜C′端子間抵抗値Zは、次式であらわされる。
Z=V2/I=0.75Rg+r2+r3 … (16)
r1=r2とすれば、次式が得られる。
【0065】
【数14】
すなわち、
【0066】
【数15】
となり、次式が得られる。
【0067】
【数16】
(17)式を(15)式に代入すると、次式が得られる。
【0068】
【数17】
この場合もR2Lは往復抵抗である。
【0069】
したがって、真のひずみεoは、測定される値である測定ひずみεiおよび補正係数Aを用いて次式であらわされる。
εo=A×εi … (19)
したがって、上述した各測定モードにおける補正係数Aは、A′〜C′間の抵抗XおよびB′〜C′間の抵抗Zに基づいて、次表であらわされる。
【0070】
【表1】
【0071】
次に、図1に示すフローチャートを参照して、本発明の第1の実施の形態に係るひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法を説明する。この第1の実施の形態においては、測定モードを、目視、一覧表、または別途のモード判定手段によりオペレータが判定してシステムにマニュアル入力するものとする。システムは、A′〜C′間の抵抗値XおよびB′〜C′間の抵抗値Zを計測し、その計測結果と入力された測定モードに基づいて、リード線抵抗による感度低下を補正するための補正係数Aを求め、測定値に反映させる。このフローチャートは、本発明に係る計測システムにおいて、PC等を用いて構成される制御部において実行することができる。
【0072】
処理がスタートすると、A′〜C′間の抵抗値を計測して抵抗値Xを求め(ステップS11)、B′〜C′間の抵抗値を計測して抵抗値Zを求めたのち(ステップS12)、オペレータが測定モードを入力する(ステップS13)。測定モードが、(3線式)1アクティブゲージ法(1G3W)等の1ゲージ測定モードであるか否かを判定し(ステップS14)、1ゲージ測定モードであれば、Rg=X−ZおよびRL=(Z/2)を求め(ステップS15)、補正係数Aを、A={1+(RL/Rg)}より、A=(2X−Z)/{2(X−Z)}として求める(ステップS16)。求められた補正係数Aを測定されたひずみ値εiに乗じて真のひずみ値εoを得て(ステップS17)、処理を終了する。
ステップS14において、測定モードが、1ゲージ測定モードでないと判定された場合には、測定モードが、2アクティブゲージ法(2G/A−A)および2ゲージアクティブダミー法(2G/A−D)等のように2ゲージコモンダミー測定モードでない2ゲージ測定モードであるか否かを判定し(ステップS18)、これらの2ゲージ測定モードであれば、Rg=X−ZおよびRL={(2Z−X)/2}を求め(ステップS19)、補正係数Aを、A={1+(RL/Rg)}より、A=X/{2(X−Z)}として求め(ステップS20)、ステップS17に移行し、求められた補正係数Aを測定されたひずみ値εiに乗じて真のひずみ値εoを得て処理を終了する。
【0073】
ステップS18において、測定モードが、2アクティブゲージ法(2G/A−A)および2ゲージアクティブダミー法(2G/A−D)等のような2ゲージ測定モードでないと判定された場合には、測定モードが、2ゲージアクティブコモンダミー法(2G/A−(COM−D))のような2ゲージコモンダミー測定モードであるか否かを判定し(ステップS21)、このような2ゲージコモンダミー測定モードであれば、Rg=X−ZおよびR2L=Zを求め(ステップS22)、補正係数Aを、A={1+(RL/Rg)}より、A=X/(X−Z)として求め(ステップS23)、ステップS17に移行して、求められた補正係数Aを測定されたひずみ値εiに乗じて真のひずみ値εoを得て処理を終了する。
ステップS21において、測定モードが、2ゲージアクティブコモンダミー法(2G/A−(COM−D))のような2ゲージコモンダミー測定モードでないと判定された場合には、測定モードが、定電圧4アクティブゲージ法(4G)のような4ゲージ定電圧測定モードであるか否かを判定し(ステップS24)、このような4ゲージ定電圧測定モードであれば、Rg=4(X−Z)およびR2L=4Z−3Xを求め(ステップS25)、補正係数Aを、A={1+(R2L/Rg)}より、A=X/4(X−Z)として求め(ステップS26)、ステップS17に移行して、求められた補正係数Aを測定されたひずみ値εiに乗じて真のひずみ値εoを得て処理を終了する。
【0074】
ステップS24において、測定モードが、定電圧4アクティブゲージ法(4G)のような4ゲージ定電圧測定モードでないと判定された場合には、測定モードが、公称ブリッジ抵抗が120Ωの定電流120Ω4アクティブゲージ法(4GI−120)、および公称ブリッジ抵抗が350Ωの定電流350Ω4アクティブゲージ法(4GI−350)のような4ゲージ定電流測定モードであるか否かを判定し(ステップS27)、4ゲージ定電流測定モードであれば、公称ブリッジ抵抗が350Ωの定電流350Ω4アクティブゲージ法(4GI−350)であるか否かを判定し(ステップS28)、定電流350Ω4アクティブゲージ法であれば、Rg=4(X−Z)およびR=350とし(ステップS29)、補正係数Aを、A=(R/Rg)より、A=350/4(X−Z)として求め(ステップS30)、ステップS17に移行して、求められた補正係数Aを測定されたひずみ値εiに乗じて真のひずみ値εoを得て処理を終了する。
ステップS28において、測定モードが、公称ブリッジ抵抗が350Ωの定電流350Ω4アクティブゲージ法でないと判定された場合には、公称ブリッジ抵抗が120Ωの定電流120Ω4アクティブゲージ法(4GI−120)であるか否かを判定し(ステップS31)、定電流120Ω4アクティブゲージ法であれば、Rg=4(X−Z)およびR=120とし(ステップS32)、補正係数Aを、A=(R/Rg)より、A=120/4(X−Z)として求め(ステップS33)、ステップS17に移行して、求められた補正係数Aを測定されたひずみ値εiに乗じて真のひずみ値εoを得て処理を終了する。
【0075】
また、ステップS31において、定電流120Ω4アクティブゲージ法でないと判定された場合には、対応する計測モードが存在しないので直ちに所要のエラー警告等を行なうなどして処理を終了する。ステップS27において、4ゲージ定電流測定モードでないと判定された場合にも、対応する計測モードが存在しないので直ちに所要のエラー警告等を行なうなどして処理を終了する。
次に、図14に示すフローチャートを参照して、本発明の第2の実施の形態に係るひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法を説明する。この第2の実施の形態においては、測定モードを、自動的に判別するものとする。測定モードの自動判別方法としては、詳細を後述するゲージ接続端子間の抵抗値に基づいて測定モードを判別する方法を用いることができる。感度補正のためには、第1の実施の形態とほぼ同様に、システムは、A′〜C′間の抵抗値XおよびB′〜C′間の抵抗値Zを計測し、その計測結果と入力された測定モードに基づいて、リード線抵抗による感度低下を補正するための補正係数Aを求め、測定値に反映させる。このフローチャートは、本発明に係る計測システムにおいて、PC等を用いて構成される制御部において実行することができる。
【0076】
処理がスタートすると、A′〜C′間の抵抗値を計測して抵抗値Xを求め(ステップS51)、B′〜C′間の抵抗値を計測して抵抗値Zを求める(ステップS52)。後述するような測定モードの判別方法により測定モードが、(3線式)1アクティブゲージ法(1G3W)等の1ゲージ測定モードであるか否かを判定し(ステップS53)、1ゲージ測定モードであれば、Rg=X−ZおよびRL=(Z/2)を求め(ステップS54)、補正係数Aを、A={1+(RL/Rg)}より、A=(2X−Z)/{2(X−Z)}として求める(ステップS55)。求められた補正係数Aを測定されたひずみ値εiに乗じて真のひずみ値εoを得て(ステップS56)、処理を終了する。
ステップS53において、測定モードが、1ゲージ測定モードでないと判定された場合には、測定モードが、2アクティブゲージ法(2G/A−A)および2ゲージアクティブダミー法(2G/A−D)等のように2ゲージコモンダミー測定モードでない2ゲージ測定モードであるか否かを判定し(ステップS57)、これらの2ゲージ測定モードであれば、Rg=X−ZおよびRL={(2Z−X)/2}を求め(ステップS58)、補正係数Aを、A={1+(RL/Rg)}より、A=X/{2(X−Z)}として求め(ステップS59)、ステップS56に移行し、求められた補正係数Aを測定されたひずみ値εiに乗じて真のひずみ値εoを得て処理を終了する。
【0077】
ステップS57において、測定モードが、2アクティブゲージ法(2G/A−A)および2ゲージアクティブダミー法(2G/A−D)等のような2ゲージ測定モードでないと判定された場合には、測定モードが、2ゲージアクティブコモンダミー法(2G/A−(COM−D))のような2ゲージコモンダミー測定モードであるか否かを判定し(ステップS60)、このような2ゲージコモンダミー測定モードであれば、Rg=X−ZおよびR2L=Zを求め(ステップS61)、補正係数Aを、A={1+(R2L/Rg)}より、A=X/(X−Z)として求め(ステップS62)、ステップS17に移行して、求められた補正係数Aを測定されたひずみ値εiに乗じて真のひずみ値εoを得て処理を終了する。
ステップS60において、測定モードが、2ゲージアクティブコモンダミー法(2G/A−(COM−D))のような2ゲージコモンダミー測定モードでないと判定された場合には、測定モードが、定電圧4アクティブゲージ法(4G)のような4ゲージ定電圧測定モードであるか否かを判定し(ステップS63)、このような4ゲージ定電圧測定モードであれば、Rg=4(X−Z)およびR2L=4Z−3Xを求め(ステップS64)、補正係数Aを、A={1+(R2L/Rg)}より、A=X/4(X−Z)として求め(ステップS65)、ステップS56に移行して、求められた補正係数Aを測定されたひずみ値εiに乗じて真のひずみ値εoを得て処理を終了する。
【0078】
ステップS63において、測定モードが、定電圧4アクティブゲージ法(4G)のような4ゲージ定電圧測定モードでないと判定された場合には、測定モードが、公称ブリッジ抵抗が120Ωの定電流120Ω4アクティブゲージ法(4GI−120)、および公称ブリッジ抵抗が350Ωの定電流350Ω4アクティブゲージ法(4GI−350)のような4ゲージ定電流測定モードであるか否かを判定し(ステップS66)、4ゲージ定電流測定モードであれば、公称ブリッジ抵抗が350Ωの定電流350Ω4アクティブゲージ法(4GI−350)であるか否かを判定し(ステップS67)、定電流350Ω4アクティブゲージ法であれば、Rg=4(X−Z)およびR=350とし(ステップS68)、補正係数Aを、A=(R/Rg)より、A=350/4(X−Z)として求め(ステップS69)、ステップS56に移行して、求められた補正係数Aを測定されたひずみ値εiに乗じて真のひずみ値εoを得て処理を終了する。
ステップS67において、測定モードが、公称ブリッジ抵抗が350Ωの定電流350Ω4アクティブゲージ法でないと判定された場合には、公称ブリッジ抵抗が120Ωの定電流120Ω4アクティブゲージ法(4GI−120)であるか否かを判定し(ステップS70)、定電流120Ω4アクティブゲージ法であれば、Rg=4(X−Z)およびR=120とし(ステップS71)、補正係数Aを、A=(R/Rg)より、A=120/4(X−Z)として求め(ステップS72)、ステップS56に移行して、求められた補正係数Aを測定されたひずみ値εiに乗じて真のひずみ値εoを得て処理を終了する。
【0079】
また、ステップS70において、定電流120Ω4アクティブゲージ法でないと判定された場合には、対応する計測モードが存在しないので直ちに所要のエラー警告等を行なうなどして処理を終了する。ステップS66において、4ゲージ定電流測定モードでないと判定された場合にも、対応する計測モードが存在しないので直ちに所要のエラー警告等を行なうなどして処理を終了する。
ここで、この図14のフローチャートに示す第2の実施の形態に適用可能な測定モードを判別する方法の一例を、具体的に説明する。
図15は、ひずみゲージ式測定システムにおける測定モードの自動判別に係る要部の回路構成を示している。図15に示す回路は、測定器1、ケーブル2およびひずみゲージ式変換器3を具備している。測定器1は、測定モードの自動判別のための構成が示されており、ケーブル2を介してひずみゲージセンサ等のひずみゲージ式変換器3が接続される。変換器3としては、基本的に、ひずみゲージがループ状に順次接続されてなるフルブリッジ型変換器を用いることができ、各ひずみゲージの接続点をA、B、CおよびDとする。測定器1は、スイッチSW11〜SW19、定電流源CC、そして増幅器PA1およびPA2を有している。
【0080】
測定器1には、変換器3の各接続点A、B、CおよびDを接続するための対応する第1、第2、第3および第4の端子A′、B′、C′およびD′が設けられており、これら各端子A′、B′、C′およびD′はケーブル2を介して変換器3の各接続点A、B、CおよびDに接続され、A−A′、B−B′、C−C′およびD−D′間のケーブル2のケーブル抵抗を、それぞれr1、r2、r3およびr4とする。
測定器1において、第1のスイッチSW11は、定電流源CCに接続された可動端を介して定電流源CCから供給される定電流を被選択端P1、P2およびP3に選択的に切り替えて供給する。被選択端P1は端子A′に接続され、被選択端P2は端子D′に接続され、被選択端P3は端子B′に接続される。第2のスイッチSW12は、固定端がアースに接続され、可動端が被選択端P4およびP5に選択的に切り替えて接続され、アースされる。被選択端P4は端子B′に接続され、被選択端P5は端子C′に接続される。第3のスイッチSW13は、一端が端子A′に接続され、他端が適宜なる抵抗を介して第8のスイッチSW18の一方の被選択端P6に接続される。
【0081】
第4のスイッチSW14は、一端が端子D′に接続され、他端が適宜なる抵抗を介して第8のスイッチSW18の他方の被選択端P7に接続される。第5のスイッチSW15は、一端が端子B′に接続され、一端が適宜なる抵抗を介して第8のスイッチSW18の一方の被選択端P7に接続された抵抗の他端に接続される。第6のスイッチSW16は、一端が端子B′に接続され、他端が適宜なる抵抗を介して第9のスイッチSW19の一方の被選択端P8に接続される。
第7のスイッチSW17は、一端が端子C′に接続され、他端が適宜なる抵抗を介して第9のスイッチSW19の他方の被選択端P9に接続される。第8のスイッチSW18は、第1の増幅器PA1の非反転入力端に接続された可動端を介して第1の増幅器PA1に供給する信号を被選択端P6およびP7から選択的に切り替えて取り出す。第8のスイッチSW18の一方の被選択端P6は、抵抗および第3のスイッチSW13を順次介して端子A′に接続され、他方の被選択端P7は、抵抗および第4のスイッチSW14を順次介して端子D′に、あるいは抵抗および第5のスイッチSW15を順次介して端子B′に接続される。第9のスイッチSW19は、第2の増幅器PA2の非反転入力端に接続された可動端を介して第2の増幅器PA2に供給する信号を被選択端P8およびP9から選択的に切り替えて取り出す。第9のスイッチSW19の一方の被選択端P8は、抵抗および第6のスイッチSW16を順次介して端子B′に接続され、他方の被選択端P9は、抵抗および第7のスイッチSW17を順次介して端子C′に接続される。
【0082】
第1および第2の増幅器PA1およびPA2は、いずれも出力を反転入力端にフィードバックしている。
この場合、判別すべき測定モードは、例えば(1)測温機能付変換器が接続される測温機能付変換器測定モード、(2)ポテンショメータが接続されるポテンショメータ測定モード、(3)定格120Ωのひずみゲージを2個ハーフブリッジ接続する2ゲージ測定モード、(4)定格120Ωのひずみゲージを1個接続する120Ω1ゲージ測定モード、(5)定格240Ωのひずみゲージを1個接続する240Ω1ゲージ測定モード、(6)定格350Ωのひずみゲージを1個接続する350Ω1ゲージ測定モード、そして(7)定格120Ωまたは350Ωのひずみゲージを4個フルブリッジ接続する4ゲージ測定モード、あるいは他の一般の変換器を接続する一般変換器測定モード、さらには、(8)何も接続されていない状態、およびそれら以外の状態であるとする。
【0083】
図15に示す回路は、接続されているひずみゲージ式センサ等の測定モードを判別するために、接続されたセンサの抵抗値を測定する機能と、測定された抵抗値によりセンサの測定モードを判別する機能とを有している。
すなわち、センサの接続状態および測定モードは、図15における変換器3のブリッジ抵抗Rと、ケーブル抵抗r1〜r4に基づいて判別する。そこで、端子A′〜D′の所定の端子間に定電流を流し、端子電圧を測定することによって、各部の抵抗値を求めて、測定モードを判別する。
図16に示すようなブリッジ抵抗R′と2つのケーブル抵抗rの直列回路の端子a〜b間に電流Iが流れた時の端子電圧Vを測定することにより、ブリッジ抵抗R′とケーブル抵抗r×2の合計抵抗値を求めることができる。このような原理に基づいて、次表に示すような切り替えを行なって抵抗値を測定する。
【0084】
【表2】
【0085】
すなわち、測定回路Xは、A′〜C′間の抵抗の測定であり、図15の測定器1において、各スイッチSW11〜SW19を表2に示す回路Xの状態に設定する。このとき、定電流源CCからの電流Iは、スイッチSW11の被選択端P1→A′→r1→R→r3→C′→スイッチSW12の被選択端P5を経てアースされる。変換器3のブリッジには、A→D→CとA→B→Cとの並列回路として電流Iが流れる。このとき、スイッチSW18を被選択端P6、スイッチSW13をオン、スイッチSW17をオン、そしてスイッチSW19をP9にそれぞれ設定して、A′〜C′間の電圧Vを測定し、次式によりA〜C間の抵抗Rとr1とr3の和を求めることができる。
R+r1+r3=V/I … (20)
ここで、ブリッジ抵抗Rについては、図17(a)に示すブリッジの等価回路より次式が得られる。
(1/R)=(1/R1+R2)+(1/R4+R3)
この場合、R1=R2=R3=R4=Roとすれば、上式は、次式のようになる。
【0086】
(1/R)=(1/2Ro)+(1/2Ro)=1/Ro
また、測定回路Yは、D′〜B′間の抵抗の測定であり、図15の測定器1において、各スイッチSW11〜SW19を表2に示す回路Yの状態に設定する。このとき、定電流源CCからの電流Iは、スイッチSW11の被選択端P2→D′→r4→R→r2→B′→スイッチSW12の被選択端P4を経てアースされる。変換器3のブリッジには、D→A→BとD→C→Bとの並列回路として電流Iが流れる。このとき、スイッチSW18を被選択端P7、スイッチSW14をオン、スイッチSW16をオン、そしてスイッチSW19を被選択端P8にそれぞれ設定して、D′〜B′間の電圧Vを測定し、次式によりD〜B間の抵抗Rとr2とr3の和を求めることができる。
R+r4+r2=V/I … (21)
ここで、ブリッジの抵抗Rについては、図17(b)に示すブリッジの等価回路より、次式が得られる。
【0087】
(1/R)=(1/R4+R1)+(1/R3+R2)
この場合、R1=R2=R3=R4=Roとすれば、上式は、次式のようになる。
(1/R)=(1/2Ro)+(1/2Ro)=1/Ro
そして、測定回路Zは、B′〜C′間の抵抗の測定であり、図15の測定器1において、各スイッチSW11〜SW19を表2に示す回路Zの状態に設定する。このとき、定電流源CCからの電流Iは、スイッチSW11の被選択端P3→B′→r2→R→r3→C′→スイッチSW12の被選択端P5を経てアースされる。変換器3のブリッジには、B→A→D→CとB→Cとの並列回路として電流Iが流れる。このとき、スイッチSW18を被選択端P7、スイッチSW15をオン、スイッチSW17をオン、そしてスイッチSW19を被選択端P9にそれぞれ設定して、B′〜C′間の電圧Vを測定する。したがって、次式によりB〜C間の抵抗Rとr2とr3の和を求めることができる。
【0088】
R+r2+r3=V/I … (22)
ここで、ブリッジ抵抗Rについては、図17(c)に示すブリッジの等価回路より、次式が得られる。
(1/R)=(1/R2)+{1/(R1+R4+R3)} …(23)
この場合、R1=R2=R3=R4=Roとすれば、(23)式は、次式のようになる。
(1/R)=(1/Ro)+{1/(Ro+Ro+Ro)}=4/3Ro … (24)
次に、測定モードの判別処理を、図18〜図20に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、図18において、処理が開始されると、上述したようなA′〜C′間の抵抗値の測定を行なって、その抵抗値データをXとする(ステップS111)。また、X=R+r1+r3
上述したようなD′〜B′間の抵抗値の測定を行なって、その抵抗値データをYとする(ステップS112)。
Y=R+r4+r2
【0089】
さらに、上述したようなB′〜C′間の抵抗値の測定を行なって、その抵抗値データをZとする(ステップS113)。
Z=R+r2+r3
そして、データXが、無限大とみなし得る程度に充分に大きいか否かを判定し(ステップS114)、充分に大きければ、処理は図20に移行し、データYおよびデータZも全て無限大とみなし得る程度に充分に大きいか否かを判定し(ステップS115)、データX〜データZの全てが充分に大きければ、図21の状態に該当するので、何も接続されていないと判断して(ステップS116)、処理を終了する。ステップS115において、データYとデータZの少なくともいずれかが充分に大きくない有限の値であれば、図22〜図24等の状態に該当し、ひずみゲージおよびポテンショメータ以外のセンサが接続されているか、または接続異常と判定して(ステップS117)、処理を終了する。
【0090】
図18に戻り、ステップS114で、データXが充分に大きくない有限の値であれば、データYがデータX+規格値DV1(この場合、規格値DV1=80Ωとする)よりも大きいか否かを判定し(ステップS118)、大きいと判断すれば、図25の状態に該当するので、4ゲージフルブリッジにおける接続点Dと端子D′との間に、80Ω〜170Ωの間で抵抗値が変化する温度センサ(例えば、−50℃で約80Ωであり、200℃で170Ωとなる温度センサ)が挿入された測温機能付変換器が接続されていると判断して(ステップS119)、処理を終了する。
ステップS118において、データYがデータX+規格値DV1よりも大きくないと判断されたら、データYが無限大とみなし得る程度に充分に大きく且つデータXが規格値DV2(但し、DV2=1000Ω)よりも大きいか否かを判定し(ステップS120)、データYが充分に大きく且つデータXが規格値DV2よりも大きければ、図26の状態に該当するので、ポテンショメータ式センサが接続されていると判断して(ステップS121)、処理を終了する。ステップS120において、データYが充分に大きくないか、またはデータXが規格値DV2よりも小さい場合には、データYが充分に大きく且つデータZがデータXの約半分であるか否かを判定し(ステップS122)、データYが充分に大きく且つデータZがデータXの約半分であれば、図27の状態に該当し、2ゲージ法で接続されていると判断して(ステップS123)、処理を終了する。
【0091】
ステップS122において、データYが充分に大きくないかまたはデータZがデータXの約半分でないと判断した場合には、図19に移行し、データYが充分に大きく且つデータXが規格値DV3(但し、115<DV3<125)の範囲内であるか否かを判定し(ステップS124)、データYが充分に大きく且つデータXが規格値DV3の範囲内であると判断すれば、図28の状態に該当するので、定格120Ωのゲージが1ゲージ法で接続されていると判断して(ステップS125)、処理を終了する。ステップS124で、データYが充分に大きくないか、データXが規格値DV3の範囲内でないかのいずれかであると判断した場合には、データYが充分に大きく且つデータXが規格値DV4(但し、235<DV4<245)の範囲内であるか否かを判定し(ステップS126)、データYが充分に大きく且つデータXが規格値DV4の範囲内であると判断すれば、定格240Ωのゲージが1ゲージ法で接続されていると判断して(ステップS127)、処理を終了する。
【0092】
ステップS126で、データYが充分に大きくないか、データXが規格値DV4の範囲内でないかのいずれかであると判断した場合には、データYが充分に大きく且つデータXが規格値DV5(但し、345<DV5<355)の範囲内であるか否かを判定し(ステップS128)、データYが充分に大きく且つデータXが規格値DV5の範囲内であると判断すれば、定格350Ωのゲージが1ゲージ法で接続されていると判断して(ステップS129)、処理を終了する。ステップS128で、データYが充分に大きくないか、データXが規格値DV5の範囲内でないかのいずれかであると判断した場合には、データXとデータYがほぼ等しいか否かを判定し(ステップS130)、データXとデータYがほぼ等しいと判断すれば、図29の状態に該当するので、4ゲージ法で接続されていると判断して(ステップS131)、処理を終了する。ステップS130で、データXとデータYがほぼ等しくないと判断した場合には、接続異常または断線であると判断し(ステップS132)、所定の警報/警告メッセージを発し、処理を終了する。
【0093】
以上のようにすれば、センサ等の測定系の接続状態および測定モードを判別することができる。このとき、図18のステップS111およびステップS113で求めているA′〜C′間の抵抗値XおよびB′〜C′間の抵抗値Zは、リード線抵抗の補正係数を求めるために図14におけるステップS51およびステップS52で求めているA′〜C′間の抵抗値XおよびB′〜C′間の抵抗値Zと全く同じものであるので、一方の値を他方に流用することができ、測定器における測定モードの自動設定と同時にリード線抵抗の補正をも実現することができる。なお、上述した第1および第2の実施の形態においては、単一のチャンネルにおいて、測定を行なう場合について説明したが、多点の観測にあたっては、各チャンネル毎の端子A′〜D′にセンサを接続した状態で、多チャンネルの測定系を用意しておき、測定器側でスキャナによりチャンネルの切り替え走査をすることにより、容易に多チャンネルの測定モードの自動設定およびリード線抵抗の自動補正を実現することができる。また、接続状態を実測して測定モードおよびリード線抵抗の補正係数を得るので、メモ等を整理保管する必要もない。
また、表2に示したような各スイッチの切換えとその都度の増幅器PA1、PA2の出力値の記録とを、CPU等で順次自動的に行うように構成することで、数百におよぶひずみゲージ等の接続状態を瞬時にして判別でき、リード線抵抗の補正をも含む測定モード自動設定を実現することができる。
【0094】
上述した第1および第2の実施の形態のようにして、延長ケーブルリード線で生じた感度低下を半自動的または自動的に補正することにより、延長ケーブルリード線の長さを最適にすることができ、余分なケーブルリード線を収納するスペースを必要とすることもない。また、計測システム全体のコストを低減することもできる。
なお、本発明に係る手法の他にリモートセンシング機能を持つ測定器を使用することにより、延長ケーブルに基づく感度低下による測定誤差を取り除くことが可能であるが、センサ側のケーブルとして6芯のケーブルを用いなければならなかった。本発明に係る方法を使用することにより、一般的な4芯ケーブルを用いるセンサでも精度の高い測定を行なうことが可能となる。
ひずみゲージ式変換器は、一般に、接続ケーブルが短い状態で、且つ定電圧式で較正されている。実際現場にて、ケーブル延長した場合には、その延長ケーブル込みで再較正する場合もあるが、多くの場合、現場では再較正(実負荷較正)ができない。このような場合にも本発明に係る方法を用いることにより、自動的または半自動的にケーブル抵抗の感度低下補正を行なうことができるため、再較正の必要はなくなる。
【0095】
動ひずみ測定において、動的現象用測定器、すなわち定電圧型のシグナルコンディショナ、を使用する場合、特定の延長ケーブル(例えば、0.5mm2×4芯シールドキャプタイヤケーブル)の使用を想定し、ある長さを決めて予め補正係数を求めていたのは一般的であるが、本発明方法を使用することにより、延長ケーブルの種類と長さを問わず、実際使用したケーブルによる感度低下を自動的または半自動的に補正することが可能となる。したがって、事前に補正係数を求める必要はない。
ケーブル延長が必要な場合は、定電流ブリッジ電源の測定器を使用することによって、ケーブルの抵抗が増加しても電流を一定に保つようにして、変換器のブリッジに加わる電圧を常に一定として、ケーブルの延長による影響が現れないようにすることができる。しかしながら、定電流方式の場合、ブリッジ抵抗の誤差を先に述べた(2)式により補正する必要がある。このような場合にも、本発明方法を用いることにより、センサの入力抵抗を測定して、(2)式により自動的に補正することが可能となる。
【0096】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうにあたり、計測系側から測定したひずみゲージ部の所定の端子間抵抗から、ひずみゲージ部の抵抗とケーブルリード線の抵抗に基づく、感度補正演算を行なって、ケーブルリード線抵抗による感度低下を的確に補正することを可能とするひずみゲージ式測定システムおよびその感度補正方法を提供することができる。
すなわち、本発明の請求項1のひずみゲージ式測定システムによれば、所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおいて、ひずみゲージが接続される所定の複数の端子の少なくとも一部に対し、給電路および計測端子を切り替えて給電するとともに端子間抵抗値を計測する端子間抵抗値計測手段と、前記端子間抵抗値計測手段によって得られる前記端子間抵抗値に基づき、測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出手段と、前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出手段によって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測手段とを具備することにより、特に、所定の複数の端子に対するひずみゲージ等の接続による所定の端子間抵抗を測定器側から計測し、該所定の端子間抵抗に基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0097】
本発明の請求項2のひずみゲージ式測定システムによれば、所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおいて、ひずみゲージが接続される所定の複数の端子の少なくとも一部に対し、給電路および計測端子を切り替えて給電するとともに端子間抵抗値を計測する端子間抵抗値計測手段と、前記端子間抵抗値計測手段によって得られる前記端子間抵抗値に基づいて前記所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態を弁別し該当する測定モードを判別するモード判別手段と、前記端子間抵抗値計測手段によって得られる前記端子間抵抗値に基づき、前記モード判別手段により判別された測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出手段と、前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出手段によって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測手段とを具備することにより、特に、所定の複数の端子に対するひずみゲージ等の接続による所定の端子間抵抗を測定器側から計測し、対応する測定モードを判定して、測定モードを自動的に設定するとともに、前記所定の端子間抵抗に基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0098】
本発明の請求項3のひずみゲージ式測定システムによれば、請求項1または請求項2のひずみゲージ式測定システムにおいて、前記補正係数算出手段における補正係数演算が、前記複数の測定モードの個々の測定モード毎に一義的に定められていることにより、特に、選択された測定モードに応じて、前記所定の端子間抵抗に基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することことが可能となる。
本発明の請求項4のひずみゲージ式測定システムによれば、請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項のひずみゲージ式測定システムにおいて、前記補正係数算出手段が、前記端子間抵抗値計測手段により計測された選択的な端子間の抵抗値に基づき、前記所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態に対応する測定モードに応じた所定の演算により補正係数を算出する手段を含むことにより、特に、選択された測定モードに応じ、且つ前記所定の端子間抵抗に基づく演算により補正係数を求めることによって、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することことが可能となる。
【0099】
本発明の請求項5のひずみゲージ式測定システムによれば、請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項のひずみゲージ式測定システムにおいて、前記複数の端子が、ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子を含み、前記複数の測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードとのうちの少なくともいずれかを含み、前記端子間抵抗値計測手段は、前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とによって抵抗値を計測する手段を含み、さらに前記補正係数算出手段が、前記ひずみゲージの抵抗Rgと前記ひずみゲージへの接続リード線の片道抵抗RLに基づき補正係数Aを
A=1+(RL/Rg)
として、前記端子間抵抗値計測手段により計測される抵抗値から算出する手段を含むことにより、特に、前記複数の測定モードが、前記1ゲージ測定モードと、前記2ゲージ測定モードとのうちの少なくともいずれかを含む場合において、前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とによって計測した所定の端子間抵抗を用いて、ひずみゲージの抵抗と前記ひずみゲージへの接続リード線の片道抵抗に基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0100】
本発明の請求項6のひずみゲージ式測定システムによれば、請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項のひずみゲージ式測定システムにおいて、前記複数の端子が、ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子を含み、前記複数の測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードとのうちの少なくともいずれかを含み、前記端子間抵抗値計測手段が、前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とによって抵抗値を計測する手段を含み、さらに前記補正係数算出手段が、前記ひずみゲージの抵抗Rgと前記ひずみゲージへの接続リード線の往復抵抗R2Lに基づき補正係数Aを
A=1+(R2L/Rg)
として、前記端子間抵抗値計測手段により計測される抵抗値から算出する手段を含む構成としたので、前記複数の測定モードが、前記2ゲージコモンダミー測定モードと、前記4ゲージ定電圧測定モードとのうちの少なくともいずれかを含む場合において、前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とによって計測した所定の端子間抵抗を用いて、ひずみゲージの抵抗と前記ひずみゲージへの接続リード線の往復抵抗に基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0101】
本発明の請求項7のひずみゲージ式測定システムによれば、請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項のひずみゲージ式測定システムにおいて、前記複数の端子が、ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子を含み、前記複数の測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードを含み、前記端子間抵抗値計測手段が、前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とによって抵抗値を計測する手段を含み、さらに前記補正係数算出手段が、前記ひずみゲージの入力抵抗Rgと公称ブリッジ抵抗Rに基づき補正係数Aを
A=(R/Rg)
として、前記端子間抵抗値計測手段により計測される抵抗値から算出する手段を含むことにより、特に、前記複数の端子が、ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子を含み、前記複数の測定モードが、前記4ゲージ定電流測定モードを含む場合において、前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とによって計測した所定の端子間抵抗を用いて、前記ひずみゲージの入力抵抗と公称ブリッジ抵抗に基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0102】
本発明の請求項8のひずみゲージ式測定システムによれば、請求項5のひずみゲージ式測定システムにおいて、前記補正係数算出手段は、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードである場合、前記端子間抵抗値計測手段により、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=(2X−Z)/{2(X−Z)}
として算出する手段を含むことにより、特に、前記測定モードが、前記1ゲージ測定モードである場合に、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値と、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値とに基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0103】
本発明の請求項9のひずみゲージ式測定システムによれば、請求項5のひずみゲージ式測定システムにおいて、前記補正係数算出手段は、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードである場合、前記端子間抵抗値計測手段により、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/{2(X−Z)}
として算出する手段を含むことにより、特に、前記測定モードが、前記2ゲージ測定モードである場合に、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値と、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値とに基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0104】
本発明の請求項10のひずみゲージ式測定システムによれば、請求項6のひずみゲージ式測定システムにおいて、前記補正係数算出手段は、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードである場合、前記端子間抵抗値計測手段により、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/(X−Z)
として算出する手段を含むことにより、特に、前記測定モードが、2ゲージコモンダミー測定モードである場合に、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値と、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値とに基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0105】
本発明の請求項11のひずみゲージ式測定システムによれば、請求項6のひずみゲージ式測定システムにおいて、前記補正係数算出手段は、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードである場合、前記端子間抵抗値計測手段により、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/{4(X−Z)}
として算出する手段を含むことにより、特に、前記測定モードが、4ゲージ定電圧測定モードである場合に、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値と、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値とに基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0106】
本発明の請求項12のひずみゲージ式測定システムによれば、請求項7のひずみゲージ式測定システムにおいて、前記補正係数算出手段は、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードである場合、前記端子間抵抗値計測手段により、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zと、公称ブリッジ抵抗Rとに基づき補正係数Aを
A=R/{4(X−Z)}
として算出する手段を含むことにより、特に、前記測定モードが、前記4ゲージ定電流測定モードである場合に、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値と、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値と、公称ブリッジ抵抗とに基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0107】
本発明の請求項13のひずみゲージ式測定システムによれば、請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項のひずみゲージ式測定システムにおいて、前記複数の端子に対する前記ひずみゲージの接続回路が、前記複数の測定モードの個々の測定モード毎に一義的に定められていることにより、特に、選択された測定モードに応じて、前記複数の端子に対する前記ひずみゲージの接続回路を設定し、且つ前記所定の端子間抵抗に基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
本発明の請求項14のひずみゲージ式測定システムによれば、多チャンネルの各々について所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおいて、各々所定の複数の端子を有する各チャンネルについて、順次、それぞれ請求項1〜請求項13の少なくともいずれか1項の補正係数算出手段、モード判別手段および計測手段の少なくともいずれかを、切り替え走査して接続する手段を含むことにより、特に、多チャンネルの各々について所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なう場合に、各チャンネルの端子に対して、それぞれ、ひずみゲージ等の接続状態を測定器側から検知し、対応する測定モードの判定、測定モードに応じた補正係数の算出および計測結果の算出を行なって、多チャンネルの測定モードを自動的に設定することが可能となる。
【0108】
そして、本発明の請求項15のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法によれば、ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、
前記複数の測定モードは、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードとのうちの少なくともいずれかを含み、前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とを選択的に切り替えてそれぞれ抵抗値を計測する抵抗値計測ステップと、前記第1〜第4の端子に対するひずみゲージの接続状態が、前記1ゲージ測定モード、2ゲージ測定モード、2ゲージコモンダミー測定モード、4ゲージ定電圧測定モードおよび4ゲージ定電流測定モードの少なくともいずれかを含む測定モードのうちのどの測定モードであるかを決定するモード決定ステップと、前記抵抗値計測ステップによって得られる前記端子間抵抗値に基づき、前記測定モード決定ステップにより決定された測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出ステップと、前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出ステップによって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測処理ステップとを有することにより、特に、前記1ゲージ測定モードと、前記2ゲージ測定モードと、前記2ゲージコモンダミー測定モードと、前記4ゲージ定電圧測定モードと、前記4ゲージ定電流測定モードとのうちの少なくともいずれかを含む複数の測定モードにより選択的に測定を行なう場合に、容易に、ひずみゲージ等の接続状態に対応する測定モードに応じてひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0109】
本発明の請求項16のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法によれば、ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、前記複数の測定モードは、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードとのうちの少なくともいずれかを含み、前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態と、前記第4の端子と前記第2の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第3の抵抗計測状態とを選択的に切り替えてそれぞれ抵抗値を計測する抵抗値計測ステップと、前記抵抗値計測ステップによる前記各抵抗計測状態における計測抵抗値に基づいて、前記第1〜第4の端子に対するひずみゲージの接続状態を弁別し、前記1ゲージ測定モード、2ゲージ測定モード、2ゲージコモンダミー測定モード、4ゲージ定電圧測定モードおよび4ゲージ定電流測定モードの少なくともいずれかを含む測定モードのうちの該当する測定モードを推定するモード推定ステップと、前記抵抗値計測ステップによって得られる前記端子間抵抗値に基づき、前記測定モード推定ステップにより推定された測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出ステップと、前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出ステップによって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測処理ステップとを有することにより、特に、前記1ゲージ測定モードと、前記2ゲージ測定モードと、前記2ゲージコモンダミー測定モードと、前記4ゲージ定電圧測定モードと、前記4ゲージ定電流測定モードとのうちの少なくともいずれかを含む複数の測定モードにより選択的に測定を行なう場合に、容易に、ひずみゲージ等の接続状態を検知し、対応する測定モードを的確に判定して、測定モードを自動的に設定して測定するとともに、前記所定の端子間抵抗に基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0110】
本発明の請求項17のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法によれば、請求項15または請求項16のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、前記補正係数算出ステップは、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードである場合、前記抵抗値計測ステップにより、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=(2X−Z)/{2(X−Z)}
として算出するステップを含むことにより、特に、前記1ゲージ測定モードである場合に、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値と、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値とに基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0111】
本発明の請求項18のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法によれば、請求項15または請求項16に記載のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、前記補正係数算出ステップは、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードである場合、前記抵抗値計測ステップにより、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/{2(X−Z)}
として算出するステップを含むことにより、特に、前記測定モードが、前記2ゲージ測定モードである場合に、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値と、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値とに基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0112】
本発明の請求項19のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法によれば、請求項15または請求項16のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、前記補正係数算出ステップは、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードである場合、前記抵抗値計測ステップにより、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/(X−Z)
として算出するステップを含むことにより、特に、前記測定モードが、前記2ゲージコモンダミー測定モードである場合に、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値と、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値とに基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0113】
本発明の請求項20のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法によれば、請求項15または請求項16のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、前記補正係数算出ステップは、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードである場合、前記抵抗値計測ステップにより、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/{4(X−Z)}
として算出するステップを含むことにより、特に、前記測定モードが、前記4ゲージ定電圧測定モードである場合に、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値と、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値とに基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【0114】
本発明の請求項21のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法によれば、請求項15または請求項16のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、前記補正係数算出ステップは、前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードである場合、前記抵抗値計測ステップにより、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zと、公称ブリッジ抵抗Rとに基づき補正係数Aを
A=R/{4(X−Z)}
として算出するステップを含むことにより、特に、前記測定モードが、前記4ゲージ定電流測定モードである場合に、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値と、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値と、公称ブリッジ抵抗とに基づく補正係数を求めて、ひずみゲージ等への接続リード線による感度低下を効果的に補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法を示すフローチャートである。
【図2】図1のひずみゲージ式測定システムにおける1ゲージ測定モードの場合の感度補正原理を説明するための測定回路構成を模式的に示す回路構成図である。
【図3】図1のひずみゲージ式測定システムにおける1ゲージ測定モードの場合の感度補正係数を求めるためのA′〜C′の端子間抵抗値の測定を模式的に示す等価回路図である。
【図4】図1のひずみゲージ式測定システムにおける1ゲージ測定モードの場合の感度補正係数を求めるためのB′〜C′の端子間抵抗値の測定を模式的に示す等価回路図である。
【図5】図1のひずみゲージ式測定システムにおける2ゲージコモンダミー測定モード以外の2ゲージ測定モードの場合の感度補正原理を説明するための測定回路構成を模式的に示す回路構成図である。
【図6】図1のひずみゲージ式測定システムにおける2ゲージ測定モードの場合の感度補正係数を求めるためのA′〜C′の端子間抵抗値の測定を模式的に示す等価回路図である。
【図7】図1のひずみゲージ式測定システムにおける2ゲージ測定モードの場合の感度補正係数を求めるためのB′〜C′の端子間抵抗値の測定を模式的に示す等価回路図である。
【図8】図1のひずみゲージ式測定システムにおける2ゲージコモンダミー測定モードの場合の感度補正原理を説明するための測定回路構成を模式的に示す回路構成図である。
【図9】図1のひずみゲージ式測定システムにおける2ゲージコモンダミー測定モードの場合の感度補正係数を求めるためのA′〜C′の端子間抵抗値の測定を模式的に示す等価回路図である。
【図10】図1のひずみゲージ式測定システムにおける2ゲージコモンダミー測定モードの場合の感度補正係数を求めるためのB′〜C′の端子間抵抗値の測定を模式的に示す等価回路図である。
【図11】図1のひずみゲージ式測定システムにおける4ゲージ測定モードの場合の感度補正原理を説明するための測定回路構成を模式的に示す回路構成図である。
【図12】図1のひずみゲージ式測定システムにおける4ゲージ測定モードの場合の感度補正係数を求めるためのA′〜C′の端子間抵抗値の測定を模式的に示す等価回路図である。
【図13】図1のひずみゲージ式測定システムにおける4ゲージ測定モードの場合の感度補正係数を求めるためのB′〜C′の端子間抵抗値の測定を模式的に示す等価回路図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係るひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係るひずみゲージ式測定システムに適用し得る測定モード自動設定システムの要部の構成を模式的に示す回路構成図である。
【図16】図15の測定モード自動設定システムの測定モード判別の原理を説明するための模式的な等価回路図である。
【図17】この図の(a)、(b)、(c)は、図15の測定モード自動設定システムの測定モード判別の原理を説明するための3種の模式的な等価回路図である。
【図18】図15の測定モード自動設定システムの測定モード判別処理を説明するための第1のフローチャートである。
【図19】図15の測定モード自動設定システムの測定モード判別処理の図18に続く部分を説明するための第2のフローチャートである。
【図20】図15の測定モード自動設定システムの測定モード判別処理の図18に続く他の部分を説明するための第3のフローチャートである。
【図21】図15の測定モード自動設定システムの測定モード判別処理を説明するための測定モード(未接続)の模式的回路図である。
【図22】図15の測定モード自動設定システムの測定モード判別処理を説明するための測定モード(ひずみゲージ、ポテンショメータ以外のセンサー)の模式的回路図である。
【図23】図15の測定モード自動設定システムの測定モード判別処理を説明するための測定モード(接続異常)の模式的回路図である。
【図24】図15の測定モード自動設定システムの測定モード判別処理を説明するための測定モード(接続異常)の模式的回路図である。
【図25】図15の測定モード自動設定システムの測定モード判別処理を説明するための測定モード(測温機能付変換器測定モード)の模式的回路図である。
【図26】図15の測定モード自動設定システムの測定モード判別処理を説明するための測定モード(ポテンショメータ式センサ測定モード)の模式的回路図である。
【図27】図15の測定モード自動設定システムの測定モード判別処理を説明するための測定モード(2ゲージ測定モード)の模式的回路図である。
【図28】図15の測定モード自動設定システムの測定モード判別処理を説明するための測定モード(1ゲージ測定モード)の模式的回路図である。
【図29】図15の測定モード自動設定システムの測定モード判別処理を説明するための測定モード(4ゲージ測定モード)の模式的回路図である。
【符号の説明】
1 測定器
2 ケーブル
3 変換器/センサ
SW1,SW2,SW11〜SW19 スイッチ
PA1,PA2 増幅器
CS,CC 定電流源
A′,B′,C′,D′ 端子
A,B,C,D 接続点
R ブリッジ抵抗
r1〜r5 ケーブル抵抗
Rg,Rg1,Rg2,Rg3,Rg4 ゲージ抵抗
RL 片道リード線抵抗(片道抵抗)
R2L 往復リード線抵抗(往復抵抗)
Claims (21)
- 所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおいて、
ひずみゲージが接続される所定の複数の端子の少なくとも一部に対し、給電路および計測端子を切り替えて給電するとともに端子間抵抗値を計測する端子間抵抗値計測手段と、
前記端子間抵抗値計測手段によって得られる前記端子間抵抗値に基づき、測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出手段と、
前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出手段によって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測手段と、
を具備することを特徴とするひずみゲージ式測定システム。 - 所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおいて、
ひずみゲージが接続される所定の複数の端子の少なくとも一部に対し、給電路および計測端子を切り替えて給電するとともに端子間抵抗値を計測する端子間抵抗値計測手段と、
前記端子間抵抗値計測手段によって得られる前記端子間抵抗値に基づいて前記所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態を弁別し該当する測定モードを判別するモード判別手段と、
前記端子間抵抗値計測手段によって得られる前記端子間抵抗値に基づき、前記モード判別手段により判別された測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出手段と、
前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出手段によって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測手段と、
を具備することを特徴とするひずみゲージ式測定システム。 - 前記補正係数算出手段における補正係数演算は、前記複数の測定モードの個々の測定モード毎に一義的に定められていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のひずみゲージ式測定システム。
- 前記補正係数算出手段は、前記端子間抵抗値計測手段により計測された選択的な端子間の抵抗値に基づき、前記所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態に対応する測定モードに応じた所定の演算により補正係数を算出する手段を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載のひずみゲージ式測定システム。
- 前記複数の端子は、ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子を含み、
前記複数の測定モードは、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードとのうちの少なくともいずれかを含み、
前記端子間抵抗値計測手段は、前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とによって抵抗値を計測する手段を含み、さらに
前記補正係数算出手段は、前記ひずみゲージの抵抗Rgと前記ひずみゲージへの接続リード線の片道抵抗RLに基づき補正係数Aを
A=1+(RL/Rg)
として、前記端子間抵抗値計測手段により計測される抵抗値から算出する手段を含む
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載のひずみゲージ式測定システム。 - 前記複数の端子は、ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子を含み、
前記複数の測定モードは、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードとのうちの少なくともいずれかを含み、
前記端子間抵抗値計測手段は、前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とによって抵抗値を計測する手段を含み、さらに
前記補正係数算出手段は、前記ひずみゲージの抵抗Rgと前記ひずみゲージへの接続リード線の往復抵抗R2Lに基づき補正係数Aを
A=1+(R2L/Rg)
として、前記端子間抵抗値計測手段により計測される抵抗値から算出する手段を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載のひずみゲージ式測定システム。 - 前記複数の端子は、ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子を含み、
前記複数の測定モードは、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードを含み、
前記端子間抵抗値計測手段は、前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とによって抵抗値を計測する手段を含み、さらに
前記補正係数算出手段は、前記ひずみゲージの入力抵抗Rgと公称ブリッジ抵抗Rに基づき補正係数Aを
A=(R/Rg)
として、前記端子間抵抗値計測手段により計測される抵抗値から算出する手段を含む
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載のひずみゲージ式測定システム。 - 前記補正係数算出手段は、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードである場合、
前記端子間抵抗値計測手段により、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=(2X−Z)/{2(X−Z)}
として算出する手段を含む
ことを特徴とする請求項5に記載のひずみゲージ式測定システム。 - 前記補正係数算出手段は、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードである場合、
前記端子間抵抗値計測手段により、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/{2(X−Z)}
として算出する手段を含む
ことを特徴とする請求項5に記載のひずみゲージ式測定システム。 - 前記補正係数算出手段は、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードである場合、
前記端子間抵抗値計測手段により、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/(X−Z)
として算出する手段を含む
ことを特徴とする請求項6に記載のひずみゲージ式測定システム。 - 前記補正係数算出手段は、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードである場合、
前記端子間抵抗値計測手段により、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/{4(X−Z)}
として算出する手段を含む
ことを特徴とする請求項6に記載のひずみゲージ式測定システム。 - 前記補正係数算出手段は、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードである場合、
前記端子間抵抗値計測手段により、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zと、公称ブリッジ抵抗Rとに基づき補正係数Aを
A=R/{4(X−Z)}
として算出する手段を含む
ことを特徴とする請求項7に記載のひずみゲージ式測定システム。 - 前記複数の端子に対する前記ひずみゲージの接続回路は、前記複数の測定モードの個々の測定モード毎に一義的に定められていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載のひずみゲージ式測定システム。
- 多チャンネルの各々について所定の複数の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおいて、
各々所定の複数の端子を有する各チャンネルについて、順次、それぞれ請求項1〜請求項13の少なくともいずれか1項の補正係数算出手段、モード判別手段および計測手段の少なくともいずれかを、切り替え走査して接続する手段を含むことを特徴とするひずみゲージ式測定システム。 - ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、
前記複数の測定モードは、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードとのうちの少なくともいずれかを含み、
前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態とを選択的に切り替えてそれぞれ抵抗値を計測する抵抗値計測ステップと、
前記第1〜第4の端子に対するひずみゲージの接続状態が、前記1ゲージ測定モード、2ゲージ測定モード、2ゲージコモンダミー測定モード、4ゲージ定電圧測定モードおよび4ゲージ定電流測定モードの少なくともいずれかを含む測定モードのうちのどの測定モードであるかを決定するモード決定ステップと、
前記抵抗値計測ステップによって得られる前記端子間抵抗値に基づき、前記測定モード決定ステップにより決定された測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出ステップと、
前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出ステップによって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測処理ステップと
を有することを特徴とするひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法。 - ブリッジの各辺の接続点に対応する第1、第2、第3および第4の端子に対するひずみゲージの接続状態が異なる複数の測定モードにより選択的に測定を行なうひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法において、
前記複数の測定モードは、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードと、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードとのうちの少なくともいずれかを含み、
前記第1の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第1の抵抗計測状態と、前記第2の端子と前記第3の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第2の抵抗計測状態と、前記第4の端子と前記第2の端子との間に定電流を給電して、両端子間の端子電圧より両端子間の抵抗値を計測する第3の抵抗計測状態とを選択的に切り替えてそれぞれ抵抗値を計測する抵抗値計測ステップと、
前記抵抗値計測ステップによる前記各抵抗計測状態における計測抵抗値に基づいて、前記第1〜第4の端子に対するひずみゲージの接続状態を弁別し、前記1ゲージ測定モード、2ゲージ測定モード、2ゲージコモンダミー測定モード、4ゲージ定電圧測定モードおよび4ゲージ定電流測定モードの少なくともいずれかを含む測定モードのうちの該当する測定モードを推定するモード推定ステップと、
前記抵抗値計測ステップによって得られる前記端子間抵抗値に基づき、前記測定モード推定ステップにより推定された測定モードに応じた所定の演算を行なうことによって前記ひずみゲージへの接続リード線の抵抗に基づく感度低下に対する補正係数を求める補正係数算出ステップと、
前記測定モードに応じて計測系を切り替えて、当該測定モードによる計測を行なうとともに、その計測結果に前記補正係数算出ステップによって得られた補正係数を作用させて補正された計測値を得る計測処理ステップと
を有することを特徴とするひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法。 - 前記補正係数算出ステップは、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に単一のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間が短絡された1ゲージ測定モードである場合、
前記抵抗値計測ステップにより、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=(2X−Z)/{2(X−Z)}
として算出するステップを含む
ことを特徴とする請求項15または請求項16に記載のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法。 - 前記補正係数算出ステップは、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に他の1個のひずみゲージが接続された2ゲージ測定モードである場合、
前記抵抗値計測ステップにより、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/{2(X−Z)}
として算出するステップを含む
ことを特徴とする請求項15または請求項16に記載のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法。 - 前記補正係数算出ステップは、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に1個のひずみゲージが接続され且つ前記第2の端子と前記第3の端子との間に接続されるコモンダミー端子間に他の1個のコモンダミーゲージが接続された2ゲージコモンダミー測定モードである場合、
前記抵抗値計測ステップにより、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/(X−Z)
として算出するステップを含む
ことを特徴とする請求項15または請求項16に記載のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法。 - 前記補正係数算出ステップは、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電圧励振される4ゲージ定電圧測定モードである場合、
前記抵抗値計測ステップにより、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zとに基づき、補正係数Aを
A=X/{4(X−Z)}
として算出するステップを含む
ことを特徴とする請求項15または請求項16に記載のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法。 - 前記補正係数算出ステップは、
前記測定モードが、前記第1の端子と前記第2の端子との間、前記第2の端子と前記第3の端子との間、前記第3の端子と前記第4の端子との間、そして前記第4の端子と前記第1の端子との間のそれぞれ1個ずつのひずみゲージが接続されて定電流励振される4ゲージ定電流測定モードである場合、
前記抵抗値計測ステップにより、前記第1の抵抗計測状態で得られる前記第1の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Xと、前記第2の抵抗計測状態で得られる前記第2の端子と前記第3の端子との間の抵抗値Zと、公称ブリッジ抵抗Rとに基づき補正係数Aを
A=R/{4(X−Z)}
として算出するステップを含む
ことを特徴とする請求項15または請求項16に記載のひずみゲージ式測定システムにおける感度補正方法。
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