JP4265848B2 - 鉄筋コンクリート施工用スペーサ - Google Patents

鉄筋コンクリート施工用スペーサ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート施工用スペーサに係るもので、鉄筋コンクリート構造物を構築時に、鉄筋と構造物や型枠等との間にコンクリートのかぶり寸法を確保するために介在させ、かつその状態で鉄筋を固定しておくものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の鉄筋コンクリート施工用スペーサに関しては、従来より幾つかのものが存在する。即ち、
1)スペーサ本体のみの単体で、一側面をコンクリート構造物や型枠等に当接させた状態で、他側面に鉄筋を載置または係合させるようにしたもの(例えば意匠登録第997240号公報参照)。
【0003】
2)スペーサ本体に形成した通孔に針金を通したもので、本体の一側面をコンクリート構造物や型枠等に当接させた状態で、他側面に鉄筋を載置または係合させ、金属線を鉄筋に回して締付けるようにしたもの(例えば意匠登録第739567号公報参照)。これには、スペーサ本体に予め金属線を通挿したものと、スペーサ本体には通孔があるだけで、工事現場で金属線を通挿して用いるものがある。
【0004】
3)スペーサ本体に形成した通孔に、バネ性をもつ金属線を通挿してひねった形状にしたもので、本体の一側面をコンクリート構造物や型枠等に当接させた状態で、バネ性をもつ金属線を鉄筋に引っ掛けて掛止させるようにしたもの(例えば実開昭60−57619号公報、実開昭63−192518号公報、実開平3−11756号公報参照)。
【0005】
4)スペーサ本体の単体であるが、それ自体の形状が直交する鉄筋に係合可能な溝部をもつ特殊な形状としたもの(例えば特開平1−239248号公報、特開平3−33373号公報、実開平5−28610号公報参照)。
【0006】
5)スペーサ本体の一側面に、鉄筋の外径に対応する凹溝をもつバネ性の金属板を掛止させたもので、本体の他側面をコンクリート構造物や型枠等に当接させた状態で、上記凹溝に鉄筋を係合・掛止させておくもの(例えば実開平6−16556号公報、実開平8−1186号公報、意匠登録第1032643号公報参照)、等があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の鉄筋コンクリート施工用スペーサには、次のような欠点・問題点があった。
まず上記1)のものは、単体であるスペーサ本体に、鉄筋を載置または係合させておくだけであるから、施工時にコンクリートを流し込むことで、その圧力で鉄筋とスペーサが外れたり、位置がずれたりした。これはでき上がり後の構築物の強度面に悪い影響を及ぼすことになる。
【0008】
上記2)のものは、予めまたは現場でスペーサ本体に通挿した針金を鉄筋に回して締付けるので、締付けに手間がかかって作業性が悪いし、針金が錆びてしまって強度上の問題が生じる。
【0009】
上記3)のものは、スペーサ本体に通挿してあるバネ性の金属線で鉄筋を掛止させておくので、鉄筋の外径に応じて各種のものを用意しておく必要があるし、バネ性をもつ金属線の形状によっては、鉄筋が軸方向または周方向に滑って、不安定な状況になったり、また上記2)と同様に錆の問題もあった。
【0010】
上記4)のものは、スペーサ本体自体が直交する鉄筋に係合可能な溝部をもつ特殊な形状をしているので、鉄筋の外径に対応して溝部の大きさ・形状が各種のものを用意しておく必要があり、コスト高にもなる。
【0011】
上記5)のものは、スペーサ本体の一側面に設けたバネ性の金属板の凹溝に鉄筋を係合・保持させるので、これも鉄筋の外径に対応して各種のものを用意しておく必要があるし、鉄筋が軸方向や周方向に滑って不安定な状況になったり、また金属板の影になった部分にコンクリートの注入漏れが生じ、強度的にマイナス要因となったりした。
【0012】
本発明は、上記従来の鉄筋コンクリート施工用スペーサがもつ欠点・問題点の解消を課題としたものである。即ち本発明の目的は、鉄筋の各種の外径に対応でき、鉄筋が不用意に滑ったり回ったりせず、錆が発生せず、かつ施工現場での振動に対応できて緩みが生じ難い、鉄筋コンクリート施工用スペーサを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る鉄筋コンクリート施工用スペーサは、
スペーサ本体1に、止結紐2を通挿した状態で固着したもので、
上記止結紐2は、長手方向へ湾曲可能な柔軟性と耐錆性を有する材質製で、
ほぼ全長にわたって多数個の抜止め用小凹凸状部3を有すると共に、
一側端部に上記小凹凸状部3を通挿させた状態で掛止可能な抜止め用掛止部4を、他側端に該掛止部4の孔部5へ挿入用の先細状部6を有するものとし、
該止結紐2の掛止部4寄りの部分を、スペーサ本体1成形時の型枠内にインサートして成形・固着したものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
上記構成において、スペーサ本体1は、一般にモルタル製やコンクリート製とされており、モルタル製ではガラス繊維を混入したものが望ましい。また該スペーサ本体1の外形や寸法は、上記従来技術例を示す公報の図からも明らかな如く各種のものがある(なお例えば図1・図5も参照)。
【0015】
止結紐2は、上記の如く長手方向へ湾曲可能な柔軟性と耐錆性を有する材質で形成したものであり、例えばナイロン6.6(66ナイロン)のような半硬質性またはそれに近い軟質製の合成樹脂製や、ステンレス又は真鍮等の金属製とするのがよい。また該止結紐2は、偏平なバンド状のものでよいが(例えば上記図1・図2・図3・図4参照)、それに限らず断面形状が丸紐状のものでもよい(例えば図6参照)。
【0016】
上記止結紐2の長さは,鉄筋の外径やスペーサ本体1の大きさにより少しは異なるが、通常は15cmないし20cm程度の長さにしてあれば、殆どの場合に使用可能となる。またそのほぼ全長にわたり、多数個の抜止め用小凹凸状部3を形成してある。該小凹凸状部3は、止結紐2の断面形状が偏平なバンド状のものなら波状に繰り返し形成してあり(例えば上記図1ないし図5参照)、また止結紐2の断面形状が丸紐状なら数珠状に形成しておく(例えは図6参照)。
【0017】
上記各小凹凸部3の断面形状は、長手方向に対称形ではなく、掛止部4の孔部5へ先細状部6側から挿入し易く、かつ一旦通挿後は元へ抜けないように、止結紐2がバンド状のものなら、先細状部6側で低い直角三角形または鋸歯に近い形状にし、また丸紐状のものなら円錐形に近い玉状としてある。
【0018】
この多数個の小凹凸状部3は、製造コスト的からはその全てを同一形状にする方が有利であるが、それに限らず、例えばスペーサ本体1内に入る部分を大きめの凹凸状部に形成してあってもよい。
【0019】
該止結紐2の一側端部に形成した掛止部4には、他側端の先細状部6側を挿入可能な孔部5と、一旦通挿後は元に抜け出ないように、小凹凸状部3の形状に対応してそれを逆止可能な掛止片7を形成してある(例えば上記図2、図6参照参照)。
【0020】
また上記止結紐2はスペーサ本体2に通挿・固着してあるが、それには該止結紐2の掛止部4寄りの部分を、スペーサ本体1を成形時の型枠内にインサートして、モルタルやコンクリート材を注入して一体的に成形し、固着してある。この際に、該止結紐2の小凹凸状部3が、後に鉄筋8を締付ける際に内周面にくるようにインサートして固着することが望ましい。
【0021】
該止結紐2をスペーサ本体1に通挿・固着する位置は、スペーサ本体1の一側面寄りの場合や(例えば上記図1ないし図4参照)、中央部の場合がある(例えば図5参照)。これで、該止結紐2の掛止部4側や先細状部6側が、スペーサ本体1の上方へまたは両側方へ突出した状態となっている。
【0022】
本発明に係るコンクリート施工用スペーサの使用状態は、次のようになる。
コンクリート施工現場で、スペーサ本体1の一側面をコンクリート構造物面9や型枠面等に当接させておき、他側面に鉄筋8を載置または当接させた状態で、スペーサ本体1の上方または側方へ突出した該止結紐2の先細状部6側と掛止部4側で、鉄筋8の両側部から囲み、先細状部6を掛止部4の孔部5へ通挿する。そして先細状部6側を十分に引っ張り、該止結紐2で鉄筋8を締め付けておけばよい。
【0023】
これでこのスペーサは、止結紐2の小凹凸状部3が掛止部4で掛止されることになり、抜止めされている。そのため、外力が加わっても、掛止された状態から止結紐2が緩んだり、抜け出したりせず、鉄筋8を強固に保持・固定している。後は、掛止部4から余って出ている止結紐2の先細状部2側を、カッターまたは専用工具で切断すればよい。
【0024】
コンクリート施工現場では、外径が異なる各種の鉄筋8が用いられるが、このスペーサでは、上記の如く止結紐2で鉄筋8を抱持し締付けた状態で、長さ方向のほぼ全長にわたる小凹凸状部3のいずれかの位置を掛止部4が掛止する。そのため、止結紐2の長さを、使用される鉄筋8の最大径のものに対応する長さにしてあれば、それより小径の鉄筋8には全て対応可能となり、従来のように多種類のスペーサを用意しておく必要がない。
【0025】
また使用時には、鉄筋8を締め付けるため止結紐2を強く引っ張るが、この止結紐2のほぼ全長にわたり形成した多数個の小凹凸状部3が、スペーサ本体1を成形時にモルタルまたはコンクリート中にしっかりと入り込んで固着されているから(例えば上記図2参照)、止結紐2を引っ張ってもスペーサ本体1から抜け出すようなことがない。そのため、本スペーサでは鉄筋8をスペーサ本体1に強固に締付けて一体化でき、軸方向への滑りや周方向への回動が生じない。
【0026】
さらに上記の鉄筋8を締付け固定する場合に、止結紐2の小凹凸状部3が内周面に来るような使用状態であれば、拡大すれば外周面に細かな凹凸状部がある鉄筋8に該各小凹凸状部3が当接するので(例えば上記図2参照)、当接面での摩擦が大きくなっており、この点からも鉄筋8が軸方向への滑りや周方向への回動が防止されている。
【0027】
またこのスペーサの止結紐2の材質を、半硬質性またはこれに近い軟質製の合成樹脂製や、ステンレス又は真鍮等の金属製としてあれば、使用後に日数が経過しても錆が発生しないので、コンクリート構成物の強度面に影響を及ぼすことがない。
【0028】
しかも、止結紐2を例えばナイロン6.6やその他の半硬質性またはそれに近い軟質製の合成樹脂製とした場合には、それ自体が若干の伸縮性を有している。そのため、このスペーサを使用して鉄筋8を止結紐2で締付け固定した後に、コンクリートの注入その他で振動が生じても、該止結紐2がその振動を吸収するので、スペーサ本体1への鉄筋8の固定・保持に支障は生じない。
【0029】
【実施例】
図1ないし図6は、本発明に係るコンクリート施工用スペーサの実施例を示すものである。
1はスペーサ本体を示し、ここではモルタル製でガラス繊維を混入したものにしてある。該スペーサ本体1の形状は各種のものがあるが、ここでは逆三角形状に近いもので、かつ下部が二股状になったものを用いている。しかしそれに限らず、例えば図5で示すような四角形状のものや、その他の各種の形状のものにしてもよい。
【0030】
2は止結紐を示し、上記スペーサ本体1に通挿・固着してある。該止結紐2は湾曲可能な柔軟性と耐錆性を有する材質製で、ここでは半硬質性のナイロン6.6(66ナイロン)製で、断面形状が偏平なバンド状のものにしてある。しかしそれに限らず、図6で示すような、断面丸形状の丸紐状のものとしてもよい。
【0031】
該止結紐2は、ここでは長さ15cm、横幅4.4mm、厚み1.2mmのものを用いており、そのほぼ全長にわたり多数個の抜止め用小凹凸状部3を波形状に連続的に形成してある。各小凹凸状部2は、長手方向に対称形ではなく、先細状部6から掛止部4の孔部5へ装入し易く、かつ一旦通挿後は元に抜出ないように、ここでは先細状部6側で低い直角三角形に近い小凹凸状になるように形成してある。しかしそれに限らず、図6で示すような円錐形に近い球状のせぎでもよい。。
【0032】
上記止結紐2の一側端に形成した掛止部4は、止結紐2を先細状部6側から通挿可能な偏平状の孔部5と、一旦通挿した後は小凹凸状部3を掛止する掛止片7を設けてあり、元への抜けを防止するようにしてある。ここでの掛止片7は、掛止部4と一体成形されたバネ性をもつ板状のもので、元の方向へ抜け出ようとする小凹凸状部3を掛止する。
【0033】
しかしそれに限らず、止結紐2の小凹凸状部2が球状のものなら、図6で示すように、掛止部4を円錐筒状で側部に割り溝10を有するものとしてもよい。その場合は、該掛止部4の大径側側の孔部5から止結紐2の先細状部側が通挿する際には、割り溝10を押し開いて通過するが、一旦通過後は円錐筒状の小径側がの先端部が掛止片7となって、球状の小凹凸状部2が元の方向へ抜け出ようとするのを掛止する。
【0034】
上記止結紐2は、上記の如くスペーサ本体1に通挿・固着してあるが、この挿入・固着手段は、モルタルによりスペーサ本体1を成形時にその型枠内に該止結紐2の掛止部4寄りの部分をインサートしておき、モルタル注入して硬化させることで、一体的に成形・固着している。また上記のように、多数個形成された小凹凸状部3が、鉄筋8の外周面と当接する内周面へくるようにして、設けておくことが望ましい。
【0035】
また該止結紐2を通挿・固着するスペーサ本体1に位置は、図1ないし図4で示す如く、スペーサ本体1の上面寄りに形成してもよいが、図5・図6で示す如くスペーサ本体1側部の中央部分に通挿・固定しておいてもよい。
【0036】
このスペーサを使用するには、コンクリート施工現場で、スペーサ本体1の一側面をコンクリート構造物面9や型枠等に当接させ、他側面に鉄筋8を当接させた状態で、上方または側方へ突出している止結紐2の先細状部6側と掛止部4側とで、両側から鉄筋8の外周部を囲むようにして、該止結紐2の先細状部6側を掛止部4の孔部5へ通挿する。
【0037】
上記の状態で先細状部6側を十分に引っ張り、止結紐2で鉄筋8を締め付けて手を離せば、その位置で小凹凸状部3のいずれかが掛止部4の掛止片7で掛止されるから、止結紐2は抜止めされる。後は必要に応じて、掛止部4から余って出ている先細状部6側の止結紐2を、カッターまたは専用工具で切断しておくだけでよい。これで鉄筋8がこのスペーサに強固に保持・固定できる。
【0038】
上記のように、このスペーサの止結紐2は、鉄筋8の外径に応じて任意の位置で掛止部4にて掛止され、抜止めされるので、コンクリート施工工事現場で使用される多種類の鉄筋8の外径に対応することができ、従来のように多種類のスペーサを用意しておく必要がなくなっている。
【0039】
また図2で示すように、止結紐2のほぼ全長にわたり形成した多数個の小凹凸状部3が、スペーサ本体1を成形時にモルタルまたはコンクリート中にしっかりと入り込んで固着されているから、止結紐2がスペーサ本体1から抜け出すことがない。そのため、鉄筋8はスペーサ本体1に強固に締付けられ一体化されている。
【0040】
さらに、止結紐2の小凹凸状部3が内周面に来るような状態で使用すれば、該各小凹凸状部3が鉄筋8の外周面に当接するから、当接面での摩擦が大きくなっており、締付け固定された鉄筋8が軸方向へ滑ったり、周方向へ回動したりすることがなくなっている。
【0041】
またこのスペーサの止結紐2の材質がナイロン6.6製であるから、使用後に日数が経過しても錆が発生しないので、コンクリート構成物の強度面に影響を及ぼすことがないし、それ自体が若干の伸縮性を有していることで、コンクリートの注入時その他で振動があっても、該止結紐2がその振動を吸収して、鉄筋8の固定・保持に支障が生じなくなっている。
【0042】
なお、スペーサ本体1と鉄筋8との取付け状態は、上記図示例に限らず、鉄筋8の長手方向に対し、スペーサ本体1が斜め状になるように、止結紐2で抱持して締付け固定する場合等、各種の取付け態様があるが、いずれの場合も本発明に係る鉄筋コンクリート施工用スペーサによれば、その止結紐2で容易・迅速に止結作業を行える。
【0043】
【発明の効果】
以上で明らかなように、本発明に係る鉄筋コンクリート施工用スペーサによれは、鉄筋の各種の外径に対応でき、鉄筋が不用意に滑ったり回ったりせず、錆が発生せず、かつ施工現場での振動に対応できて緩みが生じ難い等の有用な効果を奏する。
【0044】
即ち、従来もこの種の鉄筋コンクリート施工用スペーサについては、上記の如く各種のものがあった。しかし、施工時に鉄筋とスペーサが外れやすかったり、止結に手間がかかると共に錆びが生じやすかったり、止結後の鉄筋が軸方向または周方向に滑りやすかったり、止結用のバネ性の金属線や金属板を鉄筋の外径に応じて多種類用意する必要があったり、金属板の影になった部分でコンクリートの注入漏れが発生しやすかったりする、等の問題点があった。
【0045】
これに対して本発明では、イ)スペーサ本体の上方または側方へ突出している該止結紐を、その先細状部側を掛止部側に通して引っ張るだけで、鉄筋を締付けることができ、かつその状態で抜止めもできている。そのため、簡単な作業でスペーサと鉄筋を強固に保持・固定することができ、コンクリート施工現場での止結作業が容易・迅速になり、作業性を向上できる。
【0046】
ロ)本発明のスペーサは、その止結紐のほぼ全長にわたって形成した小凹凸状部と掛止部とにより、締付けた状態でどの位置でも掛止・抜止めできるので、各種の外径の鉄筋に対応することができる。そのため、従来のように各種の長さ・幅の異なるバネ性の金属線や金属板を用意しておく必要がなく、製造・管理・作業上で有益である。また止結紐が余った場合も、必要に応じてカッターや専用工具で容易に切除することができる。
【0047】
ハ)また本発明のスペーサは、その止結紐の多数個の小凹凸状部が、スペーサ本体を成形時にモルタルまたはコンクリート中にしっかりと入り込んで固着されており、締付け時に止結紐を引っ張ってもスペーサ本体から抜け出すようなことがない。そのため、鉄筋とスペーサ本体と強固に締付けて、保持・固定することができる。
【0048】
ニ)さらに本発明のスペーサは、その止結紐の小凹凸状部が内周面に来るような状態で使用すれば、該各小凹凸状部が鉄筋の外周面に当接するから、当接面での摩擦が大きくなり、この面からも鉄筋の軸方向への滑りや周方向への回動を防止することができている。
【0049】
ホ)しかも本発明のスペーサで、その止結紐を例えば6.6ナイロンの如き軟質または半硬質製の合成樹脂製とした場合は、それ自体が若干の伸縮性を有しているので、コンクリートの注入時その他で振動があっても、該止結紐がその振動を吸収して、鉄筋の固定・保持に支障が生じなくなっている。
【0050】
ヘ)なお、本発明のスペーサの止結紐の材質を、耐錆性のある金属製や合成樹脂製としてあるから、工事後も錆が発生せず、コンクリート構成物の強度面に影響を及ぼすことがないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンクリート施工用スペーサの実施例を用いた使用状態例を示す斜視図である。
【図2】図1で示したものの拡大縦断面図である。
【図3】図1で用いた本発明に係るコンクリート施工用スペーサの実施例を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るコンクリート施工用スペーサで、止結紐の取付け状態が異なる他の実施例を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るコンクリート施工用スペーサで、スペーサ本体の形状が異なる別の実施例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係るコンクリート施工用スペーサで、止結紐の形状が異なる別の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1−スペーサ本体
2−止結紐
3−小凹凸状部
4−掛止部
5−孔部
6−先細状部
7−掛止片
8−鉄筋
9−構造物面
10−割溝

Claims (3)

  1. スペーサ本体1に、止結紐2を通挿した状態で固着したもので、
    上記止結紐2は、長手方向へ湾曲可能な柔軟性と耐錆性を有する材質製で、
    ほぼ全長にわたって多数個の抜止め用小凹凸状部3を有すると共に、
    一側端部に上記小凹凸状部3を通挿させた状態で掛止可能な抜止め用掛止部4を、他側端に該掛止部4の孔部5へ挿入用の先細状部6を有するものとし、
    該止結紐2の掛止部4寄りの部分を、スペーサ本体1成形時の型枠内にインサートして成形・固着したことを特徴とする、鉄筋コンクリート施工用スペーサ。
  2. スペーサ本体1に固着した止結紐2を断面が偏平なバンド状として、小凹凸状部3をほぼ3角形状として波状に多数個を形成した請求項1に記載の断面3角形鉄筋コンクリート施工用スペーサ。
  3. スペーサ本体1に固着した止結紐2を断面が丸状の紐状として、小凹凸状部3をほぼ球形状として数珠状に多数個を形成した請求項1に記載の断面3角形鉄筋コンクリート施工用スペーサ。
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